JP6931282B2 - 免震層 - Google Patents

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Description

本開示は、構造物に於ける免震装置及び免震層に関し、特に、地震による水平変位が所定の値に達したときに復元力が作用する免震装置及び該免震装置を含む免震層に関する。
建物に於ける基礎等の下部構造物と建屋等の上部構造物との間に免震装置を設置してなる免震層は、地震時に於ける下部構造物と上部構造物との間の水平方向の層間変位を大きくすることによって上部構造物の応答加速度や応答変位を減らす。狭隘な敷地に建設される建物では、大規模地震によって生じる免震層の水平変位を所定の範囲に抑え、隣接する建物に影響を与えないようにすることが求められる。さらに、新設の免震建築物だけでなく、大規模地震時の免震層の水平変位が過大となり得る既存の免震建築物に対しても、水平変位を抑える手段が求められている。また、中小規模の地震に対して十分な応答低減効果を得るために免震層の復元力や減衰力を弱く設定すると、大規模地震に対しては免震層の水平変位が大きくなるため、大規模地震の時には中小規模の地震のときよりも大きな復元力や減衰力が発生する免震層が求められている。そこで、大規模地震用の免震装置として、水平変位が所定の値に達した場合に抑止力(復元力・減衰力)を発生させ、それ以上の水平変位を抑制する装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、変位が所定の値を超えると、低減衰モードから高減衰モードに切り替わるオイルダンパーが記載されている。また、特許文献2には、下部構造物の側面と上部構造物の側面との間に、船舶と接岸構造物との衝突を防ぐための防舷材を設置し、防舷材によって水平方向の大きな変位を規制するとともに、エネルギーを吸収することが記載されている。また、特許文献3には、下部構造物と上部構造物との間にチェーン等の非伸長性の引張力抑制部材を弛緩状態で配置し、地震時に水平変位が大きくなると引張力抑制部材が緊張し、それ以上の変位を規制することが記載されている。
特開2016−135944号公報 特開平11−200659号公報 特開2009−228851号公報
しかしながら、特許文献1に記載のオイルダンパーでは、オイルダンパーの減衰力が速度に比例するため、変位に応じて低減衰モードから高減衰モードに切り変えた場合、どの程度の減衰力が発生するのか不明確であるという問題があった。特許文献2に記載の防舷材では、上部構造物及び下部構造物の一方が、他方に設けられた防舷材にある方向で衝突するとそれに直交する方向の免震性能が低下するという問題や、衝突後の免震層の動特性が不明確であるという問題があった。特許文献3に記載の引張力抑制部材では、引張力抑制部材が緊張状態になり、変位が規制され始める瞬間に衝撃力が生じるという問題や、免震層の層間変位(変位ベクトルの大きさ)をトリガーとしているため、「X方向で変位xcm、Y方向で変位ycmを抑止開始変位とする」といった1方向ごとの設計ができないという問題があった。
上記問題を鑑み、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、水平変位が所定の値に達したときに抑止力を発揮してそれ以上の水平変位を抑制し、水平変位が所定の値に達したときの衝撃が緩和され、かつ抑止力発生後の抑止力の大きさ等の性能が明確な免震装置を提供することを目的とする。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る免震装置(第1免震装置)は、下部構造物(3)と上部構造物(4)との間に設けられ、地震時に前記下部構造物と前記上部構造物との間の水平変位が所定の値に達したときに復元力を作用させるための免震装置(1,21,31,41)であって、前記下部構造物及び前記上部構造物の間に配置された、弾性的にせん断変形可能な弾性体(第1弾性体)(11,32)と、前記弾性体の下端及び上端にそれぞれ固定され、少なくとも一方が、対応する前記下部構造物及び/又は前記上部構造物に対して水平方向に移動可能に設けられた下フランジ(12,33)及び上フランジ(10,44)