JP5491070B2 - 耐震補強部材及び耐震建築物 - Google Patents

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Description

本発明は、耐震補強部材及び耐震建築物に関し、特に、既存建築構造物の既存柱を補強し、地震等の外力で建築構造物の柱に生じた曲げ応力による柱の損傷・破壊を防止する耐震補強部材、及び該補強部材によって補強した耐震建築物に関する。
現在の建築構造物は、大きな地震が発生する場合を想定して高い耐震レベルが要求されているため、安全性は確保されている。しかし、旧耐震設計基準で建設された既設の建築構造物の中には、大きな地震に対する耐力が不足するものもあり、該建築構造物の基礎部に積層ゴム支承等の免震装置を配し、建築構造物の揺れそのものを抑制するレトロフィット免震技術を適用する場合がある。
また、本出願人は、レトロフィット免震の代替技術として、積層ゴム支承を利用した、特に既設の建物の1階部分に設けた壁のない空間であるピロティ等に好適に適用することのできる建物の耐震改修装置及び耐震改修方法を提案した(特許文献1参照)。
しかし、一般的に耐震性が不足していると判断された建築構造物には、梁、柱、ブレースなどの構造部材を補強し、建築構造物の耐震性を向上させる手段が多く採用されているのが実情であり、様々な補強方法が検討されている。特に、地震により被害を受けた建築構造物によく見られる柱の損傷に対する損傷防止技術が種々提案されている。
例えば、特許文献2には、既存の鉄筋コンクリート柱の表面に弾性接着剤を塗布して絶縁フィルムを貼着し、その後接着剤を塗布して繊維シートを貼付巻回し、次いで固化接着剤を塗布するRC柱の耐震補強方法が開示されている。
また、特許文献3には、既存の鉄筋コンクリート又は鉄骨鉄筋コンクリート構造物における柱・梁接合部の上下に、帯状の鋼板の他に、炭素、アラミド又はガラス繊維シートを適宜組み合わせた補強部材を巻装する耐震補強構造が開示されている。
さらに、特許文献4には、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造構造物の柱梁仕口部における既存大梁の曲げに対する耐震補強方法として、補強プレートを柱梁仕口部の既存柱と既存大梁に密着させ、PC鋼棒とナット及びアンカーにより既存大梁に締め付け圧着させる技術が開示されている。
また、特許文献5には、柱部材の脚部を根巻き部材により補強する耐震補強構造において、柱脚部と根巻き補強部材との間に緩衝部を設け、この緩衝部によって、外力が脚部に発生させる曲げモーメントを損失させ、基礎部と脚部との間の破壊を防止する技術が記載されている。
特開2007−132038号公報 特開平10−46835号公報 特開平10−238138号公報 特開平11−2031号公報 特開2001−173241号公報
特許文献2に記載の既存柱の補強方法では、既存柱と巻回する炭素繊維シートとの間に絶縁層が設けられているため、補強用の炭素繊維シートへの応力集中を防止することができ、RC柱の軸変形を大きく取ることができる。しかし、この方法は、既存柱全体を補強するものであり、既存柱の曲げ強度を大きくすることができないという問題があった。
一方、特許文献3に記載の既存柱の柱・梁接合部の耐震補強構造は、既存柱の上下部分に、帯状の鋼板の他、炭素、アラミド又はガラス繊維シートで補強し、柱・梁接合部のせん断強度と、靭性を増大させるものであるが、既存柱の曲げ・せん断強度を大きくするものではなく、また、既存柱内に配されている鉄筋、特に主筋の定着の問題から、十分な補強ではなかった。
また、特許文献4に記載の耐震補強方法では、既存の柱を一切傷つけずに、既存梁の曲げに対する補強を行うことができるが、既存大梁の軸線と直角方向にPC鋼棒を貫通させる作業や、既存大梁へ複数のアンカーを打ち込む作業が必要となるため、補強工事自体が大掛かりとなり、騒音、粉塵対策も必要となる。その上、補強に相当の時間を費やすため、既存柱の周辺は使用できない状況を余儀なくされる。さらに、大梁を補強しているものの、柱自体を補強していないため、柱の湾曲により柱・梁接合部に曲げモーメントが加わり、大梁に過大な引張力が作用する虞がある。
