JP7042722B2 - 耐風装置 - Google Patents

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本発明は、耐風装置に関する。
地震国であるわが国においては、ビルや橋梁、高架道路、戸建の住宅といった様々な構造物に対して、地震力に抗する技術、構造物に入る地震力を低減する技術など、様々な耐震技術、免震技術、制震技術が開発され、各種構造物に適用されている。中でも免震技術は、構造物に入る地震力そのものを低減する技術であることから、地震時の構造物の振動は効果的に低減される。この免震技術を概説すると、下部構造物である基礎と上部構造物との間に免震装置を介在させ、地震による基礎の振動の上部構造物への伝達を低減し、上部構造物の振動を低減して構造安定性を保証するものである。尚、この免震装置は、地震時のみならず、構造物に対して常時作用する交通振動の上部構造物への影響低減にも効果を発揮するものである。
免震装置には、鉛プラグ入り積層ゴム支承装置や高減衰積層ゴム支承装置、積層ゴム支承と減衰ダンパーを組み合わせた装置、滑り免震装置など、様々な形態の装置が存在している。例えば従来の球面滑り支承を有する免震建物では、球面滑り支承の摩擦係数が比較的小さいことから、風荷重を受けた際に球面滑り支承で支持される上部構造体(たとえば屋根架構)の変位が大きくなり、これが大きな残留変位となるといった課題を有している。すなわち、球面滑り支承は地震荷重に対して高い減衰効果を発揮する一方で、風荷重に対してはその低い摩擦係数ゆえに支持する上部構造体の変位を抑制し難いといったデメリットを有していた。このように、免震装置を備える免震層において、耐風性能も同時に満足させる技術の開発が必要になってきている。
ところで、地震入力を低減させ、免震層の変形を300mm乃至500mm程度に留めるために、ダンパー率(建物重量に対する減衰ダンパーの降伏層せん断力係数)が2%乃至4%で設計されるのが一般的であるが、近年、アスペクト比(幅に対する高さの比率)が4以上の高層ビルにも免震装置が採用されている。このようなプロポーションの高層ビルにおいては風荷重が支配的となり易く、風荷重載荷時における最大変形や残留変形、あるいは減衰ダンパーの疲労を抑えるべく、ダンパー率5%乃至7%程度が必要になってくる。しかしながら、ダンパー率を5%乃至7%程度に設定すると今度は地震時の建物への入力が増加してしまい、免震装置を採用する本来の意義を失ってしまう。
免震装置を備えた建物において免震性能を確保しながら耐風性能も満足するための方策として、免震装置が配設されている建物の免震層に配設される耐風装置に関し、大地震時にせん断破壊される耐風ピンを適用することなく、したがって大地震後のメンテナンスを不要としながら、優れた耐風性能を発揮することのできる耐風装置が提案されている。具体的には、免震建物の免震層を構成する下部構造体と上部構造体の間において、免震装置とともに配設される耐風装置であり、下部構造体に固定された被せり上がり体と、被せり上がり体に対してせり上がり自在に配設されるとともに、上部構造体に上下移動自在に取り付けられ、上部構造体から伝達される水平力によって被せり上がり体に対してせり上がるせり上がり体と、上部構造体に取り付けられた摩擦ストッパーと、を備えている。せり上がり体と摩擦ストッパーは相互に面接触した状態で締め付けられ、せり上がり体のせり上がりに伴って摩擦ストッパーに伝達される伝達荷重に対し、摩擦ストッパーの静止摩擦力が抗するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特許第6228337号公報
特許文献1に記載の耐風装置によれば、上部構造体から伝達された風荷重に対してはせり上がり体が被せり上がり体に対してせり上がろうとする過程で摩擦ストッパーが作用し、摩擦ストッパーの静止摩擦力によって被せり上がり体のせり上がりを抑制することにより、風荷重による上部構造体の揺れを効果的に低減することができる。ところで、この耐風装置は、球体などにより形成される被せり上がり体が、下方にテーパー状の窪みを備えるせり上がり体に嵌まり込んでいることにより構成されるが、風荷重を最初に受ける初期状態において、せり上がり体と被せり上がり体は噛み合った状態で相互に接触している。そのため、風荷重によってせり上がり体が僅かに水平変位した段階において、耐風装置には水平力が作用することになる。そして、耐風装置が最大水平耐力に達した段階では、減衰ダンパーを含む免震装置は僅かな風荷重しか負担せず、風荷重の殆どを耐風装置が負担することになる。そのため、所定の風荷重に対抗する耐風抵抗力のほとんどを耐風装置によって負担するような設計がなされることになり、従って、免震層に設置される耐風装置の数は自ずと増加する傾向にある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、免震層において設置される耐風装置の数を可及的に低減しながら、免震層に存在する免震装置とともに優れた耐風性能を発揮することのできる耐風装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による耐風装置の一態様は、
