JP2010007793A - 免震構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の免震支承部材51が並列に並べられてなる免震層5a,5aを、免震層区画部材52を介して上下方向に積層して構成され、最上層の免震層5aの上に配置された上部構造体1の重量を支持しつつ、最下層の免震層5aの下に配置された下部構造体2に対する前記上部構造体1の水平方向の相対変位を許容する免震構造5である。水平方向の振動を減衰するダンパ3,4が、前記免震層5aを、又は、上下に隣接する複数の免震層5a,5aを一つの振動減衰対象区域として設けられる。
【選択図】図5
Description
複数の免震支承部材が並列に並べられてなる免震層を、免震層区画部材を介して上下方向に積層して構成され、最上層の免震層の上に配置された上部構造体の重量を支持しつつ、最下層の免震層の下に配置された下部構造体に対する前記上部構造体の水平方向の相対変位を許容する免震構造であって、
水平方向の振動を減衰するダンパが、前記免震層を、又は、上下に隣接する複数の免震層を一つの振動減衰対象区域として設けられ、
第1の振動減衰対象区域に第1のダンパが設けられるとともに、第2の振動減衰対象区域に第2のダンパが設けられることにより、水平方向に所定荷重以下の外力が加わった時の前記第2の振動減衰対象区域の水平方向の相対速度は、前記外力が加わった時の前記第1の振動減衰対象区域の水平方向の相対速度よりも小さく設定され、
前記第2の振動減衰対象区域に前記所定荷重の外力が加わった時の前記第2の振動減衰対象区域の水平方向の相対速度は、第2所定値であり、
前記第2の振動減衰対象区域に加わる水平方向の外力が前記所定荷重を超える荷重範囲では、前記第2のダンパから前記第2の振動減衰対象区域へと付与される減衰力は、前記所定荷重を前記第2所定値で除算して得られる比率よりも小さい変化率に基づき前記相対速度に応じて変化することを特徴とする。
前記第1の振動減衰対象区域に前記所定荷重の外力が加わった時の前記第1の振動減衰対象区域の前記相対速度が第1所定値であり、
前記第1の振動減衰対象区域に加わる水平方向の外力が前記所定荷重を超える荷重範囲では、前記第1のダンパから前記第1の振動減衰対象区域へと付与される減衰力は、前記所定荷重を前記第1所定値で除算して得られる比率以下の変化率に基づき前記相対速度に応じて変化することを特徴とする。
上記請求項2に示す発明によれば、前記所定荷重よりも大きな地震荷重の巨大地震時には、第1のダンパの減衰力の相対速度に対する前記変化率が前記比率以下であるので、第1のダンパは、第1の振動減衰対象区域の免震動作を阻害するような前記地震荷重以上の大きな減衰力を概ね発生しない。よって、第1の振動減衰対象区域の免震層は巨大地震に対して確実に対応可能となる。
前記第1の振動減衰対象区域に加わる水平方向の外力が前記所定荷重を超える荷重範囲では、前記第1のダンパから前記第1の振動減衰対象区域へと付与される減衰力は、前記所定荷重を前記第1所定値で除算して得られる比率よりも小さい変化率に基づき前記相対速度に応じて変化することを特徴とする。
上記請求項3に示す発明によれば、前記所定荷重よりも大きな地震荷重の巨大地震時には、第1のダンパの減衰力の変化率が前記比率よりも小さいので(つまり、前記変化率が前記比率未満なので)、第1のダンパは、第1の振動減衰対象区域の免震動作を阻害するような前記地震荷重以上の大きな減衰力を概ね発生しない。よって、第1の振動減衰対象区域の免震層が巨大地震に対してより確実に対応可能となる。
前記変化率は、前記比率の0〜0.2倍であることを特徴とする。
上記請求項4に示す発明によれば、前記変化率が、前記比率の0〜0.2倍の大きさであるので、前記所定荷重よりも大きな地震荷重の巨大地震時には、上部構造体の免震を阻害するような前記地震荷重以上の減衰力は概ね発生せず、その結果、前記振動減衰対象区域の免震層は確実に免震作用を発揮可能となる。
前記所定荷重は、前記上部構造体に作用する風荷重の想定値及び中小地震の地震荷重の想定値よりも大きく、巨大地震の地震荷重の想定値よりも小さいことを特徴とする。
上記請求項5に示す発明によれば、巨大地震に対して上部構造体を免震可能としながらも、台風等の風荷重による上部構造体の揺れを抑制し、更には、中小地震に対しても免震作用を奏することが可能となる。
前記第1の振動減衰対象区域は、前記第2の振動減衰対象区域よりも下方に設定されることを特徴とする。
上記請求項6に示す発明によれば、前記所定荷重以下の外力が加わった時に前記第2の振動減衰対象区域よりも大きな相対速度を生じる前記第1の振動減衰対象区域の方が、下方に設けられている。つまり、第2の振動減衰対象区域よりも大きな免震作用を奏する第1の振動減衰対象区域の方が、下方に設けられている。
また、第1の振動減衰対象区域の免震対象の慣性質量が大きくなることに伴って、風荷重の作用時の第1の振動減衰対象区域の相対変位も小さくなるので、風荷重による上部構造体の揺れが、より抑制されることにもなる。
図2は、建物1に適用された本実施形態の免震構造5の概念図である。
免震構造5は、上部構造体としての建物1と、下部構造体として地面GNDに設けられた基礎2との間の上下方向隙間Gに介装されており、これにより、建物1と基礎2との水平方向の相対変位を許容しつつ建物1の重量を支持するようになっている。
