JP6833292B2 - 屋根耐震構造 - Google Patents

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本発明は、体育館等の建物の本体架構の上に乗せた、置き屋根形式の屋根架構の支承部に対して、耐震性能を向上させる技術に関する。
近年の大地震(平成23年東北地方太平洋沖地震、平成28年熊本地震等)により、体育館等において、RC造の本体架構の上に乗せた置き屋根形式の屋根架構の支承部(アンカーボルトやコンクリート)の被害が多発し、問題視されている。
実際の地震水平荷重の方が想定よりも大きい場合、屋根架構の支承部において、アンカーボルトの破断やアンカーボルトに押された周囲のコンクリートに破壊が生じることがある。屋根からの鉛直荷重を支えている支承部にそのような損傷が生じると、コンクリート破片落下による人的被害だけでなく、復旧する時の修復困難性を高める結果となる。
これらの地震被害を教訓として、屋根架構への地震入力を抑制して、建物の耐震性向上を図る技術的提案がされている。
屋根架構への地震入力を低減して支承部への反力を抑制する技術に関連した文献として、例えば、特許文献1では、支承部を水平2方向に移動可能にしておき、その支承部に、鋼棒、摩擦、粘性体等のダンパー部材を連結することによって、地震時に、屋根架構とそれを支持する下部構造とが相対的に水平変位を生じた場合、前記ダンパーがエネルギーを吸収して、屋根架構および支承部への作用力を抑制する支承部構造が開示されている。この開示技術は、所謂屋根免震を目指したものであり、支承部の浮き上がり拘束と水平2方向移動を可能とし、かつ個別支承部へのダンパー付加を前提としているので、構造がやや複雑である。
また、特許文献2には、共通の一体型大屋根を利用して、それを支持する複数の構造物の地震応答を効果的に低減することを目的とした制振システムが開示されており、その大屋根と構造物とを連結して振動エネルギーを吸収するダンパー機構が説明されている。しかし、建物全体の高度な振動抑制を目的とするため、使用するダンパーは、性能確保の観点から高価なものにならざるを得ない。
非常に多くの体育館等の屋根架構の支承部における地震被害を軽減する、あるいは被災後の早期復旧という観点からは、特許文献1もしくは2のように機構が複雑あるいは高価な屋根免震や制振による高度な耐震性能の付与ではなく、より簡易かつ安価で手軽に採用し易い方法が望まれる。
特開2001−152696号公報 特開2011−256591号公報
本発明は、上記のような背景に鑑み、想定以上の地震水平荷重に対して、出来るだけ簡易かつ安価で、屋根架構の支承部の損傷を抑制する屋根耐震構造を提供するものである。
前記課題を解決するための本発明の手段は、以下の通りである。建物の本体架構上に置かれた屋根架構において、
(1)前記屋根架構の全ての支承部が、水平2方向共にローラーの支点条件を満たす構成になっている。
(2)相隣接する2つの前記支承部の中間位置において、前記屋根架構からの鉛直荷重は支持せず、上下と水平2方向を移動拘束された係留部が、前記本体架構の躯体に設置されており、前記支承部と前記係留部が水平方向に交互に配置されている
(3)前記支承部と前記係留部とは、弾塑性特性を有し軸力で抵抗する材料から成る連結部材で連結されている。
(4)前記連結部材は、前記係留部もしくは前記支承部の両側に連結され、かつ引張のみに抵抗する機構として組込まれている。
以上の構成を有する屋根耐震構造である。
また、本発明は、以上の何れかに記載の屋根耐震構造において、連結部材の一部をその連結部材のその他の部分よりも軸耐力が少し低いヒューズ部として加工し、もしくはそのような部位を着脱可能なヒューズ部材として連結部材に組み込んだことを特徴とする、屋根耐震構造である。
また、本発明は、以上の何れか1つに記載の屋根耐震構造において、連結部材と係留部または支承部との接合部、もしくはヒューズ部材と係留部または支承部との接合部において、連結部材およびヒューズ部材が圧縮力を伝達しない機構を組み込んだことを特徴とする、屋根耐震構造である。圧縮軸力が作用しない機構としては、例えば、圧縮力の作用方向に長軸を有する長孔(ルーズ孔)、或いは圧縮力の作用方向に伸縮するゴムやバネ等がある。
