JP2011163399A - 車両用カップリング - Google Patents

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Abstract

【課題】カップリングの摩擦板間の差回転に比例して大きくなる引きずりトルクを好適に抑制して、燃費性低下および耐久性低下を抑制することができる車両用カップリングを提供する。
【解決手段】フロントハウジング46とインナシャフト48との差回転にしたがって、メインカム54をメインクラッチ50から離間させる押圧力を発生させる油圧機構を備えるため、フロントハウジング46とインナシャフト48との差回転にしたがって大きくなる引きずりトルクに対して、その差回転の大きさに応じた押圧力でメインカム54がメインクラッチ50から離間させる方向に押圧させられるに従い、上記引きずりトルクが効果的に抑制される。上記より、引きずりトルク増加に伴う燃費悪化や発熱量増大による耐久性低下を抑制することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に備えられて一方の動力伝達部材からの駆動力を他方の動力伝達部材へ選択的に伝達するカップリングに係り、特に、そのカップリングにおいて発生する引きずりトルクの低減に関するものである。
車両において、駆動部材と被駆動部材との間に配設され、その駆動部材と被駆動部材とを選択的に断続するための湿式多板クラッチを有する車両用カップリングが知られている。例えば、図3に示す電子制御カップリング200がその一例である。電子制御カップリング200は、例えば車両のプロペラシャフトとリアデフ(後輪差動歯車装置)との間に配設され、図示しないプロペラシャフトとリアデフとの間を選択的に断続する。電子制御カップリング200は、図示しないプロペラシャフトに接続されている有底円筒状のフロントハウジング202内において、そのフロントハウジング202と同軸心上に配設されて図示しないリアデフのピニオンギヤに接続されているインナシャフト204、フロントハウジング202とインナシャフト204とを選択的に断続するための湿式多板式のメインクラッチ206、メインクラッチ206を押圧して係合させるピストンとして機能するメインカム208、フロントハウジング202と後述するコントロールカム210とを選択的に断続するためのコントロールクラッチ212、コントロールクラッチ212の係合にしたがってボール213を介してメインカム208に軸方向の押圧力を発生させるコントールカム210、磁束を発生させてコントロールクラッチ212に隣接されているアーマチュア214を引き付けてコントロールクラッチ212の係合状態を制御するコイル電磁216等を備えて構成されている。
上記電子制御カップリング200は、コントロールクラッチ212で発生させたトルクをカム機構(コントロールカム210、ボール213、メインカム208)を介して増幅させてメインクラッチ206に更に大きなトルクを発生させるように構成されている。例えば、電磁コイル216に電流を流すと、電磁コイル216周辺に磁束が発生する。その磁束によってアーマチュア214がコントロールクラッチ212側に引き付けられ、コントロールクラッチ212が係合される。コントロールクラッチ212が係合されるとフロントハウジング202とコントロールカム210とが接続されるため、コントロールカム210とメインカム208との間に回転差が生じる。このとき、コントロールカム210とメインカム208との間に介装されているボール213が、それらの間に形成されいてる斜面を押圧することから、メインカム208がメインクラッチ206側に移動させられてメインクラッチ206を押圧する。これより、メインクラッチ206が係合されて、フロントハウジング202とインナシャフト204とが接続される。上記のように、コントロールクラッチ212で発生したトルクがカム機構によって増幅されることで、メインクラッチ206ではコントロールクラッチ212で発生した数倍ものトルクが発生することとなる。
また、電磁コイル216に電流が流れない状態では、コントロールクラッチ212にトルクが発生しないので、フロントハウジング202とインナシャフト204との接続が遮断される。しかし、電磁コイル216に電流が流れない場合であっても、フロントハウジング202内には潤滑用の油が充填されているに従い、コントロールクラッチ212の摩擦板間には油が介在されているため、コントロールクラッチ212の互いの摩擦板間に差回転が生じると、その油の粘性抵抗によってコントロールクラッチ212においてトルクが発生する。したがって、コントロールクラッチ212において発生したトルクがカム機構によって増幅されることでメインクラッチ206においてもトルクが発生することとなる。以下の本願明細書中において、上記コントロールクラッチ212およびメインクラッチ206において、油の粘性抵抗に基づいて発生するトルクを引きずりトルクと定義する。
