JP2011220074A - 塔状構造物の制震構造 - Google Patents

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晴幸 金山
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Abstract

【課題】支持構造体と被支持構造体とを有する塔状構造物の制震性能を向上させることができる制震構造を提供する。
【解決手段】本発明の塔状構造物の制震構造は、支持構造体2と、支持構造体2によって支持される被支持構造体3とを備えた制震構造であり、被支持構造体3の基部に免震装置5を備えるとともに、被支持構造体3が少なくとも1つの復元装置20及び振動エネルギー吸収装置21とを介して支持構造体2に連結されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄塔構造や外筒構造で水平支持される煙突筒身や排気筒などの塔状構造物の制震構造に関する。
従来、鉄塔や外筒などの剛性の高い支持構造体と、この支持構造体によって支持される煙突筒身や排気筒などの構造体(被支持構造体)間の複数の水平支持材の代わりに、オイルダンパーや鋼材ダンパーなどの振動エネルギー吸収装置を配置する制震構造が知られている(例えば特許文献1を参照)。
実開昭62−199468号公報
このような制震構造は、支持構造体と被支持構造体とで固有周期や振動モードなどの振動特性が異なるため、地震外力が作用すると両構造体はそれぞれ異なる挙動を呈し、両構造体間に配置した振動エネルギー吸収装置が作動し、振動エネルギーを吸収する。その結果として両構造体の地震応答が低減する効果が得られるが、その効果の程度は、支持構造体と被支持構造体の振動特性やエネルギー吸収装置の特性、配置方法等に大きく依存する。このため、支持構造体及び被支持構造体の振動特性やエネルギー吸収装置の特性、配置方法等の条件によっては上記効果が十分に発揮されず、制震性能が不足する場合があった。また、制震性能が支持構造体又は被支持構造体の一方に偏り、もう一方が十分に制震されない場合があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、支持構造体と被支持構造体とを有する塔状構造物の制震性能を向上させることができる制震構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の塔状構造物の制震構造は、支持構造体と、前記支持構造体によって支持される被支持構造体とを備えた塔状構造物の制震構造であって、前記被支持構造体の基部に免震装置を備えるとともに、前記支持構造体の所定位置において、前記被支持構造体が少なくとも1つの復元装置及び振動エネルギー吸収装置とを介して前記支持構造体に連結されていることを特徴とする。
本発明によれば、被支持構造体の固有周期は免震装置により長周期化されるため、地震の揺れに追随せず、入力される地震力(慣性力=質量×加速度)が低減する。一方、支持構造体には地震力はそのまま入力されるが、免震装置を備えた被支持構造体とは振動特性が大きく異なるため、所定位置に設置した振動エネルギー吸収装置が確実に作動し、振動エネルギーを吸収して支持構造体及び被支持構造体の両者の揺れを低減することができる。また基部に免震装置を備えた被支持構造体は柔構造になるが、被支持構造体が復元装置を介して支持構造体に支持されることにより、被支持構造体の倒れこみを抑制することができると共に、免震装置に作用する転倒モーメントの発生を抑制することができる。さらに強風時は、被支持構造体に作用する風荷重を、前記復元装置を介して支持構造体に伝達させることで、被支持構造体の変形を抑制することができる。
また、本発明の塔状構造物の制震構造は、前記復元装置及び前記振動エネルギー吸収装置の少なくとも一端が前記支持構造体の頂部又は前記被支持構造体の頂部に連結されていることを特徴とする。
本発明によれば、被支持構造体の変位の大きい部位に前記復元装置及び前記振動エネルギー吸収装置が配置されるため、より効果的に被支持構造体の揺れを低減することができる。
また、本発明の塔状構造物の制震構造は、前記被支持構造体が前記支持構造体に対して相対的に所定距離水平移動した場合にストッパー部材を介して前記支持構造体と連結されることにより、前記支持構造体に対する前記被支持構造体の水平移動を規制するストッパー機構が、前記搭状構造物の高さ方向の少なくとも一箇所以上に配置されていることを特徴とする。
本発明の塔状構造物の制震構造によれば、強風時の風荷重により前記被支持構造体の基部に備えた免震装置が水平変形もしくは水平移動し、前記被支持構造体全体が所定距離水平方向にスライドした場合に、前記被支持構造体が前記ストッパー部材を介して前記支持構造体と連結され、前記被支持構造体の風荷重が前記支持構造体に伝達されるため、前記被支持構造体全体のスライド変形ならびに前記被支持構造体自身の変形や倒れを抑制することができる。
