JP7097204B2 - 制振システム - Google Patents
制振システム Download PDFInfo
- Publication number
- JP7097204B2 JP7097204B2 JP2018053501A JP2018053501A JP7097204B2 JP 7097204 B2 JP7097204 B2 JP 7097204B2 JP 2018053501 A JP2018053501 A JP 2018053501A JP 2018053501 A JP2018053501 A JP 2018053501A JP 7097204 B2 JP7097204 B2 JP 7097204B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer portion
- layer
- constructed
- vibration damping
- vibration
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
- Vibration Prevention Devices (AREA)
Description
また、地震による応答加速度は上階ほど大きくなる傾向があり、高層建築物の最上階といった一般に付加価値の高い居室ほど応答加速度が大きくなるといった課題があった。それらの問題を解決する方法として、高層建築物の重量をマスダンパーとして利用することにより、大きな制振効果を得る方法がある。以下に、従来技術の事例を挙げる。
連結制振は、それぞれ異なる周期で揺れる2棟(または複数)の高層建築物をオイルダンパーなどの減衰機構で継ぎ、互いの揺れを干渉(同調)させることで揺れを打ち消し合って高層建築物の応答を低減する方法である。高層建築物が揺れる際の慣性力を利用するため、層間にダンパーを設置してエネルギーを吸収する方法と比べて、大きな減衰力が得られ応答低減効果が著しく大きい。
高層建築物の頂部からおよそ全高さの1/3程度に中間階免震層を設けて、高層建築物における免震層よりも上側の部分の重量をマスダンパーとして同調させて制振する設計方法がある。既に実際の高層建築物で実施された例もあり、連結制振同様に高層建築物の重量を利用するため制振効果は極めて高い。
1つの高層建築物を上側の部分と下側の部分とに区分けして、上側の部分のみに慣性質量ダンパーを付与することで、その付与したことによる周期の伸長効果を利用して、区分けした上側の部分と下側の部分とを同調させる制振構造の設計方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この方法では、高層建築物の本体の静的な水平剛性を変えることなく慣性質量ダンパーの付加のみで同調させることができる。
また、中間階に免震層を配置した制振構造では、免震層に地震時または暴風時の応答変形が集中するため、数十cmから1m以上の変形がその層に生じる可能性がある。よって、エレベーター・設備配管といった縦シャフトは免震層の動きに追従できる必要があり、それら設備機器には大掛かりな免震エキスパンションが必要である。また、万が一、免震層の変形が限界変形を超えるような場合の対処としてフェールセーフを検討しておく必要があるといった課題がある。
また、慣性質量ダンパーの周期伸長効果を利用して、高層建築物の上側の部分と下側の部分とを同調させる制振構造では、周期を同調させるのに必要な慣性質量が現実的な値に対し非常に大きく(例えば、1層あたりの慣性質量が数十万tonから数百万ton必要となる)、実在する慣性質量ダンパーを用いて必要なだけの質量を、実際の高層建築物の限られたフロアエリアに設置するのは極めて困難であった(例えば、1層あたりの設置台数が数十台から数百台となる)。ゆえに、未だこの設計方法が広く普及するに至っていない。
これにより、中小地震から大地震まで幅広い範囲での加速度応答および変形応答の大幅な低減を実現することができるとともに、季節風から極めてまれに発生する風まで幅広い範囲での加速度応答および変形応答の大幅な低減を実現することができる。
このように、本発明では、1つの高層建築物に対して簡便な構造で生じた振動を低減させることができる。
また、地震や風による変形を柔層部の複数層全体に分散させることができるため、柔層部が1つの層に構築されている場合と比べて、柔層部が構築された各層の層間変形を小さく設定することができる。
本発明では、高層建築物の中間部から上側の層に柔層部を構築し、柔層部から上側の層前端の振動周期と、柔層部よりも下側の層全体の振動周期とが同調するように構成されている。これにより、1つの高層建築物において、地震や風による振動が生じた際に、柔層部から上側の層と、柔層部よりも下側の層とが互いに振動を打ち消すような振動系を形成することができ、高層建築物の重量の一部をマスダンパーとして利用することができる。
