JPH11241524A - 免震・制震併用建物 - Google Patents
免震・制震併用建物Info
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- JPH11241524A JPH11241524A JP4074198A JP4074198A JPH11241524A JP H11241524 A JPH11241524 A JP H11241524A JP 4074198 A JP4074198 A JP 4074198A JP 4074198 A JP4074198 A JP 4074198A JP H11241524 A JPH11241524 A JP H11241524A
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Abstract
ことで、高層階のみならず低層階等においても優れた制
震効果を発揮しうる免震・耐震併用建物を提供すること
を課題とする。 【解決手段】 免震・制震併用建物1の上部構造4を、
平面視した場合に、コア部5と、コア部5に比較して剛
性の低い構造からなる一般部6とに分離し、これらコア
部5および一般部6を、下部構造3側から別個に支持す
るとともに、これらのうち一般部6は、下部構造3側か
ら免震装置8を介して支持することとし、なおかつ、こ
れらコア部5および一般部6の間に、制震ダンパー兼用
のエキスパンションジョイント支承部14,14,…を
介装した。
Description
および制震機能の双方を発揮するように構築された免震
・制震併用建物に関するものである。
ローズアップされてきており、中でも、地面と構造物と
の間を何らかの方法により縁切りして地震入力エネルギ
ーを構造物本体に入力しないようにする免震構造や、地
震による振動時の入力エネルギーを吸収して構造物の振
動応答を減少させる制震構造が、特に脚光を浴びてきて
いる。これら免震・制震構造は、ともに、地震入力を劇
的に減らせる効果を有するものであるが、ローコストで
効果的な免震・制震構造は未だ開発されておらず、各方
面からの提案が百花繚乱のごとく出されているのが現状
である。
化されてから10年あまりとなったが、低層でRC造の剛
性の高い建物を対象としていた免震構造も時代の変化と
ともに、超高層や鉄骨造といった長周期の建物にまで適
用されるようになってきた。このような建物では、建物
の基礎位置では免震装置によって地震時の応答が小さく
なるものの建物内部で増幅されることにより、その頂部
では大きな応答が生じることになり、使用上の障害(例
えば、コンピュータ等の機器や薬品など危険物等の転倒
や落下)が生じることも考えられる。
設置して建物全体を免震化するタイプだけでなく、中間
階に免震層を設置するタイプも採用されている。この場
合は、免震層より下部においては、エレベータシャフト
や階段室を免震層より上の構造体から吊り上げ、免震層
の変形に追随できるクリアランスを確保するようにして
いるが、吊り下げる長さに限界があり、免震層は基礎に
近い階に設置せざるを得なかった。
ン架構のように剛性が小さい建物に制震装置(ダンパ
ー)を設置することで地震エネルギーを吸収し、本体構
造の応答を低減するものである。制震装置には鋼材ダン
パーや摩擦ダンパーのような履歴減衰系と、オイルダン
パーや粘弾性体ダンパーのような粘性系とがあり建物の
応答を有効に低減しているが、基礎が地盤と接している
ため低層階における加速度低減効果には限界があった。
であり、免震構造と制震構造の特徴をうまく取り混ぜる
ことで、高層階のみならず低層階等においても優れた応
答低減効果を発揮しうる免震・耐震併用建物を提供する
ことを課題とする。
に本発明においては以下の手段を採用した。すなわち、
請求項1記載の免震・制震併用建物は、下部構造と該下
部構造上において支持された上部構造とを備えてなり、
該上部構造は、平面視した場合に、コア部と、該コア部
に比較して剛性の低い構造からなる一般部とに分離され
た構成とされ、これらコア部および一般部は、前記下部
構造側から別個に支持されるとともに、該一般部は前記
下部構造側から免震装置を介して支持された構成とさ
れ、なおかつ、これらコア部および一般部の間には、制
震ダンパーが介装されていることを特徴とする。
震・制震併用建物においては、一般部を免震化すること
ができる。また、一般部とコア部との変位差を利用して
制震ダンパーにより上部構造の振動エネルギーを吸収さ