また、本発明の塔状構造物の制震構造は、前記振動エネルギー吸収装置が、前記被支持構造体が移動した際に、伸び側の振動エネルギー吸収装置と縮み側の振動エネルギー吸収装置とが1組以上となるように、1組以上配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、被支持構造体を中心に前後および左右に1組以上の振動エネルギー吸収装置を設置すると、1組の振動エネルギー吸収装置には伸びる振動エネルギー吸収装置と縮む振動エネルギー吸収装置が必ずあるため、振動エネルギー吸収装置の伸縮方向と被支持構造体の振動方向に違いが生じた場合であっても安定した減衰特性を得ることができる。
また、本発明の塔状構造物の制震構造は、前記復元装置は、前記被支持構造体が移動した際に、伸び側の復元装置と縮み側の復元装置とが1組となるように、1組以上配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、被支持構造体を中心に前後および左右に1組以上の復元装置を設置すると、1組の復元装置には伸びる復元装置と縮む復元装置が必ずあるため、復元装置の伸縮方向と被支持構造体の振動方向に違いが生じた場合であっても安定した復元特性を得ることができる。
また、本発明の塔状構造物の制震構造は、前記振動エネルギー吸収装置としてオイルダンパーが用いられることを特徴とする。
本発明によれば、オイルダンパーからなる振動エネルギー吸収装置を複数配置することで、振動エネルギー吸収装置の伸縮方向と被支持構造体の振動方向に違いが生じた場合であっても安定した減衰特性を得ることができる。また、オイルダンパーにはピストン速度に応じた減衰力が生じるが、ピストンロッド、シリンダーなどの構成部材は、オイルダンパーの最大減衰力をはるかに上回る強度を有している。このため、ピストンロッドが伸びきった後や、最大限度にシリンダーに押込まれた後は、オイルダンパーは、それ以上の相対変位を拘束する能力があり、支持構造体と被支持構造体とを確実に連結することができる。
また、本発明の塔状構造物の制震構造は、前記復元装置がコイルばねから構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、コイルばねからなる復元装置を複数設置することで、復元装置の伸縮方向と被支持構造体の振動方向に違いが生じた場合でも安定した復元力特性を得ることができる。また、コイルばねの荷重・変形特性は、鋼材等に比べ、大きな変形に到るまで線形性が保たれ、しかも、許容できるばねの振幅分コイルばねが縮むとコイルばねは密着し、それ以上の相対変位を拘束することができるため、支持構造体と被支持構造体を確実に連結することができる。
本発明の塔状構造物の制震構造によれば、支持構造体と被支持構造体とを備えた塔状構造物の制震性能を向上させることができる。
図1は、本実施の形態に係る塔状構造物の制震構造の概略構成図である。 図2−1は、図1に示した搭状構造物の頂部付近における概略構成の一例を示す平面図である。 図2−2は、図1に示した搭状構造物の頂部付近における概略構成の他の例を示す平面図である。 図3−1は、図1に示した搭状構造物を所定の高さ位置で水平方向に切断した断面図である。 図3−2は、図3−1のA−A線立面図である。 図4−1は、図2−1に示した搭状構造物の被支持構造体の振動方向と復元装置の伸縮方向とが異なる場合の復元装置の挙動を表した図である。 図4−2は、図4−1に示す被支持構造体の移動量に対する復元装置の伸び側角度と縮み側角度の具体的な数値を示した図表である。 図5−1は、制震性能の検討で、図1に示した制震構造を低次元化してモデル化した概念図である。 図5−2は、図5−1に示したモデル諸元を説明する図表である。 図6−1は、制震性能の検討で、従来の制震構造を低次元化してモデル化した概念図である。 図6−2は、図6−1に示したモデル諸元を説明する図である。 図7は、図5−1のモデルと図6−1のモデルの変位応答倍率を示したグラフである。 図8は、図5−1のモデルと図6−1のモデルの絶対加速度応答倍率を示したグラフである。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施の形態に係る塔状構造物の制震構造の概略構成図であり、図2−1は、図1に示した搭状構造物の頂部付近における概略構成の一例を示す平面図である。本実施の形態に係る制震構造100で適用対象となる塔状構造物1は、支持構造体2と、支持構造体2によって支持される被支持構造体3とを備えている。支持構造体2は、例えば鉄塔や鋼製外筒等の構造体であり、被支持構造体3の周りを取り囲むように設置される。支持構造体2は、図1及び図2−1に示すように、4本の柱材13aと、柱材13a間に所定の間隔で水平に架け渡された水平材13bと、水平材13b間に斜めに架け渡された斜材13cとからなるトラス型の鉄塔である。
被支持構造体3は、支持構造体2によって支持される煙突筒身や排気筒等であり、図1に示される例では円筒形状をなしている。被支持構造体3と基礎4との間には免震装置5が設置され、この免震装置5によって被支持構造体3が支持されている。免震装置5は、地震や振動によるエネルギーを吸収又は減少させる機能を有する装置であり、荷重を支持し水平方向にスライド機能をもつ支承10と、復元機能をもつばね11と、減衰機能をもつダンパー12とを備えている。図1に示すように、支持構造体2の頂部6において、被支持構造体3は、復元装置20及び振動エネルギー吸収装置21によって支持構造体2と連結されている。
