JP2013221589A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Tomiaki Ochiai
富明 落合
Mitsuaki Tsunoda
光昭 角田
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Abstract

【課題】組付性を向上することができる動力伝達装置を提供する。
【解決手段】ケーシング3と、このケーシング3に回転可能に収容されたギヤ軸7と、ギヤ軸7と交差する方向に回転軸心L1が配置された第1伝達機構11と、回転軸心L2が第1伝達機構11の回転軸心L1と平行に配置され差動機構11との間で動力伝達可能な第2伝達機構13とを備えた動力伝達装置1において、ケーシング3が、ギヤ軸7と第1伝達機構11の回転軸心L1のギヤ軸7側の半分を収容する第1ケーシング15と、この第1ケーシング15に組付けられ第1伝達機構11の回転軸心L1のギヤ軸7と反対側の半分を収容する第2ケーシング17と、第1ケーシング15に組付けられ第2伝達機構13を収容する第3ケーシング19とを有した。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に適用される動力伝達装置に関する。
従来、動力伝達装置としては、ケーシングと、このケーシングに回転可能に収容され端部にドライブピニオンギヤなどの第1ギヤ部が設けられたドライブピニオンシャフトなどのギヤ軸と、ケーシングに収容され第1ギヤ部と噛み合うリングギヤなどの第2ギヤ部が設けられギヤ軸と交差する方向に回転軸心が配置されたデファレンシャル装置などの第1伝達機構と、ケーシングに収容され回転軸心が第1伝達機構の回転軸心と平行に配置され第1伝達機構との間で動力伝達可能なトルク調整機構などの第2伝達機構とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
例えば、特許文献1の動力伝達装置では、ケーシングが、ギヤ軸と第1伝達機構とを収容するケース本体と、このケース本体の第1伝達機構の回転軸心の軸方向両側の側面に組付けられるベアリング支持部材と、第2伝達機構を収容しベアリング支持部材に組付けられるハウジング半構成部材とからなる。
特開2008−215584号公報 特開2009−2503号公報 特開2007−30671号公報 特開平5−79567号公報
しかしながら、上記特許文献のような動力伝達装置では、ケーシングにギヤ軸を収容させる際に、ケース本体からベアリング支持部材を取り外した状態で、ケース本体の側面に設けられた開口からギヤ軸を挿入し、ケース本体内でギヤ軸を方向変換させてケース本体にギヤ軸を収容させていた。このようにケーシングへのギヤ軸の収容が難しく、動力伝達装置の組付性が低下していた。
そこで、この発明は、組付性を向上することができる動力伝達装置の提供を目的としている。
本発明は、ケーシングと、このケーシングに回転可能に収容され端部に第1ギヤ部が設けられたギヤ軸と、前記ケーシングに収容され前記第1ギヤ部と噛み合う第2ギヤ部が設けられ前記ギヤ軸と交差する方向に回転軸心が配置された第1伝達機構と、前記ケーシングに収容され回転軸心が前記第1伝達機構の回転軸心と平行に配置され前記第1伝達機構との間で動力伝達可能な第2伝達機構とを備えた動力伝達装置であって、前記ケーシングは、前記ギヤ軸と前記第1伝達機構の回転軸心の前記ギヤ軸側の半分を収容する第1ケーシングと、この第1ケーシングに組付けられ前記第1伝達機構の回転軸心の前記ギヤ軸と反対側の半分を収容する第2ケーシングと、少なくとも前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとのいずれか一方に組付けられ前記第2伝達機構を収容する第3ケーシングとを有することを特徴とする。
この動力伝達装置では、ケーシングがギヤ軸と交差する方向に回転軸心が配置された第1伝達機構の回転軸心のギヤ軸と反対側の半分を収容する第2ケーシングを有するので、第1ケーシングから第2ケーシングを取り外した状態で、ギヤ軸を第1ケーシングに挿入することにより、ギヤ軸を方向変換させることなく、第1ケーシングに収容させることができる。
従って、このような動力伝達装置では、ケーシングへのギヤ軸の収容を容易に行うことができ、装置の組付性を向上することができる。
本発明によれば、組付性を向上することができる動力伝達装置を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る動力伝達装置が適用された車両の動力系を示す概略図である。 本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。 (a)は図2のA−A断面図である。(b)は図2のB−B断面図である。 本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。
