JP2015055293A - 制震装置 - Google Patents

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伸介 山崎
Shinsuke Yamazaki
伸介 山崎
直以 野呂
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直以 野呂
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Abstract

【課題】想定設計地震動に対しても十分な制震性能を発揮しつつ、想定外に大きな震動が生じたときに上部構造の損傷を最小限に抑えるフェールセーフ機能を付加する。
【解決手段】構造物の下部構造110と上部構造120との間に設けられる制震装置10であって、下部構造110の上面110aに固定される下部ベース部材11と、上部構造120の下面120aに固定される上部ベース部材12と、U字状に湾曲し、一端部13aが下部ベース部材11に固定され、他端部13cが上部ベース部材12に固定されたダンパー部材13と、下部ベース部材11と上部ベース部材12とが水平方向に予め定めた寸法以上相対的に変位するのを抑制する変位抑制部材14とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、建築構造物に設けられる制震装置に関する。
橋梁、高速道路、ビルディング等をはじめとする各種土木構造物や建築構造物において、地震発生時における揺れを軽減するため、地盤中に構築された基礎等の下部構造と、下部構造上に支持される上部構造との間に、制震装置を備えたものが知られている。
この制震装置としては、様々な構造(形式)のものが知られている。そして例えば、特許文献1には、弾塑性材料からなるU型の湾曲状部材の両端部を上部構造と下部構造とにそれぞれ固定した構成のいわゆるU型ダンパーが開示されている。
このU型ダンパーによれば、上部構造と下部構造とが水平方向に相対変位すると、湾曲状部材のU字状に湾曲した湾曲部が湾曲状部材の延在方向に変位するようにして変形する。このようにして、塑性変形時に歪みが最大になる点を水平変形量の変化によって部材内で移動させることで、部材の歪みを局部的に集中させず、部材全体を効果的に使用して地震による震動エネルギーを吸収する。したがって、このようなU型ダンパーでは、下部構造と上部構造との水平方向の許容変位量を大きくすることが可能となっている。
特開2004−340301号公報
しかしながら、特許文献1に示す制震装置(Uダンパー)においては、想定外に大きな地震が生じたときに、下部構造と上部構造との水平方向の相対変位量が、湾曲状部材の水平方向の許容変位量を上回ってしまい、湾曲状部材が破損し、上部構造が隣接構造物や上部構造周りの隔壁等へ衝突するといった問題が生じる可能性がある。
これに対しては、湾曲状部材の本数を増やしたり、湾曲状部材の断面積等を大きくし、塑性変形に至る耐力を大きくする方策が考えられる。しかし、これらの方策では、これまで想定していた想定設計地震動が発生した際に湾曲状部材が十分な塑性変形に至らず、よって、下部構造と上部構造との相対変位を生じさせる震動エネルギーを十分に減衰させることが困難となってしまうという問題がある。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、想定設計地震動に対しても十分な制震性能を発揮しつつ、想定外に大きな震動が生じたときに上部構造の損傷を最小限に抑えるフェールセーフ機能を付加した制震装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係る制震装置は、構造物の下部構造と上部構造との間に設けられる制震装置であって、前記下部構造の上面に固定される下部ベース部材と、前記上部構造の下面に固定される上部ベース部材と、U字状に湾曲し、一端部が前記下部ベース部材に固定され、他端部が前記上部ベース部材に固定されたダンパー部材と、前記下部ベース部材と前記上部ベース部材とが水平方向に予め定めた寸法以上相対的に変位するのを抑制する変位抑制部材と、を備えることを特徴とする。
このような制震装置によれば、地震発生時に下部構造と上部構造とが水平方向に相対的に変位すると、上部ベース部材と下部ベース部材とが相対的に変位する。すると、U字状のダンパー部材においてU字状に湾曲した部分が水平方向に直交する方向に移動するようにして変形し、制震性能を発揮する。
そして、変位抑制部材により、上部ベース部材と下部ベース部材とが、想定外に大きな地震により予め定めた寸法以上変位したときには、予め定めた寸法以上の相対的な変位が抑制される。
