JP4761347B2 - 建物の制振システム。 - Google Patents

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Description

本発明は、建物の制振システムに関し、より詳しくは、塔状比が大きく、地震または風圧による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じる建物の制振システムに関する。
地震時に発生する建物の揺れを低減する方式としては、免震と制振の2種類の方式がある。免震は、地震による外力が建物へなるべく伝達しないようにする方式であり、例えば積層ゴムなどの免震装置を介して建物を支持することにより実施され、免震装置を介して支持することで、建物の水平方向の固有振動は長周期化する。しかるに、その建物が、塔状比(アスペクト比)が大きく、地震による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向に振動する建物(例えば超高層建物など)である場合には、建物の水平方向の固有振動が元々長周期であることや、免震装置が担う鉛直荷重が大きいこと、それに、地震時に建物に転倒モーメントが作用すると共に、建物が曲げ変形しやすいために、免震装置に引抜き力が作用することなどの事情により、免震装置の設計が難しい。そのため、その種の建物では、免震よりも制振を採用することが主流となっている。また、制振を採用した場合には、風圧による建物の揺れも低減することができ、このことも制振を採用する理由の1つとなっている。
制振は、地震または風圧による外力が伝達した結果生じる建物の揺れを小さく抑える方式であり、その方法としては、建物の階層間(層間)に、例えばオイルダンパなどのエネルギー吸収機構を設置し、地震時や強風時に層間変形が生じることにより、エネルギー吸収機構が建物の振動エネルギーを吸収するようにした方法や、建物の頂部または頂部近傍に、水平方向に可動に支持された可動マスを備えたマスダンパ型制振装置を設置し、そのマスダンパ型制震装置から建物に作用する制振力によって建物の揺れを抑えるようにした方法があり、更には、これら2つの方法が併用されることもある。ただし、上述したような、塔状比が大きく、地震または風圧による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向に振動するような建物では、剪断変形としての各層の層間変形が小さいため、エネルギー吸収機構を層間に設置する方法では、建物の揺れを抑える制振効果が発揮され難くなる。これを模式図で示したのが図5(A)及び(B)である。図5(A)に示した建物50は、地震時などに、剪断変形が卓越する振動モードで固有振動を生じる建物であり、層間に設置したエネルギー吸収機構52が大きく伸縮するために、大きな制振効果が発揮される。一方、図5(B)に示した建物50は、曲げ変形が卓越する振動モードで固有振動を生じる建物であり、層間に設置したエネルギー吸収機構52の伸縮が小さく、そのため大きな制振効果を得ることができない。
これに対して、図6(A)に示したような、建物60の頂部ないし頂部近傍に、水平方向に可動に支持した可動マスを備えたマスダンパ型制振装置62を設置する方法では、建物60の固有振動の振動モードが、曲げ変形が卓越するものであっても、そのこと自体は問題にならない。マスダンパ型制振装置としては、パッシブ・マスダンパ、アクティブ・マスダンパ、それにハイブリッド・マスダンパなどの様々な形式のものが公知となっているが、それらはいずれも、基本的な構成要素として、図6(B)に示したように、建物に対して相対的に水平方向に可動に支持された可動マスMと、この可動マスMと建物とを連結するばね部材Kと、この可動マスMと建物とを連結するオイルダンパなどの減衰装置Dとを備えている。可動マスMは、多くの場合、水平方向に一次元的に、即ち直線移動するように支持されているが、なかには、水平面内を二次元的に移動可能に支持されているものもある。
このような構成のマスダンパ型制振装置62を用いた従来の建物の制振システムにおいては、図6(A)に示したように、マスダンパ型制振装置62を建物60の頂部ないし頂部近傍に設置する際に、その可動マスMの移動方向を、建物60の抑制しようとする揺れの方向に合わせるようにする。また、このような構成のマスダンパ型制振装置62の固有振動数は、f=2π・m1/2・k−1/2で表され、ここで、fは、マスダンパ型制振装置62の固有振動数、mは可動マスMの質量、kはばね部材Kのばね定数である。この固有振動数fは、建物60の水平方向の固有振動数に同調するように調節しておく。
