JP6190643B2 - 制振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、制振装置に関する。
特許文献1には、建築構造物の本体の上部に弾性材からなる支持体が設置され、この支持体に植物の植え込まれた緑化構造体が支持された制震構造が開示されている。
特許文献2には、植物を植生できる土壌から成る同調質量を減衰機構で支持して建物の上部に配置した制震緑化建物が開示されている。
ここで、台風等の強風による風揺れに対して制振効果を発揮する付加マスダンパーは、小さな入力エネルギー(加速度)に対して付加マスが適正な振幅で振動するように設計する必要がある。しかし、このように設計された付加マスダンパーは、大地震時の大きな入力エネルギー(加速度)に対しては付加マスが過大に振動するため振幅を抑える必要があり制振効果が発揮されない。
一方、大地震時の大きな入力エネルギー(加速度)に対して制振効果を発揮する付加マスダンパーは、大きな入力エネルギー(加速度)に対して付加マスが適正な振幅で振動するように設計する必要がある。しかし、このように設計された付加マスダンパーは、台風等の強風による風揺れ時の小さな入力エネルギー(加速度)に対しては付加マスが殆ど振動しないため制振効果が得られない。
つまり、小さな入力エネルギーに対して制振効果を発揮するように設計された付加マスダンパーは、大きな入力エネルギーに対しては制振効果を発揮しない。一方、大きな入力エネルギーに対して制振効果を発揮するように設計された付加マスダンパーは、小さな入力エネルギーに対しては制振効果を発揮しない。
特開平6−146656号公報 特開2001−336307号公報
本発明は、上記事実を鑑み、広範囲の入力エネルギーに対して、制振効果を発揮することができる制振装置を提供することが課題である。
請求項1の発明は、構造物に設けられ、制振効果を発揮する入力エネルギーの大きさが異なり、付加マス同士が互いに接触しないように配置された複数の付加マスダンパーと、入力エネルギーが大きくなるに従い、制振効果を発揮する入力エネルギーが小さい順に前記付加マスの動きを抑制する抑制手段と、を備える。
請求項1に記載の発明では、構造物に加わる外乱が小さく(揺れが小さく)、制振装置に作用する入力エネルギーが小さい場合は、小さな入力エネルギーで制振効果を発揮する付加マスダンパーが制振効果を発揮して構造物を制振する。
一方、構造物に加わる外乱が大きく(揺れが大きく)、制振装置に作用する入力エネルギーが大きい場合は、小さな入力エネルギーで制振効果を発揮する付加マスダンパーは、抑制手段によって付加マスの動きが抑制される。しかし、大きな入力エネルギーで制振効果を発揮する付加マスダンパーが制振効果を発揮して構造物を制振する。
このように、本発明が適用された制振装置は、広範囲の入力エネルギーに対して、制振効果を発揮する。
請求項2の発明は、前記構造物は、平面視において短軸方向と長軸方向とを有する形状とされ、前記付加マスダンパーを構成する前記付加マスの振動方向は、前記短軸方向に沿うように設定され、前記長軸方向の両外側端部に制振効果を発揮する入力エネルギーが最も小さい前記付加マスダンパーがそれぞれ設けられ、前記長軸方向の中央部に制振効果を発揮する入力エネルギーが最も大きい前記付加マスダンパーが設けられている。
請求項2に記載の発明では、平面視において短軸方向と長軸方向とを有する形状の構造物は、長軸方向より短軸方向に揺れが大きくなるとと共に、ねじれ振動が発生する。
また、構造物に加わる外乱が小さい場合(揺れが小さい)は、ねじれ振動による居住性の悪化が問題となり、構造物に加わる外乱が大きい場合(揺れが大きい場合)は、ねじれ振動による居住性の悪化よりも短軸方向の水平振動の影響が大きい。
よって、小さな入力エネルギーで制振効果を開始する付加マスダンパーを長軸方向の両外側端部に設けることで、風荷重のような構造物に加わる外乱が小さな場合のねじれ振動を効果的に制振する。
