JP6354203B2 - 4輪駆動車のトランスファ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動力の回転方向を変えるギア機構と、駆動源からギア機構への動力伝達を断接するクラッチ機構を一つのトランスファケースに収納した4輪駆動車のトランスファ装置に関するものである。
従来、4輪駆動車に搭載され、前後輪の差動を許容する差動装置の差動機能を許容〜制限する差動制御クラッチを含む部分を、その他の一般潤滑部を潤滑するギアオイルとは別品質の変速機用オイルによって潤滑可能にした4輪駆動車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平1-202530号公報
ところで、従来の4輪駆動車では、差動制御クラッチを含む部分と、他の一般潤滑部とでオイル品質を別種としているが、変速機用オイルで潤滑する差動制御クラッチを含む部分と、ギアオイルで潤滑する他の一般潤滑部は、異なるケースに収納されていた。
これに対し、例えば、駆動源からの駆動力の回転方向を変えるギア機構と、駆動源からギア機構への駆動力伝達を断接するクラッチ機構を同一ケース内に隣接配置して収納する場合では、このギア機構とクラッチ機構を同じオイルで潤滑することが一般的である。しかも、このようなギア機構とクラッチ機構を同一オイルで潤滑する際、双方の粘度要求を満たすために比較的高粘度の潤滑オイルを用いることが考えられる。
すなわち、ギア機構は常時噛合っているために比較的高い極圧性や耐摩耗性が要求されるので潤滑オイルの粘度要求が高くなっている。一方、クラッチ機構は、解放時には潤滑オイルの極圧性や耐摩耗性が不要になるため潤滑オイルの粘度要求が低くなっている。しかし、このようなギア機構とクラッチ機構の潤滑を同一オイルで行うには、高い粘度の潤滑オイルを用いなければ、ギア機構における粘度要求に応えることができなくなってしまう。そのため、比較的高粘度の潤滑オイルを用いる必要がある。
しかしながら、この場合では、潤滑オイルの粘度要求が低いクラッチ機構でのオイル撹拌フリクションが大きくなり、燃費が悪化するという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたものであり、同一のトランスファケースにギア機構とクラッチ機構を収納する際、撹拌フリクションを低減して燃費悪化を抑制することができる4輪駆動車のトランスファ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の4輪駆動車のトランスファ装置は、左右前輪と左右後輪のうち、一方を駆動源に接続される主駆動輪とし、他方を前記駆動源にクラッチを介して接続される副駆動輪とする4輪駆動車に搭載され、ギア機構と、クラッチ機構と、トランスファケースと、を備えている。
前記ギア機構は、前記主駆動輪から前記副駆動輪への駆動分岐位置に設けられ、前記駆動源からの駆動力の回転方向を変える。また、このギア機構は、左右輪の作動を許容するデファレンシャルのデフケースに連結したシャフト部材が挿入貫通されるシャフト部、及び、前記シャフト部に取り付けられたギア部を有するリングギアと、前記リングギアに噛み合うと共に、前記主駆動輪と前記副駆動輪の間に配設されたプロペラシャフトに連結されたピニオンギアと、を有している。
前記クラッチ機構は、前記駆動源から前記ギア機構への駆動力伝達を断接する。また、このクラッチ機構は、前記デフケースに連結したシャフト部材に連結された入力側部材と、前記シャフト部に連結されると共に前記入力側部材に対して締結解放される出力側部材と、を有している。
前記トランスファケースは、前記ギア機構と前記クラッチ機構を隣接して収納すると共に、前記ギア機構を収納するギア室と、前記クラッチ機構を収納するクラッチ室と、前記ギア室と前記クラッチ室を分割するオイルシールと、を有している。
また、前記オイルシールは、前記シャフト部と前記トランスファケースとの間に配置されると共に、前記ギア機構を挟む位置に設けられた第1オイルシールと第2オイルシールとを有し、前記第1オイルシール及び前記第2オイルシールが接触する前記シャフト部は、単一部品によって形成されている。
そして、前記ギア室には、第1潤滑オイルを封入する。また、前記クラッチ室には、前記第1潤滑オイルよりも低粘度の第2潤滑オイルを封入する。
よって、本発明の4輪駆動車のトランスファ装置では、トランスファケースが有するギア室とクラッチ室がオイルシールで分割され、一方のギア室にギア機構を収納すると共に、第1潤滑オイルを封入する。また、他方のクラッチ室にクラッチ機構を収納すると共に、第1潤滑オイルよりも低粘度の第2潤滑オイルを封入する。
これにより、潤滑オイルの粘度要求が比較的低いクラッチ機構は、低粘度の潤滑オイルによって潤滑される。そのため、クラッチ機構によって潤滑オイルを撹拌する際の撹拌抵抗が下がり、撹拌フリクションの低減を図ることができる。そして、撹拌フリクションが低減することで燃費悪化を抑制することができる。
実施例1のトランスファ装置を適用した前輪駆動ベースの4輪駆動車の駆動系構成を示す駆動系構成図である。 実施例1のトランスファ装置を適用した前輪駆動ベースの4輪駆動車の制御系構成を示す制御系構成図である。 実施例1の「オートモード」選択時の車速とアクセル開度に応じた駆動モード切り替えマップを示す基本マップ図である。 実施例1の「オートモード」選択時の駆動モード(ディスコネクト2輪駆動モード・スタンバイ2輪駆動モード・コネクト4輪駆動モード)の切り替え遷移を示す駆動モード遷移図である。 実施例1のトランスファ装置を示す断面図である。