まず、図1を用いて本発明の実施の形態に係る動力伝達装置が適用される車両の動力系の一例について説明する。なお、ここでは、第1実施形態に係る動力伝達装置1を用いているが、他の実施形態に係る動力伝達装置も動力伝達装置1と同様に適用することができる。
図1に示すように、車両の動力系は、エンジンや電動モータなどの駆動源301と、変速機構としてのトランスミッション303と、前輪側の左右輪の差動を許容するフロントデフ305と、前車軸307,309と、前輪311,313と、前輪側と後輪側との間の動力伝達を断続する断続部315を有するトランスファ317と、プロペラシャフト319と、後輪側の左右輪の差動を許容する第1伝達機構としての差動機構11と後車軸323に伝達される駆動力を断続する第2伝達機構としての断続機構13とを有する動力伝達装置1と、後車軸321,323と、後輪325,327などから構成されている。
このように構成された車両の動力系では、駆動源301の駆動力がトランスミッション303を介してフロントデフ305に伝達される。このフロントデフ305に伝達された駆動力は、一対のサイドギヤ329,331から前車軸307,309を介して前輪311,313に配分されると共に、フロントデフ305のデフケース333に連結された中空軸335を介してトランスファ317に伝達される。
このトランスファ317に伝達された駆動力は、断続部315が接続状態であると、中空軸335と方向変換ギヤ組337との間の動力伝達が可能となり、方向変換ギヤ組337で方向変換されて出力軸339からプロペラシャフト319を介して動力伝達装置1に伝達される。
このとき、動力伝達装置1の断続機構13は、トランスファ317の断続部315が接続される前に接続され、断続部315が同期して作動されて接続状態となる。この動力伝達装置1に伝達された駆動力は、差動機構11の一対のサイドギヤ71,73から後車軸321,323を介して後輪325,327に配分され、車両は前後輪駆動の四輪駆動状態になる。
一方、車両が前輪駆動の二輪駆動状態になる場合には、トランスファ317の断続部315が接続解除状態となり、中空軸335と方向変換ギヤ組337との間の動力伝達が遮断され、駆動源301の駆動力が出力軸339に伝達されず、後輪側への駆動力の伝達が遮断される。
このとき、動力伝達装置1の断続機構13は、トランスファ317の断続部315が接続解除された後に、接続解除されるように同期して作動されて接続解除状態となる。この状態では、車両の走行による後輪327の回転が断続機構13で遮断され、差動機構11のデフケース65に入力されることがない。
これに対して、車両の走行による後輪325の回転は、差動機構11のサイドギヤ71に入力されてピニオン69を回転させ、サイドギヤ73を回転させるが、デフケース65を回転させることがなく、デフケース65とプロペラシャフト319側とに設けられたギヤ組63を回転させることがない。
このように車両の二輪駆動状態では、トランスファ317の断続部315と動力伝達装置1の断続機構13とを接続解除状態とすることにより、方向変換ギヤ組337、プロペラシャフト319、ギヤ組63などの回転を防止し、無駄な回転系を削減して燃費向上を図ることができる。
なお、断続部315と断続機構13の接続又は解除のタイミングは、いずれか一方の接続が他方の接続に先行して行われ、いずれか一方の解除が他方の解除に先行して行われること、或いは両方の接続又は両方の解除が同時期に行われることなど、それらの接続と解除のタイミングは各構造の機能の特徴や車両の走行状態によって適宜決定されるものである。
このような動力伝達装置1の断続機構13のように、一方の出力軸91に伝達される駆動力を制御可能に断続する断続機構は、いわゆるアクスルディスコネクトと称される。以下、図2〜図4を用いて本発明の実施の形態に係る動力伝達装置について説明する。
(第1実施形態)
図2,図3を用いて第1実施形態について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置1は、ケーシング3と、このケーシング3に回転可能に収容され端部に第1ギヤ部5が設けられたギヤ軸7と、ケーシング3に収容され第1ギヤ部5と噛み合う第2ギヤ部9が設けられギヤ軸7と交差する方向に回転軸心L1が配置された第1伝達機構としての差動機構11と、ケーシング3に収容され回転軸心L2が差動機構11の回転軸心L1と平行に配置され差動機構11との間で動力伝達可能な第2伝達機構としての断続機構13とを備えている。