せることができるため、一般の免震建物と比較して、特
に高層階において、その振動応答を低減させることがで
きる。
求項1記載の免震・制震併用建物であって、前記制震ダ
ンパーは、前記コア部側に固定されて水平に配置された
第一の板体と、前記一般部側に固定されて前記第一の板
体と対向する位置に水平に配置されたを第二の板体と、
これら第一および第二の板体との間に介装された粘弾性
体とを備えた構成とされていることを特徴とする。
震・制震併用建物においては、コア部および一般部が水
平方向に相対変位した際に、粘弾性体に対してせん断変
形を作用させることができ、これにより優れた水平振動
の低減効果を得ることができる。
求項1または2記載の免震・制震併用建物であって、前
記コア部には、前記上部構造内部の建築設備のうちエレ
ベータや階段、設備シャフトなど上下方向に延在して位
置するものが収納されていることを特徴とする。
震・制震併用建物においては、従来の中間層に免震装置
が設置された建物と異なり、建築設備の一部を免震装置
より上の階から吊り下げたり、あるいは、免震層におい
て、配管を水平変形に対応させるといった必要が無くな
る。
求項1から3のいずれかに記載の免震・制震併用建物で
あって、前記コア部の内部には、その地震時の振動エネ
ルギーを吸収するための制震装置が設置されていること
を特徴とする。
震・制震併用建物においては、コア部の振動応答も低減
させることができる。
面に基づいて説明する。図11は、本実施の形態の基本
的な構成を模式的に示した図である。図中(c)に示す
ように、本実施の形態の免震・制震併用建物1は、下部
構造3と下部構造3上において支持された上部構造4と
から形成されている。上部構造4は、中心に位置するコ
ア部5とコア部5を囲むように設けられた一般部6とか
ら構成されており、これらのうち、コア部5は、下部構
造3と一体化された構成とされている。また、一般部6
は、下部構造3上において免震装置8,…を介して支持
されている。さらに、コア部5と一般部6との間には、
制震ダンパー10,10,…が介装されている。
物1は、図中(a)に示すような下部構造3および上部
構造4のコア部5と、図中(b)に示すような上部構造
4の一般部6とを一体化したものと理解することができ
る。これらのうち、一般部6は免震化された免震構造と
なっている。また、コア部5を一般部6に比較して剛性
が大となるように形成してこれらコア部5および一般部
6の間に固有周期の違いを生じさせれば、地震時には、
これらの間に水平方向の変位差が生じることとなり、こ
の変位差を利用して制震ダンパー10,10,…に仕事
をさせることができる。すなわち、上部構造4において
は、免震および制震の双方の効果を得ることが可能であ
る。
具体例を図1に示す。図1において、免震・制震併用建
物1は、地盤G上に立設された通常の耐震構造からなる
下部構造3と、下部構造3上に位置させて設けられた上
部構造4とにより形成されている。
形成されており、これらのうちコア部5は、下部構造3
を貫通して地盤Gにまで至る構成とされ、なおかつ、下
部構造3と一体化された構造となっている。一方、一般
部6は、下部構造3から免震装置8を介して支持されて
いる。
般部6は、免震・制振併用建物1における居住空間に供
用されており、また、コア部5には、各種設備配管の竪
管やエレベータシャフト、階段室等、免震・制振併用建
物1における建築設備のうち、上下方向に延在するよう
に位置するものが集中的に収納されている。また、コア
部5は、一般部6に比較してその剛性が大となるように
形成されている。
する各階の床梁12,12,…とコア部5を構成する壁
柱13,…との間には、エキスパンションジョイント支
承部14,14,…が設けられ、これにより、コア部5
および一般部6は、これらエキスパンションジョイント
支承部14,14,…を介して互いに連結された構成と
されている。
ものである。図中に示すように、上部構造4において
は、その中心部にコア部5が設けられており、一般部6
は、コア部5を囲むように設けられている。
あり、図中に示すように、コア部5は、断面視略L字状
に形成されたRC壁からなる壁柱13,13,…を、境
界梁17,17,…によって梯子状に互いに連結して一
体化することにより形成されている。なお、境界梁1
7,17,…は、構造材として機能するだけでなく、例
えば、その中間部に対して極軟鋼等が配置されることに
よって、地震時には、この極軟鋼が塑性変形して振動エ
ネルギーを吸収するように形成されており、制震ダンパ