免震建物の免震層を構成する下部構造体と上部構造体の間において、減衰ダンパー及び免震支承により形成される免震装置とともに配設される耐風装置であって、
前記下部構造体に固定された被せり上がり体と、
前記被せり上がり体に対してせり上がり自在に配設されるとともに、前記上部構造体に対して上下移動自在に取り付けられ、該上部構造体から伝達される水平力によって該被せり上がり体に対してせり上がるせり上がり体と、
前記上部構造体に取り付けられた摩擦ストッパーと、を備え、
前記せり上がり体と前記摩擦ストッパーは相互に面接触した状態で締め付けられており、
前記せり上がり体のせり上がりに伴って前記摩擦ストッパーに伝達される伝達荷重に対し、前記摩擦ストッパーの静止摩擦力が抗する耐風装置において、
前記せり上がり体は、下面に第1窪みを備えている上方支圧板であり、
前記被せり上がり体は、前記第1窪みに一部が収容される球体と、該球体の他部が収容される第2窪みを上面に備えている下方支圧板と、を有し、
前記第2窪みの平面寸法が前記球体の平面寸法よりも大きいことを特徴とする。
本態様によれば、被せり上がり体が球体と球体の一部が収容される第2窪みを有する下方支圧板を有し、第2窪みの平面寸法が球体の平面寸法よりも大きいことにより、風荷重が作用して球体が移動し、第2窪みの壁面に到達するまでの間に所定のクリアランスが存在することになる。そのため、風荷重に対して耐風装置が機能するまでの球体や上方支圧板の変位量を長くすることが可能になる。このように風荷重が作用した際の耐風装置が機能するまでの変位量が長くなることにより、風荷重に対して耐風装置が機能する際に、同様に免震層に配設されている免震装置にも風荷重を負担させることができ、結果として免震層に設置される耐風装置の数を低減することができる。また、下部構造体に被せり上がり体を固定し、上部構造体にせり上がり体を固定するとともに摩擦ストッパーを備えておき、上部構造体から伝達された風荷重に対してはせり上がり体が被せり上がり体に対してせり上がろうとする過程で摩擦ストッパーが作用する。そして、摩擦ストッパーの静止摩擦力にて、被せり上がり体のせり上がりを抑止もしくは抑制することにより、風荷重による上部構造体の揺れを効果的に解消もしくは低減することができる。
ここで、「減衰ダンパー及び免震支承により形成される免震装置」とは、免震装置が減衰ダンパー及びと免震支承により形成される形態、免震装置が減衰ダンパー及び付きの免震支承により形成される形態の双方を含んでいる。また、「平面寸法」とは、平面視における寸法のことを意味しており、球体の平面寸法は中心を通る平面積であり、例えば平面視円形の第2窪みの平面寸法は当該円形の平面積である。
また、摩擦ストッパーの静止摩擦力の設定に関しては、例えば所定の風荷重が上部構造体に作用した際に、被せり上がり体に対してせり上がり体がせり上がらないような静止摩擦力に設定しておき、かつ、この静止摩擦力を例えば大地震(レベル2地震)時の地震力未満に設定しておく。このような設定により、所定の風荷重に対してのみ摩擦ストッパーが機能し、大地震の際には作用荷重が摩擦ストッパーの設定摩擦力を超えることにより当該摩擦ストッパーは機能せず、免震層内にある免震装置により地震力の入力低減を図ることができる。
また、本発明による耐風装置の他の態様は、
免震建物の免震層を構成する下部構造体と上部構造体の間において、減衰ダンパー及び免震支承により形成される免震装置とともに配設される耐風装置であって、
前記下部構造体に固定された被せり上がり体と、
前記被せり上がり体に対してせり上がり自在に配設されるとともに、前記上部構造体に対して上下移動自在に取り付けられ、該上部構造体から伝達される水平力によって該被せり上がり体に対してせり上がるせり上がり体と、
前記上部構造体に取り付けられた摩擦ストッパーと、を備え、
前記せり上がり体と前記摩擦ストッパーは相互に面接触した状態で締め付けられており、
前記せり上がり体のせり上がりに伴って前記摩擦ストッパーに伝達される伝達荷重に対し、前記摩擦ストッパーの静止摩擦力が抗する耐風装置において、
前記せり上がり体は、突起を下面に有する上方支圧板であり、
前記被せり上がり体は、前記突起の一部が収容される第2窪みを上面に有する下方支圧板であり、
前記第2窪みの平面寸法が前記突起の平面寸法よりも大きいことを特徴とする。
本態様によれば、せり上がり体が突起を下面に有する上方支圧板を有し、被せり上がり体が突起の一部が収容される第2窪みを上面に有する下方支圧板を有し、第2窪みの平面寸法が突起の平面寸法よりも大きいことにより、風荷重が作用して上方支圧板が移動し、突起が第2窪みの壁面に到達するまでの間に所定のクリアランスが存在することになる。そのため、風荷重に対して耐風装置が機能するまでの上方支圧板の変位量を長くすることが可能になる。このように風荷重が作用した際の耐風装置が機能するまでの変位量が長くなることにより、風荷重に対して耐風装置が機能する際に、同様に免震層に配設されている免震装置にも風荷重を負担させることができ、結果として免震層に設置される耐風装置の数を低減することができる。
また、本発明による耐風装置の他の態様において、前記第2窪みが、中心から端部に向かって窪み深さが浅くなる湾曲面を有していることを特徴とする。
