JP6709600B2 - 多層免震構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、ビルのような多層階の建物に用いられる多層免震構造物に関する。
従来から、建物には免震装置を組み込んだものが存在している。この免震装置を組み込んだ建物は、地震によって建物に伝達される振動力を低減することができる。すなわち、免震装置は、地震時の建物の応答加速度を大きく低減できることから、被災直後も建物の機能を維持することができ、事業等を継続できる特長を有している。このように免震装置を組み込んだ建物は、耐地震性に優れているので、災害時の拠点としての働きを要求される建物に多く採用されている。
また、建物の高層化に伴い、免震架構の高層建物も提案されている。特許文献1には、建物がビルのような場合の多層免震構造物が開示されている。
特許文献1には、建物を層方向に分断して複数の単位構造物を形成し、形成された単位構造物と単位構造物の間に積層ゴムなどの免震装置を介在させた多層階の建物について記載されている。また、特許文献2にも、特許文献1と同様の多層免震構造物が開示されている。
建物の振動抑制技術としては、特許文献3に示されるようにTMD(同調質量ダンパ(Tuned Mass Damper))を利用した免震架構が知られている。
特許文献3には、多層階建物の底面側及び天面側の両面に免震機能を付加した建物の免震工法が開示されていて、天面側の免震機能はTMDで構成されている。また、建物の上部の一部をTMDとする技術も実用化されている。
特開平7−139218号公報 特開2013−234425号公報 特開2013−224559号公報
しかしながら、従来の免震装置を有する建物では、以下のような問題があった。
すなわち、上述した特許文献1及び特許文献2では、多層階を層方向に複数の単位構造物に区分し、その区分された上下間に免震装置を介在させているので、多くの免震装置を必要となっていた。そのため、コストが増大するとともに、免震装置が増加する分だけ保守点検作業が増えて手間がかかるという欠点があった。
また、特許文献3は、天面側の免震機能を果たすTMDは、建物の屋上に錘用容体等からなる物体を設けて構成しなければならず、構造が複雑になる欠点があった。
一般に、従来のTMDによる制振は、主に風応答や中小地震を対象に、居住性の向上を目的に用いられている。これはTMDを建物に設置する場合、錘の質量や駆動範囲が制約されるため、主構造に対する質量比は、0.5〜10%程度であり、比較的小さな振動にしか対応できないという欠点があった。
また、一般的な制振構造建物の性能目標は、レベル2地震動に対して層間変形角が1/100以下、応答加速度はおおよそ200Gal以下である。超高層や免震等の長周期建物を対象として建物周期が3〜6秒とした場合、加速度200Galでは震度は5強と行動に支障を感じるレベルの揺れとなるが、加速度が50〜100Galの場合は震度4程度であり行動への支障は少ない。このため、大地震があっても在館者の行動に支障をきたさないレベルまで建物の揺れ、主に「加速度」を抑えることを性能目標とした多層免震構造物が求められていた。
さらに、長周期長時間地震動に対する超高層建物の応答について、建物の機能を維持しつつ、室内の被害を減少でき、さらに在館者に恐怖心を与えない程度に揺れを減少させることのできることが求められており、その点で改善の余地があった。
そこで、本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、超高層建物に地震が発生したときに、効果的に応答加速度の低減を図ることができる多層免震構造物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る多層免震構造物は、多層階に形成される建物に用いられる多層免震構造物であって、前記建物の下部の基礎側に設けられる基礎免震層と、前記建物の多層階を所定階数で区分されて形成された前記基礎側の主構造部、及び該主構造部の上側に形成されたTMD部の間に設けられる中間免震層と、を備え、前記基礎免震層と前記中間免震層を有する前記建物を等価な2質点モデルに置き換えて、減衰系に対するH∞最適化の近似解より剛性と減衰とを設定することにより、前記中間免震層の特性が設定され、かつ、想定入力地震動が1秒以下の短周期成分が卓越するような場合は2次モードを同調対象とし、前記想定入力地震動が1秒より長い長周期成分を多く含むような場合は1次モードを同調対象として応答加速度を抑制することにより、前記中間免震層の特性が設定されていることを特徴としている。
