JP6950711B2 - 塩素含有樹脂組成物及びそれを用いてなるパイプ成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、塩素含有樹脂組成物及びそれを用いてなるパイプ成形体に関する。
ポリ塩化ビニルに代表される塩素含有樹脂は、柔軟性が高く加工しやすいうえ、機械的強度等の物性も有するため、管路材料の他、種々様々な用途に広く使用されている。だが一方で、塩素含有樹脂は耐熱性(熱安定性ともいう)に課題があり、加工時や使用時の熱に不安定で加熱により分解が生じることから、耐熱性や加工性向上の観点から、塩素含有樹脂とともに安定剤が併用されるのが通常である。
塩素含有樹脂の安定剤としては、鉛系安定剤が代表的であるが、その他の安定剤も種々開発されている(例えば、特許文献1〜3等参照)。
特開平9−292063号公報 特開2001−302862号公報 特開2002−179615号公報
上述の通り、耐熱性や加工性向上の観点から、塩素含有樹脂には安定剤が併用されるのが通常であり、安定剤としては、高い耐熱性を付与できる点で、主に下水用パイプや継手成型の際に、ステアリン酸鉛等の鉛系安定剤が使用されている。だが、本発明者らが検討を進めるうち、鉛系安定剤の使用によって成形体の物性や外観に影響を及ぼすことを見いだした。すなわち例えば、成形体の形状が大きく又は複雑になるにつれて成形温度も高温になるため、より高い安定性能や成形性を期待して鉛系安定剤を多く使用する傾向にあるが、添加量が多くなると、衝撃物性の低下や耐候変色等の問題点が生じやすくなる。また鉛系安定剤の増加につれ、成形体の生産時にプレートアウト(すなわち金型やサイジング等に樹脂組成物が付着する現象)が発生することが多々あり、プレートアウトが発生すると、成形体の外観低下(光沢低下、亀裂やスジ発生等)や物性低下(衝撃強度低下)が生じる点で課題がある他、プレートアウト物を取り除くために金型やサイジング等の装置の洗浄作業が必要になることから、設備や作業面でも課題があった。なお、成形体を連続生産する際にこのようなプレートアウトの課題が特に顕著に現れる。
ここで、鉛系安定剤の使用量を削減して、スズ系化合物やハイドロタルサイト、多価アルコール化合物を代わりに添加する手法も考えられる(特許文献1〜3等参照)。だが、耐熱性が充分とはならないため、この点で課題がある。また、加工性も変化するため、別途、滑剤等の添加剤を加減して加工性を調整する必要がある等、煩雑な作業が必要になる他、成形品に与える影響も懸念される。スズ系化合物の場合は、耐熱性は良いものの、高価で加工性の調整が更に難しくなる。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れるとともに、各種物性に優れる成形体を、その物性や外観を低下させることなく、作業性よく、容易かつ簡便に与えることができる塩素含有樹脂組成物を提供することを目的とする。また、このような塩素含有樹脂組成物を用いてなる、硬質下水用パイプ等の成形体を提供することも目的とする。
本発明者らは、パイプ成形等に有用な塩素含有樹脂組成物について鋭意検討を進めるうち、塩素含有樹脂とステアリン酸鉛の使用により上述した課題が生じることを見いだした。そこで、塩素含有樹脂及び所定量のステアリン酸鉛に過塩素酸系ハイドロタルサイトを併用させると、加工性の調整を不要又は簡略化しながらも、特異的に優れた耐熱性を発揮でき、しかもプレートアウトの発生を充分に抑制することができることを見いだした。このような組成物は特に、連続生産されるパイプ、中でも硬質下水用パイプの成形に有用な組成物となることを見いだした。そして、外観や物性低下が防止されて、良好な色調を示す成形品(成型体又は成形体とも称す)を収率良く生産することができ、かつ該成型体が所望の物性に優れることを見いだした。このような塩素含有樹脂組成物を用いると、プレートアウト発生に伴う金型やサイジング等の洗浄作業を省略又は簡略化することができるため、成形体の生産性が向上し、工業上有利である。このようにして上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、塩素含有樹脂、過塩素酸系ハイドロタルサイト及びステアリン酸鉛を含み、該塩素含有樹脂100質量部に対し、過塩素酸系ハイドロタルサイトの含有量は0.01質量部以上、ステアリン酸鉛の含有量は0.5〜2.0質量部である塩素含有樹脂組成物である。
