JP2008169857A - 免震支承装置及び免震構法 - Google Patents
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Abstract
【課題】橋梁用として好適となるように基本的には方向性を有する仕様としながらも、ビルやマンション等の建物に好適となるように全方向性を有する仕様として用いることも可能となるよう、優れた汎用性を持つものに改善された免震支承装置を提供する。
【解決手段】免震支承装置において、上部構造体Bと下部構造体Cとの上下間に、これら上部構造体Bと下部構造体Cとの相対的な横揺れを許容して免震する免震手段20が介装されるとともに、免震手段20は、水平方向における特定方向には柔かい弾性を有し、かつ、特定方向に交差する方向には硬い弾性を有するものに構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】免震支承装置において、上部構造体Bと下部構造体Cとの上下間に、これら上部構造体Bと下部構造体Cとの相対的な横揺れを許容して免震する免震手段20が介装されるとともに、免震手段20は、水平方向における特定方向には柔かい弾性を有し、かつ、特定方向に交差する方向には硬い弾性を有するものに構成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、マンション、ビル、戸建住宅といった建物、或いは鉄道橋、道路橋といった橋梁等の免震に使用される免震支承装置、並びに免震構法に関するものである。
上記建物や橋梁に使用されるすべり支承を用いた免震支承装置としては、特許文献1において開示されたものが知られている。即ち、上部構造体の下面側に取付け可能な上沓と、下部構造体の上面側に取付け可能な下沓と、これら上沓と下沓との上下間に介装されるすべり材とを有して構成されるすべり支承を用いている。この免震支承装置は、水平方向の360度に滑り移動可能な滑り支承を用いる手段であり、結果として全水平方向に滑り移動させての免震機能が発揮されるものに構成されている。
例えば、前記すべり支承を橋梁用として使用する場合には、主に橋軸方向(橋長手方向或いは橋の架設方向)に滑り移動させ、橋軸直交方向(橋左右方向)には殆ど滑り移動しない動作状況を呈する特性を持つものが要求されるが、前記免震支承装置ではその要求に答えることができない。また、建物用として使用する場合でも、例えば、東西方向には十分な土地面積があって建物が多少揺れ動いても問題ないが、南北方向には隣地建物との間隔が狭くてあまり揺れ動かないようにしたい、というような状況には前記免震支承装置を適用させることができないものであった。
そこで、特許文献2において開示されるもののように、サイドストッパーを有することですべり移動距離に方向性を持たせるように構成されたすべり支承を用いることにより、橋梁や上記条件付建物の免震用として好適な免震支承装置とすることが可能である。しかしながら、特許文献2によるすべり支承を用いた免震支承装置では、土地制約の無いビルやマンション等の全方向性のものとして使用するには役不足になる。このように、従来のすべり支承では、全方向性の仕様にすれば方向性のある免震には使用できず、方向性を持たせた仕様にすれば全方向性の免震には使用できないというものであり、さらなる改善の余地が残されているものであった。
特開2003−147992号公報
特開2004−232259号公報
本発明の目的は、橋梁用として好適となるように基本的には方向性を有する仕様としながらも、ビルやマンション等の建物に好適となるように全方向性を有する仕様として用いることも可能となるよう、優れた汎用性を持つものに改善された免震支承装置、並びに免震構法を提供する点にある。