と、対応する該構造物に対して水平方向に移動可能に設けられた該フランジ(以下、「該フランジ」は、対応する該構造物に対して水平方向に移動可能に設けられたフランジを指す)及び対応する該構造物間の相対的な水平方向への移動を所定の範囲に制限するべく、該フランジを包囲するように該構造物に対して直接又は間接に立設されたストッパ(14,23,43)とを備え、該フランジの輪郭は、平面視で変形前の前記弾性体の輪郭に一致するか、それよりも大きく、該フランジ及び対応する該構造物間の摩擦力を抑制して、地震時に、該フランジが、対応する該構造物に対して水平方向に移動して該フランジの側面が前記ストッパに衝突した後に、前記弾性体が実質的に変形を開始するようにしたことを特徴とする。弾性体は、ゴム層と鋼板とが積層された積層ゴムを含むことが好ましい。ここで、「対応する構造物」という用語について、下フランジに対応する構造物は下部構造物であり、上フランジに対応する構造物は上部構造物である。前記ストッパは、平面視で該フランジを包囲する長方形の環状をなすことが好ましい。
この構成によれば、水平移動中は弾性体の抑止力は発生せず、フランジと対応する構造物とが相対的に所定の値だけ水平移動してフランジがストッパに衝突した後に、弾性体のせん断変形によって復元力等の抑止力を発生させることができる。さらに、水平変位が所定の値を超える場合の抑止力を大きく設定しても、水平変位が所定の値以下の地震に対する免震効果に悪影響を与えない。また、弾性体のせん断変形によって、フランジとストッパとの衝突時の衝撃も緩和される。また、弾性体のせん断力を抑止力としているため、抑制開始後の動特性が明確である。水平方向のどの方向に対しても抑止力が働き、ストッパの形状によって、抑制開始変位の方向を選択することができる。例えば、免震層の層間変位(変位ベクトルの大きさ)で抑制開始変位を設定したい場合は、ストッパを平面視で円環状にすればよく、互いに直交する水平な2方向でそれぞれ抑制開始変位を設定したい場合は、ストッパを平面視で正方形又は長方形の環状とすればよい。
地震時に、フランジが、対応する構造物に対して水平方向に移動してストッパに衝突した後に、弾性体の実質的な変形を開始させるための手段の1つは、上記構成に於いて、鉛直方向荷重を実質的に負担しないように免震装置(1,21,41)を構成することである。この構成によれば、対応する構造物とフランジとの間に実質的に摩擦力が生じないため、弾性体は、フランジがストッパに当接するまでせん断変形しない。
また、他の手段の1つは、前記弾性体(32)は、鉛直方向に貫通するように配置された塑性変形可能なプラグ(34)を有し、地震時に、該フランジ(33)が、対応する該構造物に対して水平方向に移動して前記ストッパ(14)に衝突した後に、前記弾性体の実質的な変形を開始させるべく、該フランジ及び対応する該構造物間の摩擦力が、前記プラグが塑性変形を開始するときの該プラグに負荷されるせん断力よりも小さくなるように免震装置(31)を構成することである。この構成によれば、プラグがフランジと対応する構造物との間の摩擦力によって弾性体に生じるせん断力に抵抗するため、フランジがストッパに衝突するまで弾性体はせん断変形しない。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る免震装置は、上記構成の何れかに於いて、該フランジは、対応する該構造物に固定されたアンカープレート(13,22,42)を介して、対応する該構造物に当接又は対向することを特徴とする。
この構成によれば、対応する構造物に対して水平方向に移動するフランジに加わる摩擦力を低減することができる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る免震装置は、上記構成の何れかに於いて、該フランジは、対応する該構造物に設けられた前記アンカープレートを転動する転動ベアリング(35)を有することを特徴とする。
この構成によれば、フランジとアンカープレートとの間の摩擦係数を小さくすることができる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る免震装置は、上記構成に於いて、前記ストッパは前記アンカープレートに立設され、前記ストッパと前記転動ベアリングが転動する前記アンカープレートの平面とによって画定された空間に充填された粘性材料(36)を更に備えることを特徴とする。