上記過塩素酸系ハイドロタルサイトは、ハイドロタルサイトを、過塩素酸、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム及び過塩素酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物で処理したものであることが好ましい。
上記過塩素酸系ハイドロタルサイトの含有量は、上記塩素含有樹脂100質量部に対し、1質量部以下であることが好ましい。
上記塩素含有樹脂組成物は、パイプ成形用の樹脂組成物であることが好ましい。
本発明はまた、上記塩素含有樹脂組成物を用いてなる成形体でもある。
上記成形体は、硬質下水用パイプであることが好ましい。
本発明の塩素含有樹脂組成物は、上述の構成よりなり、耐熱性に極めて優れるものである。またこれを用いれば、各種物性に優れる成形体をその物性や外観を低下させることなく、作業性よく、容易かつ簡便に与えることができるため、工業上極めて有利である。更に、加工性の調整作業を不要又は簡略化することができるとともに、ステアリン酸鉛の低減も期待できる。このような樹脂組成物は、連続生産されるパイプ、中でも硬質下水用パイプの成形に特に有用である。また近年、塩素含有樹脂組成物の成型はコストダウンのため高速化してきている。高速化に対応するため、添加剤の添加量は減らしつつ添加剤中のステアリン酸鉛等の鉛系安定剤の比率を抑え滑剤の比率を増やす傾向にあるが、本発明ではステアリン酸鉛の量を減らすことも可能なので、滑剤の比率を増やす余地が大きくなる。
試験例1〜6で得たシートについて、後述の2)プレス耐熱試験を行った際、経時で外観を撮影した写真である。図中、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)はそれぞれ、試験例1、2、3、4、5、6で得たシートを用いた場合の外観写真である。 試験例1〜4で得たシートについて、後述の3)オーブン耐熱試験を行った際、経時で外観を撮影した写真である。図中、(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、試験例1、2、3、4で得たシートを用いた場合の外観写真である。 STABIACE HT−1NC(堺化学工業社製、ハイドロタルサイト)の赤外吸収分光スペクトルである。なお、1100cm−1付近のピークと、1350〜1400cm−1のピークとに印を付した(図4、5も同様である)。 調製例1で得た過塩素酸系ハイドロタルサイト(調製1)の赤外吸収分光スペクトルである。 アルカマイザー5(協和化学工業社製、過塩素酸系ハイドロタルサイト)の赤外吸収分光スペクトルである。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1、塩素含有樹脂組成物
本発明の塩素含有樹脂組成物(単に「樹脂組成物」とも称す)は、塩素含有樹脂と、過塩素酸系ハイドロタルサイトと、ステアリン酸鉛とを含む。必要に応じ、更に他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよく、各含有成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。以下、各含有成分について説明する。
1)塩素含有樹脂
塩素含有樹脂は、塩素原子を含む樹脂(重合体)である限り特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂が好ましい。これにより、柔軟性や難燃性に優れる成形体が得られる。
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン等の単独重合体;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−マレイミド共重合体等の共重合体;等が挙げられる。
なお、塩素含有樹脂と塩素非含有樹脂とのブレンド品を使用してもよいし、また塩化ビニル系樹脂を得るための重合方法は特に限定されない。
2)過塩素酸系ハイドロタルサイト
過塩素酸系ハイドロタルサイトは、ハイドロタルサイト型構造を有する粉体であって、かつ過塩素酸で処理されたものであれば特に限定されないが、金属元素として、マグネシウム元素(Mg)及び/又は亜鉛元素(Zn)と、アルミニウム元素(Al)とを含むものが好適である。これにより、成形体の耐熱性が更に向上する。