以下、本発明の4輪駆動車のトランスファ装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、実施例1の4輪駆動車のトランスファ装置における構成を、「4輪駆動車の駆動系構成」、「4輪駆動車の制御系構成」、「駆動モード切り替え構成」、「トランスファ装置の詳細構成」に分けて説明する。
[4輪駆動車の駆動系構成]
図1は、実施例1のトランスファ装置が適用された前輪駆動ベースの4輪駆動車の駆動系構成を示す。以下、図1に基づき、実施例1の4輪駆動車の駆動系構成を説明する。
前記4輪駆動車の前輪駆動系は、図1に示すように、横置きのエンジン1(駆動源)と、変速機2と、フロントデファレンシャル3と、左前輪ドライブシャフト4と、右前輪ドライブシャフト5と、左前輪6(主駆動輪)と、右前輪7(主駆動輪)と、を備えている。
すなわち、エンジン1及び変速機2を経過した駆動力は、フロントデファレンシャル3を介して左右前輪ドライブシャフト4,5に伝達され、差動を許容しながら主駆動輪である左右前輪6,7を常時駆動する。
前記4輪駆動車の後輪駆動系は、図1に示すように、トランスファ装置TRと、後輪出力軸11と、プロペラシャフト12と、ドライブピニオン13と、後輪側リングギア14と、リアデファレンシャル15と、電制カップリング16と、左後輪ドライブシャフト17と、右後輪ドライブシャフト18と、左後輪19(副駆動輪)と、右後輪20(副駆動輪)と、を備えている。なお、図1中、21は自在継手である。
すなわち、エンジン1及び変速機2を経過した駆動力は、トランスファ装置TR内のドグクラッチ8と、その下流に設けた電制カップリング16の締結/解放によって、左右前輪6,7と左右後輪19,20に分配される。なお、「下流」とは、エンジン1から左右後輪19,20への駆動力伝達系において、ドグクラッチ8と左右後輪19,20との間の位置である。
ここでは、前記4輪駆動車の後輪駆動系を、ドグクラッチ8と電制カップリング16を共に解放することで、副駆動輪である左右後輪19,20をエンジン1から切り離した2輪駆動走行(=ディスコネクト2輪駆動モード)と、ドグクラッチ8と電制カップリング16を共に締結することで、副駆動輪である左右後輪19,20をエンジン1に接続した4輪駆動走行(=コネクト4輪駆動モード)と、を選択することが可能な駆動系構成としている。なお、ドグクラッチ8を解放することにより、ドグクラッチ8より下流側の駆動系回転(プロペラシャフト12等の回転)を停止することができ、フリクション損失やオイル撹拌損失などが抑えられ、燃費向上が達成される。
前記トランスファ装置TRは、左右前輪6,7から左右後輪19,20への駆動分岐位置に設けられ、ドグクラッチ8のクラッチ解放により左右後輪19,20への駆動力伝達系を、左右前輪6,7への駆動力伝達系から切り離す。
このドグクラッチ8は、一対の噛み合い部材(図1では不図示)を有する噛み合いクラッチであり、例えば、一方の噛み合い部材を固定部材とし他方の噛み合い部材を可動部材とし、固定部材と可動部材との間に締結方向に付勢するバネ(不図示)を設け、可動部材の外周にソレノイドピン(不図示)と嵌合可能なネジ溝(不図示)が形成されたものを用いる。このドグクラッチ8は、ネジ溝に対しソレノイドピンを突出させて嵌合すると、可動部材が回転しながら解放方向にストロークし、ストローク量が所定量を超えることで、噛み合い締結を解放する。一方、ネジ溝に対するソレノイドピンの嵌合を解除すると、バネ付勢力により固定部材に向かって可動部材が締結方向にストロークし、両者の歯部が噛み合って締結する。
前記電制カップリング16は、ドグクラッチ8よりも下流位置に設けられ、クラッチ締結容量に応じてエンジン1からの駆動力の一部を左右後輪19,20へ配分する摩擦クラッチである。電制カップリング16の入力側クラッチプレート(不図示)は、クラッチ入力軸(不図示)を介してリアデファレンシャル15の左サイドギアに連結されている。また電制カップリング16の出力側クラッチプレート(不図示)は、クラッチ出力軸(不図示)を介して左後輪ドライブシャフト17に連結されている。さらに、この電制カップリング16は、リアデファレンシャル15を収納したリアデフハウジング24の隣接位置に固定されたカップリングケース25に収納されている。
この電制カップリング16としては、例えば、入力側クラッチプレートと出力側クラッチプレートを交互に複数配置した多板摩擦クラッチと、対向するカム面を有する固定カムピストン(不図示)及び可動カムピストン(不図示)と、対向するカム面間に介装されたカム部材(不図示)と、を有するものを用いる。電制カップリング16の締結は、電動モータ(不図示)が可動カムピストンを回転させることで生じるピストン間隔を拡大するカム作用により、可動カムピストンが回転角に応じてクラッチ締結方向にストロークし、多板摩擦クラッチの摩擦締結力を増すことで行う。電制カップリング16の解放は、電動モータが可動カムピストンを締結方向とは逆方向に回転させることで生じるピストン間隔を縮小するカム作用により、可動カムピストンが回転角に応じてクラッチ解放方向にストロークし、多板摩擦クラッチの摩擦締結力を減じることで行う。
[4輪駆動車の制御系構成]
図2は、実施例1のトランスファ装置が適用された前輪駆動ベースの4輪駆動車の制御系構成を示す。以下、図2に基づき、実施例1の4輪駆動車の制御系構成を説明する。
