JP2016017574A - 変位抑制免震装置及び免震システム - Google Patents

変位抑制免震装置及び免震システム Download PDF

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Abstract

【課題】想定内の中・大規模の地震に対する免震効果を維持しつつ、想定外の巨大な地震による過大な変位を抑制すること。【解決手段】上部構造物を免震支承する積層ゴム支承体40とともに、建築物20と基礎30の間に配置される変位抑制免震装置50である。変位抑制免震装置50は、基礎30に固定される変位抑制弾性体51と、建築物20に固定されるロックプレート52とを備え、変位抑制弾性体51は、建築物20と対向する上面516aに剪断キー514を有する。剪断キー514は、建築物20に対向する上面514bが鉛直方向に常時離間している。また、ロックプレート52と剪断キー514とは間隔をあけて配置され、且つ、建築物20が基礎30に対して所定範囲以上の水平変位が生じた際に、ロックプレート52の側面と剪断キー514の側面が当接することで水平変位を抑制する。【選択図】図2

Description

本発明は、建築物や機械装置等の免震構造に用いられる変位抑制免震装置及びこれを用いた免震システムに関する。
構造物への地震力を低減する免震装置として、ゴム状弾性板と硬質板を交互に積層した積層ゴム支承体が知られている。
積層ゴム支承体は、鉛直方向に高い(硬い)剛性、水平方向に低い(軟らかい)剛性を有し、構造物の基礎部分や中間階層等の免震層に配置される。
積層ゴム支承体は、鉛直方向の硬い剛性で上部の構造物を支え、水平方向の柔らかい剛性で剪断変形し、上部の構造物の荷重を支えながら地震による揺れをゆっくりした周期で伝達するようにして構造物への地震力を低減している。
積層ゴム支承体は、想定される地震動に基づいて、該地震動を受けても支承する構造物が耐えうるよう設計されている。
しかしながら、上述した積層ゴム支承体の剪断変形は、長周期パルス性地震動や長周期・長時間地震動等のような想定外の巨大な地震動によって、許容範囲を超えてしまう虞がある。かかる場合には、積層ゴム支承体の損傷や、積層ゴム支承体等が設置された免震層の外周に配された擁壁への衝突が生じる懸念がある。
一方、想定外の巨大な地震動に対して、積層ゴム支承体の損傷や擁壁への衝突が起きないように、積層ゴム支承体の水平剛性を増加して設計すると、発生頻度の多い中・大規模の地震に対する免震性能が低下してしまう問題が生じる。
これらの点を鑑みて、積層ゴム支承体が一定以上変形した際に水平剛性を高くする、あるいは変形が一定以上進行しないようにして積層ゴム支承体の損傷や擁壁への衝突を防ぐ方法が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許文献1には、常時構造物の荷重を受ける第1の免震支持機構と、所定範囲以上の水平方向の変位があった時にのみ構造物の荷重を受ける第2の免震支持機構とからなる免震装置が開示されている。この第2の免震支持機構は、構造物に取り付けられた円錐状凹部の傾斜面と、基礎に取り付けられた積層ゴム本体の凸部の傾斜面とを有する。そして、構造物の水平方向の変位が所定範囲以上になると、互いの傾斜面が当接して、第2の免震支持機構自体でも構造物を支持する。
また、特許文献2には、上部構造を支承する円柱状の中央の第1積層ゴムの外周に、上部構造と離間したリング状の第2積層ゴムを設けた免震構造が開示されている。第1積層ゴム及び第2積層ゴムの間には、上部構造からリング状の水平力伝達治具が下向きに突出している。この特許文献2では、中央の第1積層ゴムが所定量変形した時点で、第2積層ゴムの上端(上プレート)と水平力伝達治具が接触し、上部構造と直接接することなく、水平力を伝達して段階的に剛性を変化させる。
また、特許文献3には、基礎と建築物との間に介在して建築物を水平方向に移動自在に支持する免震積層ゴムを有する免震構造が開示されている。加えて、建築物の底面に滑り鋼板を設ける一方、基礎には、滑り鋼板との間に上下方向に所定量の隙間を有する滑り支持体が設けられている。この滑り支持体は、地震時に基礎が建築物に対して水平方向に変位し、免震積層ゴムが所定量沈み込んだときに、滑り鋼板に摺接し、かつ滑り鋼板を支持する。
また、特許文献4には、建物と基礎の間に配置した免震装置の周りに、所定の間隔をおいて弾性体を主体とする変位制限装置を備えた免震構造が開示されている。この免震構造では、地震時に免震装置が所定の間隔を超えて変形したときに、免震装置と変位制限装置が同時に剪断変形して、免震装置の所定以上の変形を防止する。
また、水平方向の変位を制限する装置として、例えば、特許文献5に示すように、免震床と固定床の間に設けられ、バネを用いて水平方向の変位を制限する免震床の水平大変位制限装置が知られている。この制限装置は、免震床の下面に取付けられて下方に突出している環状の当り板と、免震床に対向している台座の上面中央に固定される突出ストッパと、突出ストッパの外周側位置に固定されたゴム製のドーナツ形付加ばねと、からなる。付加ばねの上面は、環状の当り板の内側で、免震床に対向しており、この上面には環状の受板が固定されている。この装置では、固定床に対する免震床の水平変位が許容値を越えると、当り板が受板に衝突して付加ばねに作用し、水平方向ばね定数が増加して免震床の変位が抑えられる。さらに地震が大きくなって、その応答変位が増し、突出ストッパと付加ばねが当たると、応答水平変位を、全て抑えることができる。
