JP6941202B1 - 膜電極接合体、及び電気化学セル - Google Patents

膜電極接合体、及び電気化学セル Download PDF

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Abstract

【課題】イオン伝導性を向上可能な膜電極接合体、及び電気化学セルを提供する。【解決手段】アルカリ形燃料電池10は、カソード12、アノード14、及び電解質層16を備える。カソード12、アノード14、及び電解質層16は、膜電極接合体を構成する。電解質層16は、LDHを含む。カソード12は、電解質層16に接続され、カソード触媒を含む。カソード12を用いてサイクリックボルタンメトリー法で電気化学測定した場合の第1ピーク電位と、電極に含まれる水酸化物イオン伝導体をポリテトラフルオロエチレンに代えた電極を用いてサイクリックボルタンメトリー法で電気化学測定した場合のサイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波の第2ピーク電位との差は300mV以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、膜電極接合体、及び電気化学セルに関する。
従来、膜電極接合体(MEA:Membrane−Electrode Assembly)を備え、電気化学セルの一種としてアルカリ形燃料電池(AFC:Alkaline Fuel Cell)が知られている。AFCでは、様々な液体燃料又は気体燃料を使用することができ、例えば大気をカソードに供給し、かつ、メタノールを燃料としてアノードに供給した場合には、以下の電気化学反応が起こる。
・アノード: CHOH+6OH→6e+CO+5H
・カソード: 3/2O+3HO+6e→6OH
・全体 : CHOH+3/2O→CO+2H
ここで、特許文献1では、イオン伝導性を有する層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)を電解質層として用いることが提案されている。
特開2016−071948号公報
しかしながら、LDHを用いて電解質層を構成した場合、電解質層のイオン伝導性が低下する場合があった。
そこで、本発明者等が鋭意検討した結果、電解質層のイオン伝導性が低下する原因の一つは、大気中のCOにより、あるいは炭素を含む燃料から生成されるCOにより、電解質層の表面におけるpHが低下すると、電解質層と電極との界面にpH差が発生して腐食電流が流れることによって、電極内の触媒又は触媒担体が摩耗するためであると言う新たな知見を得た。
本発明は、イオン伝導性を向上可能な膜電極接合体、及び電気化学セルを提供することを目的とする。
本発明に係る膜電極接合体は、層状複水酸化物を含む電解質層と、電解質層に接続され、貴金属を含有する触媒を含む電極とを備える。前記電極を用いてサイクリックボルタンメトリー法で電気化学測定した場合の、サイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波の第1ピーク電位と、電極に含まれるイオン伝導体をポリテトラフルオロエチレンに代えた電極を用いてサイクリックボルタンメトリー法で電気化学測定した場合のサイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波の第2ピーク電位との差は、300mV以下である。
本発明によれば、イオン伝導性を向上可能な膜電極接合体、及び電気化学セルを提供することができる。
アルカリ形燃料電池の構成を模式的に示す断面図
本発明に係る膜電極接合体(MEA:Membrane−Electrode Assembly)は、水酸化物イオン(OH)をキャリアとする電気化学セルに用いられる。電気化学セルとは、化学エネルギーを電気エネルギーに変えるための装置、又は、電気エネルギーを化学エネルギーに変えるための装置であって、一対の電極の間に電解質が配置されたものの総称である。電気化学セルには、水酸化物イオンをキャリアとする燃料電池及び空気電池の他、水蒸気から水素と酸素を生成する電解セルなどが含まれる。
以下においては、本発明に係る膜電極接合体をアルカリ形燃料電池(AFC:Alkaline Fuel Cell)に適用した例について説明する。
(アルカリ形燃料電池10の構成)
図1は、アルカリ形燃料電池10の構成を示す断面図である。アルカリ形燃料電池10は、カソード12、アノード14、電解質層16、カソード側拡散層18、及びアノード側拡散層20を備える。カソード12、アノード14、及び電解質層16は、本発明に係る「膜電極接合体」を構成する。
アルカリ形燃料電池10は、下記の電気化学反応式に基づいて、比較的低温(例えば、50℃〜250℃)で発電する。下記の電気化学反応式では、燃料の一例としてメタノールを用いた場合が例示されている。
・カソード12: 3/2O+3HO+6e→6OH
・アノード14: CHOH+6OH→6e+CO+5H
・全体 : CHOH+3/2O→CO+2H
1.カソード12
カソード12は、本発明に係る「電極」の一例である。カソード12は、一般的に空気極と呼ばれる陽極である。アルカリ形燃料電池10の発電中、カソード12には、酸化剤供給手段13を介して、酸素(O)を含む酸化剤が供給される。酸化剤としては、空気を用いるのが好ましく、空気は加湿されていることがより好ましい。カソード12は、内部に酸化剤を拡散可能な多孔質体である。カソード12の気孔率は特に制限されない。
カソード12は、カソード触媒と、水酸化物イオン伝導体とを含む。