前記4輪駆動車の制御系は、図2に示すように、エンジンコントロールモジュール31(図2では「ECM」と示す)と、変速機コントロールモジュール32(図2では「TCM」と示す)と、ABSアクチュエータコントロールユニット33(図2では「ABSアクチュエータC/U」と示す)と、4WDコントロールユニット34(図2では「4WCC/U」と示す)と、を備えている。
前記エンジンコントロールモジュール31は、エンジン1の制御ディバイスであり、エンジン回転数センサ35やアクセル開度センサ36等からの検出信号を入力する。このエンジンコントロールモジュール31からは、CAN通信線37を介して4WDコントロールユニット34に対し、エンジン回転数情報やアクセル開度情報(ACC情報)が入力される。
前記変速機コントロールモジュール32は、変速機2の制御ディバイスであり、変速機入力回転数センサ38や変速機出力回転数センサ39等からの検出信号を入力する。この変速機コントロールモジュール32からは、CAN通信線37を介して4WDコントロールユニット34に対し、ギアレシオ情報(ギア比情報)が入力される。
前記ABSアクチュエータコントロールユニット33は、各輪のブレーキ液圧を制御するABSアクチュエータ(不図示)の制御ディバイスであり、ヨーレートセンサ40や横Gセンサ41や前後Gセンサ42や車輪速センサ43,44,45,46等からの検出信号を入力する。このABSアクチュエータコントロールユニット33からは、CAN通信線37を介して4WDコントロールユニット34に対し、ヨーレート情報や横G情報や前後G情報や各輪の車輪速情報が入力される。なお、上記情報以外に、ステアリング舵角センサ47から舵角情報が、CAN通信線37を介して4WDコントロールユニット34に対し入力される。
前記4WDコントロールユニット34は、ドグクラッチ8と電制カップリング16の締結/解放を制御する制御ディバイスであり、各種入力情報に基づいて演算処理を行う。
そして、この4WDコントロールユニット34は、ドグクラッチアクチュエータ48(ソレノイドピン)と電制カップリングアクチュエータ49(電動モータ)に駆動制御指令を出力する。ここで、CAN通信線37以外からの入力情報源として、駆動モード選択スイッチ50、ブレーキ操作の有無を検出するブレーキスイッチ51、リングギア回転数センサ52、ドグクラッチストロークセンサ53、モータ回転角度センサ54等を有する。
前記駆動モード選択スイッチ50は、「2WDモード」と「ロックモード」と「オートモード」をドライバーが切り替え選択するスイッチである。「2WDモード」が選択されると、ドグクラッチ8と電制カップリング16を解放した前輪駆動の2WD状態(2輪駆動走行)が維持される。「ロックモード」が選択されると、ドグクラッチ8と電制カップリング16を締結した完全4WD状態(4輪駆動走行)が維持される。さらに、「オートモード」が選択されると、車両状態(車速、アクセル開度)に応じてドグクラッチ8と電制カップリング16の締結/解放が自動制御され、駆動モードが自動的に切り替えられる。
ここで、「オートモード」には、燃費向上を重視する際に選択する「エコオートモード」と、4輪駆動性能を重視する際に選択する「スポーツオートモード」の選択肢があり、ドグクラッチ8を締結し、電制カップリング16を解放するスタンバイ2輪駆動モードにおける電制カップリング16の状態が選択モードにより異なる。
つまり、「エコオートモード」の選択時には、スタンバイ2輪駆動モード中、電制カップリング16を完全解放状態にして待機する。これに対し、「スポーツオートモード」の選択時には、スタンバイ2輪駆動モード中、電制カップリング16を締結直前の解放状態にして待機する。なお、この「エコオートモード」と「スポーツオートモード」は、ドライバーによって任意に選択される。
そして、「完全解放状態」とは、電制カップリング16の入力側クラッチプレートと出力側クラッチプレートを離間させ、可動カムピストンをクラッチ締結側にストロークさせた直後では両プレートが全く接触せず、クラッチ締結容量が発生しない状態である。また、「締結直前の解放状態」とは、クラッチ締結容量はゼロであるものの、入力側クラッチプレートと出力側クラッチプレートはごく僅かに接触しており、可動カムピストンを少しでもクラッチ締結側にストロークさせると直ちにクラッチ締結容量が発生する状態である。
前記リングギア回転数センサ52は、ドグクラッチ8の出力回転数情報を取得するためのセンサであり、リングギア回転数検出値に、リア側ギア比とフロント側ギア比を演算に考慮することで、ドグクラッチ8の出力回転数を演算する。なお、ドグクラッチ8の入力回転数情報は、エンジン回転数とギアレシオとファイナルギア比を用いた演算により取得する。
[駆動モード切り替え構成]
図3は、実施例1の「オートモード」選択時の車速とアクセル開度に応じた駆動モード切り替えマップを示し、図4は、駆動モード(ディスコネクト2輪駆動モード・スタンバイ2輪駆動モード・コネクト4輪駆動モード)の切り替え遷移を示す。以下、図3及び図4に基づき、駆動モード切り替え構成を説明する。
実施例1において、「オートモード」が選択されたときの駆動モードは、ディスコネクト2輪駆動モード(Disconnect)と、スタンバイ2輪駆動モード(Stand-by)と、コネクト4輪駆動モード(Connect)と、を有している。そして、この3つの駆動モードは、車速(VSP)と、ドライバーの要求駆動力を表すアクセル開度(ACC)と、図3に示す駆動モード切替マップに基づき、4WDコントロールユニット34によって相互に切り替えられる。
