JP6941247B2 - 接合体及び電気化学セル - Google Patents
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Description
以下、本発明に係る電気化学セルの一例として、水酸化物イオンをキャリアとするアルカリ形燃料電池(AFC)の一例である固体アルカリ形燃料電池10の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、実施形態に係る固体アルカリ形燃料電池10の構成を示す断面図である。
・アノード14: CH3OH+6OH−→6e−+CO2+5H2O
・全体 : CH3OH+3/2O2→CO2+2H2O
カソード12は、一般的に空気極と呼ばれる正極である。カソード12は、本発明に係る「電極」の一例である。カソード12は、電解質16に接合される。カソード12と電解質16とは、本発明に係る「接合体」を構成する。
カソード触媒12aは、電子伝導性を有する。カソード触媒12aが電子伝導性を有するとは、カソード触媒12aの電子伝導率が10−3mS/cm以上であることを意味する。カソード触媒12aの電子伝導率は、カソード触媒12aの粉末を一軸プレスすることで形成した短冊状の成形体に白金ペーストで端子を形成した後、成形体の直流抵抗を計測することによって測定できる。カソード触媒12aは、AFCに使用される公知の触媒であればよく、特に限定されない。カソード触媒12aとしては、例えば、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)等の第8〜10族元素(IUPAC形式での周期表において第8〜10族に属する元素)、Cu、Ag、Au等の第11族元素(IUPAC形式での周期表において第11族に属する元素)、ロジウムフタロシアニン、テトラフェニルポルフィリン、Coサレン、Niサレン(サレン=N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン)、銀硝酸塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
カソード担体12bには、カソード触媒12aが担持される。カソード担体12bは、AFCに使用される公知の導電性粒子であればよく、特に限定されない。カソード担体12bとしては、例えば、炭素材料、ペロブスカイト型導電性材料、多孔質導電性ポリマー、金属多孔体、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。炭素材料は、多孔質構造を有していてもよいし、多孔質構造を有していなくてもよい。多孔質構造を有する炭素材料としては、メソポーラスカーボンなどが挙げられる。多孔質構造を有していない炭素材料としては、グラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ及びカーボンファイバーなどを挙げることができる。なお、カソード12におけるカソード触媒12aの担持量は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10mg/cm2、より好ましくは0.05〜5mg/cm2である。
高分子樹脂12cは、電子絶縁性及び水酸化物イオン絶縁性を有する。これにより、高分子樹脂12cへの電子及びイオンの伝導を抑制できるため、電子及びイオンの伝導に伴う高分子樹脂12cの発熱を抑制できる。その結果、発熱による高分子樹脂12cの寸法変化を抑制できるため、カソード12/電解質16間の界面に浮きや剥離が生じることを抑制できる。
セラミックス12dは、水酸化物イオン伝導性(「イオン伝導性」の一例)を有する。セラミックス12dが水酸化物イオン伝導性を有するとは、セラミックス12dの水酸化物イオン伝導率が0.1mS/cm以上であることを意味する。セラミックス12dの水酸化物イオン伝導率は、セラミックス12dの粉末を一軸プレスすることで形成した短冊状の成形体に白金ペーストで端子を形成した後、成形体の交流抵抗を計測することによって測定できる。セラミックス12dは、電子伝導性を有していてもよいし、電子伝導性を実質的に有していなくてもよい。セラミックス12dが電子伝導性を有するとは、セラミックス12dの電子伝導率が10−3mS/cm以上であることを意味する。
カソード12の作製方法は特に限定されないが、例えば次のように作製することができる。まず、カソード触媒12a、カソード担体12b、高分子樹脂12c及びセラミックス12dを混合してペースト状にする。次に、このペースト状混合物を電解質16のカソード側表面16Sに塗布する。そして、高分子樹脂12cと電解質16の高分子樹脂16aとのうち融点が低い方の高分子樹脂の融点から25℃低い温度で熱圧着することによって、カソード12と電解質16との接合体が形成される。
アノード14は、一般的に燃料極と呼ばれる負極である。アノード14は、本発明に係る「電極」の一例である。アノード14は、電解質16に接合される。アノード14と電解質16とは、本発明に係る「接合体」を構成する。