請求項1に係る発明は、免震支承装置において、上部構造体Bと下部構造体Cとの上下間に、これら上部構造体Bと下部構造体Cとの相対的な横揺れを許容して免震する免震手段20が介装されるとともに、前記免震手段20は、水平方向における特定方向には柔かい弾性を有し、かつ、前記特定方向に交差する方向には硬い弾性を有するものに構成されていることを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の免震支承装置において、前記免震手段20は、前記特定方向には弾性を有さず、前記特定方向に交差する方向には弾性を有する支承Aを含む複数の支承A,Mを用いて構成されていることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の免震支承装置において、前記免震手段20は、前記特定方向には摺動移動自在で、かつ、前記特定方向に交差する方向には弾性支持される第1支承Aと、水平方向の全方向に対して弾性を有する第2支承Mとを用いて構成されていることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の免震支承装置において、前記第1支承Aは、上部構造体Bの下面側に取付け可能な上沓1と、下部構造体Cの上面側に取付け可能な下沓2と、これら上沓1と下沓2との上下間に介装される弾性体3とを有して構成されており、前記上沓1又は前記下沓2が、互いに前記特定方向に摺動移動自在な上側部材4と下側部材5とから成る滑り機構6を有して構成されていることを特徴とするものである。
請求項5に係る発明は、免震構法において、水平方向における特定方向には摺動移動自在で、かつ、前記特定方向に交差する方向には弾性を有する第1支承Aと、水平方向の全方向に対して弾性を有する第2支承Mとを用意し、
上部構造体Bと下部構造体Cとの上下間に、前記第1支承Aと前記第2支承Mとのそれぞれを単数又は複数を適宜に組合せて配備することにより、水平方向における特定方向には柔かい弾性が発揮され、かつ、前記特定方向に交差する方向には硬い弾性が発揮される状態で前記上部構造体Bと下部構造体Cとの相対的な横揺れを許容して免震させることを特徴とするものである。
上部構造体Bと下部構造体Cとの上下間に、前記第1支承Aと前記第2支承Mとのそれぞれを単数又は複数を適宜に組合せて配備することにより、水平方向における特定方向には柔かい弾性が発揮され、かつ、前記特定方向に交差する方向には硬い弾性が発揮される状態で前記上部構造体Bと下部構造体Cとの相対的な横揺れを許容して免震させることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、水平方向における特定方向には柔かく、特定方向に交差する方向には硬い弾性を有する免震手段を有しているので、橋梁の免震支持においては、橋軸方向(橋長手方向又は橋架設方向)には柔かく、橋軸に直交する方向には硬い弾性が発揮されるように免震支承装置を設けることができる。前記のように免震手段は弾性強さに方向性はあるが弾性が方向によって皆無となるものではなく、全方向に弾性を有するものではあるから、方向によっては揺れ動き量に差を持たせたいような建物の免震支持には好適なものとなる。また、複数の免震手段を互いの弾性強さが相殺されるように組合せて用いれば、水平方向に方向性のない全方向型の免震機能を有する免震支承装置とすることも可能である。その結果、橋梁用として好適となるように基本的には方向性を有する仕様としながらも、ビルやマンション等の建物に好適となるように全方向性を有する仕様として用いることも可能となるよう、優れた汎用性を持つものに改善された免震支承装置を提供することができる。
請求項2の発明によれば、弾性に方向性のある支承を含む複数の支承の組合せによって方向性を有する免震手段とするものであり、弾性に方向性のある支承とそうでない支承とのそれぞれの使用数の多少、各支承の配列方向や角度、配置構成等を適宜に調節設定することにより、弾性の方向性を強化したり弱くしたり、或いは方向性を実質的に無いようにしたりといった設定を自在に行うことが可能であり、請求項1の発明による前記効果を強化することができる免震支承装置が提供できる。そして、本請求項に言う「弾性に方向性のある支承」は、特定方向には弾性を有さないものであるから、例えば横断面形状が長方形や楕円等の弾性体を有することで弾性に方向性があるように構成された支承に比べて、弾性の方向性を顕著化すること、即ち、免震手段としての方向による弾性の差の範囲を容易に拡大できる利点がある。この場合、特定方向における非弾性構成としては、請求項3のように、摺動移動自在とするすべり支承のような構成を採ることができる。
