JP2006097878A - 積層ゴム支承装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層ゴム支承装置と弾性滑り支承装置とを用いる免震装置の構造を見直して工夫することにより、レイアウト設計がし難いとか施工面積が大きい等の不都合が改善又は解消される積層ゴム支承装置を提供する。
【解決手段】複数の弾性ゴム層2と複数の剛性板3とを交互に積層して成る積層ゴム部1を、一対のフランジ板4,4間に配置して成る積層ゴム支承装置において、積層ゴム部1を部分的に欠如させて、その両端に剛性板3又はフランジ板4が位置する状態に形成される空間部Sに、滑り板6を有して両端の剛性板3又はフランジ板4どうしに亘って作用する滑り支承部5を配備する。
【選択図】図1
【解決手段】複数の弾性ゴム層2と複数の剛性板3とを交互に積層して成る積層ゴム部1を、一対のフランジ板4,4間に配置して成る積層ゴム支承装置において、積層ゴム部1を部分的に欠如させて、その両端に剛性板3又はフランジ板4が位置する状態に形成される空間部Sに、滑り板6を有して両端の剛性板3又はフランジ板4どうしに亘って作用する滑り支承部5を配備する。
【選択図】図1
Description
本発明は、積層ゴム支承装置に係り、詳しくは、建物、橋梁、大型構造物等の免震装置として用いられるものであって、複数の弾性ゴム層と複数の剛性板とを交互に積層して成る積層ゴム部を、一対のフランジ板間に配置して成る積層ゴム支承装置に関するものである。
例えば、ビル等の建物を免震支持するには、免震用アイソレータと免震用ダンパとを組合せて用いるのが一般的であり、免震用アイソレータとして上記積層ゴム支承装置を用い、免震用ダンパとしては弾性滑り支承装置を用いる組み合わせのものが良く知られている。このような例としては、特許文献1の図3や特許文献2の第7図において開示されたものがある。
特許文献1の図1において開示される弾性滑り支承装置は、建物の底に設けられた低摩擦層と支承装置の上端に設けられた滑り材とが相対横滑りするときの摩擦抵抗によって減衰作用(ダンパ作用)を得るものであり、滑り材の下方側には複数の弾性ゴム層と複数の剛性板とで成る積層ゴム部が存在している。この弾性滑り支承装置を用いて免震装置を構築するには、特許文献1の図3に示されるように、原点復帰機能を有する前述の積層ゴム支承装置が併用される。
また、特許文献2の第7図に示されたものは、下部基礎に固定された下部滑り板と、これに当接される上部滑り板を下端部に有する受け部材とで滑り支承部を構成し、受け部材と上部構造物との間に積層ゴム支承装置を介装するとともに、横揺れ等を規制すべく下部基礎と上部構造物との横方向間に水平抵抗部材が介装されている。
特開平9−310408号公報
特開昭63−32036号公報
上記従来の免震装置では、免震用アイソレータとしての積層ゴム支承装置と、免震用ダンパとしての弾性滑り支承装置又は滑り支承装置との二種類のユニットを用いるので、施工対象(施工現場)にこれら二種類のユニットを如何に設けるかという免震装置のレイアウト設計としては、各ユニットの大きさや数の設定に加えて、それら二種類のユニットをどのように関係付けて配置するか、という点も検討しなければならないとともに、ユニットが二種類のものが必要となる点で不利があった。
そして、弾性滑り支承装置と積層ゴム支承装置とを併用する手段(特許文献1の図8)においては、弾性滑り支承装置の鉛直方向の剛性が積層ゴム支承装置(特に弾性ゴム層として天然ゴム系を用いた装置)よりも高いので、これら剛性の異なるものどうしに亘って搭載される建物の床梁は、互いに等しい鉛直方向の剛性を有する支承装置上に搭載する場合に比べて大きな強度、剛性を備えた大型のものにしなければならないという点でも不利があった。また、滑り支承装置の設置面積は、他の支承装置に比べて大きなものが必要であって施工コストが割高になっているものでもあった。
本発明の目的は、積層ゴム支承装置と弾性滑り支承装置とを用いる免震装置の構造を見直して工夫することにより、上記の種々の不都合が改善又は解消される積層ゴム支承装置を提供する点にある。