本態様によれば、地震時等において水平荷重を受けてせり上がり体が例えば左方向(右方向)に移動して水平耐力を発揮した後、反転してせり上がり体が右方向(左方向)に移動する際に、せり上がり体の反転移動をスムーズに行うことができる。より具体的には、被せり上がり体が球体を有する形態では、水平荷重を受けて球体が例えば左方向に移動して第2窪みの壁面に当接して水平耐力を発揮した後、上方支圧板が反転して右方向に移動する際には、球体は湾曲面に沿って自ら中央位置に戻る(復帰する)ことができる。従来の耐風装置では、例えば大地震時等において繰り返しの水平荷重を受け、上方支圧板が反転しようとして荷重解放された際に、球体は上方支圧板(の第1窪み)に食い込み、これが左右の振動ごとに繰り返されることにより上方支圧板が損傷する恐れがあった。これに対して、本態様の耐風装置を備えた免震層では、上方支圧板の反転に際して当該上方支圧板と球体との拘束力が解除され、球体は湾曲面に沿って自ら転がって初期位置に復帰することができる。そのため、上方支圧板と球体の間で抵抗力を生じることがなく、この抵抗力に起因して耐風装置に水平力が残存することや、球体の食い込みによる上方支圧板の損傷を解消することができる。
ここで、「中心から端部に向かって窪み深さが浅くなる湾曲面」としては、下方支圧板のフラットな上面からドーム状に窪んだ形態、下方支圧板のフラットな上面から円柱状に窪み、さらにドーム状に窪んだ形態、下方支圧板のフラットな上面から円柱状に窪み、さらに円錐状に窪んだ形態など、多様な形態がある。
また、本発明による耐風装置の他の態様は、前記第2窪みに対して、前記湾曲面を有するブロック部材が収容されていることを特徴とする。
本態様によれば、例えば円柱状の座ぐりを形成し、この座ぐりに対して湾曲面を有する多様な形態のブロック部材を嵌め込むことが可能になる。すなわち、例えば球体と第2窪みの間のクリアランスを変更したい場合や、湾曲面の形態を変更したい場合において、多様な形状形態で、かつ多様なクリアランスを有するブロック部材の中から、所望のブロック部材を選定して座ぐりに嵌め込むことができる。
また、本発明による耐風装置の他の態様において、前記減衰ダンパーが降伏耐力に達する前記免震層の変位量と、前記耐風装置が最大水平耐力に達する前記免震層の変位量が同一もしくは近接するように、前記第2窪みと前記球体の平面寸法におけるクリアランス、もしくは、前記第2窪みと前記突起の平面寸法におけるクリアランスが設定されていることを特徴とする。
本態様によれば、耐風装置と免震装置による合算された耐風抵抗力を最大にすることができ、免震層における耐風装置の数を可及的に低減することができる。荷重-変位グラフを作成した際に、免震装置を構成する免震支承は、変位とともに荷重が比例増加するグラフとなり、免震装置を構成する減衰ダンパーは、変位とともに荷重が比例増加した後、降伏耐力値移行は荷重がフラットな(サチュレートした)グラフとなる。一方、耐風装置に関しては、例えば球体と第2窪みの間にクリアランスがない場合は、変位とともに荷重が比例増加し、耐風装置の最大水平耐力値に達した後に解放されて耐力低下するグラフとなる。しかしながら、例えば球体と第2窪みの間にクリアランスがある場合は、球体が移動(変位)してクリアランスが無くなるまでは荷重はゼロのままであり、クリアランスゼロから荷重が比例増加して最大水平耐力値に達するグラフとなる。従って、減衰ダンパーが降伏耐力に達する免震層の変位量と、耐風装置が最大水平耐力に達する免震層の変位量が同一もしくは近接するように、第2窪みと球体の平面寸法におけるクリアランス(又は、第2窪みと突起の平面寸法におけるクリアランス)を設定することにより、免震層における最大の耐風抵抗力を得ることが可能になる。ここで、「最大水平耐力」とは、耐風装置が水平荷重を受けてその荷重値がピークを迎え、解放されて荷重低下する際のピーク値である解放荷重のことを意味する。
また、本発明による耐風装置の他の態様において、前記摩擦ストッパーは中板と外板を有し、該中板と該外板のそれぞれの対向面には摩擦材が取り付けられていて相互に摺動自在に面接触しており、
前記中板と前記外板の一方は前記せり上がり体に取り付けられ、前記中板と前記外板の他方は前記上部構造体に取り付けられており、
面接触している複数の前記摩擦材が、締付け調整具によって静止摩擦力が調整された状態で締付けられていることを特徴とする。
本態様によれば、ボルト等の締付け調整具の締付け力を適宜調整することにより、相互に摺動自在に面接触している複数の摩擦材間の静止摩擦力を所望かつ容易に設定することが可能になる。さらに、例えば、大地震後には、このボルト等の締付け調整具を緩めることにより、被せり上がり体に対してせり上がっているせり上がり体の位置を当初位置に容易に戻すことができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の耐風装置によれば、免震層において設置される耐風装置の数を可及的に低減しながら、免震層に存在する免震装置とともに優れた耐風性能を発揮することができる。
