JP6941247B2 - 接合体及び電気化学セル - Google Patents

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Description

本発明は、接合体及び電気化学セルに関する。
従来、アルカリ形燃料電池、アルカリ形二次電池及び電解セルなどの電気化学セルは、電極及び電解質によって構成される接合体を含む。
特許文献1では、白金担持カーボン触媒と高分子電解質材料(ナフィオン(登録商標))とを含む電極と、高分子電解質材料(ナフィオン211(登録商標))によって構成される電解質とによって構成される接合体が開示されている。
特開2019−083202号公報
しかしながら、特許文献1に記載の接合体では、耐熱性の低い高分子電解質材料が用いられているため、電気化学セルを長時間作動させると劣化しやすいという問題がある。
そこで、耐熱性に優れたイオン伝導性セラミックスによって電解質を構成することが考えられるが、この場合、電解質と電極との接合性を長期間にわたって維持できることが重要となる。
本発明は、電解質と電極との接合性を向上可能な接合体及び電気化学セルを提供することを目的とする。
本発明に係る接合体は、電解質と、電解質に接合される電極とを備える。電極は、電子伝導性を有する触媒と、電子絶縁性及びイオン絶縁性を有する第1高分子樹脂とを有する。電解質は、電子絶縁性及びイオン絶縁性を有し、前記第1高分子樹脂に接合される第2高分子樹脂と、イオン伝導性セラミックスとを有する。第1高分子樹脂の融点と第2高分子樹脂の融点との温度差は、30℃以下である。
本発明によれば、電解質と電極との接合性を向上可能な接合体及び電気化学セルを提供することができる。
固体アルカリ形燃料電池の構成を模式的に示す断面図 カソードの構成を示す断面図 アノードの構成を示す断面図
(固体アルカリ形燃料電池10)
以下、本発明に係る電気化学セルの一例として、水酸化物イオンをキャリアとするアルカリ形燃料電池(AFC)の一例である固体アルカリ形燃料電池10の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、実施形態に係る固体アルカリ形燃料電池10の構成を示す断面図である。
固体アルカリ形燃料電池10は、カソード12、アノード14、及び電解質16を備える。固体アルカリ形燃料電池10は、下記の電気化学反応式に基づいて、比較的低温(例えば、50℃〜250℃)で発電する。ただし、下記の電気化学反応式では、燃料の一例としてメタノールが用いられている。
・カソード12: 3/2O+3HO+6e→6OH
・アノード14: CHOH+6OH→6e+CO+5H
・全体 : CHOH+3/2O→CO+2H
(カソード12)
カソード12は、一般的に空気極と呼ばれる正極である。カソード12は、本発明に係る「電極」の一例である。カソード12は、電解質16に接合される。カソード12と電解質16とは、本発明に係る「接合体」を構成する。
カソード12には、固体アルカリ形燃料電池10の発電中、酸化剤供給手段13を介して、酸素(O)を含む酸化剤が供給される。酸化剤としては、空気を用いるのが好ましく、空気は加湿されていることがより好ましい。カソード12は、内部に酸化剤を拡散可能な多孔質体である。カソード12の気孔率は特に制限されない。
ここで、図2は、カソード12の構成を示す断面図である。カソード12は、カソード触媒(「触媒」の一例)12aと、カソード担体(「担体」の一例)12bと、高分子樹脂12c(「第1高分子樹脂」の一例)と、セラミックス12dとを有する。カソード12において、カソード触媒12a及び高分子樹脂12cは必須成分であり、カソード担体12b及びセラミックス12dは任意成分である。
(1)カソード触媒12a
カソード触媒12aは、電子伝導性を有する。カソード触媒12aが電子伝導性を有するとは、カソード触媒12aの電子伝導率が10−3mS/cm以上であることを意味する。カソード触媒12aの電子伝導率は、カソード触媒12aの粉末を一軸プレスすることで形成した短冊状の成形体に白金ペーストで端子を形成した後、成形体の直流抵抗を計測することによって測定できる。カソード触媒12aは、AFCに使用される公知の触媒であればよく、特に限定されない。カソード触媒12aとしては、例えば、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)等の第8〜10族元素(IUPAC形式での周期表において第8〜10族に属する元素)、Cu、Ag、Au等の第11族元素(IUPAC形式での周期表において第11族に属する元素)、ロジウムフタロシアニン、テトラフェニルポルフィリン、Coサレン、Niサレン(サレン=N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン)、銀硝酸塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
(2)カソード担体12b
カソード担体12bには、カソード触媒12aが担持される。カソード担体12bは、AFCに使用される公知の導電性粒子であればよく、特に限定されない。カソード担体12bとしては、例えば、炭素材料、ペロブスカイト型導電性材料、多孔質導電性ポリマー、金属多孔体、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。炭素材料は、多孔質構造を有していてもよいし、多孔質構造を有していなくてもよい。多孔質構造を有する炭素材料としては、メソポーラスカーボンなどが挙げられる。多孔質構造を有していない炭素材料としては、グラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ及びカーボンファイバーなどを挙げることができる。なお、カソード12におけるカソード触媒12aの担持量は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10mg/cm、より好ましくは0.05〜5mg/cmである。
(3)高分子樹脂12c
高分子樹脂12cは、電子絶縁性及び水酸化物イオン絶縁性を有する。これにより、高分子樹脂12cへの電子及びイオンの伝導を抑制できるため、電子及びイオンの伝導に伴う高分子樹脂12cの発熱を抑制できる。その結果、発熱による高分子樹脂12cの寸法変化を抑制できるため、カソード12/電解質16間の界面に浮きや剥離が生じることを抑制できる。
