JP3183198B2 - 原子力関連建屋及び制震構造物 - Google Patents

原子力関連建屋及び制震構造物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電所施設
に設置される原子力関連建屋及び、地震、風等に対する
制震対策が必要なすべての制震構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所の原子炉建屋や制御建屋
は、耐震設計に万全を期さねばならない重要構造物であ
るが、同じく耐震設計の重要度が高い超高層ビルとは異
なり、放射能遮蔽との関係上、分厚い耐震壁を主体とし
た剛構造設計が基本とされてきた。そして、その安全性
の追求は、基礎版の底面積を拡げたり、地盤中への埋め
込み深さを大きくすることによって建屋の震動エネルギ
ーを地中へ逃がす、いわゆる逸散減衰を増大させること
によって行われてきた。
【0003】かかる状況の下、原子力発電所の耐震上の
安全性を判断する一指標として、基礎版の接地率があ
り、工学的見地から発生を予期することが適切と考えら
れる、いわゆる設計用最強地震(S1地震)に対しては
75%、近傍の活断層の特性等を踏まえて発生の可能性
を否定できない、いわゆる設計用限界地震(S2地震)
に対してさえ65%というきわめて厳しい基準が課せら
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、壁厚の
大きな図4のようなRC造の制御建屋1では、各階の重
量がかなり大きく、その分、基礎版2の下端における転
倒モーメントも大きくなる。そのため、かかる建屋で
は、上述した接地率を満足させるために機能的には不必
要と思われる程度にまで基礎版を大きくする必要があ
り、逸散減衰を確保するという目的を達成することがで
きる反面、平面計画が制限される、建設コストが高くな
る、大きな敷地面積が必要となる、建物の階数が制限さ
れる等の問題を生じていた。
【0005】一方、最近では数多くの制震手法が開発さ
れており、受動的制御については、免震系、吸収減衰系
あるいはTMDやスロッシングといった同調質量系や、
能動的制御については、AMD等の制御力系や可変剛性
系といったものが実用化されている。
【0006】これらのうち、TMD(Tuned Mass Dampe
r)は、ダイナミックダンパーという別名からもわかると
おり、構造物本体に付加質量体を設置し、該付加質量体
の振動周期を構造物本体に同調させることによって構造
物本体の揺れを低減させるものであるが、かかる付加質
量体の振動機構は、構造物が本来の機能上必要とするも
のではないため、該振動機構に要する費用の分だけ建築
費用が割高になるとともに、その設置スペースの分だけ
本来の用途に利用できる床面積が少なくなるという問題
を生じていた。
【0007】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、耐震上の安全性を維持しつつ基礎版を縮小す
ることが可能な原子力関連建屋を提供することを目的と
する。
【0008】また、本発明は、付加質量体の振動機構の
設置コストを低減するとともにその設置スペースを本来
の用途に有効利用可能な制震構造物を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の制震構造物は請求項1に記載したように、
上層階を構成する屋根、スラブ等の水平要素と該水平要
素を支える柱、ブレース等の支持要素がそれぞれ下層階
の振動を抑制するダイナミックダンパーの付加質量体と
バネになるとともに前記水平要素が前記下層階の一次固
有周期とほぼ同じ周期で振動するように前記水平要素の
重量及び前記支持要素の水平剛性を設定したものであ
る。
【0010】
【0011】また、本発明の制震構造物は、前記上層階
を鉄骨造とし、前記支持要素の一部をエネルギー吸収型
鉄骨ブレースで構成したものである。
【0012】また、本発明の制震構造物は、前記支持要
素の水平剛性を該支持要素を構成するブレースの取付け
量若しくは取付け強度で微調整するようにしたものであ
る。また、本発明の制御建屋は請求項4に記載したよう
に、上層階を構成する屋根、スラブ等の水平要素と該水
平要素を支える柱、ブレース等の支持要素がそれぞれ下
層階の振動を抑制するダイナミックダンパーの付加質量
体とバネになるとともに前記水平要素が前記下層階の一
次固有周期とほぼ同じ周期で振動するように前記水平要
