JP5946285B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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本発明は、車両に適用される動力伝達装置に関する。
従来、動力伝達装置としては、駆動力が入力されるデフケースと、このデフケースに支承されて自転可能であると共にデフケースの回転によって公転する差動ギヤと、この差動ギヤと噛み合って相対回転可能な一対の出力ギヤと、この一対の出力ギヤにそれぞれ一体回転可能に連結される一対の出力軸とを有する差動機構と、一対の出力軸のうちいずれか一方の出力軸に設けられ駆動力が入力される入力部と、一方の出力軸に設けられ入力部に伝達された駆動力を出力する出力部と、入力部と出力部との間に設けられ入力部と出力部との間の動力伝達を断続する断続機構と、この断続機構を作動させるアクチュエータとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この動力伝達装置では、断続機構を作動させるアクチュエータが油圧式アクチュエータとなっている。このアクチュエータは、ケーシングに設けられたシリンダ室と、このシリンダ室内に配置されたピストンと、ケーシングに設けられピストンを油圧によって作動させるオイルポンプや油圧回路などを備えている。
特開2009−269605号公報
しかしながら、上記特許文献1のような動力伝達装置では、アクチュエータが油圧式アクチュエータであるので、油圧回路などへ粉塵が侵入することを防止するためにクリーンルーム内で組み付けを行うなど、組付方法に制限があり、組付性が低下していた。
このような動力伝達装置に対して、アクチュエータに電磁石とパイロットクラッチなどを適用した電磁式アクチュエータがある。
しかしながら、このような動力伝達装置では、通常、断続機構とパイロットクラッチとが軸方向に並列に配置されているので、パイロットクラッチの配置スペースを確保する必要があり、装置が軸方向に大型化されていた。
そこで、この発明は、アクチュエータの組付性を向上でき、小型化することができる動力伝達装置の提供を目的としている。
本発明は、駆動力が入力されるデフケースと、このデフケースに支承されて自転可能であると共に前記デフケースの回転によって公転する差動ギヤと、この差動ギヤと噛み合って相対回転可能な一対の出力ギヤとを有する差動機構と、この一対の出力ギヤのうちいずれか一方の出力ギヤに一体回転可能に連結される出力軸と、この出力軸に設けられ駆動力が入力される入力部と、前記入力部に伝達された駆動力を出力する出力部と、前記入力部と前記出力部との間に設けられ前記入力部と前記出力部との間の動力伝達を断続する断続機構と、この断続機構を作動させるアクチュエータとを備えた動力伝達装置であって、前記アクチュエータは、電動モータと、この電動モータの回転を減速させる減速機構と、この減速機構の回転を軸方向操作力に変換させる変換機構とを有し、前記断続機構は、前記入力部に軸方向に隣接配置され、前記変換機構は、前記断続機構に軸方向に隣接配置され、前記減速機構は、前記変換機構の外径側に配置され、前記電動モータは、モータ軸と本体部とを有し、前記モータ軸が前記減速機構に連結され、前記本体部が前記断続機構より軸方向の前記デフケース側に向けて配置されていることを特徴とする。
この動力伝達装置では、アクチュエータが電動モータと、この電動モータの回転を減速させる減速機構と、この減速機構の回転を軸方向操作力に変換させる変換機構とを有するので、アクチュエータの組付方法に厳しい制限がなく、組付性を向上することができる。
また、減速機構は電動モータの回転を減速させる機構であり、変換機構は回転を軸方向操作力に変換させる機構であるので、減速機構と変換機構とが軸方向に大きなスペースを必要とすることがなく、装置を軸方向に小型化することができる。
さらに、アクチュエータは、電動モータと変換機構との間に減速機構を有するので、電動モータの回転力を増幅して変換機構に出力させることができ、電動モータを小型化することができる。
従って、このような動力伝達装置では、アクチュエータが電動モータと減速機構と変換機構とからなるので、アクチュエータの組付性を向上でき、小型化することができる。
本発明によれば、アクチュエータの組付性を向上でき、小型化することができる動力伝達装置を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る動力伝達装置が適用された車両の動力系を示す概略図である。 本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。 本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置の変換機構の拡大図である。 (a)は本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置のカムボールが第1作用角の範囲内に位置したときの拡大図である。(b)は図4(a)の要部拡大図である。 (a)は本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置のカムボールが第2作用角の範囲内に位置したときの拡大図である。(b)は図5(a)の要部拡大図である。 本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置の断面図である。
まず、図1を用いて本発明の実施の形態に係る動力伝達装置が適用される車両の動力系の一例について説明する。なお、ここでは、第1実施形態に係る動力伝達装置1を用いているが、他の実施形態に係る動力伝達装置も動力伝達装置1と同様に適用することができる。
また、本発明の実施の形態において用いられる「差動機構」とは、デフケースと差動ギヤと一対の出力ギヤとを示すが、1入力、2入力の機能的構成をもつ部材の組合せであれば特段限定されるものではなく、広義に解釈可能な機構を適用することができる。