高分子樹脂12cが電子絶縁性を有するとは、高分子樹脂12cの電子伝導率が10−4mS/cm以下であることを意味する。高分子樹脂12cの電子伝導率は、シート形状に加工した高分子樹脂12cから短冊状に切り出した試験片に白金ペーストで端子を形成した後、試験片の直流抵抗を計測することによって測定できる。また、高分子樹脂12cが水酸化物イオン絶縁性を有するとは、高分子樹脂12cの水酸化物イオン伝導率が10−5mS/cm以下であることを意味する。高分子樹脂12cの水酸化物イオン伝導率は、上記試験片の交流抵抗を計測することによって測定できる。
高分子樹脂12cは、カソード触媒12a、カソード担体12b及びセラミックス12dそれぞれを結着する。これにより、カソード12の強度を高めることができる。
高分子樹脂12cは、後述する電解質16に含まれる高分子樹脂16aに接合される。これにより、カソード12と電解質16との接合性を向上させることができる。
高分子樹脂12cの材料は、電子絶縁性及び水酸化物イオン絶縁性を有していればよく、特に制限されない。高分子樹脂12cとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
カソード12における高分子樹脂12cの含有量は特に制限されないが、例えば、5.0vol%〜80vol%とすることができ、10vol%以上であることが好ましい。
(4)セラミックス12d
セラミックス12dは、水酸化物イオン伝導性(「イオン伝導性」の一例)を有する。セラミックス12dが水酸化物イオン伝導性を有するとは、セラミックス12dの水酸化物イオン伝導率が0.1mS/cm以上であることを意味する。セラミックス12dの水酸化物イオン伝導率は、セラミックス12dの粉末を一軸プレスすることで形成した短冊状の成形体に白金ペーストで端子を形成した後、成形体の交流抵抗を計測することによって測定できる。セラミックス12dは、電子伝導性を有していてもよいし、電子伝導性を実質的に有していなくてもよい。セラミックス12dが電子伝導性を有するとは、セラミックス12dの電子伝導率が10−3mS/cm以上であることを意味する。
セラミックス12dは、カソード触媒12a、カソード担体12b及び高分子樹脂12cの少なくとも1つに接触する。セラミックス12dは、2以上のカソード触媒12aに接触することが好ましい。これにより、カソード12の電極反応場を広めるとともに、カソード12における水酸化物イオン伝導を促進させることができる。
セラミックス12dとしては、例えば、層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)、LiAlOなどが挙げられるが、LDHが特に好適である。LDHの詳細については後述する。
(5)カソード12の作製方法
カソード12の作製方法は特に限定されないが、例えば次のように作製することができる。まず、カソード触媒12a、カソード担体12b、高分子樹脂12c及びセラミックス12dを混合してペースト状にする。次に、このペースト状混合物を電解質16のカソード側表面16Sに塗布する。そして、高分子樹脂12cと電解質16の高分子樹脂16aとのうち融点が低い方の高分子樹脂の融点から25℃低い温度で熱圧着することによって、カソード12と電解質16との接合体が形成される。
(アノード)
アノード14は、一般的に燃料極と呼ばれる負極である。アノード14は、本発明に係る「電極」の一例である。アノード14は、電解質16に接合される。アノード14と電解質16とは、本発明に係る「接合体」を構成する。
アノード14には、固体アルカリ形燃料電池10の発電中、燃料供給手段15を介して、水素原子(H)を含む燃料が供給される。アノード14は、内部に燃料を拡散可能な多孔質体である。アノード14の気孔率は特に制限されない。
水素原子を含む燃料は、アノード14において水酸化物イオン(OH)と反応可能な燃料化合物を含んでいればよく、液体燃料及び気体燃料のいずれの形態であってもよい。
燃料化合物としては、例えば、(i)ヒドラジン(NHNH)、水加ヒドラジン(NHNH・HO)、炭酸ヒドラジン((NHNHCO)、硫酸ヒドラジン(NHNH・HSO)、モノメチルヒドラジン(CHNHNH)、ジメチルヒドラジン((CHNNH、CHNHNHCH)、及びカルボンヒドラジド((NHNHCO)等のヒドラジン類、(ii)尿素(NHCONH)、(iii)アンモニア(NH)、(iv)イミダゾール、1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等の複素環類化合物、(v)ヒドロキシルアミン(NHOH)、硫酸ヒドロキシルアミン(NHOH・HSO)等のヒドロキシルアミン類、及びこれらの組合せが挙げられる。これらの燃料化合物のうち炭素を含まない化合物(すなわち、ヒドラジン、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、アンモニア、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン等)は、一酸化炭素による触媒被毒の問題が無いため特に好適である。
燃料化合物は、そのまま燃料として用いてもよいが、水及び/又はアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコール等)に溶解させた溶液として用いてもよい。例えば、上記燃料化合物のうち、ヒドラジン、水化ヒドラジン、モノメチルヒドラジン及びジメチルヒドラジンは液体であるので、そのまま液体燃料として使用可能である。また、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、カルボンヒドラジド、尿素、イミダゾール、及び3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、及び硫酸ヒドロキシルアミンは固体であるが水に可溶である。1,3,5−トリアジン及びヒドロキシルアミンは固体であるがアルコールに可溶である。アンモニアは気体であるが水に可溶である。このように、固体の燃料化合物は、水又はアルコールに溶解させて液体燃料として使用可能である。燃料化合物を水及び/又はアルコールに溶解させて用いる場合、溶液中の燃料化合物の濃度は、例えば30〜99.9重量%であり、好ましくは66〜99.9重量%である。
