JP4573109B2 - 制振構造物および構造物の耐震補強方法 - Google Patents

制振構造物および構造物の耐震補強方法 Download PDF

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Description

本発明は、制振構造物および構造物の耐震補強方法に関し、特に、内部共振を利用した制振構造物および構造物の耐震補強方法に関する。
地震による建物の揺れを大幅に低減する構法として、建物を積層ゴムで支持する免震構法が開発されているが(例えば、特許文献1参照)、高層建物では、建物自体の固有周期が長いことや、積層ゴムが負担する転倒モーメントが非常に大きくなることなどのため、免震構法の適用は難しい。このため、建物にダンパーを設置して建物の揺れを低減しようとする制振構法が開発されている。なかでも、マスダンパーは、錘や液体などの付加マスの振動を利用して構造物の振動エネルギーを吸収するもので、高層建物向きの制振構法とされている(例えば、特許文献2参照)。
これに対し、特許文献3では、構造物が柔構造部と剛構造部とからなり、当該柔構造部と剛構造部とをダンパーで連結する制振構法が提案されている。
特公昭61−17984号公報 (第4−6頁、第1−12図) 特公平3−37058号公報 (第2−3頁、第1−9図) 特公平4−26385号公報 (第2−4頁、第1−11図)
しかしながら、マスダンパーは、強風に対する振動抑制など比較的小さな振動に対しては有効であるが、大地震に対しては、付加マスの大質量化と大ストロークが要求されるため、その適用が難しいという問題がある。また、鋼材ダンパーや粘性(粘弾性)ダンパーなどは局所的な変形抑制には効果があるが、構造物全体の共振特性を大きく変えることはできない。
一方、特許文献3に記載された柔構造部と剛構造部とをダンパーで連結する制振構法の場合、連結部の負荷が非常に大きくなるという問題がある。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、振動形態を変換させることにより構造物の振動を低減させるという、従来と技術思想の全く異なる制振構造物および構造物の耐震補強方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る制振構造物は、3次元6自由度を有する構造物のいずれか一方向の固有振動数と当該構造物の他の一方向の固有振動数との比が略整数比とされ、前記構造物に前記一方向の外乱が作用した際、前記構造物に前記他の一方向の振動が誘発されることにより、前記構造物の前記一方向の振動が低減されることを特徴とする。
3次元6自由度(並進3方向および回転3方向)を有する構造物のいずれか一方向の固有振動数と当該構造物の他の一方向の固有振動数との比が略整数比である場合、前記構造物に前記一方向の外乱が作用すると、前記構造物に前記他の一方向の振動が誘発される「内部共振」という現象が生じる。
本発明では、構造物の外乱方向の固有振動数と内部共振方向の固有振動数との比が略整数比となる構造物を構築することにより、外乱作用時に構造物に内部共振を誘発させ、外乱による構造物の外乱方向の振動を、構造物の内部共振方向の振動に遷移させて構造物を制振するものである。
また、本発明に係る制振構造物では、前記一方向が並進3方向のいずれかの方向であるとともに、前記他の一方向が当該並進3方向の他のいずれかの方向であってもよい。即ち、構造物の振動方向を、直交する並進3方向に限定してもよい。
一般に、建物などの構造物の固有振動数は、梁間方向、桁行方向、および鉛直方向の直交する3軸方向を想定している。そのため、外乱の作用方向と構造物の軸方向が異なる場合が一般的である。この場合、外乱を構造物の3軸方向の分力に分解して各軸方向の分力について制振構造物を設計すればよい。
図1(a)は、一端Bbが固定、他端Btが自由な梁Bを例にとり、内部共振の原理について示した概念図である。この梁Bの固定端BbをX方向に水平加振Hすると、梁Bの自由端BtはX方向に曲げ振動Mするが、Y方向にも縦振動V(以下、構造物の軸長方向の振動を縦振動と呼ぶ。)する。図1(b)に、梁BのA点における変位時刻歴波形を示す。同図より、縦振動Vは曲げ振動Mの2倍の振動数であることがわかる。