また、変位抑制部材により、上部ベース部材と下部ベース部材との相対的な変位が抑制された状態で、変位抑制部材への震動エネルギーの入力値が変位抑制部材の耐力を超えた場合、変位抑制部材自体が変形することによって、上部ベース部材と下部ベース部材との相対変位を抑制する。
さらに、前記変位抑制部材は、前記下部ベース部材および前記上部ベース部材のうちの一方から他方に向けて突出する棒状部材と、前記下部ベース部材および前記上部ベース部材のうちの他方から一方に向けて突出し、前記棒状部材の外周側に該棒状部材の径方向に間隔を隔てて設けられた筒状部材と、を備えていてもよい。
これにより、上部ベース部材と下部ベース部材とが、想定外に大きな震動により予め定めた寸法以上変位したときには、棒状部材の外周面と筒状部材の内周面とが干渉することによって、上部ベース部材と下部ベース部材の相対的な変位が抑制される。即ち、簡易な構成によって、水平面内における360度の全方位からの震動エネルギーの吸収が可能となる。
また、前記変位抑制部材は、前記下部ベース部材および前記上部ベース部材のうちの一方から他方に向けて突出する棒状部材を備え、前記下部ベース部材および前記上部ベース部材のうちの他方に、前記棒状部材の先端部の外周側に該棒状部材の径方向に間隔を隔てて設けられた内周面を有する孔が形成されていてもよい。
これにより、上部ベース部材と下部ベース部材とが、想定外に大きな地震により予め定めた寸法以上変位したときには、棒状部材の外周面と孔の内周面とが干渉することによって、上部ベース部材と下部ベース部材の相対的な変位が抑制される。即ち、簡易な構成によって、水平面内における360度の全方位からの震動エネルギーの吸収が可能となる。
また、前記棒状部材は、前記下部ベース部材および前記上部ベース部材のうちの一方における重心の位置を含む部分から突出していてもよい。
このような位置に棒状部材を設けることで、棒状部材が制震装置に一体に内蔵されていることになり、下部ベース部材又は上部ベース部材における外周側の位置に棒状部材を設ける場合と比較して、制震装置のコンパクト化を図ることができる。したがって、制震装置の大型化を回避しながら容易に変位抑制部材の機能を付加することができる。
請求項1の制震装置によると、想定設計地震動に対しても十分な制震性能を発揮しつつ、変位抑制部材によって想定外に大きな震動が生じたときにも、制震装置が損傷を受けるのを防ぐことができ、上部構造の損傷を最小限に抑えるフェールセーフ機能の付加が可能となる。
さらに、請求項2の制震装置によると、変位抑制部材を簡易な構造で構成しつつ、想定外に大きな震動が生じた際にも、上部構造の損傷を最小限に抑え、制震性能の向上が可能となる。
さらに、請求項3の制震装置によると、変位抑制部材を簡易な構造で構成しつつ、想定外に大きな震動が生じた際にも、上部構造の損傷を最小限に抑え、制震性能の向上が可能となる。
また、請求項4の制震装置によると、装置の小型化、構成の簡易化を実現しつつ、制震性能の向上が可能となる。
本発明の実施形態に係る制震装置を適用した構造物の一例としての橋梁の一部を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る制震装置の構成を示す図であり、(a)は制震装置を斜め上方から見た斜視図、(b)は制震装置を斜め下方から見た斜視図である。 本発明の実施形態に係る制震装置を構造物に設置した状態における断面図である。 本発明の実施形態に係る制震装置の挙動を示す図であり、(a)はダンパー部材で震動エネルギーを吸収している状態を示す断面図、(b)は変位抑制部材で上部ベース部材と下部ベース部材の相対変位を抑制している状態を示す断面図、(c)は変位抑制部材が変形して震動エネルギーを吸収している状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る制震装置についてシミュレーション解析した変位履歴ループであり、変位と荷重との関係を示す図である。 本発明の実施形態に係る制震装置の変形例を示す斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る制震装置10について説明する。しかしながら、本発明は本実施形態のみに限定されるものではない。
図1に示すように、本実施形態に係る制震装置10は、橋梁(構造物)100に適用されるものである。
橋梁100は、下部構造としての橋脚110と、橋脚110上に架設された上部構造としての橋桁120と、橋脚110と橋桁120との間に設置された制震装置10と、を少なくとも備えている。