また、本発明は、以上の何れか1つに記載の屋根耐震構造において、連結部材の両端部は、例えば、鋼板を水平に用いた端部板であり、これらの端部板が、それぞれ支承部もしくは係留部の出来るだけ低い位置に、鉛直の1本ボルトにより接合されており、少なくとも一方の端部板に設けられた、前記1本ボルト用のボルト孔はルーズ孔であることを特徴とする、屋根耐震構造である。
更に本発明は、以上の何れか1つに記載の屋根耐震構造において、
(1)前記屋根架構の1または2以上の支承部と、それらの支承部に相対する前記屋根架構部分とを接続し、かつ前記連結部材の軸芯と概ね直交する方向に配設された直交連結部材であって、その直交連結部材の中間位置が、前記屋根架構を支える柱等の躯体から持ち出されたブラケットに接合されている。
(2)前記直交連結部材は、弾塑性特性を有し軸力で抵抗する材料(鋼材等)から成り、引張のみに抵抗するように取り付けられている。
以上の構成を有すること特徴とする、屋根耐震構造である。
本発明は、以上のような手段によるので、次のような効果が得られる。
(1)連結部材の軸耐力を、設計上の想定レベルの地震では弾性範囲に止まり、想定以上の大きな地震力が作用した場合には降伏するように断面を設計しておき、かつ係留部を十分強くしておけば、その連結部材が降伏するような大地震が発生した時、屋根架構が損傷を受ける前に、前記連結部材が先行して塑性化して、それ以上の地震入力を抑えると共に、地震エネルギーを吸収することにより、屋根架構の支承部と係留部に作用する地震力を抑制することが可能になるので、その支承部および周囲コンクリートの損傷を軽減できる。
(2)連結部材が降伏するまでは、各係留部への地震水平反力分布はばらつきがあり、特定の係留部に反力が集中することがあるが、想定以上の大地震では、その特定の係留部に連結された連結部材を降伏させることにより、水平反力の再分配が促されるので、特定の係留部への水平反力集中が緩和され、その損傷が回避されるという効果もある。
(3)構成が単純なので、弾塑性特性を有し、安価な鋼材を連結部材に用いれば、低コ
ストで耐震性の高い屋根架構の支承部が実現可能である。
(4)地震力による損傷を連結部材に集中させるため、連結部材の取り替えのみで修復可能であり、またその取り換えは簡単なので、修復費用が従来よりも大幅に安くなる。
(5)連結部材にヒューズ部材を組み込んだ場合は、ヒューズ部材のみが塑性化するため、そのヒューズ部材のみの取り換えで済むので、被災後の修復工事が、更に簡単かつ安価であり、かつ早期に実施し易い。
(6)万が一、係留部が損傷しても、屋根からの鉛直荷重を支持していないので、修復は比較的容易である。
(7)地震による連結部材降伏のために支承部の位置がずれていた場合、連結部材をジャッキに取り替えて、係留部を反力点として引張れば、容易に屋根を元の位置に戻すことができる。
(8)直交連結部材も設置した場合には、連結部材と同様にエネルギー吸収をするので、想定以上の地震力がどちらの方向から作用しても効果が発揮される。しかも、支承部を乗せた柱頂部の、地震力による建物内外方向への変位を抑制することができるので、屋根架構のみでなく、建物本体架構の損傷も減らすことができる。
以上のことから、地震後の被災建物の復旧が早期に実施され易いので、その建物の早期再使用に大きく寄与する。
体育館等の建物の1例であり、支承部が設置された軒レベルにおける本体架構の柱と梁、および屋根架構(一部)の伏図である。 本発明の第1実施例であり、図1のイ−イ線断面の拡大説明図である。 図2のロ−ロ線断面図であり、(a)は連結部材の配置および座屈変形状況(2重破線表示)、(b)は連結部材の曲げ変形状況を、それぞれ説明した図である。 本発明の第2実施例であり、図1のイ−イ線断面の拡大説明図である。 本発明の第3実施例であり、図1のイ−イ線断面の拡大説明図である。 本発明の第4実施例であり、係留部の詳細説明図である。 本発明の第5実施例の平面説明図である。 図7のハ−ハ線断面図である。 本発明の第6実施例であり、支承部が設置された軒レベルにおける本体架構の柱と梁、および屋根架構(主にトラス下弦材)の伏図に、直交連結部材の配置を示したものである。 図9のニ−ニ線断面の拡大説明図である。 本発明の第6実施例において、直交連結部材が圧縮を受けた時の変形状態を模式的に説明した図である。