素の重量及び前記支持要素の水平剛性を設定したもので
ある。
【0013】
【0014】また、本発明の制震構造物においては、付
加質量体である上層階の水平要素が下層階と共振するこ
とによってその慣性力で下層階の振動を抑制するが、か
かる水平要素は、構造物として本来必要な屋根やスラブ
と兼用されるので、通常のダイナミックダンパーのよう
に付加質量体を別途設置する必要がない。また、かかる
水平要素を支える支持要素についても、構造物として本
来必要な柱やブレースと兼用されるので、通常のダイナ
ミックダンパーのように付加質量体のバネを別途設置す
る必要がない。
【0015】なお、上層階を最上階のみで構成してもよ
いし、最上階を含む数階で構成してもよい。また、本発
明の制震構造物を原子力関連建屋に適用してもよい。か
かる場合、地震時における応答せん断力は、制震機構を
持たない従来の原子力関連建屋に比べて全階にわたって
著しく低減し、その分、基礎版下端における転倒モーメ
ントも大幅に低減する。
【0016】ここで、前記上層階を鉄骨造とし、前記支
持要素の一部をエネルギー吸収型鉄骨ブレースで構成し
た場合、ダイナミックダンパーの付加質量体である屋根
あるいはスラブの揺れは、エネルギー吸収型鉄骨ブレー
スで吸収されるが、かかるブレースも構造物として本来
必要な構造要素と兼用することができるので、通常のダ
イナミックダンパーのように付加質量体の減衰機構を別
途設置する必要がない。
【0017】また、前記支持要素の水平剛性を該支持要
素を構成するブレースの取付け量若しくは取付け強度で
微調整するようにした場合、建物完成後において上層階
の水平要素の振動周期と下層階の振動周期との間にずれ
が生じたとしても、ブレースの取付け、取り外しあるい
は取付け方法の変更による強度の増減によって上層階の
水平要素の振動周期を微調整することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る原子力関連建
屋及び制震構造物の実施の形態について、添付図面を参
照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品
等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0019】図1は、本実施形態に係る原子力関連建屋
としての制御建屋の鉛直断面図である。同図でわかるよ
うに、本実施形態に係る制御建屋11は、鉄筋コンクリ
ート造である下層階12と、該下層階の上に鉄骨で構築
された最上階13とからなる。
【0020】最上階13は、屋根14を支持要素である
鉄骨柱15で支持するとともに、柱間にエネルギー吸収
部材であるゴム系弾塑性ダンパー16、オイルダンパー
17及びエネルギー吸収型鉄骨ブレース18を設置して
構成してある。エネルギー吸収型鉄骨ブレース18とし
ては、特公昭50-32539号公報記載のY型ブレースや、特
公平4-12790号公報記載のハ型ブレース等から適宜選択
すればよい。
【0021】本実施形態の制御建屋11においては、各
種ダンパー16、17及びエネルギー吸収型鉄骨ブレー
ス18の作用によって屋根14の揺れが抑制される。そ
のため、地震時における最上階13の応答せん断力は、
すべて鉄筋コンクリート造であった従来の制御建屋1に
比べて低減し、その分、基礎版2の下端における転倒モ
ーメントも低減する。
【0022】以上説明したように、本実施形態の制御建
屋11によれば、最上階13を鉄骨で構築するとともに
該階にエネルギー吸収部材を設置したので、最上階にお
ける応答せん断力は減少し、それに応じて基礎版下端に
おける転倒モーメントも小さくなる。
【0023】したがって、同じ設計地震力に対し、基礎
版の転倒モーメントが従来の制御建屋に比べて小さくな
り、その結果、より小さな基礎版で接地率の基準をクリ
アすることが可能となる。すなわち、従来であれば50
m×50m程度の大きさが必要であった基礎版が、40
m×40m程度の大きさの基礎版で済むようになり、工
期の短縮、建設費の節約を図ることが可能となるととも
に、より合理的な平面計画が可能となる。
【0024】本実施形態では、下層階をRC造とした
が、かかる構造に限定されるものではなく、RC造に代
えてSRC造としてもよい。
【0025】また、本実施形態では、エネルギー吸収部
材としてさまざまな種類のダンパーを組み合わせたが、
これらのダンパーの組み合わせについては任意であり、