橋脚110は、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等であり、地盤中に構築された不図示の基礎上に立設されている。この橋脚110は、橋梁100が連続する水平方向に沿って間隔を隔てて複数本が設置されている。なお、図1には1本の橋脚110のみを図示している。
橋桁120は、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等であり、複数本の橋脚110上に架け渡されている。そして、橋桁120の上面に不図示の床版を形成することにより、橋梁100の路面を形成する。
ここで、橋脚110および橋桁120の構造や形状、材質等については、何ら限定されるものではない。
図2、図3に示すように、制震装置10は、橋脚110の上面110aに固定された下部ベース部材11と、橋桁120の下面120aに固定された上部ベース部材12とを備えている。
さらに、この制震装置10は、下部ベース部材11と上部ベース部材12との間に設けられて、下部ベース部材11と上部ベース部材12とが水平方向に相対的に変位したときに弾塑性変形するダンパー部材13と、下部ベース部材11と上部ベース部材12との水平方向への相対的な変位量を規制する変位抑制部材14とを備えている。
下部ベース部材11は、例えば矩形状をなし、橋脚110の上面110aに沿うよう設けられ、複数本のスタッドボルト15が橋脚110の上面110aに埋設されることによって固定されている。
上部ベース部材12は、例えば矩形状をなし、橋桁120の下面120aに沿うよう設けられ、不図示の締結ボルトによって下面120aに固定されている。この上部ベース部材12は、下部ベース部材11の鉛直上方に配置されている。これによって、下部ベース部材11と上部ベース部材12とが上下方向に予め定めた間隔を隔てて対向している。
ダンパー部材13は、下部ベース部材11の上面11aに固定された下部固定部(一端部)13aと、下部固定部13aから下部ベース部材11の外周側に延出するよう形成された下部延出部13bとを備えている。
また、このダンパー部材13は、上部ベース部材12の下面12aに固定された上部固定部(他端部)13cと、上部固定部13cから上部ベース部材12の外周側に延出するよう形成された上部延出部13dと、下部延出部13bと上部延出部13dとを接続するC字状に湾曲した湾曲部13eとを備えている。
ダンパー部材13において、下部固定部13aと上部固定部13c、および下部延出部13bと上部延出部13dとは、それぞれ、互いに上下に対向するよう配置されている。さらに、下部延出部13bと上部延出部13dとは、互いに平行に延びるよう形成されている。そして、湾曲部13eは、下部延出部13bにおける外周側端部13fと上部延出部13dにおける外周側端部13gとを接続するように設けられている。これにより、ダンパー部材13は、全体としてU字型をなすよう形成されている。
また、ダンパー部材13の下部固定部13aは下部ベース部材11に、上部固定部13cは上部ベース部材12に、固定ボルト16によって固定されている。
ここで、ダンパー部材13は、金属等の弾塑性材料等からなる帯状の鋼材を、略U字状に湾曲させるように成形することで形成されている。
このようなダンパー部材13は、下部ベース部材11および上部ベース部材12の外周部に、周方向に間隔を隔てて複数本が設けられている。本実施形態においては、矩形の下部ベース部材11および上部ベース部材12の四辺のそれぞれに、ダンパー部材13が各辺から直交する方向に延びるよう設けられている。また、各々のダンパー部材13は下部ベース部材11および上部ベース部材12の頂点となる位置に1つずつ設けられている。このようにして、上記周方向に隣接するダンパー部材13の下部延出部13b(および上部延出部13d)同士が、互いに直交する2方向に延びていることになる。
変位抑制部材14は、下部ベース部材11側に設けられた棒状部材17と、上部ベース部材12側に設けられた筒状部材18とを備えている。
棒状部材17は、円柱状の鋼棒からなり、下部ベース部材11の上面11aから上方の上部ベース部材12に向けて突出するよう設けられている。この棒状部材17は、その下端部17aが下部ベース部材11に溶接等により接合されている。棒状部材17は、上端部17bが、上部ベース部材12の下面12aよりも下方に位置するように形成されている。
なお、棒状部材17の下端部17aに棒状部材17の内部に凹むように雌ねじを形成し、下部ベース部材11の上面11aから突出するように雄ねじを形成して、これら雌ねじと雄ねじとを螺合させることで棒状部材17を下部ベース部材11に固定してもよい。また、棒状部材17は角棒からなっていてもよい。