本発明の実施例を、図1〜図11を参照して説明する。図1は、1例として、体育館等の建物において、支承部3、3、…が設置された本体架構1の軒レベル(柱1a、梁1b)の伏図であり、立体トラスから成る鉄骨構造の屋根架構2の一部を重ねて表示したものである。本体架構1はRC造等のRC系構造建物である。
屋根架構2の全ての支承部3、3、…は、水平2方向共にローラー(図1の十字矢印方向)の支点条件を満たす構成になっている。
図2は、本発明の第1実施例であり、図1のイ−イ線断面に対応する立面図を示す。屋根架構2からの鉛直荷重は、支承部3、3によって支持され、相隣接する支承部3、3の中間のトラス節点Aでは、後述の係留部4とは接続されておらず、鉛直荷重は支持していない。
支承部3には、そのベースプレートを貫通するアンカーボルト3a、3a、…の孔3b、3b、…の開口寸法が、水平2方向共アンカーボルト3a、3a、…の直径よりも一定寸法だけ大きく設定されており、水平2方向への移動が可能となっているが、浮き上がりはワッシャープレート3c、3c、…で抑える(図3(a)参照)。
一方、相隣接する2つの支承部3、3の中間位置に、係留部4が本体架構1の梁1b上に設置されている。係留部4は、屋根からの鉛直荷重は支持せず、上方向と水平2方向をアンカーボルト4a、4a、…で移動拘束されている(図3(a)参照)。
係留部4と支承部3、3とを、弾塑性特性を有し軸力で抵抗する材料、例えば鋼材から成る連結部材5、5で連結している。連結部材5と係留部4もしくは支承部3とは、連結板7、7と複数のボルトにて接合されている。
本発明は以上のような構成であるので、例えば、図1に図示の右向きの大きな矢印方向に、地震水平荷重が屋根架構2に作用した場合、その荷重は、屋根架構2から、Y1通りおよびY4通りの柱1a、1a、…の上に設置された支承部3、3、…に伝達されるが、これらの支承部3、3、…は水平2方向にローラーとなっているため、地震水平荷重は連結部材5、5、…を介して係留部4、4、…に伝達され、そして本体架構1に伝えられる。
この時、図2もしくは図3(a)に図示の細い矢印の方向に支承部3、3、…が移動しようとするので、圧縮軸力を受ける連結部材5では、座屈が問題となる。即ち、図3(a)に図示の連結部材5のように厚みの薄い鋼板では、2重破線で表示(5')のように湾曲変形を起し、係留部4への荷重伝達が出来なくなる。しかし、本実施例では、係留部4もしくは支承部3の両側に連結部材5、5が連結されているので、引張軸力が作用する反対側の連結部材5によって、前記地震水平荷重を係留部4に伝達することが可能となり、本体架構1に伝わる。
地震水平荷重が上記と直交方向に屋根架構2に作用した場合は、X1およびX5通りの柱1a、1a、…の上に設置された支承部3、3、…に伝達されるが、上記と同様、これらの支承部は水平2方向にローラーとなっているため、地震水平荷重は連結部材5、5を介して係留部4、4、…に伝達され、そして本体架構1に伝えられる。
以上のような荷重伝達機構なので、屋根架構2を設計する際に、連結部材5の軸耐力を、設計上の想定レベルの地震では弾性範囲に止まり、想定以上の大地震力が作用した場合には降伏するように断面を設計しておき、かつ係留部を十分強くしておけば、その連結部材5が降伏するような大地震が発生した時、屋根架構2が損傷を受ける前に、引張を受ける側の前記連結部材5が先行して塑性化して、それ以上の地震入力を抑えると共に、地震エネルギーを吸収することにより、支承部3、3、…と係留部4、4…に作用する地震力を抑制することが可能になるので、その支承部3、3、…と係留部4、4…および周囲コンクリートの損傷を軽減できる。
なお、図3の例では、連結部材5として厚みの薄い鋼板が用いられており座屈し易い部材だが、座屈しない座屈拘束ブレースや摩擦ダンパー等を用いることも可能である。但し、これらを用いれば、地震水平荷重の伝達はより効率的で、エネルギー吸収能力も高いが、通常の鉄骨部材に比べるとかなり高価であるため、その適用対象建物の重要度等を考慮することが望ましい。