カソード触媒は、本発明に係る「触媒」の一例である。カソード触媒の例としては、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)、Ag、Au等の第11族元素(IUPAC形式での周期表において第11族に属する元素)、ロジウムフタロシアニン、銀硝酸塩、Coテトラフェニルポルフィリン、Coサレン、Niサレン(サレン=N,N‘-ビス(サリチリデン)エチレンジアミン)及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。カソード触媒は、カーボン等の担体に担持されていることが好ましい。カソード触媒の担持量は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10mg/cm、より好ましくは、0.05〜5mg/cmである。カーボンに担持されたカソード触媒の好ましい例としては、白金担持カーボン(Pt/C)、白金コバルト担持カーボン(PtCo/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)などが挙げられる。
本実施形態に係る水酸化物イオン伝導体(イオン伝導体の一例)は、フッ素系高分子樹脂である。水酸化物イオン伝導体は、アルカリ環境下において水酸化物イオン(OH)伝導性を有する。水酸化物イオン伝導体の水酸化物イオン伝導度は、10−5S/cm以上が好ましく、10−4S/cm以上がより好ましく、10−3S/cm以上が特に好ましいが、特に制限されず高ければ高いほど望ましい。
水酸化物イオン伝導体は、カソード触媒どうしを結着する。また、水酸化物イオン伝導体は、カソード12と電解質層16との密着性を向上させる役割も果たす。水酸化物イオン伝導体は、それ自体が水酸化物イオン伝導性を有しているため、カソード12が水酸化物イオン伝導体を含むことによって、カソード12における電気化学反応を促進させることができる。
水酸化物イオン伝導体は、主鎖と側鎖とを有する。
主鎖は、炭素(C)及びフッ素(F)のうち少なくとも一方を含む。本実施形態において、主鎖は、C−F結合を含み、かつ、C−H結合を含まない。主鎖の骨格は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)によって構成することができる。主鎖の骨格とは、炭素数が最大となる高分子内の炭素鎖を意味する。
側鎖は、主鎖に連なる。側鎖は、主鎖から枝分かれしている。側鎖は、スルホンアルカリ基(-SO 基)を末端に含む。スルホンアルカリ基は、スルホン酸基(-SO 基)の水素イオン(H)がアルカリ金属イオン(M)に置換された構成を有する。アルカリ金属(M)としては、K、Na、Rb、Li及びCsからなる群から選ばれた1種以上、又は、NH +などの1価のカチオン種を用いることができる。スルホンアルカリ基は、スルホン酸基の水素イオンをアルカリ金属イオンにカチオン交換することによって得られる。
このようなスルホンアルカリ基が水酸化物イオン伝導体に導入されることによって、水酸化物イオン伝導体自体が水酸化物イオン伝導性を発現する。
なお、水酸化物イオン伝導体が有する全ての側鎖のうち少なくとも一つの側鎖がスルホンアルカリ基を有していれば、アルカリ環境下において水酸化物イオン伝導体自体が水酸化物イオン伝導性を発現することができる。水酸化物イオン伝導性を向上させるには、水酸化物イオン伝導体が有する全ての側鎖のうち50%以上の側鎖がスルホンアルカリ基を有していることが好ましく、70%以上の側鎖がスルホンアルカリ基を有していることが特に好ましい。全ての側鎖のうちスルホンアルカリ基を有する側鎖の割合は、中和滴定法によって測定することができる。
水酸化物イオン伝導体の構造は、下記一般式(1)によって表すことができる。
Figure 0006941202
一般式(1)において、Mは上述したアルカリ金属であり、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。一般式(1)において、x及びyは整数であり、xは5以上14以下とすることができ、yは1000とすることができる。一般式(1)において、pは0以上3以下の整数であり、qは0又は1であり、nは1以上12以下の整数である。
このように、側鎖末端にスルホンアルカリ基(-SO 基)が配置された水酸化物イオン伝導体をカソード12が含んでいることによって、カソード12及び電解質16の界面におけるpHを高めて塩基性に保つことができるため、電解質16とカソード12との界面におけるpH差を小さくすることができる。その結果、電解質16とカソード12との界面にpH差が発生して腐食電流が流れることを抑制できるため、カソード12内の触媒又は触媒担体が摩耗して電極活性が低下してしまうことを抑制できる。
具体的には、カソード12を用いてサイクリックボルタンメトリー法で電気化学測定した場合のサイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波のピーク電位(第1ピーク電位)は、カソード12に含まれる水酸化物イオン伝導体をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代えた電極(以下、「基準電極」という。)を用いてサイクリックボルタンメトリー法で電気化学測定した場合のサイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波のピーク電位(第1ピーク電位)より小さく、かつ、両者のピーク電位差は300mV以下である。
本試験においては、水素原子吸着波のピーク電位差から電極表面のpHを計測しているが、水素原子吸着波を示さない触媒においては、酸化側あるいは還元側に現れるピーク電位差を代用することができる。
サイクリックボルタンメトリー法による電気化学測定の条件は、以下の通りとする。
・作用極:カソード触媒と水酸化物イオン伝導体とを含むカソード12
・参照極:Ag/AgCl(KCl sat.)
