JP7145669B2 - 免震構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、免震構造物に関する。
免震構造は、固有周期を長周期化することによる地震動入力の低減と、免震層に変形を集中させて地震エネルギーの効率的な吸収を両立するシステムである。近年、このような免震構造を備えた免震構造物は、庁舎や病院、本社機能を有する拠点施設だけでなく、オフィスビルや集合住宅、学校建築など、用途を問わず採用されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2009-019479号公報 特開平11-241524号公報 特開2002-266517号公報 特開2018-009442号公報
一方、東北地方太平洋沖地震を契機に、様々な地震動を想定し、従来よりもレベルの大きな地震動を考慮して構造物を設計することが求められ、これに伴い、免震層変位が想定よりも過大になる場合を考慮する必要性が生じている。
すなわち、地震対策や事業継続に対する社会的ニーズが飛躍的に高まり、一般の建築物に対しても免震/制震技術が積極的に採用され、防災拠点施設や都心の超高層建物においては従来よりも高耐震の構造性能が求められている。
なお、免震構造は建物全体の耐震性能が免震層によって決定づけられているため、高耐震化の手法として免震層に何らかの対応を施すことが第一に考えられるが、高い余裕度を求めて免震クリアランスを大きくする対策は床面積の減少に直結し、建築計画的な犠牲が大きい。また、最大級の地震を考慮し、免震層変位を抑えるべく免震層剛性を高めたり、ダンパーを大量に設置し高減衰化したりすると、かえって上部構造の加速度が大きくなり、免震効果が低減してしまう。
そこで、高性能な免震性能を備え、より大きな地震動にも対応可能な免震構造物を実現するために、本願の発明者らは特許文献4に示すような免震構造物を提案している。ここで、特許文献4で提案した免震構造物においては、解析モデルのコア部の剛性はRC壁を想定した剛性であり、居室部の柱梁架構よりも大きな剛性値が設定されていた。しかし、実際の建物を想定した場合、鉄骨造(S造)によるコアも考えられる。また、RCコアの施工を考慮した場合、在来構法による施工は非常にコストと手間がかかるという問題がある。居室部のコア剛性が低い、もしくはコアが必要ない架構であっても特許文献4の架構と同程度の応答低減効果が得られれば、非常にメリットが大きい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コア部の構造形式に影響されず、より高性能な免震性能を備え、より大きな地震動に対応可能な免震構造物を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の免震構造物は、コア部と、該コア部に隣接する建物主要部と、を備えるとともに、前記コア部および前記建物主要部の下部に設けられた基礎免震層と、前記建物主要部の中間部に設けられた中間免震層と、を有する複層免震構造であり、前記中間免震層より上層の前記コア部と前記建物主要部における前記中間免震層より上層の上部架構とが一体形成され、前記中間免震層より下層の前記コア部と前記建物主要部における前記中間免震層より下層の基壇架構とがそれぞれ独立して構成され、前記中間免震層より上層の前記コア部の壁部が、前記中間免震層より下層の前記コア部の壁部よりも低い剛性で構成されており、前記中間免震層よりも上層の上部コア部の壁部が、鉄骨ブレースで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の免震構造物は、コア部と、該コア部に隣接する建物主要部と、を備えるとともに、前記コア部および前記建物主要部の下部に設けられた基礎免震層と、前記建物主要部の中間部に設けられた中間免震層と、を有する複層免震構造であり、前記中間免震層より上層の前記コア部と前記建物主要部における前記中間免震層より上層の上部架構とが一体形成され、前記中間免震層より下層の前記コア部と前記建物主要部における前記中間免震層より下層の基壇架構とがそれぞれ独立して構成され、前記中間免震層より上層の前記コア部の壁部が、前記中間免震層より下層の前記コア部の壁部よりも低い剛性で構成されており、前記中間免震層よりも下層の下部コア部の壁部が、鉄骨ブレースで構成されているとともに、前記中間免震層の直上階の壁部が鉄骨ブレースで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の免震構造物においては、前記中間免震層より下層の前記コア部と前記建物主要部における前記中間免震層より下層の基壇架構との間が制振装置で連結された連結制振構造を備えて構成されていてもよい。