筒状部材18は、上部ベース部材12の下面12aから下方の下部ベース部材11に向けて突出するよう設けられている。筒状部材18は、鋼製からなる円筒状で、その上端部18aが上部ベース部材12に溶接等により接合されている。
また、筒状部材18は、その内径が棒状部材17の外径に対して、予め定められた寸法だけ大きく形成されている。そして、筒状部材18は、棒状部材17に対し、その中心軸が一致するように同軸上に設置されている。さらに、筒状部材18は、その下端部18bが、棒状部材17の上端部17bよりも下方に位置するよう形成されている。
これにより通常時において、棒状部材17の外周側で、棒状部材17と径方向に間隔を隔てて対向するように筒状部材18が配置されている。
ここで、変位抑制部材14を構成する棒状部材17、筒状部材18は、水平方向における耐力がダンパー部材13よりも大きく設定されていることが好ましい。
また、図1に示すように制震装置10は、橋脚110と橋桁120との間に、水平方向に間隔を隔てて複数個が配置されている。
さらに、橋脚110と橋桁120との間には、橋桁120の鉛直方向の荷重を支持する荷重支持部材30が設けられている。この荷重支持部材30は、例えばゴム支承、滑り支承、摩擦支承、摩擦振り子型球面支承などの免震機能を有するものであってもよい。
このような制震装置10を備えた橋梁100においては、図4(a)に示すように、地震発生時に橋脚110と橋桁120とが水平方向に相対変位すると、制震装置10におけるダンパー部材13の下部ベース部材11と上部ベース部材12とが、水平方向に沿って相対変位する。すると、下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位に応じて、各ダンパー部材13が弾塑性変形し、震動エネルギーを吸収する。
各ダンパー部材13においては、下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位によって、下部固定部13aと上部固定部13cとが、下部延出部13bおよび上部延出部13dが延びる方向(ダンパー部材13の面内方向)に沿って相対変位すると、湾曲部13eの位置が、上下方向に移動するようにして、ダンパー部材13が弾塑性変形する。
また、各ダンパー部材13において、下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位によって、下部固定部13aと上部固定部13cとが、下部延出部13bおよび上部延出部13dが延びる方向以外(ダンパー部材13の面外方向)に相対変位すると、下部延出部13b、湾曲部13e、上部延出部13dが捩れるように弾塑性変形する。
このようにして、下部ベース部材11と上部ベース部材12とを相対変位させる震動エネルギーが、上記のダンパー部材13の弾塑性変形におけるエネルギーに変換されることによって、震動エネルギーが吸収され、下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位が抑制され、制震効果が発揮される。
なお、下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位量が大きければ大きいほど、ダンパー部材13の弾塑性変形量が大きくなるため、制震装置10においては、変位量(地震の大きさ)に対応した制震効果が発揮される。
上記のダンパー部材13による制震効果は、変位抑制部材14において、棒状部材17と筒状部材18とが干渉しない範囲内において発揮される。なお、棒状部材17と筒状部材18とのクリアランスは、想定される強度の地震であれば干渉しないように設定するのが好ましい。
地震が想定外に大きな強度である場合には、橋脚110と橋桁120との水平方向の相対変位にともなって、制震装置10の下部ベース部材11と上部ベース部材12との水平方向に沿った相対変位が大きくなる。これにより、図4(b)に示すように、変位抑制部材14において、棒状部材17と筒状部材18とが、それぞれの中心軸に直交する方向に相対変位し、互いに変形せずに干渉する。すると、下部ベース部材11と上部ベース部材12との間の相対変位が抑制される。これにより、これら下部ベース部材11と上部ベース部材12とが一体に変位し、ダンパー部材13の変形が抑制される。その結果、想定外に大きな地震によって、ダンパー部材13が破損することを防ぎ、制震装置10の損傷を防ぐ。