また、大きな入力エネルギーで制振効果を開始する付加マスダンパーを長軸方向の中央部に設けることで、構造物に加わる外乱が大きな場合の短軸方向の水平振動の揺れを効果的に制振する。
請求項3の発明は、複数の前記付加マスダンパーの少なくとも一つは、植物が植えられた緑化構造体で前記付加マスが構成され、複数の前記付加マスダンパーの少なくとも一つは、前記緑化構造体よりも質量が大きいヘリポートで前記付加マスが構成されている。
請求項3に記載の発明では、構造物に設けられた緑化構造体及びヘリポートを、それぞれ付加マスとして活用し、制振効果を発揮させる。
本発明によれば、広範囲の入力エネルギーに対して、制振効果を発揮することができる。
本発明の一実施形態の制振装置が屋上に設けられた構造物を示す斜視図である。 図1の構造物の屋上部分を拡大した拡大斜視図である。 本発明の一実施形態の制振装置を構成する第一付加マスダンパーを示すY方向に沿った縦断面図である。 本発明の一実施形態の制振装置を構成する第二付加マスダンパーを示すY方向に沿った縦断面図である。 (A)は本発明の一実施形態の制振装置の第一付加マスダンパー及び第二付加マスダンパーを上方から見た場合の模式図であり、(B)は入力エネルギーが小さく構造物がねじれ振動している場合の制振効果を説明する説明図であり、(C)は入力エネルギーが大きく構造物がY方向(短軸方向)に水平振動している場合の制振効果を説明する説明図である。 図1に示す制振装置が屋上に設けられた構造物の振動モデルを示す図である。 本発明の一実施形態の制振装置の制振効果と入力エネルギーとの関係を説明する説明図である。 水平振動に関する性能評価曲線における制振装置の有無による揺れの改善を示すグラフである。 制振装置の有無による構造物の層間変形角の改善を示すグラフである。
<実施形態>
本発明の一実施形態の制振装置100について説明する。
図1に示すように、構造物10は、平面視における外形形状が長方形状の高層ビルである。なお、平面視における構造物10の長軸方向(長辺方向、強軸方向)をX方向とし、短軸方向(短辺方向、弱軸方向)をY方向とし、鉛直方向をZ方向とする。また、本実施形態における構造物10の平面視における長軸方向(X方向)と短軸方向(Y方向)との比は、3:1程度になっている。
また、本実施形態では、図示していないエレベータシャフトや避難階段等が配置されブレース(筋交)が設けられたコアスペースは、構造物10における長軸方向(X方向)の中央部分で短軸方向(Y方向)の外側部分の片側に集中して配置されている。よって、本実施形態の構造物10は、ブレース(筋交)が、この狭小スペースに限定されているため、ねじれ剛性が低く、ねじれ変形が生じやすい構造となっている。
図1及び図2に示すように、構造物10の屋上12には、制振装置100が設置されている。制振装置100は、二つの第一付加マスダンパー(緑化ダンパー)200と、一つの第二付加マスダンパー(ヘリポートダンパー)300と、を有している。
構造物10の屋上12における制振装置100(二つの第一付加マスダンパー200及び一つの第二付加マスダンパー300)以外の領域には、プラットホーム状のウッドデッキ14が設けられている。
(第一付加マスダンパー)
図2に示すように、第一付加マスダンパー200は、構造物10の屋上12におけるX方向(長軸方向)の両外側部分に配置されている(図5(A)も参照)。
図3に示すように、第一付加マスダンパー200は、基部210と、アイソレーターの一例としての複数の積層ゴム250と、エネルギー吸収手段の一例としてのロック機構付オイルダンパー260と、緑化構造体220と、を含んで構成されている。
緑化構造体220は、上部に凹部が形成された本体部222と、本体部222の凹部224に盛土された土壌226と、この土壌226に植え込まれた植物228(図2も参照)と、を含んで構成されている。また、緑化構造体220は、第一付加マスダンパー200の質量m1の付加マスを構成している(図6参照)。