・対極:Pt/C
・電解液に純水(CO sat.)を用いた場合の電位操作範囲:
−0.44V〜+1.01V(vsAg/AgCl(KCl sat.))
・電解液に0.1M NaHCOを用いた場合の電位操作範囲:
−0.73V〜+0.72V(vsAg/AgCl(KCl sat.))
・電位掃引速度:50mV/秒
・温度:20℃
このように、カソード12における水素原子吸着波のピーク電位差を300mV以下とすることによって、カソード12及び電解質16の界面における電位差が小さくなり腐食電流が流れなくなるため電極活性の低下を抑制できる。その結果、電解質16の水酸化物イオン伝導性を長期間維持することができる。なお、カソード12に空気を供給する場合には、空気に含まれるCOに曝されることでカソード12及び電解質16の界面にpH差が発生してカソード12の電極活性が低下しやすいため、水素原子吸着波のピーク電位差を300mV以下とすることによる効果は顕著である。
カソード12における水素原子吸着波のピーク電位差は、200mV以下がより好ましく、150mV以下が特に好ましい。
2.アノード14
アノード14は、本発明に係る「電極」の一例である。アノード14は、一般的に燃料極と呼ばれる陰極である。アルカリ形燃料電池10の発電中、アノード14には、燃料供給手段15を介して、水素原子(H)を含む燃料が供給される。アノード14は、内部に燃料を拡散可能な多孔質体である。アノード14の気孔率は特に制限されない。
アノード14は、アノード触媒と、水酸化物イオン伝導体とを含む。
アノード触媒は、本発明に係る「触媒」の一例である。アノード触媒は、貴金属を含有する。アノード触媒の例としては、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)、Ag、Au等の第11族元素(IUPAC形式での周期表において第11族に属する元素)、ロジウムフタロシアニン、銀硝酸塩及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。アノード触媒は、カーボン等の担体に担持されることが好ましい。アノード触媒の担持量は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10mg/cm、より好ましくは、0.05〜5mg/cmである。カーボンに担持されたアノード触媒の好ましい例としては、白金担持カーボン(Pt/C)、白金ルテニウム担持カーボン(PtRu/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)などが挙げられる。
アノード14に含まれる水酸化物イオン伝導体は、上述したカソード12と同様、上記一般式(1)によって表される。アノード14に含まれる水酸化物イオン伝導体の組成は、カソード12に含まれる水酸化物イオン伝導体の組成と同じであってもよいし異なっていてもよい。
水酸化物イオン伝導体は、アノード触媒どうしを結着する。また、水酸化物イオン伝導体は、アノード14と電解質層16との密着性を向上させる役割も果たす。水酸化物イオン伝導体は、それ自体が水酸化物イオン伝導性を有しているため、アノード14が水酸化物イオン伝導体を含むことによって、アノード14における電気化学反応を促進させることができる。
また、側鎖末端にスルホンアルカリ基(-SO 基)が配置された水酸化物イオン伝導体をアノード14が含んでいることによって、アノード14及び電解質16の界面におけるpHを高めて塩基性に保つことができるため、電解質16とアノード14との界面におけるpH差を小さくすることができる。その結果、電解質16とアノード14との界面にpH差が発生して腐食電流が流れることを抑制できるため、アノード14内の触媒又は触媒担体が摩耗して電極活性が低下してしまうことを抑制できる。
具体的には、アノード14を用いてサイクリックボルタンメトリー法で電気化学測定した場合、サイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波のピーク電位(第1ピーク電位)は、アノード14に含まれる水酸化物イオン伝導体をPTFEに代えた基準電極を用いてサイクリックボルタンメトリー法で電気化学測定した場合のサイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波のピーク電位(第2ピーク電位)より小さく、かつ、両者のピーク電位差は300mV以下である。
本試験においては、水素原子吸着波のピーク電位差から電極表面のpHを計測しているが、水素原子吸着波を示さない触媒においては、酸化側あるいは還元側に現れるピーク電位差を代用することができる。
サイクリックボルタンメトリー法による電気化学測定の条件は、以下の通りとする。
・作用極:アノード触媒と水酸化物イオン伝導体とを含むアノード14
・参照極:Ag/AgCl
・対極:Pt/C
・電解液に純水(CO sat.)を用いた場合の電位操作範囲:
−0.44V〜+1.01V(vsAg/AgCl(KCl sat.))
