JP6963705B2 - 膜電極接合体 - Google Patents

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Description

本発明は、膜電極接合体に関するものである。
燃料電池は、複数の膜電極接合体と、複数のセパレータとを有している。膜電極接合体は、電解質膜、アノード及びカソードを有している。複数の膜電極接合体は、セパレータを介してスタックされている。このようにスタックされた複数の膜電極接合体は、ボルトなどの金属部材によって固定されている。また、各膜電極接合体には、金属製のガス供給配管を介して、燃料又は酸化剤が供給される。
特開2015−133337号公報
燃料電池が長時間運転されるに伴い、燃料電池に用いられる各金属部材から、Fe2+、Fe3+、Cr3+、及びNi2+などの多価の陽イオンが溶出される。このような陽イオンがアノード又はカソードを通過して電解質膜に到達すると、電解質膜とのイオン交換によりイオン伝導性能が低下するという問題がある。この問題に対して、電解質膜のイオン伝導性能を長時間維持させる、すなわち、電解質膜の耐久性を向上させることが要望されている。
本発明の課題は、電解質膜の耐久性を向上させることにある。
本発明のある側面に係る膜電極接合体は、電解質膜と、第1触媒層と、第1ガス拡散層とを備える。第1触媒層は、第1触媒、及び第1吸着材を含む。第1吸着材は、陽イオン交換能を有する。第1触媒層は、電解質膜上に配置される。第1ガス拡散層は、第1触媒層上に配置される。第1界面長さL1は、第2界面長さL2よりも長い。第1界面長さは、第1触媒層と第1ガス拡散層との界面の長さである。第2界面長さL2は、第1触媒層と電解質膜との界面の長さである。第2界面長さL2に対する、第1界面長さL1の割合(L1/L2)は、1.07以上である。
この構成の膜電極接合体を用いれば、電解質膜の耐久性を向上させることができる。すなわち、この膜電極接合体の第1触媒層は、陽イオン交換能を有する第1吸着材を有している。そして、第2界面長さL2に対する、第1界面長さL1の割合(L1/L2)は、1.07以上となっている。このように、第1触媒層と第1ガス拡散層との界面をより大きくしているため、この界面の第1吸着材によって、金属部材から溶出されてきたFe2+、Fe3+、Cr3+、又はNi2+などの陽イオンを多く吸着することができる。このように電解質膜から離れた界面によって陽イオンをより多く捕集することができるため、電解質膜のイオン交換能を長期間維持することができる。この結果、電解質膜の耐久性を向上させることができる。
好ましくは、第1吸着材は、多価の陽イオンに対してイオン交換能を有する。第1吸着材は、1価の陽イオンに対してはイオン交換能を有していなくてもよい。すなわち、第1吸着材は、多価の陽イオンに対してのみイオン交換能を有していてもよい。
好ましくは、膜電極接合体は、第2触媒層と第2ガス拡散層とをさらに備える。第2触媒層は、第2触媒、及び第2吸着材を含む。第2吸着材は、陽イオン交換能を有する。第2触媒層は、第1触媒層と反対側において電解質膜上に配置される。第2ガス拡散層は、第2触媒層上に配置される。
好ましくは、第2吸着材は、多価の陽イオンに対してイオン交換能を有する。第2吸着材は、1価の陽イオンに対してはイオン交換能を有していなくてもよい。すなわち、第2吸着材は、多価の陽イオンに対してのみイオン交換能を有していてもよい。
好ましくは、第5界面長さL5に対する、第4界面長さL4の割合(L4/L5)は、第2界面長さL2に対する、第1界面長さL1の割合(L1/L2)よりも小さい。なお、第5界面長さL5は、第2触媒層と電解質膜との界面の長さである。第4界面長さL4は、第2触媒層と第2ガス拡散層との界面の長さである。
本発明によれば、電解質膜の耐久性を向上させることができる。
燃料電池の断面図。 膜電極接合体のカソード側の拡大断面図。 界面長さの測定方法を説明するための膜電極接合体の平面図。 界面長さの測定方法を説明するための別の実施形態における膜電極接合体の平面図。 界面長さの測定方法を説明するための膜電極接合体の断面図。 カソード側の界面長さの測定方法を説明するための拡大断面図。 膜電極接合体のアノード側の拡大断面図。 アノード側の界面長さの測定方法を説明するための拡大断面図。
以下、本実施形態に係る膜電極接合体10を図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る膜電極接合体10を用いた固体アルカリ形燃料電池100の構成を示す断面図である。なお、固体アルカリ形燃料電池100は、水酸化物イオンをキャリアとするアルカリ形燃料電池(AFC)の一種である。
(固体アルカリ形燃料電池100)
図1に示すように、固体アルカリ形燃料電池100は、膜電極接合体10、第1セパレータ11、及び第2セパレータ12を備えている。実際に使用する際は、複数の固体アルカリ形燃料電池100がスタックされる。詳細には、複数の膜電極接合体10が第1及び第2セパレータ11、12を介してスタックされる。
(膜電極接合体10)