図1に示すように、車両の動力系は、エンジンや電動モータなどの駆動源401と、変速機構としてのトランスミッション403と、前輪側の左右輪の差動を許容するフロントデフ405と、前車軸407,409と、前輪411,413と、前輪側と後輪側との間の動力伝達を断続する断続部415を有するトランスファ417と、プロペラシャフト419と、後輪側の左右輪の差動を許容するリヤデフとしての差動機構15を有する動力伝達装置1と、後車軸421,423と、後輪425,427などから構成されている。
このように構成された車両の動力系では、駆動源401の駆動力がトランスミッション403を介してフロントデフ405に伝達される。このフロントデフ405に伝達された駆動力は、一対のサイドギヤ429,431から前車軸407,409を介して前輪411,413に配分されると共に、フロントデフ405のデフケース433に連結された中空軸435を介してトランスファ417に伝達される。
このトランスファ417に伝達された駆動力は、断続部415が接続状態であると、中空軸435と方向変換ギヤ組437との間の動力伝達が可能となり、方向変換ギヤ組437で方向変換されて出力軸439からプロペラシャフト419を介して動力伝達装置1に伝達される。
このとき、動力伝達装置1の断続機構21は、トランスファ417の断続部415が接続された後に、接続されるように同期して作動されて接続状態となる。この動力伝達装置1に伝達された駆動力は、差動機構15の一対のサイドギヤ7,9から後車軸421,423を介してから後輪425,427に配分され、車両は前後輪駆動の四輪駆動状態になる。
また、車両が前輪駆動の二輪駆動状態になる場合には、トランスファ417の断続部415が接続解除状態となり、中空軸435と方向変換ギヤ組437との間の動力伝達が遮断され、駆動源401の駆動力が出力軸439に伝達されず、後輪側への駆動力の伝達が遮断される。
このとき、動力伝達装置1の断続機構21は、トランスファ417の断続部415が接続解除された後に、接続解除されるように同期して作動されて接続解除状態となる。この状態では、車両の走行による後輪427の回転が断続機構21で遮断され、差動機構15のデフケース3に入力されることがない。また、車両の走行による後輪425の回転は、差動機構15のサイドギヤ7に入力されてピニオン5を回転させ、サイドギヤ9を回転させるが、デフケース3を回転させることがなく、デフケース3とプロペラシャフト419側とに設けられたギヤ組61を回転させることがない。
このように車両の二輪駆動状態では、トランスファ417の断続部415と動力伝達装置1の断続機構21とを接続解除状態とすることにより、方向変換ギヤ組437、プロペラシャフト419、ギヤ組61などの回転を防止し、無駄な回転系を削減して燃費向上を図ることができる。なお、動力伝達装置1の断続機構21のように、一方の出力軸13に伝達される駆動力を制御可能に断続する断続機構は、いわゆるアクスルディスコネクトと称される。以下、図2〜図7を用いて本発明の実施の形態に係る動力伝達装置について説明する。
なお、断続部415と断続機構21の接続又は解除のタイミングは、いずれか一方の接続が他方の接続に先行して行われ、いずれか一方の解除が他方の解除に先行して行われること、或いは両方の接続又は両方の解除が同時期に行われることなど、それらの接続と解除のタイミングは各構造の機能の特徴や車両の走行状態によって適宜決定されるものである。
(第1実施形態)
図2〜図5を用いて第1実施形態について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置1は、駆動力が入力されるデフケース3と、このデフケース3に支承されて自転可能であると共にデフケース3の回転によって公転する差動ギヤとしてのピニオン5と、このピニオン5と噛み合って相対回転可能な一対の出力ギヤとしてのサイドギヤ7,9とを有する差動機構15と、この一対のサイドギヤ7,9のうちサイドギヤ9に一体回転可能に連結される出力軸13と、出力軸13に設けられ駆動力が入力される入力部17と、出力軸13に設けられ入力部17に伝達された駆動力を出力する出力部19と、入力部17と出力部19との間に設けられ入力部17と出力部19との間の動力伝達を断続する断続機構21と、この断続機構21を作動させるアクチュエータ23とを備えている。
そして、アクチュエータ23は、電動モータ25と、この電動モータ25の回転を減速させる減速機構27と、この減速機構27の回転を軸方向操作力に変換させる変換機構29とを有する。
また、減速機構27は、電動モータ25のモータ軸117から変換機構29の作動回転部までのトータル減速比が70以上130以下に設定されている。
さらに、変換機構29は、ボールカム機構であり、このボールカム機構は、初期位置から作動する第1作用角θ1と、この第1作用角θ1から作動する第2作用角θ2とを有し、第1作用角θ1は、第2作用角θ2より小さく設定されている。
また、断続機構21は、入力部17と出力部19との間の動力伝達を断続する断続部31と、この断続部31に隣接配置され変換機構29によって移動操作され断続部31を押圧して接続させる押圧部材33とを有し、押圧部材33は、付勢部材35によって断続部31の接続解除方向に付勢されている。
なお、断続部31は、入力部17に連結したクラッチドラムの内周スプラインと係合する複数の外側クラッチ板と、出力部19の外周スプラインに係合する複数の内側クラッチ板が交互に配置された摩擦クラッチからなる。
さらに、変換機構29の軸方向操作力及びその反力は、出力部19に入力される。
また、デフケース3は、駆動力を伝達する動力伝達ギヤ37と噛み合うギヤ部39を有し、断続機構21とアクチュエータ23とは、動力伝達ギヤ37を軸方向に挟んでギヤ部39の反対側に配置されている。
図2に示すように、動力伝達装置1は、ケーシング41と、差動機構15と、断続機構21と、アクチュエータ23から構成されている。