・電解液に0.1M NaHCOを用いた場合の電位操作範囲:
−0.73V〜+0.72V(vsAg/AgCl(KCl sat.))
・電位掃引速度:50mV/秒
・温度:20℃
このように、アノード14における水素原子吸着波のピーク電位差を300mV以下とすることによって、アノード14及び電解質16の界面における電位差が小さくなり腐食電流が流れなくなるため電極活性の低下を抑制できる。その結果、電解質16の水酸化物イオン伝導性を長期間維持することができる。なお、アノード14に炭素を含む燃料を供給する場合には、アノード14での反応によって燃料から生成されるCOに曝されることでアノード14及び電解質16の界面にpH差が発生してアノード14の電極活性が低下しやすいため、水素原子吸着波のピーク電位差を300mV以下とすることによる効果は顕著である。
アノード14における水素原子吸着波のピーク電位差は、200mV以下がより好ましく、150mV以下が特に好ましい。
アノード14に供給される燃料は、アノード14において水酸化物イオン(OH)と反応可能な燃料化合物を含んでいればよく、液体燃料、気体燃料、気液混合燃料のいずれの形態であってもよい。
燃料化合物としては、例えば、(i)ヒドラジン(NHNH)、水加ヒドラジン(NHNH・HO)、炭酸ヒドラジン((NHNHCO)、硫酸ヒドラジン(NHNH・HSO)、モノメチルヒドラジン(CHNHNH)、ジメチルヒドラジン((CHNNH、CHNHNHCH)、及びカルボンヒドラジド((NHNHCO)等のヒドラジン類、(ii)尿素(NHCONH)、(iii)アンモニア(NH)、(iv)イミダゾール、1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等の複素環類化合物、(v)ヒドロキシルアミン(NHOH)、硫酸ヒドロキシルアミン(NHOH・HSO)等のヒドロキシルアミン類、及びこれらの組合せが挙げられる。これらの燃料化合物のうち炭素を含まない化合物(すなわち、ヒドラジン、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、アンモニア、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン等)は、一酸化炭素による触媒被毒の問題が無いため特に好適である。
燃料化合物は、そのまま燃料として用いてもよいが、水及び/又はアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコール等)に溶解させた溶液として用いてもよい。例えば、上記燃料化合物のうち、ヒドラジン、水化ヒドラジン、モノメチルヒドラジン及びジメチルヒドラジンは液体であるので、そのまま液体燃料として使用可能である。また、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、カルボンヒドラジド、尿素、イミダゾール、及び3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、及び硫酸ヒドロキシルアミンは固体であるが水に可溶である。1,3,5−トリアジン及びヒドロキシルアミンは固体であるがアルコールに可溶である。アンモニアは気体であるが水に可溶である。このように、固体の燃料化合物は、水又はアルコールに溶解させて液体燃料として使用可能である。燃料化合物を水及び/又はアルコールに溶解させて用いる場合、溶液中の燃料化合物の濃度は、例えば30〜99.9重量%であり、好ましくは66〜99.9重量%である。
メタノール、エタノール等のアルコール類やエーテル類を含む炭化水素系液体燃料、メタン等の炭化水素系ガス、或いは純水素などは、そのまま燃料として用いることができる。特に、本実施形態に係るアルカリ形燃料電池10に用いられる燃料としては、メタノールが好適である。メタノールは、気体状態、液体状態、及び、気液混合状態のいずれであってもよい。
3.電解質層16
電解質層16は、本発明に係る「電解質層」の一例である。電解質層16は、カソード12とアノード14との間に配置される。電解質層16は、カソード12及びアノード14のそれぞれに接続される。電解質層16は、膜状、層状、或いは、シート状に形成される。電解質層16の厚みは特に制限されないが、例えば5μm以上100μm以下とすることができる。
電解質層16は、層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)を含む。
LDHは、M2+ 1−x3+ (OH)n−x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4、mは水のモル数を意味する任意の整数である)の一般式で示される基本組成を有する。M2+の例としてはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、及びZn2+が挙げられ、M3+の例としては、Al3+、Fe3+、Ti3+、Y3+、Ce3+、Mo3+、及びCr3+が挙げられ、Anの例としてはCO 2−及びOHが挙げられる。M2+及びM3+としては、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
LDHは、複数の水酸化物基本層と、これら複数の水酸化物基本層間に介在する中間層とから構成される。中間層は、陰イオン及びHOで構成される。水酸化物基本層は、例えば金属MがNi、Al、Tiの場合には、Ni、Al、Ti及びOH基を含む。以下、LDHの水酸化物基本層がNi、Al、Ti及びOH基を含む場合について説明する。