膜電極接合体10は、カソード2、アノード3、及び電解質膜4を備える。膜電極接合体10は、下記の電気化学反応式に基づいて、比較的低温(例えば、50℃〜250℃)で発電する。ただし、下記の電気化学反応式では、燃料の一例としてメタノールが用いられている。
・カソード2: 3/2O+3HO+6e→6OH
・アノード3: CHOH+6OH→6e+CO+5H
・全体 : CHOH+3/2O→CO+2H
(カソード2)
カソード2は、電解質膜4の第1面41側(図1の上面側)に配置されている。カソード2は、一般的に空気極と呼ばれる陽極である。
固体アルカリ形燃料電池100の発電中、カソード2には、第1セパレータ11の第1流路111を介して酸素(O)を含む酸化剤が供給される。酸化剤としては、空気を用いるのが好ましく、空気は加湿されていることがより好ましい。カソード2は、内部に酸化剤を拡散可能な多孔質体である。カソード2の気孔率は特に制限されない。カソード2の厚みは特に制限されないが、例えば10〜200μmとすることができる。
図2に示すように、カソード2は、第1触媒層21と、第1ガス拡散層22とを有している。第1触媒層21は、電解質膜4上に配置されている。第1触媒層21は、平面視において、矩形状である。第1触媒層21の厚さは、例えば、5〜50μm程度である。
第1触媒層21は、第1触媒及び第1吸着材を含む。第1触媒は、AFCに使用される公知のカソード触媒であればよく、特に限定されない。カソード触媒の例としては、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)等の第8〜10族元素(IUPAC形式での周期表において第8〜10族に属する元素)、Cu、Ag、Au等の第11族元素(IUPAC形式での周期表において第11族に属する元素)、ロジウムフタロシアニン、テトラフェニルポルフィリン、Coサレン、Niサレン(サレン=N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン)、銀硝酸塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。カソード2における触媒の担持量は特に限定されないが、好ましくは0.1〜10mg/cm、より好ましくは、0.1〜5mg/cmである。カソード触媒はカーボンに担持させるのが好ましい。カソード2ないしそれを構成する触媒の好ましい例としては、白金担持カーボン(Pt/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)が挙げられる。
第1吸着材は、陽イオン交換能を有する。好ましくは、第1吸着材は、多価の陽イオンに対してイオン交換能を有する。なお、第1吸着材は、多価の陽イオンに対してのみイオン交換能を有し、1価の陽イオンに対してはイオン交換能を有していなくてもよい。
第1吸着材は、Fe2+、Fe3+、Cr3+、及びNi2+などを吸着する。第1吸着材としては、例えば、後述する電解質膜4のイオン伝導体を挙げることができる。その他に、第1吸着材は、スルホン酸基、あるいはカルボン酸基を有する陽イオン交換樹脂などであってもよい。第1吸着材は、第1触媒層21内に分散されている。
第1ガス拡散層22は、第1触媒層21上に配置されている。第1ガス拡散層22は、平面視において、矩形状である。第1ガス拡散層22は、第1触媒層21よりも厚い。第1ガス拡散層22の厚さは、例えば、50〜150μm程度である。
第1ガス拡散層22は、第1セパレータ11の第1流路111内を流れる酸化剤を拡散して第1触媒層21に供給する。第1ガス拡散層22は、電気伝導性を有する。第1ガス拡散層22は、集電部材としても機能する。
第1ガス拡散層22は、カーボンペーパー、カーボンクロス、又はカーボンフェルトなどの導電性多孔質材料によって構成することができる。第1ガス拡散層22には、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、又はグラファイトなどの導電性材料と、フッ素樹脂(PTFE、PVDF)などの撥水性材料と、を含むマイクロポーラス層が形成されていてもよい。
第1触媒層21と第1ガス拡散層22との界面S1の長さを第1界面長さL1とする。第1触媒層21と電解質膜4との界面S2の長さを第2界面長さL2とする。第1界面長さL1は、第2界面長さL2よりも長い。第2界面長さL2に対する、第1界面長さL1の割合(L1/L2)は、1.07以上である。なお、割合(L1/L2)は、例えば、1.25以下とすることができる。
第1及び第2界面長さL1、L2は、次のようにして測定することができる。まず、図2に示すような膜電極接合体10の切断面を3つ形成する。詳細には、図3に示すように、カソード2の中心Cを通り、第1流路111が延びる方向に沿って切断した第1切断面C1を形成する。また、この第1切断面C1と平行となるように切断した第2切断面C2及び第3切断面C3を形成する。なお、第1切断面C1と第2切断面C2との距離d1は、第1切断面C1と第3切断面C3との距離d2と同じであり、これらの距離d1及びd2は、カソード2の第1寸法d0の40%とする。ここで、カソード2の第1寸法d0とは、カソード2の中心Cを通り、第1切断面C1と直交する方向に延びる寸法を意味する。なお、図4に示すように、平面視が矩形状でない場合、例えば、円形状のような場合であっても同様の方法で各切断面C1〜C3を形成する。