請求項1に係る発明は、複数の弾性ゴム層2と複数の剛性板3とを交互に積層して成る積層ゴム部1を、一対のフランジ板4,4間に配置して成る積層ゴム支承装置において、
前記積層ゴム部1を部分的に欠如させて、その両端に前記剛性板3又は前記フランジ板4が位置する状態に形成される空間部Sに、滑り板6を有して前記両端の剛性板3又は前記フランジ板4どうしに亘って作用する滑り支承部5が配備されていることを特徴とする。
前記積層ゴム部1を部分的に欠如させて、その両端に前記剛性板3又は前記フランジ板4が位置する状態に形成される空間部Sに、滑り板6を有して前記両端の剛性板3又は前記フランジ板4どうしに亘って作用する滑り支承部5が配備されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の積層ゴム支承装置において、前記空間部Sは前記積層ゴム部1を積層方向に貫通する刳り抜き孔に形成され、この刳り抜き孔Sに対して前記滑り支承部5が挿入自在なものに構成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の積層ゴム支承装置において、前記滑り支承部5は、複数の第二弾性ゴム層7と複数の第二剛性板8とを交互に積層して成る第二積層ゴム部9と、前記第二弾性ゴム層7のいずれか一つ又は複数を、その弾性ゴム層7を挟む一対の第二剛性板8,8(又は4)のどちらか一方にのみ一体化される前記滑り板6に置換えて成る滑り部10とを有して構成されるとともに、
前記第二剛性板8は、これに隣合う前記剛性板3と前記積層方向に交差する方向には一体化されるように嵌合され、かつ、前記滑り板6とこれに隣合う前記弾性ゴム層2又は剛性板3との前記積層方向に交差する方向の間には滑り移動用の隙間dが形成されていることを特徴とする。
前記第二剛性板8は、これに隣合う前記剛性板3と前記積層方向に交差する方向には一体化されるように嵌合され、かつ、前記滑り板6とこれに隣合う前記弾性ゴム層2又は剛性板3との前記積層方向に交差する方向の間には滑り移動用の隙間dが形成されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の積層ゴム支承装置において、前記弾性ゴム層2と前記第二弾性ゴム層7とが互いに同じ厚さに設定され、かつ、前記剛性板3と前記第二剛性板8とが互いに同じ厚さに設定されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項3又は4に記載の積層ゴム支承装置において、前記滑り板6と前記弾性ゴム層2とが互いに同じ厚さに設定されていることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の積層ゴム支承装置において、前記積層ゴム部1の形状が積層方向視で円形又は正多角形に形成され、前記滑り支承部5は前記積層方向視で前記積層ゴム部の中心P部に配置されていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の積層ゴム支承装置において、前記滑り板6がフッ素樹脂から成ることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、従来では積層ゴム支承装置とは別のものとして構成されていた滑り支承部が積層ゴム部に包含されており、一つの種類の積層ゴム支承装置でありながら、免震用アイソレータと免震用ダンパとの双方の機能を有している。従って、免震用の支承装置として建物等に用いる場合、レイアウト設計としては1種類のユニットに関して行えば良いものとなり、2種類のユニットをレイアウト設計する場合に比べて面倒さが大きく軽減され、設計の簡便化を図ることができる。そして、この積層ゴム支承装置の複数を用いて免震支持する場合、それら複数の積層ゴム支承装置における鉛直方向の剛性は互いに等しいから、2種の鉛直剛性を持つユニットを配置する従来手段に比べて、建物の1階の床梁材を小型化できる等、免震支持対象物の小型化や強度改善が可能になる。また、従来の弾性滑り支承装置に比べて、積層ゴム支承装置の施工面積を小さくすることができる利点もある。
