JP2023099943A - ダンパー - Google Patents

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智裕 飯田
Tomohiro Iida
厚周 花井
Atsuchika Hanai
雄太 黒川
Yuta Kurokawa
卓嗣 安並
Takatsugu Yasunami
泰彦 井上
Yasuhiko Inoue
雅史 山本
Masafumi Yamamoto
孝行 曽根
Takayuki Sone
琢也 鈴木
Takuya Suzuki
貴博 木下
Takahiro Kinoshita
達 本村
Susumu Motomura
淳道 櫛部
Atsumichi Kushibe
史朗 大須賀
Fumiaki Osuga
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Abstract

【課題】ダンパーの大型化を抑制しつつ安定した減衰力を得る【解決手段】ダンパー100は、同一面上に間隔をあけて端面112が平行に配置された二つの支持部材110と、支持部材110の端面112から同一面上にアーチ状に延びて設けられたアーチ状部120の頂部122同士がつながった変形部118と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、ダンパーに関する。
特許文献1には、構造物に取り付けられて振動エネルギーを吸収する制震ダンパに関する技術が開示されている。この先行技術では、制震ダンパの板状の本体には、柱部が形成されている。この本体の面内方向における柱部の危険断面位置と、面内方向に垂直な方向の面外方向における柱部の危険断面位置と、が異なっている。そして、面外方向の危険断面位置は、柱部の基部であり、面内方向の危険断面位置は、柱部の基部から、柱部の中央部側にずれた位置となることを特徴としている。
特許文献2には、鋼材などの弾塑性材の変形に伴うヒステリシスを活用して地震エネルギーを吸収する履歴ダンパに関する技術が開示されている。この先行技術では、平板状の履歴ダンパは、くの字状のエネルギー吸収子をスリットを介して複数本並列し、各エネルギー吸収子の両端部を対向する支持板に架設してある。エネルギー吸収子は、その板幅をくの字の頂部に向かって徐々に狭く形成し、頂部の両側にくびれ部を備えることを特徴としている。
特許文献3には、極軟鋼あるいは鉛等の低降伏応力度金属で構成される振動エネルギー吸収ダンパの改良に関する技術が開示されている。この先行技術では、振動エネルギー吸収ダンパは、構造用鋼よりも降伏応力度が低い低降伏応力度金属で形成されている。2列に配列された2つの保持部と、両端が上記2つの保持部に連結された屈曲した板状の連結部を備えている。そして、連結部の凹側の縁の最奥の位置が凸側の縁の保持部との接続点よりも凸側にあることを特徴としている。
特許文献4には、建造物に施工された間柱と間柱に設置された制震装置とから形成された制震構造物に関する技術が開示されている。
特開2017-25674号公報 特開2010-116973号公報 特開平10-121772号公報 特開2019-27195号公報
例えば、高層建物等では、地震時の水平力を減衰させるダンパーが用いられることがある。しかし、ダンパーに安定して減衰力を負担させる目的からダンパーが大型化する傾向がある。ダンパーが大型化すると、例えば、スパン割、扉や設備配管など他の建築要素との干渉などの影響により、配置位置が限定されること等が問題となる場合がある。
本発明は、上記事実を鑑み、ダンパーの大型化を抑制しつつ安定した減衰力を得ることが目的である。
第一態様は、同一面上に間隔をあけて端面が平行に配置された二つの支持部材と、前記支持部材の前記端面から前記同一面上にアーチ状に延びて設けられたアーチ状部の頂部同士がつながった変形部と、を備えたダンパー。
第一態様のダンパーでは、変形部が引き延ばされることによる曲げ変形によりエネルギーを吸収する。このとき、ストラットの片側が引張場となり、圧縮側の横座屈が抑制されるので、安定した減衰力が得られる。したがって、ダンパーの大型化を抑制しつつ安定した減衰力が得られる。
第二態様は、前記アーチ状部は、半円形状である、第一態様に記載のダンパーである。
第二態様のダンパーでは、アーチ状部は半円形状であるので、例えば、多角形と比較して滑らかな形状となり、滑らかな履歴特性となる。