本実施の形態では、復元装置20として、相対変位に比例する力を発揮する線形ばねのひとつであるコイルばねを用いるとともに、振動エネルギー吸収装置21としてオイルダンパーを用いている。ここで、オイルダンパーとは、たとえば、シリンダー内に封入されたオイル等の液体中でピストンを移動させ、ピストンに設けられたオリフィスを通してオイルを流動させる事によって流体減衰を発揮させるものである。以下では、復元装置20をコイルばね20とし、振動エネルギー吸収装置21をオイルダンパー21として説明する。
図2−1に示すように、複数のコイルばね20及び複数のオイルダンパー21とは、被支持構造体3を中心に支持構造体2の各柱材13aに向けて放射状にそれぞれ配置され、これらのコイルばね20及びオイルダンパー21によって被支持構造体3が支持構造体2に連結されている。すなわち、図2−1に示すように、被支持構造体3を中心に、被支持構造体3の平面視での前後、左右にそれぞれ1組のコイルばね20とオイルダンパー21とが配置されている。なお、図2−1では、説明の便宜上、各コイルばね20をコイルばね20a,20b,20c,20dとし、各オイルダンパー21をオイルダンパー21a,21b,21c,21dとしている。より詳細には、被支持構造体3の中心は、支持構造体2の4本の柱材13aを頂点とする長方形の対角線の交点O上に位置している。支持構造体2及び被支持構造体3に振動が加えられていない状態及び風等による静荷重を受けていない状態では、各柱材13aと被支持構造体3との距離は同じである。図2−1に示す例では、4つのコイルばね20a〜20dとオイルダンパー21a〜21dとによって、被支持構造体3が支持構造体2に連結されている。より詳細には、被支持構造体3の中心O(柱材13aを頂点とする長方形の対角線の交点O)を通り、互いに直交する2本の軸X,Yを考えた場合、コイルばね20a〜20d及びオイルダンパー21a〜21dは、X軸に対して軸対称であり且つY軸に対して軸対称となるように配置されている。
なお、図2−1では、4つのコイルばね20a〜20dと4つのオイルダンパー21a〜21dを配置した構成としたが、コイルばね20とオイルダンパー21の配置数はこれに限定されるものではなく、支持構造体2の柱材13aの本数等に応じて適宜変更することができる。例えば、支持構造体2の柱材13aが3本である場合には、コイルばね20及びオイルダンパー21の配置数はそれぞれ3つずつとなる。また、図示は省略するが、支持構造体2が外筒の場合においても、コイルばね20とオイルダンパー21の配置数は限定されるものではなく、例えば外筒の内壁に所定の間隔をあけてコイルばね20とオイルダンパー21とを配置すればよい。
図2−2は、図1に示した搭状構造物の頂部付近における概略構成の他の例を示す平面図である。図2−2に示す例では、被支持構造体3から放射状に4本の片持ち梁14が張り出している。各片持ち梁14は、被支持構造体3の円周方向に沿って90°の間隔をあけて均等に張り出しており、各片持ち梁14の端部は、それぞれ支持構造体2の柱材13a,13a間の中心に位置している。各片持ち梁14と支持構造体2の各柱材13aとの間には、コイルばね20及びオイルダンパー21が配置され、各片持ち梁14と支持構造体2の柱材13aとがコイルばね20とオイルダンパー21によって連結されている。すなわち、図2−2に示す例では、8個のコイルばね20及びオイルダンパー21を介して、被支持構造体3が支持構造体2に支持されている。なお、図2−2では、説明の便宜上、8個の各コイルばね20をコイルばね20e,20f,20g,20h,20i,20j,20k,20mとし、各オイルダンパー21をオイルダンパー21e,21f,21g,21h,20i,20j,20k,20mとしている。図2−2に示す例においても図2−1に示した例と同様に、被支持構造体3の中心Oを通り、互いに直交する2本の軸X,Yを考えた場合に、コイルばね20e〜20m及びオイルダンパー21e〜21mはX軸とY軸との両方に対して軸対称となるように配置される。
次に、上記構成を有する制震構造100の作用について説明する。本実施の形態の制震構造100が地震に遭遇すると、被支持構造体3の固有周期は、免震装置5により本来の固有周期に比べ更に長周期化するため、地震の揺れに追随しなくなり、入力される地震力が低減する。これは、地面から被支持構造体3に伝達される力が、免震装置5のばね11の変形に比例する力と、免震装置5のダンパー12の速度に比例する力とに限定されるためである。一方、支持構造体2には地震力がそのまま加わるが、高剛性の支持構造体2と免震装置5を備えた被支持構造体3とでは、固有周期や振動モードなどの振動特性が大きく異なるため、支持構造体2と被支持構造体3とはそれぞれ異なる挙動を呈する。このため、オイルダンパー21に作用する速度が増幅し、支持構造体2と被支持構造体3との間に設置したオイルダンパー21を確実に作動させることができる。オイルダンパー21が作動すると、振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて吸収されるため、支持構造体2と被支持構造体3の両者の揺れを抑制することができる。