請求項2の発明によれば、滑り支承部を予め作成しておき、その作成後に積層ゴム部の空間部に挿入して積層ゴム支承装置とすることができる。つまり、積層ゴム部と滑り支承部とを各別に作成してから合体させる、という製造手段を採ることができるので、これらを一体的に製造する場合に比べて、作成の容易化並びに迅速化が可能となる。また、空間部は貫通孔であるから、滑り支承部を積層ゴム部に対していずれの側からも挿入可能となる利点もある。
請求項3の発明によれば、滑り支承部は滑り部と第二積層ゴム層とを積層することで構成されるので、積層方向にも弾性を有しており、積層ゴム部と同様な免震機能が得られるとともに、滑り板の周囲に形成された間隙により、滑り支承による所期の減衰機能が十分に発揮される積層ゴム支承装置が提供できる。
請求項4の発明によれば、第二弾性ゴム層の素材と弾性ゴム層の素材との共通使用、並びに第二剛性板と剛性板との共通使用が行えるので、製造コスト削減や製造時間の短縮が可能となり、種々の利点を持つ積層ゴム支承装置を経済的、かつ、合理的に提供することができる。加えて、請求項5のように滑り板と弾性ゴム層とも互いに同じ厚さとすれば、積層ゴム部の積層段数及び寸法と滑り支承部の積層段数及び寸法とを同一のものにでき、請求項4の発明による前記作用及び効果を強化することができる。
請求項6の発明によれば、滑り支承部と積層ゴム部との位置関係及び量的関係が装置中心に関するどの方向においても等しいから、免震特性に方向性が無く、どのような向きに取付けても所定の免震特性が得られる性能の安定した積層ゴム支承装置を提供することができる。
請求項7の発明によれば、滑り板の材料であるフッ素樹脂は、耐薬品性及び耐熱性に優れ、比較的強度及び柔軟性に富みながらも摩擦係数が低くて磨耗し難いものであるから、荷重を受けながら滑り移動する素材として好適なものとなる利点がある。
以下に、本発明による積層ゴム支承装置の実施の形態について図面を参照して説明する。図1,2は実施例1による積層ゴム支承装置の断面図と分解図、図3は変形時における内部構造を示す要部の断面図、図4〜図7は実施例2〜5による滑り支承部の構造を示す断面図である。
〔実施例1〕
実施例1による積層ゴム支承装置Aは、図1、図2に示すように、従来の積層ゴム支承装置に弾性滑り支承装置が一体化された「滑り支承付積層ゴム支承装置」であって、円環状の積層ゴム部(免震用アイソレータ)1と、その中心部に配備される円柱状の弾性滑り支承部(免震用ダンパ)5と、上下一対の円形フランジ板4,4とから構成されている。
実施例1による積層ゴム支承装置Aは、図1、図2に示すように、従来の積層ゴム支承装置に弾性滑り支承装置が一体化された「滑り支承付積層ゴム支承装置」であって、円環状の積層ゴム部(免震用アイソレータ)1と、その中心部に配備される円柱状の弾性滑り支承部(免震用ダンパ)5と、上下一対の円形フランジ板4,4とから構成されている。
積層ゴム部1は、複数で円環状の弾性ゴム層2と、薄鋼板からなる複数枚で円環状の剛性板3及び上下一対で円環状の厚肉フランジ11,11とを、厚肉フランジ11,11が上端及び下端に配置されるように上下交互に積層するとともに、それらの外周部に耐候性ゴム12を筒状に被覆させた状態で加硫成形することによって作成されている。弾性ゴム層2と耐候性ゴム12とは同じ材質で形成されても良い。各厚肉フランジ11には、対応するフランジ板4をボルト13によって一体的に連結するための複数箇所のナット部11aと、フランジ板4に対する位置決め用の円板14の下部又は上部を収容装備するための円形凹入部11bとが形成されている。
複数の弾性ゴム層2、複数の剛性板3、及び一対の厚肉フランジ11はいずれも中心Pに関して互いに同径の孔を有しており、それら多数の孔によって上下に貫通する空間部Sが形成されている。つまり、積層ゴム部1を部分的に欠如させて、その両端にフランジ板4が位置する状態の円筒状空間部Sが形成されており、この空間部Sには弾性滑り支承部5が配置される。さらに詳しく言えば、空間部Sは積層ゴム部1を積層方向に貫通する刳り抜き孔に形成され、この刳り抜き孔Sに対して弾性滑り支承部5が挿入自在なものに構成されている。この場合、弾性滑り支承部5が圧入的に刳り抜き孔Sに装備されるのが好ましい。