基部210は、屋上12の上面12Aに設けられ、この基部210の上に複数の積層ゴム250が設けられている。そして、複数の積層ゴム250の上に緑化構造体220が設けられている。
また、緑化構造体220の本体部222と基部210とにロック機構付オイルダンパー260が連結されている。
積層ゴム250は、ゴム板252と鋼板254とを厚み方向に交互に積層した構成とされている。なお、積層ゴム250は、このような構成に限定されない。他の構成の積層ゴムであってもよい。更に、積層ゴム以外のアイソレーター、例えば滑り支承であってもよい。
第一付加マスダンパー200は、付加マスである緑化構造体220の振動方向(振幅方向)がY方向(短軸方向)となるように構成されている(図5(A)を参照)。
また、第一付加マスダンパー200は、台風等の強風による風揺れ等の構造物10に加わる外乱が小さく(揺れが小さく)、第一付加マスダンパー200への入力エネルギー(加速度)が小さい場合でも、付加マスである緑化構造体220が振動し制振効果を発揮するように、ロック機構付オイルダンパー260や緑化構造体(付加マス)220の質量m1等の各種諸元が設定されている(図7も参照)。
また、震度4を超えるような中地震等による中程度の外乱が構造物10に加わった場合に(具体的には、構造物10の頂部(屋上12)の加速度が200gal程度になった場合に)、緑化構造体220の振幅が限界変位100cmとなるように諸元が設定されている。そして、緑化構造体220の振幅が限界変位100cmを超えるとロック機構付オイルダンパー260のロック機構が作動し、緑化構造体220の振動が止まるように設定されている(図7も参照)。
また、二つの緑化構造体220の質量m1の合計(m1×2)は、構造物10のねじれ1次モードの有効質量の1%程度となるように設定されている。更に、第一付加マスダンパー200の緑化構造体220の周期は、構造物10のねじり1次モード(図5(B)を参照)の周期と同調するように、各種諸元が設定されている。
(第二付加マスダンパー)
図2に示すように、第二付加マスダンパー300は、構造物10の屋上12におけるX方向(長軸方向)の中央部分(二つの第一付加マスダンパー200の間)に配置されている(図5(A)も参照)。
図4に示すように、第二付加マスダンパー300は、基部310と、アイソレーターの一例としての複数の積層ゴム350と、エネルギー吸収手段の一例としてのロック機構付オイルダンパー360と、ヘリポート(緊急離着陸場)320と、を含んで構成されている。
ヘリポート320は、上面322にヘリコプターが離着陸することが可能とされ、第二付加マスダンパー300の質量m2の付加マスを構成している(図6参照)。なお、ヘリコプターが上空でホバリングするヘリポート(緊急救助用スペース)であってもよい。
基部310は、屋上12の上面12Aに設けられ、この基部310の上に複数の積層ゴム350が設けられている。そして、複数の積層ゴム350の上にヘリポート320が設けられている。
また、ヘリポート320と基部310とにロック機構付オイルダンパー360が連結されている。
積層ゴム350は、第一付加マスダンパー200の積層ゴム250(図3参照)と同様に、ゴム板352と鋼板354とを厚み方向に交互に積層した構成とされている。なお、積層ゴム350は、このような構成に限定されない。他の構成の積層ゴムであってもよい。更に、積層ゴム以外のアイソレーター、例えば滑り支承であってもよい。
第二付加マスダンパー300は、付加マスであるヘリポート320の振動方向(振幅方向)がY方向(短軸方向)となるように構成されている(図5(A)を参照)。
第二付加マスダンパー300は、台風等の強風による風揺れ等の構造物10に加わる外乱が小さく(揺れが小さく)、第二付加マスダンパー300への入力エネルギー(加速度)が小さい場合は、付加マスであるヘリポート320が振動しない、又は殆ど振動しないように、ロック機構付オイルダンパー360やヘリポート(付加マス)320の質量m2等の各種諸元が設定されている。つまり、第二付加マスダンパー300は、台風等の強風による風揺れ等の小さな入力エネルギー(加速度)では制振効果を発揮しないように、各種諸元が設定されている(図7も参照)。