そして、ケーシング3は、ギヤ軸7と差動機構11の回転軸心L1のギヤ軸7側の半分を収容する第1ケーシング15と、この第1ケーシング15に組付けられ差動機構11の回転軸心L1のギヤ軸7と反対側の半分を収容する第2ケーシング17と、第1ケーシング15に組付けられ断続機構13を収容する第3ケーシング19とを有する。
また、第1ケーシング15と第2ケーシング17とは、差動機構11の回転軸心L1で分割された分割面21,23を互いに当接して組付けられ、第3ケーシング19は、第1ケーシング15と軸方向の対向面25,27を互いに当接して組付けられている。
さらに、ケーシング3には、差動機構11と断続機構13とを区画し軸方向に離間する一対の摺動部29,31を有するシール部材33が配置され、第1ケーシング15と第2ケーシング17との軸方向間には、一対の摺動部29,31間と外部とを連通させる気抜き部35が設けられている。
また、シール部材33は、一対の摺動部29,31が各別に設けられた一対のシール部材37,39からなる。
さらに、一対のシール部材37,39のうち一方のシール部材37は、第1ケーシング15と第2ケーシング17とで支持され、他方のシール部材39は、第1ケーシング15で支持されている。
図2,図3に示すように、動力伝達装置1は、ケーシング3と、ギヤ軸7と、差動機構11と、断続機構13と、アクチュエータ41とを備えている。ケーシング3は、第1ケーシング15と、第2ケーシング17と、第3ケーシング19とから構成されている。
第1ケーシング15は、ギヤ軸7と、差動機構11の回転軸心L1のギヤ軸7側の半分とを収容する。また、第1ケーシング15には、断続機構13側に連続する一部材で環状に形成された取付部43が設けられている。この取付部43には、第3ケーシング19が組付けられる。この第1ケーシング15には、差動機構11の回転軸心L1で分割された第2ケーシング17が組付けられる。
第2ケーシング17は、半円の筒状に形成され、差動機構11の回転軸心L1のギヤ軸7と反対側の半分を収容する。また、第2ケーシング17は、第1ケーシング15の取付部43側の軸方向端面が第1ケーシング15の取付部43と離間されるように第1ケーシング15に組付けられている。この離間された部分は、後述するシール部材33の一対の摺動部29,31間と外部とを連通させる気抜き部35となっている。この第2ケーシング17は、第1ケーシング15に差動機構11の回転軸心L1で分割された分割面21,23を互いに当接して複数のボルト45を介して固定される。
第3ケーシング19は、断続機構13と、アクチュエータ41とを収容する。この第3ケーシング19は、第1ケーシング15の取付部43に軸方向の対向面25,27を互いに当接して複数のボルト孔47に締結されるボルト(不図示)を介して固定される。
ここで、例えば、第1ケーシング15に取付部43を設けずに、第1ケーシング15と第2ケーシング17との軸方向端面に第3ケーシング19を組付ける場合では、第1ケーシング15及び第2ケーシング17と第3ケーシング19との合わせ面が3面合わせとなる。このような3面合わせでは、ケーシング3を組付けたときに合わせ面で隙間が形成される恐れがあり、合わせ面の加工に高度な技術が必要であった。
そこで、第3ケーシング19を第1ケーシング15の取付部43に組付けることにより、第1ケーシング15と第3ケーシング19との合わせ面が2面合わせとなる。このため、第1ケーシング15と第3ケーシング19との合わせ面における隙間の形成を防止できると共に、合わせ面の加工に高度な技術を必要とすることがなく、コストの上昇を抑制することができる。
このような第1ケーシング15と第2ケーシング17と第3ケーシング19とで構成されたケーシング3には、ギヤ軸7と、差動機構11と、断続機構13と、アクチュエータ41とが収容されている。
ギヤ軸7は、軸心が差動機構11の回転軸心L1と直交する方向に配置され、軸方向に配置された2つのベアリング49,51を介してケーシング3の第1ケーシング15に回転可能に支持されている。このギヤ軸7の一端側外周には、スプライン形状の連結部53が形成され、プロペラシャフト319(図1参照)に連結される連結部材55が一体回転可能に連結されている。
連結部材55は、ギヤ軸7の端部にナット57をねじ締結することによって軸方向位置が固定されると共に、ベアリング49,51に予圧が付与されギヤ軸7の軸方向位置が位置決めされる。また、連結部材55と第1ケーシング15との径方向間にはケーシング3の内部と外部とを区画するシール部材59が配置されると共に、連結部材55の外周にはシール部材59のリップ部と摺動するダストカバー61が配置されている。