請求項4の発明によれば、全方向性(方向性が無い)を有する弾性体と方向性を有する滑り機構とが上下に積層配置されて第1支承が構成されており、上側部材と下側部材とが摺動移動する方向である水平方向における特定方向には、一般的なすべり支承と同等の機能、即ち上沓と下沓とが相対滑り移動しての免震作用が発揮される。そして、水平方向における特定方向に交差する方向には、滑り機構が機能しない又は機能し難くなるが、弾性体が水平方向に弾性変形することによる免震作用が発揮されるようになる。つまり、特定方向には滑り機構の滑り移動による免震が行われ、特定方向に交差する方向には弾性体の弾性変形による免震が行われ、特定方向に交差する方向と特定方向との中間の斜め方向には滑り機構の滑り移動と弾性体の弾性変形との双方による免震が行われるように機能する滑り支承として好都合な第1支承が実現できている。
請求項5の発明によれば、請求項1の発明を方法化したものであり、請求項1の発明による前記効果と同等の効果を奏することができる免震構法を提供することができる。
以下に、本発明による免震支承装置、並びに免震構法の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1,図2は免震支承装置を示す平面図と側面図、図3〜図5は第1支承の構造を示す各図、図6は下側部材の単品斜視図、図7〜図9は外力に対する第1支承の変位状況を示す作用図、図10は第2支承の断面図、図11〜図13は第2〜第4実施例の免震支承装置を示す平面図である。
〔実施例1〕
実施例1による免震支承装置Fは、図1,図2に示すように、矩形の土地Gに敷設されるコンクリート基礎(下部構造体の一例)Cと、建物であるビル(上部構造体の一例)Bとの上下間に、左右2列で前後3箇所の計6個の第1支承Aと、左右2列で前後2箇所の計4個の第2支承Mとから成る免震手段20を配置して構成されている。つまり、ビルBとコンクリート基礎Cとの上下間に、これら両者B,Cとの相対的な横揺れを許容して免震する免震手段20が介装されるとともに、免震手段20は、水平方向における左右方向(特定方向の一例であり、矢印a方向)には柔かい弾性を有し、かつ、前後方向(特定方向に交差する方向の一例であり、矢印b方向)には硬い弾性を有するものに構成されている。
実施例1による免震支承装置Fは、図1,図2に示すように、矩形の土地Gに敷設されるコンクリート基礎(下部構造体の一例)Cと、建物であるビル(上部構造体の一例)Bとの上下間に、左右2列で前後3箇所の計6個の第1支承Aと、左右2列で前後2箇所の計4個の第2支承Mとから成る免震手段20を配置して構成されている。つまり、ビルBとコンクリート基礎Cとの上下間に、これら両者B,Cとの相対的な横揺れを許容して免震する免震手段20が介装されるとともに、免震手段20は、水平方向における左右方向(特定方向の一例であり、矢印a方向)には柔かい弾性を有し、かつ、前後方向(特定方向に交差する方向の一例であり、矢印b方向)には硬い弾性を有するものに構成されている。
第1支承Aは、図3〜図5に示すように、ビルBの下面側に取付け可能な上沓1と、コンクリート基礎Cの上面側に取付け可能な下沓2と、これら上沓1と下沓2との上下間に介装される弾性体3と、滑り機構6とを有するすべり支承に構成されている。尚、上部構造体Bとしては、ビルのほか、マンション等の建物や橋梁等が挙げられ、下部構造体Cとしては、コンクリート基礎Cのほか、橋脚等が挙げられる。
上沓1は、図3〜図5に示すように、ビルBの下面にボルト等によって固定される基板7と、この基板7にボルト等によって固定される上側部材4と、この上側部材4に直線スライド自在に嵌合される下側部材5と、これら互いに水平方向に摺動移動自在な上側部材4と下側部材5とを有する滑り機構6とを有して構成されている。基板7は鋼材等で成る長尺フランジ板であり、その下面側に上側部材4がボルト固定される。尚、図示は省略するが、上側部材4の長手方向両端にストッパー部材を設ける等して、上側部材4と下側部材5との相対移動量を所定範囲内に制限する手段を滑り機構6に設ければ好都合である。