これにより、中小地震から大地震まで幅広い範囲での加速度応答および変形応答の大幅な低減を実現することができるとともに、季節風から極めてまれに発生する風まで幅広い範囲での加速度応答および変形応答の大幅な低減を実現することができる。
このように、本発明では、1つの高層建築物に対して簡便な構造で生じた振動を低減させることができる。
また、柔層部の水平剛性を低下させることができる。
また、免震層が複数の層に構築されることにより、免震層の変形を分散できて1つの免震層あたりの変形を抑えることができる。このため、免震層の免震装置に過大な変形が生じることを防止することができる。
本発明では、高層建築物の中間部から上側の層に柔層部を構築し、柔層部から上側の層前端の振動周期と、柔層部よりも下側の層全体の振動周期とが同調するように構成されている。これにより、1つの高層建築物において、地震や風による振動が生じた際に、柔層部から上側の層と、柔層部よりも下側の層とが互いに振動を打ち消すような振動系を形成することができ、高層建築物の重量の一部をマスダンパーとして利用することができる。
これにより、中小地震から大地震まで幅広い範囲での加速度応答および変形応答の大幅な低減を実現することができるとともに、季節風から極めてまれに発生する風まで幅広い範囲での加速度応答および変形応答の大幅な低減を実現することができる。
このように、本発明では、1つの高層建築物に対して簡便な構造で生じた振動を低減させることができる。
また、柔層部のうちの免震層となる層とその他の層とを異なる挙動となるように構成することができる。例えば、柔層部のうちの免震層となる層の変形をその他の層よりも大きく設定することにより、免震層以外の層の変形を抑えることができ、居住性を高めることができる。
このような構成とすることにより、前記柔層部が構築された中間部の層よりも上側の層は、その水平剛性を柔層部の水平剛性よりも大きく設定することができるため、中間層よりも上側の層における層間変形を小さく設定することができる。
また、本発明に係る制振システムでは、前記柔層部が構築される層は、躯体の接合部の少なくとも一部がピン接合されていてもよい。
このような構成とすることにより、柔層部の水平剛性を低下させることができる。また、各接合部をピン接合とするかどうかを設定することで、所望の水平剛性を有する柔層部を容易に設計することができる。
また、本発明に係る制振システムでは、前記柔層部には、制振装置が設けられていてもよい。
このような構成とすることにより、柔層部において集中的に振動エネルギーを吸収することができ、さらに同調効果によって通常建物よりも大きな減衰が得られ、建物全体の振動を低減させることができる。特に、大きな応答加速度が生じる最上階付近の振動を低減させることができる。
このような構成とすることにより、柔層部が過大変形することを防止することができる。
以下、本発明の第1実施形態による制振システムについて、図1乃至図7に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、第1実施形態による制振システム1は、例えば200mを超えるような高層建築物(超々高層建築物)2に構築されている。高層建築物2における高さ方向の中間部分の連続する複数の階(層)を中間層部分21、中間層部分21よりも上側の連続する複数の階全体を上層部分22、中間層部分21よりも下側の連続する複数の階全体を下層部分23とする。図1(a)では、高層建築物2の30-45階が中間層部分21、46-65階が上層部分22、1-29階が下層部分23となっている。
本実施形態による制振システム1は、高層建築物2の中間層部分21を上層部分22および下層部分23よりも水平剛性の小さい柔層部3とし、上層部分22の振動周期と下層部分23の振動周期とが同調するように構成されている。
(a)柔層部3の各階の階高を上層部分22および下層部分23の各階の階高よりも大きくする。
(b)柔層部3の各階の大梁31や柱32の端部接合部33の少なくとも一部をピン接合とする(例えば図1(b)および図2参照)。
(c)柔層部3では水平剛性を高めるために用いられる耐震間柱や耐震ブレースなどを省略、または上層部分22および下層部分23よりも少なく配置し、柔層部3の水平剛性を上層部分22および下層部分23の水平剛性よりも相対的に小さくする。
(d)上層部分22および下層部分23に耐震間柱や耐震ブレースを追加して、上層部分22および下層部分23の水平剛性を柔層部3の水平剛性よりも相対的に大きくする。
(e)柔層部3の各階の大梁31の梁せいを上層部分22および下層部分23の各階の大梁31の梁せいよりも小さくし、柔層部3の水平剛性を上層部分22および下層部分23の水平剛性よりも相対的に小さくする。
一般に、建築物(高層建築物)の制振デバイスとしては、例えば、TMD(チューンドマスダンパー)などと呼ばれるマスダンパーが知られている。通常、マスダンパーは、質量比(μ:TMD質量と建築物の有効質量の比)が大きいほど制振効果が増加する性質がある。主に風揺れ用のTMDでは建築物の頂部などに質量比1%程度以下が付加される。
