JP2020133243A - 複層免震建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】発生頻度の高い中小規模の地震動から、通常の設計レベルを超える過大な地震動まで、効果的に対応可能な、複層免震建物を提供する。【解決手段】複層免震建物1Aは、免震層4を複数備えた複層免震建物1Aであって、下側から上側に向かって、下部構造物2、下部免震層40、中間構造物31、中間免震層50、及び上部構造物32が連結されて構成されており、下部免震層40及び中間免震層50のいずれか一方の免震層40は、水平剛性が他方の免震層50より小さく設定され、かつ、一方の免震層40の変形に伴って一方の免震層40の水平剛性を上昇させる剛性付与機構43を備え、他方の免震層50は、地震動発生時に剛性付与機構43により一方の免震層40の水平剛性が上昇した状態で変形する。【選択図】図1

Description

本発明は、免震層を複数備えた複層免震建物に関する。
建物に対する地震動による影響を抑えるため、免震建物が用いられている。2016年に発生した熊本地震などで、通常の設計レベル(建築基準法に則った設計レベル)を大幅に超えるような想定外の過大な地震動が観測されている。免震建物においても、過大な地震動を受けた場合には、免震建物の周囲に設けられた擁壁への衝突、免震建物に設けられた免震部材の損傷などの被害が生じる可能性がある。
これに対し、例えば特許文献1には、基礎免震層と、基礎免震層に支持された下部構造物と、下部構造物上に設けられ、基礎免震層よりも水平剛性の小さい中間免震層と、中間免震層に支持された上部構造物と、を備える免震建物が開示されている。この免震建物では、免震層を複数層に備えることで、各免震層で地震エネルギーを吸収することができるので、より大きな地震動に対応することが可能となる。
特許文献1に開示されたような構成では、建物の上下方向中間部に設けられた中間免震層では、建物の最下層のみに免震層(基礎免震層)を設けた通常の免震建物では生じないような、高次振動が発生する場合がある。この高次振動によって、通常の設計レベルにおいても免震層の上下に位置する周辺層で加速度が増大し、建物内の家具や什器の転倒等を招く場合がある。また、免震建物に設けられたエレベータは、所定以上の加速度が生じた場合に自動的に停止する。免震層やその周辺層における加速度の増大により、通常の免震建物ではエレベータが停止しないような地震動であっても、エレベータが停止し、復旧までに時間を要することがある。
また、例えば特許文献2には、中間免震層を介して積層された複数の構造体により構成された構造物と、構造物を支持する最下免震層と、中間免震層に設けられ、中間免震層を固定又は固定解除させるダンパー等の剛性付与装置と、を備える構成が開示されている。このような構成では、地震時に、中間免震層を固定又は固定解除させて、免震構造物の振動系の固有周期を変化させる。これにより、免震構造物の固有周期と地震動の振動周期とを異ならせて共振を防ぎ、構造物の加速度応答及び変形量応答を低減する。
特許文献2に開示されたような構成では、中間免震層の固定又は固定解除は、ダンパー等の剛性付与装置によって行われる。このため、通常の設計レベルを超える過大な地震動の場合、剛性付与装置による中間免震層の固定又は固定解除が、設計時の意図通りに行われず、建物に被害が生じる可能性がある。このため、過大な地震動に対し、被害が生じるのを、より確実に行えることが望まれる。
また、特許文献3には、下部免震層と、基礎側の下部構造部及び上部構造部の間に設けられる上部免震層と、を備え、上部免震層は、傾斜滑り装置と減衰装置とからなる構成が開示されている。
特許文献3に開示されたような構成では、上部免震層を通常の設計レベルですべらないように設計した場合、通常の設計レベルを超える過大な地震動の場合、先に下部免震層が変形限界を迎える。その結果、免震建物の周囲に設けられた擁壁への衝突、免震建物に設けられた免震部材の破壊などの被害が生じる可能性がある。
特開2013−104231号公報 特開2014−80794号公報 特開2017−71909号公報
本発明の目的は、発生頻度の高い中小規模の地震動から、通常の設計レベルを超える過大な地震動まで、効果的に対応可能な、複層免震建物を提供することである。
本発明者らは、通常の設計で考慮するレベルの地震動であっても、通常の設計レベルを超える過大な地震動であっても、建物に加わる地震荷重を低減できる免震建物として、免震建物を下部側から上層階側に向かって、下部免震層、中間構造物、中間免震層、上部構造物の順序で構成した上で、基本形態として、下部免震層を中間免震層に比べて、低い水平剛性とし、かつ当該下部免震層に剛性付与機構を設置することで、通常の地震動レベルでは下部免震層のみ免震機構を発揮させる一方、過大な地震動レベルでは中間免震層のみ免震機構を発揮させることで、様々な地震動に対しても免震効果が発揮出来る点に着眼して、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の複層免震建物は、免震層を複数備えた複層免震建物であって、下側から上側に向かって、下部構造物、下部免震層、第1上部構造物、中間免震層、及び第2上部構造物が連結されて構成されており、前記下部免震層及び前記中間免震層のいずれか一方の免震層は、水平剛性が他方の免震層より小さく設定され、かつ、前記一方の免震層の変形に伴って当該一方の免震層の水平剛性を上昇させる剛性付与機構を備え、前記他方の免震層は、地震動発生時に前記剛性付与機構により前記一方の免震層の水平剛性が上昇した状態で変形することを特徴とする。