弾性滑り支承部5は、図1、図2に示すように、複数の第二弾性ゴム層7と複数の第二剛性板8とを交互に積層して成る第二積層ゴム部9と、第二弾性ゴム層7のいずれか一つ又は複数を、その第二弾性ゴム層7を挟む一対の第二剛性板8,8のどちらか一方にのみ一体化される滑り板6に置換えて成る滑り部10とを有して構成されている。滑り板6は第二弾性ゴム層7と同じ厚みを有し、第二弾性ゴム層7は弾性ゴム層2と同じ厚みに設定されるとともに、第二剛性板8は剛性板3と同じ厚みに設定されている。つまり、弾性滑り支承部5が空間部Sに挿入されての組付け状態では、図1に示すように、積層ゴム部1の弾性ゴム層2及び剛性板3と、弾性滑り支承部5の第二弾性ゴム層7及び第二剛性板8並びに板6とは互いに同じ高さレベルに位置している。
そして、空間部Sの内径と弾性滑り支承部5の外径とはほぼ同じ値に設定されており、第二弾性ゴム層7及び第二剛性板8は、これに対応して隣合う弾性ゴム層2及び剛性板3と上下方向(積層方向)に交差する方向、即ち水平方向には一体化されるように嵌合され、かつ、滑り板6とこれに隣合う弾性ゴム層2との水平方向の間には、滑り移動用の隙間dが形成されている。実施例1における弾性滑り支承部5は、その最上段及び最下段の第二弾性ゴム層7が滑り板6に置き換えられたような構成とされている。上側の滑り板6はその下側の第二剛性板8に一体化され、下側の滑り板6はその上側の第二剛性板8に一体化されており、上側の滑り板6と共に滑り部10を形成する第二剛性板8と、下側の滑り板6と共に滑り部10を形成する第二剛性板8とは、滑り板6と相対横滑りする部材であることから、これら2枚の第二剛性板8,8のみステンレス鋼板で形成されている。
各フランジ板4には、その中心部に円板14の上部又は下部を収容装備するための円形凹入部4aが形成されるとともに、厚肉フランジ11に連結するためのボルト13を通す複数箇所の貫通穴15が形成されている。貫通孔15にはボルト頭部13aを受入れるための収容凹部15aが形成されており、ボルト13を厚肉フランジ11のナット部11aに螺着しての組付け時には、ボルト頭部13aがフランジ板4の厚さ内に収まるように設定されている(図1参照)。なお、図示は省略するが、下側のフランジ板4はコンクリートスラブ等の基礎土台に載置固定され、上側のフランジ板4には建物の床梁材等が載置固定される。
上下一対の滑り板6は、PTFE等のフッ素樹脂材で形成されており、接着等の手段によって下又は上側の第二剛性板8に相対移動不能に固定されている。なお、滑り板6としては、低摩擦材が好ましく、PTFE等のフッ素樹脂にガラス繊維やカーボン等の補強材を配合した複合素材や、ポリアセタール板や高分子ポリエチレン板を用いることも可能である。滑り板6と擦れ合う滑り部10の第二剛性板8は、ステンレス鋼板の他、エンジニアプラスチックや非鉄金属等を用いることも可能である。弾性ゴム層2は天然ゴム(NR)から成り、積層ゴム部1の1次形状係数(S1)は20以上50以下であり、2次形状係数(S2)は3以上7以下に設定される。また、第二弾性ゴム層7は、クロロプレンゴム等の合成ゴム又は天然ゴム(NR)が用いられる。
弾性ゴム層2のゴム材料と第二弾性ゴム層7のゴム材料とは、共に100%ひずみでの等価せん断弾性係数(G)が0.5ニュートン/平方ミリメータ以下に設定される。滑り板6と滑り部10の第二剛性板8との摩擦係数は9%以上に設定され、モリブデン入りの材料を用いることも可能である。積層ゴム部1の中心Pに弾性滑り支承部5を配置する場合、積層ゴム部1の径D1と弾性滑り支承部5の径D2とは、D1≧4D2が成立する関係が設定される。また、フッ素樹脂製の滑り材6の径Wと、弾性滑り支承部5の径D2と、第二弾性ゴム層7の厚さLとには、W=D2−8Lが成り立つように寸法設定する。
上述の諸条件を踏まえた設計例としては、積層ゴム部1の径D1=600mm、G=0,34ニュートン/平方ミリメータ、S1=36、S2=5、弾性滑り支承部5の径D2=120mmというものである。また、フッ素樹脂製の滑り板6を用いた滑り部10の組数とその特性としては、下記a.〜c.のような例がある。
