JP6228337B1 - 耐風装置 - Google Patents

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【課題】大地震後のメンテナンスを不要としながら、優れた耐風性能を発揮することのできる耐風装置を提供すること。【解決手段】免震建物の免震層SLを構成する下部構造体UDと上部構造体UPの間において、免震装置20とともに配設される耐風装置10であって、下部構造体UDに固定された被せり上がり体1と、被せり上がり体1に対してせり上がり自在に配設されるとともに、上部構造体UPに固定され、上部構造体UPから伝達される水平力によって被せり上がり体1に対してせり上がるせり上がり体2と、上部構造体UPに取り付けられた摩擦ストッパー3とを備え、せり上がり体2のせり上がりに伴って摩擦ストッパー3に伝達される伝達荷重に対し、摩擦ストッパー3の静止摩擦力が抗する。【選択図】図1

Description

本発明は、免震建物の免震層を構成する下部構造体と上部構造体の間において、免震装置とともに配設される耐風装置に関するものである。
地震国であるわが国においては、ビルや橋梁、高架道路、戸建の住宅といった様々な構造物に対して、地震力に抗する技術、構造物に入る地震力を低減する技術など、様々な耐震技術、免震技術、制震技術が開発され、各種構造物に適用されている。
中でも免震技術は、構造物に入る地震力そのものを低減する技術であることから、地震時の構造物の振動は効果的に低減される。この免震技術を概説するに、下部構造体(基礎や柱−梁フレーム架構等)と上部構造体(柱−梁フレーム架構や屋根架構等)との間に免震支承(装置)を介在させ、地震による下部構造体の振動の上部構造体への伝達を低減し、上部構造体の振動を低減して構造安定性を保証するものである。なお、この免震支承は、地震時のみならず、構造物に対して常時作用する交通振動の上部構造体への影響低減にも効果を発揮するものである。
免震支承には鉛プラグ入り積層ゴム支承や高減衰積層ゴム支承、積層ゴム支承とダンパーを組み合わせた支承、滑り免震支承など、様々な形態の支承が存在している。その中の一種である滑り免震支承にはさらに、球面滑り支承や平面滑り支承などが存在している。
たとえば球面滑り支承を取り上げてその一つの形態の構成を説明すると、曲率を有する摺動面を備えた上沓および下沓と、上沓と下沓の間で、それぞれの沓と接して同じ曲率を有する上面および下面を備えた柱状の摺動体と、から構成されており、上下球面滑りタイプの免震支承、あるいはダブルコンケイブ式の免震支承などと称されることもある。この種の免震支承では、上下の沓の動作性能が、それらの間に介在する摺動体との間の摩擦係数やこれに重量が乗じられた摩擦力に支配される。
従来の球面滑り支承を有する免震建物では、球面滑り支承の摩擦係数が比較的小さいことから、風荷重を受けた際に球面滑り支承で支持される上部構造体(たとえば屋根架構)の変位が大きくなり、これが大きな残留変位となるといった課題があった。すなわち、球面滑り支承は地震荷重に対して高い減衰効果を発揮する一方で、風荷重に対してはその低い摩擦係数ゆえに支持する上部構造体の変位を抑制し難いといったデメリットを有していた。
ところで、地震入力を低減させ、免震層の変形を300〜500mm 程度に留めるために、ダンパー率(建物重量に対するダンパーの降伏層せん断力係数)が2〜4%で設計されるのが一般的であるが、近年、アスペクト比(幅に対する高さ)が4 以上の高層ビルにも免震装置が採用されている。このようなプロポーションの高層ビルにおいては風荷重が支配的となり易く、風荷重載荷時における最大変形や残留変形、あるいはダンパーの疲労を抑えるべく、ダンパー率5〜7%程度が必要になってくる。しかしながら、ダンパー率を5〜7%程度に設定すると今度は地震時の建物への入力が増加してしまい、免震装置を採用する本来の意義を失ってしまう。