ただし、オイルダンパー21は速度に比例する力には対抗できるが、速度のない静的な力には対抗できない。このため風荷重などの静的な力に対しては、支持構造体2と被支持構造体3との間に設置したコイルばね20が相対変位に比例する力で対抗し、被支持構造体3に加わった風荷重を支持構造体2に伝達させることができる。その結果として、風荷重など静的な力に対しても被支持構造体3の変形を抑制することができる。また、免震装置5を備えた被支持構造体3は柔構造になるが、被支持構造体3がコイルばね20を介して支持構造体2に支持されることにより、柔構造化した被支持構造体3の傾きによる倒れなどを支持構造体2に伝えて支持させる役割をはたすことができる。
なお、オイルダンパー21にはピストン速度に応じた減衰力が生じるが、ピストンロッド、シリンダーなどの構成部材は、オイルダンパーの最大減衰力をはるかに上回る強度を有している。このためピストンロッドが伸びきった後や、最大限に押込まれた後は、オイルダンパー21は、それ以上の相対変位を拘束する能力を有しており、支持構造体2と被支持構造体3との間を一定の間隔で保持することができる。
また、コイルばね20は、予め所定のプレテンション又はプレロードをかけて被支持構造体3と支持構造体2との間に配置される。被支持構造体3に振動が加わると被支持構造体3はある振幅で振動するが、この振幅の最大値を予め設定しておき、当該最大値以上に被支持構造体3が振動した場合に、それ以上コイルばね20が伸縮するのを拘束してもよい。これにより、コイルばね20は、支持構造体2と被支持構造体3の間を一定の間隔で保持することができる。例えば、コイルばね20として密着コイルばねを用い、密着コイルばねにプレテンションをかけて被支持構造体3と支持構造体2との間に配置した場合、上記最大値以上に被支持構造体3が振動することにより密着コイルばねは密着する。その結果、支持構造体2と被支持構造体3との間は一定の間隔で保持される。
さらに、上述したコイルばね20及びオイルダンパー21に加えて、以下に説明するストッパー機構7を搭状構造物1に設置することで、風荷重などの静的な力に対する被支持構造体3の変形をさらに抑制することができる。図3−1は、図1に示した搭状構造物1を所定の高さ位置で水平方向に切断した断面図であり、図3−2は、図3−1のA−A線立面図である。図3−1に例示されるストッパー機構7は、支持構造体2の所定の高さ位置において隣接する柱材13a同士を連結する4本の水平材13bと、被支持構造体3から放射状に張り出す4本の片持ち梁15と、各水平材13b上に配置される8個の束材(ストッパー部材)17とを備えている。
被支持構造体3から張り出す各片持ち梁15は、それぞれ支持構造体2の柱材13a間を連結する水平材13bに対して直交するように配置されている。また、各片持ち梁15は、水平材13bとの間にわずかな隙間をあけた状態で、水平材13bの上方を交差するように配置されている。束材17は、水平材13b上において、片持ち梁15から所定距離(以下「クリアランス16」とよぶ)を採って、片持ち梁15の両側に1つずつ取り付けられている。図3−1に示すように、束材17は、水平面内における直交する二方向への片持ち梁15の移動を規制するストッパー部材としての機能を有している。クリアランス16は、地震時に生じる被支持構造体3と支持構造体2との相対変位を超える広さ(距離)に設定されている。
また、片持ち梁15が水平材13bの上方を交差して張り出した長さは、クリアランス16より長くなっている。すなわち、支持構造体2と被支持構造体3が動かない通常の状態では、支持構造体2と被支持構造体3とは切離されているが、例えば被支持構造体3がクリアランス16分だけ水平移動すると、被支持構造体3から張り出した片持ち梁15が、支持構造体2の水平材13bに取り付けた束材17に接触し、これにより被支持構造体3の水平移動が規制されるようになっている。上記のように構成されるストッパー機構7は、搭状構造物1の高さ方向の少なくとも一箇所以上に設置されるのが好ましい。
次に、上記構成を有するストッパー機構7の作用について説明する。図3−1及び図3−2に示すクリアランス16として、上記のように地震時に支持構造体2と被支持構造体3との間に生じる相対変位を超える広さ(距離)を採ると、地震時の被支持構造体3は、支持構造体2から切離された状態が維持される。このため、地震時において被支持構造体3の固有周期は免震装置5により確実に長周期化され、地震の揺れに追随しなくなり、入力される地震力が低減する。一方、支持構造体2には地震力がそのまま加わるが、被支持構造体3とは図1に示すようにコイルばね20とオイルダンパー21のみで連結され、他の箇所での連結がないため、被支持構造体3とは振動特性が大きく異なることになり、オイルダンパー21が確実に作動して、支持構造体2と被支持構造体3の両者の揺れを抑制することができる。
