JP3677706B2 - 免震・制震併用構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の耐震性能を向上させるための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建物の耐震性能を向上させるための免震構造や制震構造が提案され、実用化されている。
一般に、免震構造とは積層ゴム等の免震装置によって建物全体を支持することにより、建物に入力される地震動を低減させて応答を低減しようとするものである。この種の免震構造は比較的低層で剛性の高いRC造の短周期建物を対象として適用されることが通常であるが、近年においては鉄骨造建物や高層ないし超高層建物等の長周期建物に対しても適用する機運がある。
また、制震構造とは建物に入力された地震エネルギーをダンパー等の制震装置により吸収することで応答を低減しようとするものであり、これは主として鉄骨造の高層建物等の剛性が比較的低い長周期建物に対して適用されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、鉄骨造の高層ないし超高層建物等の本来的に比較的長周期である建物に対して上記のような従来の免震構造や制震構造をそのまま適用しても、必ずしも十分なる耐震性能の向上を望めないことが想定される。
【0004】
すなわち、この種の建物に免震構造を適用した場合、免震装置の設置位置(通常は基礎の位置)では地震動を十分に低減させることができるものの建物の上層部では応答が増幅されて層間変位や加速度が過大になることがあり、それによる被害や障害が生じることが懸念される。また、この種の建物に制震構造を適用した場合には、基礎が地盤より直接的に支持されていることから低層階の加速度低減効果はほとんど期待できないものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記事情に鑑み、本発明は鉄骨造建物や高層ないし超高層建物等の長周期建物を対象としてその耐震性向上を実現するべく免震構造と制震構造とを併用するようにしたものであり、当該建物の任意の階層に積層ゴム等の免震装置を設置した免震層を設けて、該免震層よりも上層の階全体を前記免震装置により支持せしめ、かつ、前記免震装置により支持した上層の階の全体を、前記免震装置により直接支持する低層部と、該低層部の上方に塔状に連なる高層部とに区分し、該高層部にダンパー等の制震装置を組込むようにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を説明するに先立ち、まず図1〜図2を参照して免震・制震併用構造の概要について説明する。図1は地上10階建ての鉄骨造の長周期建物に免震・制震併用構造を適用した場合の一般的な例を模式的に示すものである。本例では基礎(図示略)と最下階との間を免震層1としてそこに免震装置としての積層ゴム2を設置し、その積層ゴム2により建物全体を免震支持するとともに、地震時の建物全体の振動を減衰装置3により吸収して振動を速やかに減衰せしめるものとされている。
【0008】
それに加えて、上記建物にはその各階に制震装置としてのダンパー4が組込まれたものとなっている。本例におけるダンパー4としては、各階の中央スパンに設けられたブレース5の端部と梁6との間に介装されたオイルダンパーが採用されており、地震時に各階が層間変位を生じた際にそれらダンパー4が作動して振動エネルギーを吸収し、振動を速やかに減衰させ得るものである。
【0009】
上記のように積層ゴム2(免震装置)により建物全体を免震支持するとともに、免震支持した建物の所定位置にダンパー4(制震装置)を設置することにより、上記建物は免震構造と制震構造とが併用されたものとなっており、したがって、免震構造と制震構造の双方の利点を併せ持って優れた耐震安全性を備えるものであり、特に次のような数々の利点を有するものである。
【0010】
(1)免震装置としての積層ゴム2により建物全体に入力される地震動が低減され、特に低層階の応答が十分に小さくなる。
(2)建物の要所に制震装置としてのダンパー4を設置することにより地震時の振動が建物内部で増幅されることがなく、上層部での応答が大きくならない。特に応答加速度については、従来一般の免震構造による場合では基礎から最上階まで2倍程度に増幅されることがあり、したがって低層階では設計要求性能を満足しても上層階ではそれを満足し得ないことがあったが、本例の上記建物では上層階でも応答値を基礎でのそれよりも小さくでき、全ての階層で設計要求性能を満足させることが可能となる。
(3)大地震時においても建物全体は低層階から上層階まで全ての階で応答が小さくなり、各階で層間変位が小さくなることにより、建物内部の間仕切や設備配管などの被害を防止することができる。
(4)建物に作用する地震力が低減されるため、構造躯体の耐震安全性が向上する。また、地震時の加速度も低減され、建物内部の什器や備品、設備機器等の転倒、落下や損傷を防止できる。
(5)建物に作用する地震力が低減されるため、構造部材の断面が小さくなり、構造躯体コストの低減を図ることができる。
(6)ダンパー4として減衰性能の大きいオイルダンパー等の粘性系ダンパーを採用することにより、風や中小地震に対しても揺れを小さくする効果が期待でき、居住性を改善できる。
(7)免震構造と制震構造との併用により、大地震時においても各階の層間変位が小さくなり、したがって各階に設置するダンパー4の作動量は小さなもので良く、したがってダンパー4のコストダウンを図ることができる。