このような構成によれば、地震動によって複層免震建物に作用する外力のレベルが、あるレベルを超えない範囲では、下部免震層及び中間免震層のうち、水平剛性が小さい一方の免震層において変形が生じ、免震性能が発揮される。このとき、下部免震層及び中間免震層のうち、水平剛性が大きい他方の免震層では変形が抑えられ、水平剛性の低い一方の免震層のみに変形が加わり、免震効果が発揮される。
地震動による外力のレベルが、あるレベルを超えた場合、下部免震層及び中間免震層のうち、水平剛性が小さい一方の免震層では、剛性付与機構によって付与される剛性によって、この一方の免震層の水平剛性が上昇する。この水平剛性の上昇により、一方の免震層では変形の一定以上の増大が制限される。すると、一方の免震層で発揮される免震効果が抑えられる。これによって、水平剛性が元々大きい他方の免震層では、一方の免震層で水平剛性を上昇させることで、変形が制限された結果、地震動による地震荷重が他方の免震層の上下に伝達される。これにより、他方の免震層で変形が生じ、免震性能を発揮することができる。
このように、外力レベルが小さいときには、水平剛性が小さい一方の免震層で免震性能が主に発揮される。外力レベルが大きくなり、一方の免震層の水平剛性が上昇した後には、相対的に水平剛性が小さい他方の免震層で免震性能が主に発揮される。
その結果、過大な地震動と、発生頻度の高い中小規模の地震動の双方に、効果的に対応可能な、複層免震建物を提供することが可能となる。
本発明の一態様においては、本発明の複層免震建物では、前記剛性付与機構は、線形剛性付与型のストッパー、緩衝材付きのストッパー、ハードニング機構付きのダンパー、ハードニング機構付き曲面すべり支承体のうち、いずれか一種、または二種以上の組み合わせである。
このような構成によれば、剛性付与機構により、水平剛性が小さい一方の免震層における変位が、通常の設計レベルで想定する変位を超えた場合、剛性を付与することで、一方の免震層の水平剛性を高めることができる。これにより、一方の免震層の、一定以上の変形を抑制し、他方の免震層に変形を集中させることが可能となる。
本発明の別の態様においては、本発明の複層免震建物は、前記他方の免震層は、すべり支承体、ロック機構付きダンパー、摩擦ダンパー、鋼材ダンパー、シアピンのいずれか一種、または二種以上の組み合わせと、免震ゴム支承との組み合わせで、構成されている。
このような構成によれば、通常の設計レベルを超える過大な地震動発生時に、一方の免震層において、水平剛性が高められた後、他方の免震層に作用する地震荷重が荷重閾値を超えると、他方の免震層の拘束が解除されて変形を許容する状態となる。他方の免震層の変形の許容により、地震荷重のさらなる入力を抑止可能である。
本発明によれば、発生頻度の高い中小規模の地震動から、通常の設計レベルを超える過大な地震動まで、効果的に対応可能な、複層免震建物を提供することが可能となる。
本発明の実施形態に係る複層免震建物の概略構成を示す正面図である。 図1の複層免震建物において、下部免震層のみが変形した状態を示す正面図である。 図1の複層免震建物において、下部免震層の変形が拘束され、中間免震層が変形した状態を示す正面図である。 図1の複層免震建物を対象とした検証用の振動モデルを示す図である。 従来の複層免震装置用の振動モデルを示す図である。 本発明と従来型による複層免震建物の検証結果(通常の設計地震動レベル:各階の最大層間変形量の比較)である。 本発明と従来型による複層免震建物の検証結果(通常の設計地震動レベル:各階の最大応答加速度の比較)である。 本発明と従来型による複層免震建物の検証結果(過大な地震動レベル:各階の最大層間変形量の比較)である。 本発明と従来型による複層免震建物の検証結果(過大な地震動レベル:各階の最大応答加速度の比較)である。 本発明の実施形態の第1変形例による複層免震建物の概略構成図である。 図10の第1変形例の複層免震建物を対象とした検証用の振動モデルを示す図である。 第1変形例と従来型による複層免震建物の検証結果(通常の設計地震動レベル:各階の最大層間変形量の比較)である。 第1変形例と従来型による複層免震建物の検証結果(通常の設計地震動レベル:各階の最大応答加速度の比較)である。 第1変形例と従来型による複層免震建物の検証結果(過大な地震動レベル:各階の最大層間変形量の比較)である。 第1変形例と従来型による複層免震建物の検証結果(過大な地震動レベル:各階の最大応答加速度の比較)である。 本発明の実施形態の第2変形例よる複層免震建物の概略構成図である。 本発明の実施形態の第3変形例よる複層免震建物の概略構成図である。 本発明の実施形態の第4変形例よる複層免震建物の概略構成図である。