過塩素酸系ハイドロタルサイトとしてより好ましくは、下記一般式(1):
{(Mg)(Zn)}(Al)(OH)(An−z/n・mHO (1)
(式中、An−は、1種又は2種以上のn価の層間アニオンを表し、少なくとも過塩素酸イオン(ClO )を含む。x、y及びzは、0<x<1、0≦y<1、0.2≦z≦0.4、x+y+z=1を満たす数である。n及びmは、それぞれ1≦n≦4、及び、0≦mを満たす数である。)で表されるものである。
上記一般式(1)中、n価の層間アニオンは、少なくとも過塩素酸イオン(ClO )を含む。過塩素酸イオンのみであってもよいが、過塩素酸イオンとともに他の層間アニオンを有してもよい。他の層間アニオンとしては特に限定されないが、反応性及び環境負荷低減の観点から、水酸化物イオン(OH)、炭酸イオン(CO 2−)及び硫酸イオン(SO 2−)からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。中でも、炭酸イオンが好ましい。
なお、式中のnは、層間アニオンの価数によって適宜調整すればよい。過塩素酸イオンであれば1である。
x、y及びzは、0<x<1、0≦y<1、0.2≦z≦0.4、x+y+z=1を満たす数である。y=0である場合は、Mg/Al系ハイドロタルサイトと称され、0<yである場合は、亜鉛変性ハイドロタルサイトとも称される。本発明では、これらのいずれも好適に使用できる。
過塩素酸系ハイドロタルサイトはまた、ハイドロタルサイトを、過塩素酸、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム及び過塩素酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物で処理し、過塩素酸イオンがハイドロタルサイト構造に取り込まれたものであることが好ましい。中でも、成形機中での着色の程度が反映されるとされるプレス耐熱性を重視する観点から、過塩素酸で処理することが好ましい。また過塩素酸系ハイドロタルサイトには、過塩素酸根が一定量含まれることが好ましい。過塩素酸系ハイドロタルサイトに含まれる過塩素酸根(ClO4−)は、赤外吸収分光光度計による測定で1100cm−1付近に現れるピークで確認することができる。このとき、1100cm−1付近に現れるピークAの強度と、1350〜1400cm−1に現れる炭酸根(CO 2−)ピークBの強度との比(A/B)は、下限が1以上であることがより好ましい。より好ましくは30以上である。また、上限は1000未満であることが好ましい。より好ましくは100未満である。
過塩素酸系ハイドロタルサイト中の粒子の形状は特に限定されず、例えば、板状、球状、円盤状等が挙げられる。粒子形状は、走査型電子顕微鏡等により観察することができる。
過塩素酸系ハイドロタルサイトの平均粒子径は特に限定されないが、例えば、0.1〜20μmであることが好ましい。これにより塩素含有樹脂への分散性が向上され、本発明の作用効果がより向上する。より好ましくは0.1〜10μmである。
本明細書中、平均粒子径は、例えば、レーザー回折粒度分布測定装置(HORIBA社製LA950)を用いてD50として測定することができる。D50とは、体積基準での50%積算粒径を意味し、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径をいう。具体的には、以下の方法に従って求められる。
〔D50の測定方法〕
サンプル(試料粉体)0.1gに0.025wt%(質量%)ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液60mLを加え、超音波ホモジナイザー(US−600、日本精機製作所社製)を用いて、強度をV−LEVEL3に設定して2分間分散処理を行うことにより、サンプルの懸濁液を準備する。この後、0.025wt%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を試料循環器に循環させ、透過率が80〜95%になるように上記懸濁液を滴下して、循環速度5、撹拌速度1にて、60秒間超音波分散してから測定を行う。
過塩素酸系ハイドロタルサイトの比表面積(SSAとも称す)は特に限定されないが、例えば、0.1〜100m/gであることが好ましい。これにより、塩素含有樹脂への分散性が向上され、本発明の作用効果がより向上する。より好ましくは0.5〜50m/g、更に好ましくは1〜30m/gである。