前記駆動モード切り替えマップは、図3に示すように、車速とアクセル開度に応じて、ディスコネクト2輪駆動モード(図3において「差回転制御領域(Disconnect)」と示す)と、スタンバイ2輪駆動モード(図3において「差回転制御領域(Stand-by)」と示す)と、コネクト4輪駆動モード(図3において「駆動力配分領域(Connect)」と示す)と、を分けた設定としている。
この3つの駆動モードは、アクセル開度ゼロで設定車速VSP0の基点aから車速の上昇に比例してアクセル開度が上昇する領域区分線Aと、領域区分線Aとの交点bから高車速側に引いた一定アクセル開度ACC0の領域区分線Bと、により分けている。
前記ディスコネクト2輪駆動モード(差回転制御領域(Disconnect))は、アクセル開度が設定開度ACC0以下であって、アクセル開度がゼロの車速軸線と領域区分線Aと領域区分線Bにより囲まれる領域に設定している。すなわち、高車速域であってもアクセル開度が設定開度ACC0以下(ドライバーの要求駆動力が低い)であるため、駆動スリップによる左右前輪6,7と左右後輪19,20の差回転発生頻度が極めて小さいと共に、駆動スリップが発生してもスリップが緩増する4輪駆動性能の要求が低い領域に設定している。
前記スタンバイ2輪駆動モード(差回転制御領域(Stand-by))は、アクセル開度が設定開度ACC0を超えていて、領域区分線Aと領域区分線Bにより囲まれる領域に設定している。つまり、高車速域であって、アクセル開度が設定開度ACC0を超えている(ドライバーの要求駆動力が高い)ため、4輪駆動性能の要求が低いものの、駆動スリップにより左右前輪6,7と左右後輪19,20の差回転が発生すると、スリップが急増する可能性が高い領域に設定している。
前記コネクト4輪駆動モード(駆動力配分領域(Connect))は、車速がゼロのアクセル開度軸線と、アクセル開度がゼロの車速軸線と、領域区分線Aと、により囲まれる領域に設定している。つまり、発進時や車速が低い(低車速域)もののアクセル開度が高い高負荷走行等のように、4輪駆動性能の要求が高い領域に設定している。
前記ディスコネクト2輪駆動モードが選択されると、図4の枠線C内に示すように、ドグクラッチ8と電制カップリング16が共に解放された「2WD走行(Disconnect)」になる。このディスコネクト2輪駆動モードでは、基本的に左右前輪6,7にのみ駆動力を伝達しての前輪駆動の2輪駆動走行(以下「2WD走行」という)が維持される。しかし、前輪駆動の2WD走行中に左右前輪6,7に駆動スリップが発生し、駆動スリップ量(又は駆動スリップ率)が閾値を超えると、電制カップリング16を摩擦締結する。その後、回転同期状態が判定されるとドグクラッチ8を噛み合い締結して、4輪駆動走行(以下、「4WD走行」という)にする。これにより、左右後輪19,20にも駆動力を配分して駆動スリップを抑える差回転制御が行われる。
前記スタンバイ2輪駆動モードが選択されると、図4の枠線D内に示すように、ドグクラッチ8を締結し、電制カップリング16を解放する「2WD走行(Stand-by)」になる。このスタンバイ2輪駆動モードでは、ドグクラッチ8を噛み合い締結しているものの基本的に左右前輪6,7にのみ駆動力を伝達しての前輪駆動の2WD走行が維持される。しかし、前輪駆動の2WD走行中に左右前輪6,7に駆動スリップが発生し、駆動スリップ量(又は駆動スリップ率)が閾値を超えると、予めドグクラッチ8が噛み合い締結されているため、電制カップリング16の摩擦締結のみを行う。この電制カップリング16の摩擦締結により、応答良く左右後輪19,20に駆動力を配分することで、駆動スリップを抑える差回転制御が行われる。
前記コネクト4輪駆動モードが選択されると、図4の枠線E内に示すように、ドグクラッチ8と電制カップリング16が共に締結された「4WD走行(Connect)」になる。このコネクト4輪駆動モードでは、基本的に左右前輪6,7と左右後輪19,20に対して路面状況に合わせた最適の駆動力配分(例えば、発進時の前後輪等配分制御)とする駆動力配分制御が行われる。但し、駆動力配分制御中に、ステアリング舵角センサ47やヨーレートセンサ40や横Gセンサ41や前後Gセンサ42からの情報により、車両の旋回状態が判断されると、電制カップリング16の締結容量を低下させてタイトコーナーブレーキング現象を抑える制御が行われる。
前記ディスコネクト2輪駆動モード(2WD走行(Disconnect))と、スタンバイ2輪駆動モード(2WD走行(Stand-by))と、コネクト4輪駆動モード(4WD走行(Connect))の切り替え遷移は、車速とアクセル開度により決まる動作点が、図3に示す領域区分線Aや領域区分線Bを横切るときに出力される切り替え要求により行われる。各駆動モードの切り替え遷移速度については、4WD要求に応える駆動モードへの遷移速度を、燃費要求に応えるディスコネクト2輪駆動モードへの遷移速度に対して優先するように決めている。
すなわち、2WD走行(Disconnect)→2WD走行(Stand-by)の切り替え遷移速度(図4の矢印F)に対し、2WD走行(Stand-by)→2WD走行(Disconnect)の切り替え遷移速度(図4の矢印G)を遅くしている。同様に、2WD走行(Disconnect)→4WD走行(Connect)の切り替え遷移速度(図4の矢印H)に対し、4WD走行(Connect)→2WD走行(Disconnect)の切り替え遷移速度(図4の矢印I)を遅くしている。一方、2WD走行(Stand-by)→4WD走行(Connect)の切り替え遷移速度(図4の矢印J)と、4WD走行(Connect)→2WD走行(Stand-by)の切り替え遷移速度(図4の矢印K)は、同じ速い速度にしている。