本発明は、免震層を複数備えた複層免震建物であって、免震建物を下部側から上層階側に向かって、下部免震層、中間構造物、中間免震層、上部構造物の順序で構成した上で、下部免震層及び中間免震層のいずれか一方の免震層を、他方の免震層の水平剛性より小さく設定するとともに、当該一方の免震層に水平変形の増大に伴って水平剛性を増大させる剛性付与機構を備える点が特徴である。
本発明の実施形態は、下部免震層と中間免震層による2層免震建物であり、下部免震層が中間免震層より水平剛性が低く、下部免震層に剛性付与機構としてストッパーが設置されている(図1〜図9)。第1変形例では、下部免震層に剛性付与機構としてハードニング機構付きダンパー45が設置され、中間免震層に免震構造用リリーフ機構付きオイルダンパー54と、ロック機構付きオイルダンパー55が設置されている(図10〜図15)。また、第2変形例では、下部免震層に中摩擦すべり支承46(摩擦係数が小さい)が設置され、中間免震層に高摩擦すべり支承56が設置されている。下部免震層は、中間免震層より低い荷重ですべりが発生し、早期に、水平変形が発生する(図16)。
第3変形例は、1層の下方側に下部免震層を設置し、1層の上方側に中間免震層を設置した複層免震建物である(図17)。
第4変形例は、上記の各実施形態と異なる点は、中間免震層が下部免震層より水平剛性が低く、中間免震層に剛性付与機構としてストッパー43Eが設置されている点である(図18)。
以下、添付図面を参照して、本発明による複層免震建物を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係る複層免震建物の概略構成を示す正面図を図1に示す。図2は、図1の複層免震建物において、下部免震層が変形した状態を示す正面図である。図3は、図1の複層免震建物において、下部免震層の変形が拘束され、中間免震層が変形した状態を示す正面図である。
図1に示されるように、複層免震建物1Aは、下部構造物2と、建物本体3と、複数の免震層4と、を備えている。
下部構造物2は、地盤に支持されている。下部構造物2は、水平面内に位置する基礎床版21と、基礎床版21の外周部から上方に立ち上がる擁壁22と、を備えている。
建物本体3は、下層階を構成する中間構造物(第1上部構造物)31と、上層階を構成する上部構造物(第2上部構造物)32と、を備えている。本実施形態において、例えば、中間構造物31は、上部構造物32よりも上下方向の高さ寸法が小さく、階層数が少ない。
複数の免震層4として、下部免震層40と、中間免震層50とが設けられている。下部免震層40は、複層免震建物1Aの最下部に設けられ、基礎床版21と中間構造物31との間に設けられている。中間免震層50は、複層免震建物1Aの上下方向中間部に設けられ、中間構造物31と上部構造物32との間に設けられている。
このようにして、複層免震建物1Aは、下側から上側に向かって、下部構造物2、下部免震層40、中間構造物31、中間免震層50、及び上部構造物32が連結されて構成されている。
下部免震層40は、複数の免震ゴム支承41と、オイルダンパー42と、剛性付与機構43とを備えている。
免震ゴム支承41は、上下のプレート41a、41bの間に、鋼板とゴム層とを上下方向に交互に積層した積層ゴム部41cを備えたものである。
オイルダンパー42は、一端42a側が下部構造物2の基礎床版21に固定され、他端42bが中間構造物31の下面に固定されている。オイルダンパー42は、一端42aと他端42bとの間に、ダンパー本体42cを備えている。
図2に示されるように、地震動により下部構造物2に対して中間構造物31が水平方向に変位すると、免震ゴム支承41の上部のプレート41aと下部のプレート41bとが水平方向に相対変位し、積層ゴム部41cのゴム層が弾性変形し、中間構造物31及び上部構造物32の揺れを長周期化させる。このとき、オイルダンパー42においては、ダンパー本体42cが伸縮する。これにより、下部構造物2に対する中間構造物31の水平方向の相対変位が減衰される。
剛性付与機構43は、下部免震層40の水平剛性を上昇させる。剛性付与機構43は、地震動により下部構造物2に対して中間構造物31が水平方向に変位することによって生じる下部免震層40の変形量に伴って、下部免震層40の水平剛性を上昇させる。剛性付与機構43は、線形剛性付与型のストッパー、緩衝材付きのストッパー、ハードニング機構付きのダンパー、ハードニング機構付き曲面すべり支承体のうち、いずれか一種、または二種以上の組み合わせである。剛性付与機構43としては、これ以外にも、橋梁用落下防止チェーン、積層ゴム支承のハードニング現象等を利用することもできる。よって、剛性付与機構は、ストッパー等によるばね剛性だけでなく、ハードニング機構付きのダンパー等による粘性減衰による抵抗によっても免震層の水平剛性を上昇されるものである。具体的には、本実施形態においては、剛性付与機構43として、ストッパー44が設けられている。このストッパー44は、線形剛性付与型のストッパー、又は緩衝材付きのストッパーである。より具体的には、ストッパー44として、防舷材などの衝突緩衝材、鋼材ダンパー、復元ゴム等を用いることができる。ストッパー44は、下部構造物2の擁壁22に設けられている。ストッパー44は、通常時(地震動が発生していない状態)では、中間構造物31の外側面との間に、水平方向に隙間Sを隔てて設けられている。図3に示されるように、地震動により中間構造物31が水平方向に隙間Sの寸法以上に変位し、ストッパー44に衝突すると、中間構造物31の一定以上の変位が拘束される。これにより、下部免震層40の水平剛性が実質的に上昇する。