近年では、1000tonを超えるような地震対策用の大型TMDが開発され、実用化されてはいるが、付加した質量比(μ)の実積としては5%程度が最大である。
これに対し、本実施形態による制振システム1では、単一の高層建築物2における高層建築物2そのものの質量を利用するため、50%を超えるような質量比(μ)を実現することが可能である。したがって、従来のTMDよりもはるかに大きい制振効果(減衰力)を得ることができる。
通常、柔層部3をどの程度柔層化させれば良いかについては、TMDの設計に用いられる「定点理論」を利用して設定する。ただし、本実施形態においては、柔層部3の水平剛性を利用して、上層部分22をマスダンパーとして下層部分23に同調させるため、柔層部3の複数層の水平剛性を以下のように設定する。
実際の高層建築物2においては、決定した柔層部3の水平剛性に近づくように架構の部材断面や端部接合条件、またはブレースなどの耐震要素の追加または省略で調整する。
本実施形態では、そういった煩雑な作業を回避するために、略算的に設計パラメータを求めることが可能である。以下に、その柔層部3の水平剛性を決定するための略算手法を示す。
Ai分布を想定した高層建築物2の水平剛性として、上層部分22と中間層部分21(柔層部3)の層数を決定し、下式(4)を用いて1次有効質量を求める。
下式(5)を用いて下層部分23の1次有効質量を求める。
下式(6)を用いて1次の有効質量比を求める。
下式(7)を用いて最適振動数比λoptを求める。
下式(8)を用いて下層部分23の1次周期1TBを略算する。
ここで、1TBは高層建築物2全体の1次周期、nは全層数、kは下層部分23の層数を示す。
下式(9)を用いて上層部分22の1次周期1TUを略算する。
ここで、β=(h/n)^0.25、hは上層部分22の層数(h=n-k)を示す。
下式(10)を用いて最適(1次)有効剛性1Ku,оptを求め、下式(11)を用いて上層部分22の最適(1次)周期1Tu,optを求める。
下式(12)を用いてτ(=1Tu/1Tu,opt)を求め、下式(13)-(17)を用いて中間層部分21のみを柔層化する場合の同調剛性係数ζを求める。
図5に示すような2質点系の固有ベクトルの比r=r2/r1を定義する。
式(17)で求めた中間層部分21の同調剛性係数ζを中間層部分21の各層に乗じて、略算的に中間層部分21の各層の水平剛性を求める。
このようにして柔層部3(中間層部分21)の各層の水平剛性が求められる。
Ai分布を想定した高層建築物2の水平剛性として、上層部分22と中間層部分21の層数を決定し、上記の式(4)を用いて1次有効質量を求める。
上記の式(5)を用いて下層部分23の1次有効質量を求める。
式(6)を用いて1次の有効質量比を求める。
上記の式(7)を用いて最適振動数比λoptを求める。
上記の式(8)を用いて下層部分23の1次周期1TBを略算する。
上記の式(9)を用いて上層部分22の1次周期1TUを略算する。
上記の式(10)を用いて最適(1次)有効剛性1Ku,оptを求め、上記の式(11)を用いて上層部分22の最適(1次)周期1Tu,optを求める。
上記の式(12)を用いてτ(=1Tu/1Tu,opt)を求め、上記の式(13)-(17)を用いて中間層部分21のみを柔層化する場合の同調剛性係数ζを求める。
中間層部分21の各層の水平剛性kiを0.157倍し、最適同調剛性に近似する柔層部3の水平剛性を求める。
上述した第1実施形態による制振システム1では、高層建築物2の上層部分22に柔層部3を設け、柔層部3から上側の上側部分の振動周期と、柔層部3の下側の下側部分の振動周期とが同調するように構成されている。これにより、1つの高層建築物2において、地震や風による振動が生じた際に、柔層部3から上層部分22と、柔層部3の下層部分23とが互いに振動を打ち消すような振動系を形成することができ、高層建築物2の重量の一部をマスダンパーとして利用することができる。
これにより、中小地震から大地震まで幅広い範囲での加速度応答および変形応答の大幅な低減を実現することができるとともに、季節風から極めてまれに発生する風まで幅広い範囲での加速度応答および変形応答の大幅な低減を実現することができる。
このように、1つの高層建築物2に対して簡便な構造で生じた振動を低減させることができる。
次に、他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図8に示すように、第2実施形態による制振システム1Bでは、高層建築物2Bにおける高さ方向の上側の連続する複数の階全体を上層部分22B、上層部分22Bよりも下側の連続する複数の階全体を下層部分23Bとしている。