この連結部材55を介してギヤ軸7に伝達された駆動力は、ギヤ軸7の他端側に連続する一部材で形成された第1ギヤ部5と、差動機構11のデフケース65に固定された第2ギヤ部9とで構成されるギヤ組63に伝達される。
ギヤ組63は、小径のピニオンである第1ギヤ部5と、大径のリングギヤである第2ギヤ部9とからなるベベルギヤ組で変速駆動されるように構成され、プロペラシャフト319(図1参照)に伝達された駆動力を方向変換する。このギヤ組63を構成する大径のリングギヤである第2ギヤ部9は、差動機構11のデフケース65に形成されたフランジ部75にボルトによって固定され、ギヤ軸7から入力された駆動力を方向変換して差動機構11に伝達する。
差動機構11は、デフケース65と、ピニオンシャフト67と、ピニオン69と、一対のサイドギヤ71,73とを備えている。
デフケース65は、軸方向両側に形成されたボス部77,79でそれぞれベアリング81,83を介してケーシング3の第1ケーシング15及び第2ケーシング17に回転可能に支持されている。このデフケース65には、ピニオンシャフト67と、ピニオン69と、一対のサイドギヤ71,73とが収容され、ギヤ組63を介してデフケース65に入力された駆動力が伝達される。
ピニオンシャフト67は、長尺のシャフトからなり、端部をデフケース65に係合してピンで抜け止め及び回り止めされ、デフケース65と一体に回転駆動される。このピニオンシャフト67には、ピニオン69が支承されている。
ピニオン69は、デフケース65の周方向等間隔に2つ配置され、長尺のピニオンシャフト67の両端側に支承されてデフケース65の回転によって公転する。また、ピニオン69の背面側とデフケース65との径方向間には、ピニオン69の公転時に発生する径方向への移動を受ける球面ワッシャが配置されている。
このピニオン69は、一対のサイドギヤ71,73に駆動力を伝達すると共に、噛み合っている一対のサイドギヤ71,73に差回転が生じると回転駆動されるようにピニオンシャフト67に自転可能に支持されている。
一対のサイドギヤ71,73は、それぞれのボス部でデフケース65に相対回転可能に支持され、ピニオン69と噛み合っている。また、サイドギヤ71,73の背面側とデフケース65との軸方向間には、ピニオン69との噛み合い反力によるサイドギヤ71,73の軸方向への移動を受けるスラストワッシャがそれぞれ配置されている。
この一対のサイドギヤ71,73は、内周側にスプライン形状の連結部85,87が形成され、それぞれ後車軸321,323(図1参照)側に連結された一対の出力軸89,91(出力軸89については図1参照)がサイドギヤ71,73と一体回転可能に連結され、デフケース65に入力された駆動力を後車軸321,323を介して後輪325,327(図1参照)へ出力する。
この一対のサイドギヤ71,73のうちサイドギヤ71に連結される出力軸89(図1参照)とケーシング3の第1ケーシング15及び第2ケーシング17との径方向間には、ケーシング3の内部と外部とを区画するシール部材93が配置されている。
一対のサイドギヤ71,73のうちサイドギヤ73に連結される出力軸91側には、回転軸心L2が差動機構11の回転軸心L1と平行に配置され、ケーシング3の第3ケーシング19に収容された断続機構13が配置されている。
断続機構13は、出力軸91と、摩擦クラッチ95と、押圧部材97とを備えている。出力軸91は、入力部99と、出力部101とで構成されている。
入力部99は、サイドギヤ73側が軸状に形成されると共に摩擦クラッチ95側のクラッチドラム部が接続して連続する部材で中空状に形成されている。また、入力部99とデフケース65のボス部79との径方向間には、摺動ブッシュなどの摺動部材103が配置されている。また、入力部99の摩擦クラッチ95側のクラッチドラム部内周には、スプライン形状の係合部105が形成され、摩擦クラッチ95の外側クラッチ板が係合されている。
この入力部99は、サイドギヤ73側の軸状の外周が連結部87を介してサイドギヤ73と一体回転可能に連結される。このような入力部99の摩擦クラッチ95側の回転軸心部には、出力部101が入力部99と相対回転可能に配置されている。
出力部101は、中空状に形成され、外周でベアリング107を介して入力部99と相対回転可能に配置されると共に、ベアリング109を介してケーシング3の第3ケーシング19に支持されている。また、出力部101の軸方向一端側外周とケーシング3の第3ケーシング19との径方向間には、ケーシング3の内部と外部とを区画するシール部材111が設けられている。さらに、出力部101の軸心側の中央部には、区画壁113が出力部101と連続する一部材で設けられ、ケーシング3の内部と外部とを区画している。