ここで、特許文献1には、上部構造体と下部構造体の間に免震装置が設けられていて、再現期間1年程度の風荷重による上部構造体の微小振幅の揺れは免震装置によって減衰され、再現期間50年程度の風荷重に対しては免震層の水平剛性が剛性部材によって高められて免震層の過大な変形を抑え、大地震等によって上部構造体と下部構造体が大きく相対移動した際には剛性部材が破断し、上部構造体と下部構造体の相対移動の拘束が解除されて免震装置が機能して免震効果を発揮する、免震建物が開示されている。特許文献1で開示される免震建物によれば、再現期間1年程度の風荷重に対して快適な居住性を確保し、再現期間50年程度の風荷重に対しては免震層の水平剛性を高め、大地震時には免震効果を発揮することができるとしている。
また、特許文献2には、基礎と基礎上に支持される構造物本体との間に設けられる耐風構造であって、基礎上に設けられる下部構造体と、下部構造体上に配置され、その上方に構造物本体を支持する上部構造体と、強風時に下部構造体と上部構造体との間の定位置に係合してこれら下部構造体と上部構造体とを剛に拘束し、地震力が入力された際に定位置から退避して下部構造体、上部構造体間を縁切りする第1ピンと、下部構造体、上部構造体が剛に拘束された状態において地震力が一定値を超えたときに破断して下部構造体、上部構造体と構造物本体とを縁切りする第2ピンとを備えてなる免震耐風構造が開示されている。特許文献2で開示される免震耐風構造によれば、地震時に免震構造としての機能を有し、強風時に耐風構造としての機能を有するとしている。
特開2008−156945号公報 特開2004−176525号公報
免震装置を備えた建物において免震性能を確保しながら耐風性能も満足するための方策として、一つはロック式のオイルダンパーの適用であり、他の一つは上記特許文献1,2で開示されるように耐風ピンを免震層に適用する方法である。
ロック式のオイルダンパーはダンパーに電子ロックの装置が着いたものであり、台風が近づいた際に建物管理者が電子ロックのロック設定をおこなうものであるが、非常に設備コストが高いという課題があるとともに、建物管理者がロック設定を忘れた際に建物の耐風性能が発揮されないといった課題があり、さらには、電子制御が働くかについて常時メンテナンスする必要がある。
一方、耐風ピンは一般に、円筒状のピン部材にスリットを設けて所定のせん断力になったら破断する機構を備え、風荷重に対しては耐風ピンで抵抗し、大地震時には耐風ピン以外の免震装置等で抵抗する機構を備えているため、大地震時のあとには耐風ピンを点検し、耐風ピンが破断している場合には交換を余儀なくされるといったメンテナンス手間の課題がある。また、耐風ピンの破断時には非常に大きな音が発生することから、この大きな音が建物利用者を不安にさせるといった課題もある。さらに、耐風ピンは破断後に急激に耐力低下することから、破断後に免震層に大きな加速度が生じるといった課題もある。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、免震装置が配設されている建物の免震層に配設される耐風装置に関し、大地震時にせん断破壊される耐風ピンを適用することなく、したがって大地震後のメンテナンスを不要としながら、優れた耐風性能を発揮することのできる耐風装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による耐風装置は、免震建物の免震層を構成する下部構造体と上部構造体の間において、免震装置とともに配設される耐風装置であって、前記下部構造体に固定された被せり上がり体と、前記被せり上がり体に対してせり上がり自在に配設されるとともに、前記上部構造体に上下移動可能に取り付けられ、該上部構造体から伝達される水平力によって該被せり上がり体に対してせり上がるせり上がり体と、前記上部構造体に取り付けられた摩擦ストッパーと、を備え、前記せり上がり体と前記摩擦ストッパーは相互に面接触した状態で締め付けられており、前記せり上がり体のせり上がりに伴って前記摩擦ストッパーに伝達される伝達荷重に対し、前記摩擦ストッパーの静止摩擦力が抗するものである。

本発明の耐風装置は、上部構造体と下部構造体の間の免震層において免震装置とともに配設されるものであり、下部構造体に被せり上がり体を固定し、上部構造体にせり上がり体を固定するとともに摩擦ストッパーを備えておき、上部構造体から伝達された風荷重に対してはせり上がり体が被せり上がり体に対してせり上がろうとする過程で摩擦ストッパーが作用し、摩擦ストッパーの静止摩擦力によって被せり上がり体のせり上がりを抑止もしくは抑制することで、風荷重による上部構造体の揺れを効果的に解消もしくは低減することを可能にしたものである。