上記引きずりトルクが発生すると、電子制御カップリング200の接続を切断した場合であっても、この引きずりトルクによってトルクが伝達されるため、燃費が低下する問題があった。例えば、四輪駆動車両が砂地などでスタックし、四輪駆動状態で脱出を図っても脱出できない場合、通常インヒビット制御が実施され、トランスファと後輪との間に設けられた電子制御カップリング200の接続が切断されて前輪駆動状態となる。このとき、フロントハウジング202とインナシャフト204との間の差回転すなわちコントロールクラッチ212の摩擦板間の差回転が大きくなるので、コントロールクラッチ212の引きずりトルクが増大する。したがって、メインクラッチ206においても引きずりトルクが増大して燃費が低下することとなる。また、例えば車両が二輪接地状態で牽引された場合であっても、コントロールクラッチ212およびメインクラッチ206の摩擦板間の差回転が大きくなるに従って引きずりトルクが大きくなり、摩擦板間での発熱量が増大して電子制御カップリング200の耐久性が低下する可能性があった。
これに対して、例えば引用文献1のカップリングでは、上記引きずりトルクを低減するため、押圧部材としても機能するクラッチハウジング11の軸方向側壁部107にフィン23、25を設け、クラッチハウジング11を回転させた際にフィン23、25に油を衝突させることで、クラッチハウジング11にクラッチを遮断する方向の反力を発生させることで引きずりトルクを低減させる技術が開示されている。
特開2002−13549号公報
しかしながら、引用文献1に記載のカップリングでは、フィン23、25に衝突する油によって発生する反力を利用するものであるため、特に、上述したような差回転が大きくなった場合には、引きずりトルクを低減するだけの十分な反力を発生させることが困難となり、引きずりトルク発生に伴って燃費が低下する問題があった。また、フィン23、25による回転抵抗によって燃費が低下する問題があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、駆動部材と被駆動部材との間に配設され、その駆動部材と被駆動部材とを選択的に断続する湿式多板クラッチを有するカップリングにおいて、カップリングの摩擦板間の差回転に比例して大きくなる引きずりトルクを好適に抑制して、燃費性低下および耐久性低下を抑制することができる車両用カップリングを提供することにある。
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)駆動部材と被駆動部材とを選択的に断続するための湿式多板クラッチと、その湿式多板クラッチを軸方向に押圧して係合させるピストンとを備え、その駆動部材と被駆動部材との相対トルクに基づいて、そのピストンがその湿式多板クラッチを押圧する力を発生させる車両用カップリングであって、(b)その湿式多板クラッチ開放時の前記駆動部材と被駆動部材との差回転にしたがって、前記ピストンを前記湿式多板クラッチから離間させる方向の推力を発生させるための油圧を生成する油圧機構を備えることを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1の車両用カップリングにおいて、(a)前記油圧は、前記駆動部材と被駆動部材との差回転にしたがってその吐出油量が大きくなるように設けられたオイルポンプによって発生させられるものであり、(b)その油圧は、前記ピストンに隣接して形成されて、そのピストンに前記湿式多板クラッチから離間させる方向の推力を付与するための油室に供給されることを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項2の車両用カップリングにおいて、前記オイルポンプは、トロコイド式のオイルポンプであり、そのオイルポンプのドリブンロータが前記駆動部材に接続され、そのオイルポンプのドライブロータが前記被駆動部材に接続されていることを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項2または3の車両用カップリングにおいて、(a)前記車両用カップリングは、電気的に制御されるコントロールクラッチのトルクがカム機構を介して軸方向に変換され且つ増幅されてメインクラッチを押圧する形式の電子制御カップリングであって、(b)そのメインクラッチが前記湿式多板クラッチであり、前記駆動部材が有底円筒状のフロントハウジングであり、前記被駆動部材がそのフロントハウジングの内周側に同軸心上に嵌め入れられているインナシャフトであり、(c)そのフロントハウジングの内周面とそのインナシャフトの外周面との間に、前記メインクラッチおよびそのメインクラッチを押圧するための前記ピストンが軸方向に隣接して配設され、(d)前記オイルポンプは、そのフロントハウジングの底部に収容されるように配設されており、そのオイルポンプの前記ドリブンロータは、そのフロントハウジングの有底に形成されている収容穴に相対回転不能に嵌め着けられ、前記ドライブロータは、前記インナシャフトに連結されている動力伝達軸の外周面に相対回転不能に嵌め着けられており、(e)そのオイルポンプは、前記フロントハウジング内に充填されている油を吸入して吐出するものであり、そのオイルポンプから吐出された油圧は、前記動力伝達軸内に形成されている油路および前記インナシャフト内に形成されている油路を通って前記油室に供給されることを特徴とする。
請求項1にかかる発明の車両用カップリングによれば、前記駆動部材と被駆動部材との差回転にしたがって、前記ピストンを前記湿式多板クラッチから離間させる方向の推力を発生させるための油圧を生成する油圧機構を備えるため、駆動部材と被駆動部材との相対トルクに基づいて発生する引きずりトルクに対して、その差回転にしたがってピストンを湿式多板クラッチから離間させる方向の推力が発生するに従い、上記引きずりトルクが抑制される。上記より、引きずりトルク増加に伴う燃費悪化や湿式多板クラッチでの発熱量増大による耐久性低下を抑制することができる。
