JP2019099588A - 鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法 - Google Patents

鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法 Download PDF

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耕市 津田
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Abstract

【課題】塩素含有樹脂の耐熱性を向上させる効果に優れた鉛安定剤を提供する。【解決手段】鉛系安定剤用鉛化合物を製造する方法であって、該製造方法は、塩基度が1以上の原料鉛化合物と過塩素酸及び/又は過塩素酸塩とを混合する第一工程と、該第一工程で得られた生成物に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を添加して処理する第二工程とを含むか、又は、塩基度が1以上の原料鉛化合物と、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物とを含む混合物に、過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加して処理する工程を含む鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法に関する。より詳しくは、樹脂の添加剤として好適な鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法に関する。
ポリ塩化ビニルに代表される塩素含有樹脂は、柔軟性が高く加工しやすいうえ、機械的強度等の物性も有するため、管路材料の他、種々様々な用途に広く使用されている。だが一方で、塩素含有樹脂は耐熱性(熱安定性ともいう)に課題があり、加工時や使用時の熱に不安定で加熱により分解が生じることから、耐熱性や加工性向上の観点から、塩素含有樹脂とともに安定剤が併用されるのが通常である。
塩素含有樹脂の安定剤としては、鉛系安定剤が代表的である。また、鉛系安定剤と過塩素酸系化合物等とを組み合わせた塩素含有重合体用安定剤や有機化合物で鉛化合物の表面処理をした安定剤等の種々の鉛系安定剤やそのような安定剤を含む樹脂組成物も開示されている(特許文献1〜6参照)。
特開2004−059603号公報 特開昭62−079249号公報 特開2006−028340号公報 特開平05−339451号公報 国際公開第03/010091号公報 特開2012−140638号公報
Dispersion-Flocculation Behavior of Fine Lead Particles in an Organic Solvent(Materials Transcations,Vol.49,No.9(2008))
従来から塩素含有樹脂の耐熱性(熱安定性)向上を目的として鉛安定剤と過塩素酸やその金属塩とを組み合わせて用いることが行われている。鉛安定剤と過塩素酸やその金属塩とを組み合わせる場合、過塩素酸又はその金属塩をシリカ等の担体に担持させたものと鉛安定剤とを混合して用いる方法が知られているが、この方法では使用できる過塩素酸やその金属塩の量が制限されるため、塩素含有樹脂の耐熱性を向上させる効果は限定的である。また、担体を用いることでコストも高くなる。これに対し、上記特許文献1には、鉛安定剤に過塩素酸を直接添加する方法が開示されている。しかしながら、鉛安定剤は、塩素含有樹脂への分散性を良好なものとするために有機物で表面処理がされており(非特許文献1参照)、そのような鉛安定剤に過塩素酸を添加すると、安定剤表面の有機物が分解されて塩素含有樹脂への分散性が低下することになる。塩素含有樹脂への分散性が低下すると、樹脂中で鉛安定剤の粗粒が多くなり、それにより耐熱性も低下することになる。
このように、従来の鉛安定剤は、塩素含有樹脂の耐熱性を向上させる効果が充分とはいえないのが現状である。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、塩素含有樹脂の耐熱性を向上させる効果に優れた鉛安定剤を提供することを目的とする。
本発明者は、塩素含有樹脂の耐熱性を向上させる効果に優れた鉛安定剤を製造する方法について種々検討したところ、塩基度が1以上の原料鉛化合物と過塩素酸及び/又は過塩素酸塩とを混合する第一工程と、該第一工程で得られた生成物に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を添加して処理する第二工程の2つの工程を含む製造方法、又は、塩基度が1以上の原料鉛化合物と、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物とを含む混合物に、過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加して処理する工程を含む製造方法のいずれかにより得られる鉛化合物が、塩素含有樹脂の耐熱性を向上させる効果に優れ、鉛系安定剤として好適に用いることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、鉛系安定剤用鉛化合物を製造する方法であって、該製造方法は、塩基度が1以上の原料鉛化合物と過塩素酸及び/又は過塩素酸塩とを混合する第一工程と、該第一工程で得られた生成物に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を添加して処理する第二工程とを含むか、又は、塩基度が1以上の原料鉛化合物と、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物とを含む混合物に、過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加して処理する工程を含む鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法である。