また、メタノール、エタノール等のアルコール類やエーテル類を含む炭化水素系液体燃料、メタン等の炭化水素系ガス、或いは純水素などは、そのまま燃料として用いることができる。特に、本実施形態に係る固体アルカリ形燃料電池10に用いられる燃料としては、メタノールが好適である。メタノールは、気体状態、液体状態、及び、気液混合状態のいずれであってもよい。
ここで、図3は、アノード14の構成を示す断面図である。アノード14は、アノード触媒(「触媒」の一例)14aと、アノード担体(「担体」の一例)14bと、高分子樹脂14c(「第1高分子樹脂」の一例)と、セラミックス14dとを有する。アノード14において、アノード触媒14a及び高分子樹脂14cは必須成分であり、アノード担体14b及びセラミックス14dは任意成分である。
(1)アノード触媒14a
アノード触媒14aは、電子伝導性を有する。アノード触媒14aが電子伝導性を有するとは、アノード触媒14aの電子伝導率が10−3mS/cm以上であることを意味する。アノード触媒14aの電子伝導率は、アノード触媒14aの粉末を一軸プレスすることで形成した短冊状の成形体に白金ペーストで端子を形成した後、成形体の直流抵抗を計測することによって測定できる。アノード触媒14aは、AFCに使用される公知の触媒であればよく、特に限定されない。アノード触媒14aとしては、例えば、Pt、Ni、Co、Ag、Fe、Ru、Sn、Pd、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
(2)アノード担体14b
アノード担体14bには、アノード触媒14aが担持される。アノード担体14bは、AFCに使用される公知の導電性粒子であればよく、特に限定されない。アノード担体14bとしては、例えば、炭素材料、ペロブスカイト型導電性材料、多孔質導電性ポリマー、金属多孔体、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。炭素材料は、多孔質構造を有していてもよいし、多孔質構造を有していなくてもよい。アノード14におけるアノード触媒14aの担持量は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10mg/cm、より好ましくは、0.05〜5mg/cmである。
(3)高分子樹脂14c
高分子樹脂14cは、電子絶縁性及び水酸化物イオン絶縁性を有する。これにより、高分子樹脂14cへの電子及びイオンの伝導を抑制できるため、電子及びイオンの伝導に伴う高分子樹脂14cの発熱を抑制できる。その結果、発熱による高分子樹脂14cの寸法変化を抑制できるため、アノード14/電解質16間の界面に浮きや剥離が生じることを抑制できる。
高分子樹脂14cが電子絶縁性を有するとは、高分子樹脂14cの電子伝導率が10−4mS/cm以下であることを意味する。高分子樹脂14cの電子伝導率は、シート形状に加工した高分子樹脂14cから短冊状に切り出した試験片に白金ペーストで端子を形成した後、試験片の直流抵抗を計測することによって測定できる。また、高分子樹脂14cが水酸化物イオン絶縁性を有するとは、高分子樹脂14cの水酸化物イオン伝導率が10−5mS/cm以下であることを意味する。高分子樹脂14cの水酸化物イオン伝導率は、上記試験片の交流抵抗を計測することによって測定できる。
高分子樹脂14cは、アノード触媒14a、アノード担体14b及びセラミックス14dそれぞれを結着する。これにより、アノード14の強度を高めることができる。
高分子樹脂14cは、後述する電解質16に含まれる高分子樹脂16aに接合される。これにより、アノード14と電解質16との接合性を向上させることができる。
高分子樹脂14cの材料は、電子絶縁性及び水酸化物イオン絶縁性を有していればよく、特に制限されない。高分子樹脂14cとしては、例えば、PVDF、HFP、CMC、SBR、PE、PP、PTFE、PCTFE及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
アノード14における高分子樹脂14cの含有量は特に制限されないが、例えば、5.0vol%〜80vol%とすることができ、10vol%以上であることが好ましい。
(4)セラミックス14d
セラミックス14dは、水酸化物イオン伝導性(「イオン伝導性」の一例)を有する。セラミックス14dが水酸化物イオン伝導性を有するとは、セラミックス14dの水酸化物イオン伝導率が0.1mS/cm以上であることを意味する。セラミックス14dの水酸化物イオン伝導率は、セラミックス14dの粉末を一軸プレスすることで形成した短冊状の成形体に白金ペーストで端子を形成した後、成形体の交流抵抗を計測することによって測定できる。セラミックス14dは、電子伝導性を有していてもよいし、電子伝導性を実質的に有していなくてもよい。セラミックス12dが電子伝導性を有するとは、セラミックス12dの電子伝導率が10−3mS/cm以上であることを意味する。
セラミックス14dは、アノード触媒14a、アノード担体14b及び高分子樹脂14cの少なくとも1つに接触する。セラミックス14dは、2以上のアノード触媒14aに接触することが好ましい。これにより、アノード14の電極反応場を広めるとともに、アノード14における水酸化物イオン伝導を促進させることができる。
セラミックス14dとしては、例えば、LDH、LiAlOなどが挙げられるが、LDHが特に好適である。LDHの詳細については後述する。
(5)アノード14の作製方法
アノード14の作製方法は特に限定されないが、例えば次のように作製することができる。まず、アノード触媒14a、アノード担体14b、高分子樹脂14c及びセラミックス14dを混合してペースト状にする。次に、このペースト状混合物を電解質16のアノード側表面16Tに塗布する。そして、高分子樹脂14cと電解質16の高分子樹脂16aとのうち融点が低い方の高分子樹脂の融点から25℃低い温度で熱圧着することによって、アノード14と電解質16との接合体が形成される。
(電解質)
電解質16は、カソード12とアノード14との間に配置される。電解質16は、カソード12及びアノード14それぞれに接合される。電解質16は、膜状、層状、或いは、シート状に形成される。
電解質16は、図2及び図3に示すように、高分子樹脂16a(「第2高分子樹脂」の一例)とセラミックス16b(「セラミックス」の一例)とを有する。