a.滑り部10 2組:減衰定数=11.4%(γ=100%)
b.滑り部10 4組:減衰定数=19.3%(γ=100%)
c.滑り部10 14組:減衰定数=38.4%(γ=100%),21.4%(γ=300%)
ここで、γはひずみであり、γ=100%は小規模地震等の標準値を示し、γ=300%は大地震時等の非常に強い揺れ状態を示している。
a.滑り部10 2組:減衰定数=11.4%(γ=100%)
b.滑り部10 4組:減衰定数=19.3%(γ=100%)
c.滑り部10 14組:減衰定数=38.4%(γ=100%),21.4%(γ=300%)
ここで、γはひずみであり、γ=100%は小規模地震等の標準値を示し、γ=300%は大地震時等の非常に強い揺れ状態を示している。
弾性滑り支承5においては、滑り部10と第二積層ゴム部9との関係は、一対の滑り部10の間に介装される第二積層ゴム部9をその数に拘らずに一組の積層ゴム支承部Bと定義すれば、
滑り部10の組数−1=積層ゴム支承部Bの組数……(1)
となるように設定される。つまり、滑り部10の組数が2のときは積層ゴム支承部Bは1組であり、滑り部10の組数が4なら積層ゴム支承部Bは3組となる。現時点で考えらる滑り部10の最大組数は14であり、そのときの積層ゴム支承部Bは13組である。なお、上記式(1)は設計目標であり、多少増減方向に数がずれることもあり得る。
滑り部10の組数−1=積層ゴム支承部Bの組数……(1)
となるように設定される。つまり、滑り部10の組数が2のときは積層ゴム支承部Bは1組であり、滑り部10の組数が4なら積層ゴム支承部Bは3組となる。現時点で考えらる滑り部10の最大組数は14であり、そのときの積層ゴム支承部Bは13組である。なお、上記式(1)は設計目標であり、多少増減方向に数がずれることもあり得る。
さて、この積層ゴム支承装置Aの組付けとしては、図2に示すように、まず下側のフランジ板4に円板14を介して積層ゴム部1をボルト13を用いて連結固定し、次いで、積層ゴム部1の中心部の空間部Sに弾性滑り支承部5を挿入する。それから、円板14を介して上側のフランジ板4を被せ、ボルト13を用いて積層ゴム部1に連結一体化することで為される。
このようにして組み付けられた積層ゴム支承装置Aにおいて、地震等によって上下のフランジ板4,4が横方向に大きく揺れた場合には、図3に示すように、第二弾性ゴム層7及び第二剛性板8は、夫々弾性ゴム層2及び剛性板3と一体に横揺れするが、下側の滑り板6はその上側の第二剛性板8に固定されているので、その下側の滑り部10を形成する第二剛性板8に対して横滑り移動することになる。同様に、上側の滑り板6もその上側の滑り部10を形成する第二剛性板8に対して横滑り移動するので、これら両滑り板6,6と第二剛性板8Sとの摩擦抵抗が減衰作用(ダンパ作用)を発揮するようになる。従って、滑り板6とその横に存在する弾性ゴム層2との横方向の間隙dは、弾性ゴム層2と剛性板3との設定最大横ずれ量をカバーする寸法を見込むものとなる。
図3は、上フランジ板4が矢印の方向に横揺れした場合において、滑り板6が、その隣の弾性ゴム層2との間隙dの半分であるd/2横滑りした状態として描いてある。例えば下側の滑り板6は、その上側の第二剛性板8に固定されており、下側のステンレス製の第二剛性板8と相対横滑りするので、その下側の第二剛性板8に対して図3の右側にd/2滑り移動したものとなっている。同様の作用により、上側の滑り板6はその上側のステンレス製の第二剛性板8と相対横滑りする。
本発明による積層ゴム支承装置Aは、弾性滑り支承5を内部に含むもの、即ち免震ダンパ付免震アイソレータであるから、弾性ゴム支承装置と弾性滑り支承装置とを各別に装備する従来手段に比べて次の1.〜4.のような種々の利点がある。1.1種類のユニットのレイアウト設計で済むから、2種類のユニットをレイアウト設計する面倒が解消され、設計の簡便化が図られる。2.各ユニット、即ち積層ゴム支承装置Aの鉛直方向の剛性は互いに等しいから、2種の鉛直剛性を持つ従来手段に比べて、建物の1階の床梁材を小型化することが可能になる。3.弾性滑り支承部5が積層ゴム支承装置Aに包含されているので、支承装置A全体としての施工面積を小さくすることができ、支承装置Aのコンパクト化が可能になる。4.弾性滑り支承部の大きさや、滑り部10との組数により、減衰特性を自由に設定することが可能になる。