従って、梁Bが曲げ振動Mの2倍の振動数で縦振動Vする場合、梁Bを、梁Bの水平方向(X方向)の固有振動数ΩXでX方向に水平加振Hすると、Y方向には固有振動数ΩXの2 倍の振動数 で縦振動Vするが、 何も考慮せずに設計すると、 曲げ振幅に従属した量でしか縦振幅は増幅しない。しかし、梁Bの鉛直方向(Y方向)の固有振動数ΩYが梁Bの水平方向の固有振動数ΩXの2倍となるような 設計をすれば、梁Bの 縦振動V は曲げ振動M に従属しない形で増幅する。即ち、梁Bを 内部共振設計することにより、 曲げ振動Mに伴って発生する 縦振動V を増幅させることができる。
図2は、梁Bを固有振動数ΩXでX方向に水平加振Hして内部共振が起きた場合の梁Bの自由端Btの変位時刻歴波形を示したものであるが、曲げ振動Mに誘発されるように縦振動Vが発生し、縦振動Vが増大するにつれて曲げ振動Mが減少することがわかる。また、縦振動Vが減少すると曲げ振動Mが増大している。これは、曲げ振動Mと縦振動Vとの間で振動エネルギーが循環していることによる。
なお、内部共振とは、例えば機械工学便覧(1991年9月30日発行)第9章非線形振動(A3−81)右欄第21行〜27行における「次に、多自由度の非線形振動系に二つあるいは二つ以上の固有振動数の比が簡単な整数比に近いとき、これらの付近の共振領域では当面の振動数のモードの振動だけでなく、これと整数比をなすモードの振動も誘発されるための特異な共振現象が起こる。これを内部共振(internal resonance)と呼ぶ、このような系は自由振動においてもうなりを生じたり独特の様相を呈することがある。」と定義された共振現象を意味するものである。
なお、共振が起こり得る条件はΩY≒2ΩXに限られず、ΩY≒ΩXやΩY≒3ΩXなどでも発生することが知られている。
また、本発明に係る制振構造物では、前記構造物の前記一方向の固有振動数に関し、特定次の固有振動数とそれより高次の固有振動数との比を所定値としてもよい。
本発明では、構造物の外乱方向の振動に関して、ある振動モードとそれより高次の振動モードとの固有振動数の比を所定値とすることにより、構造物に生じる複数モードの振動を抑制することができる。
例えば、曲げ1次振動に対して縦1次振動が誘発され、曲げ2次振動に対して縦2次振動が誘発されるようなラーメン構造物を設計する場合、縦2次振動の固有振動数が縦1次振動の固有振動数の3倍であるとすると、縦1次振動の固有振動数を曲げ1次振動の固有振動数の2倍、且つ、曲げ2次振動の固有振動数を曲げ1次振動の固有振動数の3倍となるように設計すれば、ラーメン構造物の曲げ1次振動および曲げ2次振動を抑制することができる。
また、本発明に係る制振構造物では、前記他の一方向に直交する前記構造物の断面が、前記他の一方向に沿って非一様な形状とされていてもよい。
本発明では、内部共振方向に直交する構造物の断面を、内部共振方向に沿って非一様な形状とすることにより、構造物に生じる複数モードの振動を抑制することができる。
また、本発明に係る制振構造物では、前記他の一方向の振動を減衰するダンパーが前記構造物に設置されていることが好ましい。
図2に示したように、構造物の外乱方向の振動と構造物の内部共振方向の振動との間では振動エネルギーが循環しているため、内部共振によって構造物の外乱方向の振動が減少しても、時間が経てば再び外乱方向の振動が増大する。
そこで、本発明では、内部共振方向の振動を減衰するダンパーを構造物に設置して振動エネルギーをダンパーで吸収することにより、内部共振方向の振動が外乱方向の振動に再遷移しないようにするものである。これにより、安定的に構造物の振動を抑制することができる。
また、本発明に係る構造物の耐震補強方法は、3次元6自由度を有する構造物のいずれか一方向の固有振動数と当該構造物の他の一方向の固有振動数との比が略整数比となるように、当該構造物を増築または一部撤去することにより、前記構造物に前記一方向の外乱が作用した際、前記構造物に前記他の一方向の振動が誘発されることにより、前記構造物の前記一方向の振動が低減されることを特徴とする。