(1)高分子樹脂16a
高分子樹脂16aは、電子絶縁性及び水酸化物イオン絶縁性を有する。これにより、高分子樹脂16cへの電子及びイオンの伝導を抑制できるため、電子及びイオンの伝導に伴う高分子樹脂16cの発熱を抑制できる。その結果、発熱による高分子樹脂16cの寸法変化を抑制できるため、カソード12/電解質16間及びアノード14/電解質16間それぞれの界面に浮きや剥離が生じることを抑制できる。
高分子樹脂16aが電子絶縁性を有するとは、高分子樹脂16aの電子伝導率が10−4mS/cm以下であることを意味する。高分子樹脂16aの電子伝導率は、シート形状に加工した高分子樹脂16aから短冊状に切り出した試験片に白金ペーストで端子を形成した後、試験片の直流抵抗を計測することによって測定できる。また、高分子樹脂16aが水酸化物イオン絶縁性を有するとは、高分子樹脂16aの水酸化物イオン伝導率が10−5mS/cm以下であることを意味する。高分子樹脂16aの水酸化物イオン伝導率は、上記試験片の交流抵抗を計測することによって測定できる。
高分子樹脂16aは、セラミックス16bを支持する。高分子樹脂16aは、立体的かつ網目状に繋がった三次元網目構造を有することが好ましい。これにより、三次元網目構造の隙間にセラミックス16bを強固に支持できるとともに、電解質16の強度を向上させることができる。
高分子樹脂16aの材料は、電子絶縁性及び水酸化物イオン絶縁性を有していればよく、特に制限されない。高分子樹脂16aとしては、例えば、PVDF、HFP、CMC、SBR、PE、PP、PTFE、PCTFE及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
電解質16における高分子樹脂16aの含有量は特に制限されないが、例えば、20vol%〜75vol%とすることができ、30vol%以上であることが好ましい。
本実施形態において、高分子樹脂16aのうちカソード側表面16Sに露出する部分は、カソード12の高分子樹脂12cに接合される。これにより、カソード12と電解質16との接合性を向上させることができる。なお、高分子樹脂16aのうちカソード側表面16Sに露出する部分は、カソード12のカソード触媒12a、カソード担体12b及びセラミックス12dとも接合していてよい。
ここで、高分子樹脂12cの融点と高分子樹脂16aの融点との温度差は、30℃以下である。これにより、カソード12と電解質16との接合性を向上させることができる。このような効果が得られるのは、カソード12と電解質16とを熱圧着する際に高分子樹脂12c及び高分子樹脂16aそれぞれを軟化して接着性を発現する温度範囲内に入れることができるからである。
高分子樹脂12cの融点と高分子樹脂16aの融点との温度差は、2℃以上25℃以下がより好ましい。これにより、カソード12と電解質16との接合性をより向上させることができる。このような効果が得られるのは、高分子樹脂12c及び高分子樹脂16aの融点温度差が小さいことで、カソード12と電解質16とを熱圧着する際に高分子樹脂12c及び高分子樹脂16aそれぞれを軟化して接着性を発現する温度範囲内に入れつつ、各々が軟化して接着性を発現するタイミングがずれるため、一方の高分子樹脂の分子運動を活発化させつつ他方の高分子樹脂の分子運動が活性化されて両者の相互作用が強まるからだと考えられる。
高分子樹脂12cの融点は特に制限されないが、例えば、110℃以上350℃以下とすることができる。高分子樹脂12cの融点は、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度より高いことが好ましい。固体アルカリ形燃料電池10の作動温度とは、固体アルカリ形燃料電池10の温度制御のために管理される温度である。作動温度としては、定常的に作動する固体アルカリ形燃料電池10に近接又は当接する所定位置における温度を用いることができる。定常的に作動するとは、1時間内における温度変化が±5度以内に収まる状態で作動することを意味する。作動温度は、典型的には50℃〜250℃の範囲内に設定される。
高分子樹脂16aの融点は特に制限されないが、例えば、110℃以上300℃以下とすることができる。高分子樹脂16aの融点は、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度より高いことが好ましい。なお、高分子樹脂16aの融点は、その分子量によって変動しうる。
高分子樹脂12cの融点は、高分子樹脂16aの融点より高くてもよいし、低くてもよいし、或いは、同じ温度であってもよい。高分子樹脂12cの融点は、その分子量によって変動しうる。
本実施形態において、高分子樹脂16aのうちアノード側表面16Tに露出する部分は、アノード14の高分子樹脂14cに接合される。これにより、アノード14と電解質16との接合性を向上させることができる。なお、高分子樹脂16aのうちアノード側表面16Tに露出する部分は、アノード14のアノード触媒14a、アノード担体14b及びセラミックス14dとも接合していてよい。
ここで、高分子樹脂14cの融点と高分子樹脂16aの融点との温度差は、30℃以下である。これにより、アノード14と電解質16との接合性を向上させることができる。このような効果が得られるのは、アノード14と電解質16とを熱圧着する際に高分子樹脂14c及び高分子樹脂16aそれぞれを軟化して接着性を発現する温度範囲内に入れることができるからである。
高分子樹脂14cの融点と高分子樹脂16aの融点との温度差は、2℃以上25℃以下がより好ましい。これにより、アノード14と電解質16との接合性をより向上させることができる。このような効果が得られるのは、高分子樹脂14c及び高分子樹脂16aの融点温度差が小さいことで、アノード14と電解質16とを熱圧着する際に高分子樹脂14c及び高分子樹脂16aそれぞれを軟化して接着性を発現する温度範囲内に入れつつ、各々が軟化して接着性を発現するタイミングがずれるため、一方の高分子樹脂の分子運動を活発化させつつ他方の高分子樹脂の分子運動が活性化されて両者の相互作用が強まるからだと考えられる。
高分子樹脂14cの融点は特に制限されないが、例えば、110℃以上350℃以下とすることができる。高分子樹脂14cの融点は、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度より高いことが好ましい。高分子樹脂16aの融点については上述したとおりである。
