JP2000104786A - 免震装置の浮き上がり防止機構 - Google Patents

免震装置の浮き上がり防止機構

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JP2000104786A
JP2000104786A JP10273794A JP27379498A JP2000104786A JP 2000104786 A JP2000104786 A JP 2000104786A JP 10273794 A JP10273794 A JP 10273794A JP 27379498 A JP27379498 A JP 27379498A JP 2000104786 A JP2000104786 A JP 2000104786A
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seismic isolation
building
sliding
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JP10273794A
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Matsutaro Seki
松太郎 関
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Original Assignee
Obayashi Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 免震装置が支持する上部構造の浮き上がりを
阻止することにより、弾塑性支承体に浮き上がり力が作
用するのを防止し、更には、この浮き上がり力の防止を
滑らかな水平移動を伴いつつ行って、安定した免震効果
を発揮する。 【解決手段】 基礎部12側に取り付けられる下方部材
18,18aと、建物14側に取り付けられる上方部材
20,20aとを設ける。下方部材18,18aおよび
上方部材20,20aの一方または両方から相手部材に
向かって建物14の荷重を支持する支持脚22を突設
し、支持脚22を相手部材に滑動部材24を介して摺接
する。対となる下方部材18,18aと上方部材20,
20aとの間に、両部材の上下方向の離反移動を阻止す
る係合部26を設ける。一方の組を構成する下方部材1
8および上方部材20と、他方の組を構成する下方部材
18aおよび上方部材20aとを、それぞれの相対移動
方向が直角となるようにして重合配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建造物や重量設備
品などの制振対象物を支持しつつ、地震による影響を低
減するようにした免震装置にあって、この免震装置の弾
塑性支承体に併設して、該制振対象物の浮き上がりを防
止するようにした免震装置の浮き上がり防止機構に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年では、地震により建物などの建造物
に発生する振動を低減するための装置が各種提案されて
いる。例えば、ビル等の多層階建物を構築する際に、下
部構造となる地盤と上部構造となる建物との間に免震装
置を介在させて、地震により建物に発生する振動を低減
するようになっている。この免震装置は、積層ゴム等の
弾性支承体を備え、この弾性支承体のばね剛性で決定さ
れる建物の固有振動周期を長周期化するとともに、建物
の相対的な水平変位を許容しながら振動エネルギを減衰
させて、相当の振動低減効果を得るようになっている。
【0003】また、上記免震装置では、建物の固有振動
周期の長周期化は弾性支承体のばね剛性を小さくするこ
とにより達成されるが、このように弾性支承体のばね剛
性を小さくした場合には、該弾性支承体に座屈が発生し
易くなり重量建物を支持できなくなってしまう。このた
め、上記弾性支承体と並列に建物の支持部材を設けて、
この支持部材によって建物荷重を専ら支持させることに
より、弾性支承体は座屈を心配することなくばね剛性を
小さくすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の免震装置にあっては、上述したように支持部材に