上記有機化合物は、炭素数12〜20の1価の脂肪酸又は該脂肪酸のグリセリンエステルであることが好ましい。
本発明はまた、本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物を塩素含有樹脂に添加して鉛系安定剤用鉛化合物を含む塩素含有樹脂組成物とする工程と、得られた鉛系安定剤用鉛化合物を含む塩素含有樹脂組成物を成形する工程とを含む成形体の製造方法でもある。
本発明はまた、本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物とステアリン酸鉛とを混合する工程を含む鉛系安定剤の製造方法でもある。
本発明はまた、本発明の鉛系安定剤の製造方法で得られた鉛系安定剤を塩素含有樹脂に添加して鉛系安定剤を含む塩素含有樹脂組成物とする工程と、得られた鉛系安定剤を含む塩素含有樹脂組成物を成形する工程とを含む成形体の製造方法でもある。
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法は、塩素含有樹脂の耐熱性を向上させる効果に優れ、鉛系安定剤として好適に用いることができる鉛化合物を製造することができる製造方法である。本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛化合物は、単独で又は他の安定剤と混合して塩素含有樹脂の安定剤として好適に用いることができる。
以下、本発明の一例について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更して適用することができる。
1.鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法は、塩基度が1以上の原料鉛化合物と過塩素酸及び/又は過塩素酸塩(以下、過塩素酸(塩)とも記載する)とを混合する第一工程と、該第一工程で得られた生成物に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を添加して処理する第二工程とを含むか、又は、塩基度が1以上の原料鉛化合物と、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物とを含む混合物に、過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加して処理する工程を含む。
以下においては、塩基度が1以上の原料鉛化合物と過塩素酸及び/又は過塩素酸塩とを混合する第一工程と、該第一工程で得られた生成物に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を添加して処理する第二工程とを含む製造方法を鉛系安定剤用鉛化合物の第一の製造方法(単に第一の製造方法ともいう)とし、塩基度が1以上の原料鉛化合物と、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物とを含む混合物に、過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加して処理する工程を含む製造方法を鉛系安定剤用鉛化合物の第二の製造方法(単に第二の製造方法ともいう)とする。
まず、第一の製造方法について説明する。
1)第一の製造方法
第一の製造方法の第一工程は、塩基度が1以上の原料鉛化合物と過塩素酸(塩)とを混合する工程である。
第一工程において用いる過塩素酸(塩)の量は、塩基度が1以上の原料鉛化合物100重量部に対して、0.1〜5.0重量部であることが好ましい。このような割合で用いることで、得られる鉛化合物を樹脂の耐熱性向上効果に充分優れたものとすることができる。より好ましくは、塩基度が1以上の原料鉛化合物100重量部に対して、0.25〜5.0重量部であり、更に好ましくは、1.0〜2.5重量部である。
第一工程における原料鉛化合物と過塩素酸(塩)との混合は湿式であってもよく、乾式であってもよい。
混合に溶媒を用いる場合、溶媒としてはイオン交換水、蒸留水、工業用精水が好ましい。
第一工程は攪拌して行うことが好ましい。攪拌することで鉛化合物と過塩素酸(塩)とを十分に混合することができ、第二工程を経て得られる鉛化合物を樹脂の耐熱性向上効果に充分優れたものとすることができる。攪拌する方法は特に制限されない。
第一工程を攪拌して行う場合、攪拌する時間は、10〜90分であることが好ましい。より好ましくは、20〜60分である。
第一工程において、原料鉛化合物と過塩素酸(塩)とを混合する際の温度は、50〜80℃であることが好ましい。このような温度で行うことで、分散性が向上する。より好ましくは、60〜70℃である。
第一の製造方法の第二工程は、第一工程で得られた生成物に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を添加して処理する工程である。
ここで有機化合物を添加して処理するとは、第一工程で得られた生成物の表面に有機化合物由来の構造を結合させて表面修飾することを意味する。このような処理を表面処理あるいは表面被覆ともいい、この処理を行うことで、鉛化合物と塩素含有樹脂とのなじみ性が良くなり、鉛化合物を塩素含有樹脂と混合した際の分散性が良くなる。
第二工程において用いる脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物の量は、第一工程において用いる塩基度が1以上の原料鉛化合物100重量部に対して、0.5〜10重量部であることが好ましい。このような割合で用いることで、得られる鉛化合物の塩素含有樹脂とのなじみ性をより良好にすることができ、分散性に優れたものとすることができる。より好ましくは、塩基度が1以上の原料鉛化合物100重量部に対して、1〜8重量部であり、更に好ましくは、2〜5重量部である。