本発明では、建物の下部に設けられる基礎免震層と、主構造部及びTMD部の間に設けられる中間免震層とによって免震機構が多層免震化され、さらに建物の上層部がTMD部として利用されることにより、従来の基礎免震層のみの場合と比較して全体的に応答加速度を低減することができる。
また、本発明では、中間免震層より上層のTMD部は、応答加速度を抑えることができるので、地震の揺れによる行動への支障が少ない範囲まで応答を低減することが可能となる。さらに、中間免震層の変形も低減できるから、エレベータなどの貫通要素に対しては、適切にクリアランスをとることで対応することが可能となる。
また、本発明では、基礎免震層と、主構造部及びTMD部の間に設けられる中間免震層とによって免震機構が多層免震化される簡単な構造となることから、複数の単位構造物に区分した上下間に免震装置を介在させる場合に比べて、使用する免震装置を減らすことが可能となるので、メンテナンスにかかる手間や時間を低減させることができる。
また、本発明の多層免震構造物によれば、主構造部に対する質量比が10%以上となる大容量化が可能となるので、従来のような中小地震を対象にしたTMDを設置した建物に比べて大きな振動に対応することができる。
したがって、本発明では、長周期長時間地震動に対する超高層建物の応答について、建物の機能を維持しつつ、室内の被害を減少でき、さらに在館者に恐怖心を与えない程度に揺れを減少させることができる。
また、本発明の多層免震構造物では、前記基礎免震層は、積層ゴムからなる免震支承で構成されていてもよい。
この場合には、基礎免震層が積層ゴムからなる免震支承(LRB)で構成されるから、容易に実施することができる。
そして、本発明に係る多層免震構造物は、前記中間免震層は、慣性質量ダンパを有していることを特徴とする。
この場合には、中間免震層が慣性質量ダンパを含んで構成されるから、質量比の調整を比較的容易に行うことができる。
本発明の多層免震構造物によれば、超高層建物に地震が発生したときに、効果的に応答加速度の低減を図ることができる。
本発明の一実施の形態による多層免震構造物を適用した建物の概略構成図である。 2質点モデルを示す図である。 (a)は主構造部とTMD部との質量比μが0.05の場合の主構造部の加速度応答を示し、(b)はその質量比μが0.05の場合のTMD部の加速度応答を示す図である。 (a)は主構造部とTMD部との質量比μが1.0の場合の主構造部の加速度応答を示し、(b)はその質量比μが1.0の場合のTMD部の加速度応答を示す図である。 多質点の解析モデルを示す図である。 (a)はh=5%の各入力地震動の加速度応答スペクトルを示す図、(b)はh=20%の各入力地震動の加速度応答スペクトルを示す図である。 (a)はH∞最適化の近似解による最適値の質量比による最適同調の変化図、(b)は最適減衰の変化図である。 (a)は22F以上をTMD部とした場合で中間免震層より上部を無視した場合の固有モードを示す図、(b)は15F以上をTMD部とした場合で中間免震層より上部を無視した場合の固有モードを示す図である。 (a)はEL CENTRO NS波50cm/sの入力の場合で、22F以上をTMD部とする場合の最大応答加速度を示す図、(b)は22F以上をTMD部とする場合の最大応答変位を示す図である。 (a)はEL CENTRO NS波50cm/sの入力の場合で、15F以上をTMD部とする場合の最大応答加速度を示す図、(b)は15F以上をTMD部とする場合の最大応答変位を示す図である。 (a)は告示波の入力の場合で、22F以上をTMD部とする場合の最大応答加速度を示す図、(b)は22F以上をTMD部とする場合の最大応答変位を示す図である。 (a)は告示波入力の場合で、15F以上をTMD部とする場合の最大応答加速度を示す図、(b)は15F以上をTMD部とする場合の最大応答変位を示す図である。 (a)は三の丸波入力の場合で、22F以上をTMD部とする場合の最大応答加速度を示す図、(b)は22F以上をTMD部とする場合の最大応答変位を示す図である。 (a)は三の丸波入力の場合で、15F以上をTMD部とする場合の最大応答加速度を示す図、(b)は15F以上をTMD部とする場合の最大応答変位を示す図である。