以上により、図5に示すような切断面C1〜C3が形成される。次に、各切断面C1〜C3におけるカソード2の中央部201及び両端部202において、界面S1,S2の部分をSEMによって500倍に拡大して撮影する。各切断面C1〜C3のそれぞれで3視野撮影するため、合計9視野撮影する。なお、各切断面C1〜C3におけるカソード2の中央部201と両端部202との距離d3は、各切断面C1〜C3におけるカソード2の第2寸法d4の40%とする。ここで、カソード2の第2寸法d4とは、各切断面C1〜C3におけるカソード2の長手方向の寸法を意味する。
図6は、第1及び第2界面長さL1,L2の測定方法を説明するための図である。上述のようにして作製した9視野分の各断面画像において、図6の二点鎖線で示すように、第1触媒層21と第1ガス拡散層22との界面S1、及び第1触媒層21と電解質膜4との界面S2を、分割線D1によって等間隔に分割する。この分割線D1の間隔は、例えば、10μmとする。
この各分割線D1と界面S1とが交差する点同士を結んでできた直線E1(図6の点線)の長さを足し合わせたものを各断面画像で算出し、各断面画像で算出した値の平均値を第1界面長さL1とする。また、各分割線D1と界面S2とが交差する点同士を結んでできた直線E2の長さを足し合わせたものを各断面画像で算出し、各断面画像で算出した値の平均値を第2界面長さL2とする。
上述したようなカソード2は、次のように作製する。まず、第1ガス拡散層22を準備する。そして、この第1ガス拡散層22に対して、凹凸形状を有する金型でプレスすることによって、第1ガス拡散層22の第1主面に凹凸形状を形成する。この第1ガス拡散層22の第1主面上に触媒ペーストを塗布することなどによって第1触媒層21を形成する。このようにカソード2を形成することによって、L1/L2の値を1.07以上とすることができる。なお、この凹凸形状を有する金型を別の金型に取り換えることによって、L1/L2の値を変更することができる。
(アノード3)
図1に示すように、アノード3は、電解質膜4の第2面42側(図1の下面側)に配置されている。アノード3は、一般的に燃料極と呼ばれる陰極である。
固体アルカリ形燃料電池100の発電中、アノード3には、第2セパレータ12の第2流路121を介して、水素原子(H)を含む燃料が供給される。燃料としては、メタノールを用いるのが好ましい。アノード3は、内部に燃料を拡散可能な多孔質体である。アノード3の気孔率は特に制限されない。アノード3の厚みは特に制限されないが、例えば10〜500μmとすることができる。
燃料は、アノード3において水酸化物イオン(OH)と反応可能な燃料化合物を含んでいればよく、液体燃料及び気体燃料のいずれの形態であってもよい。
燃料化合物としては、例えば、(i)ヒドラジン(NHNH)、水加ヒドラジン(NHNH・HO)、炭酸ヒドラジン((NHNHCO)、硫酸ヒドラジン(NHNH・HSO)、モノメチルヒドラジン(CHNHNH)、ジメチルヒドラジン((CHNNH、CHNHNHCH)、及びカルボンヒドラジド((NHNHCO)等のヒドラジン類、(ii)尿素(NHCONH)、(iii)アンモニア(NH)、(iv)イミダゾール、1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等の複素環類化合物、(v)ヒドロキシルアミン(NHOH)、硫酸ヒドロキシルアミン(NHOH・HSO)等のヒドロキシルアミン類、及びこれらの組合せが挙げられる。これらの燃料化合物のうち炭素を含まない化合物(すなわち、ヒドラジン、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、アンモニア、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン等)は、一酸化炭素による触媒被毒の問題が無いため特に好適である。
燃料化合物は、そのまま燃料として用いてもよいが、水及び/又はアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコール等)に溶解させた溶液として用いてもよい。例えば、上記燃料化合物のうち、ヒドラジン、水化ヒドラジン、モノメチルヒドラジン及びジメチルヒドラジンは液体であるので、そのまま液体燃料として使用可能である。また、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、カルボンヒドラジド、尿素、イミダゾール、及び3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、及び硫酸ヒドロキシルアミンは固体であるが水に可溶である。1,3,5−トリアジン及びヒドロキシルアミンは固体であるがアルコールに可溶である。アンモニアは気体であるが水に可溶である。このように、固体の燃料化合物は、水又はアルコールに溶解させて液体燃料として使用可能である。燃料化合物を水及び/又はアルコールに溶解させて用いる場合、溶液中の燃料化合物の濃度は、例えば1〜99重量%であり、好ましくは30〜99重量%である。
