JP5352270B2 - 免震構造、及び免震構造を有する建物 - Google Patents

免震構造、及び免震構造を有する建物 Download PDF

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Description

本発明は、建物の免震構造に関する。
従来から、免震装置として滑り支承が知られている。滑り支承は、一般的に、基礎部に固定される滑り板と、建物の底面に固定される滑り材から構成され、滑り板の上に滑り材が載置される。基礎部は、一般的に、地表から掘り下げられた地盤上に構築され、基礎部の外周には建物の水平移動スペースを確保する擁壁が立設される。地震時には、滑り材が滑り板の上を滑ることにより、建物が水平移動する。これにより、基礎部から建物に伝達される水平力が低減されると共に建物の周期が長周期化され、建物に発生する地震力が抑制される。
しかしながら、再現期間が数百年の大地震(例えば、震度6強〜震度7)により、建物の水平移動量が過大になると、建物がその周囲にある擁壁に衝突する懸念がある。この対策として、擁壁を拡張し、建物と擁壁とのクリアランスを大きくすることが考えられるが、地盤の掘削に手間とコストがかかる。
一方、特許文献1では、大地震時における建物と擁壁との衝突を防止するため、摩擦係数が異なる複数の領域を滑り板に設け、この滑り板の上に建物を支持するスライダーが載置されている。具体的には、特許文献1の滑り板には、免震ゾーンが設けられており、この免震ゾーンの外周には、免震ゾーンよりも摩擦係数が大きいブレーキゾーンが設けられている。更に、ブレーキゾーンの外周にはブレーキソーンよりも摩擦係数が大きいストッパーゾーンが設けられている。このように特許文献1では、ブレーキゾーン、ストッパーゾーンの摩擦係数を段階的に大きくすることにより、建物の水平移動を徐々に減速させている。
しかしながら、特許文献1では、建物を支持する複数のスライダーごとに、ブレーキゾーン、ストッパーゾーンが設けられている。従って、建物の水平移動量が過大となったときに、全てのスライダーが同時に免震ゾーンからブレーキゾーン、又はブレーキゾーンからストッパーゾーンに移動する。これにより、建物に作用する摩擦力が急変し、建物が急激に減速されるため、建物に発生する衝撃が大きくなる。また、摩擦係数が異なる領域を増やし、小刻みに摩擦係数を大きくすることで、建物に発生する衝撃を緩和することが考えられるが、摩擦係数が異なる領域の増加に伴い、滑り板の製造コストが増大する。
特開2005−257001号公報
本発明は、上記の事実を考慮し、単純な構成で、上部構造体と滑り板との間に発生する摩擦力を調整できる免震構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の免震構造は、下部構造体の上に構築される上部構造体に設けられる複数の支承部と、前記下部構造体に設けられると共に、前記支承部が載置され、前記下部構造体と前記上部構造体とを相対移動可能とする滑り板と、を備え、前記滑り板が、初期状態において複数の前記支承部が載置される第1領域と、前記第1領域の外周に設けられ、前記第1領域と摩擦係数が異なると共に前記支承部が移動可能とされた第2領域と、を備えている。
上記の構成によれば、下部構造体の上に構築される上部構造体に、複数の支承部が設けられている。下部構造体には、支承部が載置される滑り板が設けられている。この支承部が滑り板の上を滑ることにより、上部構造体と下部構造体とが相対移動可能とされている。
また、滑り板には、第1領域と、当該第1領域と摩擦係数が異なる第2領域と、が設けられている。第1領域には初期状態において複数の支承部が載置され、第1領域の外周に設けられる第2領域には、支承部が移動可能とされている。即ち、初期状態においては、複数の支承部が第1領域に載置されており、第2領域には支承部が載置されていない。
ここで、複数の支承部の何れか第2領域に移動することにより、全ての支承部が同時に第2領域へ移動する場合と比較して、支承部が摩擦係数の異なる第2領域へ徐々に移動する。そのため、上部構造体に作用する摩擦力の変化の度合が緩やかになり、上部構造体に発生する衝撃が緩和される。
また、第1領域、第2領域の摩擦係数を変更し、又は支承部の数や配置を変更して第2領域に移動する支承部の割合を変えることにより、単純な構成で上部構造体に作用する摩擦力を調整できる。従って、求められる性能に応じた免震構造を構築することができる。
請求項2に記載の免震構造は、請求項1に記載の免震構造において、前記滑り板には複数の前記第1領域が設けられている。
上記の構成によれば、滑り板に、複数の第1領域を設けたことにより、第2領域に移動する支承部の割合を容易に調整できる。
請求項3に記載の免震構造は、請求項1又は請求項2に記載の免震構造において、前記第2領域の摩擦係数が、前記第1領域の摩擦係数よりも大きくされている。
上記の構成によれば、第2領域の摩擦係数を、第1領域の摩擦係数よりも大きくしたことにより、第2領域が上部構造体の相対移動を減速させるブレーキとして機能する。従って、第2領域の摩擦係数を増減することで、下部構造体と上部構造体との相対移動量を調整することができ、上部構造体とその周囲にある部材との衝突を防止することができる。
請求項4に記載の免震構造は、請求項1〜3の何れか1項に記載の免震構造において、前記支承部の前記滑り板との接触部には、滑り材が設けられている。
上記の構成によれば、支承部の滑り板との接触部に、滑り材が設けられている。この滑り材の摩擦係数を変えることにより、上部構造体に作用する摩擦力を調整することができる。
請求項5に記載の免震構造は、請求項1〜4の何れか1項に記載の免震構造において、前記支承部が、免震装置である。
上記の構成によれば、支承部が免震装置とされている。免震装置には、転がり支承や積層ゴム支承が含まれる。これらの転がり支承や積層ゴム支承を適宜組み合わせることにより、求められる性能に応じた免震構造を構築することができる。
請求項6に記載の免震構造は、請求項1〜5の何れか1項に記載の免震構造において、 前記第2領域には、前記下部構造体と前記上部構造体との相対移動量が所定値を超えたときに、前記支承部が移動される。
上記の構成によれば、第2領域には、下部構造体と上部構造体との相対移動量が所定値を超えたときに、複数の支承部の何れかが移動される。例えば、大地震等によって下部構造体と上部構造体との相対変位量が所定値を超えたときに、支承部の何れかが摩擦係数の異なる第2領域に移動される。
請求項7に記載の免震構造は、下部構造体の上に構築される上部構造体に設けられる一つの支承部と、前記下部構造体に設けられると共に、前記支承部が載置され、前記下部構造体と前記上部構造体とを相対移動可能とする滑り板と、を備え、前記滑り板が、初期状態において前記支承部が載置される第1領域と、前記第1領域の外周に設けられ、前記第1領域と摩擦係数が異なると共に前記支承部の一部のみが移動可能とされた第2領域と、を備えている。
上記の構成によれば、下部構造体の上に構築される上部構造体に、一つの支承部が設けられている。下部構造体には、支承部が載置される滑り板が設けられている。この支承部が滑り板の上を滑ることにより、上部構造体と下部構造体とが相対移動可能とされている。
また、滑り板には、第1領域と、当該第1領域と摩擦係数が異なる第2領域と、が設けられている。第1領域には初期状態において支承部が載置され、第1領域の外周に設けられる第2領域には、支承部の一部のみが移動可能とされている。即ち、初期状態においては、支承部は第1領域に載置されており、第2領域には支承部が載置されていない。
ここで、支承部の一部のみが第2領域に移動することにより、支承部の全部が同時に第2領域へ移動する場合と比較して、支承部が摩擦係数の異なる第2領域へ徐々に移動する。そのため、上部構造体に作用する摩擦力の変化の度合が緩やかになり、上部構造体に発生する衝撃が緩和される。
また、第1領域、第2領域の摩擦係数を変更することにより、単純な構成で上部構造体に作用する摩擦力を調整できる。従って、求められる性能に応じた免震構造を構築することができる。
請求項8に記載の建物は、請求項1〜7の何れか1項に記載の免震構造を有している。
上記の構成によれば、請求項1〜7の何れか1項に記載の免震構造を有することで、単純な構成で、上部構造体と滑り板との間に発生する摩擦力を調整できる建物を構築することができる。
本発明は、上記の構成としたので、単純な構成で、上部構造体と滑り板との間に発生する摩擦力を調整できる。
本発明の実施形態に係る免震構造が適用された建物を示す立面図である。 (A)及び(B)は、本発明の実施形態に係る免震構造が適用された建物を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る免震構造の変形例が適用された建物を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る免震構造の変形例が適用された建物を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る免震構造の変形例が適用された建物を示す立面図である。 本発明の実施形態に係る免震構造の変形例が適用された建物を示す立面図である。 本発明の実施形態に係る免震構造の変形例が適用された建物を示す立面図である。 本発明の実施形態に係る免震構造の変形例が適用された建物を示す立面図である。 本発明の実施形態に係る免震構造の変形例が適用された建物を示す立面図である。 本発明の実施形態に係る免震構造の変形例が適用された建物を示す立面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る免震構造について説明する。図1は、免震構造が適用された建物12を示す立面図であり、図2は、建物12の平面図である。
建物12は、下部構造体14と、下部構造体14の上に構築される上部構造体16と、を備えている。下部構造体14は、地表Sから掘り下げられた地盤G上に構築された基礎部18と、基礎部18から立ち上げられた擁壁20を備えている。擁壁20は上部構造体16の周囲を囲んでおり、この擁壁20によって上部構造体16の水平2方向の移動スペースが確保されている。これらの基礎部18及び擁壁20によって、免震装置を設置するための免震層が構築されている。
免震構造は、上部構造体16に設けられた支承部22と、下部構造体14に設けられた滑り板26を備えている。支承部22は、鋼製やコンクリート製で四角柱に形成され、上部構造体16の底面に所定の間隔で設けられている。また、支承部22は、その下端部に取り付けられる板状の滑り材28を備えている。滑り材28には、四フッ化エチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリエチレン、ステンレス、テフロン(登録商標)等の低摩擦材料が用いられる。なお、滑り材28は、その表面に鏡面仕上げ等を施して、摩擦係数を下げることも可能である。
滑り板26は基礎部18の上面に設けられており、支承部22が載置されている。この滑り板26の上を支承部22が滑ることにより、下部構造体14と上部構造体16とが横方向(又は水平方向)に相対移動可能とされている。
滑り板26には、第1領域26A、及び第2領域26Bが設けられている。第1領域26Aは滑り板26の中央部に設けられており、この第1領域26Aの外周部に第2領域26Bが設けられている。また、第2領域26Bは、更に第2領域26B、26Bに分けられている。第2領域26Bは第1領域26Aの外周に設けられており、第2領域26Bの外周に第2領域26Bが設けられている。
第1領域26Aは、滑り材28と同様に、四フッ化エチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリエチレン、ステンレス、テフロン(登録商標)等の低摩擦材料が用いられる。第2領域26Bには鋼板が用いられており、第1領域26Aよりも摩擦係数が大きくされている。また、第2領域26Bには、鋼板に粗面化処理(例えば、赤錆の自然発生、樹脂の吹き付けなど)を施したものが用いられており、第2領域26Bよりも摩擦係数(動摩擦係数)が大きくされている。即ち、これらの摩擦係数は、第1領域26A、第2領域26B、第2領域26Bの順に大きくされており、滑り材28と滑り板26との間に発生する摩擦力が、第1領域26A、第2領域26B、第2領域26Bの順に、第1領域26Aから領域26Bに向って大きくされている。
なお、滑り材28、第1領域26A、第2領域26B、及び第2領域26Bの材料は、建物12に求められる免震性能に応じて適宜選択される。
滑り板26の第1領域26Aには、図2(A)の2点鎖線で示すように、初期状態において全ての支承部22が載置されている。一方、滑り板26の第2領域26Bには、図2(A)及び図2(B)の実線で示すように、地震時、強風時に、下部構造体14と上部構造体16との相対移動量が所定値を超えたときに、例えば、9つの支承部22のうち外周に位置する3つの支承部22が載置(移動)される。
なお、第2領域26Bに移動する支承部22の数は、上部構造体16の移動方向や支承部22の配置によって変る。従って、下部構造体14と上部構造体16との相対移動量が所定値を超えたときに、複数の支承部22のうち何れかの支承部22が、第2領域26Bに移動すれば良い。
次に、本発明の実施形態に係る免震構造の作用について説明する。
常時(初期状態)、上部構造体16は、滑り材28を第1領域26Aに載置した状態、即ち、横方向(又は水平方向)に相対移動し易い状態で基礎部18に支持されている。一方、地震時、強風時などに上部構造体16及び下部構造体14に水平力が作用すると、滑り板26が第1領域26Aの上を滑ることにより、下部構造体14と上部構造体16とが相対移動する。これにより、下部構造体14から上部構造体16へ伝達される水平力が低減されると共に、上部構造体16の周期が長周期化され、上部構造体16に発生する地震力が低減される。
一方、図2(A)及び図2(B)に示すように、想定以上の地震、例えば、再現期間が数百年の大地震(例えば、震度6強〜震度7)によって、下部構造体14と上部構造体16との相対移動量が所定値を超えると、支承部22の何れか(図2(A)では、3つ)が第1領域26Aから当該第1領域26Aよりも摩擦係数が大きい第2領域26Bへ移動する。これにより、第2領域26Bと滑り材28との間に発生する摩擦力が、第1領域26Aと滑り材28との間に発生する摩擦力よりも大きくなり、上部構造体16の相対移動が減速される。
ここで、従来(例えば、特許文献1)のように、支承部22ごとに滑り板26を設け、各滑り板26の第1領域26Aの各々に支承部22を載置した場合、上部構造体16の相対移動量が所定値を超えると、各第1領域26Aに載置された支承部22がそれぞれ第2領域26Bに移動する。即ち、全ての支承部22が同時に第2領域26Bへ移動する。従って、上部構造体16に作用する摩擦力が急変し、上部構造体16の発生する衝撃等が大きくなる。
これに対して本実施形態では、全ての支承部22を1つの第1領域26Aに載置したことにより、支承部22が徐々に第2領域26Bへ移動する。従って、支承部22ごとに滑り板26を設けた場合(全ての支承部22が同時に第2領域26Bへ移動する場合)と比較して、上部構造体16に作用する摩擦力の変化の度合が緩やかになり、上部構造体16に発生する衝撃が緩和される。
また、本実施形態では、第2領域26Bに、2つの第2領域26B、第2領域26Bを設け、第1領域26Aから第2領域26Bに向って摩擦係数を大きくしている。これにより、図2(B)に示すように、支承部22が徐々に摩擦係数が大きい第2領域26B、第2領域26Bに移動するため、上部構造体16に作用する摩擦力が徐々に大きくなる。従って、上部構造体16の相対移動が徐々に減速され、上部構造体16の発生する衝撃が更に緩和される。
また、第1領域26A、第2領域26B、第2領域26Bの摩擦係数を増減し、又は支承部22の数や配置を変更して第2領域26Bに移動する支承部22の割合(=第2領域へ移動する支承部数/全ての支承部数)を変えることで、単純な構成で上部構造体16に作用する摩擦力を調整することができる。従って、求められる性能に応じた免震構造を構築することができる。また、上部構造体16に作用する摩擦力を増減することにより、上部構造体16の相対移動量を調整することができ、上部構造体16と擁壁20との衝突を防止することができる。
なお、第2領域26Bには、下部構造体14と上部構造体16との相対移動量が所定値を超えたときに、支承部22の何れかが載置される。この所定値は、下部構造体14と上部構造体16との相対移動量が想定される相対移動量を超えたときに、支承部22の何れかが第2領域26Bへ載置されるように設定される。想定される相対移動量とは、例えば、一般的な建物(例えば、集合住宅、オフィスビルなど)では、再現期間500年程度の地震(レベル2)時に、初期位置から相対移動した上部構造体16の変位量(相対移動量)である。この所定値を設定した場合、上記した再現期間500年程度の地震までは、支承部22が第2領域26Bへ移動せず、第1領域26A内に収まるため、一般的な建物に対して想定される最大級の地震(レベル2)に対して免震性能を確保することができ、それ以上の地震に対しては、第2領域26Bによって上部構造体16を制動することができる。
一方、特殊建物(例えば、原子力発電所、防災拠点施設など)では、上記したレベル2以上の地震に対しても免震性能を確保する必要がある。従って、特殊建物では、一般的な建物よりも上部構造体16の相対移動量を大きく見積る必要がある。
このように所定値は、上部構造体16の相対移動量が、想定される相対移動量を超えたときに、第2領域26Bの制動力によって上部構造体16の移動範囲が所定範囲内に収まるように設定されれば良い。なお、所定値は、ばらつきや施工誤差等を考慮して設定しても良く、また、上記の例に限定されないことは勿論である。
次に、本発明の実施形態に係る免震構造の変形例について説明する。
第1の実施形態では、滑り板26に1つの第1領域26Aを設けたが、図3に示すように、滑り板26には複数(図3では、2つ)の第1領域26Aを設けても良い。各第1領域26Aの外周には第2領域26Bがそれぞれ設けられており、各第2領域26Bの外周には、第2領域26Bが設けられている。
各第1領域26Aには、初期状態において全ての支承部22が載置されている。この支承部22は、図3中の2点鎖線で示すように、各第1領域26Aの外周に沿って配置されている。一方、第2領域26Bには、図2中の実線で示すように、地震時に下部構造体14と上部構造体16との相対移動量が所定値を超えたときに、8つの支承部22のうち4つの支承部22が載置(移動)される。