特開平9−195569号公報 特開平2−16230号公報 特開平9−196116号公報 特開2010−270569号公報 実開平1−112235号公報
しかしながら、上述した特許文献1〜5に示す従来の免震装置、免震構造及び制限装置においては、それぞれ以下のような問題がある。
特許文献1では、構造物の水平方向の変位が所定範囲以上になると、第1の免震支持機構に加えて、第2の免震支持機構も構造物の鉛直荷重を支持するため、第2の免震支持機構から構造物の梁等に突き上げる方向に力が加わり、十分な補強をしないと梁にダメージを与える虞がある。また、第2の免震支持機構が構造物を支承した際、構造物を支承する免震支持機構のバランスが変わる。これにより、第1の免震支持機構が構造物から受ける鉛直荷重も変化し、免震装置全体として、所望の免震効果が得られなくなる虞がある。
また、特許文献2では、リング状の第2積層ゴムは、第1積層ゴムを囲むように設けるため、第1積層ゴムの外径によっては、かなり大きな外径で形成されることになる。例えば、第1積層ゴムの外径がφ600mmやφ1000mmである場合、内径がφ600mm、φ1000mmを超えるリング状の第2積層ゴムが必要となる。さらに、この構成では、巨大な地震動を抑制するための水平剛性を確保する場合、積層部面積を大きくしたリング状積層ゴムが必要となり、第2積層ゴムの外径は非常に大きくなり、設置スペースに加え、製造設備の問題や重量が一層嵩むという問題が生じる。
また、特許文献3では、滑り支持体の滑り鋼板に対する摺動による摩擦力によって変位抑制を行うため、巨大な地震動の変位抑制は困難である。また、滑り支持体による変位抑制が機能するタイミングは、滑り鋼板と滑り支持体とのクリアランス量によって決まるが、建築物を支持している免震積層ゴムでクリアランス量を一定に制御することは難しく、摩擦力がばらついてしまう。さらに、平常時は、滑り鋼板及び滑り支持体の互いの摺動面が開放された状態となるため、異物が摺動面に付着した場合、免震積層ゴムが所定量沈み込む場合でも、摺動しない虞がある。
更に、特許文献4では、免震装置の積層部側面が変位制限装置に接することで免震装置と変位制限装置が同時に剪断変形する機構となっている。これにより、免震装置が繰り返し変位制限装置と接触することによって、免震装置が局所的に変形し、装置の機能を損なうことで、想定内の中・大規模の地震における免震効果は維持できなくなる懸念がある。また、接触の際に免震装置の積層外周面が破損する虞もある。
また、特許文献5では、当り板と受板が衝突して付加ばねに作用し、さらに突出ストッパと付加ばねが当接した際、付加ばねの変形によって、環状の受板の内周面と突出ストッパが衝突する虞がある。硬質の受板と突出ストッパの衝突による衝撃が硬質の当り板を介して上部の免震床に伝播されてしまい、制限装置、ひいては、免震床を有する構造物の損傷を招く等の虞がある。また、台座(固定床)からの震動が、硬質の突出ストッパ、受板及び当り板を介して上部の免震床に伝播されてしまう問題もある。
本発明の目的は、想定内の中・大規模の地震に対する免震効果を維持しつつ、想定外の巨大な地震による過大な変位を抑制する変位抑制免震装置及び免震システムを提供することを目的とする。
本発明の変位抑制免震装置の一つの態様は、上部構造物と下部構造物の間に配置されて前記上部構造物を免震支承する免震部材とともに、前記上部構造物と前記下部構造物の間に配置される変位抑制免震装置であって、前記上部構造物又は前記下部構造物のいずれか一方の構造物に固定される変位抑制弾性体と、前記上部構造物又は前記下部構造物の他方の構造物に固定され、前記変位抑制弾性体と対向配置されるロックプレートと、を備え、前記変位抑制弾性体は、前記一方の構造物に取り付けられる弾性本体部と、前記弾性本体部において前記他方の構造物と対向する対向面から突出する剪断キーとからなり、前記剪断キーは、前記他方の構造物に対向する対向面が前記他方の構造物に対して鉛直方向に常時離間しており、前記ロックプレートと、前記剪断キーとは、水平方向に間隔をあけて配置され、且つ、前記一方の構造物に対する前記他方の構造物の水平変位が前記間隔以上生じた際に、水平方向に対向する前記ロックプレートの側面と前記剪断キーの側面が当接する、構成を採る。
本発明の変位抑制免震装置の一つの態様は、上部構造物と下部構造物の間に配置されて前記上部構造物を免震支承する免震部材とともに、前記上部構造物と前記下部構造物の間に配置される変位抑制免震装置であって、前記上部構造物又は前記下部構造物のいずれか一方の構造物に固定される変位抑制弾性体と、前記上部構造物又は前記下部構造物の他方の構造物に固定され、前記変位抑制弾性体と対向配置される剪断キーと、を備え、前記変位抑制弾性体は、前記一方の構造物に取り付けられる弾性本体部と、前記弾性本体部において前記他方の構造物と対向する対向面から突出するロックプレートとからなり、前記剪断キーは、前記弾性本体部に対向する対向面が前記弾性本体部に対して鉛直方向に常時離間しており、前記ロックプレートと、前記剪断キーとは、水平方向に間隔をあけて配置され、且つ、前記一方の構造物に対する前記他方の構造物の水平変位が前記間隔以上生じた際に、水平方向に対向する前記ロックプレートの側面と前記剪断キーの側面が当接する、構成を採る。
本発明の免震システムの一つの態様は、上記構成の変位抑制免震装置と、上部構造物と下部構造物との間に、前記変位抑制免震装置とともに、前記変位抑制免震装置から離間して配置され、前記上部構造物を常時支持する免震部材と、を備える構成を採る。
本発明によれば、想定内の中・大規模の地震に対する免震効果を維持しつつ、想定外の巨大な地震による過大な変位を抑制することができる。