本明細書中、比表面積は、BET法により得られたBET比表面積(SSAとも称す)を意味する。BET法は、窒素等の気体粒子を固体粒子に吸着させ、吸着した量から比表面積を測定する気体吸着法であり、圧力Pと吸着量Vとの関係からBET式によって単分子吸着量VMを求めることで、比表面積が定まる。具体的には、以下の条件によりBET比表面積を求める。
〔比表面積の測定条件〕
使用機:マウンテック社製、Macsorb Model HM−1220
雰囲気:窒素ガス(N
外部脱気装置の脱気条件:105℃−15分
比表面積測定装置本体の脱気条件:105℃−5分
過塩素酸系ハイドロタルサイトは、粉体中の粒子が被覆層を有していてもよい。この場合、当該被覆層を有する粒子を含むハイドロタルサイトの物性が、上述した物性(平均粒子径、比表面積等)を満たすことが好ましい。被覆層を有する粒子としては特に限定されないが、表面処理剤を用いて表面処理を行って被覆したものであることが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、過塩素酸系ハイドロタルサイトの含有量(2種以上含む場合はその合計量を意味する。)は、塩素含有樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上である。これにより、ステアリン酸鉛を増量することなく特異的に優れた耐熱性を発揮できるとともに、加工性の調整作業を不要又は簡略化することができ、またプレートアウトの抑制効果を発揮することもできる。上記含有量はまた、1質量部以下であることが好ましい。これより、発泡を充分に抑制することができるため、製品外観がより良好なものとなる。より好ましくは0.5質量部未満、更に好ましくは0.4質量部以下、特に好ましくは0.3質量部以下、一層好ましくは0.2質量部以下、最も好ましくは0.1質量部以下である。
本発明で使用する過塩素酸系ハイドロタルサイトの製造方法に限定はなく、例えばハイドロタルサイト粉体、あるいはハイドロタルサイトを含むスラリーに濃度5〜80%の過塩素酸水溶液を添加することでも得られる。
3)ステアリン酸鉛
本発明の樹脂組成物において、ステアリン酸鉛の含有量は、塩素含有樹脂100質量部に対し、0.5〜2.0質量部である。この範囲内であると、耐熱性が充分となって、例えば成形品に焼け等の外観不良が生じるおそれも低減され、ロングラン性能も向上する他、成形品の衝撃物性や耐候性の低下も抑制される。好ましくは0.7〜1.8質量部、更に好ましくは1.0〜1.5質量部である。
4)他の成分
本発明の樹脂組成物は、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。例えば、ステアリン酸鉛以外の熱安定剤、加工助剤、強化剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、耐熱助剤等の各種添加剤が挙げられる。
各添加剤はそれぞれ特に限定されないが、例えば、ステアリン酸鉛以外の熱安定剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜硫酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛等が挙げられる。
加工助剤としては、(メタ)アクリル酸エステル系重合体等のアクリル系加工助剤が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。アクリル系加工助剤は、上記のアクリル酸及び/又はそのエステルや、メタクリル酸及び/又はそのエステルそれぞれの単独の重合体であっても2種以上の共重合体であってもよい。重合体の重量平均分子量は20万〜700万であることが好ましい。
上記アクリル系加工助剤の市販品としては、例えば、三菱レイヨン社製のメタブレンPタイプ、カネカ社製のカネエースPAシリーズ、ローム・アンド・ハース社製のパラロイドKシリーズ等が挙げられる。