また、請求項2にかかる発明の車両用カップリングによれば、前記駆動部材と被駆動部材との差回転にしたがって吐出油量が大きくなるように設けられたオイルポンプの油圧が前記油室に供給されるため、差回転が大きくなるにしたがって油室に供給される油量が大きくなり、ピストンを湿式多板クラッチから離間させる方向へ作用する推力が大きくなる。したがって、差回転が大きくなるに従って大きくなる引きずりトルクに対して、その引きずりトルクに応じた推力がピストンに作用されることで、引きずりトルクが好適に抑制される。
また、請求項3にかかる発明の車両用カップリングによれば、前記オイルポンプは、トロコイド式のオイルポンプであり、そのオイルポンプのドリブンロータが前記駆動部材に接続され、そのオイルポンプのドライブロータが前記被駆動部材に接続されているため、駆動部材と被駆動部材との間に差回転が生じると、その差回転の大きさに比例した力でピストンを押圧することができる。また、オイルポンプが比較的シンプルに構成されることから、車両用カップリングをコンパクトに形成することができる。
また、請求項4にかかる発明の車両用カップリングによれば、駆動部材であるフロントハウジングと被駆動部材であるインナシャフトとの差回転が生じると、コントロールクラッチにおいて、油の粘性抵抗によって上記差回転に比例した引きずりトルクが発生する。そして、その引きずりトルクがカム機構を介してピストンに伝達され、ピストンがメインクラッチを押圧することで、メインクラッチにおいても引きずりトルクが発生する。このメインクラッチで発生する引きずりトルクは、コントロールクラッチで発生する引きずりトルクすなわち上記差回転に比例して大きくなる。これに対して、上記差回転に比例して吐出圧が大きくなるオイルポンプの油圧がピストンに隣接して形成されている油室に供給されて、ピストンをメインクラッチから離間される方向に作用する推力が発生する。したがって、上記差回転に比例して大きくなるメインクラッチでの引きずりトルクに対して、その引きずりトルクに比例した力でピストンがメインクラッチから離間される方向に押圧されることから、上記引きずりトルクが効果的に抑制されることとなる。
本発明が好適に適用される駆動力伝達装置を有する前置エンジン前輪駆動(FF)を基本とする前後輪駆動車両の構成を説明する骨子図である。 図1の電子制御カップリングの構成を説明するための断面図である。 従来の電子制御カップリングの構成を説明するための断面図である。
ここで、好適には、前記車両用カップリング内には、油が十分に充填されており、前記オイルポンプは、その充填されている油を吸入して吐出するものである。このようにすれば、車両用カップリング外部より油を供給する必要がないので、構造が簡素化される。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用される車両用動力伝達装置10(以下、動力伝達装置10)を有する前置エンジン前輪駆動(FF)を基本とする前後輪駆動車両の構成を説明する骨子図である。図1において、エンジン12は、例えば、ガソリンエンジン或いはディーセルエンジン等の内燃機関であって、燃料の燃焼により駆動力を発生させる駆動源である。本実施例の動力伝達装置10は、エンジン12から前輪22へ動力を伝達する第1動力伝達経路13と、エンジン12から後輪30へ動力を伝達する第2動力伝達経路14と、その第2動力伝達経路14に介挿された前後輪駆動力配分装置である車両用電子制御カップリング26(以下、単に電子制御カップリング26という)とを備えている。上記第1動力伝達経路13は、エンジン12から、そのエンジン12によってトルクコンバータ15および変速機16を介して回転駆動される前輪用差動装置18および左右1対の前輪車軸20を経て左右1対の前輪22に至るものであり、また、上記第2動力伝達経路14は、エンジン12から、前輪用差動装置18のデフケース18a、トランスファ23、プロペラシャフト24、前後輪駆動力配分装置である電子制御カップリング26、減速装置27、後輪用差動歯車装置28、および左右1対の後輪車軸29を経て左右1対の後輪30に至るものである。また、動力伝達装置10には、上記電子制御カップリング26を制御するための電子制御装置34が設けられている。すなわち、動力伝達装置10は、駆動源であるエンジン12により発生させられたトルクを走行状態に応じて前後輪に配分する電子制御トルクスプリット式4輪駆動車両の駆動系の一例である。
上記トルクコンバータ15は、例えば、上記エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車と、上記変速機16の入力軸に連結されたタービン翼車と、一方向クラッチを介して変速機ケースに固定されたステータ翼車とを備え、上記ポンプ翼車とタービン翼車との間で流体を介して動力伝達を行う流体式動力伝達装置である。
前記変速機16は、例えば、複数の摩擦係合要素を備え、それら摩擦係合要素の係合又は解放の組み合わせに応じて複数の変速段を選択的に成立させて、入力された回転を上記成立した変速段に対応する変速比γに応じて変速して出力する自動変速機である。