高分子樹脂14cの融点は、高分子樹脂16aの融点より高くてもよいし、低くてもよいし、或いは、同じ温度であってもよい。高分子樹脂14cの融点は、その分子量によって変動しうる。
(2)セラミックス16b
セラミックス16bは、水酸化物イオン伝導性(「イオン伝導性」の一例)を有する。セラミックス16bの水酸化物イオン伝導率は特に制限されないが、例えば、0.1mS/cm以上とすることができる。高分子樹脂16bの電子伝導率は、シート形状に加工した高分子樹脂16bから短冊状に切り出した試験片に白金ペーストで端子を形成した後、試験片の直流抵抗を計測することによって測定できる。セラミックス16bの電子伝導率は水酸化物イオン伝導率に比べて十分低いことが好ましいが、例えば、10−3mS/cm以下とすることができる。高分子樹脂16bの水酸化物イオン伝導率は、上記試験片の交流抵抗を計測することによって測定できる。
セラミックス16bは、高分子樹脂16aによって支持される。セラミックス16bは、高分子樹脂16aに接合される。高分子樹脂16aが三次元網目構造を有する場合、セラミックス16bは、高分子樹脂16aの隙間に配置される。
セラミックス16bとしては、例えば、LDH、LiAlOなどが挙げられるが、LDHが特に好適である。以下、LDHの構成について説明する。
LDHは、M2+ 1−x3+ (OH)n−x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4、mは水のモル数を意味する任意の整数である)の一般式で示される基本組成を有する。M2+の例としてはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、及びZn2+が挙げられ、M3+の例としては、Al3+、Fe3+、Ti3+、Y3+、Ce3+、Mo3+、及びCr3+が挙げられ、Anの例としてはCO 2−及びOHが挙げられる。M2+及びM3+としては、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
LDHは、複数の水酸化物基本層と、これら複数の水酸化物基本層間に介在する中間層とから構成される。中間層は、陰イオン及びHOで構成される。水酸化物基本層は、例えば金属MがNi、Al、Tiの場合には、Ni、Al、Ti及びOH基を含む。以下、LDHの水酸化物基本層がNi、Al、Ti及びOH基を含む場合について説明する。
LDH中のNiはニッケルイオンの形態を採りうる。LDH中のニッケルイオンは典型的にはNi2+であると考えられるが、Ni3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のAlはアルミニウムイオンの形態を採りうる。LDH中のアルミニウムイオンは典型的にはAl3+であると考えられるが、他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のTiはチタンイオンの形態を採りうる。LDH中のチタンイオンは典型的にはTi4+であると考えられるが、Ti3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。水酸化物基本層は、Ni、Al、Ti及びOH基を主要構成要素として含むのが好ましいが、他の元素ないしイオンを含んでいてもよいし、不可避不純物を含んでいてもよい。不可避不純物は、製法上不可避的に混入されうる任意元素であり、例えば原料や基材に由来してLDH中に混入しうる。
LDHの中間層は、陰イオン及びHOで構成される。陰イオンは1価以上の陰イオン、好ましくは1価又は2価のイオンである。好ましくは、LDH中の陰イオンはOH及び/又はCO 2−を含む。
上記のとおり、Ni、Al及びTiの価数は必ずしも定かではないため、LDHを一般式で厳密に特定することは非実際的又は不可能である。仮に水酸化物基本層が主としてNi2+、Al3+、Ti4+及びOH基で構成されるものと想定した場合、LDHは、一般式:Ni2+ 1−x−yAl3+ Ti4+ (OH)n− (x+2y)/n・mHO(式中、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、好ましくは1又は2であり、0<x<1、好ましくは0.01≦x≦0.5、0<y<1、好ましくは0.01≦y≦0.5、0<x+y<1、mは0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数である)なる基本組成で表すことができる。もっとも、上記一般式はあくまで「基本組成」と解されるべきであり、Ni2+、Al3+、Ti4+等の元素がLDHの基本的特性を損なわない程度に他の元素又はイオン(同じ元素の他の価数の元素又はイオンや製法上不可避的に混入されうる元素又はイオンを含む)で置き換え可能なものとして解されるべきである。
(実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
[変形例1]
上記実施形態では、電気化学セルの一例であるアルカリ形燃料電池に対して本発明に係る接合体を適用した場合について説明したが、本発明に係る接合体は、種々の電気化学セルに適用可能である。
電気化学セルとしては、例えば、二次電池(ニッケル亜鉛二次電池、亜鉛空気二次電池など)、水蒸気から水素と酸素を生成する電解セル、或いは、プロトンをキャリアとする燃料電池などに適用することができる。
電気化学セルがプロトンをキャリアとする場合、カソード12のセラミックス12d、アノード14のセラミックス14d及び電解質16のセラミックス16bがプロトン伝導性を有し、かつ、カソード12の高分子樹脂12c、アノード14の高分子樹脂14c及び電解質16の高分子樹脂16aが電子絶縁性及びプロトン絶縁性を有していればよい。プロトン絶縁性を有するとは、プロトン伝導率が10−5mS/cm以下であることを意味する。
プロトン伝導性を有するセラミックスとしては、例えば、BaZrO系、BaCeO系及びLaYbO系の酸化物材料やペロブスカイト系酸化物(SrZr(1−x)In、BaZr(1−x)など)、硫酸修飾チタニア、硫酸水素セシウム、リン酸水素セシウム、リン酸ガラス、ピロリン酸塩(SnP、TiPなど)を用いることができる。プロトン絶縁性を有する高分子樹脂としては、例えば、PVDF、HFP、CMC、SBR、PE、PP、PTFE、PCTFE及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