このような下部免震層40は、水平剛性が中間免震層50より小さく設定されている。より詳しくは、下部免震層40は、剛性付与機構43によって剛性が付与される前の状態においては、複数の免震ゴム支承41及びオイルダンパー42による水平剛性が、中間免震層50より小さく設定されている。
図1に示されるように、中間免震層50は、複数の免震ゴム支承51と、拘束部材52と、を備えている。
免震ゴム支承51は、上下のプレート51a、51bの間に、鋼板とゴム層とを上下方向に交互に積層した積層ゴム部51cを備えたものである。免震ゴム支承51は、地震動により中間構造物31に対して上部構造物32が水平方向に相対変位すると、上部のプレート51aと下部のプレート51bとが水平方向に相対変位する。これによって積層ゴム部51cのゴム層が弾性変形し、上部構造物32の揺れを長周期化させる。
拘束部材52は、中間免震層50に作用する地震荷重が、予め定めた荷重閾値以下であるときには、中間構造物31に対する上部構造物32の水平方向の相対変位を拘束する。拘束部材52は、中間免震層50に作用する地震荷重が、予め定めた荷重閾値を超えた場合、中間構造物31に対する上部構造物32の水平方向の相対変位の拘束を解除する。ここで、拘束部材52による上部構造物32の変位の拘束を解除する荷重閾値は、下部免震層または中間免震層のどちらか一方のみに変形を生じさせ、安定的に免震効果が発揮出来るように、中間構造物31がストッパー44に衝突する地震荷重と同等とするのが好ましい。 このような拘束部材52としては、すべり支承体、免震用鋼材ダンパー、ロック機構付きオイルダンパー、摩擦ダンパー、シアピンのいずれか一種、または二種以上の組み合わせが用いられる。本実施形態では、拘束部材52として、弾性すべり支承体53が設けられている。弾性すべり支承体53は、中間免震層50に作用する地震荷重が予め定めた荷重閾値を超えた場合に、すなわち中間構造物31がストッパー44に衝突するときに支承体がすべり板に対して滑動しはじめるように、摩擦係数が設定されている。
次に、上記の複層免震建物1Aの作用を説明する。
先ず、通常の設計地震動レベルでは、図2に示されるように、このような複層免震建物1Aでは、地震動によって複層免震建物1Aに作用する外力のレベルは、あるレベルを超えない範囲にあり、下部免震層40及び中間免震層50のうち、水平剛性が小さい下部免震層40のみにおいて、変形が生じ、免震性能が発揮される。このとき、下部免震層40よりも水平剛性が大きい中間免震層50では、変形が抑えられる。
次に、通常の設計レベルを超える過大な地震動レベルでは、図3に示されるように、地震動による外力のレベルは、あるレベルを超える範囲となり、下部免震層40では、中間構造物31がストッパー44に衝突することで、隙間S(図1参照)の寸法以上(一定以上)の水平方向の変形が拘束される。これによって、下部免震層40の水平剛性が上昇し、下部免震層40で発揮される免震効果が制限される。このようにして下部免震層40で一定以上の変形が拘束されると、地震動による外力(地震荷重)によるせん断力が、下部免震層40よりも上層に伝わる。中間免震層50に作用する地震荷重が荷重閾値を超えると、弾性すべり支承体53によるすべりが生じ、拘束部材52による拘束が解除される。これにより、中間免震層50の上下の中間構造物31と上部構造物32との間で水平方向の相対変位が生じ、中間免震層50で変形が生じる。これによって、中間免震層50で免震性能が発揮される。
このように、地震動による外力レベルが小さいときには、水平剛性が小さい下部免震層40で免震性能が主に発揮される。地震動による外力レベルが大きくなり、下部免震層40の一定以上の変位が拘束された後には、水平剛性が大きい中間免震層50で免震性能が主に発揮される。
ところで、地震後に中間免震層50に残留変位が生じた場合、上記のように変形が先行する層(下部免震層40)が下方にあると、残留変位を解消するためにジャッキなどの復元機構で中間免震層50を動かして位置を調整するときに、反力によって下部免震層40が動いてしまうことがある。これを抑制するために、下部免震層40には免震層の固定機構が必要になる。固定機構としては、種々考えられるが、一つの例としては、ジャッキなどで中間免震層50を動かすに際し、擁壁22と中間構造物31との間に、十分に固いブロック材を挟み込み、中間構造物31を水平方向で固定すればよい。
(本発明の複層免震建物の地震応答解析による検証、その1)
ここで、上記のような構成について、シミュレーション解析を行った。