一方、風荷重などの静的な力によって被支持構造体3の基部に備えた免震装置5が水平方向に変形又は移動した場合、被支持構造体3は基部より全体が水平にスライドするが、クリアランス16の広さ(距離)だけスライドすると片持ち梁15が束材17に接触することにより、被支持構造体3に作用した静的力が支持構造体2に伝達される。その結果、被支持構造体3全体のスライド変形をさらに抑制することができる。この場合、スライド変形の大半は免震装置5の水平変形が占めるため、ストッパー機構7を搭状構造物1の高さ方向に複数箇所備えることで、被支持構造体3自身の変形や倒れを効果的に抑制することができる。
図4−1は、図2−1に示した搭状構造物の被支持構造体の振動方向とコイルばねの伸縮方向とが異なる場合のコイルばねの伸縮状況を表した図である。図4−1において、4本のコイルばね20a〜20dは、支持構造体2及び被支持構造体3に振動が加えられていない状態及び風等による静荷重がかけられていない状態(以下、通常状態とよぶ)において、破線で示すようにそれぞれ取付け長Lで被支持構造体3と柱材13aとの間に配置されている。図4−1では、被支持構造体3が、破線で示した通常状態の位置からコイルばね20に対し45°の角度でΔだけ相対移動した場合の伸び側のコイルばね20a,20b及び縮み側のコイルばね20c,20dの変形状態が示されている。また、図4−2は、図4−1に示す被支持構造体3の移動量Δに対する伸び側のコイルばね20bの角度(伸び方向角度)と縮み側のコイルばね20dの角度(縮み方向角度)の具体的な数値例を示した図表である。ここで、伸び方向角度と縮み方向角度とは、被支持構造体3の移動方向と、それに伴い伸長あるいは収縮するコイルばね20b,20dの方向とのなす角度である。
上記条件におけるコイルばね20b,20dの伸縮状況について以下に説明する。図4−1に示すように被支持構造体3の相対移動方向とコイルばね20b,20dの伸縮方向とが異なる場合、被支持構造体3が一定量のΔだけ移動するのに対し、伸び側のコイルばね20bの伸び量と縮み側のコイルばね20dの縮み量とは異なってくる。これは、被支持構造体3の相対移動に対し、伸び側のコイルばね20bの伸び方向角度Aと縮み側のコイルばね20dの縮み方向角度Bとが異なるためであり、被支持構造体3の移動量Δが大きくなるほどその差は大きくなる。しかし、図4−2に示すように、例えば被支持構造体3の移動量Δが10cm、15cm、20cm、25cm、30cmである場合、各移動量Δにおいて伸び方向角度Aと縮み方向角度Bとを平均すると、移動前の角度である45°にほぼ一致する。
すなわち、本実施の形態では、被支持構造体3を中心に複数のコイルばね20が設置されるが、各コイルばね20は、任意の方向に被支持構造体3が変位したときに略同等の力を受けるように対称性よく配置されている。たとえば、図2−1に示すように、被支持構造体3の中心Oを通り、互いに直交する2本の軸X,Yを考えた場合、コイルばね20a〜20dは、X軸とY軸との両方に対して軸対称となるように配置されている。その結果、コイルばね20a〜20dの伸び方向角度Aと縮み方向角度Bの角度の変化の差異が相殺されるため、どの方向に変位しても同等の復元力を得ることができ、安定したばね特性を得ることができる。
図4−1ではコイルばね20a〜20dを例として説明したが、オイルダンパー21a〜21dについても同じであり、複数のオイルダンパー21a〜21dは、任意の方向に被支持構造体3が変位したときに略同等の力を受けるように対称性よく配置されている。そのため、オイルダンパー21a〜21dの伸縮方向と被支持構造体3の振動方向に違いが生じた場合でも、同等の減衰力を得ることができ、安定した減衰特性を得ることができる。
[制震性能の検討]
次に、上述した制震構造の制震性能について説明する。鉄塔(支持構造体2)で支持された煙突筒身(被支持構造体3)を例に、本実施の形態の制震構造と従来の制震構造の周波数伝達特性を求め、以下のように比較して制震性能を検討した。
(1)検討モデル
図5−1は、本検討を行うにあたって本実施の形態の制震構造をモデル化した図であり、図5−2は、図5−1に示したモデル諸元を説明する図表である。図5−1においてM1は支持構造体2である鉄塔の頂部高さで基準化した1次振動の一般化質量であり、K1は自立した鉄塔の1次振動数fs1=1.3Hzと上記M1とから算定した等価剛性である。C1は、鉄塔の1次の減衰定数hs1=0.02と上記M1、K1から算定した等価減衰係数である。また、M2は被支持構造体3である筒身の頂部高さで基準化した1次振動の一般化質量であり、K2は筒身の1次振動数fc1=0.3Hzと上記M2とから算定した等価剛性である。C2は、筒身の1次の減衰定数hc1=0.02と前記M2、K2から算定した等価減衰係数である。また、M3は、筒身の基部に設けた免震装置5における支承10の基盤の質量であり、5m×5m×1mのRC造と仮定したものである。K3は免震装置5の水平ばね定数で、上記M2+M3の質量に対し免震振動数fa1=0.15Hzとして算定したものである。C3は免震装置の減衰係数であり、M2+M3とK3とからなる振動系の減衰定数をha1=0.3として算定したものである。
図6−1は、従来の制震構造をモデル化した図であり、図6−2は、図6−1に示したモデル諸元を説明する図である。図6−1において、M1,K1,C1は、図5の鉄塔モデルと同じであり、M2,K2,C2は、図5の筒身モデルと同じである。