以下、本発明による多層免震構造物の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る多層免震構造物を適用した建物Bの概略構成図である。この建物Bは、いわゆる超高層建物からなり、ここでは29階建てとして示されている。なお、説明及び図面では、「階」は「F」として示されている。
建物Bは、図示しない地中に打ち込まれた複数の杭の上端部に設けられている基礎コンクリート1及びその基礎コンクリート1上に打設されている捨コンクリート基礎層2上に設けられている。そして、この建物Bは、基礎コンクリート1側の所定階数分が主構造部10とされ、その主構造部10の上側の所定階数分がTMD部11とされている。
主構造部10の階数分とTMD部11の階数分の例については詳しくは後述するが、TMD部11の容量が主構造部10に対して10%以上の大容量、かつ大質量となっている。つまり、従来の一般的なTMDにおいて主構造に対する質量比が0.5〜10%であるので、本実施の形態のTMD部11は、従来のTMDとは異なったTMDをなしている。
基礎コンクリート1上の捨コンクリート基礎層2と主構造部10との間には、基礎免震層20が介在されている。基礎免震層20は、LRB(鉛プラグ入り積層ゴム支承)等の積層ゴム型免震支承等の周知の免震装置で構成されている。
主構造部10とTMD部11との間には、中間免震層30が介在されている。中間免震層30は、基礎免震層20と同様の周知の免震装置を用いることができる。さらにここでは、中間免震層30には慣性質量ダンパ(図示省略)が併用されている。慣性質量ダンパを用いることにより、質量比の調整を容易に行うことができる効果が得られる。
慣性質量ダンパとしては、回転錘、ボールネジ及びボールナットを含んで構成されるダイナミックスクリュー(登録商標)等の周知のものを用いることができる。
上述のように、建物Bに占めるTMD部11の容量は、主構造部10に対して大容量とされている。このことに関して、図2〜図4を用いてさらに説明する。
図2は、主構造部10の質量をm、TMD部11の質量をmとした2質点モデルを示す図である。ここで、xは絶対変位、aは加速度、Kは剛性、hは減衰定数、wは振動数を表している。なお、図3及び図4中のμは、質量比(m/m)を表している。
図3(a)は、主構造部10とTMD部11との質量比μが0.05の場合の主構造部10の加速度応答を示し、図3(b)は、その質量比μが0.05の場合のTMD部11の加速度応答を示している。
そして、図4(a)は、主構造部10とTMD部11との質量比μが1.0の場合の主構造部10の加速度応答を示し、図4(b)は、その質量比μが1.0の場合のTMD部11の加速度応答を示している。
図4(a),(b)に示すように、主構造部10及びTMD部11の加速度応答倍率は、質量比μが大きくなると低下することから、TMD部11の主構造部10に対する質量比を十分に大きくとることで、TMD部11の応答も過大にはならない。そのため、TMD部11も建物として有効活用できることがいえる。
以上のように、建物Bは、下部を主構造部10とし、その主構造部10の上側が中間免震層30を介在させて大容量、かつ大質量のTMD部11としている。これにより、地震による建物Bの応答加速度を効果的に低減することが可能となる。
そして、中間免震層30の特性を設定する際には、以下の(1)〜(5)の事項が考慮される。
(1)中間免震層30より上層部(TMD部11)を無視した場合の基礎免震建物(主構造部10)の1次モードまたは2次モード(免震層はせん断ひずみ100%時の等価剛性)を同調対象とすること。
(2)基礎免震層20と中間免震層30を有する建物を等価な2質点モデルに置き換えて、減衰系に対するH∞最適化の近似解より中間免震層30の剛性と減衰を設定すること。
(3)等価2質点モデルに置き換える際、下部質点の振動特性には、TMD部11の同調対象とする振動モードの特性を用いること。
(4)想定される入力地震動が、1秒以下の短周期成分が卓越するような地震動の場合、2次モードを同調対象とすることで建物全体の応答加速度を抑制できること。
(5)想定される入力地震動が、1秒より長い長周期成分を多く含むような地震動の場合、1次モードを同調対象とすることで建物全体の応答加速度を抑制できること。