なお、電気化学セルとは、化学エネルギーを電気エネルギーに変えるための装置、或いは、電気エネルギーを化学エネルギーに変えるための装置であって一対の電極が配置されたものの総称である。
[変形例2]
上記実施形態では、本発明に係る接合体を、電解質16のカソード12側及びアノード14側の両方に適用することとしたが、カソード12側及びアノード14側の一方のみに適用してもよい。
[変形例3]
上記実施形態において、カソード12は、カソード担体12b及びセラミックス12dを含むこととしたが、カソード担体12b及びセラミックス12dの少なくとも一方を含まなくてもよい。アノード14はアノード担体14b12b及びセラミックス14dを含むこととしたが、アノード担体14b及びセラミックス14dの少なくとも一方を含まなくてもよい。
[変形例4]
上記実施形態において、カソード12、アノード14、及び電解質16それぞれは、高分子樹脂を1種類ずつ含むこととしたが、高分子樹脂を複数種類ずつ含んでいてもよい。
この場合、カソード12に含まれる少なくとも1種類の高分子樹脂と電解質16に含まれる少なくとも1種類の高分子樹脂との融点度差が30℃以下であれば、カソード12と電解質16との接合性を向上させることができる。
同様に、アノード14に含まれる少なくとも1種類の高分子樹脂と電解質16に含まれる少なくとも1種類の高分子樹脂との融点度差が30℃以下であれば、アノード14と電解質16との接合性を向上させることができる。
[変形例5]
上記実施形態に係る電極(カソード12及びアノード14のうち少なくとも一方)は、イオン伝導材を含んでいてもよい。水酸化物イオンをキャリアとする電気化学セルの電極では、イオン伝導材として、LDH、LiAlOなどを用いることができる。プロトンをキャリアとする電気化学セルの電極では、イオン伝導材として、BaZrO系、BaCeO系及びLaYbO系の酸化物材料やペロブスカイト系酸化物、硫酸修飾チタニア、硫酸水素セシウム、リン酸水素セシウム、リン酸ガラス、ピロリン酸塩などを用いることができる。
以下、本発明の実施例A〜Cについて説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例A〜Cには限定されない。
1.実施例A
(アルカリ形燃料電池の作製)
実施例1〜10及び比較例1〜3に係るアルカリ形燃料電池(図1〜3参照)を次の通り作製した。
まず、表1に示す第2高分子樹脂によって構成される多孔質基材を用意した。示差走査熱量分析により特定した第2高分子樹脂の融点は、表1に示すとおりであった。
次に、多孔質基材をアルミナ及びチタニアの混合ゾルを含浸させて熱処理することによって、多孔質基材の内表面にアルミナ・チタニア層を形成した。
次に、原料水溶液(ニッケルイオン、尿素を含む水溶液)に多孔質基材を浸漬させ、原料水溶液中で水熱処理(5時間、120℃)した。これにより、第2高分子樹脂によって構成される三次元網目構造の隙間にLDHが配置された電解質を形成した。
続いて、表1に示す第1高分子樹脂と、Pt/C(Pt担持量50wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC10E50E)とを準備した。示差走査熱量分析により特定した第1高分子樹脂の融点は、表1に示すとおりであった。
次に、Pt/C:第1高分子樹脂:水の重量比が3vol%:7vol%:90vol%の比率となるように混合してカソード用ペーストを調製した。
次に、電解質の一方の主面にカソード用ペーストを印刷することによってカソードを形成した。そして、N雰囲気中において100℃、12時間で乾燥させた。
続いて、表1に示す第1高分子樹脂と、Pt−Ru/C(Pt−Ru担持量54wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC61E54)とを準備した。
次に、Pt/C:第1高分子樹脂:水の重量比が3vol%:7vol%:90vol%の比率となるように混合してアノード用ペーストを調製した。
次に、電解質の他方の主面にアノード用ペーストを印刷することによってアノードを形成した。そして、N雰囲気中において100℃、12時間で乾燥させた。
両面にカソード、アノードが形成された電解質を、第1、第2高分子樹脂のうち融点が低い方の高分子樹脂の融点から25℃低い温度、4.0MPa、1分で熱圧着してアルカリ形燃料電池が完成した。
(アルカリ形燃料電池の熱サイクル試験)
まず、アノードにNガスを供給するとともに、カソードに空気を供給しながら、アルカリ形燃料電池を1時間で120℃まで昇温して1時間保持した後に室温まで冷却する工程を100回繰り返す熱サイクル試験を行った。
その後、アルカリ形燃料電池の外観観察及び断面観察を行った。外観観察では、アルカリ形燃料電池の外観を目視で観察して、電解質/電極(カソード又はアノード)間の界面における浮きや剥離の有無を確認した。断面観察では、液体窒素で冷却したアルカリ形燃料電池を破断して露出させた破断面の任意の3箇所を電子顕微鏡で観察して、電解質/電極間の界面における浮きや剥離の有無を確認した。
表1では、外観観察及び断面観察のいずれにおいても浮きや剥離が確認されなかったものを◎と評価し、外観観察では浮き及び剥離が確認されなかったものの断面観察において電子顕微鏡で確認できるレベルの浮き及び剥離が確認されたものを○と評価し、外観観察において目視可能なレベルの浮き及び剥離が確認されたものを×と評価した。
Figure 0006941247
表1に示すように、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を30℃超とした比較例1〜3では、熱サイクル試験後に目視可能なレベルの浮き及び剥離が生じた。一方、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を30℃以下とした実施例1〜10では、熱サイクル試験後に目視可能なレベルの浮き及び剥離が生じることを抑制できた。このことから、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を30℃以下とすることによって、電解質と電極との接合性を向上させられることが分かった。