強化剤としては、例えば、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエンスチレン共重合体)等のブタジエン系強化剤、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、工業用白色鉱油、合成パラフィン、石油系ワックス、ペトロラタム;無臭軽質炭化水素、シリコーンオルガノポリシロキサン、脂肪酸、脂肪族アルコール高級脂肪酸動物又は植物油脂から得られた脂肪酸及びそれらの脂肪酸を水素添加したもので、炭素数が8〜22のもの;ヒドロキシステアリン酸等の直鎖ヒドロキシ脂肪酸;動物、植物油脂又はそれらの脂肪酸エステルを還元又は天然ロウを分解蒸留して得られる炭素数4以上のもの;トリデシルアルコール、ポリエチレングリコール分子量200〜9500のもの;ポリプロピレングリコール分子量1000以上のもの;ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ブロック重合体分子量1900〜9000のもの;の他、オレイルパルミトアマイド、ステアリルエルカアマイド、2ステアロアミドエチルステアレート、エチレンビス脂肪酸アマイド、N,N’−オレオイルステアリルエチレンジアミン、N,N’ −ビス(2ヒドロキシエチル)アルキル(C12〜C18)アマイド、NN’ビス(ヒドロキシエチル)ラウロアマイド、N−アルキル(C16〜C18)トリメチレンジアミンと反応したオレイン酸脂肪酸ジエタノールアミン、ジ(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミンモノアセテートのジステアリン酸エステル、ステアリン酸n−ブチル水添ロジンメチルエステル、セバチン酸ジブチル<n−ブチル、イソブチル共>、セバチン酸ジオクチル<2エチルヘキシル、n−オクチル共>、グリセリン脂肪酸エステルグリセリンラクトステアリルペンタエリスリトールのステアリン酸エステル<モノ、ジ、トリ、テトラ共>、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールヤシ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールトール油脂肪酸エステル、エタンジオールモンタン酸エステル、1,3ブタンジオールモンタン酸エステル、ジエチレングリコールステアリン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、トリグリセライド、アマニ油、パーム油、12−ヒドロオキシステアリン酸のグリセリンエステル、水添魚油、牛脂、スパームアセチワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、密蝋、木蝋、硬化鯨油ラウリルステアレート、ステアリルステアレートなど一価脂肪族アルコールの脂肪族飽和酸エステル、ラノリン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど高級脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、フッ素系樹脂、ポリ4フッ化エチレン、4フッ化エチレン/6フッ化プロピレン共重合体、ポリ塩化3フッ化エチレン、ポリフッ化ビニル、その他プロピレングリコールアルギネート、ジアルキルケトン、アクリルコポリマー(例えばモンサント社製モダフロー等)が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}〕エチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノ(ジノニルフェニル)ビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(C12-15 混合アルキル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)(オクチル)ホスファイト等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、TiO、酸化ジルコニウム、BaSO、酸化亜鉛(亜鉛華)リトポン(硫化亜鉛と硫酸バリウムとの混合物)、カーボンブラック、カーボンブラックと二酸化チタンの混合物、酸化鉄、Sb、Cr、コバルトブルー、コバルトグリーン等のスピネル、ウルトラマリンブルー等の無機顔料や、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、アントラキノン顔料等の有機顔料が挙げられる。更に、上記顔料を複合した複合顔料も挙げられる。