以下、建物Bの上部を大質量、大容量のTMD部11としたとき、地震による建物Bの応答加速度の低減が図れることの効果検証について、図5〜図14を用いて説明する。この効果検証は、多質点モデルによる時刻歴応答解析により実施されている。
図5は、効果検証のための解析モデルであって、29Fの建物Bに対応させて29質点の多質点モデルとして示されている。ここにおける基本建物モデルは、建物BはRC造の超高層免震モデル、29質点曲げせん断モデルであり、せん断は武田モデルで曲げは線形であり、基礎固定時固有周期は1次モードで2.63sec、2次モードで0.82secであり、基礎免震層20はLRB(100%等価周期3.75sec)である。
そして、中間免震層30の設置位置とTMD部11の同調条件をパラメータとして、表1に示される7つのケースの解析を実施した。
Figure 0006709600
この表において、質量比は、(中間免震層30より上部の質量)/(中間免震層30より下部の質量)、振動数比は、建物B(多層免震構造物)を等価な2質点モデルに置き換えた場合の上部質点の下部質点に対する固有振動数の比を表している。
解析で用いる入力地震動は、異なる特徴を有する地震動としてエルセントロ(EL CENTRO NS波)、告示波、名古屋三の丸波(以下、「三の丸波」)の三波が用いられている。図6(a)は、h=5%の各入力地震動の加速度応答スペクトル、図6(b)は、h=20%の各入力地震動の加速度応答スペクトルが示されている。図6(a)、(b)は、周期(sec)と加速度(Gal)の関係を示すスペクトルである。この加速度応答スペクトルからEL CENTRO NS波は1秒以下の短周期成分を多く含み、三の丸波は1秒以上の長周期成分を多く含み、そして告示波は、その中間的な特性で1秒前後に山が続いていることが確認された。
中間免震層30の特性に関しては、基礎免震層20と中間免震層30を有する建物B(多層免震構造物)を等価な2質点モデルに置き換えて、減衰系に対するH∞最適化の近似解より中間免震層30の剛性と減衰が設定される。最適値は、建物Bを等価2質点モデルに置き換えたときの下部の基礎免震建物(主構造部10)の減衰と、中間免震層30より上部の質量の下部の質量に対する比(質量比:m/m)により算出される。図7には、H∞最適化の近似解による最適値の質量比による変化が示されている。ここでは、下部の基礎免震建物の減衰定数を0.15と設定して最適値が算出されていて、図7(a)には質量比に対する最適同調w/wが示され、図7(b)には最適減衰hoptが示されている。
図8には、中間免震層30より上部(TMD部11)を無視した場合の固有モードであって、刺激関数と高さ(m)の関係を示している。図8(a)は22F以上をTMD部11とした場合、図8(b)は15F以上をTMD部11とした場合を示している。
次に、各入力地震動による解析結果について説明する。
図9はEL CENTRO NS波50cm/s入力の場合で、図9(a)は22F以上をTMD部11とする場合の最大応答加速度(Gal)、図9(b)は22F以上をTMD部11とする場合の最大応答変位(cm)を示している。
また、図10(a)は15F以上をTMD部11とする場合の最大応答加速度(gal)、図10(b)は15F以上をTMD部11とする場合の最大応答変位(cm)を示している。
このEL CENTRO NS波50cm/s入力の場合は、同調なしや免震1次同調の場合、1次モードの影響により基礎免震層20の直上と中間免震層20の直下の加速度が大きいことが分かる。
また、 免震2次同調により、中間免震層30の下部の加速度も大きくならず、中間免震層30の上部の加速度が免震のみよりも抑えられ、また、中間免震層30の変位も小さいことが分かる。これにより、2次同調が効果的であることが確認された。
図11は告示波L2入力の場合で、図11(a)は22F以上をTMD部11とする場合の最大応答加速度(Gal)、図11(b)は22F以上をTMD部11とする場合の最大応答変位(cm)を示している。
また、図12(a)は15F以上をTMD部11とする場合の最大応答加速度(Gal)、図12(b)は15F以上をTMD部11とする場合の最大応答変位(cm)を示している。
この告示波L2入力の場合は、免震1次同調、免震2次同調とも、免震のみや同調なしよりも加速度が抑えられていることが分かる。 したがって、1次同調、2次同調とも効果的であることが分かる。