ーの機能をも兼ね備えたものとされる。
平面図のうち、コア部5近傍の部分を拡大して示したも
のである。図中に示すように、壁柱13,13,…に
は、一般部6(図2参照)側の外方に突出するようにブ
ラケット19,19,…が設けられている。また、エキ
スパンションジョイント支承部14,14,…は、これ
らブラケット19,19,…上に配置されている。
である。図中に示すように、エキスパンションジョイン
ト支承部14,14,…は、コア部5側のブラケット1
9,19,…と、一般部6を構成する各階の床梁12,
12,…との間に設けられてこれらを接続する役割を果
たす。
イント支承部14の近傍を拡大して示した図であり、ま
た、図7は、図6におけるII−II断面を示す図であ
る。これら図中に示すように、エキスパンションジョイ
ント支承部14は、ブラケット19に対してスタッドボ
ルト20,…によって固定された第一の板体22と、一
般部6の床梁12の下面に対して同様にスタッドボルト
20,…によって固定された第二の板体23と、これら
第一および第二の板体22,23間に介装された一対の
粘弾性体25,25とを備えた構成とされている。
II−III断面、IV−IV断面を示す図であり、こ
れら図中に示すように第一の板体22は、その一辺の中
央部に凸部27を有する矩形形状に形成されており、凸
部27以外の矩形の部分が粘弾性体25の設置対象領域
v1とされる。また第二の板体23は、その一辺の両端
に凸部28,28が形成された矩形形状とされており、
これら凸部28,28以外の矩形部分が粘弾性体25の
設置対象領域v2とされている。さらに、第二の板体2
3は、これら凸部28,28間に凹部29が形成された
構成とされている。
3と粘弾性体25,25とは、図10に示すように重ね
合わされることとなる。すなわち、第一、第二の板体2
2,23は、その凸部27および凹部29が互いに対向
するように配置され、なおかつ、第一および第二の板体
22,23における粘弾性体25,25の設置対象領域
v1,v2(図8,9参照)も互いに対向するように配置
される。そして、これら第一、第二の板体22,23間
に一対の粘弾性体25,25が介装され、これら粘弾性
体25,25は、はさみ板31を介して互いに結合され
た構成とされている。
併用建物1の主要な構成であるが、次に、地震時におけ
る免震・制振併用建物1の作用についてを説明する。上
述のような構成とされるため、免震・制振併用建物1に
おいては、地震時に地盤Gからの振動がコア部5に直接
伝達されることとなる。一方、一般部6に対しては、地
盤Gの振動は、免震装置8を介して伝達されることとな
るために、一般部6に入力される地震エネルギーはコア
部5に比較して小さなものとなり、これにより、居住空
間とされた一般部6の耐震安全性を確保することができ
る。
性の小さい構造とされているために、その固有周期がコ
ア部5に比較して長周期となっている。さらに、ここで
は、一般部6が免震化されていることから、一般部6の
固有周期は、コア部5に比較してより一層の長周期とな
る。これにより、コア部5と一般部6との間において
は、この固有周期の違いに起因して、地震時には水平方
向の相対変位が発生し、この水平方向の相対変位は、エ
キスパンションジョイント支承部14,14,…の第
一、第二の板体22,23間に水平方向の相対変位を生
じさせるように作用する。この場合、第一、第二の板体
22,23間に介装された粘弾性体25,25には、せ
ん断変形が生じることとなるため、粘弾性体25,25
の抵抗力がコア部5および一般部6の振動エネルギーを
減衰させるように働き、結果として上部構造4の振動応
答が低減される。つまり、エキスパンションジョイント
支承部14,14,…は、制震ダンパーとして機能する
こととなる。
は、コア部5のうち境界梁17,17,…に設けられた
図示しない極軟鋼が塑性変形することによって、コア部
5の振動エネルギーを吸収するように作用し、これによ
りコア部5の振動応答を低減させるように機能する。
においては、居住空間である一般部6を免震化したた
め、一般部6について、通常の免震構造と同様の耐震安
全性を確保することができ、なおかつ、一般部6内の層
間変位を小さくして内部の間仕切や設備配管等の被害を
防止することができる。また、このように一般部6を免
震化したことから、一般部6においては低層階において
も免震効果を得ることができる。制震構造のみが備えら
れていた従来の建物においては、基礎が地盤と接してい