また、「遷移速度」とは、切り替え要求が発生してから遷移完了までの時間である。ここでは、この遷移速度が遅い場合(矢印G、矢印I)には、切り替え要求出力後所定時間が経過してからモード遷移制御を開始する。また、遷移速度が速い場合(矢印F、矢印H、矢印J、矢印K)には、切り替え要求出力後直ちにモード遷移制御を開始する。
[トランスファ装置の詳細構成]
図5は、実施例1のトランスファ装置を示す断面図である。以下、図5に基づき、実施例1のトランスファ装置の詳細構成を説明する。
前記トランスファ装置TRは、エンジン1の出力(駆動力)を、左右前輪6,7と左右後輪19,20に分配するための動力分配機構であり、図5に示すように、ドグクラッチ8(クラッチ機構)と、ギア機構Gと、トランスファケース23と、を備えている。
前記ドグクラッチ8は、入力側噛み合い部材8aがフロントデファレンシャル3のデフケース3aに連結され、出力側噛み合い部材8bがギア機構Gの前輪側リングギア9に連結されている。すなわち、このドグクラッチ8は、エンジン1の駆動力が伝達されるデフケース3aと、ギア機構Gの前輪側リングギア9の間に設けられ、クラッチ解放によりギア機構Gをエンジン1から切り離す。
ここで、デフケース3aは、トランスファケース23内に挿入される中空のシャフト部材3bを有しており、このシャフト部材3bにドグクラッチ8の入力側噛み合い部材8aが連結される。なお、シャフト部材3bは、第1ボールベアリングB1を介して、トランスファケース23に回転可能に支持されている。また、シャフト部材3bとトランスファケース23の間には、第1シールベアリングS1、第2シールベアリングS2、第3シールベアリングS3が介装され、後述する第2潤滑オイルOIL2の漏れを防止している。
さらに、シャフト部材3bの内部には右前輪ドライブシャフト5が挿入貫通される。この右前輪ドライブシャフト5は、第2ボールベアリングB2を介してトランスファケース23に回転可能に支持されている。なお、シャフト部材3bを貫通した右前輪ドライブシャフト5の一端には、フロントデファレンシャル3のサイドギア(不図示)が連結される。
前記ギア機構Gは、前輪側リングギア9(リングギア)と、出力ピニオン10(ピニオンギア)と、から構成されている。
前記前輪側リングギア9は、図5に示すように、シャフト部材3bが挿入貫通されるシャフト部9aと、このシャフト部9aの外周面に取り付けられるギア部9bと、を有している。
前記シャフト部9aは、両端が開放した中空円筒体であり、このシャフト部9aにドグクラッチ8の出力側噛み合い部材8bが連結されている。そして、シャフト部9aは、シャフト部材3bとの間にころ軸受Kが介装されて回転可能に支持されている。さらに、このシャフト部9aは、第1円錐ころ軸受CB1と第2円錐ころ軸受CB2を介してトランスファケース23に回転可能に支持されている。
ここで、第1,第2円錐ころ軸受CB1,CB2は、フランジ部9cに固定されたギア部9bを挟んで、大径側が互いに対向するように配置されている。そして、この第1,第2円錐ころ軸受CB1,CB2の小径側には、それぞれ第1,第2オイルシールOS1,OS2が設けられ、シャフト部9aとトランスファケース23の間を水密に保持している。
前記ギア部9bは、噛合面9eが傾斜したベベルギア形状を呈したリング部材であり、ネジNによってシャフト部9aに形成されたフランジ部9cに固定されている。このギア部9bの噛合面9eには、出力ピニオン10が噛合する。
前記出力ピニオン10は、噛合面10aが傾斜したベベルギア形状を呈した歯車部材であり、後輪出力軸11を介してプロペラシャフト12の同軸上に連結している。また、出力ピニオン10とトランスファケース23の間には、ボールベアリングから構成されるピニオンベアリング10bが介装されている。また、後輪出力軸11とトランスファケース23の間には、第4シールベアリングS4が介装され、後述する第1潤滑オイルOIL1の漏れを防止している。
さらに、この出力ピニオン10と前輪側リングギア9には、軸方向がオフセットし、噛合面9eと噛合面10aがねじれた状態で噛み合うハイポイドギア構造を備えている。
前記トランスファケース23は、図5に示すように、右前輪ドライブシャフト5が貫通し、シャフト部材3b及び後輪出力軸11が差し込まれる筐体であり、フロントデファレンシャル3を収納するフロントデフハウジング22の隣接位置に固定されている。このトランスファケース23には、ギア機構Gとドグクラッチ8が収納されている。
そして、このトランスファケース23の内部には、ギア室60と、クラッチ室61と、軸端空間62と、が形成されている。ここで、ギア室60とクラッチ室61とは、第1オイルシールOS1により分割されている。また、ギア室60と軸端空間62とは、第2オイルシールOS2により分割されている。なお、クラッチ室61と軸端空間62とは、デフケース3aのシャフト部材3bと前輪側リングギア9のシャフト部9aの隙間を介して連通している。
前記ギア室60は、ギア機構Gである前輪側リングギア9のギア部9b及び出力ピニオン10を配置する空間であり、第1オイルシールOS1と第2オイルシールOS2と第4シールベアリングS4によって区画されている。そして、このギア室60には、ハイポイドギアオイルからなる比較的粘度が高い第1潤滑オイルOIL1が封入されている。この第1潤滑オイルOIL1は、前輪側リングギア9の回転によってかき上げられ、ギア部9bと出力ピニオン10の噛み合い面、第1,第2円錐ころ軸受CB1,CB2、ピニオンベアリング10bをそれぞれ潤滑する。