同一種類のダンパーを使用してもよいことは言うまでも
ない。
【0026】次に、本実施形態に係る制震構造物につい
て説明する。
【0027】図2は、制震構造物としてのビル21を示
したものである。同図でわかるように、ビル21は、S
RC等で構成された下層階23の上に上層階としての最
上階22を鉄骨で構築してある。
【0028】最上階22は、水平要素としての屋根24
を支持要素としての鉄骨柱25、鉄骨ブレース27及び
エネルギー吸収型鉄骨ブレース26で支持してなり、屋
根24の重量は、該屋根が下層階23の振動を抑制する
ダイナミックダンパーの付加質量体となるように、例え
ば下層階23の総重量の1〜10%程度に設定してあ
る。
【0029】また、屋根24を支える支持要素である鉄
骨柱25、鉄骨ブレース27及びエネルギー吸収型鉄骨
ブレース26については、それらの柱やブレースが下層
階23の振動を抑制するダイナミックダンパーのバネと
して作用するように水平剛性を設定してある。
【0030】具体的には、屋根24が下層階23の一次
固有周期とほぼ同じ周期で振動するように、鉄骨柱25
や鉄骨ブレース27あるいはエネルギー吸収型ブレース
26の断面なり個数なりを決めればよいが、鉄骨ブレー
ス27の取付け量や取付け強度については、建物施工時
には暫定的に定めておき、建物完成後に例えば振動実験
を行って最上階22の振動性状を把握し、その結果を踏
まえて該ブレースの取付け、取り外しあるいは強度の増
減を適宜行うことによって、屋根24の振動周期を下層
階23の振動周期に一致させるようにするのがよい。
【0031】なお、エネルギー吸収型鉄骨ブレース26
については、図1のエネルギー吸収型鉄骨ブレース18
と同様、特公昭50-32539号公報記載のY型ブレースや、
特公平4-12790号公報記載のハ型ブレース等から適宜選
択すればよい。
【0032】本実施形態の制震構造物21においては、
付加質量体である上層階22の屋根24が下層階23と
共振することによってその慣性力で下層階23の振動を
抑制するが、かかる屋根24は、構造物として本来必要
な部材であるので、通常のダイナミックダンパーのよう
に付加質量体を別途設置する必要がない。また、かかる
屋根24を支える鉄骨柱25や鉄骨ブレース26、27
についても、構造物として本来必要な部材であるので、
通常のダイナミックダンパーのように付加質量体のバネ
を別途設置する必要がない。
【0033】以上説明したように、本実施形態のビル2
1によれば、本来の構造物に必要な屋根24とこれを支
持する柱25やブレース26、27をそれぞれ下層階2
3の揺れを抑えるダイナミックダンパーの付加質量体と
バネに兼用するようにしたので、従来のように制震機構
を別途設置する場合に比べてその設置コストを大幅に低
減することができるとともに、ダイナミックダンパーだ
けに必要な設置スペースは不要であり、最上階フロアを
本来の用途に有効利用することが可能となる。
【0034】また、本実施形態のビル21によれば、上
層階22を鉄骨造とし、屋根24を支える支持要素の一
部をエネルギー吸収型鉄骨ブレース26で構成したの
で、ダイナミックダンパーの付加質量体である屋根24
の揺れは、エネルギー吸収型鉄骨ブレース26で吸収さ
れるが、かかるブレースも構造物として本来必要な構造
要素と兼用することができるので、通常のダイナミック
ダンパーのように付加質量体の減衰機構を別途設置する
必要がない。
【0035】また、支持要素の水平剛性を該支持要素を
構成する鉄骨ブレース27の取付け量若しくは取付け強
度で微調整するようにしたので、建物完成後において上
層階22の屋根24の振動周期と下層階23の振動周期
との間にずれが生じたとしても、鉄骨ブレース27の取
付け、取り外しあるいは取付け方法の変更による強度の
増減によって屋根24の振動周期を微調整することがで
きる。
【0036】本実施形態では、上層階を最上階のみで構
成したが、これに代えて最上階を含む数階分で上層階を
構成してもよい。かかる場合には、例えば最上階の床ス
ラブもダイナミックダンパの付加質量体として作用す
る。
【0037】また、本実施形態では、最上階を鉄骨造と
したが、ダイナミックダンパーとして機能させることが
できるのであれば、かかる構造に限定されるものではな
く、例えば集成材を用いた木造で構成してもよい。
【0038】また、本実施形態では、ダイナミックダン
パーの減衰をエネルギー吸収型鉄骨ブレース26でとる