図4は、図1の複層免震装置について、シミュレーション解析を行う際に用いた振動モデルを示す図である。図5は、複層免震装置についてシミュレーション解析を行う際に、比較のために用いた従来の複層免震構造の振動モデルを示す図である。
シミュレーション解析には、本実施形態の複層免震建物の21質点モデルを振動モデルM1として使用した。このとき免震層は、基礎と1階床の間の層と、4階に相当する層に設定した。また、比較のため、剛性付与機構43、拘束部材52を備えず、単に、同じ構造の2つの免震層を上下に備える従来の複層免震構造の場合についても、図5に示すような20階複層免震建物の21質点モデルを振動モデルM2として使用した。
それぞれの振動モデルM1、M2に対し、通常の設計地震動レベルとして、通常の設計レベルで用いられるエルセントロNS50kine基準化波を採用し、極めて稀に発生する過大な地震動レベルとして、熊本地震西原村小森原波を採用した。それぞれの地震を入力した場合における、地震応答として、各層における層間変形と、加速度とを、シミュレーションにより得た。
図6は、エルセントロNS50kine基準化波を入力した場合における各層における層間変形を示す図である。図7は、エルセントロNS50kine基準化波を入力した場合における各層における加速度を示す図である。図8は、熊本地震西原村小森原波を入力した場合における各層における層間変形を示す図である。図9は、熊本地震西原村小森原波を入力した場合における各層における加速度を示す図である。
図6に示されるように、通常の設計レベルで用いられるエルセントロNS50kine基準化波を入力した場合、従来の複層免震構造の振動モデルM2では、2つの層に大きな変形が生じているのに対し、本実施形態における振動モデルM1では、下部免震層40のみで変形量が増大した。また、図7に示すように、従来の複層免震構造の振動モデルM2に比較し、本実施形態における振動モデルM1では、下部免震層40と中間免震層50との間の中間構造物31の各層において、応答加速度が低減されている。
また、図8に示すように、熊本地震西原村小森原波を入力した場合、従来の複層免震構造の振動モデルM2と、本実施形態における振動モデルM1とでは、各層の層間変形が、ほぼ同程度となっている。したがって、限界状態における複層免震建物1Aの安全性として、従来の複層免震構造と比較して、同等の性能を確保できるといえる。
図9に示すように、熊本地震西原村小森原波を入力した場合、中間免震層50よりも下方では、免震構造としての機能を低下させており、従来の複層免震構造の振動モデルM2に対し、本実施形態における振動モデルM1おける応答加速度は低減されていない。これについては、後に説明するように、第1変形例の構成によって対応可能である。
上述したような複層免震建物1Aによれば、複層免震建物1Aは、免震層4を複数備えた複層免震建物1Aであって、下側から上側に向かって、下部構造物2、下部免震層40、中間構造物31、中間免震層50、及び上部構造物32が連結されて構成されており、下部免震層40は、水平剛性が中間免震層50より小さく設定され、かつ、下部免震層40の変形に伴って下部免震層40の水平剛性を上昇させる剛性付与機構43を備え、中間免震層50は、地震動発生時に剛性付与機構43により下部免震層40の水平剛性が上昇した状態で変形する。
このような構成によれば、外力レベルが小さいときには、水平剛性が小さい下部免震層40で免震性能が主に発揮される。外力レベルが大きくなり、下部免震層40の水平剛性が上昇した後に、水平剛性が大きい中間免震層50で免震性能が主に発揮される。このように、外力レベルが小さいときには、変形を許容する免震層4を下部免震層40のみとして、その範囲での加速度応答性能を向上させる。また、変形を許容する免震層4を1層に限定することで、比較的頻度の高い地震を被った際に、エレベータ等の復旧にかかる時間を短縮し得ることができる。また、外力レベルが大きくなると、変形を許容していた下部免震層40の変形を制限し、変形を制限していた中間免震層50の変形を許容させる。
このようにして、通常の設計レベルを大幅に超える過大な地震動に対応でき、かつ、通常の設計レベルにおいて変形を許容する免震層4の数を、下部免震層40のみに限定することで、比較的発生頻度の高い地震に対して免震性能を高め、被災後の建物機能復旧性能の向上を図ることができる。
また、通常の設計レベルの範囲内では、中間免震層50の変形を制限することができるため、加速度応答を従来の複層免震よりも低く抑えることができ、かつ、中間層を通過するエレベータの被災後の復旧時間を短縮することができる。
さらに、通常の設計レベルを超える地震動を受けた場合でも、変形を制限していた中間免震層50において免震機能が発揮されることにより、複層免震建物1Aの損傷を抑えて継続利用することができる。
その結果、発生頻度の高い中小規模の地震動から、通常の設計レベルを超える過大な地震動まで、効果的に対応可能な、複層免震建物1Aを提供することが可能となる。