本発明の一実施の形態の免震システムを模式的に示す構造物の正面図 本発明の一実施の形態の免震システムの要部構成を模式的に示す拡大正面図 本発明の一実施の形態の免震システムの積層ゴム支承体(免震部材)を示す正面断面図 本発明の一実施の形態の免震システムの変位抑制免震装置を示す正面図 本発明の一実施の形態の免震システムのロックプレートを示す斜視図 本発明の一実施の形態の免震システムの変位抑制免震装置の動作を示す図 本発明の一実施の形態の免震システムのロックプレートの変形例1を示す水平断面図 本発明の一実施の形態の免震システムのロックプレートの変形例2を示す水平断面図 本発明の一実施の形態の免震システムの変位抑制免震装置の動作を示す図 本発明の一実施の形態の免震システムの変位抑制免震装置の変形例の要部構成を示す正面図 本発明の一実施の形態の免震システムの変位抑制免震装置の他の変形例の要部構成を示す正面図 本発明の一実施の形態の免震システムのロックプレートの他の設置例を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<免震システム10の概要>
図1は、本発明の一実施の形態の免震システム10を模式的に示す構造物の正面図である。
図1に示す免震システム10は、上部構造物としての建築物20と下部構造物としての基礎30との間に配置される免震部材としての複数の積層ゴム支承体40と、建築物20と基礎30との間に配置される変位抑制免震装置50とを有する。また、免震システム10の外周には擁壁33が設けられている。
免震システム10の免震部材としては、図1に示す積層ゴム支承体40のほか、プラグ入り積層ゴム、高減衰積層ゴム、弾性すべり支承、転がり支承やダンパー等が挙げられ、必要に応じて、これら免震部材も建築物20と基礎30との間に配置されてもよい。
図2は、同免震システム10の要部構成を模式的に示す拡大正面図である。
図1及び図2に示す免震システム10では、積層ゴム支承体40は、建築物(上部構造物)20の柱21の直下と基礎30の間に配置される。積層ゴム支承体40は、建築物20の鉛直荷重を支持しつつ、建築物20を基礎(下部構造物)30に対して相対的に水平方向(図1のL方向)へ移動可能とする。
また、免震システム10における変位抑制免震装置50は、建築物20及び基礎30間に、積層ゴム支承体40から離間して配置されている。変位抑制免震装置50は、ここでは、建築物20の柱21間に配設された梁22と基礎30との間に配置されているが、例えば、柱21の直下や建築物20の四隅等、反力をとることができる位置であればどこに配置してもよく、建築物20の外周部への配置も可能である。
本実施の形態での免震システム10では、変位抑制免震装置50を、複数の積層ゴム支承体40間に配置することによって、建築物20を常時支承する積層ゴム支承体40が所定範囲以上の水平変位となることを抑制する。
<積層ゴム支承体(免震部材)40の構成>
図3は、本発明の一実施の形態の免震システム10の積層ゴム支承体40の要部構成を示す断面図である。
図3に示す積層ゴム支承体40は、建築物を常時支持しており、複数の弾性板41及び硬質板(ここでは中間鋼板)42を交互に積層して一体化した積層体と、この積層体の上下両端に連結鋼板43、44と、フランジ46、47を配置した構造を有する。なお、連結鋼板43とフランジ46、並びに連結鋼板44とフランジ47とは、一体としたフランジ構成としてもよい。
弾性板41としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム等のゴム材が挙げられるが、これらに特に限定されず、合成樹脂、ゴムと合成樹脂との混合物等で形成してもよい。弾性板41と硬質板42及び上下端部に配した連結鋼板43、44は接着して一体化されている。なお、硬質板42は、鋼板の他、セラミック、プラスチック、繊維強化プラスチック等、金属製板であっても非金属製板であっても構わない。
この積層体(弾性板41及び硬質板42)の中央部に、必要に応じて上下に貫通して製造時に使用される位置決め孔45を設けてもよい。また、連結鋼板43、44とフランジ46、47は、ボルト46a、47aにより固定されている。
積層体の外周面(弾性板41及び硬質板42の外周面)には、耐候性に優れたゴム材料等からなる保護層48が被覆され、積層体は、保護層48により外部環境から保護されている。なお、保護層48と積層体との関係は、積層ゴムの外周面に接着剤を塗布して貼り合わせても、自己融着型のテープを巻いても、弾性板41と保護層48のゴム材を同時に加硫接着することで一体化してもよい。
このように構成される積層ゴム支承体40は、建築物20の柱の真下に位置させており、建築物20と基礎30とのそれぞれに、フランジ46、47の周縁部のボルト穴46b、47bに挿通されたボルト(図示略)により固定される。積層ゴム支承体40では、積層体とフランジ46、47とで、鉛直方向の硬い剛性で建築物20を支え、水平方向の柔らかい剛性で剪断変形することによって、建築物20の荷重を支えながら地震による揺れをゆっくりした周期で伝達するようにしている。
<変位抑制免震装置50の構成>
図4は、本発明の一実施の形態の免震システム10の変位抑制免震装置50を示す正面図である。
変位抑制免震装置50は、上部構造物(例えば、建築物20の梁22)と、下部構造物(例えば、基礎30)との間に配置され、上部構造物の下部構造物に対する所定範囲以上の水平方向への変位を抑制する。
変位抑制免震装置50は、上部構造物(建築物20の梁22)及び下部構造物(基礎30)の一方の構造物に固定される変位抑制弾性体51と、他方の構造物に固定され、変位抑制弾性体51と対向配置されるロックプレート52とを有する。