ようにしたが、かかる部材に代えて、ゴム系弾塑性ダン
パー、オイルダンパー等のダンパーを用いてもよい。
【0039】また、本実施形態では、通常の一般ビルに
適用した例を説明したが、本発明の制震構造物は、かか
る構造物に限定されることはなく、あらゆる用途の構造
物に適用することが可能である。
【0040】次に、本発明の制震構造物を図1と同様の
制御建屋に適用した例を説明する。図3に示すように、
本実施形態の制御建屋31は、図1の制御建屋11と同
様、鉄筋コンクリート造である下層階32と、該下層階
の上に鉄骨で構築された最上階33とからなり、最上階
33は、屋根34を支持要素である鉄骨柱35で支持し
てあるが、かかる屋根34は、該屋根が下層階32の振
動を抑制するダイナミックダンパーの付加質量体となる
ように、例えば下層階32の総重量の1〜10%程度に
設定してある。
【0041】また、屋根34を支える支持要素である鉄
骨柱35は、該階に設置した鉄骨ブレース39やエネル
ギー吸収型鉄骨ブレース38とともに下層階32の振動
を抑制するダイナミックダンパーのバネとして作用する
ように水平剛性を設定してある。
【0042】具体的には、図2のビルと同様、屋根34
が下層階32の一次固有周期とほぼ同じ周期で振動する
ように、鉄骨柱35や鉄骨ブレース39あるいはエネル
ギー吸収型ブレース38の断面なり個数なりを決めれば
よいが、鉄骨ブレース39の取付け量や取付け強度につ
いては、建物施工時には暫定的に定めておき、建物完成
後に例えば振動実験を行って最上階33の振動性状を把
握し、その結果を踏まえて該ブレースの取付け、取り外
しあるいは強度の増減を適宜行うことによって、屋根3
4の振動周期を下層階32の振動周期に一致させるよう
にするのがよい。
【0043】なお、エネルギー吸収型鉄骨ブレース38
については、図1のエネルギー吸収型鉄骨ブレース18
と同様、特公昭50-32539号公報記載のY型ブレースや、
特公平4-12790号公報記載のハ型ブレース等から適宜選
択すればよい。
【0044】本実施形態の制御建屋31においては、図
2のビル21と同様、付加質量体である上層階33の屋
根34が下層階32と共振することによってその慣性力
で下層階32の振動を抑制するが、かかる屋根34は、
制御建屋として本来必要な部材であるので、通常のダイ
ナミックダンパーのように付加質量体を別途設置する必
要がない。また、かかる屋根34を支える鉄骨柱35や
鉄骨ブレース39についても本来必要な部材であるの
で、通常のダイナミックダンパーのように付加質量体の
バネを別途設置する必要がない。
【0045】以上説明したように、本実施形態の制御建
屋31によれば、最上階33の屋根34とそれを支える
鉄骨柱35や鉄骨ブレース39、38がそれぞれ下層階
32の揺れを抑制するダイナミックダンパーの付加質量
体とバネの役割を果たすので、地震時における応答せん
断力は、制震機構を持たない従来の制御建屋1に比べて
全階にわたって著しく低減し、その分、基礎版下端にお
ける転倒モーメントも大幅に低減する。
【0046】したがって、同じ設計地震力に対し、基礎
版の転倒モーメントが従来の制御建屋に比べて小さくな
り、その結果、より小さな基礎版で接地率の基準をクリ
アすることが可能となる。すなわち、従来であれば50
m×50m程度の大きさが必要であった基礎版が、40
m×40m程度の大きさの基礎版で済むようになり、工
期の短縮、建設費の節約を図ることが可能となるととも
に、より合理的な平面計画が可能となる。
【0047】しかも、本来の制御建屋に必要な屋根34
とこれを支持する柱35やブレース39をそれぞれ下層
階32の揺れを抑えるダイナミックダンパーの付加質量
体とバネに兼用するようにしたので、制震機構を別途設
置する場合に比べてその設置コストを大幅に低減するこ
とができるとともに、ダイナミックダンパーだけに必要
な設置スペースは不要であり、最上階フロアを本来の用
途に有効利用することが可能となる。
【0048】また、本実施形態の制御建屋31によれ
ば、上層階33を鉄骨造とし、屋根34を支える支持要
素の一部をエネルギー吸収型鉄骨ブレース38で構成し
たので、ダイナミックダンパーの付加質量体である屋根
34の揺れは、エネルギー吸収型鉄骨ブレース38で吸
収されるが、かかるブレースも構造物として本来必要な
構造要素であるので、通常のダイナミックダンパーのよ
うに付加質量体の減衰機構を別途設置する必要がない。
【0049】また、支持要素の水平剛性を該支持要素を