アノード触媒14aは、電子伝導性を有する。アノード触媒14aが電子伝導性を有するとは、アノード触媒14aの電子伝導率が10−3mS/cm以上であることを意味する。アノード触媒14aの電子伝導率は、アノード触媒14aの粉末を一軸プレスすることで形成した短冊状の成形体に白金ペーストで端子を形成した後、成形体の直流抵抗を計測することによって測定できる。アノード触媒14aは、AFCに使用される公知の触媒であればよく、特に限定されない。アノード触媒14aとしては、例えば、Pt、Ni、Co、Ag、Fe、Ru、Sn、Pd、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
アノード担体14bには、アノード触媒14aが担持される。アノード担体14bは、AFCに使用される公知の導電性粒子であればよく、特に限定されない。アノード担体14bとしては、例えば、炭素材料、ペロブスカイト型導電性材料、多孔質導電性ポリマー、金属多孔体、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。炭素材料は、多孔質構造を有していてもよいし、多孔質構造を有していなくてもよい。アノード14におけるアノード触媒14aの担持量は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10mg/cm2、より好ましくは、0.05〜5mg/cm2である。
高分子樹脂14cは、電子絶縁性及び水酸化物イオン絶縁性を有する。これにより、高分子樹脂14cへの電子及びイオンの伝導を抑制できるため、電子及びイオンの伝導に伴う高分子樹脂14cの発熱を抑制できる。その結果、発熱による高分子樹脂14cの寸法変化を抑制できるため、アノード14/電解質16間の界面に浮きや剥離が生じることを抑制できる。
セラミックス14dは、水酸化物イオン伝導性(「イオン伝導性」の一例)を有する。セラミックス14dが水酸化物イオン伝導性を有するとは、セラミックス14dの水酸化物イオン伝導率が0.1mS/cm以上であることを意味する。セラミックス14dの水酸化物イオン伝導率は、セラミックス14dの粉末を一軸プレスすることで形成した短冊状の成形体に白金ペーストで端子を形成した後、成形体の交流抵抗を計測することによって測定できる。セラミックス14dは、電子伝導性を有していてもよいし、電子伝導性を実質的に有していなくてもよい。セラミックス12dが電子伝導性を有するとは、セラミックス12dの電子伝導率が10−3mS/cm以上であることを意味する。
アノード14の作製方法は特に限定されないが、例えば次のように作製することができる。まず、アノード触媒14a、アノード担体14b、高分子樹脂14c及びセラミックス14dを混合してペースト状にする。次に、このペースト状混合物を電解質16のアノード側表面16Tに塗布する。そして、高分子樹脂14cと電解質16の高分子樹脂16aとのうち融点が低い方の高分子樹脂の融点から25℃低い温度で熱圧着することによって、アノード14と電解質16との接合体が形成される。
電解質16は、カソード12とアノード14との間に配置される。電解質16は、カソード12及びアノード14それぞれに接合される。電解質16は、膜状、層状、或いは、シート状に形成される。
高分子樹脂16aは、電子絶縁性及び水酸化物イオン絶縁性を有する。これにより、高分子樹脂16cへの電子及びイオンの伝導を抑制できるため、電子及びイオンの伝導に伴う高分子樹脂16cの発熱を抑制できる。その結果、発熱による高分子樹脂16cの寸法変化を抑制できるため、カソード12/電解質16間及びアノード14/電解質16間それぞれの界面に浮きや剥離が生じることを抑制できる。
セラミックス16bは、水酸化物イオン伝導性(「イオン伝導性」の一例)を有する。セラミックス16bの水酸化物イオン伝導率は特に制限されないが、例えば、0.1mS/cm以上とすることができる。高分子樹脂16bの電子伝導率は、シート形状に加工した高分子樹脂16bから短冊状に切り出した試験片に白金ペーストで端子を形成した後、試験片の直流抵抗を計測することによって測定できる。セラミックス16bの電子伝導率は水酸化物イオン伝導率に比べて十分低いことが好ましいが、例えば、10−3mS/cm以下とすることができる。高分子樹脂16bの水酸化物イオン伝導率は、上記試験片の交流抵抗を計測することによって測定できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態では、電気化学セルの一例であるアルカリ形燃料電池に対して本発明に係る接合体を適用した場合について説明したが、本発明に係る接合体は、種々の電気化学セルに適用可能である。
上記実施形態では、本発明に係る接合体を、電解質16のカソード12側及びアノード14側の両方に適用することとしたが、カソード12側及びアノード14側の一方のみに適用してもよい。