ケーシング41は、主に差動機構15と入力軸63が収容される第1ケーシング43と、主に断続機構21とアクチュエータ23とが収容される第2ケーシング45と、第1ケーシング43内に入力軸63や差動機構15を収容した後に、第1ケーシング43をボルトにより一体結合して閉塞するカバー体47とからなり、車体フレームなどの静止系部材(不図示)に固定される。このケーシング41内には、差動機構15と、断続機構21と、アクチュエータ23とが収容されている。
しかしながら、ケーシング41の分割形態は、入力軸63と差動機構15の前側半分を収容するケーシング本体と、差動機構15の後側半分を収容するカバー体とするように差動機構15の軸心を含む分割面で分割しボルトなどにより一体結合してもよい。
本実施の形態における差動機構15は、デフケース3と、ピニオンシャフト49と、ピニオン5と、一対のサイドギヤ7,9と、一対の出力軸11,13とを備えている。
デフケース3は、軸方向両側に形成されたボス部51,53でそれぞれベアリング55,57を介してケーシング41のカバー体47及び第1ケーシング43に回転可能に支持されている。また、デフケース3には、ギヤ部39がボルトによって固定されたフランジ部59が形成され、ギヤ部39が駆動力を伝達する動力伝達ギヤ37と噛み合い、これら動力伝達ギヤ37とギヤ部39とでギヤ組61を構成している。
ギヤ組61は、小径のピニオンである動力伝達ギヤ37と、大径のリングギヤであるギヤ部39とからなるベベルギヤ組で変速駆動されるように構成され、プロペラシャフト419(図1参照)に伝達された駆動力を方向変換する。このギヤ組61を構成する小径のピニオンである動力伝達ギヤ37は、入力軸63の軸方向一端側に入力軸63と連続する一部材で形成され、入力軸63から入力された駆動力を方向変換してデフケース3に伝達する。
入力軸63は、軸心がデフケース3の回転軸心と直交する方向に配置され、軸方向に配置された2つのベアリング65,67を介してケーシング41の第1ケーシング43に回転可能に支持されている。この入力軸63の他端側外周には、スプライン形状の連結部69が形成され、プロペラシャフト419(図1参照)に連結される連結部材71が一体回転可能に連結されている。
連結部材71は、入力軸63の端部にナット73をねじ締結することによって軸方向位置が固定されると共に、ベアリング65,67に予圧が付与され入力軸63の軸方向位置が位置決めされる。また、連結部材71と第1ケーシング43との径方向間にはケーシング41の内部と外部とを区画するシール部材75が配置されると共に、連結部材71の外周にはシール部材75のリップ部と摺動するダストカバー77が配置されている。この連結部材71を介して入力軸63に伝達された駆動力は、ギヤ組61を介してデフケース3に伝達され、デフケース3に収容されたピニオンシャフト49と、ピニオン5と、一対のサイドギヤ7,9と、一対の出力軸11,13とに伝達される。
ピニオンシャフト49は、長尺のシャフトからなり、端部をデフケース3に係合してピンで抜け止め及び回り止めされ、デフケース3と一体に回転駆動される。このピニオンシャフト49には、ピニオン5が支承されている。
ピニオン5は、デフケース3の周方向等間隔に2つ配置され、長尺のピニオンシャフト49の両端側に支承されてデフケース3の回転によって公転する。また、ピニオン5の背面側とデフケース3との径方向間には、ピニオン5の公転時に発生する径方向への移動を受ける球面ワッシャ79が配置されている。このピニオン5は、一対のサイドギヤ7,9に駆動力を伝達すると共に、噛み合っている一対のサイドギヤ7,9に差回転が生じると回転駆動されるようにピニオンシャフト49に自転可能に支持されている。
一対のサイドギヤ7,9は、それぞれのボス部でデフケース3に相対回転可能に支持され、ピニオン5と噛み合っている。また、サイドギヤ7,9の背面側とデフケース3との軸方向間には、ピニオン5との噛み合い反力によるサイドギヤ7,9の軸方向への移動を受けるスラストワッシャ81,83が配置されている。
この一対のサイドギヤ7,9は、内周側にスプライン形状の連結部85,87が形成され、それぞれ後車軸421,423(図1参照)側に連結された一対の出力軸11,13(出力軸11については図1参照)がサイドギヤ7,9と一体回転可能に連結され、デフケース3に入力された駆動力を後車軸421,423を介して後輪425,427(図1参照)へ出力する。
一対の出力軸11,13は、それぞれ一対のサイドギヤ7,9と後車軸421,423(図1参照)とに一体回転可能に配置され、デフケース3に入力された駆動力を後輪425,427(図1参照)側に出力する。また、出力軸11(図1参照)とケーシング41のカバー体47との径方向間にはケーシング41の内部と外部とを区画するシール部材89が配置されている。この一対の出力軸11,13のうち出力軸13は、入力部17と出力部19とからなる。
入力部17は、サイドギヤ9側が軸状に形成されると共に断続部31側のクラッチドラム部が接続して連続する部材で中空状に形成されている。また、入力部17とデフケース3のボス部53との径方向間には、摺動ブッシュなどの摺動部材91が配置されている。また、入力部17の断続部31側のクラッチドラム部内周には、スプライン形状の係合部93が形成され、断続部31の外側クラッチ板が係合されている。この入力部17は、サイドギヤ9側の軸状の外周が連結部87を介してサイドギヤ9と一体回転可能に連結される。このような入力部17の断続部31側の回転軸心部には、出力部19が入力部17と相対回転可能に配置されている。
出力部19は、中空状に形成され、外周でベアリング95を介して入力部17と相対回転可能に、またベアリング97を介して第2ケーシング45に支持されている。また、出力部19の軸心側の中央部には、区画壁99が出力部19と連続する一部材で設けられ、ケーシング41の内部と外部とを区画している。なお、区画壁99は、別体に取り付けられる封止プラグであってもよい。また、出力部19の軸方向一端側外周とケーシング41の第2ケーシング45との径方向間には、ケーシング41の内部と外部とを区画するシール部材101が設けられている。