上側部材4は、図3〜図5に示すように、上横壁4A,左右の縦側壁4B,4C、左縦側壁4Bの下端から内横に突出する左下横壁4D、及び右縦側壁4Cの下端から内横に突出する右下横壁4Eとを有する断面下向き略C字状で長尺状のチャンネル材(チャンネル形鋼)で形成されている。そして、上横壁4Aの下面側、及び左右下横壁4D,4Eの上面側と側面側のそれぞれにはステンレス鋼板やその他の材料から成る滑り板9〜11が添着されている。尚、下横滑り板10と下縦滑り板11とを、90度屈曲による一枚板で形成しても良い。
下側部材5は、図3〜図6に示すように、上横壁5Aと下横壁5Bと、これら上下の横壁5A,5Bを左右中央で連結一体化する縦壁5Cとから成る断面鉄道レール状(略エ状)の形鋼で形成されており、上横壁5Aと縦壁5Cとで断面T字形の凸条8を形成し、この凸条8が、上側部材4において同様に断面がT字状を呈する空間部sを形成する凹条15に直線スライド自在に嵌合されている。そして、上横壁5Aの上面側と左右の下面側、及び縦壁5Cの左右縦側面側のそれぞれにはPTFEやその他の低摩擦係数の材料である成る滑り材12〜14がコーティングされているコーティングに代えて、PTFE製の滑り板を添着する構成でも良い。上横壁5Aの横幅は、上側部材4の空間部sの内幅よりも短く形成されており、左右の縦側壁4B,4Cと上横壁5Aとには左右方向の間隙が存在している。
上側部材4と下側部材5とが嵌合している状態では、上横滑り板9と上横滑り材12とが荷重を支えるべく当接しており、これら両者9,12の相対摺動移動が免震用の滑り移動となる。下横滑り板10と下横滑り材13とは、ビルBとコンクリート基礎Cとが互いに上下に引き離されるような引張り力が作用した場合に当接摺動し、横方向の力が作用した場合には左右いずれかの下縦滑り板11と下縦滑り材14とが当接するようになる。
第1支承Aにおいては、上側部材4の下面に相当する上横滑り板9と下側部材5の上面に相当する上横滑り材12とで形成される滑り部dと、左右下横壁4D,4Eと上横壁5Aとの当接による上側部材4と下側部材5との互いの上下方向への離れ移動を規制する抜止め部eとよって滑り機構6が構成されている。つまり、滑り部dは、凸条8の上面である上横滑り材12と凹条15の内側上部平面である上横滑り板9とで構成され、凸条8と凹条15との嵌合によって抜止め部eが構成されている。
弾性体3は、図3に示すように、上下方向視で円形の下横壁5Bと、上下方向視の形状が円形でその径が基板7の横幅と同寸の下沓2との上下間に配置されており、複数の弾性ゴム層16と複数の剛性板17とを交互に積層して成る積層ゴムに構成されている。剛性板17の外周側は、弾性ゴム層16と同材質のゴムによる皮膜層18によって覆われており、各ゴム層16,18の加硫による加硫接着によって下横壁5B及び下沓2と弾性体3とが一体化されている。
以上のような構成の第1支承Aは、図4,図5に示すように、上側部材4の長手方向(矢印イ方向)である縦方向(特定方向)には滑り機構6によって滑り移動し、上側部材4の長手方向に直交(交差の一例)する方向(矢印ロ方向)である横方向には弾性体3によって弾性変形で移動する挙動を示すものとなる。即ち、すべり支承である第1支承Aに横方向(矢印ロ方向)の力が作用した場合には、図7に示すように、弾性体3が弾性変形して変位を吸収し、滑り機構6は動作しない。第1支承Aに縦方向(矢印イ方向)の力が作用した場合には、図8に示すように、滑り機構6のみが動作して上側部材4と下側部材5とが摺動移動して変位を吸収し、弾性体3の弾性変形は生じない。
そして、第1支承Aに縦及び横の複合である斜め方向(矢印ハ方向)の力が作用した場合には、図9に示すように、滑り機構6が動作するとともに弾性体3も弾性変形して変位を吸収するようになる。即ち、上側部材4と下側部材5とが相対的に縦方向に摺動移動し、かつ、弾性体3が横方向に弾性変形するのであり、弾性体3としては横方向にのみ弾性変形するものとなっている(滑り機構6の存在により、上側部材4に対して弾性体3が斜め横に弾性変形することは殆ど無い)。つまり、第1支承Aは、「特定方向には弾性を有さず、特定方向に交差する方向には弾性を有する支承」であり、「特定方向には摺動移動自在で、かつ、特定方向に交差する方向には弾性支持される支承」でもある。