前記クラッチ室61は、ドグクラッチ8を配置する空間であり、第1オイルシールOS1と第3シールベアリングS3によって区画されている。そして、このクラッチ室61には、一般的なギアオイル等からなり、第1潤滑オイルOIl1よりも粘度が低い第2潤滑オイルOIL2が封入されている。この第2潤滑オイルOIL2は、ドグクラッチ8の回転によってかき上げられ、ドグクラッチ8の噛み合い面、第1ボールベアリングB1、ころ軸受Kをそれぞれ潤滑する。
前記軸端空間62は、第2シールベアリングS2と第2オイルシールOS2によって区画された空間であり、ころ軸受Kを潤滑した第2潤滑オイルOIL2が流れ込む。
次に、実施例1の4輪駆動車のトランスファ装置における作用を、「コネクト4輪駆動モード又はスタンバイ2輪駆動モード時潤滑作用」、「ディスコネクト2輪駆動モード時潤滑作用」、「撹拌フリクション低減作用」に分けて説明する。
[コネクト4輪駆動モード又はスタンバイ2輪駆動モード時潤滑作用]
実施例1の4輪駆動車が走行すると、フロントデファレンシャル3のデフケース3aが回転し、このデフケース3aのシャフト部材3bに連結されたドグクラッチ8の入力側噛み合い部材8aがデフケース3aと共に回転する。
ここで、コネクト4輪駆動モード又はスタンバイ2輪駆動モードのときには、ドグクラッチ8は締結され、このドグクラッチ8を介してフロントデファレンシャル3のデフケース3aと前輪側リングギア9が連結される。これにより、デフケース3aの回転が前輪側リングギア9に伝達され、前輪側リングギア9のシャフト部9a及びギア部9bが、ドグクラッチ8の出力側噛み合い部材8bと一体に回転する。
これにより、ギア室60では、シャフト部9aに固定されたギア部9bが回転し、このギア部9bによって第1潤滑オイルOIL1がかき上げられ、ギア部9bと出力ピニオン10の噛み合い面や、第1,第2円錐ころ軸受CB1,CB2の潤滑を行う。
また、クラッチ室61では、ドグクラッチ8の入力側噛み合い部材8aと出力側噛み合い部材8bが一体になって第2潤滑オイルOIL2をかき上げ、第1ボールベアリングB1の潤滑を行う。また、第2潤滑オイルOIL2の一部は、シャフト部材3bとシャフト部9aの間に入り込み、ころ軸受Kを潤滑する。
[ディスコネクト2輪駆動モード時潤滑作用]
一方、ドグクラッチ8と電制カップリング16を共に解放したディスコネクト2輪駆動モードのときには、ドグクラッチ8が解放されるため、このドグクラッチ8の出力側噛み合い部材8bは回転しない。つまり、デフケース3aの回転が前輪側リングギア9に伝達されないため、前側駆動系の回転によってギア機構Gが回転することはない。また、電制カップリング16の解放によって、左後輪19の回転がリアデファレンシャル15に伝達されないため、リアデファレンシャル15から上流側の部材(後輪側リングギア14、ドライブピニオン13、プロペラシャフト12、後輪出力軸11)の回転は停止する。つまり、左後輪19の回転によってギア機構Gが回転することはない。
このように、ギア機構Gが回転しないので、ギア室60内の第1潤滑オイルOIL1はかき上げられず、安定状態を維持する。
一方、ドグクラッチ8の入力側噛み合い部材8aは、デフケース3aのシャフト部材3bと共に回転する。このため、この入力側噛み合い部材8aの回転によってクラッチ室61内の第2潤滑オイルOIL2はかき上げられる。
このように、ディスコネクト2輪駆動モード時には、前輪側リングギア9が回転しないことで、ギア室60内の第1潤滑オイルOIL1は安定状態を維持する。また、ドグクラッチ8の入力側噛み合い部材8aだけが回転し、クラッチ室61内の第2潤滑オイルOIL2はかき上げられ、ドグクラッチ8の噛み合い面や第1ボールベアリングB1の潤滑が行われる。
[撹拌フリクション低減作用]
実施例1の4輪駆動車では、上述のように駆動モードに応じてドグクラッチ8が締結又は解放される。そのため、このドグクラッチ8を潤滑する第2潤滑オイルOIL2には、高い極圧性や耐摩耗性が要求されることはなく、第2潤滑オイルOIL2に対する粘度要求は比較的低くなっている。
また、エンジン1の駆動力が伝達されるフロントデファレンシャル3のデフケース3aは、駆動モードに拘らず常時回転する。すなわち、デフケース3aのシャフト部材3bに連結されたドグクラッチ8の入力側噛み合い部材8aは、駆動モードに拘らず常時回転することとなる。このため、クラッチ室61内の第2潤滑オイルOIL2は、いずれも駆動モードであっても常時撹拌され、撹拌フリクションが発生する。
一方、ギア機構Gである前輪側リングギア9のギア部9bと、出力ピニオン10は常時噛み合っており、このギア機構Gを潤滑する第1潤滑オイルOIL1には、高い極圧性や耐摩耗性が要求される。このため、この第1潤滑オイルOIL1に対する粘度要求は比較的高くなっている。
また、ギア室60内の第1潤滑オイルOIL1は、ディスコネクト2輪駆動モード時には、ギア機構Gが回転しないことで安定状態を維持する。つまり、この第1潤滑オイルOIL1は、コネクト4輪駆動モード又はスタンバイ2輪駆動モードのときには、ギア機構Gの前輪側リングギア9によって撹拌されるが、ディスコネクト2輪駆動モードのときには撹拌されず、撹拌フリクションも発生しない。