また、メタノール、エタノール等のアルコール類やエーテル類を含む炭化水素系液体燃料、メタン等の炭化水素系ガス、或いは純水素などは、そのまま燃料として用いることができる。特に、本実施形態に係る固体アルカリ形燃料電池100に用いられる燃料としては、メタノールが好適である。メタノールは、気体状態、液体状態、及び、気液混合状態のいずれであってもよい。
図7に示すように、アノード3は、第2触媒層31と、第2ガス拡散層32とを有している。第2触媒層31は、電解質膜4上に配置されている。第2触媒層31は、平面視において、矩形状である。第2触媒層31の厚さは、例えば、5〜50μm程度である。
第2触媒層31は、第2触媒及び第2吸着材を含む。第2触媒は、AFCに使用される公知のアノード触媒を含むものであればよく、特に限定されない。アノード触媒の例としては、Pt、Ni、Co、Fe、Ru、Sn、Pd、及びこれらの合金等の金属触媒が挙げられる。金属触媒は、カーボン等の担体に担持されるのが好ましいが、金属触媒の金属原子を中心金属とする有機金属錯体の形態としてもよく、この有機金属錯体を担体として担持されていてもよい。また、アノード触媒の表面には多孔質材料等で構成された拡散層を配置してもよい。アノード3及びそれを構成する触媒の好ましい例としては、ニッケル、コバルト、銀、白金担持カーボン(Pt/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)、白金ルテニウム担持カーボン(Pt−Ru・C)が挙げられる。
第2吸着材は、陽イオン交換能を有する。好ましくは、第2吸着材は、多価の陽イオンに対してイオン交換能を有する。なお、第2吸着材は、多価の陽イオンに対してのみイオン交換能を有し、1価の陽イオンに対してはイオン交換能を有していなくてもよい。
第2吸着材は、Fe2+、Fe3+、Cr3+、及びNi2+などを吸着する。第2吸着材としては、例えば、後述する電解質膜4のイオン伝導体を挙げることができる。その他に、第2吸着材は、スルホン酸基、あるいはカルボン酸基を有する陽イオン交換樹脂などであってもよい。第2吸着材は、第2触媒層31内に分散されている。
第2ガス拡散層32は、第2触媒層31上に配置されている。第2ガス拡散層32は、平面視において、矩形状である。第2ガス拡散層32は、第2触媒層31よりも厚い。第2ガス拡散層32の厚さは、例えば、50〜150μm程度である。
第2ガス拡散層32は、第2セパレータ12の第2流路121内を流れる燃料を拡散して第2触媒層31に供給する。第2ガス拡散層32は、電気伝導性を有する。第2ガス拡散層32は、集電部材としても機能する。
第2ガス拡散層32は、カーボンペーパー、カーボンクロス、又はカーボンフェルトなどの導電性多孔質材料によって構成することができる。第2ガス拡散層32には、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、又はグラファイトなどの導電性材料と、フッ素樹脂(PTFE、PVDF)などの撥水性材料と、を含むマイクロポーラス層が形成されていてもよい。
第2触媒層31と第2ガス拡散層32との界面S4の長さを第4界面長さL4とする。第2触媒層31と電解質膜4との界面S5の長さを第5界面長さL5とする。第4界面長さL4は、第5界面長さL5よりも長い。
例えば、第5界面長さL5に対する、第4界面長さL4の割合(L4/L5)は、第2界面長さL2に対する、第1界面長さL1の割合(L1/L2)と同様とすることができる。なお、割合(L4/L5)は、割合(L1/L2)よりも小さくてもよい。すなわち、第2界面長さL5に対する、第4界面長さL4の割合(L4/L5)を、1.07未満とすることができる。
図8は、第4及び第5界面長さL4,L5の測定方法を説明するための図である。図8に示すように、第4及び第5界面長さL4、L5は、次のようにして測定することができる。まず、図7に示すような膜電極接合体10の切断面を3つ形成する。この3つの切断面は、例えば、上記第1及び第2界面長さL1,L2の測定のために作成した切断面C1〜C3と同じである。
そして、図5に示すように、各切断面C1〜C3におけるアノード3の中央部301及び両端部302において、界面S4,S5の部分をSEMによって500倍に拡大して撮影する。各切断面C1〜C3のそれぞれで3視野撮影するため、合計9視野撮影する。なお、各切断面C1〜C3におけるアノード3の中央部301と両端部302との距離d5は、各切断面C1〜C3におけるアノード3の寸法d6の40%とする。ここで、アノード3の寸法d6とは、各切断面C1〜C3におけるアノード3の長手方向の寸法を意味する。
このようにして作製した9視野分の各断面画像において、図8の二点鎖線で示すように、第2触媒層31と第2ガス拡散層32との界面S4、及び第2触媒層31と電解質膜4との界面S5を、分割線D2によって等間隔に分割する。この分割線D2の間隔は、例えば、10μmとする。