この出力部101の軸方向一端側内周には、スプライン形状の連結部115が形成され、後車軸323(図1参照)が出力部101と一体回転可能に連結される。このような出力部101の軸方向他端側外周には、スプライン形状の係合部117が形成され、摩擦クラッチ95の内側クラッチ板が係合されている。このような入力部99と出力部101との間に伝達される駆動力は、摩擦クラッチ95によって断続される。
摩擦クラッチ95は、複数の外側クラッチ板と、複数の内側クラッチ板とを備えている。複数の外側クラッチ板は、入力部99のクラッチドラム部内周に形成された係合部105に軸方向移動可能で入力部99と一体回転可能に係合されている。複数の内側クラッチ板は、複数の外側クラッチ板に対して軸方向に交互に配置され、出力部101の外周に形成された係合部117に軸方向移動可能で出力部101と一体回転可能に係合されている。
この摩擦クラッチ95は、滑り摩擦を伴い伝達トルクを中間制御可能な制御型の複数のクラッチ板からなる多板クラッチとなっている。この摩擦クラッチ95は、押圧部材97によって押圧接続され、入力部99と出力部101との間の動力伝達を可能とする。
押圧部材97は、摩擦クラッチ95に軸方向に隣接配置され、移動部119と、押圧部121とを備えている。移動部119は、環状に形成され、出力部101の外周に軸方向移動可能に配置されている。この移動部119と摩擦クラッチ95との軸方向間には、押圧部121が配置されている。
押圧部121は、環状に形成され、移動部119との軸方向間に移動部119との相対回転を許容させると共に移動部119の軸方向移動を押圧部121に伝達させるスラストベアリングを介して移動部119の外径側に配置されている。また、押圧部121の内径側には、押圧部材97を摩擦クラッチ95の接続解除方向に付勢する付勢部材123が配置されている。
付勢部材123は、皿ばねからなり、常時、押圧部材97を摩擦クラッチ95の接続解除方向に付勢する。このため、押圧部材97がアクチュエータ41によって摩擦クラッチ95の接続方向に移動操作されていない状態では、押圧部121が摩擦クラッチ95の複数のクラッチ板に接触することがなく、摩擦クラッチ95の複数のクラッチ板が押圧されず、摩擦クラッチ95における引きずりトルクの発生を低減することができる。
このような付勢部材123によって摩擦クラッチ95の接続解除方向に付勢されている押圧部材97の押圧部121は、摩擦クラッチ95の複数のクラッチ板に軸方向に隣接配置され、移動部119がアクチュエータ41によって付勢部材123の付勢力に抗して摩擦クラッチ95の接続方向に移動されることにより、摩擦クラッチ95の複数のクラッチ板を押圧して摩擦クラッチ95を接続させる。
アクチュエータ41は、電動モータ125と、減速機構127と、変換機構129とを備えている。電動モータ125は、ケーシング3の第3ケーシング19の外側に組付けられ、ケーシング3の内部にモータ軸131が配置されている。
この電動モータ125は、制御手段としてのコントローラ(不図示のECU)に接続され、コントローラによって制御可能に作動される。なお、このコントローラは、電動モータ125の他に車両に設けられた各種センサやトランスファ317の断続部315(図1参照)を作動させるアクチュエータにも接続され、電動モータ125の制御と共にトランスファ317の断続部315の断続も制御している。この電動モータ125のモータ軸131から出力される回転は、減速機構127によって減速される。
減速機構127は、第1減速ギヤ組133と、第2減速ギヤ組135と、第3減速ギヤ組137とを備えている。なお、ケーシング3の第3ケーシング19の減速機構127が配置された開口部分には、ケーシング3を閉塞する閉塞部材139が設けられている。
第1減速ギヤ組133は、電動モータ125のモータ軸131と第1大径ギヤ部141とからなる。第1大径ギヤ部141は、ケーシング3の第3ケーシング19内に第1中間軸143を介して回転可能に支持された第1中間ギヤ145に設けられ、電動モータ125のモータ軸131と噛み合っている。この第1減速ギヤ組133は、電動モータ125の回転を減速して第1中間ギヤ145を介して第2減速ギヤ組135に伝達する。
第2減速ギヤ組135は、第2小径ギヤ部147と第2大径ギヤ部149とからなる。第2小径ギヤ部147は、第1中間ギヤ145に第1大径ギヤ部141と隣接して設けられ、第2大径ギヤ部149と噛み合っている。第2大径ギヤ部149は、ケーシング3の第3ケーシング19内に第2中間軸151を介して回転可能に支持された第2中間ギヤ153に設けられている。この第2減速ギヤ組135は、第1中間ギヤ145からの回転を減速して第2中間ギヤ153を介して第3減速ギヤ組137に伝達する。