耐熱助剤としては、例えば、過塩素酸系ハイドロタルサイト以外のハイドロタルサイト、ゼオライト、ジペンタエリスルトールとアジピン酸との部分エステル、ポリオール類及びトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を得る方法は特に限定されず、塩素含有樹脂、過塩素酸系ハイドロタルサイト、ステアリン酸鉛及び必要に応じて使用される任意成分を混合すればよい。中でも、一度に大量に混合する場合は、ステアリン酸鉛と過塩素酸系ハイドロタルサイトとを予め混合した後に、塩素含有樹脂に添加することが好ましい。更に好ましくは、過塩素酸系ハイドロタルサイトをステアリン酸鉛と40℃以下で予め混合した後に、他の添加剤を加え40℃以下で混合し鉛系安定剤組成物とし、その後に塩素含有樹脂に添加することである。過塩素酸系ハイドロタルサイトと滑剤等に含まれる脂肪酸又は遊離脂肪酸が高温で接触すると、過塩素酸系ハイドロタルサイトの性能が発現しないことがある。ここでいう「大量に混合する」とは、概ね、鉛系安定剤組成物として数100kg〜数トンを混合する場合である。
なお、混合方法は特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサーで混合し、得られた混合物をロール、バンバリーミキサー、押出機等を用いて均一に混練することが好適である。
2、成形体
本発明はまた、上述した本発明の樹脂組成物を用いてなる成形体、すなわち本発明の樹脂組成物から形成される成形体でもある。このような成形体は、外観が良好で、各種物性にも優れることから、各種用途に有用である。
上記成形体を得るための成形方法(成型方法)は特に限定されず、例えば、押出成形、射出成形、ロール成形、ディップ成形、ブロー成形等が挙げられる。上述したように本発明の樹脂組成物は耐熱性に特に優れることから、高温成形に特に有用である。特に、成形温度が200℃以上の成形時に特に好ましく用いることができる。本発明の樹脂組成物はまた、上述したようにプレートアウトの発生を抑制することができるため、連続成形にも好適に適用できる。
上記成形体として特に好ましくは、パイプ、中でも特に硬質下水用パイプである。硬質下水用パイプは、連続押出成形されるのが通常である。それゆえ、耐熱性等の成形体自体の物性が優れることに加えて、作業性が良いことも要求されるが、本発明の樹脂組成物はこのような要求に充分に応えることができるものである。また、硬質下水用パイプは、成型品の寸法安定性、曲げ強度、耐衝撃強度、低温時の耐衝撃強度、外観、管内部の平滑性、口径やロゴマーク表示のための印刷性等の多様な性能を要求されるが、本発明の樹脂組成物はこのような要求にも充分に応えることができるものである。このように上記成形体が硬質下水用パイプである形態は、本発明の好適な形態の1つである。
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
調製例1〜4
STABIACE HT−1NC(堺化学工業社製ハイドロタルサイト)10gを100mlのイオン交換水に添加してスラリーを作製した。このスラリーにハイドロタルサイトと同モルの過塩素酸を加え、80℃で2時間撹拌し、ろ過、乾燥(120℃、10時間)、乳鉢での粉砕を経て過塩素酸系ハイドロタルサイト(調製1)を調製した。過塩素酸を過塩素酸ナトリウム(調製2)、過塩素酸カルシウム(調製3)、過塩素酸マグネシウム(調製4)にそれぞれ置き換え、前述と同様の操作を行い、過塩素酸系ハイドロタルサイトをそれぞれ調製した。
調製例1〜4で得た各過塩素酸系ハイドロタルサイトについて、赤外吸収分光光度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、NICOLET4700)にて分光特性を評価し、1100cm−1付近に現れるピークAの強度と、1350〜1400cm−1に現れるピークBの強度との比(A/B)を求めた。結果を表1に示す。参考のため、アルカマイザー5(協和化学工業社製、過塩素酸系ハイドロタルサイト)についての上記ピーク強度比(A/B)も表1に併記する。また、STABIACE HT−1NC、調製例1で得た過塩素酸系ハイドロタルサイト(調製1)、及び、アルカマイザー5の分光スペクトルを図3〜5に示す。
Figure 0006950711
作製例1(基準色シートの作製)