この各分割線D2と界面S4とが交差する点同士を結んでできた直線E4(図8の点線)の長さを足し合わせたものを各断面画像で算出し、各断面画像で算出した値の平均値を第4界面長さL4とする。また、各分割線D2と界面S5とが交差する点同士を結んでできた直線E5の長さを足し合わせたものを各断面画像で算出し、各断面画像で算出した値の平均値を第5界面長さL5とする。
上述したようなアノード3は、上述したカソード2と同様の方法によって作製する。
(電解質膜4)
図1に示すように、電解質膜4は、カソード2とアノード3との間に配置される。電解質膜4は、カソード2及びアノード3のそれぞれに接続される。電解質膜4は、イオン伝導性を有する。電解質膜4は、膜状であって、第1面41と第2面42とを有している。第1面41と第2面42とは、互いに逆側を向いている。電解質膜4の第1面41側にはカソード2が配置されており、第2面42側にはアノード3が配置されている。
電解質膜4は、イオン伝導体を含んでいる。このイオン伝導体は、水酸化物イオン(OH)伝導性を有する。イオン伝導体の水酸化物イオン伝導度は、1.0×10−4S/cm以上が好ましく、1.0×10−3S/cm以上がより好ましく、1.0×10−2S/cm以上が特に好ましいが、特に制限されず高ければ高いほど望ましい。
本実施形態に係るイオン伝導体は、フッ素系高分子樹脂である。イオン伝導体は、主鎖と、側鎖とを有する。
主鎖は、炭素(C)及びフッ素(F)を含む。主鎖は、C−F結合を含み、かつ、C−H結合を含まない。主鎖の骨格は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)によって構成することができる。主鎖の骨格とは、炭素数が最大となる高分子内の炭素鎖を意味する。
側鎖は、主鎖に連なる。側鎖は、主鎖から枝分かれしている。側鎖は、スルホンアルカリ基(-SO 基)を末端に含む。スルホンアルカリ基は、スルホン酸基(-SO 基)の水素イオン(H)がアルカリ金属イオン(M)に置換された構成を有する。アルカリ金属(M)としては、Li、K、Na、及びNHからなる群から選ばれた1種以上を用いることができる。スルホンアルカリ基は、スルホン酸基の水素イオンをアルカリ金属イオンにカチオン交換することによって得られる。側鎖は、カルボキシアルカリ基(-COO基)を末端に含んでいても良い。カルボキシアルカリ基は、カルボキシル基(-COO)の水素イオン(H)がアルカリ金属イオン(M)に置換された構成を有する。イオン伝導体の製造方法については後述する。
このようなスルホンアルカリ基が導入されることによって、イオン伝導体は、アルカリ性環境下において、高いイオン伝導性を発現する。
なお、イオン伝導体が有する全ての側鎖のうち少なくとも一つの側鎖がスルホンアルカリ基を有していれば、イオン伝導体はアルカリ性環境下において、高いイオン伝導性を発現することができる。イオン伝導性を向上させるには、イオン伝導体が有する全ての側鎖のうち50%以上の側鎖がスルホンアルカリ基を有していることが好ましく、80%以上の側鎖がスルホンアルカリ基を有していることがより好ましく、全ての側鎖がスルホンアルカリ基を有していることが特に好ましい。
イオン伝導体の構造は、下記一般式(1)によって表すことができる。
Figure 0006963705
一般式(1)において、Mは上述したアルカリ金属であり、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。一般式(1)において、x及びyは整数であり、xは5以上14以下とすることができ、yは1000とすることができる。一般式(1)において、pは0以上3以下の整数であり、qは0又は1であり、nは1以上12以下の整数である。
(水イオン伝導体の製造方法)
次に、電解質膜4を構成するイオン伝導体の製造方法について説明する。
まず、パーフルオロスルホン酸ポリマーを準備する。パーフルオロスルホン酸ポリマーは、フッ素系高分子樹脂である。具体的には、パーフルオロスルホン酸ポリマーは、C−F結合からなる疎水性のパーフルオロカーボン骨格と、スルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖とから構成されるパーフルオロカーボン材料である。パーフルオロスルホン酸ポリマーの側鎖は、スルホン酸基を末端に含む。これにより、パーフルオロスルホン酸ポリマーは、プロトン伝導性を発現する。
パーフルオロスルホン酸ポリマーとしては、ナフィオン(Nafion(登録商標)、デュポン社)、フレミオン(Flemion(登録商標)、旭硝子株式会社)、アシプレックス(Aciplex(登録商標)、旭化成株式会社)などの市販品を用いてもよい。
パーフルオロスルホン酸ポリマーの構造は、下記一般式(2)によって表すことができる。
Figure 0006963705
一般式(2)において、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。一般式(2)において、x及びyは整数であり、xは5以上14以下とすることができ、yは1000とすることができる。一般式(2)において、pは0以上3以下の整数であり、qは0又は1であり、nは1以上12以下の整数である。