また、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を2℃以上25℃以下とした実施例2〜4,7〜10では、熱サイクル試験後に電子顕微鏡で確認できるレベルの浮き及び剥離が生じることをも抑制できた。このことから、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を2℃以上25℃以下とすることによって、電解質と電極との接合性をより向上させられることが分かった。
また、実施例2と実施例7との比較から、第1高分子樹脂の融点が第2高分子樹脂の融点より高いか低いかに関わらず上述の効果が得られることが分かった。
また、実施例1〜4,6〜7と実施例5,8〜9との比較から、第1高分子樹脂及び第2高分子樹脂に異なる化合物を用いた場合であっても上述の効果が得られることが分かった。
2.実施例B
(プロトン伝導燃料電池の作製)
実施例11〜20及び比較例4〜6に係るプロトン伝導燃料電池を次の通り作製した。
まず、松本広重著、「界面プロトン伝導性ナノ粒子と吸水多孔質電解質水電解」、ENEOS Technical Review 第56巻第2号(2014)p8−12に記載された手法を用いて硫酸修飾チタニア粒子を得た。
次に、表2に示す第2高分子樹脂と硫酸修飾チタニア粒子とを混合したペーストを印刷法でシート化することによって電解質を作製した。示差走査熱量分析により特定した第2高分子樹脂の融点は、表2に示すとおりであった。
続いて、表2に示す第1高分子樹脂と、Pt/C(Pt担持量50wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC10E50E)とを準備した。示差走査熱量分析により特定した第1高分子樹脂の融点は、表2に示すとおりであった。
次に、Pt/C:第1高分子樹脂:水の重量比が3vol%:7vol%:90vol%の比率となるように混合してカソード用ペーストを調製した。
次に、電解質の一方の主面にカソード用ペーストを印刷することによってカソードを形成した。そして、N雰囲気中において100℃、12時間で乾燥させた。
続いて、表2に示す第1高分子樹脂と、Pt−Ru/C(Pt−Ru担持量54wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC61E54)とを準備した。
次に、Pt/C:第1高分子樹脂:水の重量比が3vol%:7vol%:90vol%の比率となるように混合してアノード用ペーストを調製した。
次に、電解質の他方の主面にアノード用ペーストを印刷することによってアノードを形成した。そして、N雰囲気中において100℃、12時間で乾燥させた。
両面にカソード、アノードが形成された電解質を、第1、第2高分子樹脂のうち融点が低い方の高分子樹脂の融点から25℃低い温度、4.0MPa、1分で熱圧着してプロトン伝導燃料電池が完成した。
(プロトン伝導燃料電池の熱サイクル試験)
まず、アノードにNガスを供給するとともに、カソードに空気を供給しながら、プロトン伝導燃料電池を1時間で120℃まで昇温して1時間保持した後に室温まで冷却する工程を100回繰り返す熱サイクル試験を行った。
その後、プロトン伝導燃料電池の外観観察及び断面観察を行った。外観観察では、プロトン伝導燃料電池の外観を目視で観察して、電解質/電極(カソード又はアノード)間の界面における浮きや剥離の有無を確認した。断面観察では、液体窒素で冷却したプロトン伝導燃料電池を破断して露出させた破断面の任意の3箇所を電子顕微鏡で観察して、電解質/電極間の界面における浮きや剥離の有無を確認した。
表2では、外観観察及び断面観察のいずれにおいても浮きや剥離が確認されなかったものを◎と評価し、外観観察では浮き及び剥離が確認されなかったものの断面観察において電子顕微鏡で確認できるレベルの浮き及び剥離が確認されたものを○と評価し、外観観察において目視可能なレベルの浮き及び剥離が確認されたものを×と評価した。
Figure 0006941247
表2に示すように、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を30℃超とした比較例4〜6では、熱サイクル試験後に目視可能なレベルの浮き及び剥離が生じた。一方、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を30℃以下とした実施例11〜20では、熱サイクル試験後に目視可能なレベルの浮き及び剥離が生じることを抑制できた。このことから、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を30℃以下とすることによって、電解質と電極との接合性を向上させられることが分かった。
また、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を2℃以上25℃以下とした実施例12〜14,17〜20では、熱サイクル試験後に電子顕微鏡で確認できるレベルの浮き及び剥離が生じることをも抑制できた。このことから、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を2℃以上25℃以下とすることによって、電解質と電極との接合性をより向上させられることが分かった。
また、実施例12と実施例17との比較から、第1高分子樹脂の融点が第2高分子樹脂の融点より高いか低いかに関わらず上述の効果が得られることが分かった。
また、実施例11〜14,16〜17と実施例15,18〜19との比較から、第1高分子樹脂及び第2高分子樹脂に異なる化合物を用いた場合であっても上述の効果が得られることが分かった。
3.実施例C
(プロトン伝導燃料電池の作製)
実施例21〜30及び比較例7〜9に係るプロトン伝導燃料電池を次の通り作製した。
まず、表2に示す第2高分子樹脂と硫酸水素セシウム粒子(三津和化学薬品株式会社社製、純度99%以上)とを混合したペーストを印刷法でシート化することによって電解質を作製した。示差走査熱量分析により特定した第2高分子樹脂の融点は、表3に示すとおりであった。
続いて、表3に示す第1高分子樹脂と、Pt/C(Pt担持量50wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC10E50E)とを準備した。示差走査熱量分析により特定した第1高分子樹脂の融点は、表3に示すとおりであった。