本発明の免震構造物においては、複層免震化によって超長周期化を実現でき、従来の免震構造物と比較して応答加速度を大幅に低減することができる。また、当該構造を採用することにより、コア部の剛性を低くしても所望の応答低減効果を得ることができる。結果として、コア部の構造形式に影響されず、より高性能な免震性能を備え、より大きな地震動に対応可能な免震構造物を提供することができる。
本発明の実施形態に係る免震構造物を示す縦断面図である。 図1のa-a線に沿う断面図(平断面図)である。 本発明の実施形態に係るコア架構のバリエーションを示す概略断面図である。 時刻歴応答解析で用いた免震構造物の外観図である。 時刻歴応答解析で用いた免震構造物の多質点系等価せん断型モデル図であり、(a)本実施形態の提案架構モデル、(b)通常免震モデル(中間層免震モデル)である。 時刻歴応答解析の結果を示すグラフであり、(a)はコア部とメイン部(居室部)のせん断剛性分布、(b)はコア部とメイン部のせん断剛性比を示すグラフである。 時刻歴応答解析の結果(最大応答加速度)を示すグラフであり、(a)告示神戸の1.5倍、(b)告示ランダムの1.5倍、(c)南海トラフ地震(OS1)である。 時刻歴応答解析の結果(最大応答層間変位角)を示すグラフであり、(a)告示神戸の1.5倍、(b)告示ランダムの1.5倍、(c)南海トラフ地震(OS1)である。 時刻歴応答解析の結果(免震層の最大応答変形)を示すグラフであり、(a)告示神戸の1.5倍、(b)告示ランダムの1.5倍、(c)南海トラフ地震(OS1)である。
本発明の実施形態に係る免震構造物について図面を用いて説明する。
図1、図2に示すように、本実施形態の免震構造物Aは、剛強なコアを複数の免震層を有する複層免震建物の内部に貫通させ、相互を制震装置で連結した複層連結免震構造とし、従来の免震構造では不可能な超長周期化による加速度低減を実現しながらクリアランスやコア下部に設置した連結制震が単なる複層免震では不可能な制震効果を発揮して変位制御を両立するように構成されている。
具体的に、本実施形態の免震構造物Aは、複層免震建物であり、建物中央にコアウォールを備えてなる平面視方形状で最下層から最上層まで上下方向に連続的に延設された剛強なコア部(建物中央部)1と、コア部1に隣接し、コア部1を囲繞するように配設されて建物周囲を形成する建物主要部(建物周囲部)2とを備えている。なお、図1では、コア部1が中央コアとしているが、偏心コアや両端コアを備えた構造物であっても勿論構わない。
コア部1と建物主要部2はそれぞれ下部に基礎免震層3を備えており、この基礎免震層3には任意の免震支承(免震装置)と減衰装置が設けられている。ここで、建物主要部2の下部に配された基礎免震層3を基壇下免震部3aとし、コア部1の下部に配された基礎免震層3をコア下免震部3bとする。基礎免震層3における免震支承としては、例えば、積層ゴム、すべり支承、リニアスライダーのいずれか、もしくは複数を併用している。また、本実施形態の減衰装置としては、オイルダンパー(粘性系ダンパー)が設置されている。
さらに、本実施形態の免震構造物Aは所定の階層に中間免震層4を備えており、中間免震層4よりも上層はコア部1と建物主要部2が一体形成され、中間免震層4から下層は建物主要部2がコア部1との間に所定の空間を設け、それぞれ独立して立設するように形成されている。ここで、建物主要部2における中間免震層4よりも上層を上部架構2aとし、中間免震層4よりも下層を基壇架構2bとする。中間免震層4には基礎免震層3と同様に任意の免震支承(免震装置)が設けられ、この免震支承によって中間免震層4を境に上層の建物主要部2が支持されている。なお、中間免震層4に設置される減衰装置としては、オイルダンパー(粘性系ダンパー)が設置されている。
また、中間免震層4よりも下層に配設され、それぞれ独立して立設された建物主要部2(基壇架構2b)とコア部1とは、制振装置(連結ダンパー、減衰要素)5を介して連結されている。なお、制振装置5としてバネ要素と減衰要素を適用してもよく、この場合には、コア部1と建物主要部2(コア部1と建物主要部2の相互)をTMDの錘要素のように機能させることも可能になる。また、図1、図2では、制振装置5を設けた場合の構成を示したが、必ずしも制振装置5は必須でない。制振装置5を設置することで、より効果的な免震構造物を実現することができる。