この出力部19の軸方向一端側内周には、スプライン形状の連結部103が形成され、後車軸423(図1参照)が出力部19と一体回転可能に連結される。このような出力部19の軸方向他端側外周には、スプライン形状の係合部105が形成され、断続部31の内側クラッチ板が係合されている。このような入力部17と出力部19との間に伝達される駆動力は、断続機構21によって断続される。
断続機構21は、動力伝達ギヤ37を軸方向に挟んでデフケース3のギヤ部39の反対側に配置され、断続部31と、押圧部材33とを備えている。
断続部31は、複数の外側クラッチ板と、複数の内側クラッチ板とを備えている。複数の外側クラッチ板は、入力部17のクラッチドラム部内周に形成された係合部93に軸方向移動可能で入力部17と一体回転可能に係合されている。複数の内側クラッチ板は、複数の外側クラッチ板に対して軸方向に交互に配置され、出力部19の外周に形成された係合部105に軸方向移動可能で出力部19と一体回転可能に係合されている。
この断続部31は、滑り摩擦を伴い伝達トルクを中間制御可能な制御型の複数のクラッチ板からなる多板クラッチとなっている。この断続部31は、押圧部材33によって押圧接続され、入力部17と出力部19との間の動力伝達を可能とする。
押圧部材33は、断続部31に軸方向に隣接配置され、移動部107と、押圧部109とを備えている。移動部107は、環状に形成され、出力部19の外周に軸方向移動可能に配置されている。この移動部107と断続部31との軸方向間には、押圧部109が配置されている。
押圧部109は、環状に形成され、移動部107との軸方向間に移動部107との相対回転を許容させると共に移動部107の軸方向移動を押圧部109に伝達させるスラストベアリング111を介して移動部107の外径側に配置されている。また、押圧部109の内径側には、押圧部材33を断続部31の接続解除方向に付勢する付勢部材35が配置されている。
付勢部材35は、皿ばねからなり、常時、押圧部材33を断続部31の接続解除方向に付勢する。このため、押圧部材33がアクチュエータ23によって断続部31の接続方向に移動操作されていない状態では、押圧部109が断続部31の複数のクラッチ板に接触することがなく、断続部31の複数のクラッチ板が押圧されず、断続部31における引きずりトルクの発生を低減することができる。
このような付勢部材35によって断続部31の接続解除方向に付勢されている押圧部材33の押圧部109は、断続部31の複数のクラッチ板に軸方向に隣接配置され、移動部107がアクチュエータ23によって付勢部材35の付勢力に抗して断続部31の接続方向に移動されることにより、断続部31の複数のクラッチ板を押圧して断続部31を接続させる。
ここで、入力部17とケーシング41の第1ケーシング43との径方向間には、ケーシング41の内部を差動機構15側と断続機構21側とに区画する2つのシール部材113,115が配置されている。この2つのシール部材113,115によって区画されたケーシング41内には、それぞれ差動機構15側と断続機構21側とに粘性の異なる潤滑油が封入されている。
詳細には、差動機構15側に封入される潤滑油は、ギヤ組61の潤滑が可能で、断続機構21側の潤滑油より粘性が高く設定されている。このため、断続機構21が接続解除状態で、潤滑油の粘度抵抗により、ギヤ組61とデフケース3の表面に粘性抵抗を増大させ、回転停止状態を作りやすくすることができる。また、断続機構21側に封入される潤滑油は、差動機構15側に封入される潤滑油より粘性が低く設定されている。これは、断続部31が接続解除状態であるにも関わらず、潤滑油の粘性によって断続機構21の断続部31で引きずりトルクが発生し、入力部17と出力部19との間で動力伝達され、差動機構15からギヤ組61を介してプロペラシャフト419(図1参照)側が回転されることを防止するためである。このため、断続機構21側に封入される潤滑油は、断続部31による引きずりトルクの発生を大幅に抑制すべく、所定の潤滑、摩擦特性の保持、必要以上の油膜形成の排除が可能な特性を合わせ持っている。
つまり、差動機構15側の潤滑油と断続機構21側の潤滑油のそれぞれの粘性を上記のように所定粘度で設定することにより、二輪駆動状態での各機構の機能を確実に達成させ、駆動ロスを大幅に低減することができる。
アクチュエータ23は、動力伝達ギヤ37を軸方向に挟んでデフケース3のギヤ部39の反対側に配置され、電動モータ25と、減速機構27と、変換機構29とを備えている。
電動モータ25は、ケーシング41の第2ケーシング45の外側に組付けられ、ケーシング41の内部にモータ軸117が配置されている。この電動モータ25は、制御手段としてのコントローラ(不図示のECU)に接続され、コントローラによって制御可能に作動される。なお、このコントローラは、電動モータ25の他に車両に設けられた各種センサやトランスファ417の断続部415(図1参照)を作動させるアクチュエータにも接続され、電動モータ25の制御と共にトランスファ417の断続部415の断続も制御している。この電動モータ25のモータ軸117から出力される回転は、減速機構27によって減速される。
減速機構27は、第1減速ギヤ組119と、第2減速ギヤ組121と、第3減速ギヤ組123とを備えている。なお、ケーシング41の第2ケーシング45の減速機構27が配置された開口部分には、ケーシング41を閉塞する閉塞部材125が設けられている。
第1減速ギヤ組119は、電動モータ25のモータ軸117と第1大径ギヤ部127とからなる。第1大径ギヤ部127は、ケーシング41の第2ケーシング45内に第1中間軸129を介して回転可能に支持された第1中間ギヤ131に設けられ、電動モータ25のモータ軸117と噛み合っている。この第1減速ギヤ組119は、電動モータ25の回転を減速して第1中間ギヤ131を介して第2減速ギヤ組121に伝達する。