第2支承Mは、図10に示すように、上下のフランジ板21,22の上下間に、複数の弾性ゴム層23と複数の剛性板24とを交互に積層するとともに、弾性ゴム層23と同材質の外周ゴム層25で剛性板24を被覆した構造の弾性体26を有する一般的な積層ゴム構造のものに構成されている。この積層ゴム構造の第2支承Mは、水平方向360度に弾性変形する全方向性の免震支承として機能することができる。
さて、図1,図2に示すビルを免震支持するシステムとしての免震支承装置Fは、矢印a方向である左右方向(特定方向の一例)に長く、矢印b方向である前後方向(特定方向に交差する方向の一例前後方向)に短い矩形の土地Gに、前後方向に長い平面視が矩形の建物(上部構造体の一例)Bを免震支承する場合であり、6個の第1支承(すべり支承)Aと4個の第2支承(積層ゴム)Mとを、コンクリート基礎Cと建物Bとの上下間に横2列で縦に交互に配置して免震支承装置Fが構成されている。
各第1支承Aは、上側部材4の長手方向が左右に向く状態で左右二列で前後端及び前後中央の計6箇所において、左右方向には摺動移動(滑り移動)し、前後方向には弾性変形する状態に配置されている。各第2支承Mは、前後方向で各第1支承Aの間となるように前後左右の計4箇所に配置されている。この実施例1の配置形態では、全第1支承Aが滑り移動自在な左右方向には、4個の第2支承Mの弾性変形による低いバネ定数によって大きく揺れ動くことが可能であり、前後方向には6個の弾性体3(第1支承A)と4個の弾性体26(第2支承M)との計10個の弾性体3,26による高いバネ定数によって僅かに揺れ動くことが可能となっている。つまり、図1に示すように、建物Bが前後方向にあまり動いては困る状況の土地G及び建物Bに好適な免震支承装置Fとなっている。
以上のように、本発明による免震支承装置Fは、免震構法として定義することもできる。即ち、水平方向における特定方向(矢印イ方向)には摺動移動自在で、かつ、特定方向に交差する方向(矢印ロ方向)には弾性を有する第1支承Aと、水平方向の全方向に対して弾性を有する第2支承Mとを用意し、上部構造体Bと下部構造体Cとの上下間に、第1支承Aと第2支承Mとのそれぞれを単数又は複数を適宜に組合せて配備することにより、水平方向における特定方向(矢印a方向)には柔かい弾性が発揮され、かつ、特定方向に交差する方向(矢印b方向)には硬い弾性が発揮される状態で上部構造体Bと下部構造体Cとの相対的な横揺れを許容して免震させる免震構法である。
〔実施例2〕
実施例2による免震支承装置Fは、図1に示す実施例1の免震支承装置Fにおける第1支承Aと第2支承Mとの個数、及び配置構成をそれぞれ変更したものである。即ち、図11に示すように、4個の第2支承Mを建物Bの前後左右の各隅部に寄せて配置し、左右(矢印a方向)で隣合う第2支承M,M間のそれぞれに各1個の第1支承Aを配置するとともに、前後(矢印b方向)で隣合う第2支承M,M間のそれぞれには左右向きで3個ずつ第1支承Aを並べて配置してある。つまり、第1支承Aは8個である。建物Bの免震支持の安定度を増すことが可能であり、また前後方向の揺れ動きをより規制するタイプの免震支持装置Fである。
実施例2による免震支承装置Fは、図1に示す実施例1の免震支承装置Fにおける第1支承Aと第2支承Mとの個数、及び配置構成をそれぞれ変更したものである。即ち、図11に示すように、4個の第2支承Mを建物Bの前後左右の各隅部に寄せて配置し、左右(矢印a方向)で隣合う第2支承M,M間のそれぞれに各1個の第1支承Aを配置するとともに、前後(矢印b方向)で隣合う第2支承M,M間のそれぞれには左右向きで3個ずつ第1支承Aを並べて配置してある。つまり、第1支承Aは8個である。建物Bの免震支持の安定度を増すことが可能であり、また前後方向の揺れ動きをより規制するタイプの免震支持装置Fである。
〔実施例3〕
実施例3による免震支承装置Fは、戸建住宅等の建物の免震支持に用いられる免震支承装置Fであって、揺れ動き方向に制約の無い場合の例である。即ち、図12に示すように、土地Gと建物Bとの前後左右に十分な間隔がある場合には、例えば、第1支承Aのみの8個を内外2組の略卍形状に配列することにより、前後方向(矢印b方向)には実質4個の弾性体3が作用し、左右方向(矢印a方向)にも実質4個の弾性体3が作用する構造になる。従って、水平方向にはどの方向にも均等に揺れ動く方向性の無い建物用として好適な免震支承装置Fに構成することができている。