地震または風圧による外力を受けて建物が水平方向の固有振動を生じたならば、パッシブ・マスダンパの場合には、その振動に共振した可動マスMが、建物に対して相対的に水平方向に振動し始める。また、アクティブ・マスダンパや、アクティブ状態にあるハイブリッド・マスダンパでは、建物の振動を感知したセンサからの信号に従って制御装置が駆動機構を作動させ、可動マスMを振動させる。振動を始めた可動マスMから、ばね部材K及び減衰装置Dを介して、また、アクティブ・マスダンパやハイブリッド・マスダンパの場合には更に駆動機構を介して、建物へ水平方向の力が作用し、この力は反力と呼ばれている。この反力が制振力として働くことにより、建物の揺れが抑制される。このような従来のマスダンパ型制振装置を設置した建物の挙動を図6(C)及び図6(D)に模式図で示した。図6(C)は、建物60が、剪断変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じるものである場合を示し、図6(D)は、建物60が、曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じるものである場合を示している。どちらの場合も、マスダンパ型制振装置を用いることで十分な制振効果を得ることができる。
尚、図6(B)に示したマスダンパ型制振装置は、その基本的な構成を模式図として示したものであり、実際のマスダンパ型制振装置には様々な構造のものがある。従来のマスダンパ型制振装置を開示した文献としては、例えば特開平09−060339号公報などがある。
特開平09−060339号公報
以上に説明したように、建物の頂部または頂部近傍にマスダンパ型制振装置を設置する方法は、塔状比が大きく、地震または風圧による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じる建物の制振システムにも適用可能である。しかしながら、そのような建物に適用した場合には、その建物の固有振動が長周期であることが問題になる。即ち、建物の水平方向の固有振動が長周期であれば、それに同調するようにマスダンパ型制振装置の固有振動数を調節して、マスダンパ型制振装置の固有振動も長周期にする必要がある。それには、可動マスMの質量を大きくし、ばね部材Kのばね定数を小さく設定しなければならず、必然的に、水平方向に可動に支持する可動マスMの可動範囲を大きく確保しなければならなくなる。しかしながら、大質量の可動マスを、水平方向に大きな可動範囲を確保して支持しようとすると、制振装置が巨大になり、その実現が著しく困難になる。
本発明はかかる事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、塔状比が大きく、地震または風圧による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じる建物にも、容易に適用することのできる、マスダンパ型制振装置を用いた制振システムを提供することにある。
かかる目的を達成するため、本発明に係る建物の制振システムは、塔状比が大きく、地震または風圧による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じる建物の制振システムにおいて、前記建物の頂部または頂部近傍に、前記建物の固有振動の振動数に同調させたマスダンパ型制振装置を設置し、前記マスダンパ型制振装置から前記建物の頂部または頂部近傍へ作用する制振力が、前記建物の一側部へ上下方向に作用する第1制振力と、前記建物の他側部へ上下方向に作用する第2制振力とから成る偶力となるように、前記マスダンパ型制振装置を構成し、前記マスダンパ型制振装置は、前記建物の前記一側部に設置した第1マスダンパと、前記建物の前記他側部に設置した第2マスダンパとから成り、前記第1マスダンパ及び前記第2マスダンパの各々が、上下方向に可動に支持された可動マスと、該可動マスと前記建物とを連結するばね部材及び減衰装置とを備えた可動マス直動型マスダンパから成ることを特徴とする。