本発明では、構造物の外乱方向の固有振動数と内部共振方向の固有振動数との比が略整数比となるように既存構造物を改修することにより、外乱作用時に構造物に内部共振を誘発させ、外乱による構造物の外乱方向の振動を、構造物の内部共振方向の振動に遷移させて構造物を制振するものである。
本発明では、構造物の外乱方向の固有振動数と内部共振方向の固有振動数との比が略整数比となる構造物を構築することにより、外乱作用時に構造物に内部共振を誘発させ、外乱による構造物の外乱方向の振動を、構造物の内部共振方向の振動に遷移させて構造物を制振することができる。
また、本発明では、構造物の外乱方向の固有振動数と内部共振方向の固有振動数との比が略整数比となるように既存構造物を改修することにより、外乱作用時に構造物に内部共振を誘発させ、外乱による構造物の外乱方向の振動を、構造物の内部共振方向の振動に遷移させて構造物を制振することができる。
以下、本発明に係る制振構造物の実施形態について図面に基づいて説明する。
先ず、断面が一様な円筒状のオイラー梁を例として制振構造物の設計法について説明する。勿論、本発明は構造部の断面形状によって制限を受けるものではなく、断面形状を軸長方向に変化させた非一様断面でもよい。この場合には、レイリー・リッツ法などを用いることにより固有振動数の算出が可能である。また、本例では剛性および密度を一様としているが、軸長方向に変化させてもよい。
一端固定・他端自由のオイラー梁のi次(i=1,2,3…)の曲げ固有振動数ΩBiは、Lを梁長、Eを梁のヤング率、Iを梁の断面2次モーメント、μを梁の単位長さ当り重量とすると、(1)式で表わすことができる。
Figure 0004573109
但し、λ=1.875、λ=4.694、λ=7.855・・・である。
また、オイラー梁のj次(j=1,2,3…)の縦固有振動数ΩVjは、ρを梁の密度とすると、(2)式で表わすことができる。
Figure 0004573109
そして、オイラー梁の曲げi次の振動によって、オイラー梁に縦j次の内部共振が誘発されるようにするには、ΩVj=2ΩBiとなるように設計すればよい。
図3に示すような外径をd、内径をkd(0≦k≦1)とする円筒状の構造物1の場合、0≦k<1における縦横比L/dは(3)式で、k=1における縦横比L/dは(4)式でそれぞれ与えられる。
Figure 0004573109
Figure 0004573109
オイラー梁の曲げi次の振動によって、オイラー梁に縦1次の内部共振が誘発される縦横比L/dについて、(3)(4)式を用いて計算した結果を表1に示す。表中、小さいほうの値が円柱(k=0)、大きいほうの値が薄肉円筒(k=1)にそれぞれ対応する。同表より、建物を例として考えれば、中低層建物で問題となる曲げ1次振動、高層建物で問題となる曲げ2次・3次振動は、いずれも内部共振として建物の縦1次振動を誘発させることにより対処できることがわかる。但し、表1は、構造物をオイラー梁と仮定した場合の縦横比L/dの目安である点に留意する必要がある。
Figure 0004573109
次に、断面形状が軸対称でない制振構造物の設計法について説明する。
図4は、建物として一般的な直方体形状をした構造物11を示したものである。Lxを短辺長さ、Lyを長辺長さとし、構造物11のX軸回りの曲げ1次、2次の固有振動数をΩBX1、ΩBX2、Y軸回りの曲げ1次、2次の固有振動数をΩBY1、ΩBY2、Z軸方向の縦1次、2次の固有振動数をΩV1、ΩV2とする。
軸ごとに制振帯域を振り分ける場合は、構造物11のX軸回りはΩBX1=ΩV1/2として曲げ1次振動に対して縦1次振動が誘発されるようにし、構造物11のY軸回りはΩBY2=ΩV2/2として曲げ2次振動に対して縦2次振動が誘発されるように設計すればよいし、構造物11のY軸回りについても曲げ1次近傍を中心に制振したい場合はΩBY1=ΩV2/2とすればよい。
上記では外乱が作用する一方向について一つの振動モードを低減させることのできる制振構造物について説明してきたが、これより、外乱が作用する一方向について複数の振動モードを低減させることのできる制振構造物について説明する。