LDH中のNiはニッケルイオンの形態を採りうる。LDH中のニッケルイオンは典型的にはNi2+であると考えられるが、Ni3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のAlはアルミニウムイオンの形態を採りうる。LDH中のアルミニウムイオンは典型的にはAl3+であると考えられるが、他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のTiはチタンイオンの形態を採りうる。LDH中のチタンイオンは典型的にはTi4+であると考えられるが、Ti3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。水酸化物基本層は、Ni、Al、Ti及びOH基を主要構成要素として含むのが好ましいが、他の元素ないしイオンを含んでいてもよいし、不可避不純物を含んでいてもよい。不可避不純物は、製法上不可避的に混入されうる任意元素であり、例えば原料や基材に由来してLDH中に混入しうる。
LDHの中間層は、陰イオン及びHOで構成される。陰イオンは1価以上の陰イオン、好ましくは1価又は2価のイオンである。好ましくは、LDH中の陰イオンはOH及び/又はCO 2−を含む。
上記のとおり、Ni、Al及びTiの価数は必ずしも定かではないため、LDHを一般式で厳密に特定することは非実際的又は不可能である。仮に水酸化物基本層が主としてNi2+、Al3+、Ti4+及びOH基で構成されるものと想定した場合、LDHは、一般式:Ni2+ 1−x−yAl3+ Ti4+ (OH)n− (x+2y)/n・mHO(式中、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、好ましくは1又は2であり、0<x<1、好ましくは0.01≦x≦0.5、0<y<1、好ましくは0.01≦y≦0.5、0<x+y<1、mは0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数である)なる基本組成で表すことができる。もっとも、上記一般式はあくまで「基本組成」と解されるべきであり、Ni2+、Al3+、Ti4+等の元素がLDHの基本的特性を損なわない程度に他の元素又はイオン(同じ元素の他の価数の元素又はイオンや製法上不可避的に混入されうる元素又はイオンを含む)で置き換え可能なものとして解されるべきである。
電解質層16は、所望により高分子樹脂を含有していてもよい。高分子樹脂としては、上記一般式(1)によって表される水酸化物イオン伝導体が好適であるが、周知の絶縁性樹脂(例えば、PTFE、PVDF、PE、PPなど)を用いてもよい。
4.カソード側拡散層18及びアノード側拡散層20
カソード側拡散層18は、カソード12上に配置される。カソード側拡散層18は、カソード12を基準として電解質層16の反対側に配置される。カソード側拡散層18は、酸化剤供給手段13から供給される酸化剤を拡散してカソード12に供給する。カソード側拡散層18は、電気伝導性を有する。カソード側拡散層18は、集電部材としても機能する。
カソード側拡散層18は、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトなどの導電性多孔質材料によって構成することができる。カソード側拡散層18には、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、グラファイトなどの導電性材料とフッ素樹脂(PTFE、PVDF等)などの撥水性材料とを含むマイクロポーラス層が形成されていてもよい。
アノード側拡散層20は、アノード14上に配置される。アノード側拡散層20は、アノード14を基準として電解質層16の反対側に配置される。アノード側拡散層20は、燃料供給手段15から供給される燃料を拡散してアノード14に供給する。アノード側拡散層20は、電気伝導性を有する。アノード側拡散層20は、集電部材としても機能する。
アノード側拡散層20は、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトなどの導電性多孔質材料によって構成することができる。アノード側拡散層20には、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、グラファイトなどの導電性材料とフッ素樹脂(PTFE、PVDF等)などの撥水性材料とを含むマイクロポーラス層が形成されていてもよい。
(アルカリ形燃料電池10の製造方法)
次に、アルカリ形燃料電池10の製造方法の一例について説明する。
1.電解質層16の形成
金型一軸プレスや冷間等方圧加圧(CIP)などの公知の手法によってLDH粉末を圧粉成形することによって電解質16を形成する。この際、LDH粉末に高分子樹脂粉末を混合することによって、電極との一体化工程にて緻密化させることができる。
2.カソード12の形成
まず、パーフルオロスルホン酸ポリマーを準備する。パーフルオロスルホン酸ポリマーは、フッ素系高分子樹脂である。具体的には、パーフルオロスルホン酸ポリマーは、C−F結合からなる疎水性のパーフルオロカーボン骨格と、スルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖とから構成されるパーフルオロカーボン材料である。パーフルオロスルホン酸ポリマーの側鎖は、スルホン酸基を末端に含む。これにより、パーフルオロスルホン酸ポリマーは、プロトン伝導性を発現する。
パーフルオロスルホン酸ポリマーとしては、ナフィオン(Nafion(登録商標)、デュポン社)、フレミオン(Flemion(登録商標)、旭硝子株式会社)、アシプレックス(Aciplex(登録商標)、旭化成株式会社)などの市販品を用いてもよい。