本発明に係る建物の制振システムによれば、マスダンパ型制振装置の可動マスは水平方向には移動しないため、水平方向のスペースが不要となり、平面的にコンパクトな制振システムとすることができる。また、地震または風圧による外力を受けて固有振動を生じた建物の変位は水平方向に比べ鉛直方向では小さいため、可動マスに必要とされる変位そのものが小さくなる。また、可動マスを上下方向に可動に支持する支持機構や、回動可能に支持する支持機構は、水平方向に可動に支持する支持機構と比べて製作が容易であり、可動マスの移動時の摩擦抵抗も小さいため、高性能のマスダンパ型制振装置とすることができる。
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照しつつ詳細に説明して行く。図1(A)は、本発明の第1の実施の形態に係る建物の制振システムを示した模式図であり、同図において、建物10は、塔状比(アスペクト比)が大きく、地震または風圧による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じる建物(例えば超高層建物など)である。この建物10の頂部の両側部に、一対のパッシブ・マスダンパ12a、12bが設置されており、それら一対のパッシブ・マスダンパ12a、12bによって、建物10の水平方向の揺れを抑制するためのマスダンパ型制振装置が構成されている。
各々のパッシブ・マスダンパ12a、12bは、図1(B)に模式図で示したように、不図示の支持機構により上下方向に可動に支持された可動マスMと、この可動マスMと建物10とを連結するばね部材K及び減衰装置Dとを備えた、可動マス直動型のマスダンパとして構成されている。可動マスMを支持する支持機構には、適宜の構造のものを用いればよく、例えば、上下方向に延在する複数本の案内レールと、可動マスMをそれら案内レールに沿って移動させるためのローラまたは直動ベアリングとで構成した機構とすることもでき、また、吊下式の支持機構とすることもできる。ばね部材Kは、可動マスMの建物10に対する相対的な上下方向の変位に対して逆向きに復元力を生じる適宜の部材とすればよく、例えば、コイルばねや空気ばねなどのスプリング類を用いることもでき、また、ゴム製ブロックなどを用いてもよい。減衰装置Dは、可動マスMの建物10に対する相対的な上下方向の移動速度に対して逆向きの抵抗力を生じる適宜の装置とすればよく、例えば、粘性体や粘弾性体を用いて構成したダンパとすることもできる。かかる構成のパッシブ・マスダンパ12a、12bの固有振動数は、f=2π・m1/2・k−1/2で表され、ここで、fはパッシブ・マスダンパの固有振動数、mは可動マスMの質量、kはばね部材Kのばね定数である。この固有振動数fは、建物10の水平方向の固有振動における振動数に同調するように調節しておく。
一対のパッシブ・マスダンパ12a、12bは、それらのうちの第1パッシブ・マスダンパ12aを、建物10の抑制しようとする揺れの方向における一側部に設置し、第2パッシブ・マスダンパ12bを、建物10の抑制しようとする揺れの方向における他側部に設置する。図1(A)において、建物10の抑制しようとする揺れの方向は、同図の左右方向である。尚、一対のパッシブ・マスダンパ12a、12bは、必ずしも建物の両側部の側端に設置する必要はないが、設置位置を側端に近付けることによって、より大きな制振効果が得られる。また、それらは、必ずしも建物の頂部に設置する必要もなく、頂部近傍に設置してもよいが、設置位置を頂部に近付けることによって、より大きな制振効果が得られる。
建物10が、地震または風圧による外力を受けて、図1(C)に示したように、水平方向の(図中左右方向の)固有振動を生じたときには、この建物10が剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで固有振動を生じるものであることから、この建物10の振動方向両端(図中左右方向両端)の架構は、柱が伸縮することにより上下方向に変位する。こうして発生した建物10の両端の上下方向の振動に対して、一対のパッシブ・マスダンパ12a、12bの可動マスMが共振し、上下方向に振動し始める。このとき、第1パッシブ・マスダンパ12aと第2パッシブ・マスダンパ12bとでは、可動マスMの振動の位相が逆位相となるため、それら一対のパッシブ・マスダンパ12a、12bから成るマスダンパ型制振装置から建物10の頂部へ作用する制振力は、建物10の一側部へ上下方向に作用する第1制振力と、建物10の他側部へ上下方向に作用する第2制振力とから成る偶力となる。