第二工程において、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物は、単独で第一工程で得られた生成物に添加されてもよく、必要に応じて、溶媒に溶解又は分散された状態として添加されてもよい。
溶媒としては、イオン交換水、蒸留水、工業用精水の他、エタノール、メタノール、イソプロパノールなどの水溶性アルコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、溶媒に分散させるために界面活性剤を使用してもよい。
第二工程において、第一工程で得られた生成物に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を添加して混合する方法は特に制限されず、いずれか一方に他方を添加してもよく、別の容器にこれら両方を少量ずつ添加していってもよい。
いずれか一方に他方を添加する場合、例えば10秒程度の短時間で添加してもよく、例えば60分程度の時間で添加してもよい。
第二工程において、第一工程で得られた生成物に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を添加して処理する際の温度は、50〜90℃であることが好ましい。このような温度で行うことで、分散性が向上する。より好ましくは、60〜80℃である。
第一工程で得られた生成物に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を添加して処理する時間は、10〜90分であることが好ましい。このような時間で行うことで、生産性を損なうことなく有機化合物での処理を十分に行うことができる。より好ましくは、20〜60分である。
2)第二の製造方法
次に、第二の製造方法について説明する。
第二の製造方法は、塩基度が1以上の原料鉛化合物と、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物とを含む混合物(以下、単に混合物とも記載する)に、過塩素酸(塩)を添加して処理する工程を含む製造方法である。
上記工程は、塩基度が1以上の原料鉛化合物を脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物で表面処理した後に過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加することを目的とする工程ではなく、原料鉛化合物に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を添加して混合物とした後、表面修飾が充分に進む前に過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加して処理を行うものである。
混合物の調製のために、原料鉛化合物と脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物との混合後に過塩素酸(塩)を添加する場合は混合をなるべく短時間で行うことが好ましく、5分以内で行うことが好ましい。より好ましくは、3分以内で行うことであり、更に好ましくは、1分以内で行うことである。混合時間が5分を超えると原料鉛化合物への、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルの表面修飾が充分に進み、その後過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加すると、生成物を含む樹脂組成物の耐熱性が低下する恐れがある。
混合物の調製は、40〜90℃で行うことが好ましい。より好ましくは、40〜70℃で行うことであり、更に好ましくは、40〜60℃で行うことである。
混合物の調製に用いる脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物の量は、上述した第一の製造方法の第二工程において用いる量と同じであることが好ましい。
混合物は、湿式混合物であることが好ましく、混合物を調製する際、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を溶媒に溶解又は分散させた状態で混合することが好ましい。
その際に用いる溶媒としては上述したものと同様のものを用いることができ、また界面活性剤を併用してもよい。
混合物中において、有機化合物による原料鉛化合物の表面処理が進む前に過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加するために、混合物の添加が完了してから過塩素酸及び/又は過塩素酸塩の添加が終了するまでの時間は短いほうが好ましく、5分以内であることが好ましい。より好ましくは、3分以内であり、更に好ましくは、1分以内である。
また過塩素酸及び/又は過塩素酸塩の添加は、混合物原料の添加が完了してから開始してもよく、混合物原料の添加の途中で過塩素酸及び/又は過塩素酸塩の添加を開始してもよい。
なお、ここで、混合物原料の添加が完了したとき、とは、塩基度が1以上の原料鉛化合物の全量と脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物の全量の添加が終了した時点を意味する。
混合物に添加する過塩素酸及び/又は過塩素酸塩の量は、上述した第一の製造方法の第一工程における混合物中の原料鉛化合物100重量部に対する量と同じであることが好ましい。