次に、所望のアルカリ金属イオンを含有するアルカリ性溶液を準備する。アルカリ性溶液が含有するアルカリ金属イオンは、Li、K、Na、及びNHからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ金属(M)のイオンである。従って、アルカリ性溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液、炭酸カリウム、又は炭酸水素カリウムなどを用いることができる。アルカリ性溶液におけるアルカリ金属イオンの濃度は、後述するカチオン交換が十分行われる程度であればよく特に制限されないが、例えば、0.01〜1mol/Lとすることができる。
次に、アルカリ性溶液を用いて、パーフルオロスルホン酸ポリマーにアルカリ処理を施す。このアルカリ処理では、パーフルオロスルホン酸ポリマーをアルカリ性溶液に浸漬してもよいし、パーフルオロスルホン酸ポリマーにアルカリ性溶液を含浸させてもよいし、パーフルオロスルホン酸ポリマーにアルカリ性溶液を塗布してもよい。アルカリ処理は、室温(例えば、10℃〜30℃)で行うことができる。
このアルカリ処理によって、パーフルオロスルホン酸ポリマーが有する側鎖の末端に位置するスルホン酸基(-SO 基)の水素イオン(H)をアルカリ金属イオン(M)にカチオン置換する。その結果、上記一般式(1)によって表されるイオン伝導体が製造される。
(第1及び第2セパレータ11、12)
図1に示すように、第1及び第2セパレータ11、12は、膜電極接合体10を厚さ方向(z軸方向)の両側から挟むように配置されている。第1セパレータ11は、カソード2に酸素(O)を含む酸化剤を供給するように構成されている。第1セパレータ11は、第1流路111を有している。第1流路111は、カソード2と対向している。この第1流路111には、酸素(O)を含む酸化剤が供給される。
第2セパレータ12は、アノード3に水素原子(H)を含む燃料を供給するように構成されている。第2セパレータ12は、第2流路121を有している。第2流路121は、アノード3と対向している。この第2流路121には、水素原子(H)を含む燃料が供給される。例えば、第2流路121には、メタノールが供給される。
複数の膜電極接合体10が第1及び第2セパレータ11,12を介してスタックされている場合は、第1セパレータ11は、第1流路111が形成される面とは反対側の面に第2流路が形成されている。また、第2セパレータ12は、第2流路121が形成される面とは反対側の面に第1流路が形成されている。
第1セパレータ11と膜電極接合体10との間には、第1シール部材13aが配置されている。第1シール部材13aは、第1セパレータ11と膜電極接合体10との間の密着性を向上させて、酸化剤が外部へ漏出することを防止する。第2セパレータ12と膜電極接合体10との間には、第2シール部材13bが配置されている。第2シール部材13bは、第2セパレータ12と膜電極接合体10との間の密着性を向上させて、燃料が外部へ漏出することを防止する。
第1及び第2シール部材13a、13bは、環状であり、膜電極接合体10の電解質膜4の外周部に当接している。第1及び第2シール部材13a、13bとして、例えば、Oリング、ゴムシートなどを例示することができる。第1シール部材13aは、第1セパレータ11と一体的に構成されていてもよい。第2シール部材13bは、第2セパレータ12と一体的に構成されていてもよい。
(実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
変形例1
上記実施形態では、カソード2が本発明の第1触媒層及び第1ガス拡散層の一例である第1触媒層21及び第1ガス拡散層22を有しているがこれに限定されない。例えば、アノード3が本発明の第1触媒層及び第1ガス拡散層の一例である第1触媒層21及び第1ガス拡散層22を有していてもよい。
変形例2
電解質膜4は、イオン伝導体に加えて、層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)をさらに含んでいてもよい。
LDHは、M2+ 1−x3+ (OH)n−x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4、mは水のモル数を意味する任意の整数である)の一般式で示される基本組成を有する。M2+の例としてはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、及びZn2+が挙げられ、M3+の例としては、Al3+、Fe3+、Ti3+、Y3+、Ce3+、Mo3+、及びCr3+が挙げられ、An−の例としてはCO 2−及びOHが挙げられる。M2+及びM3+としては、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
LDHは、複数の水酸化物基本層と、これら複数の水酸化物基本層間に介在する中間層とから構成される。中間層は、陰イオン及びHOで構成される。水酸化物基本層は、例えば金属MがNi、Al、Tiの場合には、Ni、Al、Ti及びOH基を含む。以下、LDHの水酸化物基本層がNi、Al、Ti及びOH基を含む場合について説明する。