第1実施形態に係る耐風装置を備えた免振建物の一例の縦断面図である。 免震支承の一例を示す斜視図である。 減衰ダンパーの一例を示す斜視図である。 図1のIV部の拡大図である。 図1のV-V矢視図である。 (a)から(e)の順に、水平荷重が作用した際の球体及び上方支圧板の挙動を示すシーケンス図である。 (a)は従来の免震層における耐風拘束力を説明する図であり、(b)は実施形態に係る免震層における耐風拘束力を説明する図である。 (a)乃至(c)はいずれも被せり上がり体の変形例を示す縦断面図である。 第2実施形態に係る耐風装置を備えた免振建物の一例の縦断面図である。 上方支圧板に対して球体を介して下方支圧板に水平振動を付与する実験に適用した実験装置の概要を説明する図である。 上方支圧板に対して球体を介して下方支圧板に水平振動を付与する実験であって、上方支圧板が一方の方向への変位から他方の方向への変位に反転した後の残留水平荷重の有無を検証する実験において、比較例の実験結果を示す図である。 上方支圧板に対して球体を介して下方支圧板に水平振動を付与する実験であって、上方支圧板が一方の方向への変位から他方の方向への変位に反転した後の残留水平荷重の有無を検証する実験において、実施例の実験結果を示す図である。
以下、各実施形態に係る耐風装置について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[第1実施形態に係る耐風装置]
はじめに、図1乃至図7を参照して、第1実施形態に係る耐風装置の一例を説明する。ここで、図1は、第1実施形態に係る耐風装置を備えた免振建物の一例の縦断面図である。また、図2乃至図5はそれぞれ、免震支承の一例を示す斜視図、減衰ダンパーの一例を示す斜視図、図1のIV部の拡大図、及び図1のV-V矢視図である。さらに、図6は、図6(a)から図6(e)の順に、水平荷重が作用した際の球体の挙動と上方支圧板の挙動を示すシーケンス図である。
図1に示すように、免震建物100の免震層102を構成する下部構造体10と上部構造体20の間は、免震装置50と耐風装置90が配設される。免震建物100としては、ビルや橋梁、高架道路、戸建の住宅、物流倉庫といった様々な建物が含まれる。図示例において、下部構造体10は、平面視格子状に配設されている鉄筋コンクリート製の基礎梁11と、格子の格点にある台座12とを有する。一方、上部構造体20は、基礎梁11と対応する態様で、平面視格子状に配設されている鉄筋コンクリート製の床梁21と、角形鋼管や鋼管、鉄筋コンクリート製の柱22とを有する。下部構造体10と上部構造体20の間には所定の隙間が設けられ、免震層102が形成されている。
免震層102には、免震支承30と、減衰ダンパー40とを有する免震装置50と、耐風装置90とが介在している。図示例においては免震支承30と減衰ダンパー40が分離されており、下部構造体10の台座12に免震支承30が取付けられ、免震支承30の直上に上部構造体20の柱22が立設されている。
免震支承30は、図2に示すように、鋼製の上部プレート31及び下部プレート32と、ゴムと鋼板が交互に積層されて加硫接着された積層ゴム体33と、から形成されている。積層ゴム体33は、上部プレート31及び下部プレート32と溶接接合されている。上部プレート31の上面と下部プレート32の下面にはそれぞれ、複数の頭付きスタッドボルト34が取り付けられており、これら複数の頭付きスタッドボルト34が上部構造体20の床梁21や下部構造体10の台座12に埋設されて、免震支承30が下部構造体10及び上部構造体20に固定される。
免震支承30により、免震建物100の免震性能が保障される。尚、免震支承30は、図示例以外にも、ゴムと鋼板が交互に積層されて加硫接着された積層ゴム体に対して、鉛プラグが埋め込まれて一体化された、鉛プラグ入り積層ゴム型免震支承であってもよい。また、ゴムと鋼板が交互に積層されて加硫接着された積層ゴム体の下端の鋼板に対して、フッ素系樹脂滑り板が設けられた滑り材と、この滑り材がスライドするフッ素系樹脂コートを有する滑り相手材と、からなる弾性滑り支承であってもよい。また、下部構造体10に設けられた十字型や井型のレール内に多数のボールベアリングが収容され、これら多数のボールベアリングで上部構造体20を支持する転がり支承であってもよい。さらに、曲率を有する摺動面を備えた上沓及び下沓(上下のコンケイブ)と、上沓と下沓の間で摺動するスライダーとからなる球面滑り支承であってもよい。
一方、減衰ダンパー40は、平面視正方形で鋼製の上部プレート41と、同様に平面視正方形で鋼製の下部プレート42と、4本の金属減衰部材である鋼製のU型ダンパーロッド43と、を有している。U型ダンパーロッド43は、上部プレート41及び下部プレート42と高力ボルト44を介して接続されており、4本のU型ダンパーロッド43は相互に90度ずれた状態で配設されている。尚、上部プレート41とダンパーロッド43は、スキンプレート(図示せず)を介して接続されている。上部プレート41の上面と下部プレート42の下面にはそれぞれ、複数の頭付きスタッドボルト45が取り付けられており、これら複数の頭付きスタッドボルト45が上部構造体20の床梁21や下部構造体10の台座12に埋設されて、減衰ダンパー40が下部構造体10及び上部構造体20に固定される。
減衰ダンパー40において、U型ダンパーロッド43はその延出方向に変位するようにして塑性変位し、この塑性変位時に歪みが最大になる点を、水平変位量の変化によってロッド内で移動させることにより、ロッド内の歪みを局部的に集中させることなく、U型ダンパーロッド43の全体を有効利用して振動エネルギーを吸収する。