「摩擦ストッパーの静止摩擦力」の設定に関しては、たとえば所定の風荷重が上部構造体に作用した際に、被せり上がり体に対してせり上がり体がせり上がらないような静止摩擦力に設定しておき、かつ、この静止摩擦力をレベル2地震等の地震力未満に設定しておくことで、所定の風荷重に対してのみ摩擦ストッパーが作用し、大地震の際には作用荷重が摩擦ストッパーの設定摩擦力を超えることで当該摩擦ストッパーが作用せず、免震層内にある免震装置にて地震力の入力低減を図ることができる。
ここで、本発明の耐風装置が適用される免震建物としては、上部構造体が高層ビルの地上階であり、下部構造体が基礎である高層建物や、上部構造体が屋根架構であり、下部構造体が屋根架構を支持する柱−梁フレーム架構等である体育館やアリーナ等の大空間建物などが含まれる。
本発明の耐風装置によれば、摩擦ストッパーの静止摩擦力によって風荷重に対抗し、風荷重よりも大きな荷重を齎す大地震時には摩擦ストッパーは対抗しないことから、耐風ピンのように大地震時に摩擦ストッパーが破損する可能性もなく、大地震後のメンテナンスも不要となる。さらに、大地震の際には、作用荷重が摩擦ストッパーの設定摩擦力を超えた段階で免震装置に荷重が分担されることから、耐風ピンのように大地震時に破断して急激に耐力低下し、免震層に大きな加速度が生じるといった課題も生じない。
ここで、本発明の耐風装置の具体的な実施の形態として、以下のような態様を挙げることができる。
第一の実施の形態は、前記被せり上がり体が上方にテーパー状の溝もしくは窪みを備え、前記せり上がり体は下方に突起を備え、該突起が前記テーパー状の溝もしくは窪みにはまり込んでいる形態である。
上部構造体からせり上がり体に地震荷重が作用した際に、せり上がり体は、その下方の突起が被せり上がり体の上方のテーパー状の溝もしくは窪みのテーパー面に沿って上方に移動し易くなる。
ここで、突起の具体的な形態としては、前記突起の先端形状が、円錐状、半球状、平面状のいずれかであるのが製作上好ましい。また、前記突起が円錐状の場合は該突起の先端が曲率を有していることにより、被せり上がり体の上面にスムーズに移動することが可能になり、前記突起が平面状の場合は平面のエッジが曲率を有していることにより、同様に被せり上がり体の上面にスムーズに移動することが可能になる。また、前記突起が半球状の場合も同様に、被せり上がり体の上面にスムーズに移動することが可能になる。さらに、被せり上がり体の前記溝もしくは窪みのエッジが曲率を有していることにより、突起がテーパー状の溝もしくは窪みから出て被せり上がり体の上面にスムーズに移動することが可能になる。
たとえば、テーパー状の溝もしくは窪みが45度のテーパー角度を有し、円錐状の突起の側面も45度のテーパー角度を有している形態において、被せり上がり体に対してせり上がり体がせり上がる過程で、双方の接点の角度は45度から34度、18度といった具合に接点角度が低下することになるが、円錐状の突起の起点となるエッジと突起の先端がともに所定の曲率を有した滑らかな曲面となり、被せり上がり体の上面と溝のエッジも所定の曲率を有した滑らかな曲面となっていることで、せり上がり体のスムーズな移動が実現できる。
一方、耐風装置の第二の実施の形態は、前記被せり上がり体が球体であり、前記せり上がり体は下方にテーパー状の溝もしくは窪みを備え、該テーパー状の溝もしくは窪みに前記被せり上がり体の少なくとも一部がはまり込んでいる形態である。
この形態においても、球体からなる被せり上がり体の球面に沿ってせり上がり体の下方のテーパー状の溝がスムーズに移動することが可能になる。
また、本発明による耐風装置の他の実施の形態において、前記摩擦ストッパーは第一の摩擦材を備えており、前記せり上がり体は前記第一の摩擦材の間に配設されて該第一の摩擦材と接触する第二の摩擦材を備えており、前記第一の摩擦材は締付け調整具を備えており、該締付け調整具によって該第一の摩擦材と前記第二の摩擦材の間の静止摩擦力が調整されるものである。
ボルト等の締付け調整具の締付け力を適宜調整することにより、第一の摩擦材と第二の摩擦材の間の静止摩擦力を所望かつ容易に設定することが可能になる。さらに、たとえば大地震後には、このボルト等の締付け調整具を緩めることで、被せり上がり体に対してせり上がっているせり上がり体の位置を当初位置に容易に戻すことができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の耐風装置によれば、下部構造体に被せり上がり体を固定し、上部構造体にせり上がり体を固定するとともに摩擦ストッパーを備えておき、上部構造体から伝達された風荷重に対してはせり上がり体が被せり上がり体に対してせり上がろうとする過程で摩擦ストッパーが作用し、摩擦ストッパーの静止摩擦力によって被せり上がり体のせり上がりを抑止もしくは抑制することで、風荷重による上部構造体の揺れを効果的に解消もしくは低減することができる。
さらに、大地震等の際に作用する荷重に対しては摩擦ストッパーにて対抗せず、免震層内にある免震装置にて地震力の入力低減を図ることを可能としたことで、大地震時に耐風装置が破損することが解消され、大地震後の取り換えやメンテナンス等も不要になる。
このように、本発明の耐風装置と免震装置を免震層に備えた免震建物は、耐風性能と免震性能の双方に優れた建物となる。
本発明の耐風装置の実施の形態を免震装置とともに示した縦断面図である。 (a)、(b)ともに、被せり上がり体とせり上がり体の他の実施の形態を示した縦断面図である。 (a)〜(e)の順に、大地震時において被せり上がり体に対してせり上がり体がせり上がる状況を説明した図である。 (a)は図3(a),(b)のときのせり上がり体に作用する水平荷重と摩擦ストッパー荷重、鉛直荷重を説明した図であり、(b)は図3(c)のときのせり上がり体に作用する水平荷重と摩擦ストッパー荷重、鉛直荷重を説明した図であり、(c)は図3(d)のときのせり上がり体に作用する水平荷重と摩擦ストッパー荷重、鉛直荷重を説明した図である。 (a)は図4(a)〜(c)の摩擦ストッパー荷重と摩擦抵抗力の関係グラフを示した図であり、(b)はせり上がり体の水平変位と摩擦抵抗力の関係グラフを示した図である。 (a)は本発明の耐風装置と免震装置を模擬したモデル図であり、(b)、(c)はそれぞれ、比較例と実施例の時間−摩擦力関係図、時間−(ピンによるストッパー力)摩擦ストッパー力関係図、時間−積層ゴムせん断力関係図である。
以下、図面を参照して本発明の耐風装置の実施の形態を説明する。
(耐風装置の実施の形態)
図1は本発明の耐風装置の実施の形態を免震装置とともに示した縦断面図である。図1において、上部構造体UPと下部構造体UDの間の免震層SLにおいて、耐風装置10と免震装置20が相互に離れた位置に配設されている。
図示する耐風装置10と免震装置20を免震層SLに備えた免震建物は、上部構造体UPである高層地上階と下部構造体UDである基礎の間に免震層SLを備えた高層ビルや、上部構造体UPである屋根架構と、下部構造体UDである柱−梁フレーム構造の立上り架構の間に免震層SLを備えた体育館等の大空間建物などである。
免震層SLに配設される耐風装置10は、下部構造体UDに固定された被せり上がり体1と、被せり上がり体1に対してせり上がり自在に配設されるとともに上部構造体UPに固定具4を介して固定され、上部構造体UPから伝達される大地震時の水平力Qによって被せり上がり体1に対してせり上がるせり上がり体2と、上部構造体UPに取り付けられた摩擦ストッパー3と、から大略構成されている。
被せり上がり体1は上方にテーパー状の溝1a(もしくは窪み)を備えており、ボルトBを介して下部構造体UDに固定されている。
せり上がり体2は下方に円錐状の突起2aを備え、円錐状の突起2aがテーパー状の溝1aにはまり込んでいる。また、せり上がり体2は、スライドブッシュ4aを介し、固定具4を介して上部構造体UPに固定されている。
さらに、せり上がり体2の上面には棒体2bが取り付けられており、棒体2bの周囲に第二の摩擦材2cが取り付けられている。
一方、摩擦ストッパー3は略コの字状のフレーム体3aを有し、フレーム体3aの上端が上部構造体UPに固定されるとともに、フレーム体3aの内側には第一の摩擦材3bが取り付けられている。さらに、フレーム体3aには、ボルトから構成される締付け調整具3cが取り付けられている。
フレーム体3aの内部にせり上がり体2の棒体2bが挿通されており、第一の摩擦材3bと第二の摩擦材2cが相互に面接触している。
締付け調整具3cの締付け力を調整することにより、第一の摩擦材3bと第二の摩擦材2cの間の静止摩擦力(もしくは最大静止摩擦力)が所望に調整自在となる。
この第一の摩擦材3bと第二の摩擦材2cの間の静止摩擦力に関しては、所定の風荷重による上部構造体UPからの水平荷重Qに対して、被せり上がり体1の溝1aのテーパー面に沿ってせり上がり体2が斜め上方(X1方向)にせり上がり、これに起因して棒体2bが鉛直上方(X2方向)に移動するのを抑止する静止摩擦力となるように設定されている。さらに、この静止摩擦力は、レベル2地震等の大地震の際の地震荷重による上部構造体UPからの水平荷重Q’に対して、被せり上がり体1に対するせり上がり体2の斜め上方(X1方向)へのせり上がりを許容する、すなわち、このせり上がり力未満の静止摩擦力となるように設定されている。
このように、上部構造体UPから伝達された風荷重(水平荷重Q)に対してはせり上がり体2が被せり上がり体1に対してせり上がろうとする過程で摩擦ストッパー3が作用し、摩擦ストッパー3の静止摩擦力によって被せり上がり体2のせり上がりを抑止もしくは抑制することにより、風荷重による上部構造体UPの揺れを効果的に解消もしくは低減することができる。
一方、大地震の際の上部構造体UPから伝達された地震荷重(水平荷重Q’)に対しては作用荷重が摩擦ストッパー3の設定摩擦力を超えることで摩擦ストッパー3が地震力に対抗せず、免震層SL内にある免震装置20にて地震力の入力低減を図ることができる。
したがって、耐風装置10の構成部材が大地震時に破損する可能性はなく、大地震後の耐風装置10の部品交換もメンテナンスも不要となる。さらに、大地震の際には、作用荷重が摩擦ストッパー3の設定摩擦力を超えた段階で免震装置20に荷重が分担されることから、耐風装置が大地震時に破断して急激に耐力低下し、免震層SLに大きな加速度が生じるといった問題も生じない。
次に、図2を参照して、被せり上がり体とせり上がり体の他の実施の形態を説明する。まず、図2(a)で示す実施の形態は、せり上がり体2Aの円錐状の突起の起点となるエッジと突起の先端がR加工を施されて曲率を有しており、被せり上がり体1Aの上面と溝1aのエッジもR加工を施されて曲率を有している形態である。
大地震時においては、被せり上がり体1Aに対してせり上がり体2Aがせり上がる過程で、双方の接点の角度が徐々に低下するが、円錐状の突起2aの起点となるエッジと突起の先端がともに所定の曲率を有した滑らかな曲面となり、被せり上がり体1Aの上面と溝1aのエッジも所定の曲率を有した滑らかな曲面となっていることで、せり上がり体1Aのスムーズな移動が実現できる。
一方、図2(b)で示す実施の形態は、被せり上がり体1Bが球体であり、せり上がり体2Bは下方にテーパー状の溝2d(もしくは窪み)を備え、このテーパー状の溝2dに被せり上がり体1Bの少なくとも一部がはまり込んでいる形態である。
この形態においても、球体からなる被せり上がり体1Bの球面に沿ってせり上がり体2Bの下方のテーパー状の溝2dがスムーズに移動することが可能になる。なお、図示するように、せり上がり体2Bの溝と下面のエッジにおいても、R加工が施されて所定の曲率を有した滑らかな曲面となっているのがよい。なお、図示を省略するが、その他、先端形状が半球状の被せり上がり体や平面状の被せり上がり体などであってもよい。
次に、図3を参照して図2(a)で示す形態のせり上がり体が大地震時において被せり上がり体に対してせり上がる状況を説明する。ここで、せり上がり体の円錐状の突起のテーパー角度と被せり上がり体の溝のテーパー角度はともに45度である。
図3(a)〜(e)の順に、せり上がり体が徐々にせり上がるが、突起と溝の接点角度が当初は45度であったのに対し、次第に34度になり(図3(c))、18度になり(図3(d))、最後は0度となる(図3(e))。
また、図4(a)〜(c)は、図3の各状態における、せり上がり体に作用する水平荷重と摩擦ストッパー荷重、鉛直荷重を説明した図であり、図5(a)は摩擦ストッパー荷重と摩擦抵抗力の関係グラフを示した図であり、図5(b)はせり上がり体の水平変位と摩擦抵抗力の関係グラフを示した図である。
接点角度が小さくなるにつれて、水平荷重(地震力Q)は低減し、鉛直荷重Vが増加していく。鉛直荷重Vはそのまま摩擦ストッパーに作用することになるが、摩擦ストッパーに設定されている最大摩擦力を鉛直荷重Vが超えた段階で摩擦ストッパーによる抵抗が解除され、地震力Qが免震装置に作用することになる。
このように、大地震時の地震力が耐風装置に作用した際には、地震力に対して耐風装置が徐々に対抗しながらも、摩擦ストッパーによる抵抗解除を受け、地震力を免震装置に速やかに負担することになる。
また、図6は、従来の耐風ピンを用いた耐風装置を備えた免震層の構造(比較例)と、本発明の耐風装置を備えた免震層の構造(実施例)における、ピンによるストッパー力および摩擦ストッパー力の時間グラフと、免震装置を構成する積層ゴムのせん断力の時間グラフを示している。なお、図6(a)は実施例の免震層のモデル図であり、比較例の免震層は摩擦ストッパーの代わりにせん断ピンを備えたモデルである(図示略)。
比較例の結果を示す図6(b)より、せん断ピンが破断した際にストッパー力は一気に急減し、積層ゴムに作用するせん断力は大きく変動することになり、免震層に大きな加速度が生じることになる。
これに対し、実施例の結果を示す図6(c)より、摩擦ストッパーは破断しないことから、積層ゴムに作用するせん断力は緩やかに増加し、免震層に加速度は生じない。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1,1A…被せり上がり体、1B…被せり上がり体(球体)、1a…溝(テーパー状の溝)、2,2A,2B…せり上がり体、2a…突起、2b…棒体、2c…第二の摩擦材、2d…溝(テーパー状の溝)、3…摩擦ストッパー、3a…フレーム体、3b…第一の摩擦材、3c…締付け調整具、4…固定具、4a…スライドブッシュ、10…耐風装置、20…免震装置、UP…上部構造体、UD…下部構造体、SL…免震層

Claims (6)

  1. 免震建物の免震層を構成する下部構造体と上部構造体の間において、免震装置とともに配設される耐風装置であって、
    前記下部構造体に固定された被せり上がり体と、
    前記被せり上がり体に対してせり上がり自在に配設されるとともに、前記上部構造体に上下移動可能に取り付けられ、該上部構造体から伝達される水平力によって該被せり上がり体に対してせり上がるせり上がり体と、
    前記上部構造体に取り付けられた摩擦ストッパーと、を備え、
    前記せり上がり体と前記摩擦ストッパーは相互に面接触した状態で締め付けられており、前記せり上がり体のせり上がりに伴って前記摩擦ストッパーに伝達される伝達荷重に対し、前記摩擦ストッパーの静止摩擦力が抗する耐風装置。
  2. 前記被せり上がり体は上方にテーパー状の溝もしくは窪みを備え、
    前記せり上がり体は下方に突起を備え、該突起が前記テーパー状の溝もしくは窪みにはまり込んでいる請求項1に記載の耐風装置。
  3. 前記突起の先端形状は、円錐状、半球状、平面状のいずれかであり、
    前記突起が円錐状の場合は該突起の先端が曲率を有しており、前記突起が平面状の場合は平面のエッジが曲率を有している請求項2に記載の耐風装置。
  4. 前記被せり上がり体の前記溝もしくは窪みのエッジが曲率を有している請求項2または3に記載の耐風装置。
  5. 前記被せり上がり体は球体であり、
    前記せり上がり体は下方にテーパー状の溝もしくは窪みを備え、該テーパー状の溝に前記被せり上がり体の少なくとも一部がはまり込んでいる請求項1に記載の耐風装置。
  6. 前記摩擦ストッパーは第一の摩擦材を備えており、
    前記せり上がり体は前記第一の摩擦材の間に配設されて該第一の摩擦材と接触する第二の摩擦材を備えており、
    前記第一の摩擦材は締付け調整具を備えており、該締付け調整具によって該第一の摩擦材と前記第二の摩擦材の間の静止摩擦力が調整される請求項1〜5のいずれか一項に記載の耐風装置。
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