上記実施形態において、カソード12は、カソード担体12b及びセラミックス12dを含むこととしたが、カソード担体12b及びセラミックス12dの少なくとも一方を含まなくてもよい。アノード14はアノード担体14b12b及びセラミックス14dを含むこととしたが、アノード担体14b及びセラミックス14dの少なくとも一方を含まなくてもよい。
上記実施形態において、カソード12、アノード14、及び電解質16それぞれは、高分子樹脂を1種類ずつ含むこととしたが、高分子樹脂を複数種類ずつ含んでいてもよい。
上記実施形態に係る電極(カソード12及びアノード14のうち少なくとも一方)は、イオン伝導材を含んでいてもよい。水酸化物イオンをキャリアとする電気化学セルの電極では、イオン伝導材として、LDH、Li5AlO4などを用いることができる。プロトンをキャリアとする電気化学セルの電極では、イオン伝導材として、BaZrO3系、BaCeO3系及びLaYbO3系の酸化物材料やペロブスカイト系酸化物、硫酸修飾チタニア、硫酸水素セシウム、リン酸水素セシウム、リン酸ガラス、ピロリン酸塩などを用いることができる。
(アルカリ形燃料電池の作製)
実施例1〜10及び比較例1〜3に係るアルカリ形燃料電池(図1〜3参照)を次の通り作製した。
まず、アノードにN2ガスを供給するとともに、カソードに空気を供給しながら、アルカリ形燃料電池を1時間で120℃まで昇温して1時間保持した後に室温まで冷却する工程を100回繰り返す熱サイクル試験を行った。
(プロトン伝導燃料電池の作製)
実施例11〜20及び比較例4〜6に係るプロトン伝導燃料電池を次の通り作製した。
まず、アノードにN2ガスを供給するとともに、カソードに空気を供給しながら、プロトン伝導燃料電池を1時間で120℃まで昇温して1時間保持した後に室温まで冷却する工程を100回繰り返す熱サイクル試験を行った。
(プロトン伝導燃料電池の作製)
実施例21〜30及び比較例7〜9に係るプロトン伝導燃料電池を次の通り作製した。
まず、アノードにN2ガスを供給するとともに、カソードに空気を供給しながら、プロトン伝導燃料電池を1時間で120℃まで昇温して1時間保持した後に室温まで冷却する工程を100回繰り返す熱サイクル試験を行った。
12 カソード
12a カソード触媒
12b カソード担体
12c 高分子樹脂(第1高分子樹脂の一例)
12d セラミックス
14 アノード
14a アノード触媒
14b アノード担体
14c 高分子樹脂(第1高分子樹脂の一例)
14d セラミックス
16 電解質
16a 高分子樹脂(第2高分子樹脂の一例)
16b セラミックス
16S カソード側表面
16T アノード側表面
Claims (4)
- 電解質と、
前記電解質に接合される電極と、
を備え、
前記電極は、
電子伝導性を有する触媒と、
電子絶縁性及びイオン絶縁性を有する第1高分子樹脂と、
を有し、
前記電解質は、
電子絶縁性及びイオン絶縁性を有し、前記第1高分子樹脂に接合される第2高分子樹脂と、
水酸化物イオン伝導性を有するセラミックスと、
を有し、
前記セラミックスは、層状複水酸化物及びLi 5 AlO 4 のいずれかであり、
前記第1高分子樹脂の融点と前記第2高分子樹脂の融点との温度差は、30℃以下である、
接合体。 - 電解質と、
前記電解質に接合される電極と、
を備え、
前記電極は、
電子伝導性を有する触媒と、
電子絶縁性及びイオン絶縁性を有する第1高分子樹脂と、
を有し、
前記電解質は、
電子絶縁性及びイオン絶縁性を有し、前記第1高分子樹脂に接合される第2高分子樹脂と、
プロトン伝導性を有するセラミックスと、
を有し、
前記セラミックスは、BaZrO 3 系、BaCeO 3 系及びLaYbO 3 系の酸化物材料、ペロブスカイト系酸化物、硫酸修飾チタニア、硫酸水素セシウム、リン酸水素セシウム、リン酸ガラス、ピロリン酸塩のいずれかであり、
前記第1高分子樹脂の融点と前記第2高分子樹脂の融点との温度差は、30℃以下である、
接合体。 - 前記第1高分子樹脂の融点と前記第2高分子樹脂の融点との温度差は、2℃以上25℃以下である、
請求項1又は2に記載の接合体。 - 電解質と、
前記電解質に接合されるカソードと、
前記電解質に接合されるアノードと、
を備え、
前記電解質と前記カソード及び前記アノードの少なくとも一方とは、請求項1乃至3のいずれかに記載の接合体を構成する、
電気化学セル。
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JP2020046470 | 2020-03-17 |
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JP2021043734A Active JP6941247B2 (ja) | 2020-03-17 | 2021-03-17 | 接合体及び電気化学セル |
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2021
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