耐風装置90は、図1及び図4に示すように、下部構造体10に固定された鋼製の被せり上がり体60と、被せり上がり体60に対してせり上がり自在に配設されるとともに、上部構造体20に対して上下移動自在に取り付けられ、上部構造体20から伝達される水平力によって被せり上がり体60に対してせり上がる鋼製のせり上がり体70と、上部構造体に取り付けられている摩擦ストッパー80と、を有する。せり上がり体70と摩擦ストッパー80は相互に面接触した状態で締め付けられており、せり上がり体70のせり上がりに伴って摩擦ストッパー80に伝達される伝達荷重に対し、摩擦ストッパー80の静止摩擦力が抗するように構成されている。
摩擦ストッパー80は、左右一対の鋼製の外板81と、外板81の内側に取り付けられている摩擦材82を有する。さらに、左右の外板81の内側にある左右の摩擦材82のさらに内側には、左右に別途の摩擦材84が取り付けられている鋼製の中板83が配設されており、左右にある摩擦材82,84が相互に摩擦摺動されるように面接触されている。
これら左右の外板81と内側の中板83、外板81と中板83の間にあって相互に面接触している摩擦材82,84が横方向に積層された状態において、ボルトにより構成される締付け調整具85(図示例は2つ)が積層部材を貫通し、所定の締付け力にて摩擦材82,84同士を締付けている。締付け調整具85にはロードセル85aが介在しており、外力(荷重)に比例した電圧から荷重値を検出できるようになっている。左右の外板81の内側には鋼製のフィラープレート87が配設され、左右のフィラープレート87にて鋼製のT字状ジョイント86の上方突出部が挟持され、六角ハイテンションボルト88にて固定されている。T字状ジョイント86を構成する鋼製のベースプレートは、アンカー部材である六角ハイテンションボルト89により上部構造体70に固定される。一方、中板83の上方はT字状のジョイントを形成し、アンカー部材である六角ハイテンションボルト89により床梁21に固定される。
図1に示すように、床梁21の下面には曲げ抵抗鋼管23がボルト固定されており、この曲げ抵抗鋼管23の周囲に複数基の摩擦ストッパー80が配設されている。尚、曲げ抵抗鋼管23は、床梁21と一体に施工されていて床梁21から下方に突出する鉄筋コンクリート製の突状部材であってもよい。
摩擦ストッパー80の静止摩擦力の設定に関しては、例えば所定の風荷重が上部構造体20に作用した際に、被せり上がり体60に対してせり上がり体70がせり上がらないような静止摩擦力に設定しておき、かつ、この静止摩擦力を例えば大地震時の地震力未満に設定しておく。このような設定により、所定の風荷重に対してのみ摩擦ストッパー80が機能し、大地震の際には作用荷重が摩擦ストッパー80の設定摩擦力を超えることにより摩擦ストッパー80は機能せず、免震層102内にある免震装置50により地震力の入力低減を図ることが可能になる。
図4に戻り、せり上がり体70を形成する上方支圧板71の上面には座ぐり73が開設されており、座ぐり73に曲げ抵抗鋼管23の下方部分が収容され、座ぐり73の内壁面と曲げ抵抗鋼管23の外周面の間にスライドブッシュ91が介在している。この構成により、上部構造体20が風荷重を受け、下部構造体10に固定されている被せり上がり体60に対して上部構造体20に固定されている上方支圧板71が水平方向にスライドした際に、スライドブッシュ91を介してこの横方向の変位を上方支圧板71の縦方向の変位に変換し、上方支圧板71の縦方向の変位を摩擦ストッパー80にて抑止もしくは抑制することを可能にする。尚、スライドブッシュ91に代わり、PTFE繊維(polytetrafluoroethylene、ポリテトラフルオロエチレン)等の滑り材が適用されてもよい。
せり上がり体70を形成する上方支圧板71の下面の中央位置には、上方に突の略円錐状の第1窪み72が開設されている。
一方、被せり上がり体60は、下方支圧板61と、鋼球である球体63とを有し、図5に示すように基礎梁11に対して六角ハイテンションボルト65により固定されている。下方支圧板61の中央位置(上方支圧板71の第1窪み72に対応する位置)には、第2窪み62が開設されている。図5に示すように、第2窪み62は、円筒状の端壁62bと、平面視円形の第2窪み62の中心Oから端部に向かって窪み深さが浅くなる湾曲面62aと、を有する。
図4に戻り、耐風装置90が水平荷重を受けていない状態において、第2窪み62の中央位置に球体63の一部が収容され、球体63の他部は第1窪み72に収容されるとともに球体63の一部は第1窪み72の円錐面に接触している。さらに、図4及び図5に示すように、この状態において、球体63と第2窪み62の端壁62bとの間には、所定のクリアランスGが形成される。図5に示すように、第2窪み62の平面形状は円形であり、その平面寸法は球体63の平面寸法よりも大きく設定されている。そして、第2窪み62の内壁輪郭と球体63の外周輪郭の間には、平面視形状がドーナツ状のクリアランスGが形成されている。尚、ここでいうクリアランスGは、第2窪み62の平面視における半径と球体63の平面視における半径の差分のことをも意味している。このクリアランスG(双方の差分値)を所望に調整することにより、耐風装置90の耐風拘束力を高めるような設定が行われる。