そして、本実施形態の免震構造物Aにおいては、基礎免震層3および中間免震層4を有する複層免震構造としたことで、固有周期の超長周期化を実現することができる。
また、剛強なコア部1を建物全層にわたって貫通させ、構造的、機能的な心棒とし、さらに中間免震層4よりも下層の建物主要部2(基壇架構2b)とコア部1を接続した連結制振構造としたことによって、応答制御を効率的に行うことが可能になる。
さらに、コア部1を基礎免震層3(コア下免震部3b)で支持することで、地震時に基礎免震層3に設置した減衰装置を積極的に変形させてエネルギー吸収を効率化することが可能になる。なお、中間免震層4の位置は用途の境界等の建築計画的な観点から自由に決定できる。
上記のように構成することによって、本実施形態の免震構造物Aにおいては、加速度-変位の関係における従来のコア付き免震、複層免震の対象領域以外の領域の免震性能を担うことが可能になる。
ここで、本実施形態においては、コア部(基準階)1の剛性は必ずしもRCの連層耐震壁(コアウォール)を用いたような高剛性である必要はなく、従来架構と同程度以上の剛性を有していればよい。例えば、S造の超高層建物である場合は、RC耐震壁に替えて鉄骨ブレースで構成されたコアとすることも可能であり、その場合でも通常免震構造と比較し、十分な応答低減効果が得られる。当該効果については、後ほど解析モデルの説明において詳述する。
図3に示すように、本実施形態の免震構造物Aは、RCコアのコア架構がRCの連層耐震壁ではない構成となっている。具体的には、図3(a)では、中間免震層4よりも上方の上部コア部1a(上部架構2aと一体になっているコア部)の壁部が、S造ブレース7で構成されている。図3(b)では、コア部1の壁部が最下階から最上階まですべてS造ブレース7で構成されている。図3(c)では、中間免震層4よりも下方の下部コア部1b(基壇架構2bと対向配置されたコア部)の壁部が、S造ブレース7で構成されているとともに、中間免震層4の直上階2c(上部架構2aの最下階)の壁部がS造ブレース7で構成されている。
なお、図3(c)に示すように、中間免震層4の直上階2cに高剛性となる層を造ることで、下部コア部1b(基壇部2b)からの曲げモーメントを受けることが可能となり、その上層階のコア部(基準階)1には鉄骨ブレースが不要となる。
上記特許文献4(特開2018-009442)における効果検証用の解析モデルは、コアの剛性はRC壁(RC耐震壁)を想定した剛性であり、居室部の柱梁架構よりも比較的大きな剛性値が設定されていた。しかし、実建物を想定した場合、S造によるコアも考えられる。また、RC耐震壁の施工を考慮した場合、在来構法による施工は非常にコストと手間がかかるという欠点がある。そこで、居室部のコア剛性が低い、もしくはコアが必要ない架構であっても特許文献4に記載の架構と同程度の応答低減効果が得られれば、非常にコストメリットが高い。
このような背景より、特許文献4の架構(従来の架構)において、基準階のコア部の剛性を変化させた地震応答解析モデル(図3(a)に相当するモデル)を作成して地震応答解析を実施し、応答低減効果について比較を行った。その結果、従来の架構のコア部1の剛性より低い場合であっても、通常免震構造よりも高い応答低減効果が得られることを確認した。換言すれば、コア剛性を低くしても高い応答低減効果が得られるため、RCコア(RC耐震壁)ではなく、S造ブレースのコアでも良いことを示している。
ここで、本実施形態の免震構造物Aの効果を検証するために、本実施形態の免震構造物Aの振動モデルを用いて時刻歴応答解析による検討(シミュレーション)を行った。
本実施形態では、特に、従来のRC耐震壁の部分をS造ブレースに置換した場合の効果について検証した。
(解析モデルの設定)
図4に今回対象とする建物の外観を示す。提案架構(免震構造物A)は基礎免震層3に加えて基壇架構2bと上部架構(基準階)2aの切替層に中間免震層4を追加した複層免震構造であり、さらにコア下免震部3b(基礎免震層3)を有し上部架構2aと一体化したコアウォール(コア部1)を建物全層に貫通させた架構となっている。ただし、このコアウォールを中間免震層4より上部を上部コア部1a(基準階)、下部を下部コア部1b(基壇部)と分け、上部コア部1aのみ、RC連層耐震壁としたコアウォールを基準とした剛性値に0.8~0.4倍の低減係数を乗じた解析モデルを作成した(図3(a)の構成に相当)。解析対象とする建物は、高さ150m、基壇部までの高さ34m、建物幅60mである。また、居室部(上部架構2a)をA部、基壇部(基壇架構2b)をB部とする。