(2)検討方法
図5−1のM1とM2との間には、ばね定数K12のコイルばね20と減衰係数C12のオイルダンパー21を1組配置し、また、図6−1のM1とM2との間には、減衰係数C12のオイルダンパー21を1つ配置した。そして、周波数の異なる正弦波地動に対するM1、M2の変位応答倍率と絶対加速度応答倍率を求めた。また、条件としてM1とM2の最大変位応答倍率がほぼ同じレベルになるK12,C12を選定するものとし、鉄塔と筒身の両者に対し同等の制震性能が生じる状態をベースとした。ここで、変位応答倍率とは、地動最大変位に対する支持構造体2の最大変位の倍率及び被支持構造体3の最大変位の倍率である。また、加速度応答倍率とは、地動最大加速度に対する支持構造体2の絶対加速度最大値(地動加速度+応答加速度の最大値)の倍率及び被支持構造体3の絶対加速度最大値の倍率である。
(3)検討結果
地動に対する鉄塔(支持構造体2)と筒身(被支持構造体3)の変位応答倍率と地動振動数との関係を、本実施の形態の制震構造と従来の制震構造とを比較して図7に示す。また、地動に対する鉄塔と筒身の絶対加速度応答倍率と地動振動数との関係を図8に示す。
図7に示されるように、本実施の形態の制震構造による鉄塔及び筒身の最大変位応答倍率は、従来の制震構造による鉄塔及び筒身の最大変位応答倍率の最大値に比べて低減している。また、図8に示されるように、本実施の形態の制震構造による鉄塔及び筒身の最大加速度応答倍率は、従来の制震構造による鉄塔及び筒身の最大加速度応答倍率に比べて低減している。以上より、本実施の形態の制震構造は、従来の制震構造と比べて制震性能が向上することが分かる。
以上説明したように、本実施の形態に係る塔状構造物の制震構造によれば、被支持構造体3は免震装置5により長周期化されるため、地震の揺れに追随せず、入力される地震力(慣性力=質量×加速度)が低減する。一方、支持構造体2には地震力はそのまま入力されるが、免震装置5を備えた被支持構造体3とは振動特性が大きく異なるため、支持構造体2の頂部6に設置した振動エネルギー吸収装置21が確実に作動し、振動エネルギーを吸収して支持構造体2と被支持構造体3の両者の揺れを低減できる。また、基部に免震装置5を備えた被支持構造体3は柔構造になるが、復元装置20を介して被支持構造体3の頂部付近が支持構造体2によって支持されることから、被支持構造体3の倒壊を抑制することができると共に、免震装置5に作用する転倒モーメントの発生を抑制することができる。さらに強風時は、被支持構造体3に作用する風荷重が、復元装置20を介して支持構造体2に伝達され、被支持構造体3の変形を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る塔状構造物の制震構造では、支持構造体2が被支持構造体3の周りを取り囲むように設置されるとともに、振動エネルギー吸収装置21をオイルダンパーで構成し、被支持構造体3を中心に平面視で前後及び左右に1組以上のオイルダンパー21を配置している。
このように、被支持構造体3を中心に前後および左右に1組以上のオイルダンパー21を設置すると、1組のオイルダンパー21には伸びるオイルダンパーと縮むオイルダンパーが必ずあるため、振動エネルギー吸収装置の伸縮方向と被支持構造体3の振動方向に違いが生じた場合であっても安定した減衰特性を得ることができる。また、オイルダンパー21にはピストン速度に応じた減衰力が生じるが、ピストンロッド、シリンダーなどの構成部材は、最大減衰力をはるかに上回る強度を有している。このため、ピストンロッドが伸びきった後や、最大限度にシリンダーに押込まれた後は、それ以上の相対変位を拘束する能力があり、支持構造体2と被支持構造体3とを確実に連結することができる。
たとえば、図2−1において、被支持構造体3が左側に移動した場合には、左上の縮み側オイルダンパー21dと、それに対向する右下の伸び側オイルダンパー21bとが組となり、左下の縮み側オイルダンパー21cと、それに対向する右上の伸び側オイルダンパー21aとが組となる。また、たとえば、図2−1において、被支持構造体3が上側に移動した場合には、左上の縮み側オイルダンパー21dと、それに対向する右下の伸び側オイルダンパー21bとが組となり、右上の縮み側オイルダンパー21aと、それに対向する左下の伸び側オイルダンパー21cとが組となる。その結果、オイルダンパー21a〜21dの伸縮方向と被支持構造体3の振動方向に違いが生じた場合でも安定した復元力特性を得ることができる。
また、たとえば、図2−2において、被支持構造体3が左側に移動した場合には、左上の縮み側オイルダンパー21mと、このオイルダンパー21mが連結される片持ち梁14を挟んで対向する(すなわち被支持構造体3の移動方向の直線上に配置された)右上の伸び側オイルダンパー21eとが組となり、左下の縮み側オイルダンパー21iと、このオイルダンパー21iが連結される片持ち梁14を挟んで対向する右下の伸び側オイルダンパー21hとが組となる。また、たとえば、図2−2において、被支持構造体3が上側に移動した場合には、左上の縮み側オイルダンパー21kと、このオイルダンパー21kが連結される片持ち梁14を挟んで対向する左下の伸び側オイルダンパー21jとが組となり、右上の縮み側オイルダンパー21fと、このオイルダンパー21fが連結される片持ち梁14を挟んで対向する右下の伸び側オイルダンパー21gとが組となる。その結果、オイルダンパー21e〜21mの伸縮方向と被支持構造体3の振動方向に違いが生じた場合でも安定した復元力特性を得ることができる。