そして、さらに強度の大きな地震の場合、下部ベース部材11と上部ベース部材12との変位が抑制された状態から、棒状部材17、筒状部材18への震動エネルギーの入力値がさらに大きくなり、棒状部材17、筒状部材18の耐力を超えることがある。すると、図4(c)に示すように、棒状部材17、筒状部材18自体が変形し、これによって震動エネルギーが吸収され、下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位が抑制される。
ここで、図4(c)に図示した例においては、変位抑制部材14の棒状部材17のみが先行して変形している構成を例に挙げたが、筒状部材18も同時に変形するようにしてもよい。また、筒状部材18が棒状部材17に対して先行して変形するようにしてもよい。これらは、棒状部材17と筒状部材18との耐力のバランスを適宜設定することで実現できる。
上述したようにして、制震装置10が、変位抑制部材14における棒状部材17と筒状部材18とが干渉しない程度の想定範囲内の地震動に対しては、ダンパー部材13の変形によって十分な制震性能を発揮する。そしてこれに加え、想定外に大きな地震が生じたときには、変位抑制部材14の棒状部材17と筒状部材18とが干渉することによって制震装置10が損傷を受けるのを防ぐことが可能となる。
したがって、上部構造としての橋桁120の損傷を最小限に抑えるフェールセーフ機能を制震装置10に付加することができる。
また、制震装置10においては、変位抑制部材14の水平方向における耐力がダンパー部材13よりも大きくなるよう設定することも可能である。このようにすれば、下部ベース部材11と上部ベース部材12との変位が抑制された状態から、棒状部材17、筒状部材18への震動エネルギーの入力値がさらに大きくなった場合に、棒状部材17、筒状部材18自体が変形する。これによって、下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位を生じさせる震動エネルギーが吸収され、振動が減衰される。即ち、ダンパー部材13と変位抑制部材14とによって、2段階で震動エネルギーの吸収を行うことが可能となり、さらなる制震性能の向上が可能となる。
なお、変位抑制部材14の水平方向における耐力は、必ずしもダンパー部材13の水平方向における耐力よりも大きくする必要はなく、仮に、これら変位抑制部材14及びダンパー部材13の耐力が同等である場合や、変位抑制部材14の方がダンパー部材13よりも耐力が小さくなっていても、2段階で震動エネルギーの吸収を行うことは可能である。
また、変位抑制部材14は、周囲にダンパー部材13が設けられた下部ベース部材11および上部ベース部材12の中央部に設けられている。なお中央部とは、下部ベース部材11および上部ベース部材12の重心位置を含む部分を示す。
したがって、従来のU字状の変形部材を備えた制震装置と同等の大きさで、変位抑制機能を備えることが可能となる。また、変位抑制部材14を構成する棒状部材17、筒状部材18が、それぞれ、下部ベース部材11、上部ベース部材12に一体に設けられている。したがって、下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位を抑制するための部材を、例えば下部ベース部材11および上部ベース部材12の外周側の位置に設ける場合に比較して、装置の小型化、構成の簡易化を実現することができる。
ここで、上記したような構成の制震装置10について、シミュレーション解析を行った。図5に示すように、下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位量(絶対値)が小さいうちは、この相対変位量が大きくなるにしたがって、下部ベース部材11と上部ベース部材12とを変位させる荷重が大きくなっている。即ち、ダンパー部材13による減衰効果が発揮されていることが分かる(図5中、点線Aの範囲)。
なお、この点線Aの範囲の荷重は、ダンパー部材13のみの荷重を示している。
また、下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位量(絶対値)が大きくなると、変位量の増大が規制され、下部ベース部材11と上部ベース部材12とを変位させる荷重が急激に大きくなっている。このことから、変位抑制部材14によって下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位が抑制され、さらに、変位抑制部材14の変形によって振動減衰効果が発揮されていることが分かる(図5中、点線Bの範囲)。
なお、この点線Bの範囲の荷重は、変位抑制部材14の荷重とダンパー部材13の荷重とを足し合わせたものを示している。