混合物に対して過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加する際の温度は、30〜90℃であることが好ましい。より好ましくは、40〜70℃であり、更に好ましくは、40〜60℃である。
混合物に対して過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加する際又は添加した後、攪拌することが好ましい。攪拌する方法は特に制限されない。
攪拌する時間は、10〜90分であることが好ましい。より好ましくは、15〜70分であり、更に好ましくは、20〜60分である。
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法は、上述した工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、ろ過、水洗、乾燥、粉砕、分級工程等が挙げられる。
以下に、本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法に用いる原料について説明する。
(1)原料鉛化合物
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法に用いる原料鉛化合物は、塩基度が1以上の鉛化合物であればよいが、塩基度が2以上の鉛化合物が好ましい。
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法に用いる塩基度が1以上の原料鉛化合物としては、例えば、鉛白、(一)塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、四塩基性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、シリカゲル共沈硅酸鉛、(一)塩基性マレイン酸鉛、二塩基性マレイン酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、(一)塩基性フタル酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜硫酸鉛及び二塩基性ステアリン酸鉛からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。これにより、得られる鉛化合物を安定剤として用いた樹脂組成物が成形加工により有用な樹脂組成物となる。
(2)過塩素酸(塩)
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法には、過塩素酸(塩)を用いる。すなわち、過塩素酸を用いてもよく、過塩素酸塩を用いてもよく、これら両方を用いてもよい。
過塩素酸塩としては金属塩が挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩やカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
(3)有機化合物
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法に用いる脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物は、いずれの脂肪酸やその塩又はエステルであってもよく、脂肪酸は1価のものであっても、2価以上のものであってもよいが、1価の脂肪酸であることが好ましい。
また脂肪酸は、炭素数8〜30の脂肪酸であることが好ましい。より好ましくは、炭素数12〜20の脂肪酸である。
上記脂肪酸として具体的には、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸;等が挙げられ、これらは、置換基(例えば、ヒドロキシル基、カルボニル基、エポキシ基等)を更に有していてもよい。中でも、飽和脂肪酸が好ましい。
上記脂肪酸塩としては、金属塩やアミン塩が挙げられる。
金属塩を構成する金属は特に限定されないが、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の周期表第1族金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の第2族金属の他、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。中でも、周期表第1族金属が好ましい。より好ましくは、ナトリウム、カリウム、リチウムである。すなわち上記金属塩(脂肪酸金属塩)は、ナトリウム塩、カリウム塩及び/又はリチウム塩であることが好適である。
アミン塩を構成するアミンは特に限定されず、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれを使用してもよい。また、1分子中に2個以上のアミノ基を有するポリアミンであってもよい。具体的には、例えば、ラウリルアミン、ステアリルアミン等のアルキルアミン等が挙げられる。
上記脂肪酸エステルとしては、脂肪酸と1価又は多価アルコールとのエステルが挙げられる。
1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数8〜30の1価アルコールが好ましく、より好ましくは、炭素数12〜20の1価アルコールである。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の2〜6価のアルコールが挙げられる。
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法に用いる有機化合物は、上記のものの中でも、炭素数12〜20の1価の脂肪酸又は該脂肪酸のグリセリンエステルであることが好ましい。有機化合物としてこれらを用いることで、加工性を向上させることができる。より好ましくは、炭素数16〜18の1価の脂肪酸又は該脂肪酸のグリセリンエステルである。