また、図5(a)は、本実施形態の免震構造物Aであり、基礎免震層、中間免震層を有する提案架構(免震構造物A:T-model)で、コア部1の剛性の条件を変えて解析を行った。図5(b)は、中間免震層のみを有し、当該中間免震層には粘性系ダンパーを設置した通常免震モデル(B-model)である。図5は、それぞれの質点を示す多質点系せん断型モデル図である。ここで、kは免震層剛性、cは減衰、mは質量を表している。
表1にB-modelとT-modelの基本解析モデルの諸元を示し、表2に今回提案する上部コア部1a(基準階)の剛性を低減したモデルの諸元を示す。また、表3には、各モデルの免震層の諸元を示す。
なお、コアの剛性は、メインA部(居室部)とコア部をそれぞれ別々のフレームモデルを作成し、静的増分解析を行うことで算出した。図6に、T-modelのコア部とメインA部(居室部)のせん断剛性分布を示す。図6(a)にせん断剛性分布を示し、(b)にせん断剛性比を示す。図6より、低層階ほどコア部(基準階)の剛性が高く、比率も大きいことが分かる。また、表1および表2における「ISOF」は、基礎免震層3のパラメータである。
Figure 0007145669000001
Figure 0007145669000002
Figure 0007145669000003
次に、B-modelとT-model、コア(基準階)部剛性低減モデルについて地震応答解析を実施し、それぞれの応答値を比較する。ここで、各解析モデルの基礎免震層、中間免震層、コア下免震層には全てオイルダンパーが設置されている。
次に、時刻歴応答解析の入力地震動は、JMA神戸NS位相とランダム位相のLv2に基準化した基盤波をそれぞれ1.5倍に増幅させた地震波と、南海トラフ地震を想定した区域OS1の此花地点の基盤波を用いて解析を行った。
(解析結果)
図7に各地震波を入力した際の最大応答加速度を示し、図8に各地震波を入力した際の最大応答層間変形角を示し、図9に各地震波を入力した際の各免震層の最大応答変形を示す。
解析は、B-model、T-modelと上部コア部1aの剛性を0.6倍、0.4倍したモデル(OS1のみ0.7倍と0.5倍)を用いた。
図7より、T-modelはB-modelよりも大幅に応答加速度が低減していることが分かる。また、上部コア部1a(基準階)の剛性を低減した場合であっても、T-modelと同等の最大応答加速度値であることが分かる。すなわち、コア剛性を低減しても最大応答加速度の低減効果に影響がないと言える。
図8より、最大応答層間変形角は上部コア部1a(基準階)の剛性が低減するほど、建物自体が柔らかくなることによりT-modelよりも増大する傾向がある。しかし、Lv2の1.5倍の地震動を入力した場合であっても、元々のコア剛性の0.4倍程度の剛性値があれば、1/400程度の最大応答層間変形角に抑えることが可能であることが分かる。また、B-modelよりも最大応答層間変形角に抑えることができることが分かる。なお、表2より、コア剛性が0.4倍の場合、9階以上においては、コア剛性はメインA部(居室部)の剛性よりも小さくなっている。
図9より、中間免震層4の最大応答変形は、B-modelよりもT-modelおよびT-modelでコア剛性を低減(0.4倍、0.5倍)させたモデルの方が小さくなっていることが分かる。また、基壇下免震部3a、コア下免震部3bにおいては、T-modelと、T-modelでコア剛性を低減(0.4倍、0.5倍)させたモデルとの間で最大応答変形にほとんど差がないことが分かる。
つまり、提案架構において、上部コア部1a(基準階)の剛性は、メインA部(居室部)側の剛性値程度を保有していれば十分な応答低減効果を得ることができることが分かった。この解析結果より、上部コア部1a(基準階)はRC耐震壁である必要はなく、RCラーメンフレームやS造でブレースを併用したコアなどで設計が可能であり、設計の自由度を拡げることが可能となる。
上記解析結果から、本提案架構では以下の効果が得られることが分かる。
上部コア部1a(基準階)の剛性は、必ずしもRC耐震壁を用いたような高剛性である必要はなく、建物の架構と同程度の剛性を有していればよい。例えば、S造の超高層建物である場合は、RC耐震壁に替えて鉄骨ブレースで構成されたコアとすることも可能であり、その場合でも通常免震構造と比較し、十分な応答低減効果が得られる。