LDH中のNiはニッケルイオンの形態を採りうる。LDH中のニッケルイオンは典型的にはNi2+であると考えられるが、Ni3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のAlはアルミニウムイオンの形態を採りうる。LDH中のアルミニウムイオンは典型的にはAl3+であると考えられるが、他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のTiはチタンイオンの形態を採りうる。LDH中のチタンイオンは典型的にはTi4+であると考えられるが、Ti3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。水酸化物基本層は、Ni、Al、Ti及びOH基を主要構成要素として含むのが好ましいが、他の元素ないしイオンを含んでいてもよいし、不可避不純物を含んでいてもよい。不可避不純物は、製法上不可避的に混入されうる任意元素であり、例えば原料や基材に由来してLDH中に混入しうる。
LDHの中間層は、陰イオン及びHOで構成される。陰イオンは1価以上の陰イオン、好ましくは1価又は2価のイオンである。好ましくは、LDH中の陰イオンはOH及び/又はCO 2−を含む。
上記のとおり、Ni、Al及びTiの価数は必ずしも定かではないため、LDHを一般式で厳密に特定することは非実際的又は不可能である。仮に水酸化物基本層が主としてNi2+、Al3+、Ti4+及びOH基で構成されるものと想定した場合、LDHは、一般式:Ni2+ 1−x−yAl3+ Ti4+ (OH)n− (x+2y)/n・mHO(式中、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、好ましくは1又は2であり、0<x<1、好ましくは0.01≦x≦0.5、0<y<1、好ましくは0.01≦y≦0.5、0<x+y<1、mは0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数である)なる基本組成で表すことができる。もっとも、上記一般式はあくまで「基本組成」と解されるべきであり、Ni2+、Al3+、Ti4+等の元素がLDHの基本的特性を損なわない程度に他の元素又はイオン(同じ元素の他の価数の元素又はイオンや製法上不可避的に混入されうる元素又はイオンを含む)で置き換え可能なものとして解されるべきである。
このように電解質膜4がLDHを含む場合、イオン伝導体はLDHどうしを結着する。また、イオン伝導体は、電解質膜4とカソード2及びアノード3それぞれとの密着性を向上させる役割も果たす。
変形例3
上記実施形態では、本発明に係る燃料電池を固体アルカリ形燃料電池に適用した実施形態を説明したが、本発明に係る燃料電池が適用される対象は固体アルカリ形燃料電池に限定されず、例えば、プロトン伝導膜を用いた固体高分子形燃料電池などの他の燃料電池にも適用することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例には限定されない。
(試験A)
まず、支持体5として、ポリフッ化ビニリデンによって構成され、連続孔を有する多孔質基材を用意した。
次に、多孔質基材の全体にアルミナ及びチタニアの混合ゾルを含浸させて、120℃で所定時間の熱処理工程を複数回繰り返すことによって、多孔質基材の表面全体にアルミナ・チタニア層を形成した。
次に、Ni2+及び尿素を含む原料水溶液に多孔質基材を浸漬させ、原料水溶液中で多孔質基材を水熱処理することによって、LDHからなるイオン伝導体6を形成した。これにより、イオン伝導体6と支持体5とを備える電解質膜4が形成された。そして、この電解質膜4を120℃で熱プレスすることで、厚さ50μmで面積20cmの電解質膜4を形成した。
次に、第1触媒層21及び第1ガス拡散層22を有するカソード2を形成した。詳細には、第1ガス拡散層22として厚さ270μmで面積5cmのカーボンペーパーを準備した。そして、このカーボンペーパーに対して凹凸形状を有する金型を用いてプレスし、カーボンペーパーの第1主面に凹凸形状を形成した。なお、このときのプレス条件は、10MPa、150℃、3分とした。また、実施例1〜3、比較例1〜3において、カーボンペーパーの凹凸形状を変更するために、それぞれ異なる金型でプレスした。
続いて、第1触媒層21として、第1触媒と第1吸着材とを混合したペースト状混合物を準備した。そして、そのペースト状混合物をカーボンペーパーの第1主面に塗布することによって、厚さ300μmのカソード2を形成した。なお、各実施例及び比較例における第1触媒層21の第1触媒の材質は、Pt/Cであり、第1吸着材の材質はスルホンアルカリ基化したイオン伝導体である。
以上のようにして形成された各実施例及び比較例のカソード2において、第2界面長さL2に対する、第1界面長さL1の割合(L1/L2)は、表1の通りである。なお、この割合(L1/L2)は、後述する耐久性の評価が終わった後に算出した。