第2減速ギヤ組121は、第2小径ギヤ部133と第2大径ギヤ部135とからなる。第2小径ギヤ部133は、第1中間ギヤ131に第1大径ギヤ部127と隣接して設けられ、第2大径ギヤ部135と噛み合っている。第2大径ギヤ部135は、ケーシング41の第2ケーシング45内に第2中間軸137を介して回転可能に支持された第2中間ギヤ139に設けられている。この第2減速ギヤ組121は、第1中間ギヤ131からの回転を減速して第2中間ギヤ139を介して第3減速ギヤ組123に伝達する。
第3減速ギヤ組123は、第3小径ギヤ部141と第3大径ギヤ部143とからなる。第3小径ギヤ部141は、第2中間ギヤ139に第2大径ギヤ部135と隣接して設けられ、第3大径ギヤ部143と噛み合っている。第3大径ギヤ部143は、押圧部材33の移動部107の外径に設けられている。この第3減速ギヤ組123は、第2中間ギヤ139からの回転を減速して押圧部材33の移動部107を回転させる。
このように減速機構27は、電動モータ25から押圧部材33の移動部107までの動力伝達経路を3段減速としており、電動モータ25のモータ軸117から変換機構29の作動回転部までのトータル減速比は70以上130以下に設定されている。この減速比の下限値である70より小さい場合には、電動モータ25から押圧部材33の移動部107までに十分に減速させることができず、電動モータ25が大型化し、大きな電力消費を余儀なくされて、電動モータ自体のサイズを小型化することができないばかりか、回転慣性力が大きく、制御レスポンスが悪化してしまう。さらには、制御用のECU素子の許容電流が大きく発熱を伴い、高価なECUの設定を招いてしまう。一方、減速比の上限値である130より大きい場合には、押圧部材33の移動部107の回転と変換機構29における軸方向操作力への変換とを十分に制御することができず、断続部31の断続応答性が悪化すると共に、減速機構の伝達効率が低下し、ギヤ組を用いる場合にはバックラッシュが増大し、制御応答性を悪化させてしまう。
そこで、減速機構27の減速比を70以上に設定することにより、電動モータ25を小型化することができ、消費電力も低減することができる。加えて、電動モータ25の作動を制御するコントローラを小型化することができ、装置を低コスト化することができる。また、減速機構27の減速比を130以下に設定することにより、押圧部材33の移動部107の回転と変換機構29における軸方向操作力への変換とを制御することができ、断続部31の断続応答性を確保することができる。このような減速機構27で減速されて伝達された押圧部材33の移動部107の回転は、変換機構29によって軸方向操作力に変換される。なお、減速機構27の減速比を70以上130以下に設定することによって、断続機構21の制御に係わる電動モータ25の常用電流は5A〜7A以内の低電流域で使用することができる。
変換機構29は、ボールカム機構であり、押圧部材33の移動部107とカムリング145とに周方向に形成された複数のカム面を対向させ、これらのカム面間に介在されたカムボール147からなる。
カムリング145は、出力部19の外周とベアリング97のアウタレースの外周とに配置され、凹凸形状の係合部146を介してケーシング41に回転不能に係合されている。また、カムリング145は、スラスト反力によるベアリング97側への軸方向移動がベアリング97によって規制されている。このカムリング145と押圧部材33の移動部107との軸方向の対向面には、それぞれ周方向に形成された複数のカム面が形成され、これらのカム面間にはカムボール147が介在されている。
カムボール147は、押圧部材33の移動部107の回転によってカムリング145と移動部107との間に差回転が生じることにより、押圧部材33を断続部31側へ軸方向押圧移動させるカムスラスト力を発生させる。
このボールカム機構では、図3〜図5に示すように、初期位置から作動する第1作用角θ1と、この第1作用角θ1から作動する第2作用角θ2とを有し、第1作用角θ1は、第2作用角θ2より小さく設定されている。第1作用角θ1で形成された傾斜面の範囲S1にカムボール147が位置される状態では、図4に示すように、押圧部材33の押圧部109と断続部31のクラッチ板との間に隙間Cが形成され、断続部31が接続解除状態とされる。第2作用角θ2で形成された傾斜面の範囲S2にカムボール147が位置される状態では、図5に示すように、押圧部材33の押圧部109が矢印のように断続部31の複数のクラッチ板を押圧し、断続部31が接続状態となる。
このようにボールカム機構における作用角を第1作用角θ1と第2作用角θ2との2段で構成し、第1作用角θ1を第2作用角θ2より小さく設定することにより、押圧部材33の移動部107が小さな回転角度であっても、押圧部材33の軸方向移動ストロークを確保することができ、断続部31の状態を確実に制御することができる。
このような変換機構29における軸方向操作力、すなわちボールカム機構におけるカムスラスト力とスラスト反力とは、出力部19のみに入力される。詳細には、押圧部材33の押圧部109が断続部31を押圧するカムスラスト力は、断続部31のクラッチ板に隣接配置された受圧プレート106を介して出力部19の係合部105に固定されたC型ワッシャなどからなる第1規制部149に入力される。一方、カムリング145がベアリング97側に移動されるスラスト反力は、ベアリング97のインナレースに隣接配置され出力部19の外周に固定されたC型ワッシャなどからなる第2規制部151に入力される。このように変換機構29における軸方向操作力を出力部19のみに入力させることにより、断続部31の断続特性を安定化させることができる。
このように構成された動力伝達装置1では、電動モータ25の作動により電動モータ25の回転が減速機構27で減速され、変換機構29に伝達される。この変換機構29に伝達された回転は、軸方向操作力に変換され、押圧部材33を付勢部材35の付勢力に抗して断続部31の接続方向に軸方向移動させる。この押圧部材33の軸方向移動により押圧部109が断続部31の複数のクラッチ板を押圧して断続部31が接続される。この断続部31の接続により入力部17と出力部19との間の動力伝達が可能となり、差動機構15のサイドギヤ9と後車軸423(図1参照)との間の動力伝達が可能となる。