塩化ビニル樹脂(信越化学工業社製、TK−700)100gに、表3記載の添加剤を表3記載の割合で配合、混合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。得られた塩化ビニル樹脂組成物を、ロール表面温度170℃に調整した8インチロール機(関西ロール社製)にて5分間混練し、厚さ0.3mmのロールシートを作製した。プレス表面温度220℃のプレス機(東洋精機製作所社製、MINI TEST PRESS−10)を用い、上記で作製したシートを7枚重ねて厚さ2mmになるように、100kg/cmにて4分間保持し、基準色シート(色相基準シートとも称す)を得た。
試験例1
塩化ビニル樹脂(信越化学工業社製、TK−1000)100gに、表2記載の添加剤を表2記載の割合で配合、混合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。得られた塩化ビニル樹脂組成物を、ロール表面温度170℃に調整した8インチロール機(関西ロール社製)にて5分間混練し、厚さ0.3mmのロールシートを作製した。このシートを用い、以下の評価試験を行った。結果を表2に示す。
1)プレス色相
プレス表面温度180℃のプレス機(東洋精機製作所社製、MINI TEST PRESS−10)を用い、試験例1で作製したシートを7枚重ねて厚さ2mmになるように、100kg/cmにて10分間保持した。保持後のシートについて、色差計(日本電色工業社製、同時測光方式分光式色差計SQ−2000)にて、作製例1で得た色相基準シートを基準にしてプレス後のシートの色相との色差(ΔE)を測定した。
耐熱性が高いとされるメルカプトスズ系安定剤を多量に添加して成型したものを色相基準シートとしているので、ΔEが小さいほど、成形した製品の外観、色調が良好であると考えられる。
2)プレス耐熱
プレス表面温度180℃のプレス機(東洋精機製作所社製、MINI TEST PRESS−10)を用い、試験例1で作製したシートを7枚重ねて厚さ2mmになるように、100kg/cmにて所定時間(10分、30分、40分)保持した後のシートの外観を撮影した。これを図1に示す。また、30分間保持後のシートについて、上述の手法にて色差(ΔE)を測定した。なお、10分間保持したシートは、上記1)プレス色相で作製したシートと同一である。
ΔEが13以下では、耐熱性が高く色調が良好であり、成型加工中に外観に不具合が発生する可能性は低い一方、13を超えた場合は耐熱性が低いと判断され、成型加工機の故障等のトラブルが発生するおそれがあると考えられる。
3)オーブン耐熱
庫内温度を180℃に保持したESPEC社製ギアオーブンに、試験例1で作成したシートを入れて所定時間(10分、30分、40分、50分、55分)保持した。保持した後のシートの外観を撮影した。これを図2に示す。
また保持する前後のシートを用い、保持する前のシートの色相を基準として、上述の色差計にて40分間保持した後のシートの色相との色差を測定し、ΔEを求めた。
なお、40分間保持した時点でΔEが13以下では、耐熱性が高く色調が良好であり成型加工機の不具合が発生する可能性は低い一方、13を超えると、耐熱性が低いと判断され成型加工機の故障等のトラブルが発生するおそれがあると考えられる。
4)プレートアウト
試験例1で得た塩化ビニル樹脂組成物を用い、冷却機能を備えた吸引サイジング(成形品の表面性を平滑にする装置)を有するラボ押出機(東洋精機製作所社製、コニカル2D20C型、押出条件:C1 175℃、C2 180℃、C3 185℃、AD 185℃、D1 180℃、D2 205℃、金型:パイプ用)において5時間かけてパイプを成型した。このパイプ成型中及び成型が終了した後、金型及びサイジングへのプレートアウト発生状況(すなわち、金型やサイジングへの付着物の発生状況)を目視にて確認した。
試験例2〜10
表2記載の添加剤を表2記載の割合で用いたこと以外は試験例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、ロールシートをそれぞれ作製した。このシートを用い、試験例1と同様に評価試験を行った。結果を表2、図1〜2に示す。
Figure 0006950711
Figure 0006950711
表1〜3中の記号・略号は、以下の通りである。
TK−700:塩化ビニル樹脂、信越化学工業社製
TK−1000:塩化ビニル樹脂、信越化学工業社製
SL−1000:ステアリン酸鉛、堺化学工業社製
アルカマイザー5:過塩素酸系ハイドロタルサイト、協和化学工業社製
調製1〜4:調製例1〜4で得た各過塩素酸系ハイドロタルサイト