また、剛性付与機構43は、線形剛性付与型のストッパー、緩衝材付きのストッパー、ハードニング機構付きのダンパー、ハードニング機構付き曲面すべり支承体のうち、いずれか一種、または二種以上の組み合わせである。
このような構成によれば、剛性付与機構43により、水平剛性が小さい下部免震層40における変位が、通常の設計レベルで想定する変位を超えた場合、下部免震層40の一定以上の変形を抑制し、中間免震層50に変形を集中させることが可能となる。
複層免震建物1Aは、中間免震層50は、すべり支承体(弾性すべり支承体53)、ロック機構付きダンパー、摩擦ダンパー、鋼材ダンパー、シアピンのいずれか一種、または二種以上の組み合わせと、免震ゴム支承51との組み合わせで、構成されている。
このような構成によれば、通常の設計レベルを超える過大な地震動発生時に、下部免震層40における水平剛性が高められた後、中間免震層50に作用する地震荷重が荷重閾値を超えると、中間免震層50の拘束が解除されて変形を許容する状態となる。中間免震層50の変形の許容により、地震荷重のさらなる入力を抑止可能である。
(実施形態の第1変形例)
なお、本発明の複層免震建物は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
本発明の実施形態の第1変形例における複層免震建物の構成を示す図を図10に示す。
例えば、図10に示されるように、本変形例における複層免震建物1Bは、下部免震層40Bに、上記実施形態におけるオイルダンパー42、及びストッパー44に代えて、パッシブ可変減衰型(変位切換型)のハードニング機構付きオイルダンパー(ハードニング機構付きのダンパー)45を備えている。また、中間免震層50Bに、拘束部材52Bとして、弾性すべり支承体53に代えて、免震構造用リリーフ機構付きオイルダンパー54と、ロック機構付きオイルダンパー(ロック機構付きダンパー)55と、を備えている。
本変形例においては、ハードニング機構付きオイルダンパー45が剛性付与機構43Bとして機能する。すなわち、下部免震層40Bのハードニング機構付きオイルダンパー45が低減衰モードの範囲では、中間免震層50Bが拘束されるように荷重閾値を設定する。ハードニング機構付きオイルダンパー45は、その変位が変位閾値を超え高減衰モードに移行して、すなわちハードニング機構付きオイルダンパー45によって下部免震層40Bの水平剛性が上昇して初めて、中間免震層50Bの拘束が解除されるように設定する。
ロック機構付きオイルダンパー55は、通常の耐震設計レベルにおいて(例えばL2地震動に対して)は中間免震層50Bをロックし、その地震動レベルを超える範囲で中間免震層50Bのロックを解除して免震機能を発揮させる。
ハードニング機構付きオイルダンパー45、ロック機構付きオイルダンパー55の閾値の設定方法としては、中間免震層50Bと下部免震層40Bの地震時の応答の関係から定められる。このため、地震応答解析(時刻歴応答解析)などにより、ハードニング機構付きオイルダンパー45、ロック機構付きオイルダンパー55の応答の関係を明確にして設定するのが好ましい。
(本発明の複層免震建物の地震応答解析による検証、その2)
ここで、上記のような構成について、シミュレーション解析を行った。
図11は、本発明の実施形態の第1変形例における複層免震建物について、シミュレーション解析を行う際に用いた振動モデルを示す図である。
このときの地震応答は、図11に示すような、第1変形例による20階建ての複層免震建物を対象とした21質点振動モデルM3とした。このとき免震層は、基礎と1階床の間の層と、4階に相当する層に設定した。
この振動モデルM3に対し、通常の設計レベルで用いられるエルセントロNS50kine基準化波と、通常の設計レベルを超える過大な地震動として、熊本地震西原村小森原波を入力した。それぞれの原波を入力した場合における、地震応答として、各層における層間変形と、加速度とを、シミュレーションにより得た。
図12は、エルセントロNS50kine基準化波を入力した場合における各層における層間変形を示す図である。図13は、エルセントロNS50kine基準化波を入力した場合における各層における加速度を示す図である。図14は、熊本地震西原村小森原波を入力した場合における各層における層間変形を示す図である。図15は、熊本地震西原村小森原波を入力した場合における各層における加速度を示す図である。ここで、図12〜図15においては、上記実施形態で示した振動モデルM2における地震応答を、比較のために用いた。
図12、図13に示されるように、通常の設計レベルで用いられるエルセントロNS50kine基準化波を入力した場合、中間免震層50を拘束しているため、上記実施形態と同様にふるまい、中間免震層50の変位が抑制され、加速度応答も従来の複層免震構造に比べて、低減されている。
また、図14、図15に示されるように、熊本地震西原村小森原波を入力した場合、下部免震層40の減衰が高減衰に切り替わるとともに、中間免震層50のロックが解除され、従来の複層免震構造と近い状態に切り替わる。上記実施形態においては、図9を用いて説明したように、熊本地震西原村小森原波を入力した場合、中間免震層50よりも下方では、免震構造としての機能が低下していたが、本変形例においては図15に示されるようにこれが改善されている。