なお、本発明の制震装置は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態において、変位抑制部材14を構成する棒状部材17を下部ベース部材11側に設け、筒状部材18を上部ベース部材12側に設けたが、棒状部材17を上部ベース部材12側に設け、筒状部材18を下部ベース部材11側に設けてもよい。
さらに、変位抑制部材14を棒状部材17と筒状部材18とによって構成したが、これに限るものではなく、下部ベース部材11と上部ベース部材12との一定以上の変位を抑制できるのであれば、他のいかなる構成を採用してもよい。具体的には例えば、筒状部材18に代えて、棒状部材17に干渉可能な面を有する板状の部材や棒状の部材を設けてもよい。
例えば、図6に示すように、下部ベース部材11に棒状部材17を設けるとともに、上部ベース部材12に、棒状部材17の外径よりも大きな内径を有した孔19(または、上部ベース部材12の下面12aから上方に凹む凹部)を形成し、棒状部材17の上端部17bを孔19内に挿入配置してもよい。これにより、棒状部材17の径方向外周側に、孔19の内周面19aが、棒状部材17の径方向に間隔を隔てて対向する。
このような構成によれば、想定外に大きな地震の場合、棒状部材17の上端部17bと孔19の内周面19aとが干渉したり、棒状部材17が変形することによって、下部ベース部材11と上部ベース部材12との相対変位の抑制、振動の減衰を図ることができる。その結果、想定外に大きな地震において、ダンパー部材13が破損することによる上部構造である橋桁120の損傷を抑制するとともに、棒状部材17の変形によって、より高い振動減衰効果を得ることができる。
また、ダンパー部材13についても、一つの制震装置10におけるダンパー部材13の数、配置、向き、形状、材質等、上記に示した以外のいかなる構成としてもよい。
さらに、上記実施形態では、本発明を橋梁100に適用する例を示したが、橋梁100に限らず、高速道路、ビルディング等の各種土木構造物、建築構造物に本発明の制震装置を適用することが可能である。
また、変位抑制部材14が設けられていない制震装置に対し、変位抑制部材14を追設することも可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
10…制震装置 11…下部ベース部材 12…上部ベース部材 13…ダンパー部材 13a…下部固定部(一端部) 13b…下部延出部 13c…上部固定部(他端部) 13d…上部延出部 13e…湾曲部 14…変位抑制部材 17…棒状部材 17a…下端部 17b…上端部 18…筒状部材 18a…上端部 18b…下端部 19…孔 100…橋梁(構造物) 110…橋脚 110a…上面 120…橋桁 120a…下面

Claims (4)

  1. 構造物の下部構造と上部構造との間に設けられる制震装置であって、
    前記下部構造の上面に固定される下部ベース部材と、
    前記上部構造の下面に固定される上部ベース部材と、
    U字状に湾曲し、一端部が前記下部ベース部材に固定され、他端部が前記上部ベース部材に固定されたダンパー部材と、
    前記下部ベース部材と前記上部ベース部材とが水平方向に予め定めた寸法以上相対的に変位するのを抑制する変位抑制部材と、
    を備えることを特徴とする制震装置。
  2. 前記変位抑制部材は、
    前記下部ベース部材および前記上部ベース部材のうちの一方から他方に向けて突出する棒状部材と、
    前記下部ベース部材および前記上部ベース部材のうちの他方から一方に向けて突出し、前記棒状部材の外周側に該棒状部材の径方向に間隔を隔てて設けられた筒状部材と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の制震装置。
  3. 前記変位抑制部材は、
    前記下部ベース部材および前記上部ベース部材のうちの一方から他方に向けて突出する棒状部材を備え、
    前記下部ベース部材および前記上部ベース部材のうちの他方に、前記棒状部材の先端部の外周側に該棒状部材の径方向に間隔を隔てて設けられた内周面を有する孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の制震装置。
  4. 前記棒状部材は、前記下部ベース部材および前記上部ベース部材のうちの一方における重心の位置を含む部分から突出していることを特徴とする請求項2又は3に記載の制震装置。
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