しかし、震度4を超えるような中地震等による中程度の外乱が構造物10に加わった場合(具体的には、構造物10の頂部(屋上12)の加速度が200gal程度になった場合)、付加マスであるヘリポート320が振動し制振効果を発揮するように、ロック機構付オイルダンパー360やヘリポート(付加マス)320の質量m2等の各種諸元が設定されている(図7も参照)。
また、震度7を超えるような巨大地震等による大きな外乱が構造物10に加わった場合に、ヘリポート320の振幅が限界変位100cmとなるように各種諸元が設定されている。そして、ヘリポート320の振幅が限界変位100cmを超えるとロック機構付オイルダンパー360のロック機構が起動し、ヘリポート320の振動を止めるように各種諸元が設定されている(図7も参照)。
また、ヘリポート320の質量m2は、構造物10のY方向の1次モードの有効質量の2%程度となるように設定されている。更に、第二付加マスダンパー300のヘリポート320の周期は、構造物10のY方向の1次モード(図5(C)を参照)の周期と同調するように、各種諸元が設定されている。
なお、ヘリポート320にヘリコプターが離着陸する際に、ヘリコプターの離着陸の衝撃でヘリポート320が移動しないようにヘリポート320を基部310や屋上12等に固定する固定機構が設けられていてもよい。
ここで、構造物10の質量をM、第一付加マスダンパー200の緑化構造体(付加マス)220の質量をm1、第二付加マスダンパー300のヘリポート(付加マス)320の質量をm2とすると、
M>m2>m1
の関係となっている。
また、図6は、構造物10の屋上12(図1及び図2参照)に、制振装置100を構成する二つの第一付加マスダンパー200と一つの第二付加マスダンパー300とを設けた構造の振動モデルである。なお、Kは構造物10のバネ定数を、k1は第一付加マスダンパー200のバネ定数を、k2は第二付加マスダンパーのバネ常数を、それぞれ示している。
<作用及び効果>
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
図5(B)に示すように、風荷重のような構造物10に加わる外乱が小さく(揺れが小さく)、制振装置100(第一付加マスダンパー200及び第二付加マスダンパー300)に作用する入力エネルギーが小さい場合は、第一付加マスダンパー200の緑化構造体220が振動し、制振効果を発揮する。この結果、構造物10が制振される(図7も参照)。
一方、第二付加マスダンパー300のヘリポート320は、振動しない又は殆ど振動しないので、制振効果を発揮しない(図7も参照)。
ここで、本実施形態の構造物10は、長軸方向よりも短軸方向に揺れが大きくなると共に、ねじれ振動(変形)が発生する。特に本実施形態では、前述したように、ブレース(筋交)が、狭小スペースに限定されているため、ねじれ剛性が小さく、ねじれ変形が生じやすい。
そして、風荷重のように構造物10に加わる外乱が小さい場合(揺れが小さい)は、図5(B)に示すように、ねじれ振動による居住性の悪化が問題となる。
よって、本実施形態では、小さな入力エネルギーで制振効果を開始する第一付加マスダンパー200を長軸方向の両外側端部に設けることで、風荷重のような構造物10に加わる外乱が小さな場合のねじれ振動(揺れ)を効果的に制振して、ねじれ振動による居住性の悪化を効果的に抑制している。
更に、第一付加マスダンパー200の緑化構造体220の振動の周期を、構造物10のねじれ1次モードに同調するように各種諸元が設定されている。よって、更に効果的にねじれ振動による居住性の悪化が抑制される。