HT−1:過塩素酸処理していないハイドロタルサイト(STABIACE HT−1、(Mg)0.67(Al)0.33(OH)(CO 2−0.17・0.5HO)、堺化学工業社製
スーパーSS:炭酸カルシウム、丸尾カルシウム社製
LBT−778:ポリエチレン系ワックス、堺化学工業社製
リケスターSL−02:エステル系ワックス、理研ビタミン社製
顔料:グレー複合顔料、レジノカラー工業社製
MK−2:メルカプトスズ系安定剤、堺化学工業社製
表2及び図1〜2より、以下のことを確認した。
試験例1〜4は、過塩素酸系ハイドロタルサイトの含有量のみが相違する。このうち塩素含有樹脂100質量部に対する過塩素酸系ハイドロタルサイトの含有量が0質量部、すなわち過塩素酸系ハイドロタルサイトを含まない試験例1では、プレス耐熱性及びオーブン耐熱性が不充分で、成型加工機の故障等のトラブルの発生が懸念される(表2参照)。特にプレス耐熱試験において40分以上保持した後、外観が濃い茶色に変色しており、耐熱性が不充分であることが分かる(図1、2参照)。これに対し、含有量が0.01質量部以上となる試験例2〜4では、色相や耐熱性が良好で、プレス耐熱試験で長時間保持した後も変色の程度が小さかった(表2、図1、2参照)。なお、過塩素酸系ハイドロタルサイトを変更した試験例7〜10でも色相や耐熱性が良好である(表2参照)。また、過塩素酸処理していないハイドロタルサイトを用いた場合は(試験例5、6)、プレス耐熱試験において40分以上保持した後、外観が、試験例1とほぼ同様の濃い茶色に変色しており、耐熱性が不充分であることが分かった(図1の(e)(f)参照)。従って、本発明の樹脂組成物は、塩素含有樹脂に、所定量のステアリン酸鉛及び過塩素酸系ハイドロタルサイトを含むことで、耐熱性に特異的に優れること、及び、成形時に物性や外観を低下させることなく、容易かつ簡便に成形体を与えるものであることが分かった。
また試験例1、4で得た各樹脂組成物を用いてプレートアウトに関する評価を行ったところ、試験例1では、成型途中から金型及びサイジングに付着物が確認され、金型またはサイジングから剥がれたと思われる付着物が成型したパイプに付着していたのに対し(表2では「×」と表記した。)、試験例4では、成型終了時には金型及びサイジングにごく少量の付着物が確認されたものの、成型途中にはプレートアウトは確認されず、成型品に全く影響は無かった(表2では「〇」と表記した。)。このことから、本発明の樹脂組成物は、成型時のプレートアウトの発生や経時的な付着量増加を充分に抑制することができることも分かった。また本発明では、ステアリン酸鉛を低減することが可能であるので、ステアリン酸鉛の低減により更にプレートアウトを抑制することが可能である。このことから、透明、半透明パイプを成型する際にも有益と期待される。

Claims (6)

  1. 塩素含有樹脂、過塩素酸系ハイドロタルサイト及びステアリン酸鉛を含み、
    該塩素含有樹脂100質量部に対し、過塩素酸系ハイドロタルサイトの含有量は0.01質量部以上、ステアリン酸鉛の含有量は1.3〜2.0質量部であることを特徴とする塩素含有樹脂組成物。
  2. 前記過塩素酸系ハイドロタルサイトは、過塩素酸、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム及び過塩素酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物によるハイドロタルサイトの処理物であることを特徴とする請求項1に記載の塩素含有樹脂組成物。
  3. 前記過塩素酸系ハイドロタルサイトの含有量は、前記塩素含有樹脂100質量部に対し、1質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩素含有樹脂組成物。
  4. パイプ成形用の樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塩素含有樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の塩素含有樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形体。
  6. 前記成形体は、硬質下水用パイプであることを特徴とする請求項5に記載の成形体。
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