第2実施形態による制振システム1Bは、高層建築物2の上層部分22B全体を下層部分23Bよりも水平剛性の小さい柔層部3Bとし、上層部分22Bの振動周期と下層部分23Bの振動周期とが同調するように構成されている。
Ai分布を想定した高層建築物2の水平剛性として、上層部分22Bの層数を決定し、式(18)を用いて1次有効質量を求める。
同様に式(19)を用いて、下層部分23の1次有効質量を求める。ただし、下層部分23においては下式による係数を乗じた値を採用する。
式(20)を用いて1次の有効質量比を求める。
式(21)を用いて最適振動数比λoptを求める。
式(22)を用いて下層部分23の1次周期1TBを略算する。
式(23)を用いて上層部分22Bの1次周期1TUを略算する。
式(24)を用いて最適(1次)有効剛性を求め、式(25)を用いて上層部分22Bの最適(1次)周期1Tu,optを求める。
式(23)で求めた上層部分22Bの1次周期1TUと、式(25)で求めた上層部分22Bの最適(1次)周期1Tu,optと、の比:τを求め(式(26)参照)、その2乗を柔層化する層の各層に乗じる(式(27)参照)ことで、最適同調を満足するような柔層化後の各層剛性ki´を求めることができる。
ここで、kiは上層部分22の任意の層iの水平剛性と定義し、τ2を同調剛性係数ζ(ゼータ)と定義する(式(28)参照)。
Ai分布を想定した高層建築物2の水平剛性として、上層部分22Bの層数を決定し、上記の式(18)を用いて1次有効質量を求める。
上記の式(19)を用いて、下層部分23の1次有効質量を求める。
上記の式(20)を用いて1次の有効質量比を求める。
上記の式(21)を用いて最適振動数比λoptを求める。
式(22)を用いて下層部分23の1次周期1TBを略算する。
上記の式(23)を用いて上層部分22Bの1次周期1TUを略算する。
上記の式(24)を用いて最適(1次)有効剛性を求め、上記の式(25)を用いて上層部分22Bの最適(1次)周期1Tu,optを求める。
上記の式(26)~(28)を用いて上層部分22Bの最適(1次)周期1Tu,optと、の比:τ、および同調剛性係数ζを求める。
ここで、略算と固有値解析で求めた1TB、1TUおよび1TU,optを比較する。
・固有値解析
1TB=3.488秒、1TU=3.023秒、1TU,opt=5.675秒→ζ=τ2=0.284
・略算
1TB=3.614秒、1TU=3.031秒、1TU,opt=5.876秒→ζ=τ2=0.266
図10に略算に基づき決定した柔層部3Bの水平剛性を有する50質点系について、20層における周波数応答倍率を示す。3.8秒および6.5秒付近を通る減衰に依らない定点の高さが、ほぼ等しいことから同調していることが確認できる。
なお、最適減衰は定点理論より下式(29)で求められる。
図11に質量比と最適減衰定数との関係を示す。
また、第2実施形態による制振システム1Bでは、柔層部3Bは、高層建築物2の高さ方向の中間部から上側となる上層部分22Bの全体に構築されている。これにより、地震や風による変形を柔層部3Bの上層部分22Bの全体に分散させることができるため、柔層部3Bの各層の層間変形を小さく設定することができる。
図12に示す第3実施形態による制振システム1Cでは、第1実施形態と同様に、中間層部分21に柔層部3Cが構築されている。第3実施形態による制振システム1Cでは、柔層部3Cに制振装置4が設けられている。
制振装置4としては、例えば、オイルダンパーなどの粘性系の制振装置4 や、履歴性、質量系の制振装置4などが採用されている。
したがって、第3実施形態では、大きな質量比を実現できることによって、一般的な各層に制振装置を配置するような制振構造よりも大きな減衰を付与することが出来る。なお、柔層部3に付与する減衰は必ずしも最適減衰が上限ではなく、柔層部3の変形を抑制するためには、最適減衰よりも大きな減衰を付与した方が良い場合がある。このため、柔層部3には、最適減衰より大きな減衰を付与してもよい。
まず、制振装置4を複数の層にわたって層跨ぎ配置する場合について説明する。
図12に示すように、制振装置4を層跨ぎ配置すると、通常の設計では各層間に配置する制振装置4を、2層もしくは3層などの複数層に渡って配置することにより、制振装置4への入力変形を2倍もしくは3倍等に大きくすることができる。このため、制振装置4を層跨ぎ配置したほうが、図13に示すような同数の層それぞれに制振装置4を配置するよりも、大きな減衰係数を得ることができる。これにより、柔層部3における最適な減衰定数(大きな減衰係数)を付与することが可能である。
図14に示すように、制振装置4を並列配置すると、層跨ぎ配置の場合は、ダンパー1台あたりの見かけの減衰係数を大きくすることができる。また、同じ減衰係数を付与した場合には、ダンパー台数を削減することができる。