なお、本実施形態では、第一付加マスダンパー200の減衰量は、予め定めた目標居住性能(日本建築学会「建築物の振動に関する居住性能評価指針」)が満足できる必要付加減衰を算定して設定されている。
図5(C)に示すように、震度4を超えるような中地震等による中程度の入力エネルギー(加速度)、具体的には、構造物10の頂部(屋上12)の加速度が200gal程度となると、緑化構造体220の振幅が限界変位100cmとなる。そして、緑化構造体220の振幅が限界変位100cmを超えるとロック機構付オイルダンパー260のロック機構(図3参照)が起動し、緑化構造体220の振動が止まり、構造物10と一体となって振動する。つまり、第一付加マスダンパー200は、制振効果を発揮しなくなる(図7も参照)。
しかし、第二付加マスダンパー300のヘリポート320が振動し、制振効果を発揮し、構造物10が制振される(図7も参照)。
なお、本実施形態では、第二付加マスダンパー300の減衰量は、下記に示す動吸振器の最適減衰の数式で計算される目標値に設定されている(μは質量比)。
ここで、構造物10に加わる外乱が大きい場合(揺れが大きい場合)は、図5(B)に示すねじれ振動による居住性の悪化よりも、図5(C)に示す短軸方向の水平振動の影響が大きい。
よって、大きな入力エネルギーで制振効果を開始する第二付加マスダンパー300を長軸方向の中央部に設けることで、構造物10に加わる外乱が大きな場合の短軸方向の水平振動の揺れを効果的に制振する。
更に、第二付加マスダンパー300のヘリポート320の振動の周期を、構造物10の短軸方向の1次モードに同調するように各種諸元が設定されている。よって、更に効果的に短軸方向の振動が抑制される。
また、震度7程度の大地震であっても、第二付加マスダンパー300のヘリポート320が振動の振幅が限界変位である100cm以下であるので、制振効果を発揮する(図7も参照)。
しかし、震度7を超えるような巨大地震等による巨大な入力エネルギー(加速度)が加わると、ヘリポート320の振幅が限界変位100cmを超える。よって、安全性を確保するためにロック機構付オイルダンパー360(図4参照)のロック機構が起動し、ヘリポート320の振動を止める(図7も参照)。
このように、制振装置100は、広範囲の入力エネルギーに対して、制振効果を発揮するこができる。
つまり、図7に示すように、制振装置100は、小さな入力エネルギーに対して制振効果を発揮するように設計された第一付加マスダンパー(緑化ダンパー)200と、第一付加マスダンパー200の緑化構造体(付加マス)220の動きが抑制される大きな入力エネルギーレベル近くなると制振効果を発揮するように設計された第二付加マスダンパー(ヘリポートダンパー)300と、を設けることによって、台風などの強風による風揺れから震度7程度の大地震までの広い揺れの範囲に対して制振効果をする。
なお、図7では、制振装置100の第一付加マスダンパー200及び第二付加マスダンパー300の左側が先細に図示されている。これは、本実施形態では、制振効果を発揮しない入力エネルギー(加速度)レベル以下でも、緑化構造体220及びヘリポート320は若干振動することを表している。
また、図7に示すように、更に広い揺れの範囲に対して制振効果を発揮するためや更に居住性を向上させるために、ハイブリット制振部材810、免震床820、床振動制御システム830等を設けてもよい。
(制振効果の性能評価)
つぎに、本実施形態の制振装置100の制振効果の性能評価結果について説明する。
図8のグラフは、構造物10における水平振動に関する性能評価曲線(風揺れ体感に対する知覚確率)を示している(日本建築学会「建築物の振動に関する居住性能評価指針」等を参照)。そして、この図8に示されているように、制振装置100を設けることによって、第一付加マスダンパー200の制振効果により、風荷重による構造物10の風揺れが半減され、居住性が大幅に向上される。
図9は、大地震時における構造物10の層間変形角を示している。そして、この図9に示されているように、制振装置100を設けることによって、第二付加マスダンパー300の制振効果により、高層階の揺れが約20%低減される。