一方、断続部31の接続は、電動モータ25を逆回転させることにより、押圧部材33が付勢部材35によって断続部31の接続解除方向に軸方向移動されて解除される。この断続部31の接続解除により入力部17と出力部19との間の動力伝達が遮断され、車両の走行による後輪427(図1参照)の回転が差動機構15のサイドギヤ9に入力されることがない。また、この断続部31の接続解除状態では、車両の走行による後輪425(図1参照)の回転が差動機構15のサイドギヤ7に入力されてピニオン5を回転させ、サイドギヤ9を回転させるが、サイドギヤ9と後車軸423との間の動力伝達が遮断されているので、一対のサイドギヤ7,9は相対回転される。このため、デフケース3が回転されることがなく、ギヤ組61が回転されることがない。
このような動力伝達装置1では、アクチュエータ23が電動モータ25と、この電動モータ25の回転を減速させる減速機構27と、この減速機構27の回転を軸方向操作力に変換させる変換機構29とを有するので、アクチュエータ23の組付方法に厳しい制限がなく、組付性を向上することができる。
また、減速機構27は電動モータ25の回転を減速させる機構であり、変換機構29は回転を軸方向操作力に変換させる機構であるので、減速機構27と変換機構29とが軸方向に大きなスペースを必要とすることがなく、装置を軸方向に小型化することができる。
さらに、アクチュエータ23は、電動モータ25と変換機構29との間に減速機構27を有するので、電動モータ25の回転力を増幅して変換機構29に出力させることができ、電動モータ25を小型化することができる。
従って、このような動力伝達装置1では、アクチュエータ23が電動モータ25と減速機構27と変換機構29とからなるので、アクチュエータ23の組付性を向上でき、小型化することができる。
また、減速機構27は、減速比が70以上130以下に設定されているので、電動モータ25を小型化して消費電力を低減しつつ、断続機構21の断続応答性を確保することができる。
さらに、変換機構29は、ボールカム機構であり、このボールカム機構は、初期位置から作動する第1作用角θ1と、この第1作用角θ1から作動する第2作用角θ2とを有し、第1作用角θ1は、第2作用角θ2より小さく設定されている。このため、変換機構29が得られる回転角度が小さな回転角度であっても、軸方向操作力の軸方向移動ストロークを確保することができ、断続機構21の状態を確実に制御することができる。
また、断続機構21の押圧部材33は、付勢部材35によって断続部31の接続解除方向に付勢されているので、押圧部材33がアクチュエータ23によって断続部31の接続方向に移動操作されていない状態では、押圧部材33が断続部31を押圧することがなく、断続部31における引きずりトルクの発生を低減することができる。
さらに、変換機構29の軸方向操作力は、出力部19に入力されるので、変換機構29の軸方向操作力を別々の部材で受けることがなく、断続機構21の断続特性を安定化させることができる。
また、断続機構21とアクチュエータ23とは、動力伝達ギヤ37を軸方向に挟んでデフケース3のギヤ部39の反対側に配置されているので、動力伝達装置1における差動機構15の回転軸心の軸方向の回転バランスを保持することができ、動力伝達を安定化させることができる。
(第2実施形態)
図6を用いて第2実施形態について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置201は、変換機構203は、ボールねじ機構である。
また、ボールねじ機構は、断続機構21と径方向にオーバーラップして配置されている。なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
ここで、図6に示すように、ケーシング41は、差動機構15の軸心を含む分割面によって分割された前側のケーシング本体42と後側のカバー体44とからなり、ケーシング本体40は入力軸63と差動機構15の前側半分を収容し、カバー体42は差動機構15の後側半分を収容する。このケーシング本体40とカバー体42とは、ボルト(不図示)によって一体に締結固定される。
また、差動機構15では、デフケース3と一対のサイドギヤ7,9の背面側との軸方向間には、ピニオン5との噛み合い反力によるサイドギヤ7,9の軸方向への移動を受けるスラストベアリング205,207が配置されている。このようなスラストベアリング205,207を適用することにより、デフケース3と一対のサイドギヤ7,9との間の摺動抵抗を低減することができる。
さらに、入力部17とケーシング41の第1ケーシング43との径方向間には、ケーシング41の内部を差動機構15側と断続機構21側とに区画するシール部材209が配置されている。このシール部材209は、1つの基部に対して2つのリップ部が背面合わせにされた構造となっている。このようなシール部材209を適用することにより、部品点数を削減することができる。
また、出力部19の外周には、スプライン形状の連結部211が形成され、出力連結部材213が出力部19と一体回転可能に連結されている。この出力連結部材213の外周には、スプライン形状の係合部215が形成され、断続部31の内側クラッチ板が係合されている。このような出力連結部材213には、変換機構203が軸方向に隣接配置されている。
図6に示すように、変換機構203は、入力部17、断続部31、出力連結部材213及び出力部19と径方向にオーバーラップして配置されたボールねじ機構であり、ねじ軸217と、ナット219と、ねじ軸217とナット219との間に介在する複数のボール221とを備えている。
ねじ軸217は、2つの部材が溶接などの固定手段によって一体に固定され、ニードルベアリング223とベアリング97とを介して出力部19の外周に配置され、凹凸形状の係合部225を介してケーシング41に回転不能に係合されている。このねじ軸217の外周側には、ナット219が配置されている。