2.鉛系安定剤の製造方法
本発明の鉛系安定剤の製造方法は、本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物とステアリン酸鉛とを混合する工程を含むことを特徴とする。
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物とステアリン酸鉛とを混合する際のステアリン酸鉛の使用量は特に制限されないが、本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物100重量部に対して、2〜50重量部であることが好ましい。より好ましくは、25〜30重量部である。
本発明の本発明の鉛系安定剤の製造方法は、上記鉛系安定剤用鉛化合物とステアリン酸鉛とを混合する工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、溶融造粒や圧迫造粒などの造粒工程が挙げられる。
3.成形体の製造方法
本発明の成形体の製造方法は、本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物を塩素含有樹脂に添加して鉛系安定剤用鉛化合物を含む塩素含有樹脂組成物とする工程と、得られた鉛系安定剤用鉛化合物を含む塩素含有樹脂組成物を成形する工程とを含む製造方法であるか、又は、本発明の鉛系安定剤の製造方法で得られた鉛系安定剤を塩素含有樹脂に添加して鉛系安定剤を含む塩素含有樹脂組成物とする工程と、得られた鉛系安定剤を含む塩素含有樹脂組成物を成形する工程とを含む製造方法であることを特徴とする。
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物や鉛系安定剤の製造方法で得られた鉛系安定剤は、塩素含有樹脂の耐熱性を向上させる効果に優れたものであるから、塩素含有樹脂にこの鉛系安定剤用鉛化合物や鉛系安定剤を添加することで、得られる塩素含有樹脂組成物が成形加工時の熱に強いものとなり、成形加工のしやすいものとなる。
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物や鉛系安定剤の製造方法で得られた鉛系安定剤の樹脂への添加量は、塩素含有樹脂100重量部に対して、0.2〜10重量部であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜5重量部である。
上記成形する工程における成形加工の方法は特に制限されず、例えば、押出成形、射出成形、ロール成形、ディップ成形、ブロー成形等が挙げられる。上述したように本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物や鉛系安定剤の製造方法で得られた鉛系安定剤を含む樹脂組成物は耐熱性に特に優れることから、高温成形に特に有用である。特に、成形温度が200℃以上の成形時に特に好ましく用いることができる。
上記成形する工程で成型する場合の温度は、160〜250℃であることが好ましい。より好ましくは、180〜220℃である。本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物や鉛系安定剤の製造方法で得られた鉛系安定剤は、塩素含有樹脂の耐熱性を向上させる効果に優れたものであるから、このような加熱温度で加工する場合に、本発明の鉛系安定剤の製造方法で得られた鉛系安定剤を用いることの技術的効果が顕著に発揮される。
上記成形する工程によって得られる成形体は特に制限されず、板、パイプ、継手等のいずれの形状であってもよい。特にパイプや継手は、高温で成形されるのが通常である。また通常、加工成型機として射出成形機が用いられるが、射出成型は、溶融した塩素含有樹脂組成物をノズルから高圧で金型に一気に射出して成型する方法であることから、樹脂組成物とノズルとの摩擦又は樹脂組成物同士の摩擦のため、加工温度より数十度樹脂組成物の温度が上昇する。それゆえ、極めて高レベルの耐熱性が要求されるが、本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物や鉛系安定剤の製造方法で得られた鉛系安定剤を含む塩素含有樹脂組成物はこのような要求に充分に応えることができるものである。このように上記成形体がパイプや継手である形態は、本発明の好適な形態の1つであり、成形体が大型のパイプや継手である形態にも好適である。
ここで、大型の継手とは、口径が30mm以上であるパイプを繋ぐための継手を指す。大型の継手はかなり重く、土中深くに埋設されるため、小型の継手よりはるかに大きな強度、特に耐衝撃性強度が要求される。そこで、通常は強化剤を添加して強度を向上させているが、強化剤は樹脂組成物の溶融粘度を大きくするため、加工成型時の耐熱性が更に要求される。
1)塩素含有樹脂
塩素含有樹脂としては、塩素原子を含む樹脂(重合体)である限り特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂が好ましい。これにより、柔軟性や難燃性に優れる成形体が得られる。
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン等の単独重合体;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−マレイミド共重合体等の共重合体;等が挙げられる。
なお、塩素含有樹脂と塩素非含有樹脂とのブレンド品を使用してもよいし、また塩化ビニル系樹脂を得るための重合方法は特に限定されない。
2)他の成分
本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物や鉛系安定剤の製造方法で得られた鉛系安定剤を添加して得られる塩素含有樹脂組成物は、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。例えば、熱安定剤として用いられる金属石鹸、加工助剤、強化剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、耐熱助剤等の各種添加剤が挙げられる。