このように、第2窪み62の平面寸法が球体63の平面寸法よりも大きく設定されていることにより、風荷重に対して耐風装置90が機能するまでの球体63や上方支圧板71の変位量を長くすることが可能になる。このように風荷重が作用した際の耐風装置90が機能するまでの変位量が長くなることにより、風荷重に対して耐風装置90が機能する機能開示のタイミングを遅らせることが可能になる。減衰ダンパー40が降伏耐力に達する免震層102の変位量に対して、耐風装置90が最大水平耐力に達する免震層102の変位量は一般に短いことから、耐風装置90が機能する機能開示のタイミングを遅らせることにより、双方の変位量を同一もしくは近接させることができる。その結果、耐風装置90のみならず免震層102に配設されている免震装置50にも風荷重を負担させることが可能となり、免震層102に設置される耐風装置50の数の低減に繋がる。
クリアランスGを所望に設定することにより、減衰ダンパー40が降伏耐力に達する免震層102の変位量と、耐風装置90が最大水平耐力に達する免震層102の変位量を同一もしくは近接させることが可能になる。特に、双方の変位量が一致するようにクリアランスGを設定することにより、風荷重に対する免震層102の耐風拘束力(風荷重に対して上部構造体の振動を拘束する力であって、耐風装置90が最大水平耐力、減衰ダンパー40が降伏耐力、免震支承30の耐力の合算値)を最大にすることができる。その結果、所定の風荷重に対する免震層102内に配設される耐風装置90の数を最小にすることが可能になる。
次に、図6のシーケンス図を参照して、上部構造体に大地震時等において水平荷重が作用した際の球体と上方支圧板のそれぞれの挙動の流れを説明する。上部構造体20に対して、地震荷重や風荷重等の水平荷重は左右方向に交互に作用することになるが、ここでは、上部構造体20が左方向に地震時の水平荷重を受けた後、次に右方向に水平荷重を受ける場合を例示して説明する。図6(a)に示す水平荷重が作用していない状態から、上部構造体に水平荷重が作用することにより、図6(b)に示すように、上方支圧板71は左方向のY1方向に移動される。このY1方向への上方支圧板71の移動により、第1窪み72に係止された球体63も湾曲面62aに沿ってY1方向に移動され、第2窪み62の左側の端壁62bに係止される。
作用する水平荷重により、さらに、図6(c)に示すように上方支圧板71の第1窪み72は球体63に沿って上方のZ1方向に持ち上げられながら、左方向のY2方向に移動される。そして、作用する水平荷重により、さらに、図6(d)に示すように上方支圧板71は球体63上で左方向のY3方向に移動されて左方向への最大水平変位に達し、耐風装置90の水平耐力は例えば最大水平耐力に達する。
次に、上部構造体20が続けて今度は右方向への水平荷重を受けることにより、耐風装置90では左方向に作用する水平荷重が解除され、上部構造体20及び上方支圧板71が今度は右方向に変位しようとする。この右方向へ変位しようとする段階、すなわち、水平荷重が解放されている状態において、球体63は上方支圧板71からの拘束が解除される。その結果、図6(e)に示すように、第2窪み62の湾曲面62aに沿って、球体63は第2窪み62の中央位置に向かってY4方向に自動的に戻される(復帰される)。
このように、作用する水平荷重の方向が変更されるごとに、球体63が上方支圧板71から解放される際に、球体63は下方支圧板61の中央位置に向かって自ら転動しながら戻ることになる。そのため、従来の耐風装置のように、上方支圧板に球体が食い込みながら戻されることはなくなり、このことに起因して上方支圧板が損傷するといった問題は生じなくなる。
次に、図7を参照して、従来の耐風装置と実施形態に係る耐風装置における、免震層の有する耐風拘束力の違いについて説明する。ここで、図7(a)は従来の免震層における耐風拘束力を説明する図であり、図7(b)は実施形態に係る免震層における耐風拘束力を説明する図である。
図7(a)に示すように、従来の耐風装置では、摩擦ストッパーの最大水平耐力(解放荷重のピーク値)が最大となる際の免震層の水平変位u1と、免震装置を構成する減衰ダンパーが降伏耐力に達する免震層の水平変位u2の間に乖離があった。そのため、摩擦ストッパーが最大水平耐力に達し、解放されて耐力が低下した辺りで減衰ダンパーが降伏耐力に達することにより、耐風装置、減衰ダンパー、及び免震支承の有する各耐風力が合算された免震層の耐風拘束力Q1は低い値になる傾向にあった。そのため、所定の風荷重に抵抗するための耐風装置の数は多くなる傾向にあった。
これに対して、図7(b)に示すように、実施形態に係る耐風装置では、第2窪み62の平面寸法が球体63の平面寸法よりも大きく設定されており、減衰ダンパー40が降伏耐力に達する免震層102の水平変位u4と、耐風装置90が最大水平耐力に達する免震層102の水平変位u2を同一もしくは近接させるようにクリアランスG(図中のu3)が設定されていることにより、免震層の耐風拘束力Q2は耐風拘束力Q1に比べて格段に大きな値となり得る。そのため、所定の風荷重に対する免震層102内に配設される耐風装置90の数を可及的に低減することが可能になる。
<被せり上がり体の変形例>