第三態様は、前記アーチ状部の根本部が、他の部位よりも拡幅されている、第一態様又は第二態様に記載のダンパーである。
第三態様のダンパーでは、前記変形部の根本部が、他の部位よりも拡幅されているので、根本部の塑性ひずみが抑制される。
本発明によれば、ダンパーの大型化を抑制しつつ安定した減衰力を得ることができる。
一実施形態のダンパーの正面図である。 ダンパーを間柱に設置した状態の立面図である。 ダンパーの履歴特性を数値解析した結果を示すグラフである。 第一使用例の立面図である。 第二使用例の断面図である。 第三使用例の断面図である。 第四使用例における(A)は(B)の7A-7A線の断面図であり、(B)は(A)の7B-7B線の断面図であり、(C)はダンパーの取付部位の拡大平面図である。 ダンパーが変形した状態の正面図である。
<実施形態>
本発明の一実施形態のダンパーについて説明する。なお、水平方向の直交する二方向をX方向及びY方向とし、それぞれ矢印X及び矢印Yで示す。X方向及びY方向と直交する鉛直方向をZ方向として、矢印Zで示す。
[構造]
先ず、本実施形態のダンパーの構造及びこのダンパーを用いた間柱について説明する。
図1に示すように、ダンパー100は、二つの支持部材110と、二つの支持部材110の間に設けられた変形部118と、を有して構成されている。本実施形態の二つの支持部材110は、矩形の板状とされ、同一面上に間隔をあけて端面112が平行に配置されている。なお、支持部材110の端面112に沿った方向は、X方向である。また、支持部材110には、面外方向(Y方向)に貫通する貫通孔114が複数形成されている。
変形部118は、二つの支持部材110の端面112から同一面上に上下方向且つ反対方向に凸となるようにアーチ状に延びたアーチ状部120が設けられている。これら二つのアーチ状部120は、頂部122同士がつながっている。本実施形態における二つのアーチ状部120は、半径が同じ半円形状であり、上下対称であるが、これに限定されるものではない。
変形部118のアーチ状部120の根本部124は、他の部位よりもX方向に拡幅されている。また、本実施形態では、変形部118のアーチ状部120の板厚(Y方向の厚み)は、幅(半円の径方向の幅)よりも小さい。また、本実施形態のダンパー100は、鋼板をレーザーで切り出して作っているが、これに限定されるものではない。
図2に示すように、ダンパー100(図1も参照)は、制振建物である建物10に設置されている。ダンパー100は、構造体の一例としての上側梁12と下側梁14との間に設けられた間柱20に設けられ、制振ダンパーとして機能する。具体的には、間柱20を構成する上側間柱22と下側間柱24との間に設けられている。また、ダンパー100は、横方向(X方向)に並んで設置されている。
本実施形態では、上側間柱22の下端部及び下側間柱24の上端部に形成されたスリットに、ダンパー100の支持部材110を差し込み、貫通孔114(図1参照)にボルト30を挿通してボルト締結することで、ダンパー100が上側間柱22及び下側間柱24に接合されている。なお、上側間柱22の下端部及び下側間柱24と、ダンパー100との接合構造は、一例であって、これに限定されるものではない。本実施形態では、上側梁12及び下側梁14の梁方向がX方向である。また、上側間柱22及び下側間柱24の面外方向がY方向である。
なお、本実施形態では、上側梁12及び下側梁14は鉄骨材で構成され、上側間柱22及び下側間柱24は、木質材、具体的には、CLT(Cross Laminated Timber(直交集成板))で構成されているが、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、鉄骨造の上側梁12及び下側梁14と、木質の上側間柱22及び下側間柱24とは、ボルト72及び引きボルト70によって接合されているが、これに限定されるものではない。
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
地震時に図2に示す上側梁12と下側梁14との水平方向(間柱20の面内方向の水平方向(X方向))の相対移動に伴ってダンパー100の変形部18が変形する。図8は、ダンパー100の変形部118の変形前の形状を二点鎖線で示し、変形した状態の形状を実線で示している。なお、図8では、上側梁12(上側間柱22)が下側梁14(下側間柱24)に対して相対的に図の右方向に水平移動した状態を図示している。