ただし、層跨ぎ配置の場合に、各層配置した場合よりもより大きな減衰係数を付与するためには、ダンパー台数は削減せずに同程度の台数を配置することが望ましい。そこで、図12に示すように、層跨ぎしたシアリンク型に、通常左右1台ずつ配置するダンパーを左右2~4台程度ずつ並列に集約配置することが望ましい。
また、制振装置4を層跨ぎ配置したり、並列配置したりすることによって、少ない制振装置4(オイルダンパー)の台数で大きな減衰が得ることができる。これにより、各層に一般的なオイルダンパーを配置して定点理論における最適減衰に近い減衰を与えようとすると、通常の建築平面計画では設置箇所数が不足し必要な減衰係数が不足してしまうことに対処することができる。
図15に示すように、第4実施形態による制振システム1Dでは、第1実施形態と同様に、中間層部分21に柔層部3Dが構築されている。
中間階免震に限らず一般的な高層建築物2におけるピロティー構造の様に、特定の層が柔層(または弱層)となる場合、変形が集中して、想定を超えるような外力に対しては、脆性的な損傷をする可能性がある。そこで、第4実施形態による制振システム1Dでは、柔層部3Dの変形量が所定値以上となる場合に変形を抑制するフェールセーフ機能(変形抑制機構)5を有している。
地震応答解析は、本発明による制振システム1の3つのモデル(第1~第3モデル)を対象に行い、従来の制振システム1と応答加速度、層変形および層間変形角について比較した。
第1モデルは、50質点系の上層部分22の20層が柔層部3となる等価せん断バネモデルである。第2モデルは、0質点系の中間層部分21の10層が柔層部3となる等価せん断バネモデルである。第3モデルは、65質点系で等価せん断バネモデルである。
従来の制振システム1には、本発明の制振システム1の柔層部3に配置する粘性ダンパーと同じ台数のダンパーが各層均等に分配して配置されている。
第3モデルにおいては、頂部における最大応答加速度が従来の制振システム1と比べて約1/4以下に低減している。これは、従来の制振システム1では上層階になるほど応答加速度が増加する性質があるが、本発明の制振システム1では、同調効果による大きな減衰力により上層階であっても応答加速度が増加しにくい性質があるためである。
図28および図29から、本発明の制振システムは、風揺れに対しても応答低減効果を有していることがわかる。
図29および図30から、本発明の制振システム1では、従来の制振システム1と比較して、応答倍率のピークが大きく低減しており、上述した本発明の効果を奏していることがわかる。
図21の第1モデルの層間変形角応答最大値に示した「相模トラフ地震模擬」の応答結果のように、地震動の入力が大きな場合には柔層部3に変形が集中して、応答クライテリアを満足できない場合がある。そこで、図32に、可変剛性システム(フェールセーフ機構)を導入した場合の応答結果を示す。図32からわかるように、フェールセーフ機構のモデル化は、層間変形角1/100を超えると非線形弾性として初期剛性の4倍になるような非線形剛性をバイリニアで与えた。
結果としてフェールセーフ機構により1/80以下に変形が抑制されている。一方、加速度は増加する傾向にあるがほぼ従来の制振システム1以下に抑えられている。
例えば、上記の第1実施形態による制振システム1では、柔層部3が中間層部分21の連続する複数の層全体で構成され、第2実施形態による制振システム1では、柔層部3が上層部分22の連続する複数の全体で構成されている。
これに対し、柔層部3は、中間層の連続する複数の層、または互いに離間する複数の層それぞれに構築された免震層で構成されていてもよい。免震層が複数の層に構築されることにより、免震層の変形を分散できて1つの免震層あたりの変形を抑えることができる。このため、免震層の免震装置に過大な変形が生じることを防止することができる。
また、柔層部3は、中間層の連続する複数の層、または互いに離間する複数の層それぞれに構築されて、そのうちの1つの層が免震層で、その他の層が免震層以外で構成されていてもよい。
2 高層建築物
3 柔層部
4 制振装置
5 フェールセーフ機構(変形抑制機構)
21 中間層部分
22 上層部分
23 下層部分
Claims (7)
- 高層建築物に構築される制振システムにおいて、
前記高層建築物における高さ方向の中間部から上側に位置する層の少なくとも一部に構築された柔層部を有し、
前記柔層部は、前記柔層部が構築されていない層よりも水平剛性が小さくなるように設定され、
前記高層建築物における前記柔層部が構築された層から上側に位置する層全体の振動周期と、前記柔層部が構築された層よりも下側に位置する層全体の振動周期とが同調するように構成され、
前記柔層部は、前記高層建築物における高さ方向の上側に位置する複数層全体に構築されていることを特徴とする制振システム。 - 高層建築物に構築される制振システムにおいて、
前記高層建築物における高さ方向の中間部から上側に位置する層の少なくとも一部に構築された柔層部を有し、
前記柔層部は、前記柔層部が構築されていない層よりも水平剛性が小さくなるように設定され、