ることから、下層階では地動とほとんど同じ揺れを生
じ、応答低減効果を発揮することができないのに対し、
本実施の形態においては、少なくとも一般部6内では、
下層階においても耐震安全性の向上効果を図ることがで
きる。このような免震・制震併用建物1の特徴は、地下
に鉄道の駅や地域冷暖房施設を有する場合に好適であ
り、従来、建物外部との動線計画や機能上の必要から、
地下階を施設等と一体的に形成せざるを得ず、地下階の
免震化が不可能であった場合にも、免震・制震併用建物
1においては、駅や施設の上方の階に免震装置8,…を
設置することで、地下階の免震化を図ることができる。
建物とは異なり、高層階においても耐震安全性の向上を
図ることができる。すなわち、免震・制震併用建物1
は、一般部6と、一般部6に比較して剛性が大とされた
コア部5との間に制震ダンパーの機能を持つエキスパン
ションジョイント支承部14,14,…を介装した構成
とされていることから、コア部5および一般部6におい
て地震エネルギーを吸収することができる。さらに、こ
の場合、建物内部で振動が増幅されないことから、上層
階における応答を低減することができる。従来、高層建
物においては、免震構造を採用したとしても、例えば加
速度については基礎から最上階までに2倍程度に増幅さ
れており、低層階において設計要求性能を満足していた
としても上層階ではこれをオーバーする場合があった。
しかし、本実施の形態のように、制震ダンパーを取り込
んだ場合は、免震・制震併用建物1が高層建物である場
合にも、上層階の応答値を基礎での値以下とすることが
でき、全ての階において設計要求性能を満足させること
ができる。以上のことにより、本実施の形態の免震・制
震併用建物1は、特に、従来の免震構造や制震構造では
十分な性能を発揮できなかった大規模地下構造をもつ高
層複合施設等にも適用することができる。
と一般部6とを分離したために、これらコア部6および
一般部6の振動性状の差を利用した減衰機構(いわゆる
メガサブ制震機構)が実現されることとなり、特に高次
モードの振動を大きく低減することができる。
用建物1においては、免震構造と制震構造とを併用した
ため、架構に作用する地震力が低減され、構造部材の断
面を小さくすることができ、これにより、構造躯体コス
トの低減を図ることができる。
物1においては、下部構造3においてコア部5が他の部
分と一体化されているため、従来の免震建物と異なり、
建物の下層階もしくは免震基礎の周りに余分なクリアラ
ンスを確保する必要がない。そのため、敷地に余裕がな
い場合においても、建築プランを無駄なく計画すること
ができる。
ては、エキスパンションジョイント支承部14,14,
…が、粘性系の制震ダンパーとしての役割を果たすこと
から、これらが優れた加速度低減効果を発揮して、建物
内部の什器や備品、設備機器などの転倒落下や損傷を防
止することができる。また、これらエキスパンションジ
ョイント支承部14は、風や中小地震に対しても揺れを
小さくする効果を期待することができ、居住性能の向上
に寄与することができる。さらに、エキスパンションジ
ョイント支承部14が制震ダンパーと一体化された構成
とされていることから、コア部5と一般部6とを分離す
るにあたって、支承装置が必要とならず、これによりコ
ストダウンを図ることができる。また、エキスパンショ
ンジョイント支承部14,14,…(制震ダンパー)
は、上述のような構成とされるために、コア部5および
一般部6を連結するのに好適な形状となる。
いては、コア部5に対して、各種設備配管の竪管やエレ
ベータシャフト、階段室等、建築設備のうち、上下方向
に延在するように配置されたものを集中的に収納した構
成とされている。これらのうち、設備配管に関しては、
従来の免震建物においては、免震層から上の部分と下の
部分とを繋ぐ配管類が地震時の変形に対応できるよう
に、ボールジョイントやたるみ等を設ける必要があった
のに対し、本実施の形態においては、コア部5が免震構
造となっていないため、従来のような対応が必要でな
く、コストダウンに貢献できるだけでなく配管継手部の
信頼性向上を図ることができる。
これらが収納されたコア部5が免震化されないために、
中間層に免震構造が設置された従来の免震建物とは異な
り、これらエレベータおよび階段室等を免震層より上の
階から吊り下げる必要がなく、したがって、これらを設
置する上での構造上の制約が少なくなる。これにより、
免震・制震併用建物1によれば、基礎からの層数が多い
中間層にも容易に免震層を設置することができる。
いては、コア部5の境界梁12の一部に極軟鋼(ダンパ
ー)が設けられるために、コア部5においても、制震効
果を得ることができ、これにより建物の耐震安全性を向
上させることができる。なお、コア部5は、免震構造と
されず制震ダンパーが設置されたのみとされているため
に、特に低層階においては応答低減効果が小さくなる
が、その代わりに壁やブレース等の耐震要素を多くとる
ことができるために、容易に耐震性能を確保することが
できる。
説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるも
のでなく、構造的、機能的要求等に応じ、その趣旨を逸
脱しない範囲内で他の構成を採用することができる。
震併用建物1において、免震装置8,…は、積層ゴムや
滑り支承あるいはこれらの組合せのいずれであってもよ
い。また、免震装置8,…が設けられる位置は、地震時
の振動応答低減の対象部位の下方であればよいが、この
位置は、建物の建築計画等に応じて、例えばB1階と1
階、または3階と4階の間等のように、任意に選択する
ことが可能である。
物1においては、免震装置8,…より上方に位置するコ
ア部5および一般部6が分離された構成とされている
が、免震装置8,…より十分離れた上の階(例えば屋根
など)では、両者を一体化することもできる。この場
合、コア部5および一般部6が独立した振動をできるよ
うにし、エキスパンションジョイント支承部14,1
4,…で吸収する地震エネルギーを一定量確保すること
ができれば問題ない。また、このように屋根や上層階に
おいて、コア部5および一般部6を一体化することで、
外部のエキスパンションジョイントが不要になり、これ
らコア部5および一般部6の相対変形に対応した防水や
仕上げの問題が生じず、コストダウンを図ることもでき
る。
ー兼用とされたエキスパンションジョイント支承部1
4,14,…は、必ずしも全ての階に必要なわけではな
く、建物に要求される耐震性能に応じて、一層おきや特
定の階等、適切に間引いて配置を行い、これにより合理
的にコストダウンを図るようにしてもよい。さらに、エ
キスパンションジョイント支承部14,14,…は、必
ずしも上記のような形態である必要はなく、一般的に使
用されるエキスパンションジョイントと、制震ダンパー
とを併用したものであってもよい。また、この場合、制
震ダンパーは、粘弾性体を使用したダンパーに限らず、
他の粘性系、履歴系のダンパーであってもよい。
5の境界梁17,17,…に対して、極軟鋼を利用した
ダンパーが設けられているが、コア部5においてダンパ
ーの設けられる位置はこれに限らず、ブレースや壁の一
部であってもよい。さらに、ダンパーの種類は極軟鋼を
利用したものに限らず、通常の高張力鋼を利用したもの
であってもよい。また、その他にも、粘弾性体のせん断
変形に伴う粘性抵抗を利用した粘弾性ダンパー、粘性体
の粘性抵抗を利用した粘性ダンパー、オリフィスを通過
する油の抵抗を利用したオイルダンパーのいずれであっ
てもよく、さらに、これらを組み合わせて使用すること
もできる。また、この場合、粘弾性体としては、ゴムア
スファルト系のBRC(Bitumen Rubber Compound)
や、超塑性ゴム、粘性体としてはブタン系の高分子材料
やシリコンオイルなどがあるが、材料はこれらに限定さ
れない。
ている層間変形に有効な制震ダンパーをコア部5や一般
部6の任意の階に付加するようにしてもかまわない。こ
こで使用されるダンパーとしては、上に挙げたようなダ
ンパーのうち任意のものが可能であるが、これらダンパ
ーを建物の各層に全て入れてもよく、また、特定階のみ
に設置してもよい。例えば、低層階が公共スペースで高
層階がホテルといった複合ビルで、建築プランの制約が
小さい高層階のみにダンパーを設置するといった計画も
可能である。
しない範囲内であれば他のいかなる構成を採用するよう
にしてもよく、また、上述したような構成の各変形例を
適宜選択的に採用するようにしてもよいことはいうまで
もない。
震・制震併用建物においては、上部構造をコア部と一般
部とに分離するとともに、一般部を免震化したため、一
般部については、低層階においても耐震安全性を確保す
ることができる。また、コア部を一般部に比較してその
剛性が大となるように形成するとともに、コア部と一般
部との間に制震ダンパーを介装したことから、地震時に
は、コア部および一般部の間に生じる相対変位を利用し
て制震ダンパーに地震エネルギーを吸収させることがで
きる。また、制震ダンパーを採用したことにより、地震
時に建物内部で振動が増幅されることを防いで、上層階
における加速度応答を低減させることができる。したが
って、この免震・制震併用建物は、あらゆる種類の建物
に対して適用することができ、特に、従来の免震構造や
制震構造では十分な性能を発揮できなかった大規模地下
構造をもつ高層複合施設等にも対応することができる。
また、この場合、高次モードの振動を大きく低減するこ
とができる。さらに、下部構造とコア部とを一体化し、
一般部を免震装置を介して下部構造上に支持させたた
め、従来の免震建物と異なり、建物の下層階もしくは免
震基礎の周りに余分なクリアランスを確保する必要がな
く、敷地に余裕がない場合においても適用が可能であ
る。
ば、制震ダンパーを、コア部側に固定された第一の板体
と、一般部側に固定された第二の板体と、これら第一お
よび第二の板体間に介装した粘弾性体とにより構成した
ことから、優れた加速度低減効果を得ることができ、ま
た、風や中小地震に対しても揺れを小さくして、居住性
能の向上を図ることができる。さらに、この制震ダンパ
ーは、コア部および一般部を連結するのに好適な形状と
なっており、エキスパンションジョイントで支承の機能
を発揮することもできるために、この制震ダンパーを設
けることで、一般のエキスパンションジョイントが必要
とならず、コストダウンを図ることができる。
ば、コア部に対して、上部構造内部の建築設備のうち上
下方向に延在して位置するものが収納されているため、
従来の免震建物のように免震層の上下を繋ぐ配管類に対
して地震時の変形対策を施す必要がなく、コストダウン
に貢献でき、なおかつ、配管の信頼性向上を図ることが
できる。また、エレベータや階段室等に関しては、中間
層に免震構造が設置された従来の免震建物とは異なり、
これらを免震層より上の階から吊り下げる必要がなく、
したがって、設置に際しての構造上の制約が少なくな
り、基礎からの層数が多い中間層にも免震層を設置しや
すくなる。
ば、コア部に対して制震装置が設けられるために、コア
部においても制震効果を得ることができ、これにより建
物の耐震安全性を向上させることができる。
制震併用建物の立断面図である。
の平面図である。
構造を示す斜視断面図である。
平面図である。
近傍を拡大して示した立断面図である。
る。
ある。
る。
ントの構造を示す斜視断面図である。
て、(a)は、免震・制震併用建物のうち、上部構造の
コア部および下部構造を示す立面図、(b)は、同、上
部構造の一般部を示す立面図、(c)は、(a)および
(b)に示すものを組み合わせることによって形成され
た免震・制震併用建物の全体を表す立面図である。
ー) 22 第一の板体 23 第二の板体 25 粘弾性体
Claims (4)
- 【請求項1】 下部構造と該下部構造上において支持さ
れた上部構造とを備えてなり、 該上部構造は、平面視した場合に、コア部と、該コア部
に比較して剛性の低い構造からなる一般部とに分離され
た構成とされ、 これらコア部および一般部は、前記下部構造側から別個
に支持されるとともに、該一般部は前記下部構造側から
免震装置を介して支持された構成とされ、 なおかつ、これらコア部および一般部の間には、制震ダ
ンパーが介装されていることを特徴とする免震・制震併
用建物。 - 【請求項2】 請求項1記載の免震・制震併用建物であ
って、 前記制震ダンパーは、前記コア部側に固定されて水平に
配置された第一の板体と、前記一般部側に固定されて前
記第一の板体と対向する位置に水平に配置されたを第二
の板体と、これら第一および第二の板体との間に介装さ
れた粘弾性体とを備えた構成とされていることを特徴と
する免震・制震併用建物。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の免震・制震併用
建物であって、 前記コア部には、前記上部構造内部の建築設備のうち上
下方向に延在して位置するものが収納されていることを
特徴とする免震・制震併用建物。 - 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の免震
・制震併用建物であって、 前記コア部の内部には、その地震時の振動エネルギーを
吸収するための制震装置が設置されていることを特徴と
する免震・制震併用建物。
Priority Applications (1)
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