このように、滑り板26に複数の第1領域26A、第2領域26Bを設けたことにより、下部構造体14と上部構造体16との相対移動量が所定値を超えたときに、第2領域26Bに移動する支承部22の数を増やすことができる。即ち、各第1領域26Aに載置された支承部22の何れかを、各々の外周に設けられた第2領域26Bへ移動させることができる。よって、単純な構成で、上部構造体16に作用する摩擦力を増減することができる。
また、図4に示すように、滑り板26に、相互に隣接する4つの第1領域26Aを設け、各第1領域26Aの外周に第2領域26Bを設けることも可能である。このように、X方向及びY方向に隣接する第1領域26Aの間に第2領域26Bを設けることにより、上部構造体16がX方向に相対移動する場合だけでなくY方向に相対移動する場合にも、第2領域26Bへ移動する支承部22の数を増やすことができる。
更に、上記の実施形態では、上部構造体16に複数の支承部22を設けたが、上部構造体16に1つの支承部を設けることも可能である。具体的には、図5に示すように、上部構造体16を滑り板26の上に直接載置する。この場合、上部構造体16の下部16Aが支承部となり、下部構造体14と上部構造体16との相対移動量が所定値を超えたときに、当該下部16Aの一部が第2領域26Bへ載置される。このように上部構造体16の下部16Aを支承部とすることにより、図1に示す構成と比較して、支承部22を設ける手間が低減され、上部構造体16の構造を単純化することができる。
また、上記の実施形態では、基礎部18の上面を平坦面としたがこれに限らない。例えば、図6に示すように、基礎部18の上面を、その中央部が最も低くなるような曲面形状又は球面形状とし、この曲面形状又は球面形状に沿って滑り板26を配置しても良い。なお、支承部22の高さは、曲面形状又は球面形状とされた滑り板26の上を支承部22が滑り易いように、滑り板26の中央部から外側へ向かうに従って徐々に低くされている。
ここで、地震等によって下部構造体14及び上部構造体16に水平力が作用すると、滑り板26が滑り材28の上を滑ることにより、上部構造体16が振り子のように揺れ動く(矢印A方向)。地震後には、低くされた滑り板26の中央部、即ち、初期位置に上部構造体16が移動する。また、想定以上の地震により下部構造体14と上部構造体16との相対移動量が所定値を超えた場合も同様に、第2領域26Bへ移動した上部構造体16が初期位置に移動する。従って、次の地震時に、上部構造体16が初期位置から滑り出すことが可能となり、免震効果の安定化を図ることができる。なお、図6に示す構成では支承部22の高さを調整したが、上部構造体16の底面を滑り板26と略同一の曲率とされた曲面形状又は球面形状としても良い。
更に、上記の実施形態では、免震装置を設置するための免震層に支承部22を設けたが、いわゆる地下基礎免震にも適用可能できる。即ち、図7に示す地下基礎免震では、上部構造体16の下部が地下構造物とされており、掘り下げられた地盤G上に構築された基礎部18に滑り板26が設けてられている。このように、地下基礎免震に上記の実施形態に係る免震構造を適用することで、地上構造物のみならず、地下構造物に発生する地震力も低減できる。
また、上記の実施形態では、基礎部18及び擁壁20によって下部構造体14を構成したこれに限らない。下部構造体14は、その上に上部構造体16が構築される構造体(構造部材も含む)であれば良く、例えば、地表Sから掘り下げられた地盤G上に構築された地下構造物もこれに含まれる。具体的には、図8に示すように、下部構造体14(地下構造物)の上に上部構造体16が構築されている。下部構造体14の上面(例えば、梁やスラブ)に滑り板26が設けられており、この滑り板26の上に支承部22が載置されている。
更に、上記の実施形態では、地表Sから掘り下げられた地盤G上に下部構造体14を設けたがこれに限らない。例えば、図9に示すように、地表S上に構築された下部構造体14に滑り板26を設け、中間層免震としても良い。
また、上記の実施形態では、支承部22を鋼製やコンクリート製の支柱としたがこれに限らない。例えば、図10に示すように、支承部を積層ゴム支承72(免震装置)で構成しても良い。なお、積層ゴム支承72の下端部には、滑り材28が設けられている。
このように、支承部に積層ゴム支承72を用いることにより、地震等により下部構造体14と上部構造体16とが相対移動したときに、積層ゴム支承72がせん断変形して振動エネルギーを吸収する。また、地震等による水平力が所定値以上になると、積層ゴム支承72が滑り板26の上を滑ることにより、下部構造体14から上部構造体16へ伝達される水平力が低減され、上部構造体16に発生する地震力が低減される。従って、免震性能が向上する。なお、支承部には、転がり支承等の免震装置を用いても良い。