よって、弾性支承体のばね剛性を小さくしつつ、弾性支
承体の座屈を防止できる場合にも、大地震により建物の
浮き上がり方向に過大な振動が入力されると、該弾性支
承体が細長い形状のため転倒モーメントが大きくなって
浮き上がり力が発生される。すると、この浮き上がり力
により弾性支承体が破損し、また、建物が元に戻った時
に大きな衝撃が発生する等の不具合があった。
【0005】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て、免震装置が支持する上部構造の浮き上がりを阻止す
ることにより、弾塑性支承体に浮き上がり力が作用する
のを防止し、更には、この浮き上がり力の防止を滑らか
な水平移動を伴いつつ行うことにより、安定した免震効
果を発揮できるようにした免震装置の浮き上がり防止機
構を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の請求項1に示す免震装置の浮き上がり防止
機構は、上下方向に間隔を隔てた下部構造と上部構造と
の間に設けられる弾塑性支承体と併設され、これら下部
構造と上部構造との水平方向の相対変位を許容しつつ上
部構造の鉛直荷重を支持するとともに、上部構造の浮き
上がりを阻止する免震装置の浮き上がり防止機構であっ
て、上記下部構造側に取り付けられる下方部材と、該下
方部材に対向して上記上部構造側に取り付けられる上方
部材とを設け、これら両部材の一方または両方から相手
部材に向かって上部構造の鉛直荷重を支持する支持脚を
突設し、この支持脚を相手部材に滑動部材を介して摺接
させるとともに、これら対となる下方部材と上方部材と
の間に、両部材の上下方向への離反移動を阻止する係合
部を設ける。
【0007】また、本発明の請求項2に示す免震装置の
浮き上がり防止機構は、上記支持脚および上記係合部を
下方部材および上方部材に一対互いに平行配置して、こ
れら両部材の相対移動方向を一方向とし、これら相対移
動方向が一方向となった両部材を2組用いて、それぞれ
の相対移動方向が直交するように上下に重合配置する。
【0008】更に、本発明の請求項3に示す免震装置の
浮き上がり防止機構は、上記下方部材と上記上方部材と
の間に、弾塑性支承体を一体に組み込むようになってい
る。
【0009】以上の構成により本発明の免震装置の浮き
上がり防止機構の作用を以下述べると、請求項1では、
下部構造に取付けられた下方部材と上部構造に取付けら
れた上方部材とは支持脚によって一定の間隔が維持され
るため、上部構造の鉛直荷重は該支持脚によって支持さ
れる。従って、下部構造と上部構造との間に設けられる
弾塑性支承体には、ほとんど該上部構造の荷重が作用し
ないため、該弾塑性支承体は座屈の心配を考慮すること
なくそのばね剛性を小さくすることができ、免震しよう
とする上部構造の固有振動周期の長周期化を達成するこ
とができる。このとき、上記支持脚を相手部材に滑動部
材を介して摺接させてあるので、この滑動部材によって
下方部材と上方部材との相対的な水平変位を滑らかにし
つつ相当の摩擦力を得ることができるため、この摩擦力
によって、振動減衰力も発生させることができ、延いて
は、免震装置による上部構造の免震を安定的に行うこと
ができる。
【0010】また、下方部材と上方部材との間に設けら
れる係合部は、これら両部材の上下方向への離反移動を
阻止するので、免震装置に転倒モーメントが作用するの
を防止し、延いては、弾塑性支承体に浮き上がり力が作
用するのを防止する。従って、該弾塑性支承体の破損を
防止し、また、転倒モーメントによって上部構造が持ち
上がったあと元に戻る時に発生する大きな衝撃を防止す
ることができる。
【0011】また、請求項2では、重合配置されたそれ
ぞれの組の下方部材および上方部材間の支持脚により、
上部構造の荷重を下部構造に支持することができるとと
もに、該上部構造はそれぞれの組の下方部材および上方
部材の相対移動が許容されることによって、下部構造に
対してあらゆる方向の水平変位が自在となる。
【0012】更に、請求項3では、上記下方部材と上記
上方部材との間に、弾塑性支承体を一体に組み込んだの
で、免震装置が全体としてユニット化されてコンパクト
にまとめられる。従って、免震装置の取付けスペースを
小さくして免震装置のレイアウトを容易にするととも