また、図3において、支承部3、3は紙面上下方向にも移動可能だが、係留部4は移動拘束されているため、例えば、地震により、屋根架構2が紙面上方向に移動、または支持架構1が紙面下方向に移動すると、支承部3、3のみが図3(b)に図示の短い矢印方向に変位し、連結部材5、5は、その部材軸直交方向に、最大で、2方向ルーズ孔3bのクリアランス分の曲げを受けることになるが、連結部材5が曲げ剛性の低い部材(例えば、平鋼等)であれば、曲げ歪は僅かであり、連結部材5としての性能に影響を及ぼす程ではない。しかし、より剛性の高い部材(鋼管等)や前記座屈拘束ブレース等の場合には、その端部における曲げ歪が無視できないので、その両端部にヒンジを設けて、部材端の曲げを回避する工夫が必要である。
図4は、本発明の第2実施例であり、連結部材5の中央もしくは端部付近に、その他部分よりも軸耐力の低いヒューズ部5aを設けたものである。第1実施例ではどの部分も同断面であったので、引張軸力を受けた場合、一様に伸びるため軸剛性が低いが、第2実施例のようにヒューズ部5aを設けると、この短い区間に塑性変形が集中するので、この部分の軸断面積が第1実施例と同じであれば、降伏軸力は同じでも軸剛性の高い連結部材5を設計できる。即ち、連結部材5の軸剛性の調整が自由にできるという利点がある。
図5は、本発明の第3実施例であり、第2実施例のヒューズ部5aを分離してヒューズ部材6として、接合板7、7と複数のボルトにより、連結部材5Aもしくは5Bに着脱可能にしたものである。前述の第2実施例では、ヒューズ部5aを連結部材5と一体に作成しているため、地震後に取り換えが必要になった場合、長く重い連結部材5全体の取り替えを人力で行うことになるため、作業が大変である。
従って、塑性化をヒューズ部材6に集中させる第3実施例は、この部分のみの取り替えで済むので、被災後の修復工事が、第2実施例の場合よりも更に簡単かつ安価であり、かつ早期に実施し易い。
図6は、本発明の第4実施例である。連結部材5(5A、5B)の端部接合部が、接合板7、7と複数のボルトで剛に接合された場合、連結部材5(5A、5B)もしくはヒューズ部材6には圧縮軸力が作用しうるので、図3(a)に図示の2重破線(5’)のように座屈する可能性が高い。仮に座屈しても、引張側の連結部材5(5A、5B)によって荷重伝達機能は維持されるが、出来れば座屈は回避することが望ましい。
そこで、第4実施例では、連結部材5(5A、5B)と支承部3または係留部4、もしくはヒューズ部材6と支承部3または係留部4との接合部のボルト孔を、軸方向に一定長のルーズ孔にして、圧縮軸力が作用した時のみ、その接合部が滑るようにして、座屈を回避するようにしたものである。
図6はその納まりの1例であり、係留部4側のボルト孔のみをルーズ孔4b、4b、…として、係留部4と連結部材5(5A、5B)もしくはヒューズ部材6とを、接合板7、7と複数のボルトで接合した場合を示す。但し、ルーズ孔4b、4b、…に挿入するボルトは、連結部材5(5A、5B)もしくはヒューズ部材6が引張を受けた時には滑らないように、ルーズ孔4b、4b、…の外側端部に接触させて取り付ける。
また、連結部材5が圧縮を受けた時に、ルーズ孔4b、4b、…のボルトの締め付けによる摩擦力によって、滑りが阻害されないように工夫をする必要があるが、ルーズ孔4b、4b、…のボルトを締め付けた時の摩擦力を一定に保つように、皿ばね等を付加することも一つの工夫である。即ち、連結部材5が座屈しない程度の摩擦力が保持されるように、皿ばね等(図示せず)をルーズ孔4b、4b、…のボルトにて締め付けておけば、中小地震時において、滑り摩擦によるエネルギー吸収が期待できる。
図7と図8は、本発明の第5実施例を示す。連結部材5が設置されるのは、図2でも分かるように、本体架構1の軒部の梁1bと屋根架構2の軒梁(図2では下弦材2bに相当)とに挟まれた高さのない狭い空間である。従って、地震後に、連結部材5の取り替え作業を実施する場合には、狭い空間での手作業になるため、連結部材5と軒梁との隙間は少しでも広いことが望ましい。
そこで、第5実施例では、連結部材5の両端部を、鋼板を水平に用いた端部板5C、5Cとし、これらを支承部3もしくは係留部4の出来るだけ低い位置に取り付け、その接合は鉛直の太い1本ボルト10、10である。かつ、少なくとも一方の端部板5Cに設けた1本ボルト10用のボルト孔はルーズ孔10aであり、1本ボルト10は、連結部材5が引張抵抗できるように、ルーズ孔10aの一端に接触した状態となっている。