また、本実施の形態に係る塔状構造物の制震構造では、支持構造体2が被支持構造体3の周りを取り囲むように設置されるとともに、復元装置20をコイルばねで構成し、被支持構造体3を中心に平面視で前後及び左右に1組以上のコイルバネ20を配置している。
このように、1組のコイルバネ20には伸びるコイルバネと縮むコイルバネとが必ずあるため、復元装置20の伸縮方向と被支持構造体3の振動方向に違いが生じた場合でも安定した復元力特性を得ることができる。また、コイルばね20の荷重・変形特性は、鋼材等に比べ、大きな変形に到るまで線形性が保たれ、しかも、許容できるばねの振幅分コイルばね20が縮むとコイルばね20は密着し、それ以上の相対変位を拘束することができるため、支持構造体2と被支持構造体3とを確実に連結することができる。
たとえば、被支持構造体3が図4−1に示すように左側に移動した場合には、左上の縮み側コイルばね20dと、それに対向する右下の伸び側コイルばね20bとが組となり、左下の縮み側コイルばね20cと、それに対向する右上の伸び側コイルばね20aとが組となる。また、例えば、被支持構造体3が図4−1において上側に移動した場合には、左上の縮み側コイルばね20dと、それに対向する右下の伸び側コイルばね20bとが組となり、右上の縮み側コイルばね20aと、それに対向する左下の伸び側コイルばね20cとが組となる。その結果、コイルばね20a〜20dの伸縮方向と被支持構造体3の振動方向に違いが生じた場合でも安定した復元力特性を得ることができる。
また、たとえば、図2−2において、被支持構造体3が左側に移動した場合には、左上の縮み側コイルばね20mと、このコイルばね20mが連結される片持ち梁14を挟んで対向する(すなわち被支持構造体3の移動方向の直線上に配置された)右上の伸び側コイルばね20eとが組となり、左下の縮み側コイルばね20iと、このコイルばね20iが連結される片持ち梁14を挟んで対向する右下の伸び側コイルばね20hとが組となる。また、たとえば、図2−2において、被支持構造体3が上側に移動した場合には、左上の縮み側コイルばね20kと、このコイルばね20kが連結される片持ち梁14を挟んで対向する左下の伸び側コイルばね20jとが組となり、右上の縮み側コイルばね20fと、このコイルばね20fが連結される片持ち梁14を挟んで対向する右下の伸び側コイルばね20gとが組となる。その結果、コイルばね20e〜20mの伸縮方向と被支持構造体3の振動方向に違いが生じた場合でも安定した復元力特性を得ることができる。
さらに、本実施の形態に係る塔状構造物の制震構造では、被支持構造体3が支持構造体2に対して相対的に所定距離水平移動した場合に束材17(ストッパー部材)を介して支持構造体2と連結されることにより、支持構造体2に対する被支持構造体3の水平移動を規制するストッパー機構7が、搭状構造物1の高さ方向の少なくとも一箇所以上に配置されている。具体的には、図3−1に示すように、支持構造体2の柱材13a間に架け渡される水平材13bと、水平材13bに直交する態様で被支持構造体3から張り出す片持ち梁15と、水平材13b上において、片持ち梁15と所定のクリアランス16を採った位置に取り付けられる束材17とを有するストッパー機構7が、搭状構造物1の高さ方向の少なくとも一箇所以上に配置されている。
このように、被支持構造体3と支持構造体2との間にストッパー機構7を設けることで、静的風荷重により被支持構造体3の基部に備えた免震装置5が水平移動し、被支持構造体3全体が水平にスライドした場合に、被支持構造体3から張り出す片持ち梁15が水平材13b上の束材17に接触して、被支持構造体3の風荷重が支持構造体2に伝達されるため、被支持構造体3全体のスライド変形ならびに被支持構造体3自身の変形や倒れを抑制することができる。また、クリアランス16を地震時に生じる被支持構造体3と支持構造体2との相対変位を超える広さにすることで、地震時の被支持構造体3の免震装置5による長周期化を保持できるため、制震性能を確保することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば本実施の形態では、免震装置5を、荷重を支持し水平方向にスライド機能をもつ支承10と、復元機能をもつばね11と、減衰機能をもつダンパー12とで構成したが、これに替えて、これらの機能を全て有する鉛プラグ入り積層ゴムを免震装置5として用いることもできる。また支承機能と復元機能を併せ持つ天然ゴム系積層ゴムとオイル系ダンパーや鋼材系ダンパーとを組み合わせたものを免震装置5として用いることもできる。さらに、引き抜き力に対抗できるレール式スライダーを2方向に組合せ、支承としてもよいし、コロやベアリングを支承とし、引き抜き力に対抗する装置を別途設けてもよい。