このように、制振装置100を設けることで、風荷重による風揺れと大地震の揺れとのの両方において制振効果が発揮されている。つまり、広範囲の入力エネルギーに対して、制振効果が発揮されている。
<その他>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
(抑制手段)
上記実施形態では、第一付加マスダンパー200の緑化構造体(付加マス)220が予め定められた振幅(限界変位)を超えると、ロック機構付オイルダンパー260のロック機構が起動し、緑化構造体(付加マス)220の振動を止めていたが、これに限定されない。
緑化構造体220が防舷材の付いた立ち上がり壁に衝突して止まる機構やシアキーのようなロック機構を別途設けてもよい。要は第一付加マスダンパー200の緑化構造体(付加マス)220が予め定められた振幅(限界変位)を超えると、緑化構造体(付加マス)220の動きが抑制されればよい。
同様に、上記実施形態では、第二付加マスダンパー300のヘリポート(付加マス)320が予め定められた振幅(限界変位)を超えると、ロック機構付オイルダンパー360のロック機構が起動し、ヘリポート(付加マス)320の振動を止めていたが、これに限定されない。
ヘリポート320が防舷材の付いた立ち上がり壁に衝突して止まる機構やシアキーのようなロック機構を別途設けてもよい。要は第二付加マスダンパー300のヘリポート(付加マス)320が予め定められた振幅(限界変位)を超えると、ヘリポート(付加マス)320の動きが抑制されればよい。
なお、巨大地震の場合でも、設計上、第二付加マスダンパー300のヘリポート(付加マス)320が予め定められた振幅(限界変位)を超えることがなく安全が確保される場合は、第二付加マスダンパー300のヘリポート(付加マス)320の動きを抑制する抑制手段が設けられていなくでもよい。
また、上記実施形態では、第二付加マスダンパー300は、台風等の強風による風揺れ等の小さな入力エネルギー(加速度)ではヘリポート320が振動しない又は殆ど振動しないように各種諸元が設定され、震度4を超えるような中地震等による中程度の入力エネルギー(加速度)でヘリポート320が振動し制振効果を発揮するように各種諸元が設定されていたが、これに限定されない。
第二付加マスダンパー300のヘリポート320は、予め定められた入力エネルギー(トリガーレベル)までロックされ、これを超えると、ヘリポート320が振動し制振効果を発揮するようなロック機構を設けてもよい。なお、このロック機構を、ロック機構付オイルダンパー360に組み込んでもよい。
(同期)
上記実施形態では、第一付加マスダンパー200の緑化構造体220の振動の周期が構造物10のねじれ1次モードに同調するように諸元が設定され、第二付加マスダンパー300のヘリポート320の振動の周期が構造物10の短軸方向の1次モードに同調するように各種諸元が設定されているが、これに限定されるものではない。
例えば、第一付加マスダンパー200の緑化構造体220の振動の周期も、第二付加マスダンパー300と同様に構造物10の短軸方向の1次モードに同調するように各種諸元を設定してもよい。
また、一次モードではなく、二次以上の高次モードに同調させてもよいし、第一付加マスダンパー200と第二付加マスダンパー300とで別々のモードに同調させてもよい。更に、同調をするように諸元が設定されていなくでもよい。
(付加マス)
上記実施形態では、付加マスとして緑化構造体220及びヘリポート320を利用したが、これに限定されるものではない。例えば、貯水槽、キュービクル、機械室、チャペル、展望スペース等の設備や施設も、付加マスとして利用することができる。
なお、緑化構造体220、ヘリポート320、及び上記設備や施設を付加マスと利用する場合、別途錘を付加して重量を調整してもよい。
(設置場所)