実施例3による免震支承装置Fは、戸建住宅等の建物の免震支持に用いられる免震支承装置Fであって、揺れ動き方向に制約の無い場合の例である。即ち、図12に示すように、土地Gと建物Bとの前後左右に十分な間隔がある場合には、例えば、第1支承Aのみの8個を内外2組の略卍形状に配列することにより、前後方向(矢印b方向)には実質4個の弾性体3が作用し、左右方向(矢印a方向)にも実質4個の弾性体3が作用する構造になる。従って、水平方向にはどの方向にも均等に揺れ動く方向性の無い建物用として好適な免震支承装置Fに構成することができている。
尚、上沓1の長手方向が左右方向(矢印a方向)に向く4個の第1支承Aでは、その特定方向(矢印イ方向)と免震支承装置Fとしての特定方向(矢印a方向)とは合致しており、上沓1の長手方向が前後方向(矢印b方向)に向く4個の第1支承Aでは、その特定方向(矢印イ方向)と免震支承装置Fとしての特定方向(矢印a方向)とが90度ずれたものとなっている。
〔実施例4〕
実施例4による免震支承装置Fは、図1に示す実施例1の免震支承装置Fと同等の性能を、第1支承Aのみを用いて発揮可能にしたものである。例えば、図13に示すように、左右二列の左右向き第1支承A,Aを挟むように4個の第1支承Aを略X字状に前後左右に斜め姿勢で並べた計6個の第1支承Aで成る支承群の2組を前後に並べて免震支承装置Fを構成する。斜め姿勢の第1支承Aは、左右向き姿勢の第1支承Aと30度(これ以外の角度でも良い)の角度を為すように配置される。このように配置すれば、特定方向である左右方向(矢印a方向)には低いバネ定数(柔かい弾性)となって比較的大きく揺れ動くことが可能で、かつ、特定方向に交差する方向である前後方向(矢印b方向)には高いバネ定数(硬い弾性)となって比較的少ししか動かないように機能する免震支承装置Fを構築さすることができる。
実施例4による免震支承装置Fは、図1に示す実施例1の免震支承装置Fと同等の性能を、第1支承Aのみを用いて発揮可能にしたものである。例えば、図13に示すように、左右二列の左右向き第1支承A,Aを挟むように4個の第1支承Aを略X字状に前後左右に斜め姿勢で並べた計6個の第1支承Aで成る支承群の2組を前後に並べて免震支承装置Fを構成する。斜め姿勢の第1支承Aは、左右向き姿勢の第1支承Aと30度(これ以外の角度でも良い)の角度を為すように配置される。このように配置すれば、特定方向である左右方向(矢印a方向)には低いバネ定数(柔かい弾性)となって比較的大きく揺れ動くことが可能で、かつ、特定方向に交差する方向である前後方向(矢印b方向)には高いバネ定数(硬い弾性)となって比較的少ししか動かないように機能する免震支承装置Fを構築さすることができる。
尚、上沓1の長手方向が左右方向(矢印a方向)に向く4個の第1支承Aでは、その特定方向(矢印イ方向)と免震支承装置Fとしての特定方向(矢印a方向)とは合致しており、上沓1の長手方向が斜め方向に向く8個の第1支承Aでは、その特定方向(矢印イ方向)と免震支承装置Fとしての特定方向(矢印a方向)とがプラスマイナスのいずれかに30度ずれたものとなっている。
〔別実施例〕
免震支承装置Fにおける第1支承Aと第2支承Mとの配置構造は、前記実施例1〜3に限られるものではなく、種々の変更が可能である。滑り機構6は、上側部材4と下側部材5とが図1に示す構成に対して上下逆さまに配置構成されたものでも良い。滑り機構6と弾性体3とが図1に示す構成に対して上下逆さまに配置構成されたすべり支承Aでも良い。上側部材4は、図2等に示す直線状のものの他、平面視形状が円弧状やS字状に湾曲する形状のものでも良い。下側部材5は、縦壁5Cや上横壁5Aが、上下方向視で円形の下横壁5Bと同心状の円形を呈する形状でも良い。また、第1支承Aは、例えば長方形や楕円等の平面視で前後左右に非対称となる形状のゴム(又は積層ゴム)を有する構造とすることにより、「特定方向には弾性を有さず、特定方向に交差する方向には弾性を有する支承」に構成しても良い。