さらに、特許文献5に記載の技術では、基礎部材上に立設した柱部材の脚部を根巻き部材で補強する際に、柱部材の脚部と根巻き補強部材との間に緩衝部が配されるため、基礎が負担する曲げモーメントを軽減できるものの、根巻き部材は、基礎と鉄筋とをアンカーボルトで一体化し、該基礎上に型枠を組んでコンクリートを打設して施工するため、補強工事自体が大掛かりとなり、容易に施工できない。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、既存建築物の柱の曲げ補強工事を行うに当たって、柱を含めた既存建築物に一切傷をつけず、大掛かりな工事を必要とせず、容易に施工可能で、効果的に柱を補強することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、耐震補強部材であって、水平方向に延出した複数の部材からなり、各々の部材の水平方向の一端は既存建築物の柱の下端部から所定の距離を隔てた該柱の側面を挟持するように該側面に押圧され、各々の部材の他端下部面は該柱の下端部が固定された下部構造物に当接し、前記一端は、前記耐震補強部材が装着されていない部分の前記柱の高さHの2分の1を前記柱の前記押圧方向幅Wで割った数値(以下、シアスパン比という。シアスパン比=H×0.5÷W)が0.75以上1.5以下となる位置に押圧されることを特徴とする。
そして、本発明によれば、地震等の外力により既存建築物の柱に曲げモーメントが生じようとすると、該複数の部材からなる耐震補強部材が下部構造物から反力を受けて所謂アウトリガーとして圧縮側にのみ作用するため、効果的に柱に生じる曲げモーメントに対する補強を行うことができる。また、耐震補強部材が既存建築物の下部構造物に当接しているものの、アンカー等で固定されていないため、既存建築物に傷をつけることがない。さらに、耐震補強部材を下部構造物に当接するように既存柱に固定するだけでよいので、施工が容易で、耐震補強部材を軽量化することもでき、意匠面でも種々工夫を施すことができる。
また、耐震補強部材を構成する複数の部材は、柱を挟持するだけであり、該複数の部材同士をPC鋼棒等で一体化して柱に固定すればよいため、一切既存の柱及び梁に傷をつけることがない。また、補強工事に先立ち、予め施工場所以外の工場等で該複数の部材を製作し、施工現場へ搬入後直ちに柱を挟持して該複数の部材を一体化することが可能なため、大幅に施工時間を短縮することができる上、既存建築物を使用しながら簡単に補強工事をすることができる。
さらに、前記一端を、シアスパン比が0.75以上1.5以下となる位置に押圧することで、柱の曲げ補強における主筋の定着の問題を回避し、柱の下端部又は上端部に作用する曲げモーメントを十分低減することができる。また、本耐震補強部材を備えた柱は、その全長が実質的に短くなり、所謂短柱化されたものとみなされる。従って、柱の下端部から所定の距離を隔てた位置と上端部との間、又は柱の上端部から所定の距離を隔てた位置と下端部との間では、曲げモーメントを考慮する必要がなく、該部分を単純なせん断補強で賄うことができ、柱の耐震性を大幅に向上させることができる。また、設計面でも前記部分はせん断破壊モードとして明確になるため、単純で信頼性の高い構造設計を行うことができる。
また、本発明は、耐震補強部材であって、水平方向に延出した複数の部材からなり、各々の部材の水平方向の一端は既存建築物の柱の上端部から所定の距離を隔てた該柱の側面を挟持するように該側面に押圧され、各々の部材の他端上部面は該柱の上端部が固定された上部構造物に当接し、前記一端を、前記耐震補強部材が装着されていない部分のシアスパン比が0.75以上1.5以下となる位置に押圧することができ、上記発明と同様の作用効果を奏する。
前記水平方向の一端は、前記柱の前記下端部又は前記上端部から前記所定の距離に至るまでの側面に押圧されることができ、曲げモーメントに対する補強を行うことができるとともに、柱と耐震補強部材との接触面積が増加するため、モーメントを確実に柱に伝達することが可能となるとともに、柱側面への過大な応力集中を防ぎ得て、柱表面の損傷を防ぐことが可能となり、耐久面においても好ましい。
上記耐震補強部材において、前記他端下部面又は他端上部面と前記下部構造物又は上部構造物との間に介在する緩衝部材を有するように構成することができる。これにより、耐震補強部材と下部構造物又は上部構造物との局所的な当接を防止できる上、柱の下端部又は上端部に回転方向の減衰を与えることが可能なため、下端部又は上端部に加わるエネルギーを吸収することができる。