この構成によれば、フランジとアンカープレートとが相対的に水平方向に移動するときに、粘性材料が減衰材として作用する。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る免震装置(41)は、上記構成の何れかに於いて、前記両フランジ(12,44)は、それぞれ対応する該構造物に水平方向に移動可能に当接又は対向することを特徴とする。
この構成によれば、下フランジは下部構造物に対して、上フランジは上部構造物に対して、それぞれ、所定の範囲で水平方向に移動可能となるため、必要な抑制開始変位を実現するために必要なスペースを小さくすることができる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る免震層(5)は、上記構成の何れかの免震装置と、前記免震装置よりも大きな鉛直荷重を負担する他の免震装置(第2免震装置)(6)であって、前記下部構造物及び前記上部構造物の間に配置され、前記下部構造物及び前記上部構造物の少なくとも一方に固定された、弾性的にせん断変形可能な他の弾性体(第2弾性体)(9)を備える他の免震装置とを有することを特徴とする。
この構成によれば、他の免震装置が、鉛直荷重を負担し、かつ、比較的小規模の地震に対応する抑止力を発揮するように構成し、免震装置が、比較的大規模の地震による過大な水平変位を抑制する抑止力を発揮するように構成できる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る免震層(5)は、上記構成に於いて、前記弾性体が実質的に変形を開始する水平変位である抑制開始変位が互いに異なる2種類以上の前記免震装置が配置されたことを特徴とする。
この構成によれば、複数の水平変位のタイミングで抑止力を発生させることができ、変位抑制による免震性能の低下を最小限に留めることができる。
本発明の少なくともいくつかの実施形態によれば、水平変位が所定の値に達したときに抑止力を発揮してそれ以上の水平変位を抑制し、水平変位が所定の値に達したときの衝撃が緩和され、かつ抑止力発生後の抑止力の大きさ等の性能が明確な免震装置を提供することができる。
第1実施形態に係る免震装置を有する建物 第1実施形態に係る免震装置を示す(a)縦断面図(b図のIIa−IIa断面)、(b)平面図及び(c)変形例を示す平面図(初期状態) 第1実施形態に係る免震装置を示す(a)縦断面図(b図のIIIa−IIIa断面)、(b)平面図及び(c)変形例を示す平面図(抑制開始状態) 第1実施形態に係る免震装置を示す(a)縦断面図(b図のIVa−IVa断面)、(b)平面図及び(c)変形例を示す平面図(水平変位の抑制状態) 第2実施形態に係る免震装置の縦断面図 第3実施形態に係る免震装置の縦断面図
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る免震装置1を有する建物2の縦断面図である。
建物2は、基礎等の下部構造物3と、建屋等の上部構造物4と、免震層5とを有する。下部構造物3は、免震層5を介して上部構造物4を支持しているため、地震時に上部構造物に対して水平方向に移動可能となる。免震層5は、免震装置1と、他の免震装置6とを有する。他の免震装置6は、上部構造物4の柱の直下等に位置するように下部構造物3及び上部構造物4の少なくとも一方に固定され、上部構造物4からの鉛直荷重を負担する。他の免震装置6の例として、積層ゴム支承等のような、下フランジ7及び上フランジ8を介して下部構造物3及び上部構造物4に固定された積層ゴム9等の弾性的にせん断変形可能な弾性体を備える装置や、弾性すべり支承、転がり支承等のアイソレータが挙げられる。
免震装置1は、上部構造物4の梁の直下等に位置するように下部構造物3と上部構造物4との間に設けられる。他の免震装置6が、地震時に小さな変位でも抑止力を発揮するのに対して、免震装置1は、地震による水平変位が所定の範囲を超えたときにそれ以上の水平変位を抑制する抑止力を発揮するように構成される。免震装置1は、実質的に鉛直荷重を負担しない。