第3減速ギヤ組137は、第3小径ギヤ部155と第3大径ギヤ部157とからなる。第3小径ギヤ部155は、第2中間ギヤ153に第2大径ギヤ部149と隣接して設けられ、第3大径ギヤ部157と噛み合っている。第3大径ギヤ部157は、押圧部材97の移動部119の外径に設けられている。この第3減速ギヤ組137は、第2中間ギヤ153からの回転を減速して押圧部材97の移動部119を回転させる。
このように減速機構127は、電動モータ125から押圧部材97の移動部119までの動力伝達経路を3段減速とすることにより、電動モータ125を小型化することができ、消費電力も低減することができる。加えて、電動モータ125の作動を制御するコントローラを小型化することができ、装置を低コスト化することができる。このような減速機構127で減速されて伝達された押圧部材97の移動部119の回転は、変換機構129によって軸方向操作力に変換される。
変換機構129は、ボールカム機構であり、押圧部材97の移動部119とカムリング159とに周方向に形成された複数のカム面を対向させ、これらのカム面間に介在されたカムボール161からなる。
カムリング159は、出力部101の外周とベアリング109のアウタレースの外周とに配置され、凹凸形状の係合部163を介してケーシング3の第3ケーシング19に回転不能に係合されている。また、カムリング159は、スラスト反力によるベアリング109側への軸方向移動がベアリング109によって規制されている。このカムリング159と押圧部材97の移動部119との軸方向の対向面には、それぞれ周方向に形成された複数のカム面が形成され、これらのカム面間にはカムボール161が介在されている。
カムボール161は、押圧部材97の移動部119の回転によってカムリング159と移動部119との間に差回転が生じることにより、押圧部材97を摩擦クラッチ95側へ軸方向押圧移動させるカムスラスト力を発生させる。
このように構成された動力伝達装置1では、電動モータ125の作動により電動モータ125の回転が減速機構127で減速され、変換機構129に伝達される。この変換機構129に伝達された回転は、軸方向操作力に変換され、押圧部材97を付勢部材123の付勢力に抗して摩擦クラッチ95の接続方向に軸方向移動させる。この押圧部材97の軸方向移動により押圧部121が摩擦クラッチ95の複数のクラッチ板を押圧して摩擦クラッチ95が接続される。この摩擦クラッチ95の接続により入力部99と出力部101との間の動力伝達が可能となり、差動機構11のサイドギヤ73と後車軸323(図1参照)との間の動力伝達が可能となる。
一方、摩擦クラッチ95の接続は、電動モータ125を逆回転させることにより、押圧部材97が付勢部材123によって摩擦クラッチ95の接続解除方向に軸方向移動されて解除される。この摩擦クラッチ95の接続解除により入力部99と出力部101との間の動力伝達が遮断され、車両の走行による後輪327(図1参照)の回転が差動機構11のサイドギヤ73に入力されることがない。また、この摩擦クラッチ95の接続解除状態では、車両の走行による後輪325(図1参照)の回転が差動機構11のサイドギヤ71に入力されてピニオン69を回転させ、サイドギヤ73を回転させるが、サイドギヤ73と後車軸323(図1参照)との間の動力伝達が遮断されているので、一対のサイドギヤ71,73は相対回転される。このため、デフケース65が回転されることがなく、ギヤ組63が回転されることがない。
このような動力伝達装置1のケーシング3内は、入力部99とケーシング3の第1ケーシング15及び第2ケーシング17との径方向間に配置されたシール部材33によって差動機構11側の空間と断続機構13側の空間とに区画されている。
シール部材33は、軸方向に離間する一対の摺動部29,31が各別に設けられた一対のシール部材37,39からなる。一対のシール部材37,39のうち一方のシール部材37は、第1ケーシング15と第2ケーシング17とで支持されている。他方のシール部材39は、第1ケーシング15の取付部43の内周で支持されている。
この一対のシール部材37,39間の空間部は、第1ケーシング15と第2ケーシング17との軸方向間に形成された気抜き部35に連通されている。このように一対のシール部材37,39間の空間部を気抜き部35を介して外部に連通させることにより、入力部99などの回転によって一対のシール部材37,39間の空間部で内圧が上昇することを防止でき、一対のシール部材37,39の配置位置を保持することができる。
このようなシール部材33によって区画された差動機構11側の空間と断続機構13側の空間には、それぞれ粘性の異なる潤滑油が封入されている。詳細には、差動機構11側の潤滑油は、ギヤ組63の潤滑が可能で、断続機構13側の潤滑油より粘性が高く設定されている。このため、断続機構13が接続解除状態で、潤滑油の粘度抵抗により、ギヤ組63とデフケース65の表面に粘性抵抗を増大させ、回転停止状態を作りやすくすることができる。