次に、図8を参照して、被せり上がり体の変形例について説明する。ここで、図8(a)乃至図8(c)はいずれも、被せり上がり体の変形例を示す縦断面図である。
まず、図8(a)に示す被せり上がり体60Aは、下方支圧板61が中央位置において円柱状の座ぐり66を有し、この座ぐり66内に、湾曲面67aを有するブロック部材67が嵌め込まれて第2窪み62を形成している。被せり上がり体60Aは、座ぐり66を有する下方支圧板61と、座ぐり66に収容されているブロック部材67と、球体63とを有する。
被せり上がり体60Aによれば、円柱状の座ぐり66に対して湾曲面を有する多様な形態のブロック部材67を嵌め込むことが可能になる。すなわち、例えば球体63と第2窪み62の間のクリアランスを変更したい場合や、湾曲面の形態を変更したい場合において、多様な形状形態で、かつ多様なクリアランスを設定可能なブロック部材67の中から、所望のブロック部材67を選定して座ぐり66に嵌め込むことができる。
一方、図8(b)に示す被せり上がり体60Bは、ドーム状の第2窪み68を有する下方支圧板61と、球体63とを有する。第2窪み68がドーム状であることから、球体63が第2窪み68から下方支圧板61の上面にスムーズに乗り上がることができる。
さらに、図8(c)に示す被せり上がり体60Cは、筒状の端壁の下方に円錐面を備えた下方支圧板61と、球体63とを有する。被せり上がり体60Cによっても、図1及び図4に示す被せり上がり体60と同様の機能および効果が奏される。
[第2実施形態に係る耐風装置]
次に、図9を参照して、第2実施形態に係る耐風装置の一例を説明する。ここで、図9は、第2実施形態に係る耐風装置を備えた免振建物の一例の縦断面図である。図9に示す耐風装置90Aにおいて、せり上がり体70Aは、上方支圧板71がその下面に突起74を備えて構成されており、被せり上がり体60は、突起74の一部が収容される第2窪み62を上面に有する下方支圧板61により形成されている。
突起74はその先端が半球状に滑らかに成形されており、第2窪み62の湾曲面上でスムーズに摺動できるようになっている。そして、第2窪み62の平面寸法は、突起74の平面寸法よりも大きく設定されている。
第2窪み62の平面寸法が突起74の平面寸法よりも大きいことにより、風荷重が作用して上方支圧板71が移動し、突起74が第2窪み62の壁面に到達するまでの間に所定のクリアランスGが存在することになる。そのため、風荷重に対して耐風装置90Aが機能するまでの上方支圧板71の変位量を長くすることが可能になる。このように風荷重が作用した際の耐風装置90Aが機能するまでの変位量が長くなることにより、風荷重に対して耐風装置90Aが機能する際に、同様に免震層102に配設されている免震装置50にも風荷重を負担させることができ、結果として免震層102に設置される耐風装置90Aの数を低減することができる。
尚、突起74の先端形状は、円錐状、半球状、平面状などの形態があり、突起74が円錐状の場合は突起74の先端が曲率を有し、突起74が平面状の場合は平面のエッジが曲率を有しているのがよい。さらに、被せり上がり体60である下方支圧板61の有する第2窪み62のエッジも、曲率を有しているのがよい。
[下方支圧板に対して球体を介して上方支圧板に水平振動を付与する実験であって、上方支圧板が一方の方向への変位から他方の方向への変位に反転した後の残留水平荷重の有無を検証する実験]
本発明者等は、上方支圧板に対して球体を介して下方支圧板に水平振動を付与する実験であって、上方支圧板が一方の方向への変位から他方の方向への変位に反転した後の残留水平荷重の有無を検証する実験を行った。図10は、実験装置(実施例)の概要を説明する図である。尚、比較例に係る実験装置として、窪み内において球体がスライドしない装置にて同様の実験を実施している。本実験において、試験体は、2つの摩擦ストッパー80を1組として周方向に等間隔に放射状に8組配置し、それらの中央に曲げ抵抗管が配置されている。載荷方法は2軸せん断試験機を用いた準静的な水平単調載荷(試験体の下側が動く)とし、変位0から+50mmまで水平変位させたのち、変位0まで戻す載荷態様とした。実施例、比較例ともに、摩擦ストッパーのボルト軸力は1本当たり35kNとし、上方支圧板の溝は角度45度の円錐形(エッジは面取りされている)である。比較例は下方支圧板の円筒状の窪み(孔径φ41mm、深さ25mm)にφ40mmの球体が収容されており、球体は実質的にスライドしない。一方、実施例は下方支圧板に設けられているφ60mmの窪みに対してφ40mmの球体が収容されており、お椀状(R=55mmの球面)の窪みの細深部における深さは26.5mmである。
図11は比較例の実験結果を示す図であり、図12は実施例の実験結果を示す図である。まず、図11より、比較例においては、大地震による水平荷重の解放後、上方支圧板が反転した際に球体が上方支圧板に食い込み、抵抗力が生じていることに起因して水平荷重(摩擦ストッパーの水平力)が残る結果となっている。このように水平荷重が残ってしまうと、大地震時に繰り返し作用する水平荷重により、上方支圧板に対する球体の食い込みが蓄積され、上方支圧板の損傷に至り得る。これに対して、図12より、実施例においては、大地震による水平荷重の解放後、球体は既に第2窪みの中央に自動的に復帰していることに起因して、球体の上方支圧板への食い込みは生じず、水平荷重が残らない結果となっている。そのため、球体の食い込みに起因して上方支圧板が損傷するといった問題は生じない。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10 :下部構造体