これによって、大変形に対応しながら、従来の複層免震構造とほぼ同等の加速度応答性能が得られる。
(実施形態の第2変形例)
図16は、本発明の実施形態の第2変形例における複層免震建物の構成を示す図である。
図16に示されるように、本変形例における複層免震建物1Cは、下部免震層40Cに、上記実施形態におけるオイルダンパー42、及びストッパー44に代えて、中摩擦すべり支承46を備えている。また、中間免震層50Cには、拘束部材52Cとして、弾性すべり支承体53に代えて、高摩擦すべり支承56が設けられている。
中摩擦すべり支承46は、高摩擦すべり支承56よりも、低い地震荷重ですべりが発生する。すなわち、本変形例では、下部免震層40における中摩擦すべり支承46の摩擦係数(静止摩擦係数)が、中間免震層50Cにおける高摩擦すべり支承56の摩擦係数よりも小さく設定されている。
このような構成では、下部免震層40Cの中摩擦すべり支承46の静止摩擦係数を超えない外力レベルでは、下部免震層40C、中間免震層50Cの双方とも、変形を制限されている。外力レベルが中摩擦すべり支承46の静止摩擦係数を超えると、中摩擦すべり支承46ですべりが生じ、下部免震層40Cが先行して変形し、免震機能が発揮される。この状態で、中間免震層50Cの高摩擦すべり支承56では、すべりが生じず、中間免震層50Cの変形が制限されている。さらに外力レベルが増し、中間構造物31がストッパー44に衝突して下部免震層40Cのそれ以上の変形が拘束されて、下部免震層40Cの水平剛性が上昇すると、中間免震層50Cにせん断力が伝達される。すると、高摩擦すべり支承56ですべりが生じ、中間免震層50が変形して免震機能が発揮される。
本変形例が、既に説明した実施形態と同様な効果を奏することは言うまでもない。
(実施形態の第3変形例)
図17は、本発明の実施形態の第3変形例における複層免震建物の構成を示す図である。
図17に示されるように、本変形例における複層免震建物1Dは、下部免震層40Dと中間免震層50Dとの間の中間構造物(第2上部構造物)31Dを、1階層のみを有するものとした。
既に説明した、図1に示されるような実施形態のような構成では、通常の設計レベルを超える過大な地震動により、下部免震層40の変形を制限する領域に入ったとき、下部免震層40では免震機能が低下する。このため、下部免震層40と中間免震層50の間の中間構造物31の応答性状が、中間免震層50の上層の上部構造物32における応答性状よりも一般的に悪くなる。これに対し、本変形例においては、中間構造物31Dを1階層のみとして、階高を最小限としている。これにより、応答性状が低下する階層を、最小限に抑えることができる。
本変形例においては、剛性付与機構43Dは、基礎床版21及び中間構造物31Dに固定されたストッパーであり、中間構造物31の変位時には、これが下部免震層40Dを挟んで対向する部分に設けられた変位拘束材60に当接することで、中間構造物31Dの一定以上の変位が拘束される。これにより、下部免震層40Dの水平剛性が実質的に上昇する。
また、特に本変形例においては、中間免震層50Dは、中間構造物31D上に設けた柱57及びブレース58の上端(柱頭)と上部構造物32との間に、上記実施形態と同様、免震ゴム支承51と、拘束部材52としての弾性すべり支承体53とを備えるようにした。これにより、中間免震層50Dにおいて柱57及びブレース58が設けられた空間Xを、例えばロビー階等として利用することができる。
この場合、エレベータ8は、中間免震層50Dの上層の上部構造物32の最下階から吊り下げて支持されるように設けることができる。すなわち、エレベータ8の中間免震層50Dに位置する部分においては、中間免震層50Dの他の構造要素と縁切りされ、なおかつ上部構造物32と構造的に接合された構成とすることができる。これにより、地震時にエレベータ8全体が上部構造物32と一体となって変位するため、地震動による変位で、エレベータ8に大きな変形が加わるのを抑え、防災計画上、有利である。
なお、下部免震層40Dについても、上記中間免震層50Dと同様に、柱57やブレース58を備え、その上端に免震ゴム支承41等を設ける構成とし、下部免震層40Dを、駐車場、倉庫等の空間として有効利用することもできる。
(実施形態の第4変形例)
上記実施形態および第1から第3変形例では、下部免震層40、40B、40C、40Dの水平剛性が、中間免震層50、50B、50C、50Dよりも小さい構成としたが、これに限らない。
図18は、本発明の実施形態の第4変形例における複層免震建物の構成を示す図である。
本変形例における複層免震建物1Eは、実施形態の中間免震層と下部免震層を概ね逆にした構成を備えている。すなわち、図18に示されるように、複層免震建物1Eは、中間免震層50Eの水平剛性が、下部免震層40Eよりも小さく設定されている。複層免震建物1Eは、下部免震層40Eに、免震ゴム支承41と、拘束部材47としての弾性すべり支承体48と、を備えている。また、中間免震層50Eに、オイルダンパー42と、ストッパー43Eを備えている。ストッパー43Eは中間構造物31に固定されており、上部構造物32に固定された変位拘束材61に当接することで、剛性付与機構43Eとして機能する。