に、ユニット化された免震装置を下部構造上に設置する
ことで、これを基礎部としてその上に免震すべき上部構
造を直接設置することができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照して詳細に説明する。図1,図2は本発明の免
震装置の浮き上がり防止機構の一実施形態を示し、図1
は正面図、図2は図1中A部の拡大図である。
【0014】本発明の免震装置の浮き上がり防止機構1
0の基本構成は、上下方向に間隔Sを隔てた下部構造と
しての基礎部12と、上部構造としての建物14との間
に設けられる弾塑性支承体としての積層ゴム16,16
aに併設され、これら基礎部12と建物14との水平方
向の相対変位を許容しつつ、建物14の鉛直荷重を支持
するとともに、建物14の浮き上がりを阻止するように
なっている。
【0015】そして、基礎部12側に取り付けられる下
方部材18,18aと、該下方部材18,18aに対向
して上記建物14側に取り付けられる上方部材20,2
0aとを設け、これら両部材18,18aおよび20,
20aの一方または両方から相手部材に向かって建物1
4の荷重を支持する支持脚22を突設し、この支持脚2
2を相手部材に滑動部材24を介して摺接させるととも
に、これら対となる下方部材18と上方部材20との間
に、両部材の上下方向への離反移動を阻止する係合部2
6を設けることにより構成される。
【0016】上記下方部材18,18aおよび上記上方
部材20,20aは、鋼材製またはPC(プレキャスト
コンクリート)製として形成される。特に、PC製とし
た場合にはPC鋼線を埋設したプレストレストコンクリ
ートによって形成することが望ましい。これら下方部材
18,18aおよび上方部材20,20aには、上記支
持脚22および上記係合部26が一体に成形される。即
ち、支持脚22は、上方部材20,20aの両側部から
下方に延長した状態で1対が形成されるとともに、上記
係合部26は、それぞれの支持脚22の下端部を内方に
向かって折曲した第1係止部26aと、下方部材18,
18aの該第1係止部26aの先端部に対応する部位か
ら上方に突設して、その先端部を第1係止部26aの上
側近傍に向かって折曲した第2係止部26bとによって
形成される。このとき、第1係止部26aと第2係止部
26bとは上下方向に対向して互いにラップし、両者間
には適宜間隔δ1 が設けられる。
【0017】ここで、本実施形態は上記下方部材18,
18aと上記上方部材20,20aとは上下方向にそれ
ぞれ対を成して2組設けられており、一方の組を構成す
る下方部材18および上方部材20は上層に配置される
とともに、他方の組を構成する下方部材18aおよび上
方部材20aは下層に配置される。これら対を成す2組
の下方部材18,18aと上方部材20,20aは、両
側に設けた上記支持脚22および上記係合部26に移動
規制されて、これら支持脚22および係合部26の延設
方向に沿った一方向に相対移動が可能となっている。
【0018】また、上層の下方部材18および上方部材
20と、下層の下方部材18aおよび上方部材20aと
は、それぞれの大きさが同一形状で、かつ、支持脚22
および係合部26が同一構造として形成される。そし
て、これら上下層に設けた下方部材18,18aと上方
部材20,20aとの組付け体は、それぞれの相対移動
方向が直角となるように、上層をX方向、下層をY方向
にして重合配置される。このとき、上層の下方部材18
と下層の上方部材20aとは結合されて互いに一体化さ
れる。
【0019】上記滑動部材24は、図2に示すように上
記支持脚22の下面に取り付けられる滑り板28と、下
方部材18,18aに設けられる滑り材30とによって
概ね構成され、これら滑り板28と滑り材30とは互い
に当接される。滑り板28は低摩擦板を用いて、支持脚
22の下端形状に沿って帯板状に形成される一方、上記
滑り材30は剛体,弾性体,弾塑性材などを用いて形成
され、上記滑り板28の下方投影面内に包含される位置
で、幅方向に対向して2列設けられるとともに、それぞ
れは長さ方向に等間隔をもって複数個が不連続に配置さ
れる。該滑り材30が取り付けられる下方部材18,1
8aには凹部32が形成され、個々の滑り材30の下端