この偶力により、建物10の頂部の両端の上下方向の変位が抑制されて、建物10の曲げ変形が低減され、その結果、建物10の水平方向の揺れが抑制される。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る建物の制振システムを示した模式図である。図1(A)〜(C)に示した第1の実施の形態とは、建物10の頂部に設置したマスダンパ型制振装置の構成だけが異なっている。図2のマスダンパ型制振装置は、パッシブ・マスダンパ14から成り、このパッシブ・マスダンパ14は、建物10の一側部から他側部に亘って略々水平方向に延在し不図示の支持機構によりその延在方向と直交する軸心AXの回りに回動可能に支持された可動マスMと、建物10の一側部においてこの可動マスMの一端と建物10とを連結するばね部材K1及び減衰装置D1と、建物10の他側部においてこの可動マスMの他端と建物10とを連結するばね部材K2及び減衰装置D2とを備えた、可動マス回転型のマスダンパとして構成されている。可動マスMを支持する支持機構には、適宜の構造のものを用いればよい。また、ばね部材K1、K2は、可動マスMの各端部の建物10に対する相対的な上下方向の変位に対して逆向きに復元力を生じる適宜の部材とすればよく、減衰装置D1、D2は、可動マスMの各端部の建物10に対する相対的な上下方向の移動速度に対して逆向きの抵抗力を生じる適宜の装置とすればよい。このパッシブ・マスダンパ14は、可動マスMが回動方向に振動し、その振動の固有振動数を、建物10の水平方向の固有振動数に同調するように調節しておく。
パッシブ・マスダンパ14を建物10の頂部に設置する際には、その可動マスMの一端が建物10の抑制しようとする揺れの方向における一側部に位置し、その可動マスMの他端が建物10の抑制しようとする揺れの方向における他側部に位置するようにして設置する。図2において、建物10の抑制しようとする揺れの方向は、同図の左右方向である。尚、可動マスMの両端は、必ずしも建物の両側部の側端に位置するようにする必要はないが、それらを側端に近付けることによって、より大きな制振効果が得られる。また、パッシブ・マスダンパ14は、必ずしも建物の頂部に設置する必要はなく、頂部近傍に設置してもよいが、設置位置を頂部に近付けることによって、より大きな制振効果が得られる。
図2において、建物10が、地震または風圧による外力を受けて水平方向の(図中左右方向の)固有振動を生じたときには、第1の実施の形態に関連して先に説明したように、この建物10の振動方向両端(図中左右方向両端)の架構が上下方向に変位する。こうして発生した建物10の両端の上下方向の振動に、パッシブ・マスダンパ14の可動マスMが共振して、可動マスMの両端が上下方向に振動し始める。そして、パッシブ・マスダンパ14から成るマスダンパ型制振装置から建物10の頂部へ作用する制振力は、建物10の一側部へ上下方向に作用する第1制振力と、建物10の他側部へ上下方向に作用する第2制振力とから成る偶力となる。更に、第1の実施の形態と同様に、この偶力によって、建物10の頂部の両端の上下方向の変位が抑制されて、建物10の曲げ変形が低減され、その結果、建物10の水平方向の揺れが抑制される。
以上に説明した、一対の直動型のパッシブ・マスダンパ12a、12bから成るマスダンパ型制振装置や、可動マス回転型のパッシブ・マスダンパ14から成るマスダンパ型制振装置は、水平方向の所定の1方向における建物10の揺れを抑制するものである。それゆえ、水平方向の全方向における建物10の揺れを抑制したいのであれば、かかるマスダンパ型制振装置を2組使用して、それらを水平方向の互いに直交する2方向に配置すればよい。そうした場合には、本発明は、塔状比が大きく、地震または風圧による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じる建物の制振システムにおいて、建物の頂部または頂部近傍に、建物の固有振動の振動数に同調させた第1マスダンパ型制振装置及び第2マスダンパ型制振装置を設置したものとなる。そして、第1マスダンパ型制振装置から建物の頂部または頂部近傍へ作用する制振力が、建物の第1水平方向における一側部へ上下方向に作用する第1制振力と、建物の前記第1水平方向における他側部へ上下方向に作用する第2制振力とから成る偶力となるように、第1マスダンパ型制振装置を構成し、また、第2マスダンパ型制振装置から建物の頂部または頂部近傍へ作用する制振力が、建物の第1水平方向と直交する第2水平方向における一側部へ上下方向に作用する第3制振力と、建物の前記第2水平方向における他側部へ上下方向に作用する第4制振力とから成る偶力となるように、第2マスダンパ型制振装置を構成したものとなる。
図3は、本発明の第3の実施の形態に係る建物の制振システムを示した模式図であり、同図において、建物10は、その塔状比が大きく、地震または風圧による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じる建物である。この建物10の頂部近傍の両側部に、第1パッシブ・マスダンパ16a及び第2パッシブ・マスダンパ16bが設置されており、それら一対のパッシブ・マスダンパ16a、16bによって、建物10の水平方向の揺れを抑制するためのマスダンパ型制振装置が構成されている。
各々のパッシブ・マスダンパ16a、16bは、建物10の上部架構の一部を可動マスMとして利用したものであり、この可動マスMとして利用される部分は、その上端部が、連結構造を介して建物10の最上階の床下に連結され、その側部及び下端部は、建物10のその他の部分から分離されている。また、その連結構造は、可撓性を有するものであって、パッシブ・マスダンパ16a、16bのばね部材としての機能を果たすように鉛直剛性を調整して設計されており、そのため図3では、その連結構造が、ばね部材Kの記号で表されている。パッシブ・マスダンパ16a、16bは更に、減衰装置Dを備えている。このように構成された一対のパッシブ・マスダンパ16a、16bから成るマスダンパ型制振装置は、第1の実施の形態における一対のパッシブ・マスダンパ12a、12bから成るマスダンパ型制振装置と同様に配置され、同様に機能して、同様の制振機構を発揮する。第1の実施の形態と比べて、第3の実施の形態では、マスダンパ型制振装置の可動マスの質量を非常に大きなものとし得ることが利点となる。
図4は、本発明の第4の実施の形態に係る建物の制振システムを示した模式図であり、同図において、建物10は、その塔状比が大きく、地震または風圧による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じる建物である。この建物10の頂部に、可動マス回転型のパッシブ・マスダンパ18から成るマスダンパ型制振装置が設置されている。
可動マス回転型のパッシブ・マスダンパ18は、建物10の上部架構を可動マスMとして利用したものであり、この可動マスMとして利用される上部架構は、その下端両側部が夫々に連結構造を介して、建物10の下部架構の上端両側部に連結されている。それら連結構造は、パッシブ・マスダンパ18のばね部材としての機能を果たすように鉛直剛性を調整して設計されており、そのため図4では、それら連結構造が、ばね部材K1、K2の記号で表されている。更に、それら連結構造は、可動マスMとして利用する上部架構を、図4の左右方向と直交する軸心AXの周りに回動可能に支持する支持構造としても機能するように設計されている。このように構成されたパッシブ・マスダンパ18から成るマスダンパ型制振装置は、第2の実施の形態におけるパッシブ・マスダンパ14から成るマスダンパ型制振装置と同様に配置され、同様に機能して、同様の制振機構を発揮する。第2の実施の形態と比べて、第4の実施の形態では、マスダンパ型制振装置の可動マスの質量を非常に大きなものとし得ることが利点となる。
尚、以上に説明した第1〜第4の実施の形態ではいずれも、マスダンパ型制振装置としてパッシブ・マスダンパを使用していたが、パッシブ・マスダンパに替えて、アクティブ・マスダンパや、ハイブリッド・マスダンパを使用することも可能である。
以上の説明から明らかなように、本発明は、塔状比が大きく、地震または風圧による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じる建物の制振システムにおいて、建物の頂部または頂部近傍に、建物の固有振動の振動数に同調させたマスダンパ型制振装置を設置し、そのマスダンパ型制振装置から建物の頂部または頂部近傍へ上下方向に制振力が作用するように、そのマスダンパ型制振装置を構成したものであり、その制振力によって、建物の水平方向の揺れを抑制するようにしたものである。そのため、本発明に係る建物の制振システムによれば、マスダンパ型制振装置の可動マスは水平方向には移動しないため、水平方向のスペースが不要となり、平面的にコンパクトな制振システムとすることができる。また、地震または風圧による外力を受けて固有振動を生じた建物の変位は水平方向に比べ鉛直方向では小さいため、可動マスに必要とされる変位そのものが小さくなる。また、可動マスを上下方向に可動に支持する支持機構や、回動可能に支持する支持機構は、水平方向に可動に支持する支持機構と比べて製作が容易であり、可動マスの移動時の摩擦抵抗も小さいため、高性能のマスダンパ型制振装置とすることができる。
(A)は本発明の第1の実施の形態に係る建物の制振システムを示した模式図、(B)は(A)の制振システムにおけるパッシブ・マスダンパを示した模式図、(C)は(A)の制振システムの動作時の状態を示した模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る建物の制振システムを示した模式図である。 本発明の第3の実施の形態に係る建物の制振システムを示した模式図である。 本発明の第3の実施の形態に係る建物の制振システムを示した模式図である。 (A)及び(B)は、エネルギー吸収機構を用いた従来の制振システムを示した模式図である。 (A)は従来のマスダンパ型制振装置を用いた建物の制振システムを示した模式図、(B)は(A)の制振システムにおけるマスダンパ型制振装置を示した模式図、(C)及び(D)は(A)の制振システムを備えた建物の挙動を示した模式図である。
符号の説明
10……建物、12a……第1パッシブ・マスダンパ、12b……第2パッシブ・マスダンパ、14……パッシブ・マスダンパ、16a……第1パッシブ・マスダンパ、16b……第2パッシブ・マスダンパ、18……パッシブ・マスダンパ。

Claims (5)

  1. 塔状比が大きく、地震または風圧による外力を受けたときに、剪断変形よりも曲げ変形が卓越する振動モードで水平方向の固有振動を生じる建物の制振システムにおいて、
    前記建物の頂部または頂部近傍に、前記建物の固有振動の振動数に同調させたマスダンパ型制振装置を設置し、
    前記マスダンパ型制振装置から前記建物の頂部または頂部近傍へ作用する制振力が、前記建物の一側部へ上下方向に作用する第1制振力と、前記建物の他側部へ上下方向に作用する第2制振力とから成る偶力となるように前記マスダンパ型制振装置を構成し、
    前記マスダンパ型制振装置は、前記建物の前記一側部に設置した第1マスダンパと、前記建物の前記他側部に設置した第2マスダンパとから成り、
    前記第1マスダンパ及び前記第2マスダンパの各々が、上下方向に可動に支持された可動マスと、該可動マスと前記建物とを連結するばね部材及び減衰装置とを備えた可動マス直動型マスダンパから成る、
    ことを特徴とする建物の制振システム。
  2. 前記可動マス直動型マスダンパが、パッシブ・マスダンパ、アクティブ・マスダンパ、またはハイブリッド・マスダンパであることを特徴とする請求項記載の建物の制振システム。
  3. 前記可動マスが前記建物の上部架構の一部から成り、前記ばね部材が前記建物の上部架構の前記一部を前記建物のその他の部分に連結する可撓性を有する連結構造から成ることを特徴とする請求項記載の建物の制振システム。
  4. 前記マスダンパ型制振装置は、前記建物の前記一側部から前記他側部に亘って略々水平方向に延在しその延在方向と直交する軸心の回りに回動可能に支持された可動マスと、前記建物の前記一側部において前記可動マスの一端と前記建物とを連結するばね部材及び減衰装置と、前記建物の前記他側部において前記可動マスの他端と前記建物とを連結するばね部材及び減衰装置とを備えた可動マス回転型マスダンパから成り、
    前記可動マスが前記建物の上部架構から成り、
    前記ばね部材が前記建物の上部架構を、その下端両側部において前記建物のその他の部分に連結する可撓性を有する連結構造から成る、
    ことを特徴とする請求項記載の建物の制振システム。
  5. 前記可動マス回転型マスダンパが、パッシブ・マスダンパ、アクティブ・マスダンパ、またはハイブリッド・マスダンパであることを特徴とする請求項記載の建物の制振システム。
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