前記前輪用差動装置18および後輪用差動装置28は、回転可能に支持されたデフケース18aおよび28aと、そのデフケース18a内および28a内に設けられた差動歯車機構18bおよび28bとを備える良く知られた所謂傘歯車式のものである。上記差動歯車機構18bおよび28bは、デフケース18aおよび28aの軸心上で相対向する一対のサイドギヤと、それら一対のサイドギヤ間において前記軸心に直交する状態でデフケース18aおよび28aに設けられたピニオンシャフトと、そのピニオンシャフトにより回転可能に支持されて上記一対のサイドギヤとそれぞれ噛み合う一対のピニオンギヤとを備えている。前記一対の前方車軸20および後方車軸29は、差動歯車機構18bおよび28bが備える前記一対のサイドギヤにそれぞれ一体的に連結されている。このように構成される前輪用差動装置18および後輪用差動装置28は、一対の後方車軸20および後方車軸29の回転速度差を許容しつつそれら一対の後方車軸20および後方車軸29を回転駆動するものである。なお、前輪用差動装置18は、変速機16と共通のトランスアクスルケース32内に配設されて横置トランスアクスルを構成している。
前記トランスファ23は、トランスファケース23aにより回転可能に支持された傘歯車型のトランスファドライブギヤ23bと、そのトランスファドライブギヤ23bに動力伝達可能に噛み合わされた傘歯車型のトランスファドリブンギヤ23cとを備え、デフケース18aとプロペラシャフト24との間で回転の伝達方向を略直角に変えるものである。
図2は、図1の電子制御カップリング26(本発明の車両用カップリングに対応)の構成を説明するための断面図である。電子制御カップリング26は、共通の軸心C上に回転可能に配置されているプロペラシャフト24(図2において不図示)と減速装置27のドライブピニオン31との間に介装され、プロペラシャフト24とドライブピニオン31とを適宜断続する。電子制御カップリング26は、非回転部材である円筒状のケース40内において、ボルト42によってプロペラシャフト24と接続されることでプロペラシャフト24と一体的に回転させられる有底円筒状のフロントハウジング46(本発明の駆動部材に対応)と、減速装置27のドライブピニオン31の端部にスプライン嵌合されてそれとともに一体的に回転させられる有底円筒状のインナシャフト48(本発明の被駆動部材に対応)と、フロントハウジング46の内周面とシャフト48の外周面との間に配設されているメインクラッチ50(本発明の湿式多板クラッチに対応)およびコントロールクラッチ52と、メインクラッチ50に隣接されて適宜メインクラッチ50を軸方向に押圧することでそのメインクラッチ50を係合させるメインカム54と、コントロールクラッチ52に隣接されて適宜コントロールクラッチ52を軸方向に押圧することでコントロールクラッチ52を係合させるアーマチュア56と、コントロールクラッチ52の係合時にフロントハウジング46に接続されるコントロールカム58と、メインカム54とコントロールカム58との間に介装されているボール60と、コントロールクラッチ52に対して軸方向において減速装置27側(図において右側)に配設されて後述する非回転部材であるコイルリテーナ62によって保持されている電磁コイル64とを、含んで構成されている。
有底円筒状のフロントハウジング46は、非回転部材である円筒状のケース40にシール機能を備えた軸受66を介して軸心Cまわりに回転可能に支持されている。そして、フロントハウジング46の底部46aは、ボルト42によってプロペラシャフト24の端部と接続されおり、プロペラシャフト24と一体的に回転させられる。有底円筒状のインナシャフト48は、フロントハウジング46よりも十分に小径であって、フロントハウジング46に嵌め入れられた状態で軸心Cまわりに回転可能に配設されている。上記フロントハウジング46とインナシャフトとは、軸受49を介して相対回転可能に支持されている。なお、上記フロントハウジング46は、後述の電磁石90により磁気回路を好適に形成させるために、たとえば軽合金などの非磁性材料から構成されている。
フロントハウジング46の内周面とインナシャフト48の外周面との間に形成される空間には、フロントハウジング46とインナシャフト48とを選択的に断続するためのメインクラッチ50およびコントロールクラッチ52が軸方法に並んで配設されている。
メインクラッチ50は、湿式多板クラッチであって、内周部がインナシャフト48の外周面に相対回転不能且つ軸方向の移動可能に嵌合されている複数枚の円板状の内周側摩擦板70と、外周部がフロントハウジング46の内周面に相対回転不能且つ軸方向の移動可能に嵌合されている円板状の複数枚の外周側摩擦板72とを備え、互いの摩擦板70、72が交互に積み重なった状態で構成されている。
メインクラッチ50に軸方向に隣接するメインカム54は、所定の厚みを有する円板状の部材であり、インナシャフト48の外周面に相対回転不能且つ軸方向の移動可能に嵌合されることで、インナシャフト48と一体的に回転させられている。そして、メインカム54がメインクラッチ50側に移動されると、メインカム54がメインクラッチ50を押圧するに従い、メインクラッチ50が係合されて、フロントハウジング46とインナシャフト48とが接続される。なお、メインカム54が、本発明のピストンに対応する。
また、コントロールクラッチ52は、内周部がコントロールカム58の外周面に相対回転不能且つ軸方向の移動可能に嵌合されている円板状の内周側摩擦板74と、外周部がフロントハウジング46の内周面に相対回転不能且つ軸方向の移動可能に嵌合されている円板状の外周側摩擦板76とを含み、互いの摩擦板74、76が相互に積み重なった状態で構成されている。