これに対し、実施例1のトランスファ装置TRでは、トランスファケース23内が第1,第2オイルシールOS1,OS2によってギア室60とクラッチ室61に分割され、クラッチ室61に封入された第2潤滑オイルOIL2が第1潤滑オイルOIL1よりも低粘度となっている。
つまり、トランスファケース23内を、第1,第2オイルシールOS1,OS2によってギア室60とクラッチ室61に分割したことで、異種の潤滑オイル(第1,第2潤滑オイルOIL1,OIL2)をトランスファケース23に封入することができる。
そして、オイル粘度要求が高い上、ディスコネクト2輪駆動モードのときには撹拌されないギア室60には、比較的高粘度の第1潤滑オイルOIL1が封入される。また、駆動モードに拘らずドグクラッチ8の入力側噛み合い部材8aによって常時撹拌され、撹拌フリクションが常に発生するクラッチ室61には、比較的低粘度の第2潤滑オイルOIL2が封入される。
これにより、同一のトランスファケース23にギア機構Gとドグクラッチ8を隣接して収納する際、ドグクラッチ8でのオイル撹拌フリクションを低減し、燃費の悪化を抑制することができる。また、オイル粘度が高い場合では、ドグクラッチ8を締結する際の応答性が低下するという問題がある。しかし、ドグクラッチ8を潤滑する第2潤滑オイルOIL2のオイル粘度を低くすることにより、ドグクラッチ8の締結応答性の向上を図ることができる。
さらに、ギア機構Gを潤滑する第1潤滑オイルOIL1は、比較的粘度が高くなっているので、ギア機構Gの潤滑に必要な粘度要求に応えることができ、ギア機構Gを円滑に潤滑することができる。なお、このギア機構Gでは、ディスコネクト2輪駆動モードでは撹拌フリクションが発生しないので、第1潤滑オイルOIL1が比較的高粘度であっても、オイル撹拌フリクションが増加することはなく、燃費が悪化することはない。
そして、この実施例1では、ギア機構Gが前輪側リングギア9と、出力ピニオン10とを有すると共に、この前輪側リングギア9及び出力ピニオンにハイポイドギア構造を備えている。そのため、トランスファ装置TRのコンパクト化を図り、たとえば同様のウォームギアを用いた場合と比べて、駆動力伝達効率を向上すると共に、騒音や振動を低減することができる。
なお、このギア機構Gを円滑に潤滑するためには、第1潤滑オイルOIL1を非常に高粘度なハイポイドオイルにすることが必要となる。しかし、ギア室60とクラッチ室61を分割し、別種の潤滑オイルを用いてギア機構Gとドグクラッチ8をそれぞれ潤滑することができるので、第1潤滑オイルOIL1の粘度を高くしても、ドグクラッチ8における撹拌フリクションの増加は発生せず、燃費悪化を抑制することができる。
さらに、この実施例1では、クラッチ室61に収納され、第2潤滑オイルOIL2によって潤滑されるクラッチ機構を、入力側噛み合い部材8aと出力側噛み合い部材8bが噛み合うことで締結する噛み合いクラッチであるドグクラッチ8としている。
そのため、このトランスファ装置TRにおける駆動力伝達効率を、例えば摩擦クラッチと比べて向上することができる。
なお、クラッチ機構を噛み合いクラッチであるドグクラッチ8としたことで、入力側噛み合い部材8aの噛合歯がオイル撹拌時の抵抗になってしまう。しかし、ギア室60とクラッチ室61を分割し、別種の潤滑オイルを用いてドグクラッチ8とギア機構Gをそれぞれ潤滑することで、噛み合いクラッチであるドグクラッチ8を用いても、撹拌抵抗の増加を抑制し、燃費悪化を抑えることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の4輪駆動車のトランスファ装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 左右前輪6,7と左右後輪19,20のうち、一方を駆動源(エンジン1)に接続される主駆動輪とし、他方を前記駆動源(エンジン1)にクラッチを介して接続される副駆動輪とする4輪駆動車に搭載され、
前記主駆動輪(左右前輪6,7)から前記副駆動輪(左右後輪19,20)への駆動分岐位置に設けられ、前記駆動源(エンジン1)からの駆動力の回転方向を変えるギア機構Gと、前記駆動源(エンジン1)から前記ギア機構Gへの駆動力伝達を断接するクラッチ機構(ドグクラッチ8)と、前記ギア機構Gと前記クラッチ機構(ドグクラッチ8)を隣接して収納するトランスファケース23と、を備える4輪駆動車のトランスファ装置TRにおいて、
前記トランスファケース23は、前記ギア機構Gを収納するギア室60と、前記クラッチ機構(ドグクラッチ8)を収納するクラッチ室61と、前記ギア室60と前記クラッチ室61を分割するオイルシール(第1,第2オイルシールOS1,OS2)と、を有し、
前記ギア室60に、第1潤滑オイルOIL1を封入し、前記クラッチ室61に、前記第1潤滑オイルOIL1よりも低粘度の第2潤滑オイルOIL2を封入する構成とした。
これにより、同一のトランスファケース23にギア機構Gとクラッチ機構(ドグクラッチ8)を収納する際、撹拌フリクションを低減して燃費悪化を抑制することができる。
(2) 前記ギア機構Gは、前記クラッチ機構(ドグクラッチ8)に連結したリングギア(前輪側リングギア9)と、前記リングギア(前輪側リングギア9)に噛み合うと共に、前記主駆動輪(左右前輪6,7)と前記副駆動輪(左右後輪19,20)の間に配設されたプロペラシャフト12に連結したピニオンギア(出力ピニオン10)と、を有すると共に、前記リングギア(前輪側リングギア9)及び前記ピニオンギア(出力ピニオン10)にハイポイドギア構造を備える構成とした。