図4では、変位抑制弾性体51は、一方の構造物としての基礎30(下部構造物)に固定され、ロックプレート52は、他方の構造物としての建築物20の梁22(上部構造物)の下面に固定されている。
変位抑制弾性体51は、弾性本体部512と、凸状の剪断キー514と、を有する。
弾性本体部512は、積層弾性体513と、対向フランジ516と、固定フランジ517と、を備えている。
積層弾性体513は、弾性板513aと硬質板としての中間鋼板513bが交互に積層され、上下端部に連結鋼板513c、513dが接着された構造を有する。積層弾性体513は、積層ゴム支承体40の積層体と同様の構造であり、中央部に円筒状の位置決め孔515を有する。位置決め孔515は、空孔のままであっても、弾性体で充填しても、鉛プラグ等の減衰プラグを挿入してもよい。なお、位置決め孔515が無い構成であっても構わない。弾性板513aとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム等のゴム材が挙げられるが、これらに特に限定されず、合成樹脂、ゴムと合成樹脂との混合物等で形成してもよい。弾性板513aは、積層ゴム支承体40の弾性板41を形成する弾性ゴム材と同一であっても、異なった弾性ゴム材でもよい。
また、積層弾性体513は、単層の弾性体の上下両端面を金属板である連結鋼板513c、513dで挟持して、接着により一体化する構成としてもよい。
このように構成された積層弾性体513において、連結鋼板513c、513dの上下両側には、それぞれ対向フランジ516、固定フランジ517が重ねて設けられている。なお、連結鋼板513cと対向フランジ516、並びに連結鋼板513dと固定フランジ517とは、一体としたフランジ構成としてもよい。
連結鋼板513c、513dと、対向フランジ516、固定フランジ517とは、ボルト518により連結固定されている。
対向フランジ516は、他方の構造物である建築物20と対向する面(図4では上面516a)を有する。また、固定フランジ517は、その周縁部に形成された取付ボルト用穴517aに挿入される取付ボルト518aを介して基礎(下部構造物)30に固定されている。これにより変位抑制弾性体51は、基礎(下部構造物)30に固定される。なお、対向フランジ516の外周部は、他方の構造物である建築物20と対向する面(図4では上面516a)に向かって外径が小さくなるように傾斜している。これにより、図6に示すように、水平変位により対向フランジ516の外周部端面がロックプレート52の内周側面の内側に位置し(図6における対向フランジ外周部右側の端面)、さらに後述する剪断キー514とロックプレート52の当接により変位抑制弾性体51が傾斜した状態から、再び元の位置(図4の状態)に戻る際に、ロックプレート52の内周側面の内側に位置していた対向フランジ516の外周部端面がロックプレートの内周側面に接触しても、傾斜によりスムーズに元の位置に移動できる。また、必要に応じてロックプレート52の内周側面の下端部(図4では下端面524側)を面取りしても構わない。
建築物20(ロックプレート52)の下面と対向する対向フランジ516の上面516aには、剪断キー514が建築物20(詳細にはロックプレート52)側に突出するように立設している。
剪断キー514は、ロックプレート52(詳細は後述する)により囲まれる位置に配置される。図4における実施の形態では、剪断キー514は、対向フランジ516の中央部、すなわち、弾性本体部512の上端中央部に立設している。
剪断キー514は、柱状、ここでは円柱状に形成され、対向フランジ516にボルトで固定されている。剪断キー514の外周側面514a(側面)は、ロックプレート52の内周側面(側面)521と水平方向で当接可能に配置されている。剪断キー514の形状は特に限定されず、円柱状以外に多角形形状としてもよい。
なお、剪断キー514は、弾性本体部512においてロックプレート52と対向する面(ここでは対向フランジ516の上面516a)から突出していれば、どのように設けられても良い。例えば、剪断キー514を対向フランジ516に一体的に設けても良い。
剪断キー514の上端面514bと上部構造物(例えば、梁22)の下面(例えば、梁下面22a)との間の鉛直方向のクリアランスC1は、積層ゴム支承体40(図2参照)が過大変位して水平方向に変形(傾斜)して建築物20が沈み込む場合や経年による沈み込みの場合であっても、互いに離間した状態を保つよう設定されている。例えば、平常時(水平変位0)におけるクリアランスC1を50[mm]程度とした。これにより、変位抑制弾性体51は、常時、無負荷状態(上部構造物である建築物20の荷重がかからない状態)が保たれる。クリアランスC1は、図4では、剪断キー514の上端面514bと、建築物(上部構造物)20の梁下面22aとの間で形成しているが、剪断キー514の上端面514bと対向する上部構造物側の面であれば、どの面で構成してもよい。例えば、ロックプレート52を凹状に形成し、凹部の内周壁面を、内周側面521とする場合、凹部の底面部と、剪断キー514の上端面514bとにより、クリアランスC1を構成してもよい。
ロックプレート52は、剪断キー514の外周側面(側面)514aに対して水平方向に間隔をあけて同心円状に配置されている。