パーフルオロスルホン酸ポリマーの構造は、下記一般式(2)によって表すことができる。
Figure 0006941202
一般式(2)において、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。一般式(2)において、x及びyは整数であり、xは5以上14以下とすることができ、yは1000とすることができる。一般式(2)において、pは0以上3以下の整数であり、qは0又は1であり、nは1以上12以下の整数である。
次に、所望のアルカリ金属イオンを含有するアルカリ性溶液を準備する。アルカリ性溶液が含有するアルカリ金属イオンは、K、Na及びLiからなる群から選ばれる1種以上、又は、NH +などの1価のカチオン種を用いることができる。従って、アルカリ性溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液、炭酸カリウム、及び炭酸水素カリウムなどを用いることができる。
次に、アルカリ性溶液を用いて、パーフルオロスルホン酸ポリマーにアルカリ処理を施す。このアルカリ処理では、パーフルオロスルホン酸ポリマーをアルカリ性溶液に浸漬してもよいし、パーフルオロスルホン酸ポリマーにアルカリ性溶液を含浸させてもよいし、パーフルオロスルホン酸ポリマーにアルカリ性溶液を塗布してもよい。アルカリ処理は、室温(例えば、10℃〜30℃)で行うことができる。
このアルカリ処理によって、パーフルオロスルホン酸ポリマーが有する側鎖の末端に位置するスルホン酸基(-SO 基)の水素イオン(H)をアルカリ金属イオン(M)にカチオン置換する。その結果、上記一般式(1)によって表される水酸化物イオン伝導体が製造される。
このアルカリ処理では、浸漬時間、アルカリ金属イオンの濃度、浸漬容量、浸漬温度などを制御することによって、カソード12のサイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波のピーク電位差を300mV以下に調整することができる。
次に、カソード触媒と水酸化物イオン伝導体とを混合したペーストをカソード側拡散層18に塗布又は印刷することによって、カソード成形体を形成する。
次に、カソード側拡散層18上に形成されたカソード成形体を電解質16の一方の主面に熱圧着(例えば、100℃〜200℃、10秒〜10分)することによって、カソード12を形成する。
3.アノード14の形成
まず、上記一般式(2)によって表されるパーフルオロスルホン酸ポリマーに上述したアルカリ処理(カチオン置換)を施すことによって、上記一般式(1)によって表される水酸化物イオン伝導体を製造する。この際、浸漬時間、アルカリ金属イオンの濃度、浸漬容量、浸漬温度などを制御することによって、アノード14のサイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波のピーク電位差を300mV以下に調整することができる。
次に、アノード触媒と水酸化物イオン伝導体とを混合したペーストをアノード側拡散層20に塗布又は印刷することによって、アノード成形体を形成する。
次に、アノード側拡散層20上に形成されたアノード成形体を電解質16の他方の主面に熱圧着(例えば、100℃〜200℃、10秒〜10分)することによって、アノード14を形成する。
(実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
[変形例1]
上記実施形態では、カソード12及びアノード14それぞれにおいて水素原子吸着波のピーク電位差を300mV以下とすることとしたが、カソード12及びアノード14の一方のみにおいて水素原子吸着波のピーク電位差を300mV以下としてもよい。
[変形例2]
上記実施形態では、カソード12及びアノード14それぞれにおいて水素原子吸着波のピーク電位差を300mV以下とするために、カソード12及びアノード14それぞれに水酸化物イオン伝導体を含ませることとしたが、これに限られない。
例えば、水酸化物イオン伝導体に代えて、或いは、水酸化物イオン伝導体に加えて、カソード12及びアノード14それぞれに固体塩基材料を含ませてもよい。
固体塩基材料とは、固体状態でその表面が塩基性を示す物質であり、例えば、金属酸化物、金属塩、担持塩基、複合酸化物、ゼオライトなどのうち表面塩基性を示す固体である。固体塩基材料としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩及びリン酸塩、層状複水酸化物、或いは、これらの混合物などが挙げられる。より具体的には、固体塩基材料として、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素カリウム、酸化ケイ素−酸化マグネシウム複合酸化物、酸化ケイ素−酸化カルシウム複合酸化物、酸化ケイ素−酸化ストロンチウム複合酸化物、Naイオン交換X型ゼオライト、Kイオン交換Y型ゼオライトなどが挙げられ、特に、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び酸化バリウム、或いは、これらの混合物が好適である。
固体塩基材料は、粒子状であることが好ましいが、その形状及びサイズは特に制限されない。このような固体塩基材料をカソード12に含ませることによっても、カソード12における水素原子吸着波のピーク電位差を300mV以下とすることができる。固体塩基材料の添加量を調整することによって、カソード12における水素原子吸着波のピーク電位差を300mV以下に制御することができる。