係留部4は、スペーサー4cにて端部板5Cを挿入する隙間4dを確保し、また、梁1bへの固定は、先行施工の係留部設置プレート40上に、精度よく位置決めした後、現場溶接する。
第5実施例は、以上のような構成なので、連結部材5と軒梁との隙間が比較的広くなると共に、地震時に、図3(b)の細い矢印方向に支承部3、3が水平変位を生じても、端部板5C、5Cの接合は鉛直の1本ボルトのため回転自由なので、連結部材5には曲げ変形は発生しない。また、端部板5Cのルーズ孔10aにより、図3(a)の細い矢印方向に支承部3、3が水平変位を生じても、圧縮側となる連結部材5は座屈(図3(a)の2重破線参照)を回避できる。
以上に記載の何れの実施例においても同じであるが、連結部材5もしくはヒューズ部材6が降伏するまでは、各係留部4、4、…への地震水平反力分布はばらつきがあり、特定の係留部4に反力が集中することが考えられる。その時、もしその特定の係留部5に接続された連結部材5等が降伏しなければ、前記特定の係留部4が損傷する可能性が高まるので、想定以上の大地震の時には連結部材5等が他の部位に先行して降伏するようにしておくことにより水平反力の再配分を促し、特定の係留部4への水平反力集中を緩和して、そのアンカーボルトや周囲コンクリートの損傷を回避することが可能になる。
なお、上記何れの実施例でも、係留部4は、相隣接する支承部3、3の中間に1箇所のみ設置されているが、これを2箇所に増やし、1つの支承部3を挟んで2つの係留部4、4と連結するようにしてもよい(図示せず)。
図9〜図11は、本発明の第6実施例であり、支承部3が設置された軒レベルにおける本体架構1の柱1aと梁1b、および屋根架構2のトラス下弦材2bの伏図に、直交連結部材50の配置を示したものである。また、図10は、図9のニ−ニ線断面の拡大図であり、直交連結部材50の設置状態を示したものである。
図9および図10に示すように、隅部を除く支承部3、3、…と、それらの支承部3、3、…に相対して近接する屋根架構2の下弦節点20、20、…とを接続し、かつ連結部材5、5、…の軸芯と概ね直交する方向に、直交連結部材50、50、…が配設されている。その直交連結部材50の中間点が、支承部3を支える柱1aの上部内面にアンカーボルト30b、30b、…で定着され、持ち出されたブラケット30の先端部30aに接合されている。但し、本実施例では、直交連結部材50は2分割されている(図10の50a、50b)。また、図9中、二重破線で示す斜めの下弦材2dは、直交連結部材50を挿入するために必要な補強材である。
直交連結部材50(50a、50b)は、引張のみに抵抗するように、回転できるように1本ピンで連結する連結板51を介して、両端部が接合されている。
直交連結部材50(50a、50b)はこのような形態なので、図11に示すように、直交連結部材50a(50b)が圧縮力Pを受けて、元の全長Lが短く(L´)なろうとすると、連結板51、51は、51a、51aのように回転を起すので、直交連結部材50a(50b)は座屈を起すことがない。
従って、図10の紙面左右方向の地震動によって図10の状態に対して、例えば、柱1aの頂部が右側に変位し、かつ屋根架構2が左に変位すると、ブラケット30の先端部30aとその右隣の下弦節点20とを連結する直交連結部材50aは、図11に示すように回転するので軸力を伝達しないが、ローラー支承である支承部3とブラケット30の先端部30aとを連結している直交連結部材50bは引張となり、柱1aの頂部が右側に変位するのを抑制しようとする。
なお、直交連結部材50は、弾塑性特性を有し軸力で抵抗する材料(鋼材等)を使用すれば安価である。
また、直交連結部材50a(50b)の一部の断面を減じて、図4の5aもしくは図5の6のようなヒューズ機能を組み込めば、直交連結部材50の降伏強度および軸剛性の調整が容易になる。
以上のようであるので、第6実施例のように、連結部材5だけでなく直交連結部材50も設置した場合には、連結部材5と同様に直交連結部材50もエネルギー吸収をするので、想定以上の地震力がどちらの方向から作用しても効果を発揮できる。しかも、支承部3を乗せた柱1aの頂部の、地震力による建物内外方向への変位を抑制することができるので、屋根架構2のみでなく、建物本体架構1の損傷も減らすことができる。