次に、第2触媒層31及び第2ガス拡散層32を有するアノード3を形成した。詳細には、第2触媒と第2吸着材とを混合したペースト状混合物を作製した。そして、このペースト状混合物を、第2拡散層32として準備した厚さ270μmで面積5cmのカーボンペーパー上に塗布することによって厚さ300μmのアノード3を形成した。なお、各実施例及び比較例における第2触媒層31の材質は、Pt−Ru/Cであり、第2吸着材の材質はスルホンアルカリ基化したイオン伝導体である。また、アノード3のカーボンペーパーには、金型によって凹凸形状を形成していない。
以上のように形成したカソード2、電解質膜4、及びアノード3を積層し、6MPa、120℃、1.5分の条件で熱プレスすることによって、実施例1〜3及び比較例1〜3に係る膜電極接合体10を作製した。そして、実施例1〜3及び比較例1〜3の各膜電極接合体10を、第1セパレータ11と第2セパレータ12とで挟むことによって、固体アルカリ形燃料電池100を作製した。なお、各実施例及び比較例において、割合(L1/L2)や第1触媒層21の材質以外は、基本的に同じ構成としている。
(評価方法)
以上のように各膜電極接合体10に対して、以下の方法によって、電解質膜4の耐久性を評価した。
まず、第1セパレータ11の第1流路111内にフル加湿した空気(利用率50%)を供給し、第2セパレータ12の第2流路121内にフル加湿した水素(利用率80%)を供給した。そして、膜電極接合体10の温度を90℃とし、電圧0.5V(定電圧モード)で1時間後の膜電極接合体の1kHz交流抵抗値を初期抵抗とする。なお、交流抵抗値は、日置電機株式会社のバッテリハイテスタBT3562によって測定した。
そして、第1流路111内を流れる加湿空気にCr3+イオン水を100時間かけて0.01mmol送液した。100時間経過後に送液を停止し、1時間経過後の膜電極接合体の1kHz交流抵抗値を測定し、初期抵抗に対する抵抗の変化率を表1に示した。なお、表1における評価の項目において「◎」は、耐久時間が比較例1に対して抵抗上昇率が20%以上改善していることを意味し、「〇」は抵抗上昇率が比較例1に対して10%以上改善していることを意味する。なお、導入するCr3+イオン水の量は電極面積当たりで適宜修正することが好ましい。
Figure 0006963705
表1に示すように、実施例1〜3は、比較例1〜3に比べて、耐久性が向上していることが分かる。これは、実施例1〜3のカソード2において、割合(L1/L2)を1.07以上にしたためであると考えられる。
(試験B)
試験Bでは、電解質膜4として、高分子電解質であるNafion(登録商標、デュポン社製)を使用した。詳細には、5ミル厚のNafion115を使用した。なお、電解質膜4の面積は、試験Aと同様に20cmとした。
この電解質膜4上に、上記試験Aと同様の方法でカソード2及びアノード3を形成し、比較例4〜6、及び実施例4〜6を作成した。なお、第2界面長さL2に対する、第1界面長さL1の割合(L1/L2)は、表2の通りである。
Figure 0006963705
表2に示すように、実施例4〜6は、比較例4〜6に比べて、耐久性が向上していることが分かる。これは、実施例4〜6のカソード2において、割合(L1/L2)を1.07以上にしたためであると考えられる。
4 電解質膜
10 膜電極接合体
21 第1触媒層
22 第1ガス拡散層
31 第2触媒層
22 第2ガス拡散層

Claims (5)

  1. 電解質膜と、
    第1触媒、及び陽イオン交換能を有する第1吸着材を含み、前記電解質膜上に配置される第1触媒層と、
    前記第1触媒層上に配置される第1ガス拡散層と、
    を備え、
    前記第1触媒層は、前記電解質膜と対向する面の全体が前記電解質膜と接し、前記第1ガス拡散層と対向する面の全体が前記第1ガス拡散層と接しており、
    前記第1触媒層と前記第1ガス拡散層との界面の長さである第1界面長さL1は、前記第1触媒層と前記電解質膜との界面の長さである第2界面長さL2よりも長く、
    前記第2界面長さL2に対する、前記第1界面長さL1の割合(L1/L2)は、1.07以上である、
    膜電極接合体。
  2. 前記第1吸着材は、多価の陽イオンに対してイオン交換能を有する、
    請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. 第2触媒、及び陽イオン交換能を有する第2吸着材を含み、前記第1触媒層と反対側において前記電解質膜上に配置される第2触媒層と、
    前記第2触媒層上に配置される第2ガス拡散層と、
    をさらに備える、請求項1又は2に記載の膜電極接合体。
  4. 前記第2吸着材は、多価の陽イオンに対してイオン交換能を有する、
    請求項3に記載の膜電極接合体。
  5. 前記第2触媒層と前記電解質膜との界面の長さである第5界面長さL5に対する、前記第2触媒層と前記第2ガス拡散層との界面の長さである第4界面長さL4の割合(L4/L5)は、前記第2界面長さL2に対する、前記第1界面長さL1の割合(L1/L2)よりも小さい、
    請求項3又は4に記載の膜電極接合体。
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