コントロールクラッチ52に隣接する磁性体金属製のアーマチュア56は、外周部がフロントハウジング46の内周面に相対回転不能且つ軸方向の移動可能に嵌合されており、アーマチュア56がコントロールクラッチ52側に移動させられること、アーマチュア56がコントロールクラッチ52を押圧するに従い、コントロールクラッチ52が係合されて、フロントハウジング46とコントロールカム58とが接続される。ここで、このアーマチュア56は、後述するように、電磁コイル64内に励磁電流が流れることによって発生する磁束によって、コントロールクラッチ52側へ引き付けられる。なお、電磁コイル64の励磁電流は、電子制御装置34によって適宜制御され、その励磁電流に応じてアーマチュア56がコントロールクラッチ52を押圧する押圧力が変化する。
コントロールカム58は、円環状に形成され、内周端がインナシャフト48に対して摺動可能に嵌め付けられている。そして、コントロールクラッチ52が係合されることで、フロントハウジング46と接続されると、フロントハウジング46と共に回転させられる。そして、コントロールカム58が回転させられると、コントロールカム58とメインカム54との間に差回転が発生するため、それらの間に介装されているボール60が周方向に転動させられる。
上記ボール60は、メインカム54とコントロールカム58との間に等角度間隔で複数個介装されており、メインカム54およびコントロールカム58にそれぞれ形成されている凹溝61に収容されている。上記凹溝61は、ボール60毎に周方向に複数個形成され、その凹溝61の深さは、周方向に向かうに従って浅くなるように斜面状に形成されている。したがって、ボール60が周方向に転動させられると、凹溝61に形成されている斜面に沿って移動させられることから、メインカム54がボール60によってメインクラッチ50側に移動させられる。これにより、メインカム54がメインクラッチ50を押圧し、メインクラッチ50が係合させられる。また、上記メインカム54、コントロールカム58、およびボール60がカム機構として機能することで、コントロールクラッチ52で発生したトルクに基づいて上記カム機構を介してメインカム54を軸方向に移動させ、メインクラッチ50を押圧することで、コントロールクラッチ52で発生したトルクの数倍ものトルクがメインクラッチ50に伝達されることとなる。
コントロールクラッチ52と電磁コイル64との間には、フロントハウジング46の開口を塞ぐように、カバー部材80が配設されてる。カバー部材80は、有底二重円筒状に形成され、珪素鋼などの磁性体金属製の内周側カバー部材82と、珪素鋼などの磁性体金属製の外周側カバー部材84と、それらの間に圧入された非磁性ステンレス鋼製の圧入部材86との3部材から一体的に構成されている。この非磁性ステンレス鋼製の圧入部材86により、図2の1点鎖線に示す磁気回路が好適に形成される。カバー部材80は、外周側カバー部材84の外周面がフロントハウジング46の内周面とスプライン嵌合されることで、フロントハウジング46と一体的に回転させられる。また、内周側カバー部材82の外周面と外周側カバー部材84の内周面との間に形成されている空間に電磁コイル64が収容されている。
電磁石90は、珪素鋼などの磁性体金属から成る円筒状のコイルリテーナ62と、そのコイルリテーナ62の端部に固定された円環状の電磁コイル64とから全体として円環状に構成されている。電磁石90の電磁コイル64に励磁電流が流れると、電磁コイル64周辺に磁束が生じ、その電磁石90の吸引力によってアーマチュア56がコントロールクラッチ部52側に引き付けられるに従い、コントロールクラッチ52が係合される。上記電磁コイル64に流れる励磁電流が電子制御装置34によって電気的に制御されることで、コントロールクラッチ52の係合状態(係合トルク)が電気的に制御される。
例えば、電磁コイル64に流れる励磁電流が小さい場合、アーマチュア56がコントロールクラッチ52を押圧する力が小さくなるため、コントロールクラッチ52の係合力および伝達トルクが小さくなる。したがって、メインクラッチ50の伝達トルクも小さくなるため、プロペラシャフト24から減速装置27のドライブピニオン31へ伝達されるトルクは小さくなる。一方、電磁コイル64に流れる励磁電流が大きくなる場合、アーマチュア56がコントロールクラッチ52を押圧する力が大きくなるため、コントロールクラッチ52の係合力および伝達トルクが大きくなる。したがって、メインクラッチ50の伝達トルクも大きくなるため、プロペラシャフト24から減速装置27のドライブピニオン31へ伝達されるトルクが大きくなる。
ところで、電子制御カップリング26内には油が充填(例えば軸心Cと同じ高さ程度)されており、シール機能を備えた軸受66等によって油密に封止されている。これに従い、メインクラッチ50およびコントロールクラッチ52の摩擦板間(内周側摩擦板と外周側摩擦板との間)には、油が介在されている。したがって、電磁コイル64に電流が流れない状態であってもコンロールクラッチ52の摩擦板間に差回転が生じると、その摩擦板間に介在する油の粘性抵抗によって、上記差回転に比例した大きさのトルク(以下、引きずりトルク)が発生する。また、コントロールクラッチ52で発生した引きずりトルクによって、カム機構を介してメインカム54がメインクラッチ50を押圧する力を発生させるので、メインクラッチ50においてもさらに大きな引きずりトルクが発生する。ここで、例えば車両がスタックを起こし、四輪駆動状態で脱出を図ったが脱出できない場合、所定の条件(油温の上昇など)に基づいてインヒビット制御が実行され二輪駆動となる。このとき、カップリング内のクラッチ(摩擦板)の差回転が増大するに従って上記引きずりトルクが大きくなり、燃費が低下する可能性があった。また、例えば二輪接地状態(後輪接地状態など)で車両が牽引される場合において、カップリング内のクラッチ(摩擦板)の差回転が増大するに従って引きずりトルクが大きくなり、クラッチでの発熱量が増加し、カップリングの耐久性が低下する可能性があった。