構成する鉄骨ブレース39の取付け量若しくは取付け強
度で微調整するようにしたので、建物完成後において上
層階33の屋根34の振動周期と下層階32の振動周期
との間にずれが生じたとしても、鉄骨ブレース39の取
付け、取り外しあるいは取付け方法の変更による強度の
増減によって屋根34の振動周期を微調整することがで
きる。
【0050】本実施形態では、ダイナミックダンパーの
減衰をエネルギー吸収型鉄骨ブレース38でとるように
したが、かかる部材に代えて、ゴム系弾塑性ダンパー、
オイルダンパー等のダンパーを用いてもよい。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る制震構
造物によれば、従来のように制震機構を別途設置する場
合に比べてその設置コストを大幅に低減することができ
るとともに、上層階フロアを本来の用途に有効利用する
ことが可能となる。
【0052】
【0053】また、本発明の制震構造物は、前記上層階
を鉄骨造とし、前記支持要素の一部をエネルギー吸収型
鉄骨ブレースで構成したので、通常のダイナミックダン
パーのように付加質量体の減衰機構を別途設置する必要
がない。
【0054】また、本発明の制震構造物は、前記支持要
素の水平剛性を該支持要素を構成するブレースの取付け
量若しくは取付け強度で微調整するようにしたので、建
物完成後において上層階の水平要素の振動周期を微調整
することができる。また、本発明の制御建屋によれば、
従来のように制震機構を別途設置する場合に比べてその
設置コストを大幅に低減することができるとともに、上
層階フロアを本来の用途に有効利用することが可能とな
る。
【0055】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る原子力関連建屋としての制御
建屋の鉛直断面図。
【図2】本実施形態に係る制震構造物としてのビルの鉛
直断面図。
【図3】本実施形態に係る制震構造物としての制御建屋
の鉛直断面図。
【図4】従来技術における制御建屋の断面図。
【符号の説明】
11 制御建屋(原子力関連建屋) 12 下層階 13 最上階 16 ゴム系弾塑性ダンパー(エネル
ギー吸収部材) 17 オイルダンパー(エネルギー吸
収部材) 18 エネルギー吸収型鉄骨ブレース
(エネルギー吸収部材) 21 ビル(制震構造物) 22 最上階(上層階) 23 下層階 24 屋根(付加質量体) 25 鉄骨柱(バネ) 26 エネルギー吸収型鉄骨ブレース
(バネ) 27 鉄骨ブレース(バネ) 31 制御建屋(制震構造物) 32 下層階 33 最上階(上層階) 34 屋根(付加質量体) 35 鉄骨柱(バネ) 38 エネルギー吸収型鉄骨ブレース
(バネ) 39 鉄骨ブレース(バネ)
フロントページの続き (72)発明者 蔭山 満 東京都清瀬市下清戸4丁目640 株式会 社大林組技術研究所内 (56)参考文献 特開 平7−18915(JP,A) 特開 昭63−67382(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上層階を構成する屋根、スラブ等の水平
    要素と該水平要素を支える柱、ブレース等の支持要素が
    それぞれ下層階の振動を抑制するダイナミックダンパー
    の付加質量体とバネになるとともに前記水平要素が前記
    下層階の一次固有周期とほぼ同じ周期で振動するように
    前記水平要素の重量及び前記支持要素の水平剛性を設定
    したことを特徴とする制震構造物。
  2. 【請求項2】 前記上層階を鉄骨造とし、前記支持要素
    の一部をエネルギー吸収型鉄骨ブレースで構成した請求
    項1記載の制震構造物。
  3. 【請求項3】 前記支持要素の水平剛性を該支持要素を
    構成するブレースの取付け量若しくは取付け強度で微調
    整するようにした請求項1記載の制震構造物。
  4. 【請求項4】 上層階を構成する屋根、スラブ等の水平
    要素と該水平要素を支える柱、ブレース等の支持要素が
    それぞれ下層階の振動を抑制するダイナミックダンパー
    の付加質量体とバネになるとともに前記水平要素が前記
    下層階の一次固有周期とほぼ同じ周期で振動するように
    前記水平要素の重量及び前記支持要素の水平剛性を設定
    したことを特徴とする制御建屋。
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