図8に示すように、ダンパー100の変形部118のアーチ状部120が引き延ばされることによる曲げ変形によりエネルギーを吸収する。このとき、変形部18には、対角方向にストラットS1及びストラットS2が形成される。
上側の支持部材110(図2の上側梁12及び上側間柱22)が下側の支持部材110(図2の下側梁14及び下側間柱24)との水平方向の相対移動量が大きく、変形部118の変形量が大きい場合でも、一方のストラットS1が引張場となり、他方のストラットS2が圧縮側となることで、圧縮側の変形部118の面外方向の横座屈が抑制される。したがって、ダンパー100に安定した減衰力が発生し、図2に示す上側梁12と下側梁14との相対移動が減衰され、建物10の揺れが減衰する。
また、図1に示すように、本実施形態のダンパー100では、変形部118のアーチ状部120が半円形状であるので、例えば、アーチ状部120が多角形の場合と比較し、滑らかな形状となり、滑らかな履歴特性(後述する図3参照)となる。
更に、本実施形態のダンパー100では、変形部118のアーチ状部120の根本部124が、他の部位よりも拡幅されているので、大変形時での根本部124の塑性ひずみが抑制される。
ここで、本実施形態のダンパー100の履歴特性について説明する。
図3のグラフは、本実施形態のダンパー100の履歴特性を数値解析した結果を示している。前述したように、図8に示す一方のストラットS1が引張場となり、他方のストラットS2が圧縮側となることで、圧縮側の変形部118の面外方向の横座屈が抑制されることで、安定した減衰力が得られていることが判る。
具体的には、図3の履歴特性の実線R1が本実施形態のダンパー100の特性であり、一点鎖線R2が座屈した場合の特性である。比較例のR2は、変形が進むにつれて耐力が下がる不安定な履歴特性になっている。よって、R1及びR2を比較すると判るように、大変形時、図3のグラフでは30mm-40mmにおける減衰力がR1の方が大きくなっている。つまり、ダンパー100は、大型化することなく、安定した減衰力が得られることが判る。
[他の使用例]
次に、本実施形態のダンパー100の他の使用例を説明する。
(第一使用例)
図4に示す第一使用例では、ダンパー100は、構造体の一例としての上側梁13と床スラブ15との間に設けられた間柱21と上側梁13との間に設けられ、制振ダンパーとして機能する。
なお、本実施形態では、上側梁13及び床スラブ15は鉄筋コンクリートで構成され、間柱21は、木質材、具体的には、CLT(Cross Laminated Timber(直交集成板))で構成されているが、これに限定されるものではない。また、ダンパー100は、横方向(X方向)へ並んで設置されている。更に、本使用例では、ダンパー100とダンパー100との間に配管50が設けられている。
なお、本使用例では、ダンパー100の上側の支持部材110は上側梁13に設けられた取付プレート17にボルト締結され、下側の支持部材110は間柱21の上端部に形成されたスリットに差し込まれボルト締結されることで、ダンパー100が上側梁13及び間柱21に固定されているが、これに限定されるものではない。
本変形例でも地震時に上側梁13と床スラブ15との水平方向(間柱21の面内方向の水平方向(X方向))の相対移動に伴ってダンパー100の変形部118が変形することで、安定した減衰力が得られ、建物の揺れが減衰する。
また、ダンパー100は、大型化することなく、安定した減衰力が得られる。よって、ダンパー100とダンパー100との間隔をあけて、その間に配管50を設けることができる。
(第二使用例)
図5に示す第二使用例では、スラブ212を支持する鉄骨梁210と、スラブ213を支持する鉄骨梁211と、の間にダンパー100が設けられている。スラブ212とスラブ213との間には、エクスパンションジョイントやグレーチング等の連結部200が設けられている。本使用例では、ダンパー100は、支持部材110の端面112が上下方向(Z方向)で、アーチ状部120が水平方向に凸となるように設けられている。よって、本使用例では、ダンパー100は、支持部材110の上下方向(Z方向)の相対移動に対して、減衰力を発揮する。
本変形例では、鉄骨梁210と鉄骨梁211とが上下方向に相対移動すると、ダンパー100の変形部118が変形してエネルギーを吸収することで、鉄骨梁210と鉄骨梁211との上下方向の相対移動が減衰する。
(第三使用例)