そこで、本実施例の電子制御カップリング26では、メインクラッチ50およびコントロールクラッチ52の摩擦板間の差回転の大きさに比例してメインクラッチ50の係合を抑制する方向にメインカム54を押圧する推力を発生させるための油圧を生成する油圧機構99を設けることで、引きずりトルクの発生を抑制する。以下、上記引きずりトルクを抑制する油圧機構99について説明する。
前述したメインカム54を押圧する力は油圧によって発生させられ、その油圧は、電子制御カップリング26内に設けられているオイルポンプ100によって発生させられる。オイルポンプ100は、よく知られたトロコイド式のオイルポンプで構成され、フロントハウジング46の底部46aに形成されている比較的大径である円板状の収容穴102に収容されるように配設されている。
オイルポンプ100は、インナシャフト48の同軸心C状に配置され、その一端がインナシャフト48にスプライン嵌合されることでインナシャフト48と相対回転不能に連結されている円筒状のシャフト104と、シャフト104の他端側の外周面に相対回転不能に嵌め着けられているドライブロータ106と、フロントハウジング46の収容穴102の外周面に相対回転不能に嵌め着けられた状態でドライブロータ106と噛み合うドリブンロータ108と、収容穴102内に収容されているドライブロータ106およびドリブンロータ108を油密に密閉するポンプカバー110とを、含んで構成されている。なお、シャフト104が本発明の動力伝達軸に対応する。
ドライブロータ106は、その内周部がインナシャフト48と一体的に回転するシャフト104に圧入或いはキー等によって一体的に回転するように嵌め着けられており、インナシャフト48と共に同軸心C上を一体的に回転する。このドライブロータ106の外周側に形成されている外周歯が、ドリブンロータ108の内周側に形成されている内周歯と噛み合わされている。ドリブンロータ108は、その外周部がフロントハウジング46に形成されている収容穴102の内周端に圧入等によって相対回転不能に嵌め着けられており、フロントハウジング46と共に一体的に回転させられる。
ポンプカバー110は、周方向に複数個設けられているボルト112によって、フロントハウジング46に固定され、内周面がシャフト104に摺接させられている。また、ポンプカバー110には、オイルポンプ100へ油を供給するためのオイル吸入口114が形成されており、オイルポンプ100が駆動するに従って、電子制御カップリング26内(フロントハウジング46内)に充填されている油がオイル吸入口114からオイルポンプ100内へ吸入される。
そして、オイル吸入口114より吸入された油は、ドライブロータ106とドリブンロータ108との間に形成される隙間に入り、圧縮されつつオイル吐出油路116へ吐出される。吐出されたオイル吐出油路116の油は、シャフト104内に形成されている軸方向油路118(本発明の油路に対応)に供給される。
軸方向油路118は、軸方向の一端がオイル吐出油路116に連通されると共に、他端がインナシャフト48内に形成されて中心部より径方向に伸びる第1油路120に連通されている。本実施例では、第1油路120は対角上に2本形成され、その径方向の端部が、それぞれ軸心Cと並行に形成されている第2油路122の一端と連通されている。さらに、第2油路122の他端は、メインカム54とインナシャフト48の段付部とで囲まれることで、メインカム54と隣接して形成されている円還状の油室124と連通されている。ここで、メインカム54の内周面とインナシャフト48の外周面との間の摺接面には、オイルシール126が設けられ、メインカム54とインナシャフト48との間のスプライン嵌合部においても、その隙間が小さくなるように設計されることで、油室124からの油の漏れが抑制されるように設計されている。なお、第1油路120および第2油路122が、本発明の油路に対応する。
上記油室124に油圧が供給されると、その油圧によって、メインカム54に軸方向においてメインクラッチ50から離間させられる側へ押圧させられる方向の推力が付与される。これより、オイルポンプ100から吐出された油が、オイル吐出油路116、シャフト104の軸方向油路118、インナシャフト48の第1油路120および第2油路122を通って油室124に供給されると、メインカム54がメインクラッチ50から離間させる方向へ押圧される。また、ドライブロータ106とドリブンロータ108との差回転すなわちフロントハウジング46とインナシャフト48との差回転にしたがって(比例して)、オイルポンプ100の吐出油量が増加し、油室124への供給油量が増加することから、メインカム54に作用する押圧力が増加する。なお、本発明の油圧機構99は、オイルポンプ100、オイル吐出油路116、軸方向油路118、第1油路120、第2油路122、および油室124等を含んで構成される。