本実施形態の免震構造物Aは、コア部1と、コア部1に隣接する建物主要部2と、を備えるとともに、コア部1および建物主要部2の下部に設けられた基礎免震層3と、建物主要部2の中間部に設けられた中間免震層4と、を有する複層免震構造と、中間免震層4より上層のコア部1と建物主要部2における中間免震層4より上層の上部架構2aとが一体形成され、中間免震層4より下層のコア部1と建物主要部2における中間免震層4より下層の基壇架構2bとの間が制振装置5で連結された連結制振構造と、を備えて構成され、中間免震層4より上層の上部コア部1aの壁部が、RC耐震壁よりも低い剛性で構成されていることにより、複層免震化によって超長周期化を実現でき、従来の免震構造物と比較して応答加速度を大幅に低減することができる。また、当該構造を採用することにより、コア部1の剛性を低くしても所望の応答低減効果を得ることができる。結果として、コア部1の構造形式に影響されず、より高性能な免震性能を備え、より大きな地震動に対応可能な免震構造物を提供することができる。
他の態様としては、コア部1の壁部が、RC耐震壁よりも低い剛性で構成されていてもよく、中間免震層4の直上階の壁部および中間免震層4より下層の下部コア部1bの壁部が、RC耐震壁よりも低い剛性で構成されていても、複層免震化によって超長周期化を実現でき、従来の免震構造物と比較して応答加速度を大幅に低減することができる。また、当該構造を採用することにより、コア部1の剛性を低くしても所望の応答低減効果を得ることができる。結果として、コア部1の構造形式に影響されず、より高性能な免震性能を備え、より大きな地震動に対応可能な免震構造物を提供することができる。
また、中間免震層4の直上階に高剛性となる層を造ることで、下部コア部1b(基壇部2b)からの曲げモーメントを受けることが可能となり、その上層階の上部コア部1a(基準階)には鉄骨ブレースが不要となる。
上部コア部1a(基準階)がRCの連層耐震壁(コアウォール)である必要性が無くなることで、施工性が飛躍的に向上し、工期が短縮され、施工コストが改善される。
コア部1(基準階)の剛性に制限がなくなることにより、クライテリアに応じた設計の自由度が拡がる。
以上、本発明に係る免震構造物の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 コア部
1a 上部コア部
1b 下部コア部
2 建物主要部
2a 上部架構
2b 基壇架構
3 基礎免震層
3a 基壇下免震部
3b コア下免震部
4 中間免震層
5 制振装置
A 免震構造物

Claims (3)

  1. コア部と、該コア部に隣接する建物主要部と、を備えるとともに、
    前記コア部および前記建物主要部の下部に設けられた基礎免震層と、前記建物主要部の中間部に設けられた中間免震層と、を有する複層免震構造であり
    前記中間免震層より上層の前記コア部と前記建物主要部における前記中間免震層より上層の上部架構とが一体形成され、前記中間免震層より下層の前記コア部と前記建物主要部における前記中間免震層より下層の基壇架構とがそれぞれ独立して構成され、
    前記中間免震層より上層の前記コア部の壁部が、前記中間免震層より下層の前記コア部の壁部よりも低い剛性で構成されており、
    前記中間免震層よりも上層の上部コア部の壁部が、鉄骨ブレースで構成されていることを特徴とする免震構造物。
  2. コア部と、該コア部に隣接する建物主要部と、を備えるとともに、
    前記コア部および前記建物主要部の下部に設けられた基礎免震層と、前記建物主要部の中間部に設けられた中間免震層と、を有する複層免震構造であり
    前記中間免震層より上層の前記コア部と前記建物主要部における前記中間免震層より上層の上部架構とが一体形成され、前記中間免震層より下層の前記コア部と前記建物主要部における前記中間免震層より下層の基壇架構とがそれぞれ独立して構成され、
    前記中間免震層より上層の前記コア部の壁部が、前記中間免震層より下層の前記コア部の壁部よりも低い剛性で構成されており、
    前記中間免震層よりも下層の下部コア部の壁部が、鉄骨ブレースで構成されているとともに、前記中間免震層の直上階の壁部が鉄骨ブレースで構成されていることを特徴とする免震構造物。
  3. 前記中間免震層より下層の前記コア部と前記建物主要部における前記中間免震層より下層の基壇架構との間が制振装置で連結された連結制振構造を備えて構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の免震構造物。
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