上記耐震補強部材において、前記柱の下端部から前記所定の距離を隔てた位置と前記柱の上端部との間の側面、前記柱の上端部から前記所定の距離を隔てた位置と前記柱の下端部との間の側面、又は前記柱の下端部から前記所定の距離を隔てた位置と前記柱の上端部から前記所定の距離を隔てた位置との間の側面に巻装したせん断補強部材を有するように構成することができる。また、前記せん断補強部材として繊維巻回部材又は鋼板圧着部材を用いることができる。これによって、せん断補強部材の施工に当たり、柱の軸方向の脆性を考慮する必要がなく、柱に傷をつけずに施工現場で容易にせん断補強を行うことが可能となる。
また、本発明は、耐震建築物であって、上記いずれかの耐震補強部材で補強した柱を備えることができる。これによれば、既存建築物の補強工事に費やす現場作業時間を短くすることができ、施工が容易で、低コスト化が可能になる。また、既存建築物を使用しながら施工することができ、旧耐震基準で建築された建築構造物を大きな地震が生じても安全性の高い建築構造物にすることが可能となる。
以上のように、本発明によれば、既存建築物の柱の曲げ補強工事を行うに当たって、柱を含めた既存建築物に一切傷をつけず、大掛かりな工事が不要で、容易に施工可能で、効果的に柱を補強することができる。
図1及び図2は、本発明にかかる耐震補強部材の第1の実施形態を示し、図1は、この耐震補強部材を既存建築物の柱に装着する方法を説明するための分解斜視図であり、図2は、耐震補強部材の取付けが完了した状態を示す。
柱2は、既存建築物の下部構造物1の床面1a上に立設され、コンクリート支柱であっても、鉄骨柱であってもよい。
耐震補強部材3は、鋼材、高強度コンクリート材料、繊維強化樹脂材料等により形成された2つの水平部材4、5からなり、水平部材4、5を合わせることにより、柱2の下端部近傍を挟持する。水平部材4、5は、互いの接合面10について面対称に形成され、各々の下部の内面には、凹部4d、5dが形成される。水平部材4、5は、貫通孔4a、5aを貫通するPC鋼棒6と、平座金7と、ナット8とで柱2の下端部に一体的に押圧される。尚、水平部材4、5等は、工場等で予め製作し、補強対象の柱2を備えた既存建築物の施工現場へ搬入し、柱2に装着する。
水平部材4及び5が柱2に装着された状態では、図2に示すように、柱2が水平部材4、5の押圧面(当該水平方向の一端)4b、5bで挟持され、水平部材4、5の底面(他端下部面)4c、5cが下部構造物1の床面1aに当接している。尚、図1では図示を省略しているが、柱2の上端部側(上部構造物11側)にも耐震補強部材3と同様の構成を有する耐震補強部材13が押圧されている。
図2に示すように、柱2に耐震補強部材3を装着した状態では、地震等の外力により柱2に曲げモーメントが生じようとすると、水平部材4又は/及び水平部材5が下部構造物1の床面1aから底面4c又は/及び底面5cを介して反力を受け、所謂アウトリガーとして圧縮側にのみ作用し、耐震補強部材3が、柱2に生じる曲げモーメントに対する補強部材として機能する。また、柱2は、水平部材4、5を装着したことで、その全長Lが実質的に短くなり、所謂短柱化されたものとみなされ、水平部材4、5を装着していない中間部14では、曲げモーメントを考慮する必要がなく、中間部14を単純なせん断補強で賄うことができ、柱2の耐震性を大幅に向上させることができる。
上記耐震補強部材3において、水平部材4、5の高さAを、耐震補強部材取付け後のシアスパン比が0.75以上1.5以下になるように設定する。これにより、柱2の曲げ補強における主筋の定着の問題を回避し、柱2の下端部に作用する曲げモーメントを十分低減することができる。尚、上記シアスパン比の適正範囲については、本欄の最後に実験例を示す。
また、耐震補強部材3の施工の際には、上述のように、水平部材4、5を含む各部材を工場等で予め製作し、既存建築物に搬入して柱2に装着するだけで済むため、補強工事を容易かつ短時間に行うことができ、補強工事中も既存建築物を継続して使用することができる。
さらに、上述のように、水平部材4、5の底面4c、5cは、下部構造物1の床面1aに当接しているものの、アンカー等で固定されていないため、既存建築物に傷をつけることがない。さらに、水平部材4、5の押圧面4b、5bも、柱2を挟持しているだけであるため、柱2に傷をつけることもない。