本変形例においては、外力レベルが小さいときには、水平剛性が小さい中間免震層50Eで免震性能が主に発揮される。外力レベルが大きくなると、中間免震層50Eでは、ストッパー43Eと変位拘束材61とが衝突することで、水平方向の変形が拘束される。これによって、中間免震層50Eの水平剛性が上昇し、中間免震層50Eで発揮される免震効果が制限される。下部免震層40Eに作用する地震荷重が荷重閾値を超えると、下部免震層40Eに設けられた弾性すべり支承体48によるすべりが生じ、拘束部材47による拘束が解除される。これにより、下部免震層40Eの上下の下部構造物2と中間構造物31との間で水平方向の相対変位が生じ、下部免震層40Eで変形が生じる。これによって、下部免震層40Eで免震性能が発揮される。
本変形例においては、通常の設計レベルにおいて中間構造物31が非免震状態となるため、上記実施形態及び第1〜第3変形例と比較すると、免震性能が低くなる。しかし、地震が生じ、下部免震層40Eに残留変位が生じた場合において、下部免震層40Eは下部構造物2に面しているため、残留変位を解消して中間構造物31と上部構造物32を原点復帰させるための反力を得やすい。このように、本変形例においては地震後の残留変位の解消が容易である。
(その他の変形例)
例えば、上記実施形態および各変形例では、免震層4を2層備えるものとしたが、免震層の数に制限はなく、ある外力レベルを超える範囲で変形を制限する層と、ある外力レベルを超える範囲で変形を許容する免震層の数、およびその外力レベルの閾値は、適宜設定することができる。
また、上記実施形態および各変形例において、ストッパーが設けられていない免震層においても、想定以上の過度の変形を抑制するためのフェールセーフ機構として、ストッパーを追加して取り付けてもよい。
なお、上記実施形態の複数の免震層を備えた複層免震建物では、下部免震層及び中間免震層のいずれか一方の免震層は、水平剛性が他方の免震層より小さく設定され、かつ、前記一方の免震層の変形に伴って当該一方の免震層の水平剛性を上昇させる剛性付与機構を備えている。ここで、水平剛性は水平耐力を含む。すなわち、複層免震建物においては、下部免震層及び中間免震層のいずれか一方の免震層は、水平耐力が他方の免震層より小さく設定され、かつ、前記一方の免震層の変形に伴って当該一方の免震層の水平耐力を上昇させる機構を備え、前記他方の免震層は、地震動発生時に前記機構により前記一方の免震層の水平耐力が上昇した状態で、降伏または滑動することも可能である。
また、上記実施形態の複層免震建物では、他方の免震層は、すべり支承体、ロック機構付きダンパー、摩擦ダンパー、鋼材ダンパー、シアピンのいずれか一種、または二種以上の組み合わせと、免震ゴム支承との組み合わせで、構成されているが、他方の免震層がすべり支承体のみで形成されている場合であってもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
1A、1B、1C、1D、1E 複層免震建物 2 下部構造物
4 免震層
31、31D 中間構造物(第1上部構造物) 32 上部構造物(第2上部構造物)
40、40B、40C、40D、40E 下部免震層
43、43B、43D、43E 剛性付与機構 44 ストッパー
45 ハードニング機構付きオイルダンパー(ハードニング機構付きのダンパー)
46、48、53、56 すべり支承体
55 ロック機構付きオイルダンパー(ロック機構付きダンパー)
50、50B、50C、50D、50E 中間免震層

Claims (3)

  1. 免震層を複数備えた複層免震建物であって、
    下側から上側に向かって、下部構造物、下部免震層、第1上部構造物、中間免震層、及び第2上部構造物が連結されて構成されており、
    前記下部免震層及び前記中間免震層のいずれか一方の免震層は、水平剛性が他方の免震層より小さく設定され、かつ、前記一方の免震層の変形に伴って当該一方の免震層の水平剛性を上昇させる剛性付与機構を備え、
    前記他方の免震層は、地震動発生時に前記剛性付与機構により前記一方の免震層の水平剛性が上昇した状態で変形する
    ことを特徴とする複層免震建物。
  2. 前記剛性付与機構は、線形剛性付与型のストッパー、緩衝材付きのストッパー、ハードニング機構付きのダンパー、ハードニング機構付き曲面すべり支承体のうち、いずれか一種、または二種以上の組み合わせである
    ことを特徴とする請求項1に記載の複層免震建物。
  3. 前記他方の免震層は、すべり支承体、ロック機構付きダンパー、摩擦ダンパー、鋼材ダンパー、シアピンのいずれか一種、または二種以上の組み合わせと、免震ゴム支承との組み合わせで、構成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の複層免震建物。
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