その他の成分の割合は、フィラーを除き塩素含有樹脂組成物全体100重量部に対して、15重量部以下であることが好ましい。より好ましくは、10重量部以下であり、更に好ましくは、8重量部以下である。
各種添加剤はそれぞれ特に限定されないが、例えば、熱安定剤として用いられる金属石鹸としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。
加工助剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系重合体等のアクリル系加工助剤が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。アクリル系加工助剤は、上記のアクリル酸及び/又はそのエステルや、メタクリル酸及び/又はそのエステルそれぞれの単独の重合体であっても2種以上の共重合体であってもよい。重合体の重量平均分子量は20万〜700万であることが好ましい。
上記アクリル系加工助剤の市販品としては、例えば、三菱レイヨン製のメタブレンPタイプ、カネカ製のカネエースPAシリーズ、ローム・アンド・ハース製のパラロイドKシリーズ等が挙げられる。
強化剤としては、例えば、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエンスチレン共重合体)等のブタジエン系強化剤、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、工業用白色鉱油、合成パラフィン、石油系ワックス、ペトロラタム;無臭軽質炭化水素、シリコーンオルガノポリシロキサン、脂肪酸、脂肪族アルコール高級脂肪酸動物又は植物油脂から得られた脂肪酸及びそれらの脂肪酸を水素添加したもので、炭素数が8〜22のもの;ヒドロキシステアリン酸等の直鎖ヒドロキシ脂肪酸;動物、植物油脂又はそれらの脂肪酸エステルを還元又は天然ロウを分解蒸留して得られる炭素数4以上のもの;トリデシルアルコール、ポリエチレングリコール分子量200〜9500のもの;ポリプロピレングリコール分子量1000以上のもの;ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ブロック重合体分子量1900〜9000のもの;の他、オレイルパルミトアマイド、ステアリルエルカアマイド、2ステアロアミドエチルステアレート、エチレンビス脂肪酸アマイド、N,N’−オレオイルステアリルエチレンジアミン、N,N’ −ビス(2ヒドロキシエチル)アルキル(C12〜C18)アマイド、NN’ビス(ヒドロキシエチル)ラウロアマイド、N−アルキル(C16〜C18)トリメチレンジアミンと反応したオレイン酸脂肪酸ジエタノールアミン、ジ(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミンモノアセテートのジステアリン酸エステル、ステアリン酸n−ブチル水添ロジンメチルエステル、セバチン酸ジブチル<n−ブチル、イソブチル共>、セバチン酸ジオクチル<2エチルヘキシル、n−オクチル共>、グリセリン脂肪酸エステルグリセリンラクトステアリルペンタエリスリトールのステアリン酸エステル<モノ、ジ、トリ、テトラ共>、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールジオレエート、ポリエチレングリコールヤシ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールトール油脂肪酸エステル、エタンジオールモンタン酸エステル、1,3ブタンジオールモンタン酸エステル、ジエチレングリコールステアリン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、トリグリセライド、アマニ油、パーム油、12−ヒドロオキシステアリン酸のグリセリンエステル、水添魚油、牛脂、スパームアセチワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、密蝋、木蝋、硬化鯨油ラウリルステアレート、ステアリルステアレートなど一価脂肪族アルコールの脂肪族飽和酸エステル、ラノリン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど高級脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、フッ素系樹脂、ポリ4フッ化エチレン、4フッ化エチレン/6フッ化プロピレン共重合体、ポリ塩化3フッ化エチレン、ポリフッ化ビニル、その他プロピレングリコールアルギネート、ジアルキルケトン、アクリルコポリマー(例えばモンサント製モダフロー等)が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}〕エチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及び、ペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノ(ジノニルフェニル)ビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)(オクチル)ホスファイト等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、TiO、酸化ジルコニウム、BaSO、酸化亜鉛(亜鉛華)リトポン(硫化亜鉛と硫酸バリウムとの混合物)、カーボンブラック、カーボンブラックと二酸化チタンの混合物、酸化鉄、Sb、Cr、コバルトブルー、コバルトグリーン等のスピネル、ウルトラマリンブルー等の無機顔料や、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、アントラキノン顔料等の有機顔料が挙げられる。更に、上記顔料を複合した複合顔料も挙げられる。