〔実施例2〕
実施例2による積層ゴム支承装置Aは、実施例1による積層ゴム支承装置Aと弾性滑り支承部5が異なるだけであり、その構造の異なる弾性滑り支承部5についてのみ説明する。実施例2による弾性滑り支承部5は、図4に示すように、滑り部10と第二積層ゴム部9とが1:2の割合に設定されている構成である。それ以外は実施例1による弾性滑り支承部5と同じである。
実施例2による積層ゴム支承装置Aは、実施例1による積層ゴム支承装置Aと弾性滑り支承部5が異なるだけであり、その構造の異なる弾性滑り支承部5についてのみ説明する。実施例2による弾性滑り支承部5は、図4に示すように、滑り部10と第二積層ゴム部9とが1:2の割合に設定されている構成である。それ以外は実施例1による弾性滑り支承部5と同じである。
〔実施例3〕
実施例3による積層ゴム支承装置Aは、実施例1による積層ゴム支承装置Aと弾性滑り支承部5が異なるだけであり、その構造の異なる弾性滑り支承部5についてのみ説明する。実施例3による弾性滑り支承部5は、図5に示すように、滑り部10と第二積層ゴム部9とが1:3の割合に設定されている構成である。それ以外は実施例1による弾性滑り支承部5と同じである。
実施例3による積層ゴム支承装置Aは、実施例1による積層ゴム支承装置Aと弾性滑り支承部5が異なるだけであり、その構造の異なる弾性滑り支承部5についてのみ説明する。実施例3による弾性滑り支承部5は、図5に示すように、滑り部10と第二積層ゴム部9とが1:3の割合に設定されている構成である。それ以外は実施例1による弾性滑り支承部5と同じである。
〔実施例4〕
実施例4による積層ゴム支承装置Aは、実施例1による積層ゴム支承装置Aと弾性滑り支承部5が異なるだけであり、その構造の異なる弾性滑り支承部5についてのみ説明する。実施例4による弾性滑り支承部5は、図6に示すように、第二弾性ゴム層7の厚みが弾性ゴム層2のものよりも厚く、かつ、第二剛性板8の厚みが剛性板3のものよりも厚い場合の例である。この例では、第二弾性ゴム層7の厚みは弾性ゴム層2の厚みの2倍に、そして第二剛性板8の厚みは剛性板3の厚みの1.5倍にそれぞれ設定されている。
実施例4による積層ゴム支承装置Aは、実施例1による積層ゴム支承装置Aと弾性滑り支承部5が異なるだけであり、その構造の異なる弾性滑り支承部5についてのみ説明する。実施例4による弾性滑り支承部5は、図6に示すように、第二弾性ゴム層7の厚みが弾性ゴム層2のものよりも厚く、かつ、第二剛性板8の厚みが剛性板3のものよりも厚い場合の例である。この例では、第二弾性ゴム層7の厚みは弾性ゴム層2の厚みの2倍に、そして第二剛性板8の厚みは剛性板3の厚みの1.5倍にそれぞれ設定されている。
〔実施例5〕
実施例5による積層ゴム支承装置Aは、実施例1による積層ゴム支承装置Aと弾性滑り支承部5が異なるだけであり、その構造の異なる弾性滑り支承部5についてのみ説明する。実施例5による弾性滑り支承部5は、図7に示すように、第二弾性ゴム層7の厚みが弾性ゴム層2のものよりも厚い場合の例であり、この例では第二弾性ゴム層7の厚みが弾性ゴム層2の厚みの3倍に設定されている。
実施例5による積層ゴム支承装置Aは、実施例1による積層ゴム支承装置Aと弾性滑り支承部5が異なるだけであり、その構造の異なる弾性滑り支承部5についてのみ説明する。実施例5による弾性滑り支承部5は、図7に示すように、第二弾性ゴム層7の厚みが弾性ゴム層2のものよりも厚い場合の例であり、この例では第二弾性ゴム層7の厚みが弾性ゴム層2の厚みの3倍に設定されている。
〔別実施例〕
上述の各実施例では、滑り支承部5は中心Pに配置されているが、中心Pに関して偏心させて配置する等、それ以外の配置構造でも良い。滑り支承部5を積層ゴム部1の周方向の均等角度毎又はランダムに複数箇所設ける構造も可能である。積層ゴム部1の形状は、多角柱状のものでも良い。また、滑り支承部5として、積層ゴム部1の上又は下には貫通されない空間部に対して挿脱可能なものに設定することも可能である。