また、本実施の形態では、復元装置20として、相対変位に比例する力を発揮する線形ばねの一つであるコイルばねを用いたが、板ばね等の他の線形ばねを用いてもよく、また、非線形のばねであっても、変形が大きくなると降伏する等の特性が設計的に信頼できるものであれば、復元装置20として用いてもよい。
また、本実施の形態では、振動エネルギー吸収装置21として、速度に比例する力に対向できるオイルダンパーを用いたが、速度のべき乗に力が比例するダンパーを用いてもよい。また、粘性系ダンパーとしては、オイルダンパーの他に、粘性ダンパーや粘弾性ダンパー等を用いてもよい。また、所定荷重に達すると荷重・変形特性が変化する鋼材ダンパー、鉛ダンパー等の履歴系ダンパー又は摩擦系ダンパー等を用いてもよく、その特性が設計的に信頼できるものであれば、これらを振動エネルギー吸収装置21として用いてもよい。
また、本実施の形態では、支持構造体2の頂部6において、被支持構造体3が復元装置20と振動エネルギー吸収装置21とを介して支持構造体2に連結されている構成としたが、必ずしも支持構造体2の頂部6である必要はなく、支持構造体2において頂部6よりも下方位置に復元装置20及び振動エネルギー吸収装置21を配置し、この復元装置20と振動エネルギー吸収装置21とを介して被支持構造体3を支持構造体2に連結してもよい。本実施の形態では、支持構造体2の頂部6のみで被支持構造体3を支持した構成としたが、支持構造体2の複数箇所に同様にして復元装置20及び振動エネルギー吸収装置21を配置し、複数箇所で被支持構造体3を支持してもよい。
また、本実施の形態では、被支持構造体3から片持ち梁15を支持構造体2の水平材13bに対し直交するように張り出し、支持構造体2の水平材13bには、それぞれ片持ち梁15から一定のクリアランス16を採って、片持ち梁15の左右の位置に1組の束材17を取り付けることでストッパー機構7を構成したが、支持構造体2から片持ち梁15を張り出し、被支持構造体3側に束材17を取り付けることでストッパー機構7を構成してもよい。すなわち、支持構造体2に対して被支持構造体3が相対的にクリアランス16分だけ水平移動するとストッパーとしての役割をはたすことができる構成であれば、本実施の形態に限定するものではない。
1 搭状構造物
2 支持構造体
3 被支持構造体
5 免震装置
6 頂部
7 ストッパー機構
10 免震装置の支承
11 免震装置のばね
12 免震装置のダンパー
13a 柱材
13b 水平材
14 片持ち梁
15 片持ち梁
16 クリアランス
17 束材(ストッパー部材)
20 復元装置
20a,20b,20c,20d コイルばね(復元装置)
20e,20f,20g,20h,20i,20j,20k,20m コイルばね(復元装置)
21 振動エネルギー吸収装置
21a,21b,21c,21d オイルダンパー(振動エネルギー吸収装置)
21e,21f,21g,21h,21i,21j,21k,21m オイルダンパー(振動エネルギー吸収装置)
100 制震構造

Claims (7)

  1. 支持構造体と、前記支持構造体によって支持される被支持構造体とを備えた塔状構造物の制震構造であって、
    前記被支持構造体の基部に免震装置を備えるとともに、前記被支持構造体が少なくとも1つの復元装置及び振動エネルギー吸収装置とを介して前記支持構造体に連結されていることを特徴とする塔状構造物の制震構造。
  2. 前記復元装置及び前記振動エネルギー吸収装置の少なくとも一端が前記支持構造体の頂部又は前記被支持構造体の頂部に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の塔状構造物の制震構造。
  3. 前記被支持構造体が前記支持構造体に対して相対的に所定距離水平移動した場合にストッパー部材を介して前記支持構造体と連結されることにより、前記支持構造体に対する前記被支持構造体の水平移動を規制するストッパー機構が、前記搭状構造物の高さ方向の少なくとも一箇所以上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塔状構造物の制震構造。
  4. 前記振動エネルギー吸収装置は、
    前記被支持構造体が移動した際に、伸び側の振動エネルギー吸収装置と縮み側の振動エネルギー吸収装置とが1組以上となるように、1組以上配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の塔状構造物の制震構造。
  5. 前記復元装置は、
    前記被支持構造体が移動した際に、伸び側の復元装置と縮み側の復元装置とが1組となるように、1組以上配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の塔状構造物の制震構造。
  6. 前記振動エネルギー吸収装置としてオイルダンパーが用いられることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の塔状構造物の制震構造。
  7. 前記復元装置がコイルばねから構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の塔状構造物の制震構造。

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