耐熱助剤としては、例えば、過塩素酸系ハイドロタルサイト以外のハイドロタルサイト、ゼオライト、ジペンタエリスルトールとアジピン酸との部分エステル、ポリオール類及びトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
調製例1
300mLビーカーに原料鉛化合物として二塩基性亜硫酸鉛ノンコートスラリー180mL(堺化学工業製、固形分:30g)を秤込み、65℃に加温し撹拌した。その後、スラリーに過塩素酸(和光純薬製、水溶液純度60%)0.125gをイオン交換水で4倍希釈したものを加え、30分撹拌した。なお、原料鉛化合物100重量部に対する過塩素酸の重量部を表1に記載している。さらに92℃の熱水10mlにグリセリンモノ・ジステアレート(理研ビタミン製、リケマールS−200)1.5g(原料鉛化合物100重量部に対して5重量部相当)を分散させたものを加え、30分混合した。得られたスラリーをろ過、水洗し、110℃で一晩乾燥させた後、サンプルミル(奈良機械製作所製、目開き0.7mm)で粉砕し、サンプルAを得た。
調製例2
使用する過塩素酸量を0.5gに変えた以外は調製例1と同様にしてサンプルBを得た。
調製例3
使用する過塩素酸量を1.25gに変えた以外は調整例1と同様にしてサンプルCを得た。
調製例4
使用する過塩素酸量を2.5gに変えた以外は調整例1と同様にしてサンプルDを得た。
調製例5
300mLビーカーに二塩基性亜硫酸鉛ノンコートスラリー180mL(堺化学工業製、固形分:30g)を秤込み、65℃に加温し撹拌した。その後、スラリーに92℃の熱水10mlにグリセリンモノ・ジステアレート(理研ビタミン製、リケマールS−200)1.5g(原料鉛化合物100重量部に対して5重量部相当)を分散させたものを加え、3分混合した。さらに過塩素酸(和光純薬製、水溶液純度60%)0.125gをイオン交換水で4倍希釈したものを混合終了後1分以内に加え、30秒撹拌した。得られたスラリーをろ過、水洗し、110℃で一晩乾燥させた後、サンプルミル(奈良機械製作所製、目開き0.7mm)で粉砕し、サンプルEを得た。
調製例6
使用する過塩素酸量を0.5gに変えた以外は調製例5と同様にしてサンプルFを得た。
調製例7
使用する過塩素酸量を1.25gに変えた以外は調製例5と同様にしてサンプルGを得た。
調製例8
使用する過塩素酸量を2.5gに変えた以外は調製例1と同様にしてサンプルHを得た。
調製例9
300mLビーカーに二塩基性亜硫酸鉛ノンコートスラリー180mL(堺化学工業製、固形分:30g)を秤込み、65℃に加温し撹拌した。その後、スラリーに過塩素酸(和光純薬製、水溶液純度60%)1.25gをイオン交換水で4倍希釈したものを加え、30分撹拌した。さらに92℃の熱水10mlにステアリン酸ソーダ0.6g(堺化学工業製、原料鉛化合物100重量部に対し2重量部相当)を分散させたものを加え、30分混合した。得られたスラリーをろ過、水洗し、110℃で一晩乾燥させた後、サンプルミル(奈良機械製作所製、目開き0.7mm)で粉砕し、サンプルIを得た。
調製例10
300mLビーカーに二塩基性亜硫酸鉛ノンコートスラリー200mL(堺化学工業製、固形分:30g)を秤込み、65℃に加温し撹拌した。その後、スラリーに92℃の熱水10mlにステアリン酸ソーダ0.6g(堺化学工業製、鉛化合物100重量部に対し2重量部相当)を分散させたものを加え、3分混合した。さらに過塩素酸(和光純薬製、水溶液純度60%)1.25gをイオン交換水で4倍希釈したものを混合終了後1分以内に加え、30秒撹拌した。得られたスラリーをろ過、水洗し、110℃で一晩乾燥させた後、サンプルミル(奈良機械製作所製、目開き0.7mm)で粉砕し、サンプルJを得た。
調製例11
300mLビーカーに三塩基性硫酸鉛ノンコートスラリー180mL(堺化学工業製、固形分:30g)を秤込み、65℃に加温し撹拌した。その後、スラリーに過塩素酸溶液(和光純薬、水溶液純度60%)1.25gをイオン交換水で4倍希釈したものを加え、30分撹拌した。さらに92℃の熱水10mlにグリセリンモノ・ジステアレート(理研ビタミン製、リケマールS−200)0.42g(原料鉛化合物100重量部に対して1.4重量部相当)を分散させたもの、および92℃の熱水10mlにステアリン酸ソーダ0.9g(堺化学工業製、原料鉛化合物100重量部に対して3重量部相当)を分散させたものを加え、30分混合した。得られたスラリーをろ過、水洗し、110℃で一晩乾燥させた後、サンプルミル(奈良機械製作所製、目開き0.7mm)で粉砕し、サンプルKを得た。
調整例12
300mLビーカーに三塩基性硫酸鉛ノンコートスラリー180mL(堺化学工業製、固形分:30g)を秤込み、65℃に加温し撹拌した。その後、スラリーに92℃の熱水10mlにグリセリンモノ・ジステアレート(理研ビタミン製、リケマールS−200)0.42g(原料鉛化合物100重量部に対して1.4重量部相当)を分散させたもの、および92℃の熱水10mlにステアリン酸ソーダ0.6g(堺化学工業製、原料鉛化合物100重量部に対し2重量部相当)を分散させたものを加え、3分混合した。さらに過塩素酸(和光純薬製、水溶液純度60%)1.25gをイオン交換水で4倍希釈したものを混合終了後1分以内に加え、30秒撹拌した。得られたスラリーをろ過、水洗し、110℃で一晩乾燥させた後、サンプルミル(奈良機械製作所製、目開き0.7mm)で粉砕し、サンプルLを得た。
調整例13
サンプルAを20gとステアリン酸鉛5.5gを計量してコーヒーメーカーにて1分間混合し、サンプルMを得た。