図6に示す第三使用例では、建物300は、下部構造部310と上部構造部320と有している。下部構造部310には図示されていない底部に免震装置が設置され、上部構造部320は図示されていない免震装置に支持されている。ダンパー100は、下部構造部310の外周部から延びる片持梁形式のスラブ(犬走り)312と、スラブ312の下方の上部構造部320の外周上端部322と、の間に設けられている。
本変形例でも地震時に免震装置に支持された上部構造部320が、下部構造部310に対して水平方向に相対移動すると、ダンパー100の変形部118が変形することで、上部構造部320の揺れが減衰する。
(第4使用例)
図7に示す第三使用例は、集合住宅400の住宅部402と、住宅部402の内部の吹抜部410に設けられた平面視矩形状の機械式のタワー駐車場420と、の間にダンパー100が設けられている。なお、図7(B)では、ダンパー100を判り易くするため実際とは異なる向きで図示しているが、実際は図7(A)のダンパー100の向きで設置されている。また、図7は断面図であるが、断面を表すハッチングを省略している。
図7(A)に示すように、ダンパー100は、吹抜部410の壁面に設けられたプレート412に支持部材110がボルト締結されている。また、図7(C)に示すように、プレート412のボルト孔414は、長孔になっている。なお、ボルト孔414は、端面112に沿った方向と直交する方向を長手方向とする長孔である。
本使用例では、地震時に、例えば、住宅部402とタワー駐車場420とがY方向に相対移動した場合、タワー駐車場の420のX方向の両側に設けられたダンパー100の変形部118がY方向に変形することで、エネルギーが吸収され制振する。なお、このときY方向の両側に設けられたダンパー100は、長孔のボルト孔414に沿ってY方向に相対移動する。
同様に、住宅部402とタワー駐車場420とがX方向に相対移動した場合、タワー駐車場の420のY方向の両側に設けられたダンパー100の変形部118がX方向に変形することで、エネルギーが吸収され制振する。このときX方向の両側に設けられたダンパー100は、長孔のボルト孔414に沿ってY方向に相対移動する。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態及び他の使用例では、ダンパー100は横一列に並んでいたが、これに限定されるものではない。例えば、ダンパー100を上下方向に並べてもよい。言い換えると、ダンパー100を多段に配置してもよい。
また、例えば、上記実施形態のダンパー100は、鋼板をレーザーで切り出して作っているが、これに限定されるものではない。ダンパー100はダイキャストであってもよい。また、複数の部材を製造して溶接して一体化してもよい。例えば、支持部材110と変形部118とを別々に製造して溶接して一体化してもよい。また、二つのアーチ状部120を製造し、頂部122同士を溶接してもよい。或いは、頂部122同士は、溶接でなくボルト締結であってもよい。また、アーチ状部120は、丸棒を曲げて製造してもよい。また、アーチ状部120の断面は矩形でなく、真円や楕円であってもよい。
また、例えば、上記実施形態では、ダンパー100の変形部118は、半径が同じ半円形状のアーチ状部120の頂部122同士が繋がって形状であったが、これに限定されるものではない。例えば、変形部は半径が異なる半円状のアーチ状部の頂部同士が繋がった形状であってもよい。或いは、アーチ状部は、楕円形や二次曲線状等の円弧状であってもよいし、多角形状であってもよい。
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。複数の実施形態及び変形例等は、適宜、組み合わされて実施可能である。
100 ダンパー
110 支持部材
112 端面
118 変形部
120 アーチ状部
122 頂部
124 根本部

Claims (3)

  1. 同一面上に間隔をあけて端面が平行に配置された二つの支持部材と、
    前記支持部材の前記端面から前記同一面上にアーチ状に延びて設けられたアーチ状部の頂部同士がつながった変形部と、
    を備えたダンパー。
  2. 前記アーチ状部は、半円形状である、
    請求項1に記載のダンパー。
  3. 前記アーチ状部の根本部が、他の部位よりも拡幅されている、
    請求項1又は請求項2に記載のダンパー。
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