次に、本発明にかかる耐震補強部材の第2の実施形態について、図3及び図4を参照しながら説明する。
上記第1の実施形態では、図1及び図2に示すように、既存建築物の柱2を、水平部材4、5の凹部4d、5dを除く押圧面4b、5bで挟持したが、本実施の形態では、既存建築物の柱2を、水平部材34、35の側面の全面で挟持していることが特徴である。尚、以下の説明において、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の参照番号を付してその説明を省略する。
耐震補強部材33は、鋼材、高強度コンクリート材料、繊維強化樹脂材料等により形成された2つの水平部材34、35からなり、水平部材34、35を合わせることにより、柱2の下端部近傍を挟持する。水平部材34、35は、互いの接合面40について面対称に形成され、水平部材34、35の各々には、凹部34d、35dが形成される。水平部材34、35は、貫通孔34a、35aを貫通するPC鋼棒6と、平座金7と、ナット8とで柱2の下端部に一体的に押圧される。水平部材34、35等の部材は、工場等で予め製作し、補強対象の柱2を備えた既存建築物の施工現場へ搬入し、柱2に装着する。
水平部材34、35が柱2に装着された状態では、図4に示すように、柱2が水平部材34、35の押圧面(当該水平方向の一端)34b、35bで挟持され、水平部材34、35の底面(他端下部面)34c、35cが下部構造物1の床面1aに当接している。尚、図3では図示を省略しているが、柱2の上端部側(上部構造物11側)にも耐震補強部材33と同様の構成を有する耐震補強部材43が押圧されている。
本実施の形態においても、上記第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができ、さらに、本実施の形態では、既存建築物の柱2を、水平部材34、35の側面の全面で挟持しているため、柱2への曲げモーメントに対する補強を行うことができるとともに、柱2と水平部材34、35との接触面積が増加するため、モーメントを確実に柱に伝達することが可能となるとともに、柱側面への過大な応力集中を防ぎ得て、柱表面の損傷を防ぐことが可能となり、耐久面においても好ましい。尚、水平部材34、35の柱2の側面への押圧力は、大きい方が水平部材34、35が滑らないため有利であり、押圧面34b、35bの損傷がなく、PC鋼棒等の締結部材が降伏しない範囲で大きくとることが好ましい。
次に、本発明にかかる第3の実施形態について、図5を参照しながら説明する。本実施の形態は、図3及び図4に示した第2の実施形態において、耐震補強部材33と下部構造物1との間に緩衝部材51を、耐震補強部材43と上部構造物11との間に緩衝部材52を介在させたことを特徴とする。尚、以下の説明において、第2の実施形態と同一の構成要素については、同一の参照番号を付してその説明を省略する。
緩衝部材51、52としては、ゴム板や積層ゴム体などの弾性部材が好ましいが、圧縮変形量が大きくならない程度、換言すれば既存柱2の中に配されている鉄筋、特に主筋の定着に支障のない範囲の圧縮変形量を許容するものであり、一般的には耐震補強部材33と下部構造物1又は耐震補強部材43と上部構造物11との局所的な当接を防止できる程度の可及的に薄い弾性部材が好ましい。
緩衝部材51、52の取付けは、例えば、緩衝部材51を耐震補強部材33の対向面33aの形状に加工した後、対向面33aに貼着してもよく、また、下部構造物1上の耐震補強部材33が設置される位置に予め緩衝部材51を載置し、載置した緩衝部材51の上で耐震補強部材33を柱2に押圧してもよい。
これら緩衝部材51、52を設けることにより、耐震補強部材33、43と下部構造物1又は上部構造物11との局所的な当接を防止できる上、柱2の下端部又は上端部に回転方向の減衰を与えることが可能となり、下端部又は上端部に加えられるエネルギーを吸収することができる。尚、本例では、図3及び図4に示した第2の実施形態について説明したが、図1及び図2に示した第1の実施形態において、水平部材の底面4c、5cと、床面1aとの間に緩衝部材51を配してもよい。