一方、断続機構13側に封入される潤滑油は、差動機構11に封入される潤滑油より粘性が低く設定されている。このため、断続機構13の摩擦クラッチ95は、接続解除状態で潤滑油の粘性による引きずりトルクの発生が抑制され、入力部99と出力部101との間で動力伝達されることを抑制することができる。
このように構成された動力伝達装置1の組付方法は、まず、第1ケーシング15の差動機構11側の開口からギヤ軸7を挿入し、ギヤ軸7を第1ケーシング15に収容させる。次に、ギヤ軸7に対してギヤ組63で噛み合うように差動機構11を組付け、第2ケーシング17を第1ケーシング15に組付ける。次に、差動機構11のサイドギヤ73と断続機構13の入力部99とを連結部87で連結させ、断続機構13を組付ける。そして、アクチュエータ41が組付けられた第3ケーシング19を第1ケーシング15の取付部43に組付け、動力伝達装置1の組付けを完了する。
このような動力伝達装置1では、ケーシング3がギヤ軸7と交差する方向に回転軸心L1が配置された差動機構11の回転軸心L1のギヤ軸7と反対側の半分を収容する第2ケーシング17を有するので、第1ケーシング15から第2ケーシング17を取り外した状態で、ギヤ軸7を第1ケーシング15に挿入することにより、ギヤ軸7を方向変換させることなく、第1ケーシング15に収容させることができる。
従って、このような動力伝達装置1では、ケーシング3へのギヤ軸7の収容を容易に行うことができ、装置の組付性を向上することができる。
また、第3ケーシング19は、第1ケーシング15と軸方向の対向面25,27を互いに当接して組付けられているので、第1ケーシング15と第3ケーシング19との合わせ面が2面合わせとなり、第1ケーシング15と第3ケーシング19との合わせ面における隙間の形成を防止することができる。加えて、合わせ面の加工に高度な技術を必要とすることがなく、コストの上昇を抑制することができる。
さらに、第1ケーシング15と第2ケーシング17との軸方向間には、一対の摺動部29,31間と外部とを連通させる気抜き部35が設けられているので、ケーシング3に気抜き部35を設けるための加工を施す必要がなく、ケーシング3のコストを低減することができる。
また、シール部材33は、一対の摺動部29,31が各別に設けられた一対のシール部材37,39からなるので、配置されるケーシング3の形状などの周辺環境に合わせて一対のシール部材37,39の配置位置を変更することができ、シール部材33の配置位置の自由度を向上することができる。
さらに、一対のシール部材37,39のうち一方のシール部材37は、第1ケーシング15と第2ケーシング17とで支持され、他方のシール部材39は、第1ケーシング15で支持されているので、第1ケーシング15と第2ケーシング17とを組付けたときに、一対のシール部材37,39間に気抜き部35が配置され、一対のシール部材37,39と気抜き部35との位置合わせを行う必要がなく、組付性を向上することができる。
(第2実施形態)
図4を用いて第2実施形態について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置201は、第3ケーシング19は、第2ケーシング203に組付けられている。なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
図4に示すように、第2ケーシング203には、断続機構13側に連続する一部材で環状に形成された取付部205が設けられている。この取付部205と第1ケーシング15の軸方向端面との間は、シール部材33の一対の摺動部29,31間と外部とを連通させる気抜き部207となっている。なお、一対のシール部材37,39のうち一方のシール部材37は、第1ケーシング15と第2ケーシング203とで支持されている。他方のシール部材39は、第2ケーシング203の取付部205の内周で支持されている。この第2ケーシング203の取付部205には、第3ケーシング19が組付けられている。このように第3ケーシング19を第2ケーシング203の取付部205に組付けることにより、第2ケーシング203と第3ケーシング19との合わせ面が2面合わせとなる。
このような動力伝達装置201では、第3ケーシング19が第2ケーシング203に組付けられているので、第2ケーシング203と第3ケーシング19との合わせ面が2面合わせとなり、第2ケーシング203と第3ケーシング19との合わせ面における隙間の形成を防止することができる。加えて、合わせ面の加工に高度な技術を必要とすることがなく、コストの上昇を抑制することができる。