前記高層建築物における前記柔層部が構築された層から上側に位置する層全体の振動周期と、前記柔層部が構築された層よりも下側に位置する層全体の振動周期とが同調するように構成され、
前記柔層部は、複数の層に構築され、
前記柔層部が構築される複数の層は、それぞれ免震層であることを特徴とする制振システム。 - 高層建築物に構築される制振システムにおいて、
前記高層建築物における高さ方向の中間部から上側に位置する層の少なくとも一部に構築された柔層部を有し、
前記柔層部は、前記柔層部が構築されていない層よりも水平剛性が小さくなるように設定され、
前記高層建築物における前記柔層部が構築された層から上側に位置する層全体の振動周期と、前記柔層部が構築された層よりも下側に位置する層全体の振動周期とが同調するように構成され、
前記柔層部は、複数の層に構築され、
前記柔層部が構築される複数の層は、1つの層が免震層で、その他の層が免震層以外で構成されていることを特徴とする制振システム。 - 前記柔層部は、前記高層建築物における高さ方向の中間部に構築されていることを特徴とする請求項2または3に記載の制振システム。
- 前記柔層部が構築される層は、躯体の接合部の少なくとも一部がピン接合されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制振システム。
- 前記柔層部には、制振装置が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制振システム。
- 前記柔層部は、変形量が所定値以上となる場合に変形を抑制する変形抑制機構を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制振システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018053501A JP7097204B2 (ja) | 2018-03-20 | 2018-03-20 | 制振システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018053501A JP7097204B2 (ja) | 2018-03-20 | 2018-03-20 | 制振システム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019163678A JP2019163678A (ja) | 2019-09-26 |
JP7097204B2 true JP7097204B2 (ja) | 2022-07-07 |
Family
ID=68066030
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018053501A Active JP7097204B2 (ja) | 2018-03-20 | 2018-03-20 | 制振システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7097204B2 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007002455A (ja) | 2005-06-22 | 2007-01-11 | Fujita Corp | 制振装置 |
US20100269424A1 (en) | 2007-12-13 | 2010-10-28 | Alga S.P.A. | Tuned mass damper |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6429584A (en) * | 1987-07-24 | 1989-01-31 | Ohbayashi Corp | Earthquakeproof housing |
-
2018
- 2018-03-20 JP JP2018053501A patent/JP7097204B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007002455A (ja) | 2005-06-22 | 2007-01-11 | Fujita Corp | 制振装置 |
US20100269424A1 (en) | 2007-12-13 | 2010-10-28 | Alga S.P.A. | Tuned mass damper |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019163678A (ja) | 2019-09-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6979805B2 (ja) | 免震構造物 | |