[変形例5]
上記実施形態では、イオン伝導体の一例として、C−F結合を含み、かつ、C−H結合を含まない主鎖を有するフッ素系高分子樹脂を挙げて説明したが、これに限られない。本発明に係るイオン伝導体は、側鎖がスルホンアルカリ基又はカルボキシアルカリ基を末端に含むことを特徴としており、主鎖は炭素及びフッ素の少なくとも一方を含んでいればよい。
例えば、イオン伝導体は、C−F結合及びC−H結合の両方を含む主鎖を有する高分子樹脂であってもよい。
或いは、イオン伝導体は、C−H結合を含み、かつ、C−F結合を含まない主鎖を有する炭化水素系高分子樹脂であってもよい。このような炭化水素系高分子樹脂の構造は、下記一般式(3)によって表すことができる。ただし、一般式(3)では、スルホンアルカリ基を末端に含む側鎖を有する例が示されている。
Figure 0006941202

一般式(3)に示された炭化水素系高分子樹脂は、炭素及びフッ素の少なくとも一方を含む主鎖と、主鎖に連なり、スルホン酸基又はカルボキシル基を末端に含む側鎖とを有する高分子樹脂を用いて製造することができる。このような高分子樹脂の構造は、下記一般式(4)によって表すことができる。ただし、一般式(4)では、スルホン酸基を末端に含む側鎖を有する例が示されている。一般式(4)によって表される高分子樹脂を用いる場合には、所望のアルカリ金属イオンを含有するアルカリ性溶液で高分子樹脂にアルカリ処理することによって、側鎖末端のスルホン酸基の水素イオンをアルカリ金属イオンにカチオン置換すればよい。
Figure 0006941202
以下において、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
(AFCの作製)
(1)実施例1,2に係る膜電極接合体
まず、LDH粒子(平均粒径1.0μm)とバインダーとしてのPVDF粉末とを混合することによって混合ペーストを調製した。PVDF:LDH粒子の重量比は、60wt%:40wt%とした。次に、印刷法によって混合ペーストをシート化して、このシートに熱処理(5分、130℃)を施すことによって電解質を形成した。
次に、Kイオンを含有するアルカリ性溶液を用いて、上記一般式(2)によって表されるパーフルオロスルホン酸ポリマー(シグマアルドリッチ社製品Nafion 20 wt.% dispersion)中の固形分にアルカリ処理を施すことで、パーフルオロスルホン酸ポリマーの側鎖末端に位置するスルホン酸基の水素イオンをKイオンにカチオン置換して、上記一般式(1)によって表される水酸化物イオン伝導体を形成した。このアルカリ処理では、処理温度及び処理時間を制御することによって、表1に示すようにカチオン置換率を調整した。具体的には、実施例1では、処理温度15℃及び処理時間72時間とすることによってカチオン置換率70%とし、実施例2では、処理温度15℃及び処理時間3時間とすることによってカチオン置換率50%とした。
次に、一般式(1)によって表される水酸化物イオン伝導体とカソード触媒としてのPt/C(Pt担持量50wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC10E50E)との重量比が20wt%:80wt%となるように混合してカソードペーストを調製した。そして、電解質の一方の面にカソードペーストを印刷してカソード成形体を形成した。
次に、一般式(1)によって表される水酸化物イオン伝導体とアノード触媒としてのPt−Ru/C(Pt−Ru担持量54wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC61E54)との重量比が20wt%:80wt%となるように混合してアノードペーストを調製した。そして、電解質の他方の面にアノードペーストを印刷してアノード成形体を形成した。
次に、カソード成形体、電解質及びアノード成形体の積層体を熱圧着(120℃、5分)することによって実施例1の膜電極接合体を作製した。
(2)比較例1に係る膜電極接合体
まず、実施例1,2と同じ手法で電解質を形成した。
次に、上記一般式(2)によって表されるパーフルオロスルホン酸ポリマー(シグマアルドリッチ社製品Nafion 20 wt.% dispersion)中の固形分重量とカソード触媒としてのPt/C(Pt担持量50wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC10E50E)との重量比が20wt%:80wt%となるように混合してカソードペーストを調製した。そして、電解質の一方の面にカソードペーストを印刷してカソード成形体を形成した。
次に、上記一般式(2)によって表されるパーフルオロスルホン酸ポリマー(シグマアルドリッチ社製品Nafion 20 wt.% dispersion)中の固形分重量とカソード触媒としてのPt−Ru/C(Pt−Ru担持量54wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC61E54)との重量比が20wt%:80wt%となるように混合してアノードペーストを調製した。そして、電解質の他方の面にアノードペーストを印刷してアノード成形体を形成した。
次に、カソード成形体、電解質及びアノード成形体の積層体を熱圧着(120℃、5分)することによって比較例1の膜電極接合体を作製した。
(3)基準例に係る膜電極接合体
まず、実施例1〜3と同じ手法で電解質を形成した。