図13は三の丸波入力の場合で、図13(a)は22F以上をTMD部11とする場合の最大応答加速度(Gal)、図13(b)は22F以上をTMD部11とする場合の最大応答変位(cm)を示している。
また、図14(a)は15F以上をTMD部11とする場合の最大応答加速度(Gal)、図14(b)は15F以上をTMD部11とする場合の最大応答変位(cm)を示している。
この三の丸波入力の場合は、免震2次同調は、免震のみによりも加速度を抑えられているが、その差は小さいことが分かる。また、免震1次同調は、中間免震層30直下の加速度がやや上昇するが、その他の層は免震のみよりも加速度を抑えられていることが分かる。したがって、1次同調が効果的であることが分かる。
上述の解析結果から、想定される入力地震動や、建物用途から設定される目標性能により同調対象を設定することによって、効果的な応答低減を図ることが可能であることが分かる。すなわち、本実施の形態による建物Bは、その建物Bの下部の基礎部分に基礎免震層20を設けるとともに、その建物Bを所定の層階で区分して形成された基礎側の主構造部10及びその主構造部10の上側のTMD部11間に中間免震層30を設けているので、免震機構が多層免震化され、さらに建物Bの上層部のTMD部11としての利用により、基礎免震層20のみの場合と比較して全体的に応答加速度を低減することができる。
また、中間免震層30より上層は、応答加速度が100Gal以下に抑えられるので、地震の揺れによる行動への支障が少ない範囲まで応答を低減することが可能となる。さらに、中間免震層30の変形も10〜30cm程度であるから、エレベータなどの貫通要素に対しては、適切にクリアランスをとることで対応することが可能となる。
また、本実施の形態では、基礎免震層20と、主構造部10及びTMD部11の間に設けられる中間免震層30とによって免震機構が多層免震化される簡単な構造となることから、複数の単位構造物に区分した上下間に免震装置を介在させる場合に比べて、使用する免震装置を減らすことが可能となるので、メンテナンスにかかる手間や時間を低減させることができる。
また、本実施の形態の多層免震構造物からなる建物Bによれば、主構造部10に対する質量比が10%以上となる大容量化が可能となるので、従来のような中小地震を対象にしたTMDを設置した建物に比べて大きな振動に対応することができる。
したがって、本実施の形態では、長周期長時間地震動に対する超高層建物の応答について、建物Bの機能を維持しつつ、室内の被害を減少でき、さらに在館者に恐怖心を与えない程度に揺れを減少させることができる。
このように本実施の形態の多層免震構造物によれば、超高層建物に地震が発生したときに、効果的に応答加速度の低減を図ることができる。
以上、本発明による多層免震構造物の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
B 建物(多層免震構造物)
1 基礎コンクリート
2 捨コンクリート基礎層
10 主構造部
11 TMD部
20 基礎免震層
30 中間免震層

Claims (3)

  1. 多層階に形成される建物に用いられる多層免震構造物であって、
    前記建物の下部の基礎側に設けられる基礎免震層と、
    前記建物の多層階を所定階数で区分されて形成された前記基礎側の主構造部、及び該主構造部の上側に形成されたTMD部の間に設けられる中間免震層と、
    を備え、
    前記基礎免震層と前記中間免震層を有する前記建物を等価な2質点モデルに置き換えて、減衰系に対するH∞最適化の近似解より剛性と減衰とを設定することにより、前記中間免震層の特性が設定され
    かつ、想定入力地震動が1秒以下の短周期成分が卓越するような場合は2次モードを同調対象とし、前記想定入力地震動が1秒より長い長周期成分を多く含むような場合は1次モードを同調対象として応答加速度を抑制することにより、前記中間免震層の特性が設定されていることを特徴とする多層免震構造物。
  2. 前記基礎免震層は、積層ゴムからなる免震支承で構成されることを特徴とする請求項1に記載の多層免震構造物。
  3. 前記中間免震層は、慣性質量ダンパを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層免震構造物。
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