11 :基礎梁
12 :台座
20 :上部構造体
21 :床梁
22 :柱
23 :曲げ抵抗鋼管
30 :免震支承
31 :上部プレート
32 :下部プレート
33 :積層ゴム体
34 :頭付きスタッドボルト
40 :減衰ダンパー
41 :上部プレート
42 :下部プレート
43 :ダンパーロッド
45 :頭付きスタッドボルト
50 :免震装置
60,60A :被せり上がり体
60B,60C :被せり上がり体
61 :下方支圧板
62 :第2窪み
62a :湾曲面
62b :端壁
63 :球体
66 :座ぐり
67 :ブロック部材
67a :湾曲面
68 :ドーム面
69 :円錐面
70,70A :せり上がり体
71 :上方支圧板
72 :第1窪み
73 :座ぐり
74 :突起
80 :摩擦ストッパー
81 :外板
82,84 :摩擦材
83 :中板
85 :ボルト(締付け調整具)
85a :ロードセル
90,90A :耐風装置
91 :スライドブッシュ
100 :免振建物
102 :免震層
G :クリアランス

Claims (6)

  1. 免震建物の免震層を構成する下部構造体と上部構造体の間において、減衰ダンパー及び免震支承により形成される免震装置とともに配設される耐風装置であって、
    前記下部構造体に固定された被せり上がり体と、
    前記被せり上がり体に対してせり上がり自在に配設されるとともに、前記上部構造体に対して上下移動自在に取り付けられ、該上部構造体から伝達される水平力によって該被せり上がり体に対してせり上がるせり上がり体と、
    前記上部構造体に取り付けられた摩擦ストッパーと、を備え、
    前記せり上がり体と前記摩擦ストッパーは相互に面接触した状態で締め付けられており、
    前記せり上がり体のせり上がりに伴って前記摩擦ストッパーに伝達される伝達荷重に対し、前記摩擦ストッパーの静止摩擦力が抗する耐風装置において、
    前記せり上がり体は、下面に第1窪みを備えている上方支圧板であり、
    前記被せり上がり体は、前記第1窪みに一部が収容される球体と、該球体の他部が収容される第2窪みを上面に備えている下方支圧板と、を有し、
    前記第2窪みの平面寸法が前記球体の平面寸法よりも大きいことを特徴とする、耐風装置。
  2. 免震建物の免震層を構成する下部構造体と上部構造体の間において、減衰ダンパー及び免震支承により形成される免震装置とともに配設される耐風装置であって、
    前記下部構造体に固定された被せり上がり体と、
    前記被せり上がり体に対してせり上がり自在に配設されるとともに、前記上部構造体に対して上下移動自在に取り付けられ、該上部構造体から伝達される水平力によって該被せり上がり体に対してせり上がるせり上がり体と、
    前記上部構造体に取り付けられた摩擦ストッパーと、を備え、
    前記せり上がり体と前記摩擦ストッパーは相互に面接触した状態で締め付けられており、
    前記せり上がり体のせり上がりに伴って前記摩擦ストッパーに伝達される伝達荷重に対し、前記摩擦ストッパーの静止摩擦力が抗する耐風装置において、
    前記せり上がり体は、突起を下面に有する上方支圧板であり、
    前記被せり上がり体は、前記突起の一部が収容される第2窪みを上面に有する下方支圧板であり、
    前記第2窪みの平面寸法が前記突起の平面寸法よりも大きいことを特徴とする、耐風装置。
  3. 前記第2窪みが、中心から端部に向かって窪み深さが浅くなる湾曲面を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の耐風装置。
  4. 前記第2窪みに対して、前記湾曲面を有するブロック部材が収容されていることを特徴とする、請求項3に記載の耐風装置。
  5. 前記減衰ダンパーが降伏耐力に達する前記免震層の変位量と、前記耐風装置が最大水平耐力に達する前記免震層の変位量が同一もしくは近接するように、前記第2窪みと前記球体の平面寸法におけるクリアランス、もしくは、前記第2窪みと前記突起の平面寸法におけるクリアランスが設定されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の耐風装置。
  6. 前記摩擦ストッパーは中板と外板を有し、該中板と該外板のそれぞれの対向面には摩擦材が取り付けられていて相互に摺動自在に面接触しており、
    前記中板と前記外板の一方は前記せり上がり体に取り付けられ、前記中板と前記外板の他方は前記上部構造体に取り付けられており、
    面接触している複数の前記摩擦材が、締付け調整具によって静止摩擦力が調整された状態で締付けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の耐風装置。
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