ナット219は、ねじ軸217の外周に軸方向移動可能で回転可能に配置されている。このナット219とねじ軸217との径方向間の合わせ面には、螺旋溝が形成されている。この螺旋溝内には、複数のボール221が介在されている。
複数のボール221は、螺旋溝内に回転可能に配置され、ナット219の回転によるナット219の軸方向移動を小さな回転力で可能とする。このナット219の回転は、押圧部材33の移動部107によって付与される。
なお、押圧部材33の移動部107は、スプライン形状の連結部227を介して軸方向移動可能でナット219と一体回転可能に連結されている。また、押圧部材33を断続部31の接続解除方向に付勢する付勢部材229は、ウェーブスプリングからなる。この押圧部材33の移動部107は、電動モータ25から減速機構27を介して減速された回転によって回転される。
このような押圧部材33の移動部107の回転は、連結部227を介してナット219を回転させる。このナット219の回転により、ナット219が断続部31の接続方向に軸方向移動され、移動部107を断続部31の接続方向に軸方向移動させる。この移動部107の軸方向移動により、スラストベアリング111を介して押圧部材33の押圧部109が付勢部材229の付勢力に抗して断続部31の接続方向に軸方向移動され、押圧部109が断続部31の複数のクラッチ板を押圧して断続部31が接続される。この断続部31の接続により入力部17と出力部19との間の動力伝達が可能となり、差動機構15のサイドギヤ9と後車軸423(図1参照)との間の動力伝達が可能となる。
一方、断続部31の接続は、電動モータ25の作動を停止することにより、押圧部材33の押圧部109が付勢部材229によって断続部31の接続解除方向に軸方向移動されて解除される。この断続部31の接続解除により入力部17と出力部19との間の動力伝達が遮断され、車両の走行による後輪427(図1参照)の回転が差動機構15のサイドギヤ9に入力されることがない。
このとき、付勢部材229は、押圧部材33の移動部107を介してナット219を断続部31の接続解除方向に付勢している。このため、付勢部材229は、ナット219を初期位置に位置させ、ボールねじ機構の初期位置を規定している。また、付勢部材229による押圧部材33の軸方向移動は、移動部107とねじ軸217との当接によって規制される。この移動部107とねじ軸217とが当接した状態では、ねじ軸217とナット219との軸方向間に隙間が形成されている。このようにボールねじ機構の初期位置を移動部107とねじ軸217との当接によって規定することにより、ナット219がねじ軸217に当接してナット219の軸方向移動によるナット219の回転によってナット219がねじ軸217側に噛み込んで、ボールねじ機構がセルフロックしてしまうことを防止できる。
なお、押圧部材33の移動部107とねじ軸217と軸方向間には、摩擦力の高い摺動部材231が配置されている。このため、付勢部材229の付勢力による押圧部材33の軸方向移動により、移動部107と摺動部材231とが当接すると、摺動部材231の高い摩擦力によって移動部107の回転が最小限に抑えられ、移動部107及びナット219の回転による軸方向移動を最小限に抑えることができる。
このような変換機構203における軸方向操作力、すなわちボールねじ機構における断続部31の接続方向操作力と接続解除方向操作力とは、出力部19のみに入力される。詳細には、押圧部材33の押圧部109が断続部31を押圧する接続方向操作力は、断続部31のクラッチ板に隣接配置された受圧プレート216を介して出力連結部材213の係合部215に固定されると共に出力連結部材213に隣接配置され出力部19の連結部211に固定されたC型ワッシャなどからなる第1規制部233,235に入力される。一方、付勢部材229によって押圧部材33の移動部107がねじ軸217に当接される接続解除方向操作力は、ベアリング97のインナレースに隣接配置され出力部19の外周に固定されたC型ワッシャなどからなる第2規制部151に入力される。このように変換機構203における軸方向操作力を出力部19のみに入力させることにより、断続部31の断続特性を安定化させることができる。
このような動力伝達装置201では、変換機構203がボールねじ機構であるので、小さな回転力を大きな軸方向操作力に変換することができ、電動モータ25をさらに小型化することができる。
また、ボールねじ機構は、断続機構21と径方向にオーバーラップして配置されているので、軸方向の移動ストロークが長いボールねじ機構が配置されても装置の軸方向への大型化を抑制することができる。
(第3実施形態)
図7を用いて第3実施形態について説明する。
本実施の形態に係る動力伝達装置301は、差動機構15と断続機構21とは、ケーシング41に収容され、ケーシング41には、差動機構15側と断続機構21側とを区画するシール部材303が配置されている。
なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
図7に示すように、差動機構15は、ケーシング41の第1ケーシング43側に収容され、断続機構21は、ケーシング41の第2ケーシング45側に収容されている。なお、アクチュエータ23の変換機構29は、ボールカム機構となっている。このような差動機構15と断続機構21とを収容するケーシング41内は、シール部材303によって差動機構15側と断続機構21側とに区画されている。
シール部材303は、1つの基部に対して2つのリップ部が背面合わせにされた構造となっており、入力部17とケーシング41の第1ケーシング43との径方向間に配置されている。このシール部材303によって区画されたケーシング41内には、それぞれ差動機構15側と断続機構21側とに種類の異なる潤滑油が封入されている。