例えば、外乱が作用する一方向について、曲げ1次振動に対して縦1次振動が誘発されるとともに、曲げ2次振動に対して縦2次振動が誘発されるような制振構造物を設計する場合、縦1次振動の固有振動数ΩV1と縦2次振動の固有振動数ΩV2との比が、オイラー梁と同様にΩV2=3ΩV1であると仮定すると、曲げ1次振動ΩB1の固有振動数と曲げ2次振動の固有振動数ΩB2との比がΩB2=3ΩB1であり、且つ、ΩV1=2ΩB1であるように設計すればよい。このとき、自動的にΩV2=2ΩB2は満足される。
あるいは、曲げ1次振動に対して縦1次振動が誘発されるとともに、曲げ2次振動に対して縦3次振動など、より高次の縦振動が誘発されるような制振構造物としてもよい。この場合には、ΩV3=5ΩV1であると仮定すると、ΩB2=5ΩB1、且つ、ΩV1=2ΩB1とすればよい。
次に、構造物の断面形状を軸長方向に非一様とすることにより、外乱が作用する一方向について複数の振動モードを低減させることのできる制振構造物について説明する。
図5は、平断面視円形で底部21b、31bに比べて頂部21t、31tの断面積が大きな構造物21、31であり、いずれも、外乱が作用する一方向について、曲げ2次振動に対して縦1次振動が誘発されるとともに、曲げ3次振動に対して縦2次振動が誘発される形状をしている。なお、構造物の断面形状は多角形でもよい。
また、図示しないが、曲げ1次振動に対して縦1次振動が誘発されるとともに、曲げ2次振動に対して縦2次振動が誘発される構造物の形状は、円錐または多角錐形状(底面が加振面)となる。
ここまで制振構造物の設計法について説明してきたが、構造物の外乱方向の振動と構造物の内部共振方向の振動との間では振動エネルギーが循環しており、内部共振によって構造物の外乱方向の振動が減少しても、時間が経てば再び外乱方向の振動は増大する。
そこで、内部共振方向の振動を減衰するダンパーを構造物に設置すれば、ダンパーが内部共振方向の振動エネルギーを吸収するので、内部共振方向の振動が外乱方向の振動に再遷移しないようにすることができる。
図6は、縦方向(Y方向)に内部共振が誘発される構造物41の縦方向に沿って、構造物41の縦方向の振動を減衰するダンパー42が設置された制振構造物について、その制振過程を示したものである。ダンパー42としては振動エネルギーを吸収できるものであればよく、粘性ダンパー、粘弾性ダンパー、鋼材ダンパーなどの減衰材の種類や、ブレース型、壁型、間柱型などの設置方式を問わず使用することができる。
構造物41がその底部においてX方向に水平加振Hされると、構造物41はX方向に曲げ振動し始める(図6(a)参照)。続いて、内部共振により、曲げ振動が縦振動に遷移する(図6(b)参照)。遷移状態においては、曲げ振動と縦振動が共存するため、構造物41の軌跡は8の字を横にしたような軌跡を辿る。そして、ダンパー42による縦振動の減衰効果により、曲げおよび縦振動が減衰する(図6(c)参照)。
なお、ダンパー42両端間の相対速度または相対変位が大きくなる箇所に、減衰の大きなダンパーを用いることにより、限られたダンパーで、より大きな減衰効果を得ることができる。
図7は、積層ゴム53に支持された構造物51の縦方向に、縦方向の振動を減衰するダンパー52を設置した免震構造物について、その免震過程を示したものである。
一般に、免震性能を向上させるためには積層ゴムの水平剛性を低下させる必要があるが、大振幅時には転倒モーメントが増大するうえ、隣接構造物と接触するおそれもあり好ましくない。この点は、積層ゴムの代わりにベアリングなどの滑り機構を用いた場合でも同様である。
これに対して、図7の免震構造物では、積層ゴム53と構造部51を一つの構造物とみなして縦方向に内部共振が誘発されるように設計するものである。これにより、積層ゴム53の水平剛性を極端に低下させずに、免震効果を増大させることができる。
なお、図示しないが、積層ゴム53にダンパー機能を併設してもよい。
本実施形態による制振構造物では、構造物の水平方向と縦方向の固有振動数の比が略整数比となる構造物を構築することにより、外乱作用時に構造物に縦振動を誘発させ、外乱による構造物の水平振動を、構造物の縦方向の振動に遷移させて構造物を制振することができる。また、その際、構造物の縦方向の振動を減衰するダンパーを構造物に設置すれば、より効果的である。
次に、内部共振を利用した構造物の耐震補強方法について説明する。
内部共振を利用した構造物の耐震補強方法の趣旨は、構造物の水平方向と縦方向の固有振動数の比が略整数比となるように既存構造物を改修することにより、外乱作用時に構造物に縦振動を誘発させることにある。従って、以下に説明する既存構造物の形状変更は、既存構造物が内部共振するように既存構造物の固有振動数を変更する一例を示すものである。
図9(a)は、既存構造物61の頂部に新たに増築部63を設けることにより、構造物の水平方向と縦方向の固有振動数の比が略整数比となるように既存構造物61を改修するものである。
一方、図9(b)は、既存構造物62の頂部64を撤去することにより、構造物の水平方向と縦方向の固有振動数の比が略整数比となるように既存構造物62を改修するものである。
なお、上記改修に併せて、既存構造物61、62内にダンパーを設置すると、より大きな制振効果を得ることができる。
本実施形態による構造物の耐震補強方法では、構造物の水平方向と縦方向の固有振動数の比が略整数比となるように既存構造物を改修することにより、外乱作用時に構造物に縦振動を誘発させ、外乱による構造物の水平振動を、構造物の縦方向の振動に遷移させて構造物を制振することができる。
以上、本発明に係る制振構造物の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、構造物として主として建物の例を示したが、橋梁や宇宙構造物などでもよく、橋梁では一端支持・他端ローラーとして、また宇宙構造物では両端自由として設計すればよい。また、上記の実施形態では、主として構造物の曲げ振動を対象としたが、せん断振動や捩り振動の場合も同様である。
内部共振の原理を示し、(a)は梁の振動状態を示す概念図、(b)は梁のA点における変位時刻歴波形の部分拡大図である。 内部共振時の梁頂部の変位時刻歴波形図である。 軸対称な断面形状を有する制振構造物の平断面図である。 軸対称でない断面形状を有する制振構造物の斜視図である。 曲げ2次および曲げ3次の揺れを低減することのできる構造物の立断面図である。 ダンパーが設置された制振構造物の制振過程を示す概念図である。 ダンパーが設置された免震構造物の免震過程を示す概念図である。 本発明に係る構造物の耐震補強方法を示す概念図であり、(a)は構造物を増築する場合、(b)は構造物を一部撤去する場合である。
符号の説明
1、11、21、31、41、51 構造物
42、52 ダンパー
53 積層ゴム
61、62 既存構造物
63 増築部
64 頂部
B 梁
H 水平加振

Claims (5)

  1. 3次元6自由度を有する構造物において、直交する3方向のうちいずれか一方向の曲げ振動またはせん断振動の固有振動数と当該構造物の他の一方向の固有振動数との比が略1対2とされ、
    前記構造物に前記一方向の外乱が作用した際、内部共振によって前記構造物に前記他の一方向の振動が誘発されることにより、前記構造物の前記一方向の曲げ振動またはせん断振動が低減されることを特徴とする制振構造物。
  2. 前記構造物の前記一方向の曲げ振動またはせん断振動の固有振動数に関し、特定次の固有振動数とそれより高次の固有振動数との比を略1対3とすることを特徴とする請求項1に記載の制振構造物。
  3. 前記他の一方向に直交する前記構造物の断面が、前記他の一方向に沿って非一様な形状とされていることを特徴とする請求項1に記載の制振構造物。
  4. 前記他の一方向の振動を減衰するダンパーが前記構造物に設置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の制振構造物。
  5. 3次元6自由度を有する構造物において、直交する3方向のうちいずれか一方向の曲げ振動またはせん断振動の固有振動数と当該構造物の他の一方向の固有振動数との比が略1対2となるように、当該構造物を増築または一部撤去することにより、
    前記構造物に前記一方向の外乱が作用した際、内部共振によって前記構造物に前記他の一方向の振動が誘発されることにより、前記構造物の前記一方向の曲げ振動またはせん断振動が低減されることを特徴とする構造物の耐震補強方法。
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