よって、前記低速域A1では、減衰力Fは減衰係数C11に基づいて相対速度Vの増減に応じて増減するが、相対速度Vが前記第1所定値V1に達して高速域B1に入ったら、その減衰力Fは、減衰係数C12(=0)に基づいて相対速度Vによらず一定値Flimとなる。
ちなみに、上記の「上限値Flim」及び「第1所定値V1」が、それぞれ、特許請求の範囲に係る「所定荷重」及び「第1所定値」に相当し、また、「上限値Flimを前記第1所定値V1で除算した値C11」及び「減衰係数C12」が、それぞれ、請求項2や3に係る「比率」及び「変化率」に相当する。
よって、第2免震層5aに作用する外力が、低速域A2における減衰力Fの上限値Flim以下の場合には、その大きな減衰係数C21に基づいて極く小さな相対速度Vしか生じ得ず、つまり、第2ダンパ4によって第2免震層5aは概ね相対変位不能に拘束された状態になる。
ちなみに、上記低速域A2において相対速度Vと減衰力Fとが正比例関係の場合には、その減衰係数C21は、前記低速域A2における減衰力Fの上限値Flimを前記第2所定値V2で除算した値と一致する。
そして、このような減衰特性のダンパ3,4を用いれば、以下に説明するように、巨大地震に対して何等問題無く建物1を免震可能としながらも、台風等の風荷重による建物1の揺れを抑制し、更には、中小地震に対しても免震作用を奏することが可能となる。
第2流路10Bには、図6Aに示すようにピストン7が伸長方向に摺動する際に、第2流路10Bを開放して外筒室13Aから第2室12へのオイルの流通を許容し、また、図6Bに示すようにピストン7が収縮方向に摺動する際に、第2流路10Bを塞いで外筒室13Aと第2室12との間のオイルの流通を阻止する逆止弁32が取りつけられている。
第3流路10Cには、ピストン7の摺動速度に応じて第3流路10Cの開閉具合を調節して減衰力を発生させる調圧弁33が取りつけられている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
3 第1ダンパ(第1のダンパ)、
4 第2ダンパ(第2のダンパ)、
5 免震構造、5a 免震層、
6 ケース、6A 取付部、
7 ピストン、7A 室内流路、
8 ロッド、8A 取付部、
10 内筒、
10A 第1流路、10B 第2流路、10D オリフィス、
11 第1室、12 第2室、13 貯蔵室、
13A 外筒室、13B 予備室、20 外筒、
30 逆止弁、31 リリーフ弁、32 逆止弁、33 調圧弁、
51 積層ゴム(免震支承部材)、
52 免震層区画部材、
GND 地面、G 上下方向隙間
Claims (6)
- 複数の免震支承部材が並列に並べられてなる免震層を、免震層区画部材を介して上下方向に積層して構成され、最上層の免震層の上に配置された上部構造体の重量を支持しつつ、最下層の免震層の下に配置された下部構造体に対する前記上部構造体の水平方向の相対変位を許容する免震構造であって、
水平方向の振動を減衰するダンパが、前記免震層を、又は、上下に隣接する複数の免震層を一つの振動減衰対象区域として設けられ、
第1の振動減衰対象区域に第1のダンパが設けられるとともに、第2の振動減衰対象区域に第2のダンパが設けられることにより、水平方向に所定荷重以下の外力が加わった時の前記第2の振動減衰対象区域の水平方向の相対速度は、前記外力が加わった時の前記第1の振動減衰対象区域の水平方向の相対速度よりも小さく設定され、
前記第2の振動減衰対象区域に前記所定荷重の外力が加わった時の前記第2の振動減衰対象区域の水平方向の相対速度は、第2所定値であり、
前記第2の振動減衰対象区域に加わる水平方向の外力が前記所定荷重を超える荷重範囲では、前記第2のダンパから前記第2の振動減衰対象区域へと付与される減衰力は、前記所定荷重を前記第2所定値で除算して得られる比率よりも小さい変化率に基づき前記相対速度に応じて変化することを特徴とする免震構造。 - 請求項1に記載の免震構造であって、
前記第1の振動減衰対象区域に前記所定荷重の外力が加わった時の前記第1の振動減衰対象区域の前記相対速度が第1所定値であり、
前記第1の振動減衰対象区域に加わる水平方向の外力が前記所定荷重を超える荷重範囲では、前記第1のダンパから前記第1の振動減衰対象区域へと付与される減衰力は、前記所定荷重を前記第1所定値で除算して得られる比率以下の変化率に基づき前記相対速度に応じて変化することを特徴とする免震構造。 - 請求項2に記載の免震構造であって、
前記第1の振動減衰対象区域に加わる水平方向の外力が前記所定荷重を超える荷重範囲では、前記第1のダンパから前記第1の振動減衰対象区域へと付与される減衰力は、前記所定荷重を前記第1所定値で除算して得られる比率よりも小さい変化率に基づき前記相対速度に応じて変化することを特徴とする免震構造。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の免震構造であって、
前記変化率は、前記比率の0〜0.2倍であることを特徴とする免震構造。 - 請求項1乃至4の何れかに記載の免震構造であって、
前記所定荷重は、前記上部構造体に作用する風荷重の想定値及び中小地震の地震荷重の想定値よりも大きく、巨大地震の地震荷重の想定値よりも小さいことを特徴とする免震構造。 - 請求項1乃至5の何れかに記載の免震構造であって、
前記第1の振動減衰対象区域は、前記第2の振動減衰対象区域よりも下方に設定されることを特徴とする免震構造。
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