図2〜4のa図及びb図は、それぞれ、第1実施形態に係る免震装置1の縦断面図及び積層ゴム11よりも上方の部材を省略した平面図である。免震装置1は、上部構造物4の下面に固定された上フランジ10と、上フランジ10の下面に固定された積層ゴム11と、積層ゴム11の下面に固定された下フランジ12と、下部構造物3の上面に固定され、下フランジ7が摺動可能なアンカープレート13と、アンカープレート13の縁部に立設されたストッパ14とを備える。
上フランジ10は金属を素材とする円板状の板からなり、その主面が水平になるように配置され、その上面が上部構造物4の下面に固定され、その下面が積層ゴム11の上面に固定される。積層ゴム11は、水平に配置された円板状の鋼板とゴム層とを鉛直方向に沿って積層して形成されたものであり、円柱形状を呈する。ゴム層の素材は、例えば、天然ゴム、合成ゴム、高減衰ゴム等である。積層ゴム11に代えて、弾性的にせん断変形可能な他の弾性体を用いてもよい。下フランジ7は、金属を素材とする円板状の板からなり、その主面が水平になるように配置され、その上面が積層ゴム11の下面に固定される。平面視に於いて、上フランジ10及び下フランジ12は、積層ゴム11の輪郭に一致するか、それよりも大きな輪郭を有することが好ましい。上フランジ10、積層ゴム11及び下フランジ12の平面視に於ける形状は、円形以外の形状、例えば矩形としてもよい。
アンカープレート13は、金属を素材とすることが好ましい。アンカープレート13は、平面視で円形を呈する平板からなり、その主面が水平になるように配置され、その上面に於いて下フランジ12と相対的に摺動可能である。アンカープレート13を設けることによって、下フランジ12は、直接下部構造物に接触せず、アンカープレート13に接触するため、下フランジ12に働く摩擦力が低減される。アンカープレート13の上面と下フランジ12の下面との接触面の摩擦係数を小さくするため、両者をPTFE(ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化))材やステンレス材等でコーティングすることが好ましい。また、アンカープレート13の上面と下フランジ12の下面とに潤滑剤を塗布してもよい。なお、下フランジ12とアンカープレート13とが互いに摺動可能に当接する構成に代えて、下フランジ12とアンカープレート13との間に空隙が存在するように、下フランジ12をアンカープレート13に対向させ、下フランジ12とアンカープレート13との間に摩擦力が生じない構成としてもよい。また、アンカープレート13を設けない構成とすることもできるが、この場合、下フランジ12と下部構造物3との間に空隙を設けて両者の間に摩擦力が生じないようにすることが好ましい。
ストッパ14は、アンカープレート13に立設される。換言すると、ストッパ14は、アンカープレート13を介して間接的に下部構造物に立設される。ストッパ14は、アンカープレート13の縁部に立設されることが好ましいが、全部又は一部がアンカープレート13の縁部よりも内側に立設されてもよい。ストッパ14は、金属を素材とし、アンカープレート13と一体に構成された部材からなることが好ましい。ストッパ14は、側壁が鉛直方向に沿って延在する円筒形状をなし、その上端の高さは、概ね下フランジ12の上面の高さに一致する。平面視に於いて、ストッパ14の内輪郭は、下フランジ12の輪郭よりも大きく、下フランジ12を包囲している。下フランジ12の側面がストッパ14の側壁の内面に当接することにより、ストッパ14は、アンカープレート13に対する下フランジ12の水平方向への移動を規制する。なお、ストッパ14をアンカープレート13とは別体とした場合や、アンカープレート13を設けない場合は、ストッパ14が、直接、下部構造物3に立設される構成にしてもよい。
図2に示すように、通常時は、平面視に於いて、下フランジ12は、アンカープレート13の中心に位置する。
他の免震装置6が、上部構造物4の自重等の鉛直荷重を負担し、免震装置1は、鉛直荷重を実質的に負担していない。そのため、下フランジ12とアンカープレート13との接触面には、実質的に摩擦力が発生しない。ここで、「実質的に」とは、積層ゴム11が抑止力を発揮する程度に変形する前に、下フランジ12とアンカープレート13とが相対的に摺動することを意味する。従って、図3に示すように、地震による水平変位が、平面視で円環形状を呈するストッパ14の内面の半径の値より小さいときは、積層ゴム11は実質的に変形せず、積層ゴム11のせん断変形による抑止力は働かない。