次に、本発明にかかる第4の実施形態について、図6を参照しながら説明する。本実施の形態は、図3及び図4に示した第2の実施形態において、耐震補強部材33と耐震補強部材43との間の柱2の側面にせん断補強部材61を巻装したことを特徴とする。尚、以下の説明において、第2の実施形態と同一の構成要素については、同一の参照番号を付してその説明を省略する。
せん断補強部材61としては、例えば、炭素繊維やガラス繊維からなる繊維巻回部材や鋼板圧着部材が挙げられる。せん断補強部材61を柱2に巻装するには、例えば、柱2の側面に固化接着剤61aを塗布した後、炭素繊維シート等のせん断補強部材61を巻装することができる。
本実施の形態によれば、耐震補強部材33と耐震補強部材43との間の柱2の側面にせん断補強部材61を巻装するため、せん断補強部材61の施工に当たり、柱2の軸方向の脆性を考慮する必要がなく、柱2に傷をつけずに施工現場で容易にせん断補強を行うことが可能となる。
尚、上記第1乃至第4の実施形態においては、耐震補強部材が2つの半割り水平部材で構成されているが、単一の水平部材で柱2を補強するように構成することもでき、さらに、3つ以上の水平部材で耐震補強部材を構成し、各々の水平部材同士をPC鋼棒等で緊結し、柱2を一体的に挟持するように構成することもできる。
また、上記第1乃至第4の実施形態においては、柱2の下端部及び上端部の双方に耐震補強部材が押圧されているが、柱2の下端部又は上端部のいずれかに耐震補強部材を設置してもよい。
さらに、上記の実施形態においては、柱2の横断面形状が長方形又は正方形の場合について説明したが、図7に示すように、柱72の横断面形状が円形であってもよく、柱72の側面形状に合わせて形成された押圧面(当該水平方向の一端)で柱72を挟持することができ、下部構造物1の床面1aと当接する底面(他端下部面)を有する水平部材74、75を備え、柱72と同様に全体が円柱状に形成された耐震補強部材73を用いることができ、上記第1乃至第4の実施形態と同様の効果に加え、意匠面でも工夫を凝らすことができる。
次に、柱への水平部材の取付け高さと柱の破壊形式を確認するために行った、水平部材取付け後の柱のシアスパン比をパラメータとした静的加力実験について説明する。
実験に用いた柱は、実在のRC造ピロティ建物の1階柱を対象建物とした縮尺1/3の既存RC柱試験体であり、水平部材を取り付けない状態のシアスパン比は2.0である。尚、柱の主筋に8−D13 SD345を用い、帯筋に2−D6@100 SD295を用いた。該RC試験体の柱断面を図8に、主要諸元を表1に示す。
Figure 0005491070
このRC柱試験体の柱頭・柱脚部に、水平部材(図3及び図4に示した水平部材34、35と同様の形状)を柱頭・柱脚部で各々4本のPC鋼棒(図3及び図4に示した4本のPC鋼棒6と同様に配置)を用いて取り付け、静的加力用柱試験体とした。4本のPC鋼棒には等しく導入力を与え、圧着合力の大きさは、確実な曲げ戻し効果を得るために600KNに設定した。水平部材の高さは3水準とし、水平部材の取付け後のシアスパン比を0.75、1.0、1.5とし、これら静的加力用柱試験体各々に対し、187kNの一定鉛直荷重を柱軸方向に載荷した状態で、水平方向に正負交番繰り返し静的加力実験を行った。
実験の結果、水平部材を取り付けた静的加力用柱試験体すべてにおいて、柱端部の主筋の引張降伏が抑制され、柱中央部でのせん断破壊が先行する破壊形式を得ることができた。これは、図9に示すシアスパン比1.0の水平荷重−水平変形関係から、せん断破壊後に水平抵抗力が急激に低下していることからも判る。
これに対し、水平部材を取り付けない状態のシアスパン比2.0の柱に対し同様な実験を行うと、図10に示す水平荷重−水平変形関係から判るように、変形が大きくなっても水平抵抗力を維持している状態であった。そして、最終的には柱端部の主筋が引張降伏した後で抵抗力が喪失した。
この実験から、柱頭・柱脚への水平部材取付けにより、取付け後の柱のシアスパン比を少なくとも0.75から1.5に調整することにより、既存RC柱の曲げ耐力を上昇させ、水平抵抗力を急激に喪失するせん断破壊性状とすることができる結果、当該部分を単純なせん断補強で賄うことができ、柱の耐震性を大幅に向上させることができ、さらに、設計面でも水平部材取付け以外の部分がせん断破壊モードとして明確になるため、単純で信頼性の高い構造設計を行うことができる。