ここで、例えば、潤滑油の種類として粘性に着目した場合、断続機構21側に封入される潤滑油の粘性が高い場合には、断続部31が接続解除状態であるにも関わらず、潤滑油の高い粘性によって断続機構21の断続部31で引きずりトルクが発生し、入力部17と出力部19との間で動力伝達される恐れがあった。このように入力部17と出力部19との間で動力伝達されてしまうと、車両が前輪駆動の二輪駆動状態でトランスファ417(図1参照)からプロペラシャフト419(図1参照)側への駆動力の伝達が遮断されているにも関わらず、車両の走行による後輪427(図1参照)の回転が差動機構15のサイドギヤ9に入力されてデフケース3が回転され、ギヤ組61を介してプロペラシャフト419を回転させてしまう。
そこで、断続機構21側に封入される潤滑油は、差動機構15側に封入される潤滑油より粘性が低く設定されている。このように断続機構21側の潤滑油の粘性を低く設定することにより、潤滑油の粘性による断続機構21の断続部31での引きずりトルクの発生を大幅に低減することができる。
このような動力伝達装置301では、ケーシング41には、差動機構15側と断続機構21側とを区画するシール部材303が配置されているので、差動機構15側と断続機構21側とにそれぞれ機能に応じた種類の異なる潤滑油を収容させることができる。
なお、本発明の実施の形態に係る動力伝達装置では、入力部の内周側に出力部が配置されているが、入力部の外周側に出力部を配置する構成でもよく、入力部と出力部との配置関係は周辺部材の干渉などを考慮して適宜選択すればよい。
また、断続部は、摩擦クラッチとなっているが、これに限らず、噛み合いクラッチなど入力部と出力部との間の動力伝達を断続できるものであれば、どのような形態であってもよい。
上述した各実施の形態では、減速機構に外接噛み合い式の3段減速ギヤを用いて、所定の減速比(70以上130以下)に設定している。この3段減速ギヤによれば、平行に配置される各ギヤの軸心の相対的な位置関係を設定することにより、ケーシング41(特に第2ケーシング45)の外方への張り出しを抑制して、周囲の構成物との干渉を防止するレイアウトが容易である。結果として、動力伝達装置をコンパクト化でき、車両への搭載性が向上する。
しかしながら、本発明における減速機構は、上述した機構に限らず、内接噛み合いギヤを用いた機構や外接噛み合いギヤを用いても併列させた不思議歯車を用いた機構、或いはウォームギヤやベベルギヤなどの直交噛み合いギヤを用いた機構、さらにはそれらの組合せなど種々の機構を適用することができる。この場合には、減速機構の減速比は上述した技術的視点をもとに70〜130の間に設定されることが好ましい。
1,201,301…動力伝達装置
3…デフケース
5…ピニオン(差動ギヤ)
7,9…サイドギヤ(出力ギヤ)
11,13…出力軸
15…差動機構
17…入力部
19…出力部
21…断続機構
23…アクチュエータ
25…電動モータ
27…減速機構
29,203…変換機構
θ1…第1作用角
θ2…第2作用角
31…断続部
33…押圧部材
35,229…付勢部材
37…動力伝達ギヤ
39…ギヤ部

Claims (6)

  1. 駆動力が入力されるデフケースと、このデフケースに支承されて自転可能であると共に前記デフケースの回転によって公転する差動ギヤと、この差動ギヤと噛み合って相対回転可能な一対の出力ギヤとを有する差動機構と、この一対の出力ギヤのうちいずれか一方の出力ギヤに一体回転可能に連結される出力軸と、この出力軸に設けられ駆動力が入力される入力部と、前記入力部に伝達された駆動力を出力する出力部と、前記入力部と前記出力部との間に設けられ前記入力部と前記出力部との間の動力伝達を断続する断続機構と、この断続機構を作動させるアクチュエータとを備えた動力伝達装置であって、
    前記アクチュエータは、電動モータと、この電動モータの回転を減速させる減速機構と、この減速機構の回転を軸方向操作力に変換させる変換機構とを有し、
    前記断続機構は、前記入力部に軸方向に隣接配置され、
    前記変換機構は、前記断続機構に軸方向に隣接配置され、
    前記減速機構は、前記変換機構の外径側に配置され、
    前記電動モータは、モータ軸と本体部とを有し、前記モータ軸が前記減速機構に連結され、前記本体部が前記断続機構より軸方向の前記デフケース側に向けて配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 請求項1記載の動力伝達装置であって、
    前記減速機構は、減速比が70以上130以下に設定されていることを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項1又は2記載の動力伝達装置であって、
    前記変換機構は、ボールカム機構であり、このボールカム機構は、初期位置から作動する第1作用角と、この第1作用角から作動する第2作用角とを有し、前記第1作用角は、前記第2作用角より小さく設定されていることを特徴とする動力伝達装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記断続機構は、前記入力部と前記出力部との間の動力伝達を断続する断続部と、この断続部に隣接配置され前記変換機構によって移動操作され前記断続部を押圧して接続させる押圧部材とを有し、前記押圧部材は、付勢部材によって前記断続部の接続解除方向に付勢されていることを特徴とする動力伝達装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記変換機構の軸方向操作力は、前記入力部と前記出力部とのうちいずれか一方に入力されることを特徴とする動力伝達装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
    前記デフケースは、駆動力を伝達する動力伝達ギヤと噛み合うギヤ部を有し、前記断続機構と前記アクチュエータとは、前記動力伝達ギヤを軸方向に挟んで前記ギヤ部の反対側に配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
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