地震による水平変位が、下フランジ12の側面とストッパ14の内側面とが互いに当接する抑制開始変位に達すると、ストッパ14は、下フランジ12とアンカープレート13との相対的な水平変位がその値を超えることを規制し、図4に示すように、積層ゴム11がせん断変形することよって水平変位を抑制する抑止力(主として復元力)が発生するとともに、下部構造物3と上部構造物4との相対的な水平変位は、積層ゴム11が変形した分増加する。
このように、下フランジ12とアンカープレート13との相対的な水平変位が所定の値に達すると、免震層5の剛性が高まり水平変位を抑制する。そのため、免震装置1は、狭隘な敷地に建設される建物2や、既存の免震建築物で大規模地震時の水平変位を抑制する必要のある建物2に適用でき、過大な水平変位を抑制する。既存の免震建築物に適用する場合、免震装置1は、水平変位が抑制開始変位に達するまではすべり支承として機能するため、既存のすべり支承や転がり支承の代替品として使用することもできる。既存の免震建築物が、弾性すべり支承を有する場合には、免震装置1と他の免震装置6とを組み合わせ、他の免震装置6が鉛直荷重を負担することで、既存の弾性すべり支承を代替することができる。また、下フランジ12とストッパ14とが互いに衝突したとき、積層ゴム11が変形するため、衝突時の衝撃が緩和される。また、積層ゴム11のせん断力を抑止力としているため、抑制開始後の免震装置1の動特性が明確であり、設計との整合性が高い。
また、抑制開始変位が互いに異なる2種類以上の免震装置1を建物2に適用した場合には、複数のタイミングで抑止力を発生させることができ、変位抑制による免震性能の低下を最小限にとどめることができる。
図2〜図4のc図は、第1実施形態の変形例に係る免震装置21の積層ゴム11よりも上方の部材を省略した平面図である。免震装置21は、アンカープレート22及びストッパ23の形状が第1実施形態に係る免震装置1と異なり、他の構成は第1実施形態に係る免震装置1と同じである。
アンカープレート22は、平面視に於いて、隅部を丸めた正方形又は長方形を呈する。ストッパ23は、アンカープレート22の縁部に立設されて筒形状をなし、平面視に於いて隅部を丸めた正方形又は長方形を呈する。4つの隅部は、下フランジ12と同径の1/4円の丸みを有することが好ましい。
第1実施形態に係る免震装置1に於いては、抑制開始変位を免震層5の層間変位(変位ベクトルの大きさ)としているが、変形例に係る免震装置21に於いては、抑制開始変位を水平面において互いに直交するX方向及びY方向の2方向に対して設定できる。この場合、X方向及びY方向の一方に於ける下フランジ12とアンカープレート22との相対的な水平変位が抑制開始変位に達しても、X方向及びY方向の他方に於ける水平変位が抑制開始変位未満であれば、X方向及びY方向の他方には免震装置21の抑止力は働かない。
なお、アンカープレート22の中心を通り、X方向又はY方向に平行な縦断面は、図2〜図4のa図に一致する。また、アンカープレート22及びストッパ23の平面視に於ける形状は、正方形又は長方形や、第1実施形態に示した円形以外の形状に変更してもよい。
次に、図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る免震装置31について説明する。図5は、免震装置31の中心を通る縦断面図である。なお、第1の実施形態と共通する構成は、その説明を省略し同一の符号を付す。第2実施形態に係る免震装置31は、主として、免震装置31が鉛直荷重をある程度負担する点や、積層ゴム32及び下フランジ33の構成に於いて第1実施形態と異なる。
免震装置31は、上部構造物4から鉛直荷重を受けるが、その大きさは、他の免震装置6(図1参照)が受ける鉛直荷重よりも小さい。