以下、上記のように構成される電子制御カップリング26の作動について説明する。例えば、前輪22が持ち上げられる一方、後輪30が地面に接地された状態で牽引される場合、前輪22側が回転停止させられると共に、後輪30側が回転させられる。このとき、前輪22側が回転停止することから、プロペラシャフト24およびそれに接続されているフロントハウジング46が回転停止させられる。一方、後輪30の回転に従って、後輪30に動力伝達可能に連結されてる減速装置27のドライブピニオン31およびそれにスプライン嵌合されているインナシャフト48が回転させられる。このとき、コントロールクラッチ52を構成するフロントハウジング46にスプライン嵌合された外周側摩擦板76およびコントロールカム58にスプライン嵌合された内周側摩擦板74において差回転が発生し、それらの間に介在する油の粘性抵抗による引きずりトルクが発生する。また、その引きずりトルクによってカム機構を介してメインカム54がメインクラッチ50を押圧することで、メインクラッチ50においても引きずりトルクが発生する。
これに対して、インナシャフト48と一体的に回転させられるドライブロータ106が回転させられるため、オイルポンプ100が駆動させられ、オイル吸入口114から吸入された油が、圧縮されてオイル吐出油路116から吐出され、軸方向油路118、第1油路120、および第2油路122を通って油室124へ供給される。この油室124に供給された油圧によって、メインカム54がコントロールカム58側すなわちメインクラッチ50と離間する方向に押圧される。これにより、メインカム54がメインクラッチ50を押圧する力が抑制されるに従い、メインクラッチ50において発生する引きずりトルクが低減されることとなる。また、メインクラッチ50で発生した引きずりトルクによる異音についても抑制される。
ここで、フロントハウジング46とインナシャフト48の差回転が大きくなると、上述したコントロールクラッチ52の内周側摩擦板74と外周側摩擦板76との間の差回転も大きくなり、結果として、コントロールクラッチ52の引きずりトルクおよびメインクラッチ50の引きずりトルクが増大するが、メインカム54をメインクラッチ50から離間する方向へ押圧する力(押圧力)も同様に、フロントハウジング46とインナシャフト48の差回転の大きさに比例して大きくなるので、メインクラッチ50において発生する引きずりトルクが好適に抑制されることとなる。一方、フロントハウジング46とインナシャフト48との差回転が小さくなると、油の粘性抵抗による引きずりトルクが小さくなると共に、オイルポンプ100の吐出流量も小さくなることから、メインカム54をメインクラッチ50から離間させる方向へ押圧する押圧力も同様に小さくなる。
また、例えば、車両が砂地等でスタックした場合において、4輪駆動状態で脱出を図ったものの脱出できない場合、油温の上昇等に基づいてインヒビット制御が実施され、前輪駆動状態に切り換えられる。このような場合では、前輪22のみ駆動させられ、後輪30は回転停止することから、フロントハウジング46とインナシャフト48との間の差回転が大きくなる従い、引きずりトルクが大きくなって燃費が低下する。これに対しても、オイルポンプ100のドライブロータ106とドリブンロータ108との間の差回転が大きくなり、オイルポンプ100から吐出される油量が増加することから、メインカム54をメインクラッチ50から離間させる方向に作用する押圧力が大きくなり、メインクラッチ50での引きずりトルクが低減される。
上述のように、本実施例によれば、フロントハウジング46とインナシャフト48との差回転にしたがって、メインカム54をメインクラッチ50から離間させる方向の推力を発生させるための油圧を生成する油圧機構99を備えるため、フロントハウジング46とインナシャフト48との相対トルクに基づいて発生する引きずりトルクに対して、その差回転にしたがってメインカム54をメインクラッチ50から離間させる方向の推力が発生するに従い、上記引きずりトルクが効果的に抑制される。上記より、引きずりトルク増加に伴う燃費悪化やメインクラッチ50での発熱量増大による耐久性低下を抑制することができる。
また、本実施例によれば、フロントハウジング46とインナシャフト48との差回転にしたがって吐出油量が大きくなるように設けられたオイルポンプ100の油圧が油室124に供給されるため、差回転が大きくなるに従って油室124に供給される油量が大きくなり、メインカム54をメインクラッチ50から離間させる方向へ作用する推力が大きくなる。したがって、差回転が大きくなるに従って大きくなる引きずりトルクに対して、その引きずりトルクに応じた推力がメインカム54に作用されることで、引きずりトルクが好適に抑制される。
また、本実施例によれば、オイルポンプ100は、トロコイド式のオイルポンプであり、そのオイルポンプ100のドリブンロータ108がフロントハウジング46に接続され、そのオイルポンプ100のドライブロータ106がインナシャフト48に接続されているため、フロントハウジング46とインナシャフト48との間に差回転が生じると、その差回転の大きさに比例した力でメインカム54を押圧することができる。また、オイルポンプ100が比較的シンプルに構成されることから、車両用カップリング26をコンパクトに形成することができる。