試験例1〜16
塩化ビニル樹脂(信越化学工業製、TK−1000)100gに対し、表1記載の比率で添加剤を計量、混合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。得られた塩化ビニル樹脂組成物を、ロール表面温度170℃に調整した8インチロール機(関西ロール製)にて5分間混練し、厚さ0.3mmのロールシートを作製した。このシートを用い、以下の評価試験を行った。シートを用い、以下の評価試験を行った。結果を表1に示す。
なお、表1中、滑剤、顔料はそれぞれ以下のものである。
滑剤:LBT−1026(堺化学工業製、複合滑剤)
顔料:ブルー顔料(レジノカラー工業製)
<プレス耐熱性>
プレス表面温度190℃のプレス機(東洋精機製作所製、MINI TEST PRESS−10)を用い、作製したシートを4枚重ねて厚さ1mmになるように、100kg/cmにて10分、30分、50分間保持した。色相基準シートを10分間保持したシートとし、30分、50分間保持後のシートについて、色差計(日本電色工業製、同時測光方式分光式色差計SQ−2000)にて、色相基準シートを基準にした色差(ΔE)を測定した。ΔEが小さいほど、成形した製品の外観、色調が良好であると考えられる。結果を表1に示す。
Figure 2019099588
表1より、以下のことを確認した。
試験例2〜5で用いた鉛系安定剤用鉛化合物は、第一の製造方法で製造した鉛化合物である。試験例2〜5で用いた鉛系安定剤用鉛化合物は、それぞれ第一工程で一定量の原料鉛化合物に過塩素酸の量を変えて混合し、第二工程では第一工程で得た生成物に有機化合物であるグリセリンモノ・ジステアレートを混合して得たものである。
一方、試験例6〜9で用いた鉛系安定用鉛化合物は、第二の製造方法で製造した鉛化合物である。試験例6〜9で用いた鉛系安定用鉛化合物は、それぞれ第一工程で原料鉛化合物と有機化合物であるグリセリンモノ・ジステアレートを混合し、第二工程では第一工程で得た一定量の生成物に過塩素酸の量を変えて混合して得たものである。
試験例2〜5、6〜9の樹脂組成物はいずれも、本発明の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物に該当しない市販の塩基性鉛化合物を使用した試験例1、10、13の樹脂組成物に比べてプレス耐熱性に優れる結果となった。このことから、本発明の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法は、塩素含有樹脂の耐熱性を向上させる効果に優れた鉛安定剤を提供できることが確認された。
更に以下のことを確認した。
原料鉛化合物に対する過塩素酸の量と塩素含有樹脂に対する鉛安定剤用鉛化合物の添加量は、試験例2と試験例6、試験例3と試験例7、試験例4と試験例8、試験例5と試験例9がそれぞれ同じであるが、試験例2〜5のプレス耐熱性の方が、試験例6〜9のものより良好であった。
試験例11は試験例4で用いた有機物、試験例12は試験例8で用いた有機物をそれぞれ変更したものであるが、第一工程で原料鉛化合物に過塩素酸を混合した後に第二工程で有機物を混合して得た鉛化合物を用いた試験例11の方が、第一工程で原料鉛化合物に有機物を混合した後第二工程で過塩素酸を混合して得た鉛化合物を用いた試験例12よりもプレス耐熱性が良好であった。
試験例14、15は試験例11、12から原料鉛化合物を変更したものであるが、プレス耐熱性の傾向は同様であった。
これらより、第二の製造方法で製造する場合に比べて、第一の製造方法で製造することで、塩素含有樹脂の耐熱性を向上させる効果により優れた鉛安定剤が得られることが確認された。
試験例16は第一の製造方法で製造した鉛化合物であるサンプルAに更にステアリン酸鉛を混合したものを使用したものであるが、市販の塩基性鉛化合物を使用した試験例1、10、13の樹脂組成物に比べてプレス耐熱性に優れる結果となった。

Claims (5)

  1. 鉛系安定剤用鉛化合物を製造する方法であって、該製造方法は、塩基度が1以上の原料鉛化合物と過塩素酸及び/又は過塩素酸塩とを混合する第一工程と、該第一工程で得られた生成物に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物を添加して処理する第二工程とを含むか、又は、塩基度が1以上の原料鉛化合物と、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機化合物とを含む混合物に、過塩素酸及び/又は過塩素酸塩を添加して処理する工程を含むことを特徴とする鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法。
  2. 前記有機化合物は、炭素数12〜20の1価の脂肪酸又は該脂肪酸のグリセリンエステルであることを特徴とする請求項1に記載の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物を塩素含有樹脂に添加して鉛系安定剤用鉛化合物を含む塩素含有樹脂組成物とする工程と、得られた鉛系安定剤用鉛化合物を含む塩素含有樹脂組成物を成形する工程とを含むことを特徴とする成形体の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の鉛系安定剤用鉛化合物の製造方法で得られた鉛系安定剤用鉛化合物とステアリン酸鉛とを混合する工程を含むことを特徴とする鉛系安定剤の製造方法。
  5. 請求項4に記載の鉛系安定剤の製造方法で得られた鉛系安定剤を塩素含有樹脂に添加して鉛系安定剤を含む塩素含有樹脂組成物とする工程と、得られた鉛系安定剤を含む塩素含有樹脂組成物を成形する工程とを含むことを特徴とする成形体の製造方法。
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