また、上記の実施形態では、第2領域26Bを2つの第2領域26B、26Bに分けたがこれに限らず、3つ以上の領域に分けても良いし、1つの領域にしても良い。更に、第1領域26Aを複数の領域に分けることも可能である。この場合、第1領域26Aから第2領域26Bへ向うに従って摩擦係数を大きくすることにより、上部構造体16の相対移動を徐々に減速することができ、上部構造体16に発生する衝撃を低減することができる。
また、高層建物等のように風荷重による建物12の揺れが問題となる場合は、所定の風荷重までは上部構造体16と下部構造体14とが相対移動しないように、第1領域26Aの一部の摩擦係数(静止摩擦係数)を第2領域26Bの摩擦係数よりも大きくしても良い。
また、上記の実施形態において、支承部22の下端部に滑り材28を取り付けたが、この滑り材28は適宜省略可能である。支承部22は、上部構造体16と下部構造体14とを相対移動可能に支持出来れば良く、滑り材28は、滑り板26の摩擦係数との関係で必要に応じて設ければ良い。例えば、コンクリート製の支承部22を用いた場合は、コンクリート面を滑り板26の上に直接載置することも可能である。
更に、支承部22の形状は、四角柱に限らず多角柱や円柱、円錐台であっても良い。また、支承部22の数や配置は、滑り板26に設けられる第1領域26A、第2領域26Bとの関係で、適宜変更可能である。また、雨水等によって滑り板26が腐食、劣化する恐れがある場合には、雨水等を防ぐカバー部材を設けても良い。
更にまた、上記の実施形態は、中層建物や高層建物等の種々の建物に適用可能である。
また、上記の実施形態では、従来の免震建物に設けられているオイルダンパなどの粘性・粘弾性ダンパや、鋼製ダンパなどの減衰材、積層ゴムなどの復元材を省略して説明したが、建物の設計条件に応じて適宜設けても良い。更に、これらの従来ダンパに必要に応じて大変形対応機構を設け、想定以上の地震力を受けた後でも所定の免震性能が保持されるようにしても良い。大変形対応機構としては、例えば、従来ダンパと建物等との連結部に摩擦材を設け、想定以上の地震力を受けたときに滑り出して連結を解除する滑り機構や、想定以上の地震力を受けたときに連結部から抜け落ちたり、破断したりして連結を解除する連結ピン機構などが挙げられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
12 建物
14 下部構造体
16 上部構造体
16A 支承部
22 支承部
26 滑り板
26A 第1領域
26B 第2領域
72 積層ゴム支承(支承部、免震装置)

Claims (8)

  1. 下部構造体の上に構築される上部構造体に設けられる複数の支承部と、
    前記下部構造体に設けられると共に、前記支承部が載置され、前記下部構造体と前記上部構造体とを相対移動可能とする滑り板と、
    を備え、
    前記滑り板が、初期状態において複数の前記支承部が載置される第1領域と、前記第1領域の外周に設けられ、前記第1領域と摩擦係数が異なると共に前記支承部が移動可能とされた第2領域と、
    を備える免震構造。
  2. 前記滑り板には複数の前記第1領域が設けられている請求項1に記載の免震構造。
  3. 前記第2領域の摩擦係数が、前記第1領域の摩擦係数よりも大きくされている請求項1又は請求項2に記載の免震構造。
  4. 前記支承部の前記滑り板との接触部には、滑り材が設けられている請求項1〜3の何れか1項に記載の免震構造。
  5. 前記支承部が、免震装置である請求項1〜4の何れか1項に記載の免震構造。
  6. 前記第2領域には、前記下部構造体と前記上部構造体との相対移動量が所定値を超えたときに、前記支承部が移動される請求項1〜5の何れか1項に記載の免震構造。
  7. 下部構造体の上に構築される上部構造体に設けられる一つの支承部と、
    前記下部構造体に設けられると共に、前記支承部が載置され、前記下部構造体と前記上部構造体とを相対移動可能とする滑り板と、
    を備え、
    前記滑り板が、初期状態において前記支承部が載置される第1領域と、前記第1領域の外周に設けられ、前記第1領域と摩擦係数が異なると共に前記支承部の一部のみが移動可能とされた第2領域と、
    を備える免震構造。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の免震構造を有する建物。
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