積層ゴム32は、平面視に於ける中心を、鉛直方向に貫通する鉛プラグ34を有する。鉛プラグ34を有することによって、積層ゴム32がせん断変形を開始するときのせん断力は、鉛プラグ34を有さない場合に比べて大きくなる。なお、鉛プラグ34に代えて、錫プラグ等の塑性変形可能な素材からなるプラグを用いてもよい。
免震装置31は鉛直荷重を受けるため、下フランジ33とアンカープレート13との間に実質的な摩擦力が発生する。この摩擦力を小さくするため、下フランジ33は、ボールベアリング35を有することが好ましい。ボールベアリング35に代えて、互いに直交する方向にローラーが2段に配置されたローラーベアリング等の他の転動ベアリングを用いてもよい。
アンカープレート13の上面とストッパ14の側壁の内面とで画定される空間にシリコーンオイル等の粘性材料36を充填し、下フランジ33とアンカープレート13とが相対的に摺動するときの減衰材として粘性材料36を使用してもよい。この場合、免震装置31は、既存の免震建築物に設置された粘性ダンパーの代替品として使用することもできる。
第2実施形態に係る免震装置31は、所定の鉛直荷重を負担するため、下フランジ33とアンカープレート13と間の摩擦力が発生する。そこで、下フランジ33とアンカープレート13と間の摩擦力が、鉛プラグ34が塑性変形を開始するときの鉛プラグ34に負荷されるせん断力よりも小さくなるように、下フランジ33のボールベアリング35とアンカープレート13との間の摩擦係数、免震装置が負担する鉛直荷重、鉛プラグ34の強度、粘性材料36の粘性等を設定する。これにより、積層ゴム32が抑止力を発揮するべくせん断変形する前に、下フランジ33とアンカープレート13とを相対的に摺動させることができる。また、免震装置31による抑止力は、ゴムのせん断変形による復元力だけでなく、鉛プラグ34の塑性変形による減衰力を含む。
次に、図6を参照して、本発明の第3実施形態に係る免震装置41について説明する。図6は、免震装置41の中心を通る縦断面図である。なお、第1の実施形態と共通する構成は、その説明を省略し同一の符号を付す。第3実施形態に係る免震装置41は、積層ゴム32が下部構造物3だけでなく、上部構造物4に対しても相対的に水平方向に移動可能である点で第1実施形態と異なる。第1実施形態と同様に、免震装置41は、実質的に鉛直荷重を負担しない。
免震装置41は、上部構造物4に固定された上アンカープレート42と、上アンカープレート42の縁部に下方に向けて立設された上ストッパ43とを備える。上フランジ44は、その下面が積層ゴム11の上面に固定され、その上面は、上アンカープレート42の下面に対して相対的に摺動可能である。
上アンカープレート42及び上ストッパ43は、金属を素材とし、一体に構成された1つの部材からなることが好ましく、その形状は、概ね、アンカープレート13及びストッパ14の形状を上下反転したものに相当するが、その大きさは異なっていてもよい。平面視に於いて、上ストッパ43の内輪郭は、上フランジ44の輪郭よりも大きく、上フランジ44を包囲する。上ストッパ43の下面の高さは、上フランジ44の下面の高さに略一致する。
上アンカープレート42及び上フランジ44は、摩擦係数を低くするため、表面をコーティングすることが好ましい点や、潤滑剤を塗布してもよい点に於いて、第1実施形態と同様である。なお、下フランジ12とアンカープレート13とが互いに摺動可能に当接し、かつ上フランジ44と上アンカープレート42とが互いに摺動可能に当接する構成に代えて、下フランジ12及びアンカープレート13間と、上フランジ44及び上アンカープレート42間との何れか一方に空隙が存在するように、下フランジ12をアンカープレート13に対向させ、又は上フランジ44を上アンカープレート42に対向させ、対向させた部材間に摩擦力が生じない構成としてもよい。アンカープレート13及び/又は上アンカープレート42を設けず、下フランジ12及び/又は上フランジ44が、対応する下部構造物3及び/又は上部構造物に、対向又は摺動する構成としてもよい。また、ストッパ14及び/又は上ストッパ43は、それぞれ、対応する下部構造物3又は上部構造物4に直接立設させてもよい。