上記実施形態では、制振装置100を構成する第一付加マスダンパー200及び第二付加マスダンパー300は、いずれも屋上12に設置したが、これに限定されるものではない。
例えば、構造物10の中層階に制振装置を設けてもよい。また、制振装置100を構成する第一付加マスダンパー200と第二付加マスダンパー300とを別々の階層に設置してもよい。また、高次モードに同調させる場合には、モードの節となる階層に付加マスダンパーを設置することで、効果的に制振するようにしてもよい。
(構造物)
上記実施形態では、平面視における構造物10の外形形状は、長方形状であったが、これに限定されるものではない。平面視における外形形状は、楕円形状であってもよい。また、長軸方向(長辺方向、強軸方向)と弱軸方向(短辺方向、弱軸方向)とを有しない外形形状の構造物であってもよい。
(付加マスダンパー)
上記実施形態では、制振装置100の第一付加マスダンパー200の緑化構造体(付加マス)220と第二付加マスダンパー300のヘリポート(付加マス)320とは、弱軸方向(短辺方向、弱軸方向)に沿って振動するように構成されていたが、これに限定されない。振動方向はどのような方向であってもよい。また、水平方向に自由に振動する構成であってもよい。
(制振装置全体)
上記実施形態では、制振装置100は、制振効果を発揮する入力エネルギーが小さい第一付加マスダンパー200と入力エネルギーが大きい第二付加マスダンパー300とで構成されていたが、これに限定されるものではない。制振効果を発揮する入力エネルギーの大きさが異なる三つ以上の付加マスダンパーを有する構成であってもよい。
そして、三つ以上の付加マスダンパーが、入力エネルギーが大きくなるに従って、順次制振効果を発揮し、且つ順次付加マスの動きが抑制されるように構成されていればよい。
つまり、制振効果を発揮する入力エネルギーの大きさが異なる複数の付加マスダンパーと、制振効果を発揮する入力エネルギーが小さい順に前記付加マスダンパーを構成する付加マスの動きを抑制する抑制手段(別の観点から説明すると、前記付加マスの振幅が予め定められた閾値を超えると前記付加マスの振幅を抑制するように設定された抑制手段)と、を備えていればよい。
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
10 構造物
100 制振装置
200 第一付加マスダンパー
220 緑化構造体(付加マスの一例)
228 植物
260 ロック機構付オイルダンパー(抑制手段の一例)
300 第二付加マスダンパー
320 ヘリポート(付加マスの一例)
360 ロック機構付オイルダンパー(抑制手段の一例)

Claims (3)

  1. 構造物に設けられ、制振効果を発揮する入力エネルギーの大きさが異なり、付加マス同士が互いに接触しないように配置された複数の付加マスダンパーと、
    入力エネルギーが大きくなるに従い、制振効果を発揮する入力エネルギーが小さい順に前記付加マスの動きを抑制する抑制手段と、
    を備える制振装置。
  2. 前記構造物は、平面視において短軸方向と長軸方向とを有する形状とされ、
    前記付加マスダンパーを構成する前記付加マスの振動方向は、前記短軸方向に沿うように設定され、
    前記長軸方向の両外側端部に制振効果を発揮する入力エネルギーが最も小さい前記付加マスダンパーがそれぞれ設けられ、前記長軸方向の中央部に制振効果を発揮する入力エネルギーが最も大きい前記付加マスダンパーが設けられている、
    請求項1に記載の制振装置。
  3. 複数の前記付加マスダンパーの少なくとも一つは、植物が植えられた緑化構造体で前記付加マスが構成され、
    複数の前記付加マスダンパーの少なくとも一つは、前記緑化構造体よりも質量が大きいヘリポートで前記付加マスが構成されている、
    請求項1又は請求項2に記載の制振装置。
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