免震支承装置Fにおける第1支承Aと第2支承Mとの配置構造は、前記実施例1〜3に限られるものではなく、種々の変更が可能である。滑り機構6は、上側部材4と下側部材5とが図1に示す構成に対して上下逆さまに配置構成されたものでも良い。滑り機構6と弾性体3とが図1に示す構成に対して上下逆さまに配置構成されたすべり支承Aでも良い。上側部材4は、図2等に示す直線状のものの他、平面視形状が円弧状やS字状に湾曲する形状のものでも良い。下側部材5は、縦壁5Cや上横壁5Aが、上下方向視で円形の下横壁5Bと同心状の円形を呈する形状でも良い。また、第1支承Aは、例えば長方形や楕円等の平面視で前後左右に非対称となる形状のゴム(又は積層ゴム)を有する構造とすることにより、「特定方向には弾性を有さず、特定方向に交差する方向には弾性を有する支承」に構成しても良い。
以上述べたように、本発明による免震支承装置F並びに免震構法は、水平方向における特定方向には柔かい弾性(低いバネ定数)を有し、かつ、特定方向に交差する方向には硬い弾性(高いバネ定数)を有する免震手段20を有することが特徴であり、詳しくは、水平方向に方向性のある弾性を有する第1支承Aの複数を平面的に適宜に組合せて配置構成することにあり、水平方向の方向によっては揺れ動き量に差を付けたい、という要望に的確に答えることが可能なものとなっている。そして、第1支承Aにおいては、上側部材4を断面C字形として引張りにも対応できるとともに、PTFE等による滑り材9〜11や積層ゴム構造の弾性体3の調整により、滑り方向(特定方向)や他方向のバネ定数を、使用目的等に合せて調節することができる利点もある。
1 上沓
2 下沓
3 弾性体
4 上側部材
5 下側部材
6 滑り機構
20 免震手段
A 第1支承
B 上部構造体
C 下部構造体
M 第2支承
2 下沓
3 弾性体
4 上側部材
5 下側部材
6 滑り機構
20 免震手段
A 第1支承
B 上部構造体
C 下部構造体
M 第2支承
Claims (5)
- 上部構造体と下部構造体との上下間に、これら上部構造体と下部構造体との相対的な横揺れを許容して免震する免震手段が介装されるとともに、前記免震手段は、水平方向における特定方向には柔かい弾性を有し、かつ、前記特定方向に交差する方向には硬い弾性を有するものに構成されている免震支承装置。
- 前記免震手段は、前記特定方向には弾性を有さず、前記特定方向に交差する方向には弾性を有する支承を含む複数の支承を用いて構成されている請求項1に記載の免震支承装置。
- 前記免震手段は、前記特定方向には摺動移動自在で、かつ、前記特定方向に交差する方向には弾性支持される第1支承と、水平方向の全方向に対して弾性を有する第2支承とを用いて構成されている請求項1又は2に記載の免震支承装置。
- 前記第1支承は、上部構造体の下面側に取付け可能な上沓と、下部構造体の上面側に取付け可能な下沓と、これら上沓と下沓との上下間に介装される弾性体とを有して構成されており、前記上沓又は前記下沓が、互いに前記特定方向に摺動移動自在な上側部材と下側部材とから成る滑り機構を有して構成されている請求項3に記載の免震支承装置。
- 水平方向における特定方向には摺動移動自在で、かつ、前記特定方向に交差する方向には弾性を有する第1支承と、水平方向の全方向に対して弾性を有する第2支承とを用意し、
上部構造体と下部構造体との上下間に、前記第1支承と前記第2支承とのそれぞれを単数又は複数を適宜に組合せて配備することにより、水平方向における特定方向には柔かい弾性が発揮され、かつ、前記特定方向に交差する方向には硬い弾性が発揮される状態で前記上部構造体と下部構造体との相対的な横揺れを許容して免震させる免震構法。
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-
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- 2007-01-09 JP JP2007001025A patent/JP2008169857A/ja not_active Withdrawn
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