また、本実施例によれば、フロントハウジング46とインナシャフト48との差回転が生じると、コントロールクラッチ52において、油の粘性抵抗によって上記差回転に比例した引きずりトルクが発生する。そして、その引きずりトルクがカム機構を介してメインカム54に伝達され、メインカム54がメインクラッチ50を押圧することで、メインクラッチ50においても引きずりトルクが発生する。このメインクラッチ50で発生する引きずりトルクは、コントロールクラッチ52で発生する引きずりトルクすなわち上記差回転に比例して大きくなる。これに対して、上記差回転に比例して吐出圧が大きくなるオイルポンプ100の油圧がメインカム54に隣接して形成されている油室124に供給されて、メインカム54がメインクラッチ50から離間される方向に作用する推力が発生する。したがって、上記差回転に比例して大きくなるメインクラッチ50での引きずりトルクに対して、その引きずりトルクに比例した力でメインカム54がメインクラッチ50から離間される方向に押圧されることから、上記引きずりトルクが効果的に抑制されることとなる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、トロコイド式のオイルポンプ100が使用されているが、本発明は、トロコイド式に限定されず、例えばベーン式のオイルポンプなど他の形式オイルポンプを使用しても構わない。
また、前述の実施例では、電子制御カップリング26は、プロペラシャフト24と減速装置27との間に設けられているが、本発明は、上記配設位置に限定されず、例えば前輪への動力を伝達する動力伝達軸と前輪用差動歯車装置の間など、駆動部材と被駆動部材とを選択的に断続する部位であれば、適宜使用することができる。
また、前述の実施例では、前置エンジン前輪駆動(FF)を基本とする前後輪駆動車両に本発明が使用されているが、前置エンジン後輪駆動(FR)を基本とする前後輪駆動車両など、他の形式の車両においても使用することができる。
また、前述の実施例では、フロントハウジング46にドリブンロータ108が嵌め着けられ、インナシャフト48(シャフト104)にドライブロータ106が嵌め着けられているが、フロントハウジング46にドライブロータ106が嵌め着けられ、インナシャフト48にドリブンロータ108が嵌め着けられるように構成されても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
26:車両用電子制御カップリング(車両用カップリング)
46:フロントハウジング(駆動部材)
48:インナシャフト(被駆動部材)
50:メインクラッチ(湿式多板クラッチ)
52:コントロールクラッチ
54:メインカム(ピストン)
100:オイルポンプ
102:収容穴
104:シャフト(動力伝達軸)
106:ドライブロータ
108:ドリブンロータ
118:軸方向油路(油路)
120:第1油路(油路)
122:第2油路(油路)
124:油室

Claims (4)

  1. 駆動部材と被駆動部材とを選択的に断続するための湿式多板クラッチと、該湿式多板クラッチを軸方向に押圧して係合させるピストンとを備え、該駆動部材と被駆動部材との相対トルクに基づいて、該ピストンが該湿式多板クラッチを押圧する力を発生させる車両用カップリングであって、
    該湿式多板クラッチ開放時の前記駆動部材と被駆動部材との差回転にしたがって、前記ピストンを前記湿式多板クラッチから離間させる方向の推力を発生させるための油圧を生成する油圧機構を備えることを特徴とする車両用カップリング。
  2. 前記油圧は、前記駆動部材と被駆動部材との差回転にしたがってその吐出油量が大きくなるように設けられたオイルポンプによって発生させられるものであり、
    該油圧は、前記ピストンに隣接して形成されて、該ピストンに前記湿式多板クラッチから離間させる方向の推力を付与するための油室に供給されることを特徴とする請求項1の車両用カップリング。
  3. 前記オイルポンプは、トロコイド式のオイルポンプであり、
    該オイルポンプのドリブンロータが前記駆動部材に接続され、該オイルポンプのドライブロータが前記被駆動部材に接続されていることを特徴とする請求項2の車両用カップリング。
  4. 前記車両用カップリングは、電気的に制御されるコントロールクラッチのトルクがカム機構を介して軸方向に変換され且つ増幅されてメインクラッチを押圧する形式の電子制御カップリングであって、
    該メインクラッチが前記湿式多板クラッチであり、前記駆動部材が有底円筒状のフロントハウジングであり、前記被駆動部材が該フロントハウジングの内周側に同軸心上に嵌め入れられているインナシャフトであり、
    該フロントハウジングの内周面と該インナシャフトの外周面との間に、前記メインクラッチおよび該メインクラッチを押圧するための前記ピストンが軸方向に隣接して配設され、
    前記オイルポンプは、該フロントハウジングの底部に収容されるように配設されており、該オイルポンプの前記ドリブンロータは、該フロントハウジングの底部に形成されている収容穴に相対回転不能に嵌め着けられ、前記ドライブロータは、前記インナシャフトに連結されている動力伝達軸の外周面に相対回転不能に嵌め着けられており、
    該オイルポンプは、前記フロントハウジング内に充填されている油を吸入して吐出するものであり、該オイルポンプから吐出された油圧は、前記動力伝達軸内に形成されている油路および前記インナシャフト内に形成されている油路を通って前記油室に供給されることを特徴とする請求項2または3の車両用カップリング。
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