次に、ポリテトラフルオロエチレン(旭硝子社製品LuonPTFE AD915E)中の固形分重量とカソード触媒としてのPt/C(Pt担持量50wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC10E50E)との重量比が20wt%:80wt%となるように混合してカソードペーストを調製した。そして、電解質の一方の面にカソードペーストを印刷してカソード成形体を形成した。
次に、ポリテトラフルオロエチレン(旭硝子社製品LuonPTFE AD915E)中の固形分重量とカソード触媒としてのPt−Ru/C(Pt−Ru担持量54wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC61E54)との重量比が20wt%:80wt%となるように混合してアノードペーストを調製した。そして、電解質の他方の面にアノードペーストを印刷してアノード成形体を形成した。
次に、カソード成形体、電解質及びアノード成形体の積層体を熱圧着(120℃、5分)することによって比較例1の膜電極接合体を作製した。
(水素原子吸着波のピーク電位)
まず、実施例1,2及び比較例1について、サイクリックボルタンメトリー法による電気化学測定を上記実施形態にて説明した条件で実施し、サイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波のピーク電位(第1ピーク電位)を測定した。
次に、基準例について、サイクリックボルタンメトリー法による電気化学測定を上記実施形態にて説明した条件で実施し、サイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波のピーク電位(第2ピーク電位)を測定した。
そして、第1ピーク電位と第2ピーク電位とのピーク電位差を算出した。算出結果を表1にまとめて示す。なお、実施例1,2及び比較例1についての第1ピーク電位は、基準例についての第2ピーク電位より小さかった。
(耐久性試験)
まず、実施例1,2及び比較例1の各膜電極接合体を50℃に加熱した。
次に、カソードに露点50℃の加湿空気を大過剰(利用率10%未満)で供給し、かつ、アノードに露点50℃の水素を大過剰(利用率10%未満)で供給しながら、0.1A/cmの電流負荷を与えた時の電圧値(初期電圧値)を測定した。
次に、負荷をゼロとしたうえで、カソードに露点50℃の加湿空気を大過剰(利用率10%未満)で供給し続け、かつ、アノードに露点50℃のCO−N混合ガスを供給して、100時間放置した。
次に、カソードに露点50℃の加湿空気を大過剰(利用率10%未満)で供給し、かつ、アノードに露点50℃の水素を大過剰(利用率10%未満)で供給しながら、0.1A/cmの電流負荷を与えた時の電圧値(耐久後電圧値)を測定した。
そして、下記式に従って、実施例1,2及び比較例1についての電圧低下率を算出した。
電圧低下率=100×(初期電圧値−耐久後電圧値)/初期電圧値
表1では、比較例1より電圧低下率が10%以上上昇した場合を〇、比較例1より電圧低下率が20%以上上昇した場合を◎と評価した。
Figure 0006941202
表1に示すように、第1ピーク電位と第2ピーク電位とのピーク電位差を300mV以下とした実施例1,2では、比較例1に比べて電圧低下率を抑えることができた。このような結果が得られたのは、COに曝されたカソード及びアノードそれぞれと電解質との界面におけるpH差を抑えることによって、カソード及びアノードそれぞれにおける反応活性が低下することを抑制できたためである。
また、表1に示すように、第1ピーク電位と第2ピーク電位とのピーク電位差を150mV以下とした実施例1では、実施例2に比べて電圧低下率を更に抑えることができた。
なお、本実施例では、カソード及びアノードそれぞれにおいて第1ピーク電位と第2ピーク電位とのピーク電位差を300mV以下としたが、カソード及びアノードのうち一方のみにおいて第1ピーク電位と第2ピーク電位とのピーク電位差を300mV以下とした場合であっても、同様の効果が得られることを実験的に確認済みである。
10 固体アルカリ形燃料電池
12 カソード
14 アノード
16 電解質
18 カソード側拡散層
20 アノード側拡散層

Claims (4)

  1. 層状複水酸化物を含む電解質層と、
    電解質層に接続され、触媒を含む電極と、
    を備え、
    前記電極を用いてサイクリックボルタンメトリー法で電気化学測定した場合のサイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波の第1ピーク電位と、前記電極に含まれ、水酸化物イオン伝導度が10 −5 S/cm以上であるイオン伝導体をポリテトラフルオロエチレンに代えた電極を用いてサイクリックボルタンメトリー法で電気化学測定した場合のサイクリックボルタモグラムに表れる水素原子吸着波の第2ピーク電位との電位の差は、300mV以下である、
    膜電極接合体。
  2. 前記電極は、炭素及びフッ素の少なくとも一方を含む主鎖と、前記主鎖に連なり、スルホンアルカリ基又はカルボキシアルカリ基を末端に含む側鎖とを有するイオン伝導体を含む、
    請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. 前記イオン伝導体が有する全ての側鎖のうち50%以上の側鎖が前記スルホンアルカリ基を末端に含む、
    請求項2に記載の膜電極接合体。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の膜電極接合体を備える、
    電気化学セル。
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