部は、該凹部32内に支持材34を介して嵌合される。
【0020】また、上記第2係止部26bの先端と上記
支持脚22の内面との間には適宜隙間δ2 が設けられ、
この隙間δ2 部分にも滑動部材36が設けられる。この
滑動部材36は図2に示したように、支持脚22の内側
面に取り付けられる滑り板38と、第1係止部26aの
外周に取りけられる滑り材40とで概ね構成される。こ
の滑り材40は、第1係止部26aに形成された凹部4
2内に支持材44を介して嵌合固定される。
【0021】更に、上記係合部26の係合面、つまり、
第1係止部26aの上面と第2係止部26bの下面との
間に緩衝緩和材46が設けられる。この緩衝緩和材46
は弾性体または滑り材,滑り板によって形成され、本実
施形態では第2係止部26bの下面に取り付けられるよ
うになっている。該緩衝緩和材46は、建物14に浮き
上がり力が発生したときに、第1係止部26aと第2係
止部26bとが衝接される時の衝撃を緩和することがで
きる。
【0022】上記積層ゴム16,16aは、それぞれ対
を成す一方の組の下方部材18と上方部材20との間、
および、他方の組の下方部材18aと上方部材20aと
の間の中央部にそれぞれ取り付けられる。該積層ゴム1
6,16aは、ゴムと鋼板とを交互に積層して形成され
たもので、その下端および上端に設けた下方取付板48
および上方取付板48aが、下方部材18,18aおよ
び上方部材20,20aに固定される。
【0023】以上構成により本実施形態の免震装置の浮
き上がり防止機構10にあっては、下層の下方部材18
aを基礎部12に取り付けるとともに、上層の上方部材
20を建物14に取り付けることにより、建物14の鉛
直荷重は2組の下方部材18,18aと上方部材20,
20aとの間の支持脚22を介して基礎部12に支持さ
れる。それぞれの支持脚22は上方部材20,20aか
ら垂下されており、この支持脚22によって基礎部12
と建物14との間の間隔Sは一定に保持され、建物14
の鉛直荷重は該支持脚22を介して基礎部12に支持さ
れる。また、上記支持脚22と上記下方部材18,18
aとの間に滑り板28および滑り材30を備えた滑動部
材24が介在され、地震などにより建物14に水平変位
力が入力された場合に、上記滑り板28と上記滑り材3
0とが相対摺動して、それぞれ対を成す下方部材18,
18aと上方部材20,20aとは相対移動が許容され
る。
【0024】このとき、上記下方部材18,18aと上
方部材20,20aは、両側にそれぞれ設けられた支持
脚22および係合部26に沿った一方向に相対移動が可
能となり、かつ、それぞれ対を成す上層の下方部材18
および上方部材20と、下層の下方部材18aおよび上
方部材20aとが、それぞれの相対移動方向が直角とな
るようにして重合配置されるため、建物14はそれぞれ
の組の下方部材18,18aおよび上方部材20,20
aの相対移動を介して基礎部12に対してあらゆる方向
の水平変位が自在となる。
【0025】このように、上記建物14の鉛直荷重は上
記支持脚22によって支持されるため、上記積層ゴム1
6,16aにこの建物14荷重が作用するのを防止する
ことができる。従って、支持脚22によって専ら建物1
4の荷重が支持されるため、積層ゴム16,16aは縦
長形状にあっても、座屈の心配を考慮することなくその
ばね剛性を小さくすることができ、免震しようとする建
物14の固有振動周期の長周期化を達成することができ
る。このとき、上記支持脚22と下方部材18,18a
との間の摺動は、滑動部材24を介して滑らかに行われ
て相当の摩擦力を発生させることができるため、免震装
置による建物14の免震を安定的に行うことができる。
【0026】そして、このときに滑動部材24の滑り板
28と滑り材30との間で発生される摩擦力により、こ
れが抵抗となって振動の減衰力を発揮させることができ
る。この結果、上記積層ゴム16,16aのばね剛性を
大幅に低下して免震周期を長周期化することにより、軽
量建物や住宅に適用した場合にも減衰支承体18の振動
減衰機能と相俟って免震性能を著しく向上することがで
きる。
【0027】また、上記下方部材18,18aと上方部
材20,20aとの間に設けられる係合部26は、上方
部材20,20aと一体の支持脚22から突設される第
1係止部26aと、下方部材18,18aから突設する
第2係止部26bとが互いに係合して、下方部材18,
18aと上方部材20,20aの離反方向の移動を阻止
する。
【0028】このため、地震により建物14に突き上げ
方向の振動が入力された場合にも、免震装置に転倒モー
メントが作用するのを防止し、延いては、積層ゴム1
6,16aに浮き上がり力が作用するのを防止する。従
って、積層ゴム16,16aの破損を防止できるととも
に、転倒モーメントによって建物14が持ち上がって元
に戻る時に発生する大きな衝撃を防止することができ
る。このとき、上記係合部26によって浮き上がりを防
止する際、衝撃緩和材46によって第1係止部26aと
第2係止部26bとが衝接する際の衝撃を緩和すること
ができる。また、アスペクト比が大きく、転倒モーメン
トによる変動軸力が生じて浮き上がり力が生じても問題
ない。
【0029】更に、それぞれ組となって対を成す下方部
材18,18aと上方部材20,20aとは、これらの
両側に設けた係合部26に沿った方向に相対移動される
ため、該係合部26の係合量、つまり、第1係止部26
aと第2係止部26bとの突出量Lが少なくて済む。こ
のため、下方部材18,18aおよび上方部材20,2
0aは相対移動方向と直角方向の幅を小さくすることが
でき、浮き上がり防止機構10の全体的な小型化を図る
ことができる。
【0030】更にまた、本実施形態では上記下方部材1
8,18aと上記上方部材20,20aとの間に、積層
ゴム16,16aをそれぞれ一体に組み込んだので、浮
き上がり防止機構10が免震装置に組み込まれて、浮き
上がり阻止機能、水平ばね機能および減衰付加機能を備
えて、全体としてユニット化してコンパクトにまとめる
ことができる。従って、免震装置の取付けスペースを小
さくして免震装置のレイアウトを容易にするとともに、
ユニット化された免震装置を基礎部12に設置すること
で、この免震装置を基礎部としてその上に免震すべき建
物14を直接設置することができるようになる。
【0031】また、本実施形態では滑動部材24を、支
持脚22と下方部材18,18aとの間に設けたが、こ
れに限ることなく下方部材18,18aから突設した支
持脚、例えば第2係止部26bと上方部材20,20a
との間に滑動部材24を介在させることができる。更
に、滑動部材24は滑り板20を上面に設けたので、摺
動面に塵埃が付着するのを減少してメンテナンスフリー
にできるとともに、積層ゴム16,16aの両側は支持
脚22によって覆うことができるため、耐火被覆を不要
若しくは軽微にできる。更にまた、下方部材18,18
aおよび上方部材20,20aをプレキャストコンクリ
ートによるユニット構造とした場合に、コストの低減、
現場の施工性の向上および精度の向上を図ることができ
る。
【0032】ところで、本実施形態では水平方向全方位
への移動を確保するためにそれぞれ対を成す下方部材1
8と上方部材20、および、下方部材18aと上方部材
20aの移動方向が直角となるようにして重合したが、
これらのいずれか一方のみの上方部材と下方部材の組み
合わせだけでこれを確保することもできる。すなわち、
例えば図1の上側の免震装置を対象として、これの上方
部材20と下方部材18とをともにディスク形状に形成
するようにする。この際、互いに上下方向に対向する第
1係止部26aと第2係止部26bについては、両者の
係合を確保しつつ、水平方向移動を許容する範囲で上方
部材20と下方部材18との間に水平方向隙間を設定す
るようにする。これにより、1組のみで浮き上がり防止
機構を構成することができる。また、積層ゴム16,1
6aを下方部材18,18aと上方部材20,20aと
の間に一体に組み込んだ場合を開示したが、後述の図3
に示すように該積層ゴムは浮き上がり防止機構10と分
離して、独立に基礎部12と建物14との間に設けるこ
とができる。
【0033】更に、弾塑性支承体として積層ゴム16,
16aを用いた場合を開示したが、これに限ることなく
弾塑性支承体としては所定の水平剛性が得られればその
構成が特に限定されるものでは無く、穴あき積層ゴム,
細長い形状の積層ゴム,中間に鉄板が無くて積層になっ
ていない無垢の円筒形のゴムであっても良く、また、こ
れらは天然ゴム系ゴム,高減衰ゴム,鉛プラグ入り積層
ゴムなどのいずれのものでも良い。
【0034】図3は他の実施形態を示し、上記実施形態
と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略
して述べる。尚、図3は上記図1に対応する正面図であ
る。即ち、この実施形態は弾塑性支承体50を浮き上が
り防止機構10と分離して設けたもので、これら弾塑性
支承体50と浮き上がり防止機構10とは、基礎部12
と建物14との間に並列関係をもって配置される。ま
た、上記実施形態と同様に浮き上がり防止機構10は、
下方部材18,18aおよび上方部材20,20aが、
それぞれ対を成すものどうしの相対移動方向を直角とし
て上下に重合配置してある。
【0035】ここで、この実施形態では下方部材18,
18aと上方部材20,20aとの間に積層ゴムなどの
弾塑性支承体50が設けられないことから、両側の支持
脚22と、この支持脚22の下端部から内方に突出した
第1係止部26aとで形成されるC字状断面の内側形状
に沿って、下方部材18,18aから断面T字状の突起
部52を突設し、この突起部52の両側突出部を第2係
止部26bとしてある。
【0036】この実施形態にあっても、支持脚22と下
方部材18,18aとの間に、滑り板28および滑り材
30を備える滑動部材24を介在させるとともに、支持
脚22の内側と第2係止部26bの先端との間に、滑り
板38および滑り材40を備える滑動部材36が介在さ
れる。また、係合部26の一方の係合面となる第2係止
部26bの下面に滑り板54を設けるとともに、他方の
係止面となる第1係止部26aの上面に、浮き上がり時
に上記滑り板54に衝接する緩衝緩和材46が設けられ
る。
【0037】従って、この実施形態では第2係止部26
bを支持する突起部52を、下方部材18,18aの中
央部から突設させることができるため、この突起部52
の強度を著しく向上し、延いては、第2係止部26bの
支持剛性を著しく高めることができる。このため、浮き
上がり防止機構10に作用する浮き上がり力に対する抵
抗力を増大して、転倒防止効果を著しく向上することが
できる。尚、この実施形態では、上記滑動部材24を突
起部52の上端と上方部材20,20aとの間に配置し
てもよい。
【0038】ところで、上記各実施形態では支持脚22
と下方部材18,18aとの間に設けられる滑動部材2
4は、滑り材30を幅方向に2列設けたが、これに限定
されることなく1列または3列以上とすることもでき
る。また、該滑り材30は複数個を不連続に配置するこ
となく、各列で連続するレール状として形成することが
できる。更に、上記支持脚22は上方部材20,20a
から下方部材18,18aに向かって垂設したが、これ
とは逆に下方部材18,18aから上方部材20,20
aに向かって立設することもでき、また、下方部材1
8,18aおよび上方部材20,20aの両方から突設
することもできる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
示す免震装置の浮き上がり防止機構にあっては、上部構
造の鉛直荷重を支持脚によって支持できるため、下部構
造側と上部構造側との間に設けた弾塑性支承体に該上部
構造の鉛直荷重が作用するのを防止できる。このため、
弾塑性支承体は座屈の心配を考慮することなくそのばね
剛性を小さくすることができ、免震しようとする上部構
造の固有振動周期の長周期化を達成することができる。
【0040】また、支持脚を相手部材に滑動部材を介し
て摺接させ、この滑動部材によって下方部材と上方部材
との相対的な水平変位を滑らかにして、相当の摩擦力を
得ることができるとともに、この摩擦力により、これが
抵抗となって振動の減衰力を発揮させることができるた
め、免震装置による上部構造の免震を安定的に行うこと
ができる。
【0041】更に、下方部材と上方部材との間に設けた
係合部によって、これら両部材の上下方向への離反移動
を阻止し、免震装置に転倒モーメントが作用するのを防
止し、延いては、弾塑性支承体に浮き上がり力が作用す
るのを防止できる。従って、該弾塑性支承体の破損を防
止し、また、転倒モーメントによって上部構造が持ち上
がったあと元に戻る時に発生する大きな衝撃を防止する
ことができる。