これにより、上記(1)の効果に加え、トランスファ装置TRのコンパクト化を図り、たとえば同様のウォームギアを用いた場合と比べて、駆動力伝達効率を向上すると共に、騒音や振動を低減することができる。
(3) 前記クラッチ機構は、前記駆動源(エンジン1)に連結した入力側噛み合い部材8aと、前記ギア機構Gに連結した出力側噛み合い部材8bと、を有する噛み合いクラッチ(ドグクラッチ8)により構成する。
これにより、上記(1)又は(2)の効果に加え、このトランスファ装置TRにおける駆動力伝達効率を、例えば摩擦クラッチと比べて向上することができる。
以上、本発明の4輪駆動車のトランスファ装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、トランスファ装置TRを左右前輪6,7の間に配置する例を示したが、これに限らない。例えば、本発明のトランスファ装置を左右後輪19,20の間に配置してもよい。この場合では、リアデフハウジング24内に、ドライブピニオン13、後輪側リングギア14、リアデファレンシャル15に加えて、トランスファクラッチに相当する電制カップリング16を収納する。そして、後輪側リングギア14を大径側が対向するように配置された一対の円錐ころ軸受によって支持すると共に、この一対の円錐ころ軸受の小径側にブリーザを設ける。
また、クラッチ機構としては、噛み合いクラッチであるドグクラッチ8に限らず、電制カップリング16のような摩擦クラッチであってもよい。
さらに、ドグクラッチ8は、油圧により駆動するシフトフォークを用いて解放/締結がなされる噛み合いクラッチによって構成してもよい。また、電制カップリング16は、油圧により多板クラッチを解放/締結する油圧式摩擦クラッチによって構成してもよい。
実施例1では、駆動源としてエンジン1のみを有する4輪駆動車に適用する例を示したが、駆動源としてエンジンとモータを有するハイブリッド車両や、モータのみを有する電気自動車に対しても適用することができる。
1 エンジン(駆動源)
2 変速機
3 フロントデファレンシャル
3a デフケース
3b シャフト部材
4 左前輪ドライブシャフト
5 右前輪ドライブシャフト
6 左前輪(主駆動輪)
7 右前輪(主駆動輪)
8 ドグクラッチ(クラッチ機構)
8a 入力側噛み合い部材
8b 出力側噛み合い部材
9 前輪側リングギア(リングギア)
9a シャフト部
9b ギア部
10 出力ピニオン(ピニオンギア)
11 後輪出力軸
12 プロペラシャフト
16 電制カップリング
19 左後輪(副駆動輪)
20 右後輪(副駆動輪)
23 トランスファケース
31 エンジンコントロールモジュール
32 変速機コントロールモジュール
33 ABSアクチュエータコントロールユニット
34 4WDコントロールユニット
60 ギア室
61 クラッチ室
TR トランスファ装置
OS1 第1オイルシール
OS2 第2オイルシール
OIL1 第1潤滑オイル
OIL2 第2潤滑オイル

Claims (3)

  1. 左右前輪と左右後輪のうち、一方を駆動源に接続される主駆動輪とし、他方を前記駆動源にクラッチを介して接続される副駆動輪とする4輪駆動車に搭載され、
    前記主駆動輪から前記副駆動輪への駆動分岐位置に設けられ、前記駆動源からの駆動力の回転方向を変えるギア機構と、前記駆動源から前記ギア機構への駆動力伝達を断接するクラッチ機構と、前記ギア機構と前記クラッチ機構を隣接して収納するトランスファケースと、を備える4輪駆動車のトランスファ装置において、
    前記ギア機構は、左右輪の作動を許容するデファレンシャルのデフケースに連結したシャフト部材が挿入貫通されるシャフト部、及び、前記シャフト部に取り付けられたギア部を有するリングギアと、前記リングギアに噛み合うと共に、前記主駆動輪と前記副駆動輪の間に配設されたプロペラシャフトに連結されたピニオンギアと、を有し、
    前記クラッチ機構は、前記シャフト部材に連結された入力側部材と、前記シャフト部に連結されると共に前記入力側部材に対して締結解放される出力側部材と、を有し、
    前記トランスファケースは、前記ギア機構を収納するギア室と、前記クラッチ機構を収納するクラッチ室と、前記ギア室と前記クラッチ室を分割するオイルシールと、を有し、
    前記オイルシールは、前記シャフト部と前記トランスファケースとの間に配置されると共に、前記ギア機構を挟む位置に設けられた第1オイルシールと第2オイルシールとを有し、
    前記第1オイルシール及び前記第2オイルシールが接触する前記シャフト部は、単一部品によって形成され、
    前記ギア室には、第1潤滑オイルを封入し、前記クラッチ室には、前記第1潤滑オイルよりも低粘度の第2潤滑オイルを封入する
    ことを特徴とする4輪駆動車のトランスファ装置。
  2. 請求項1に記載された4輪駆動車のトランスファ装置において、
    前記ギア機構は、前記リングギア及び前記ピニオンギアにハイポイドギア構造を備える
    ことを特徴とする4輪駆動車のトランスファ装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された4輪駆動車のトランスファ装置において、
    前記クラッチ機構は、前記入力側部材を入力側噛み合い部材とし、前記出力側部材を出力側噛み合い部材とする噛み合いクラッチにより構成する
    ことを特徴とする4輪駆動車のトランスファ装置。
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