なお、本発明の実施の形態に係る動力伝達装置では、第1伝達機構が差動機構、第2伝達機構が断続機構となっているが、これに限らず、第1,第2伝達機構は、例えば、変速機構やトランスファなどであってもよく、動力伝達を行う機構であればどのような機構であってもよい。当然のことながら、先行技術文献に掲載した特許文献1〜4に係る装置のケーシングに適用することができる。
また、アクチュエータは、モータ・ギヤ・カム機構となっているが、これに限らず、電磁式アクチュエータ、油圧シリンダ・ピストン機構、モータ・シフトロッド機構、エアダイアフラムなど、種々のアクチュエータを利用可能である。
さらに、断続機構は、摩擦クラッチとなっているが、これに限らず、噛み合いクラッチなど入力部と出力部との間の動力伝達を断続できるものであれば、どのような形態であってもよい。
1,201…動力伝達装置
3…ケーシング
5…第1ギヤ部
7…ギヤ軸
9…第2ギヤ部
11…差動機構
13…断続機構
15…第1ケーシング
17,203…第2ケーシング
19…第3ケーシング
21,23…分割面
25,27…対向面
29,31…一対の摺動部
33…シール部材
35,307…気抜き部
37,39…一対のシール部材

Claims (5)

  1. ケーシングと、このケーシングに回転可能に収容され端部に第1ギヤ部が設けられたギヤ軸と、前記ケーシングに収容され前記第1ギヤ部と噛み合う第2ギヤ部が設けられ前記ギヤ軸と交差する方向に回転軸心が配置された第1伝達機構と、前記ケーシングに収容され回転軸心が前記第1伝達機構の回転軸心と平行に配置され前記第1伝達機構との間で動力伝達可能な第2伝達機構とを備えた動力伝達装置であって、
    前記ケーシングは、前記ギヤ軸と前記第1伝達機構の回転軸心の前記ギヤ軸側の半分を収容する第1ケーシングと、この第1ケーシングに組付けられ前記第1伝達機構の回転軸心の前記ギヤ軸と反対側の半分を収容する第2ケーシングと、少なくとも前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとのいずれか一方に組付けられ前記第2伝達機構を収容する第3ケーシングとを有することを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1記載の動力伝達装置であって、
    前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとは、前記第1伝達機構の回転軸心で分割された分割面を互いに当接して組付けられ、前記第3ケーシングは、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとのうちいずれか一方と軸方向の対向面を互いに当接して組付けられていることを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項1又は2記載の動力伝達装置であって、
    前記ケーシングには、前記第1伝達機構と前記第2伝達機構とを区画し軸方向に離間する一対の摺動部を有するシール部材が配置され、
    前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとの軸方向間には、前記一対の摺動部間と外部とを連通させる気抜き部が設けられていることを特徴とする動力伝達装置。
  4. 請求項3記載の動力伝達装置であって、
    前記シール部材は、前記一対の摺動部が各別に設けられた一対のシール部材からなることを特徴とする動力伝達装置。
  5. 請求項4記載の動力伝達装置であって、
    前記一対のシール部材のうち一方のシール部材は、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとで支持され、前記一対のシール部材のうち他方のシール部材は、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとのうちいずれか一方で支持されていることを特徴とする動力伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015129555A (ja) * 2014-01-08 2015-07-16 Gknドライブラインジャパン株式会社 駆動力配分装置
JP2015160492A (ja) * 2014-02-26 2015-09-07 日産自動車株式会社 4輪駆動車のトランスファ装置
CN109552037A (zh) * 2017-09-26 2019-04-02 舍弗勒技术股份两合公司 电动车桥系统及机动车

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