【0042】また、本発明の請求項2に示す免震装置の
浮き上がり防止機構は、上記支持脚および上記係合部を
下方部材および上方部材に一対互いに平行配置して、こ
れら両部材の相対移動方向を一方向とし、これら相対移
動方向が一方向となった両部材を2組用いて、それぞれ
の相対移動方向が直交するように上下に重合配置したの
で、重合配置されたそれぞれの組の下方部材および上方
部材間の支持脚により、上部構造の荷重を下部構造に支
持することができるとともに、該上部構造はそれぞれの
組の下方部材および上方部材の相対移動が許容されるこ
とによって、下部構造に対してあらゆる方向の水平変位
が自在となる。
【0043】更に、請求項3では、上記下方部材と上記
上方部材との間に、弾塑性支承体を一体に組み込んだの
で、免震装置が全体としてユニット化されてコンパクト
にまとめられる。従って、免震装置の取付けスペースを
小さくして免震装置のレイアウトを容易にするととも
に、ユニット化された免震装置を下部構造上に設置する
ことで、これを基礎部としてその上に免震すべき上部構
造を直接設置することができるという優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免震装置の浮き上がり防止機構の一実
施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す図1中A部の拡大図
である。
【図3】本発明の免震装置の浮き上がり防止機構の他の
実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
10 浮き上がり防止機構 12 基礎部 14 建物 16,16a 積層ゴム 18,18a 下方部材 20,20a 上方部材 22 支持脚 24 滑動部材 26 係合部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下方向に間隔を隔てた下部構造と上部
    構造との間に設けられる弾塑性支承体と併設され、これ
    ら下部構造と上部構造との水平方向の相対変位を許容し
    つつ該上部構造の鉛直荷重を支持するとともに、該上部
    構造の浮き上がりを阻止する免震装置の浮き上がり防止
    機構であって、 上記下部構造側に取り付けられる下方部材と、該下方部
    材に対向して上記上部構造側に取り付けられる上方部材
    とを設け、これら両部材の一方または両方から相手部材
    に向かって上記上部構造の鉛直荷重を支持する支持脚を
    突設し、この支持脚を相手部材に滑動部材を介して摺接
    させるとともに、これら対となる下方部材と上方部材と
    の間に、両部材の上下方向への離反移動を阻止する係合
    部を設けたことを特徴とする免震装置の浮き上がり防止
    機構。
  2. 【請求項2】 上記支持脚および上記係合部を上記下方
    部材および上記上方部材に一対互いに平行配置して、こ
    れら両部材の相対移動方向を一方向とし、これら相対移
    動方向が一方向となった両部材を2組用いて、それぞれ
    の相対移動方向が直交するように上下に重合配置したこ
    とを特徴とする請求項1に記載の免震装置の浮き上がり
    防止機構。
  3. 【請求項3】 上記下方部材と上記上方部材との間に、
    上記弾塑性支承体を一体に組み込んだことを特徴とする
    請求項1または2に記載の免震装置の浮き上がり防止機
    構。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1142723A2 (en) 2000-04-06 2001-10-10 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Optical write head, and method of assembling the same
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JP7467460B2 (ja) 2018-08-03 2024-04-15 ソレタンシュ フレシネ 免振支承

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