本発明の第1の実施形態にかかる耐震補強部材を既存建築物の柱に装着する方法を説明するための分解斜視図である。 図1の耐震補強部材を既存建築物の柱に装着した状態を示す正面図である。 本発明の第2の実施形態にかかる耐震補強部材を既存建築物の柱に装着する方法を説明するための分解斜視図である。 図3の耐震補強部材を既存建築物の柱に装着した状態を示す正面図である。 本発明の第3の実施形態にかかる耐震補強部材を既存建築物の柱に装着した状態を示す正面図である。 本発明の第4の実施形態にかかる耐震補強部材を既存建築物の柱に装着した状態を示す正面図である。 既存建築物の横断面円形状の柱に本発明にかかる耐震補強部材を装着する方法を説明するための分解斜視図である。 本発明にかかる耐震補強部材の静的加力実験に用いたRC柱試験体の柱断面図である。 本発明にかかる耐震補強部材の静的加力実験において、シアスパン比が1.0の場合の水平荷重−水平変形関係を示すグラフである。 本発明にかかる耐震補強部材の静的加力実験において、シアスパン比が2.0の場合の水平荷重−水平変形関係を示すグラフである。
1 下部構造物
1a 床面
2 柱
3 耐震補強部材
4 水平部材
4a 貫通孔
4b 押圧面
4c 底面
4d 凹部
5 水平部材
5a 貫通孔
5b 押圧面
5c 底面
5d 凹部
6 PC綱棒
7 平座金
8 ナット
10 接合面
11 上部構造物
13 耐震補強部材
14 中間部
33 耐震補強部材
33a 対向面
34 水平部材
34a 貫通孔
34b 押圧面
34c 底面
34d 凹部
35 水平部材
35a 貫通孔
35b 押圧面
35c 底面
35d 凹部
40 接合面
43 耐震補強部材
51 緩衝部材
52 緩衝部材
61 せん断補強部材
61a 固化接着剤
72 柱
73 耐震補強部材
74 水平部材
75 水平部材

Claims (7)

  1. 水平方向に延出した複数の部材からなり、各々の部材の水平方向の一端は既存建築物の柱の下端部から所定の距離を隔てた該柱の側面を挟持するように該側面に押圧され、各々の部材の他端下部面は該柱の下端部が固定された下部構造物に当接し、
    前記一端は、前記耐震補強部材が装着されていない部分の前記柱の高さHの2分の1を前記柱の前記押圧方向幅Wで割った数値(以下、シアスパン比という。シアスパン比=H×0.5÷W)が0.75以上1.5以下となる位置に押圧されることを特徴とする耐震補強部材。
  2. 水平方向に延出した複数の部材からなり、各々の部材の水平方向の一端は既存建築物の柱の上端部から所定の距離を隔てた該柱の側面を挟持するように該側面に押圧され、各々の部材の他端上部面は該柱の上端部が固定された上部構造物に当接し、
    前記一端は、前記耐震補強部材が装着されていない部分の前記柱の高さHの2分の1を前記柱の前記押圧方向幅Wで割った数値(以下、シアスパン比という。シアスパン比=H×0.5÷W)が0.75以上1.5以下となる位置に押圧されることを特徴とする耐震補強部材。
  3. 前記水平方向の一端は、前記柱の前記下端部又は前記上端部から前記所定の距離に至るまでの側面に押圧されることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐震補強部材。
  4. 前記他端下部面又は他端上部面と前記下部構造物又は上部構造物との間に介在する緩衝部材を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の耐震補強部材。
  5. 前記柱の下端部から前記所定の距離を隔てた位置と前記柱の上端部との間の側面、前記柱の上端部から前記所定の距離を隔てた位置と前記柱の下端部との間の側面、又は前記柱の下端部から前記所定の距離を隔てた位置と前記柱の上端部から前記所定の距離を隔てた位置との間の側面に巻装したせん断補強部材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の耐震補強部材。
  6. 前記せん断補強部材は、繊維巻回部材又は鋼板圧着部材であることを特徴とする請求項5に記載の耐震補強部材。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の耐震補強部材で補強した柱を備えることを特徴とする耐震建築物。
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