Xiang et al. | Seismic vibration control of building structures with multiple tuned mass damper floors integrated | |
Elias et al. | Dynamic response control of a wind-excited tall building with distributed multiple tuned mass dampers | |
Wang et al. | Analytical and experimental studies on midstory isolated buildings with modal coupling effect | |
Pourzangbar et al. | Effects of brace-viscous damper system on the dynamic response of steel frames | |
JP7097204B2 (ja) | 制振システム | |
JP6622568B2 (ja) | 建物の制振構造 | |
JP2017071908A (ja) | 多層免震構造物 | |
JP7374694B2 (ja) | 免震建物群の設計方法 | |
Farghaly | Optimization of viscous dampers with the influence of soil structure interaction on response of two adjacent 3-D buildings under seismic load | |
JP6190643B2 (ja) | 制振装置 | |
Kenarangi et al. | Application of tuned mass dampers in controlling the nonlinear behavior of 3-D structural models, considering the soil-structure interaction | |
Sandoval et al. | Study of structural control in coupled buildings | |
JP6108370B2 (ja) | 粘性減衰を用いた低層集中制震システムの最適設計法 | |
Taheri et al. | Creation of innovative earthquake resistant steel buildings by dividing the structure into inner and outer parts having interaction by hysteretic dampers | |
JP2017071909A (ja) | 多層免震構造物 | |
JP2010242381A (ja) | 建物の制振構造及びこれを備えた建物 | |
Gattulli et al. | Nonlinear viscous dampers interconnecting adjacent structures for seismic retrofitting | |
CN107780444A (zh) | 一种带恢复功能的减隔震结构及其设计方法 | |
JP7312343B2 (ja) | 制振装置の諸元の設定方法 | |
JP6994977B2 (ja) | 免震構造物 | |
JP7145669B2 (ja) | 免震構造物 | |
JP6298402B2 (ja) | 部分免震構造 | |
JP7370789B2 (ja) | 制震構造物、制震構造物の制御方法及び制震構造物の設計方法 | |
Siepe et al. | Retrofitting of a hospital using a tuned mass control system |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210215 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220121 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220201 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220318 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220614 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220627 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7097204 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |