JP2011052494A - 制振機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】付加バネを不要として構成を簡略化し得る有効適切な制振機構を提供する。
【解決手段】多層建物の地上階の低層部における任意の階を制振階としてその上下の層間に慣性質量ダンパー1と減衰機構2を並列設置する。慣性質量ダンパー1の慣性質量ψと減衰機構2の減衰係数cを、制振階の層剛性k、制振階の上層の質量m、多層建物の制振階より上部の全質量M、多層建物の1次固有周期T1に基づいて設定して1次モードの振動を制御する。上下に連続している複数階の全体を制振階とする場合にはその合成層剛性に基づいて同調を行う。制振階とは別の階に第2の制振階を設定してその層間に第2の慣性質量ダンパー3と第2の減衰機構4を並列設置し、それらの慣性質量ψtと減衰係数ctを第2の制振階の層剛性ktと高次固有周期Tsに基づいて設定して高次モードの振動を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は多層建物を対象とする制振機構、特に慣性質量ダンパーの利用により優れた制振効果が得られる制振機構に関する。
この種の制振機構として特許文献1に示される振動低減機構が公知である。
これは、多層構造物の任意の層に回転慣性質量ダンパーと付加バネとによる付加振動機構を設置してその付加振動機構の固有振動数を構造物の固有振動数に同調させることにより、付加振動機構が疑似TMD機構として機能して共振点近傍の最大応答値を広帯域にわたって大幅に低減でき、特に小型軽量の回転慣性質量ダンパーによって大きな振動低減効果が得られるので今後の普及が期待されている。
特開2008−133947号公報
上記従来の振動低減機構は回転慣性質量ダンパーに対して付加バネを直列に設置することが不可欠であり、その付加バネに大きな負担力と変形能力を持たせる必要があるが、そのような性能の付加バネを建物に設置することは必ずしも容易ではなく、そのことがこの種の制振機構の普及を阻む要因ともなっている。
上記事情に鑑み、本発明は上記従来の振動低減機構をさらに改良し、付加バネを必要とせずとも優れた制振効果が得られるより有効な制振機構を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、多層建物の地上階の低層部における任意の階を制振階としてその制振階に設置される制振機構であって、前記制振階の上層と下層との間に層間変位により作動する慣性質量ダンパーと減衰機構を並列設置し、前記慣性質量ダンパーの慣性質量ψと前記減衰機構の減衰係数cを、前記制振階の層剛性k、前記制振階の上層の質量m、前記多層建物の制振階より上部の全質量M、前記多層建物の1次固有周期T1に基づいて次式により設定して、前記慣性質量ダンパーによる慣性質量ψと前記制振階の層剛性kとによる振動系の固有周期を前記多層建物の1次固有周期T1に同調させてなることを特徴とする。
Figure 2011052494
請求項2記載の発明は、多層建物の地上階の低層部において上下に連続している複数階を制振階としてその制振階に設置される制振機構であって、前記制振階全体の上層と下層との間に層間変位により作動する慣性質量ダンパーと減衰機構とを並列設置し、前記慣性質量ダンパーの慣性質量ψと前記減衰機構の減衰係数cを、前記制振階全体の合成層剛性k’、前記制振階の上層の質量m’、前記多層建物の制振階より上部の全質量M、前記多層建物の1次固有周期T1に基づいて次式により設定して、前記慣性質量ダンパーによる慣性質量ψと前記制振階全体の合成層剛性k’とによる振動系の固有周期を前記多層建物の1次固有周期T1に同調させてなることを特徴とする。
Figure 2011052494
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の制振機構であって、前記制振階とは別の任意の階を第2の制振階としてその第2の制振階の上層と下層との間に層間変位により作動する第2の慣性質量ダンパーと第2の減衰機構を並列設置し、前記第2の慣性質量ダンパーの慣性質量ψtと前記第2の減衰機構の減衰係数ctを、前記第2の制振階の層剛性kt、前記多層建物の高次固有周期Ts(s≧2)に基づいて次式により設定して、前記第2の慣性質量ダンパーによる慣性質量ψtと前記第2の制振階の層剛性ktとによる振動系の固有周期を前記多層建物の高次固有周期Tsに同調させてなることを特徴とする。
Figure 2011052494
本発明によれば、地上階の低層部に設定した制振階の上下の層間に慣性質量ダンパーと減衰機構を並列設置して1次固有周期に同調させるだけで、多層建物の1次振動モードを抑制し地震や風に対する応答が低減できる。また、他の階に第2の制振階を設定して第2の慣性質量ダンパーと第2の減衰機構を並列設置して高次固有周期に同調させれば、高次振動モードに対する制振効果も得られる。
したがって本発明によれば、特許文献1に示される従来の振動低減機構のように慣性質量ダンパーを付加バネと直列することなく単に減衰機構と並列にして層間に設置するだけで良いから、従来型では不実用化の妨げとなっていた付加バネが不要となって構成を大幅に簡略化でき、充分にローコストで信頼性に優れる制振機構を実現することができる。
本発明の制振機構の実施形態を示すもので、第1実施形態を振動モデルとして示す図である。 同、第2実施形態を振動モデルとして示す図である。 本発明の制振機構の具体的な設計例(Case4〜5)を比較例(Case1〜3)とともに示す図である。 同、比較例(case1)の解析結果を示す図である。 同、比較例(case2)の解析結果を示す図である。 同、比較例(case3)の解析結果を示す図である。 同、本発明の具体例(case4)の解析結果を示す図である。 同、本発明の具体例(case4a)の解析結果を示す図である。 同、本発明の具体例(case5)の解析結果を示す図である。 同、本発明の具体例の効果を比較例と対比して示す図である。 同、本発明の具体例の効果を比較例と対比して示す図である。 同、本発明の具体例の効果を比較例と対比して示す図である。
図1は本発明の制振機構の第1実施形態を振動モデルとして示す図である。
これは中高層ないし超高層の多層建物を対象とするもので、(a)に示すように地上階の低層部における任意の階(たとえば地上1階)を制振階として設定し、その制振階の上下の層間に水平方向の加振による層間変形によって作動する慣性質量ダンパー1と減衰機構2を並列設置することを基本とするものである。
本第1実施形態の制振機構は、特許文献1に示される従来の振動低減機構と同様に慣性質量ダンパー1を特定階にのみ設置するものではあるが、従来の振動低減機構のようにそれに付加バネを直列配置するのではなく慣性質量ダンパー1に減衰機構2を並列設置する点で両者の構成は異なるものである。
なお、減衰機構2としてはオイルダンパーをはじめとして、履歴系の鋼材ダンパーや摩擦ダンパー、粘弾性ダンパー、粘性ダンパー等、各種の減衰装置が採用可能であるし、各種の減衰装置を適宜組み合わせて使用することでも良い。
また、制振階は構造計画上で検討すべき層間変形が生じる階のうちの最下階とすることが好ましく、一般的には地下階の層間変形は無視し得るので上記のように地上1階を制振階とすることが現実的であるが、傾斜地に設けられる建物や特殊な構造形式の建物等において制振階をたとえば地下階や地上2階以上に設定することが有利な場合にはそのようにすることを妨げるものではない。但し、制振階を上階に設定するほど制振効果は小さくなるので、その点も考慮して制振階を最適階に設定すべきである。
そして、本第1実施形態では、慣性質量ダンパー1の慣性質量ψと減衰機構2の減衰係数cを、制振階の層剛性k、制振階の上層の質量m、この多層建物の制振階より上部の全質量M、この多層建物の1次固有周期T1に基づいて次式により設定する。
Figure 2011052494
慣性質量ダンパー1と減衰機構2の諸元を上記のように設定することにより、慣性質量ダンパー1による慣性質量ψと制振階の層剛性kとによる振動系の固有周期をこの多層建物の1次固有周期T1に同調させることができ、それによりこの振動系をTMD機構として作動させて1次振動モードに対する共振点近傍の最大応答を大幅に低減することができる。
したがって本実施形態の制振機構によれば、上述した従来の振動低減機構においては不可欠な付加バネを省略しているにも拘わらず、それと同等ないしそれ以上の優れた制振効果が得られる。
図1(b)は上記の制振機構の変形例を示すものである。
これは1次振動モードのみならず2次振動モードについても応答を低減可能としたものであって、上記の制振階とは別の任意の階を第2の制振階として設定し(図1(b)では地上1階を制振階とし、その直上階の地上2階を第2の制振階としている)、そこに第2の慣性質量ダンパー3と第2の減衰機構4を並列設置している。
そして、第2の慣性質量ダンパー3の慣性質量ψtと第2の減衰機構4の減衰係数ctを、第2の制振階の層剛性kt、この多層建物の2次固有周期Tに基づいて次式により設定するものである。
Figure 2011052494
第2の慣性質量ダンパー3と第2の減衰機構4の諸元をこのように設定することにより、それらによる振動系の固有周期をこの多層建物の2次固有周期Tに同調させることができ、したがって(a)の場合と同様に慣性質量ダンパー1と減衰機構2による1次振動モードに対する応答低減効果が得られことに加えて、第2の慣性質量ダンパー3と第2の減衰機構4により2次振動モードに対する応答も有効に低減できるものとなる。
なお、さらに高次(3次、4次…)の固有周期TS(T3、T4…)に同調させる場合には、上式における2次固有周期T2を3次固有周期T3、4次固有周期T4…に置き換えて第2の慣性質量ダンパー3と第2の減衰機構4の諸元を設定すれば良い。
いずれにしても、第2の制振階に設置する第2の慣性質量ダンパー3と第2の減衰機構4は、制振階に設置する慣性質量ダンパー1と減衰機構2に比べて小容量で済むから、制振階に慣性質量ダンパー1と減衰機構2を設置することに加えて第2の制振階に小容量の第2の慣性質量ダンパー3と第2の減衰機構4を付加することで、1次振動モードのみならず高次振動モードに対する応答低減効果も同時に得られることになる。
図2は本発明の制振機構の第2実施形態を振動モデルとして示す図である。
これは、地上部の低層部において上下に連続している複数階(図示例では地上1階および2階)を制振階として、それら制振階全体の上下の層間に跨るように慣性質量ダンパー1と減衰機構2とを並列設置したものである。
この場合、複数階に跨る制振階は図示例のように地上1階と2階に設定することが現実的であるが、必ずしもそれに限るものではなく、条件によっては他の階たとえば地上2階と3階を制振階とすることも妨げるものではない。但し、制振階を上階に設定するほど制振効果は小さくなるから、その点も考慮して制振階を最適に設定すべきである。
そして、この場合は慣性質量ダンパー1の慣性質量ψと減衰機構2の減衰係数cを、制振階全体の合成層剛性k’、制振階全体の上層の質量m’、この多層建物の制振階より上部の全質量M、多層建物の1次固有周期T1に基づいて次式により設定することにより、慣性質量ダンパー1による慣性質量ψと制振階全体の合成層剛性k’とによる振動系の固有周期を多層建物の1次固有周期T1に同調させることにより、第1実施形態の場合と同様に1次振動モードでの応答を有効に低減することができる。
Figure 2011052494
なお、制振階全体の合成層剛性k’は各階の層剛性から求めることができ、図示例のように制振階が1階および2階の場合において1階の層剛性k1、2階の層剛性k2とすると、それらの合成層剛性k’は次式となる。仮に、1階の層剛性k1と2階の層剛性k2が均等(k1=k2)の場合には第2の制振階全体の合成層剛性k’は各階の層剛性の1/2となり、したがってその合成層剛性k’に基づいて設定される慣性質量ψも第1実施形態のように制振階が単一階である場合に比べて小さくなる。
Figure 2011052494
図2(b)は、図1(b)の場合と同様に、制振階とは別の階に第2の制振階を設定し(図示例では地上1階〜2階を制振階とし、その直上階の3階を第2の制振階としている)、そこに第2の慣性質量ダンパー3と第2の減衰機構4を付加して、それらの慣性質量ψtと減衰係数ctを第2の制振階の層剛性ktに基づいて[数5]により2次固有周期T2に同調させる(あるいは[数3]により任意の高次固有周期TSに同調させる)ようにしたものであり、1次振動モードのみならず高次振動モードに対する応答低減効果も得られるものである。
以下、本発明の制振機構の具体的な設計例とその効果について検討し、従来の制振機構と比較する。
以下の検討は、鉄骨造、地上8階建ての建物に対して基礎(1FL)から地震入力を与えた場合を対象とする。この建物の1次固有周期T1=1.00秒(1次固有振動数f1=1Hz)、2次固有周期T2=0.303秒(2次固有振動数f2=3.3Hz)とし、構造減衰は1次に対してh1=0.02の剛性比例型とする。
図3に検討対象の各ケースの諸元を一覧として示す。Case1〜3は比較例であり、Case4(4a)〜5は本発明の制振機構の具体例である。
・Case1 制振なしで構造体のみの場合
・Case2 慣性質量ダンパーを各層に設置して2次以上の高次モードを制御する場合
(この場合の1次固有周期T1=1.11秒)
・Case3 1〜4階にオイルダンパーを設置した従来型の制振構造
・Case4 (図1(a)に示した振動モデルに対応するもの)
1階を制振階として慣性質量ダンパー1と減衰機構2を設置し、慣性質量ψと 減衰係数cを[数4]により設定した場合
・Case4a(図1(b)に示した振動モデルに対応するもの)
Case4に加えて、2階を第2の制振階として第2の慣性質量ダンパー3と第2 の減衰機構4を設置し、慣性質量ψtと減衰係数ctを[数5]により設定して 2次モードも制御した場合
・Case5 (図2(a)に示した振動モデルに対応するもの)
1〜2階を制振階として慣性質量ダンパー1と減衰機構2を設置し、慣性質量 ψと減衰係数cを[数6][数7]により設定した場合
図4〜図9に各ケースの振動特性を把握するための伝達関数を示す。縦軸の応答倍率は、地震動(1FL)の振幅に対する床応答の比率を示す。比較対象とする床位置は、最上階(RFL)と中間階(5FL)および最下階の上階床(2FL)とする。応答倍率が小さい部分を比較するため、縦軸を対数軸として拡大したグラフも併記している。
各ケースの伝達関数から以下のことが分かる。
・制振なしで構造体のみのcase1では、1次固有周期の共振点において大きな応答倍率をもつ。
・慣性質量ダンパーを各層に設置して2次以上の高次モードを制御したCase2は、2次以上の高次モードによる振動はなくなるが、減衰の総量がCase4,5と同様にあるものの1次の応答倍率のピーク値はあまり低減されない。
・1〜4階にオイルダンパーを設置したCase3は、減衰の総量が他のケースの3倍以上あるため、1次のピーク値も小さく高次モードの影響もほとんど見られない。
・慣性質量ダンパー1を1階だけに設置して1次モードを制御したCase4は、1次の共振点近傍においてTMD機構等の同調型の制振機構に特有の2峰特性が見られ、1層だけの制振ながら4層にわたって制振している上記のCase3と同等のピーク値に低減される。しかし、1次モードしか制御していないため、応答倍率で振動周期0.303秒(振動数3.3Hz)近傍にあらわれる2次モードのピーク値は低減できていない。
・Case4に加えて2階にも小さな第2の慣性質量ダンパー3と第2の減衰機構4を設置したCase4aでは、上記の振動数3.3Hz近傍にあらわれたピーク値がなくなっている。
・1〜2階にまたがって慣性質量ダンパー1を設置して1次モードを制御したCase5は、慣性質量の総量がCase2の0.27倍、Case4の0.4倍で、減衰係数の総量がCase2の0.8倍、Case3の0.2倍、Case4の0.62倍と小さいにもかかわらず、1次の応答倍率のピーク値は他のケース以下に低減されている。しかし、高次モードのピーク値については制御していないので、3.85Hz近傍において高次の応答倍率のピークがあらわれる。
各ケースについて、制振機構の違いによる応答低減効果を時刻歴応答解析により検討した結果を図10〜図12に示す。入力地震波はEL CENTRO NS(最大加速度356gal)、建築センター波L2(最大加速度342gal)、神戸海洋気象台観測波(最大加速度818gal)の3波として基礎(1FL)から入力する。
時刻歴解析により以下の点が分かる。
・慣性質量ダンパーを各層に設置して2次以上の高次モードを制御したCase2は、特に低層部において他の制振機構と比較して応答層間変位が大きくなる。
・1〜4階にオイルダンパーを設置したCase3は、どの地震動入力に対しても加速度も層間変位も安定して応答低減できる。
・慣性質量ダンパー1を1階だけに設置して1次モードを制御したCase4は、高次モードの影響の大きいEL CENTROやパルス的なKOBEについては制振効果が他のケースより劣るが、地震動の振動数特性が小さい建築センター波については概ね良好な制振効果を発揮する。
・Case4に加えて2階にも小さな第2の慣性質量ダンパー3と第2の減衰機構4を設置して2次モードも制御したCase4aは、いずれの地震動についてもCase4より制振効果の改善が見られる。
・1〜2階にまたがって慣性質量ダンパー1を設置して1次モードを制御したCase5は、いずれの地震動に対しても応答低減効果が大きくなったが、制振機構が跨いで取り付かない2FLの加速度については他のケース以上となる傾向がある。
本発明の効果を以下に列挙する。
(1)慣性質量ダンパーを付加バネと直列することなく、単に減衰機構と並列にして層間に設置するだけで、多層建物の1次振動モードを抑制し地震や風に対する応答が低減できる。また、外乱がおさまった後の「あとゆれ」についても大幅に低減できる。
(2)慣性質量ダンパーと付加バネを直列して層間に配置する従来の振動低減機構では、付加バネにかなりの負担力と変形性能が要求されることからそのことが実用化の妨げとなっていたが、本発明によれば付加バネが不要となり、制振機構が容易に構成できる。
(3)低層階のわずかな層数に慣性質量ダンパーと減衰機構を並列設置するだけで、従来型の全層にダンパーを設置する場合と同様の応答低減効果を発揮できる。なお、本発明に加えて各層間にオイルダンパー等の他の減衰要素を設置すればさらに応答低減効果を高めることができる。
(4)微小振幅から大振幅まで有効なパッシブ型の制振機構であり、外部エネルギーを必要としないし、電気的な制御やコンピュータ制御が不要で単純な機構であり、信頼性が高くローコストである。
(5)低層部の剛性を大きく低下させるソフトファーストストーリーのような所謂「柔層構造」とは異なり、通常の剛性分布でも対応できるので、より汎用性の高い制振手法であるといえる。また、柔層構造のように低層階(柔層階)での過大な変形が生じることもないから、内外装材を含め特段の層間変形対応は不要である。
(6)従来型のTMD機構は、構造物の頂部近傍に設置するためその重量が構造物への負荷となるが、本発明では低層階に慣性質量ダンパーを設置するので、高所に大きな重量を設置する必要がなく、慣性質量ダンパーの重量が慣性質量より桁違いに小さいこともあり、構造物への荷重負荷も小さい。
(7)制振階を複数階としてそれを跨ぐように慣性質量ダンパーを設置する場合には、単に層間に設置する場合よりも慣性質量が大幅に小さくて済む
(8)本発明では従来の一般的なTMD機構と比較して「構造物の質量に対する慣性質量の比(慣性質量比)」が大きくとれるので、ロバスト性の高い制振機構となる。そのため、制振対象の多層建物の重量や用途、機材等の積載荷重や剛性が変動しても広帯域に制振効果を発揮し、同調が多少ずれたとしても応答低減効果を維持できる。
(9)本発明の制振機構は多層建物を新設する場合に限らず、既存の多層建物の制振補強手法としても適用することができる。その場合、既存建物の低層階にのみ慣性質量ダンパーと減衰機構を設置すれば良いから、既存建物を使用しながらの制振補強も可能である。
1 慣性質量ダンパー
2 減衰機構
3 第2の慣性質量ダンパー
4 第2の減衰機構

Claims (3)

  1. 多層建物の地上階の低層部における任意の階を制振階としてその制振階に設置される制振機構であって、
    前記制振階の上層と下層との間に層間変位により作動する慣性質量ダンパーと減衰機構を並列設置し、
    前記慣性質量ダンパーの慣性質量ψと前記減衰機構の減衰係数cを、前記制振階の層剛性k、前記制振階の上層の質量m、前記多層建物の制振階より上部の全質量M、前記多層建物の1次固有周期T1に基づいて次式により設定して、前記慣性質量ダンパーによる慣性質量ψと前記制振階の層剛性kとによる振動系の固有周期を前記多層建物の1次固有周期T1に同調させてなることを特徴とする制振機構。
    Figure 2011052494
  2. 多層建物の地上階の低層部において上下に連続している複数階を制振階としてその制振階に設置される制振機構であって、
    前記制振階全体の上層と下層との間に層間変位により作動する慣性質量ダンパーと減衰機構とを並列設置し、
    前記慣性質量ダンパーの慣性質量ψと前記減衰機構の減衰係数cを、前記制振階全体の合成層剛性k’、前記制振階の上層の質量m’、前記多層建物の制振階より上部の全質量M、前記多層建物の1次固有周期T1に基づいて次式により設定して、前記慣性質量ダンパーによる慣性質量ψと前記制振階全体の合成層剛性k’とによる振動系の固有周期を前記多層建物の1次固有周期T1に同調させてなることを特徴とする制振機構。
    Figure 2011052494
  3. 請求項1または2記載の制振機構であって、
    前記制振階とは別の任意の階を第2の制振階としてその第2の制振階の上層と下層との間に層間変位により作動する第2の慣性質量ダンパーと第2の減衰機構を並列設置し、
    前記第2の慣性質量ダンパーの慣性質量ψtと前記第2の減衰機構の減衰係数ctを、前記第2の制振階の層剛性kt、前記多層建物の高次固有周期Ts(s≧2)に基づいて次式により設定して、前記第2の慣性質量ダンパーによる慣性質量ψtと前記第2の制振階の層剛性ktとによる振動系の固有周期を前記多層建物の高次固有周期Tsに同調させてなることを特徴とする制振機構。
    Figure 2011052494
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