【0011】
図2は上記の免震・制震併用構造と単なる免震構造とを比較するためのシミュレーション結果を示すものである。対象建物は鉄骨造、地上16階地下1階建て、延床面積50,000m2であり、白丸で示す免震構造はその最下階(地下1階)と基礎との間に積層ゴムを設置したもの、黒丸で示す免震・制震併用構造はそれに加えて各階に粘性ダンパー(60t/kine、制御力最大200ton)を設置したものであり、75kine入力時の応答加速度を(a)に、応答層間変位を(b)に示している。この図2から、免震・制震併用構造では単なる免震構造に比較して応答加速度および応答層間変位のいずれもが大きく低減していることが明らかであり、その有効性が実証されている。
【0013】
以上で免震・制震併用構造の概要を説明したが、次に図3を参照して本発明の免震・制震併用構造の実施形態を説明する。本実施形態は、積層ゴム2により支持する建物が最下階から3層分の低層部7とその上方に連なる塔状の高層部8からなる場合の適用例であって、積層ゴム2により直接的に支持されることで応答が自ずと小さくなっている低層部7においてはダンパー4を省略し、応答が増幅されやすい塔状の高層部8にのみダンパー4を設置するようにしたものであり、図1に示した一般的な形態の建物の全体にダンパーを設ける場合に較べてより合理的に免震効果と制震効果を得ることができるものである。
【0014】
なお、免震層1の位置つまり積層ゴム2等の免震装置の設置位置は上記実施形態のように基礎と最下階との間に設定することが一般的ではあるが、それに限定されることなく、たとえば地下1階と地上1階との間に設定したり、あるいは鉄骨(鉄筋)コンクリート造の部分と鉄骨造の部分との境界位置に設定する等、建築計画上の適切な位置に任意に設定することができる。ただし、免震層より下方では当然に免震効果は期待できない。
【0015】
また、免震装置としては単なる積層ゴム2の代わりにたとえば鉛プラグを備えた減衰機能を有するものも採用可能であり、その場合は上記実施形態において用いた減衰装置3は省略できる。また、免震装置としては積層ゴム2に代えて滑り支承を採用することも可能である。
【0016】
さらに、制震装置としては上記で採用したオイルダンパーの他に、ブタン系の高分子材料やシリコンオイル等の粘性体を用いた粘性ダンパー、ゴムアスファルト系のBRCや超塑性ゴム等の粘弾性体を用いた粘弾性ダンパー、通常の高張力鋼や極軟鋼(極低降伏点鋼)を用いた鋼材ダンパーや摩擦ダンパー、鉛ダンパー等の履歴系減衰ダンパーも採用可能であるし、それら各種のダンパーを併用しても勿論良い。それら制震装置の設置位置も塔状の高層部のみ設置する限りにおいて任意であり、制震壁として躯体フレームに組込むことはもとより、上下階の連結部分や、コア部とその周囲の一般部との連結部分、エキスパンションジョイントによる連結部分等、地震時に相対変位する2部材間であればどこにでも設置することが可能である。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明の免震・制震併用構造は、鉄骨造建物や高層ないし超高層建物等の長周期建物を対象として、当該建物の任意の階層に積層ゴム等の免震装置を設置した免震層を設けて、該免震層よりも上層の階全体を前記免震装置により支持せしめ、かつ、前記免震装置により支持した上層の階の全体を、前記免震装置により直接支持する低層部と、該低層部の上方に塔状に連なる高層部とに区分し、該高層部にダンパー等の制震装置を組込んだ構造であるので、免震装置により支持される建物全体に入力される地震動が低減されて特に低層階の応答が十分に小さくなり、かつ高層部に設置された制震装置により地震時の振動が建物内部で増幅されることがないから高層部での応答が大きくなることもなく、したがって免震構造と制震構造の双方の利点を併せ持った優れた耐震安全性を確保することができ、長周期建物の耐震性を有効に向上させることができる。特に本発明は低層部の上方に塔状の高層部を有する形態の建物を対象として、応答が増幅されやすい高層部にのみ制震装置を設置するので、より合理的に免震効果、制震効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 免震・制震併用構造の概要を模式的に示す図である。
【図2】 免震・制震併用構造と単なる免震構造の地震時応答を比較して示す図である。
【図3】 本発明の免震・制震併用構造の一実施形態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 免震層
2 積層ゴム(免震装置)
4 ダンパー(制震装置)
7 低層部
8 高層部
Claims (1)
- 鉄骨造建物や高層ないし超高層建物等の長周期建物を対象としてその耐震性を向上させるための構造であって、当該建物の任意の階層に積層ゴム等の免震装置を設置した免震層を設けて、該免震層よりも上層の階全体を前記免震装置により支持せしめ、かつ、前記免震装置により支持した上層の階の全体を、前記免震装置により直接支持する低層部と、該低層部の上方に塔状に連なる高層部とに区分し、該高層部にダンパー等の制震装置を組込んだことを特徴とする免震・制震併用構造。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP28228697A JP3677706B2 (ja) | 1997-10-15 | 1997-10-15 | 免震・制震併用構造 |
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