次に、Pt/C:第1高分子樹脂:水の重量比が3vol%:7vol%:90vol%の比率となるように混合してカソード用ペーストを調製した。
次に、電解質の一方の主面にカソード用ペーストを印刷することによってカソードを形成した。そして、N雰囲気中において100℃、12時間で乾燥させた。
続いて、表3に示す第1高分子樹脂と、Pt−Ru/C(Pt−Ru担持量54wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC61E54)とを準備した。
次に、Pt/C:第1高分子樹脂:水の重量比が3vol%:7vol%:90vol%の比率となるように混合してアノード用ペーストを調製した。
次に、電解質の他方の主面にアノード用ペーストを印刷することによってアノードを形成した。そして、N雰囲気中において100℃、12時間で乾燥させた。
両面にカソード、アノードが形成された電解質を、第1、第2高分子樹脂のうち融点が低い方の高分子樹脂の融点から25℃低い温度、4.0MPa、1分で熱圧着してプロトン伝導燃料電池が完成した。
(プロトン伝導燃料電池の熱サイクル試験)
まず、アノードにNガスを供給するとともに、カソードに空気を供給しながら、プロトン伝導燃料電池を1時間で120℃まで昇温して1時間保持した後に室温まで冷却する工程を100回繰り返す熱サイクル試験を行った。
その後、プロトン伝導燃料電池の外観観察及び断面観察を行った。外観観察では、プロトン伝導燃料電池の外観を目視で観察して、電解質/電極(カソード又はアノード)間の界面における浮きや剥離の有無を確認した。断面観察では、液体窒素で冷却したプロトン伝導燃料電池を破断して露出させた破断面の任意の3箇所を電子顕微鏡で観察して、電解質/電極間の界面における浮きや剥離の有無を確認した。
表3では、外観観察及び断面観察のいずれにおいても浮きや剥離が確認されなかったものを◎と評価し、外観観察では浮き及び剥離が確認されなかったものの断面観察において電子顕微鏡で確認できるレベルの浮き及び剥離が確認されたものを○と評価し、外観観察において目視可能なレベルの浮き及び剥離が確認されたものを×と評価した。
Figure 0006941247
表3に示すように、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を30℃超とした比較例7〜9では、熱サイクル試験後に目視可能なレベルの浮き及び剥離が生じた。一方、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を30℃以下とした実施例21〜30では、熱サイクル試験後に目視可能なレベルの浮き及び剥離が生じることを抑制できた。このことから、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を30℃以下とすることによって、電解質と電極との接合性を向上させられることが分かった。
また、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を2℃以上25℃以下とした実施例22〜24,27〜30では、熱サイクル試験後に電子顕微鏡で確認できるレベルの浮き及び剥離が生じることをも抑制できた。このことから、電極の第1高分子樹脂と電解質の第2高分子樹脂との融点温度差を2℃以上25℃以下とすることによって、電解質と電極との接合性をより向上させられることが分かった。
また、実施例22と実施例27との比較から、第1高分子樹脂の融点が第2高分子樹脂の融点より高いか低いかに関わらず上述の効果が得られることが分かった。
また、実施例21〜24,26〜27と実施例25,28〜29との比較から、第1高分子樹脂及び第2高分子樹脂に異なる化合物を用いた場合であっても上述の効果が得られることが分かった。
10 固体アルカリ形燃料電池
12 カソード
12a カソード触媒
12b カソード担体
12c 高分子樹脂(第1高分子樹脂の一例)
12d セラミックス
14 アノード
14a アノード触媒
14b アノード担体
14c 高分子樹脂(第1高分子樹脂の一例)
14d セラミックス
16 電解質
16a 高分子樹脂(第2高分子樹脂の一例)
16b セラミックス
16S カソード側表面
16T アノード側表面

Claims (4)

  1. 電解質と、
    前記電解質に接合される電極と、
    を備え、
    前記電極は、
    電子伝導性を有する触媒と、
    電子絶縁性及びイオン絶縁性を有する第1高分子樹脂と、
    を有し、
    前記電解質は、
    電子絶縁性及びイオン絶縁性を有し、前記第1高分子樹脂に接合される第2高分子樹脂と、
    水酸化物イオン伝導性を有するセラミックスと、
    を有し、
    前記セラミックスは、層状複水酸化物及びLi AlO のいずれかであり、
    前記第1高分子樹脂の融点と前記第2高分子樹脂の融点との温度差は、30℃以下である、
    接合体。
  2. 電解質と、
    前記電解質に接合される電極と、
    を備え、
    前記電極は、
    電子伝導性を有する触媒と、
    電子絶縁性及びイオン絶縁性を有する第1高分子樹脂と、
    を有し、
    前記電解質は、
    電子絶縁性及びイオン絶縁性を有し、前記第1高分子樹脂に接合される第2高分子樹脂と、
    プロトン伝導性を有するセラミックスと、
    を有し、
    前記セラミックスは、BaZrO 系、BaCeO 系及びLaYbO 系の酸化物材料、ペロブスカイト系酸化物、硫酸修飾チタニア、硫酸水素セシウム、リン酸水素セシウム、リン酸ガラス、ピロリン酸塩のいずれかであり、
    前記第1高分子樹脂の融点と前記第2高分子樹脂の融点との温度差は、30℃以下である、
    接合体。
  3. 前記第1高分子樹脂の融点と前記第2高分子樹脂の融点との温度差は、2℃以上25℃以下である、
    請求項1又は2に記載の接合体。
  4. 電解質と、
    前記電解質に接合されるカソードと、
    前記電解質に接合されるアノードと、
    を備え、
    前記電解質と前記カソード及び前記アノードの少なくとも一方とは、請求項1乃至3のいずれかに記載の接合体を構成する、
    電気化学セル。
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