具体的には、ロックプレート52を他方の構造物(例えば、建築物20)に配置した場合は、建築物20において、基礎30(一方の構造物)と対向する面(建築物20の梁22の下面)から突出し、且つ、剪断キー514の外周側面514aから所定間隔(クリアランスC2)を空けて、剪断キー514を取り囲むように設けられる。ここでは、ロックプレート52は、図5に示すように、ドーナツ状に形成されている。ロックプレート52は、ボルト穴522に挿通したボルトを介して建築物20の下面(例えば、梁下面22a)に固定される。ロックプレート52は、例えば、軸を通る平面H1で分割可能な分割体52a、52bで構成されている。これにより、所定位置に変位抑制弾性体51を固定した後で、剪断キー514を囲むようにロックプレート52を他方の構造物である建築物20(詳細には梁下面22a)に配置できる。なお、図5では2分割であるが、分割数は特に限定されず、分割しない構成としても構わない。また、分割位置は対称としなくてもよい。さらに、図4ではロックプレート52における内周側面の下端部を面取りした構成としているが、面取りがない構成としても構わない。
変位抑制弾性体51の対向フランジ516の上面516aと、ロックプレート52の下端面524との間には、クリアランス(所定間隔)C3が設けられている。このクリアランスC3は、積層ゴム支承体40(図2参照)が過大変位して水平方向に変形(傾斜)することで建築物20が沈み込む場合や経年による沈み込みの場合、さらに剪断キー514とロックプレート52が当接して変位抑制弾性体51が傾斜しても、離間状態を保ち、対向フランジ516の上面516aとロックプレート52の下端面524とが接触しないように設定する。なお、当接して変位抑制弾性体51が傾斜した際に接触させて傾斜を抑えるようにしてもよい。クリアランスC3は、例えば、10〜30[mm]程度で形成される。
また、ロックプレート52の内周側面521と、剪断キー514の外周側面514aとのクリアランスC2は、中・大規模の地震にて想定される変位量を基準に設定する。つまり、剪断キー514の外周側面514aとロックプレート52の内周側面521とのクリアランスC2は、想定される中・大地震における水平変位では接しない寸法とする。また、免震システム10の外周に配置された擁壁33と建築物20とのクリアランスC4(図2参照)よりも小さくし、ここでは、400[mm]程度に設定した。
鉛直方向に対向する面514b、22a間のクリアランスC1は、常時離間した状態を保つよう設定した上で、ロックプレート52の内周側面521と剪断キー514の外周側面514aが当接した際には、剪断キー514の外周側面514aの高さ(鉛直)方向で半分程度の面がロックプレート52の内周側面521に当接するように配置されるのが好適である。
これにより、水平変位によって、剪断キー514が、ロックプレート52の内側から外方に抜けることを防止でき、水平力(剪断力)が剪断キー514から確実に弾性本体部512に伝達され、水平剛性を効率良く確保できる。
このように他方の構造物に固定されたロックプレート52と一方の構造物に固定された変位抑制弾性体51とが相対的に水平変位し、水平変位が所定の間隔(クリアランスC2)以上となった際に、ロックプレート52の内周側面521が、剪断キー514の外周面514aに当接する。一方、このとき、鉛直方向に対向する面514b、22a間のクリアランスC1は、常時離間した状態が保たれ、剪断キー514の上端面514bは、対向する建築物20及びロックプレート52の各下面とは鉛直方向に接しない。つまり、剪断キー514は、ロックプレート52及び他方の構造物に対向する対向面が鉛直方向に常時離間している。
<変位抑制免震装置50の動作>
図6は、本発明の一実施の形態の免震システム10の変位抑制免震装置50の動作を示す図である。
変位抑制免震装置50では、長周期パルス性地震動や長周期・長時間地震動等のような想定外の巨大な地震動によって、ロックプレート52と変位抑制弾性体51とが所定の間隔(クリアランスC2)以上に相対的に水平変位する。これにより、剪断キー514の外周側面514aがロックプレート52の内周側面521に当接して、変位抑制弾性体51に水平力(剪断力)が働き、変位抑制弾性体51に反力が発生して、免震システム10の水平剛性が増加する。
また、剪断キー514を弾性本体部512の上端(対向フランジ516の上面516a)に設ける場合、剪断キー514は、弾性本体部512の中心部に設けることが望ましい。剪断キー514がロックプレート52に当接した際、弾性本体部512の外周部近傍に剪断キー514を設けた場合より変位抑制弾性体51の傾斜を抑えることができる。これにより、剪断キー514から確実に変位抑制弾性体51に水平力(剪断力)が伝達され、免震システム10の水平剛性が増加する。
本実施の形態のロックプレート52は、円環状(ドーナツ状)に形成され、剪断キー514の外周面を囲む内周面を設けた構成としたが、剪断キー514が相対的にどの方向に変位しても当接する形状であれば、どのように構成されてもよい。
例えば、図7に示すように、常態位置にある円柱状の剪断キー514の外周側面514aから所定間隔を空けて位置する内周側面521Aを有する円環状体に、円柱状の剪断キー514の軸心を中心とした放射状にスリット525を設けたロックプレート52Aにしてもよい。なお、スリット525の幅は剪断キー514の直径よりも短いものとする。このようにスリット525が形成されていれば、変位抑制弾性体51の外側(詳細にはロックプレート52Aの外周)からでもスリット525を通して内側の剪断キー514の状態を視認できる。なお。図7のロックプレート52Aは4分割の構成であるが、分割数は2分割でも8分割でも特に限定されない。
また、図8に示すように、常態位置にある剪断キー514の外周側面514aから所定間隔を空いて描く同心円の接線上に、複数の角柱526の一側面526aを位置させて、剪断キー514を囲むように建築物20(梁22)に固定したロックプレート52Bとしてもよい。想定外の巨大な地震動の際は、点線のように複数の角柱526の一側面526aと剪断キー514の外周側面514aが当接する。また、角柱526間に隙間を設けることで、ロックプレート52Bの外側面から内側の剪断キー514の状態を視認できる。
なお、変位抑制免震装置50は、変位抑制免震装置50を設置する以前の構造物(既存構造物)の免震層性状や、対象とする地震動の性状やレベル、制御目標等に基づいて、設置量を設定する。本実施の形態では、変位抑制免震装置50の設置量は、既存構造物の剛性の30%〜150%程度の範囲で、制御対象地震動の性状や制御目標を考慮し、時刻歴応答解析による検証を経た上で適切な量を決定する。
<免震システム10の動作>
本実施の形態では、免震システム10を設置した構造物(建築物20、基礎30)において、免震システム10の外周に配置された擁壁33と、建築物20とのクリアランスC4は(図2参照)、剪断キー514の外周側面514aとロックプレート52の内周側面521とのクリアランスC2よりも大きい。例えば、本実施の形態では、C4=800[mm]程度に設定した。
図2及び図4に示すように、中・大地震においては、建築物20の水平変形量は、クリアランスC2の範囲内となり、剪断キー514の外周側面514aとロックプレート52の内周側面521は接触せず、積層ゴム支承体40の免震性能が機能する。
そして、想定外の巨大な地震により過大な変位が発生し、積層ゴム支承体40の水平変位量がクリアランスC2(400[mm]程度)より大きくなると、変位抑制免震装置50では、剪断キー514の外周側面514aとロックプレート52の内周側面521が接触する。
これにより、変位抑制弾性体51の水平剛性が、積層ゴム支承体40による剛性に加わり、免震システム10全体の剛性が増し、水平力に対する変位を抑えることができる。したがって、図9に示すように、クリアランスC2を境に水平変位に対する水平剛性K1が水平剛性K2に増加することで、水平変位量は、クリアランスC4(800[mm]程度)まで至らず、建築物20は、擁壁33に接触することがない。これにより、上部構造物である建築物20が、擁壁33に衝突する等して破損することを回避できる。また、仮にクリアランスC4(800[mm]程度)以上の変位となったとしても、変位抑制免震装置50の機能により水平力を大幅に抑え、速度が低減した状態で衝突させるため、破損を軽減することができる。なお、K1は、免震部材、ここでは積層ゴム支承体40による水平剛性を示す。
この免震システム10によれば、想定内の中・大地震に対しては、変位抑制免震装置50が機能すること無く、免震部材(積層ゴム支承体40の他、プラグ入り積層ゴム、高減衰積層ゴム、弾性すべり支承、転がり支承やダンパー等)が免震効果を発揮する。
加えて、想定外の巨大地震による過大変位時には、剪断キー514の外周側面514aとロックプレート52の内周側面521が当接することで変位抑制弾性体51に水平力(剪断力)に対する反力が発生する。このように、変位抑制弾性体51の水平剛性が加わることで免震システム10の水平剛性が増加し、建築物20の変位を抑制して擁壁33への衝突を回避できる。また、仮に擁壁33に衝突したとしても破損を軽減することができる。このように、免震システム10によれば、想定内の中・大規模の地震に対する免震効果を維持しつつ、想定外の巨大な地震による過大な変位を抑制することができる。
また、変位抑制弾性体51の剪断キー514の上面は、平常時、想定内の中・大地震時及び過大変位時の何れの状態においても対向する建築物20下面(又は、ロックプレート52の凹部底面)との鉛直方向におけるクリアランスC1は保たれる(C1>0)。よって、剪断キー514の外周側面514aとロックプレート52の内周側面521が当接しても建築物20から免震部材(例えば、積層ゴム支承体40)個々に負荷される鉛直荷重のバランスは変わらない。これにより、特許文献1と異なり、第1の免震支持機構(積層ゴム支承体40に相当)が構造物から受ける鉛直荷重の変化によって、免震システム全体として、所望の免震効果が得られなくなる虞はない。
また、変位抑制弾性体51の設置に際して、上部構造物である建築物20をジャッキアップして取り付ける必要もなく、既存の建築物、具体的には、想定内の巨大な地震を免震する免震部材(積層ゴム支承体40)を取り付けた構造物にも容易に設置できる。これにより、既に想定内の地震に対応する免震部材が設けられている構造物においても、想定内の中・大規模の地震に対する免震効果を維持しつつ、想定外の巨大な地震に対応する変位抑制効果を実現することができる。
また、本実施の形態では、免震システム10の免震層の外周に、擁壁33が設けられた構成としたが、擁壁33が無い構造物への適用も可能である。剪断キー514とロックプレート52の当接により、変位抑制弾性体51の水平剛性が加わることで免震システム10の水平剛性が増加し、建築物20の水平変位を抑制して、想定内の中・大規模の地震に対する免震効果は勿論のこと、想定外の巨大な地震が発生しても好適に変位抑制効果を発揮できる。
なお、変位抑制免震装置50の変形例を図10に示す。図10は、本発明の一実施の形態の免震システム10の変位抑制免震装置50の変形例である変位抑制免震装置500の要部構成を示す正面図である。なお、図4と同一部材のものは同じ符号を付している。図10の変位抑制免震装置500に示すように、変位抑制弾性体51は、一方の構造物としての上部構造物(ここでは建築物20)側に固定している。この変位抑制弾性体51の下端部には、対向面としての対向フランジ516が配置され、剪断キー514が対向フランジ516から下方に突出している。他方の構造物としての下部構造物(ここでは基礎30)には、ロックプレート52が、剪断キー514の外周に対して水平方向に間隔(クリアランスC2C)をあけて同心円状に、変位抑制弾性体51と対向配置されている。
この変位抑制免震装置500においても、変位抑制弾性体51の剪断キー514の下面は、平常時、想定内の中・大地震時及び過大変位時の何れの状態においても対向する基礎30の上面(又は、ロックプレート52の凹部底面)との鉛直方向におけるクリアランスC1Cは保たれる(C1C>0)。
また、対向フランジ516の下面と、ロックプレート52の上面との鉛直方向におけるクリアランスC3Cは、剪断キー514とロックプレート52が当接して変位抑制弾性体51が傾斜しても、離間状態を保ち、対向フランジ516の下面とロックプレート52の上面とが接触しないように設定する。なお、接触させて傾斜を抑えるようにしても構わない。
よって、剪断キー514の外周側面とロックプレート52の内周側面が当接しても建築物20から免震部材(積層ゴム支承体40)個々に負荷される鉛直荷重のバランスは、変わらず、免震部材が構造物から受ける鉛直荷重の変化によって、免震システム10全体として、所望の免震効果が得られなくなる虞はない。
変位抑制免震装置50の他の変形例を図11に示す。図11は、本発明の一実施の形態の免震システム10の変位抑制免震装置50の他の変形例である変位抑制免震装置550の要部構成を示す正面図である。図11に示す変位抑制免震装置550では、一方の構造物としての下部構造物(ここでは基礎30)側に変位抑制弾性体51と同様の変位抑制弾性体51Dを固定している。この変位抑制弾性体51Dの上端部には、対向面としての対向フランジ516が配置され、ロックプレート52と同様のロックプレート52Dが、対向フランジ516の上面周縁部に突出している。また、他方の構造物としての上部構造物(ここでは建築物20)には、剪断キー514と同様の剪断キー514Dが、設けられている。ロックプレート52Dは、剪断キー514Dの外周に対して水平方向に間隔(クリアランスC2D)をあけて同心円状に配置された構成となる。
変位抑制免震装置550においても、平常時、想定内の中・大地震時及び過大変位時の何れの状態においても鉛直方向のクリアランスC1Dは保たれる(C1D>0)。剪断キー514Dの下面と、対向する変位抑制弾性体51Dの対向フランジ516の上面とが、鉛直方向に常時離間している。つまり、剪断キー514Dは、変位抑制弾性体51Dに対向する対向面が鉛直方向に常時離間している。また、ロックプレート52Dの上面と、上部構造物20の下面との鉛直方向におけるクリアランスC3Dは、剪断キー514Dとロックプレート52Dが当接して変位抑制弾性体51Dが傾斜しても、離間状態を保ち、ロックプレート52Dの上面と上部構造物20の下面とが接触しないように設定する。なお、接触させて傾斜を抑えるようにしても構わない。
よって、剪断キー514Dの外周側面とロックプレート52Dの内周側面が当接しても建築物(構造物)20から免震部材(積層ゴム支承体40)個々に負荷される鉛直荷重のバランスは変わらず、免震部材(積層ゴム支承体40)が構造物20から受ける鉛直荷重の変化によって、免震システム10全体として、所望の免震効果が得られなくなる虞はない。
なお、変位抑制免震装置50(500、550)において、変位抑制弾性体51の弾性本体部512は、単層の弾性体構造でも複数の弾性板513aと硬質板としての中間鋼板513bとを交互に積層した構造のどちらでもよいが、積層構造とすることで、単層構造より鉛直剛性や回転剛性を高くすることができる。
これにより、本実施の変位抑制免震装置50(500、550)のように、剪断キー514側が、自由端であっても、剪断キー514とロックプレート52が当接することによる変位抑制弾性体51の傾斜を抑え、回転を伴う変位であっても安定した水平変形を得ることができる。これにより、免震対象の建築物20の水平剛性を確実に増加させることができる。
変位抑制弾性体51の弾性本体部512を積層構造とする場合、弾性板513aの剪断弾性係数をG[N/mm]、一次形状係数をS、二次形状係数をSとしたとき、以下の条件を満足するよう構成する。
(a)0.20≦G≦1.20、好ましくは0.39≦G≦0.80
(b)10≦S≦60、好ましくは20≦S≦40
(c)4≦S≦10、好ましくは5≦S≦8
ここで、一次形状係数Sは、鉛直剛性、回転剛性に関するパラメーターであり、Sが大きくなるほど、鉛直剛性や曲げ剛性が大きくなる。また、二次形状係数Sは、載荷能力や水平剛性に関するパラメーターであり、Sが大きくなるほど座屈や曲げ変形を起こしにくい形状となる。S、Sは下記式(1)、(2)により求められる。
=(D−D)/4t −(1)
=D/nt −(2)
:弾性板513aの外径
:位置決め孔515の直径 (D=0を含む)
:弾性板513aの1層あたりの厚さ
n:弾性板513aの積層枚数n
剪断キー514は、常時、想定内の中・大地震時及び過大変位時の何れの状態においても、他方の構造物(或いは変位抑制弾性体)と対向する対向面は鉛直方向に離間し、無面圧の状態が維持されている。これにより、想定外の巨大な地震により、ロックプレート52と剪断キー514が当接しても上部構造物(建築物20)から個々の免震部材(積層ゴム支承体40)への鉛直荷重のバランスは変わらない。よって、既に免震部材(積層ゴム支承体40のほか、プラグ入り積層ゴム、高減衰積層ゴム、弾性すべり支承、転がり支承やダンパー等)が構築された構造物に対して、既存の免震部材の免震機能を損なうこと無く、本実施の形態の変位抑制免震装置50を容易に設置して免震システム10を形成することができる。