なお、以上の実施例においては、RC系構造の建物本体架構上に設置された屋根架構の支承部であったが、建物本体架構が鉄骨造の場合でも、支承部および係留部の設置場所が確保できれば、本発明の適用は可能である。
本発明は、RC系構造建物の本体架構の上に乗せた、置き屋根形式の屋根架構の支承部において、想定以上の大地震が発生した場合でも、支承部に作用する地震力を抑制して、アンカーボルトやコンクリートの被害を低減できる、簡易かつ安価な技術を提供できるので、建物の耐震性向上に貢献すると共に、被災建物(特に避難所となる多くの体育館等)の地震後の早期復旧および早期再使用にも大きく寄与する。
1:本体架構
1a:柱
1b:梁
2:屋根架構
2a:上弦材
2b、2d:下弦材
2c:ラチス材
3:支承部
3a:アンカーボルト
3b:2方向ルーズ孔
3c:ワッシャープレート
4:係留部
4a:アンカーボルト
4b:ルーズ孔
4c:スペーサー
4d:隙間
5、5’、5A、5B:連結部材
5C:端部板
5a:ヒューズ部
6:ヒューズ部材
7:接合板
10:1本ボルト
10a:ルーズ孔
20:下弦節点
30:ブラケット
30a:ブラケットの先端部
30b:アンカーボルト
40:係留部設置プレート
50、50a、50b:直交連結部材
51、51a:連結板
A:トラス節点
P:圧縮力

Claims (6)

  1. 以下の構成を有する屋根耐震構造。
    建物の本体架構上に置かれた屋根架構において、
    (1)前記屋根架構の全ての支承部が、水平2方向共にローラーの支点条件を満たす構成になっている。
    (2)相隣接する2つの前記支承部の中間位置において、前記屋根架構からの鉛直荷重は支持せず、上下と水平2方向を移動拘束された係留部が、前記本体架構の躯体に設置されており、前記支承部と前記係留部が水平方向に交互に配置されている
    (3)前記支承部と前記係留部とは、弾塑性特性を有し軸力で抵抗する材料から成る連結部材で連結されている。
    (4)前記連結部材は、前記係留部もしくは前記支承部の両側に連結され、かつ引張のみに抵抗する機構として組込まれている。
  2. 請求項1記載の屋根耐震構造において、
    前記連結部材と前記係留部または前記支承部との接合部において、前記連結部材が圧縮力を伝達しない機構を組み込んだことを特徴とする、屋根耐震構造。
  3. 請求項1記載の屋根耐震構造において、
    前記連結部材の一部をその連結部材のその他の部分よりも軸耐力が低いヒューズ部として加工し、もしくはそのような部位を着脱可能なヒューズ部材として前記連結部材に組み込んだことを特徴とする、屋根耐震構造。
  4. 請求項記載の屋根耐震構造において、
    前記連結部材と前記係留部または前記支承部との接合部、もしくは前記ヒューズ部材と前記係留部または前記支承部との接合部において、前記連結部材および前記ヒューズ部材が圧縮力を伝達しない機構を組み込んだことを特徴とする、屋根耐震構造。
  5. 請求項1乃至4の何れか1つに記載の屋根耐震構造において、
    前記連結部材の両端部に設けられた端部板が、鉛直の1本ボルトにより接合されており、少なくとも一方の端部板に設けられた、前記1本ボルト用のボルト孔はルーズ孔であることを特徴とする、屋根耐震構造。
  6. 請求項1乃至5の何れか1つに記載の屋根耐震構造において、
    (1)前記屋根架構の1または2以上の支承部と、前記屋根架構のそれらの支承部に相対する部分とを接続し、かつ前記連結部材の軸芯と概ね直交する方向に配設された直交連結部材の中間位置が、前記屋根架構を支える躯体から持ち出されたブラケットに接合されている。
    (2)前記直交連結部材は、弾塑性特性を有し軸力で抵抗する材料から成り、引張のみに抵抗するように取り付けられている。
    以上の構成を有することを特徴とする、屋根耐震構造。
JP2017206534A 2017-07-11 2017-10-25 屋根耐震構造 Active JP6833292B2 (ja)

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