第3実施形態に係る免震装置41は、下フランジ12とアンカープレート13とが相対的に水平方向に変位し、かつ上フランジ44と上アンカープレート42とが相対的に水平方向に変位するため、所定の抑制開始変位を得るために必要な、免震装置41の水平方向の大きさを小さくすることができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、第1実施形態に於いて、アンカープレートを上部構造物に固定して、上フランジと相対的に水平方向に移動可能に当接又は対向させ、下フランジを下部構造物に固定してもよい。第2実施形態に於けるプラグ、転動ベアリング及び粘性材料は、単独で又は組み合わせて、他の実施形態に適用してもよく、プラグを適用する場合には、免震装置が鉛直荷重を負担してもよい。また、転動ベアリングを第3実施形態の上フランジに適用してもよい。
1,21,31,41:免震装置
3:下部構造物
4:上部構造物
5:免震層
6:他の免震装置
10,44:上フランジ
11,32:積層ゴム(弾性体)
12,33:下フランジ
13,22:アンカープレート
14,23:ストッパ
34:鉛プラグ
35:ボールベアリング(転動ベアリング)
36:粘性材料
42:上アンカープレート
43:上ストッパ

Claims (8)

  1. 下部構造物と上部構造物との間に鉛直方向荷重を実質的に負担しないように設けられ、地震時に前記下部構造物と前記上部構造物との間の水平変位が所定の値に達したときに復元力を作用させるための第1免震装置と、前記下部構造物及び前記上部構造物の間に鉛直方向荷重を実質的に負担するように設けられ、前記下部構造物及び前記上部構造物の少なくとも一方に固定された、弾性的にせん断変形可能な第2弾性体を備える第2免震装置とを含む免震層であって、
    前記第1免震装置は、
    前記下部構造物及び前記上部構造物の間に配置された、弾性的にせん断変形可能な第1弾性体と、
    前記第1弾性体の下端及び上端にそれぞれ固定され、少なくとも一方が、対応する前記下部構造物又は前記上部構造物に対して水平方向に移動可能に設けられた下フランジ及び上フランジと、
    対応する該構造物に対して水平方向に移動可能に設けられた該フランジ及び対応する該構造物間の相対的な水平方向への移動を所定の範囲に制限するべく、該フランジを包囲するように該構造物に対して直接又は間接に立設されたストッパとを備え、
    該フランジの輪郭は、平面視で変形前の前記第1弾性体の輪郭に一致するか、それよりも大きく、
    該フランジ及び対応する該構造物間の摩擦力を抑制して、地震時に、該フランジが、対応する該構造物に対して水平方向に移動して該フランジの側面が前記ストッパに衝突した後に、前記第1弾性体が実質的に変形を開始するようにしたことを特徴とする免震
  2. 前記ストッパは、平面視で該フランジを包囲する長方形の環状をなすことを特徴とする請求項1に記載の免震
  3. 前記第1弾性体は、ゴム層と鋼板とが積層された積層ゴムを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の免震
  4. 該フランジは、対応する該構造物に固定されたアンカープレートを介して、対応する該構造物に当接又は対向することを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の免震
  5. 該フランジは、対応する該構造物に設けられた前記アンカープレートを転動する転動ベアリングを有することを特徴とする請求項に記載の免震
  6. 前記ストッパは前記アンカープレートに立設され、
    前記ストッパと前記転動ベアリングが転動する前記アンカープレートの平面とによって画定された空間に充填された粘性材料を更に備えることを特徴とする請求項に記載の免震
  7. 前記両フランジは、それぞれ対応する該構造物に水平方向に移動可能に当接又は対向することを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の免震
  8. 前記第1弾性体が実質的に変形を開始する水平変位である抑制開始変位が互いに異なる2種類以上の前記第1免震装置が配置されたことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の免震層。
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