なお、本実施の形態では、上部構造物としての建築物20と、下部構造物としての基礎30との間に配置した免震システム10として説明したが、構造物の中間階層に本発明の免震システム10を適用してもよい。
また、本実施の形態では、変位抑制免震装置50は、建築物20の柱21間に配設された梁22と基礎30との間に配置されているが、例えば、柱21の直下や建築物20の四隅等、反力がとることができる位置であればどこに配置してもよい。
さらに、例えば、図4における実施の形態では、ロックプレート52は、梁下面22aに直接設置しているが、図12に示すように柱21から延設したフレーム24のフレーム面(下面)にロックプレート52を設置してもよく、固定方法は特に限定されない。
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
本発明に係る変位抑制免震装置及び免震システムは、想定内の中・大規模の地震に対する免震効果を維持しつつ、想定外の巨大な地震による過大な変位を抑制できる効果を有し、新規のみならず、既存の構造物に対して実施する免震システムとして有用である。また、建築物への適用のみならず、床免震や機械等に対する免震システムとしても有用である。
10 免震システム
20 建築物(上部構造物)
30 基礎(下部構造物)
33 擁壁
40 積層ゴム支承体(免震部材)
41 弾性板
42 硬質板(中間鋼板)
43、44 連結鋼板
45、515 位置決め孔
46、47 フランジ
46a、47a、518 ボルト
46b、47b、522 ボルト穴
48 保護層
50 変位抑制免震装置
51、51D 変位抑制弾性体
52、52D ロックプレート
512 弾性本体部
513 積層弾性体
513a 弾性板
513b 硬質板(中間鋼板)
513c、513d 連結鋼板
514、514D 剪断キー
514a 外周側面
516 対向フランジ
517 固定フランジ

517a 取付ボルト用穴
518a 取付ボルト
521 内周側面
C1、C2、C3、C4 クリアランス

Claims (6)

  1. 上部構造物と下部構造物の間に配置されて前記上部構造物を免震支承する免震部材とともに、前記上部構造物と前記下部構造物の間に配置される変位抑制免震装置であって、
    前記上部構造物又は前記下部構造物のいずれか一方の構造物に固定される変位抑制弾性体と、
    前記上部構造物又は前記下部構造物の他方の構造物に固定され、前記変位抑制弾性体と対向配置されるロックプレートと、
    を備え、
    前記変位抑制弾性体は、
    前記一方の構造物に取り付けられる弾性本体部と、
    前記弾性本体部において前記他方の構造物と対向する対向面から突出する剪断キーとからなり、
    前記剪断キーは、
    前記他方の構造物に対向する対向面が前記他方の構造物に対して鉛直方向に常時離間しており、
    前記ロックプレートと、前記剪断キーとは、水平方向に間隔をあけて配置され、且つ、前記一方の構造物に対する前記他方の構造物の水平変位が前記間隔以上生じた際に、水平方向に対向する前記ロックプレートの側面と前記剪断キーの側面が当接する、
    変位抑制免震装置。
  2. 上部構造物と下部構造物の間に配置されて前記上部構造物を免震支承する免震部材とともに、前記上部構造物と前記下部構造物の間に配置される変位抑制免震装置であって、
    前記上部構造物又は前記下部構造物のいずれか一方の構造物に固定される変位抑制弾性体と、
    前記上部構造物又は前記下部構造物の他方の構造物に固定され、前記変位抑制弾性体と対向配置される剪断キーと、
    を備え、
    前記変位抑制弾性体は、
    前記一方の構造物に取り付けられる弾性本体部と、
    前記弾性本体部において前記他方の構造物と対向する対向面から突出するロックプレートとからなり、
    前記剪断キーは、
    前記弾性本体部に対向する対向面が前記弾性本体部に対して鉛直方向に常時離間しており、
    前記ロックプレートと、前記剪断キーとは、水平方向に間隔をあけて配置され、且つ、前記一方の構造物に対する前記他方の構造物の水平変位が前記間隔以上生じた際に、水平方向に対向する前記ロックプレートの側面と前記剪断キーの側面が当接する、
    変位抑制免震装置。
  3. 前記弾性本体部の積層弾性体は複数の弾性板と硬質板とを交互に積層した構造からなる、
    請求項1または請求項2記載の変位抑制免震装置。
  4. 前記積層弾性体は、一次形状係数をS、二次形状係数をS、弾性板の剪断弾性係数をG〔N/mm〕としたときに、
    (a)0.20≦G≦1.20
    (b)10≦S≦60
    (c)4≦S≦10
    の条件を満足するように構成されている、
    請求項3記載の変位抑制免震装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の変位抑制免震装置と、
    上部構造物と下部構造物との間に、前記変位抑制免震装置とともに、前記変位抑制免震装置から離間して配置され、前記上部構造物を常時支持する免震部材と、
    を備える、
    免震システム。
  6. 前記変位抑制免震装置は、前記上部構造物の梁下位置に配置される、
    請求項5記載の免震システム。
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