上述の各実施例では、滑り支承部5は中心Pに配置されているが、中心Pに関して偏心させて配置する等、それ以外の配置構造でも良い。滑り支承部5を積層ゴム部1の周方向の均等角度毎又はランダムに複数箇所設ける構造も可能である。積層ゴム部1の形状は、多角柱状のものでも良い。また、滑り支承部5として、積層ゴム部1の上又は下には貫通されない空間部に対して挿脱可能なものに設定することも可能である。
さらに、実施例1においては、滑り板6はこれと滑り部10を形成する第二剛性板8と擦れる構造であり、その第二剛性板8はフランジ板4と一体化されており、実質的にはフランジ板4に対して滑る構造であると言える。これに対して、図6に示すように、上下中間にある第二剛性板8に対して相対的に滑り移動する状態に構成される滑り板6を設ける構造を採ることも可能である。
1 積層ゴム部
2 弾性ゴム層
3 剛性板
4 フランジ板
5 滑り支承部
6 滑り板
7 第二弾性ゴム層
8 第二剛性板
9 第二積層ゴム部
10 滑り部
d 滑り移動用の隙間
A 積層ゴム支承装置
B 積層ゴム支承部
P 積層ゴム部の中心
S 空間部(刳り抜き孔)
2 弾性ゴム層
3 剛性板
4 フランジ板
5 滑り支承部
6 滑り板
7 第二弾性ゴム層
8 第二剛性板
9 第二積層ゴム部
10 滑り部
d 滑り移動用の隙間
A 積層ゴム支承装置
B 積層ゴム支承部
P 積層ゴム部の中心
S 空間部(刳り抜き孔)
Claims (7)
- 複数の弾性ゴム層と複数の剛性板とを交互に積層して成る積層ゴム部を、一対のフランジ板間に配置して成る積層ゴム支承装置であって、
前記積層ゴム部を部分的に欠如させて、その両端に前記剛性板又は前記フランジ板が位置する状態に形成される空間部に、滑り板を有して前記両端の剛性板又は前記フランジ板どうしに亘って作用する滑り支承部が配備されている積層ゴム支承装置。 - 前記空間部は前記積層ゴム部を積層方向に貫通する刳り抜き孔に形成され、この刳り抜き孔に対して前記滑り支承部が挿入自在なものに構成されている請求項1に記載の積層ゴム支承装置。
- 前記滑り支承部は、複数の第二弾性ゴム層と複数の第二剛性板とを交互に積層して成る第二積層ゴム部と、前記第二弾性ゴム層のいずれか一つ又は複数を、その第二弾性ゴム層を挟む一対の第二剛性板のどちらか一方にのみ一体化される前記滑り板に置換えて成る滑り部とを有して構成されるとともに、
前記第二剛性板は、これに隣合う前記剛性板と前記積層方向に交差する方向には一体化されるように嵌合され、かつ、前記滑り部とこれに隣合う前記弾性ゴム層又は剛性板との前記積層方向に交差する方向の間には横揺れ用の隙間が形成されている請求項2に記載の積層ゴム支承装置。 - 前記弾性ゴム層と前記第二弾性ゴム層とが互いに同じ厚さに設定され、かつ、前記剛性板と前記第二剛性板とが互いに同じ厚さに設定されている請求項3に記載の積層ゴム支承装置。
- 前記滑り板と前記弾性ゴム層とが互いに同じ厚さに設定されている請求項3又は4に記載の積層ゴム支承装置。
- 前記積層ゴム部の形状が積層方向視で円形又は正多角形に形成され、前記滑り支承部は前記積層方向視で前記積層ゴム部の中心部に配置されている請求項1〜5の何れか一項に記載の積層ゴム支承装置。
- 前記滑り板がフッ素樹脂から成る請求項1〜6の何れか一項に記載の積層ゴム支承装置。
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---|---|---|---|
JP2004288040A JP2006097878A (ja) | 2004-09-30 | 2004-09-30 | 積層ゴム支承装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2004
- 2004-09-30 JP JP2004288040A patent/JP2006097878A/ja not_active Withdrawn
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