JPH01131763A - 構造物の振動抑制装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、地震や風等によって構造物に引き起こされ
る振動を抑制するようにした構造物の振動抑制装置に関
するものである。

［従来の技術及びその問題点」 近年の建築・土木構造物は、高強度材“料の開発、工作
技術の進歩、並びに電算機による構造解析技術の発展等
の要因により、大型化、形式の多様化、軽蛍化が為され
ると共に、外力に対してフレキシビリティに富んだ構造
となっている。そして、このように軽量で柔軟な構造物
においては、その固有振動数が低く、内部の振動減衰も
小さくなる傾向があるため、地震や風等の外力の影響に
より予期し得ない種々の振動が発生する可能性がある。

特に、前述の如く、構造物の大型化に伴って、外力によ
って励起される振動の振幅も大きくなるため、この振動
が構造物内部に居住する人間に不必要な不安感を与える
と共に、構造物の躯体に許容範囲以上の応力を付与する
恐れすらあった。

そこで、本願発明者は、特願昭６０−２４１０４５号明
細書において、構造物の所定の位置に、この構造物の固
有の振動周期と同一の周期で、しかも所要の位相差を伴
って振動する液体を貯留するタンクを設け、この液体の
振動によって前記構造物の振動を抑制することのできる
振動抑制装置を提案し、前述の問題を解決している。

ところで、この振動抑制装置は、タンク内の液体が構造
物と同一の振動周期でかつ所要の位相差を伴って振動す
ることにより構造物の振動を抑制するものであるから、
振動抑制装置の作用により構造物の振幅が抑制された結
果、この振動抑制装置が逆に加振器として作用する場合
もありうる。

通常、タンク内の液体は、タンクの壁面との衝突あるい
は液体自身の粘性等によりその振動が減衰されるような
構成となるが、構造物の構造や振動抑制装置の規模等に
応じて適切な液体の振動減衰を図りうる手段の実現が検
討課題となっていた。

この発明は、前記問題に鑑み、先に本願発明者が提案し
た振動抑制装置を発展させてなされたもので、タンク内
の液体の振動を簡易に減衰させることが可能な振動抑制
装置の提供を目的としている。

「問題点を解決するための手段」 そこでこの発明は、構造物の所定の位置にタンクを設け
、このタンクの内部に前記構造物の固有振動周期と同一
の振動周期で、かつ、構造物の固有振動と所要の位相差
を伴って振動する液体を貯留すると共に、このタンクの
内部に前記液体の振動減衰を調整するメツシュ部材を設
けたような構造物の振動抑制装置を構成して、前記問題
点を解決している。

ここで、前記メツシュ部材は前記タンクの周方向に延在
させて設けておくことが好ましい。あるいは、前記メツ
シュ部材は前記タンクの高さ方向に複数個積層させて設
けておくことが好ましい。

「実施例」 以下、この発明の実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図ないし第３図はこの発明の第１実施例である振動
抑制装置を示す図である。図中、符号ｌは振動抑制装置
であり、この振動抑制装置１は、風によって引き起こさ
れる振動に対して最も効果があるとされる高層建築物（
構造物）２の屋上に設置されている。

この振動抑制装置ｌは、ゴム等の弾性体と鋼板との積層
構造からなる支持台３と、この支持台３上に載置された
タンク４と、このタンク４内に貯留された液体５とから
概略構成されている。

前記タンク４は、建築物２の飲料水、防火用水又は冷暖
房設備用水等を貯留するための筒状のタンクであり、そ
の上部が開放された構造となって゛　　　いる。前記液
体５は、その比重に応じて液面高さ（第３図中に示すＨ
）等が適宜調節されることで、建築物２の固有振動周期
と同一の振動周期となるような条件でこのタンク４内に
貯留されている。

そして、この液体５は、その質量が建築物の質量の１１
５０〜１／　ｌｏｏの範囲内となるようにタンク４内へ
の貯留量が調整されている。

さらに、このタンク４底面からは、タンク４内部での液
体５の振動を減衰されろメツシュ部材６が上方に向って
複数個突設されている。このメツシュ部材６は、金属等
の枠体に各種繊維、金属ワイヤ等のファイバを織り上げ
てなるメツシュが張設されて構成され、外形が環状に形
成されている。

そして、これらメツシュ部材６は、それぞれの径が大小
異なって形成され、前記タンク４側壁と同心円状に配置
されている。このメツシュ部材６の個数及び規模はタン
ク４内部に貯留される液体５の貯留量や液体５の物性値
等により適宜決定されれば良い。

また、タンク４底面には、メツシュ部材６固定用のスト
ッパ７が多数設けられており、メツシュ部材６はこのス
トッパ７によりタンク４内での位置決めが為されている
。なお、このストッパ７は、予想されるメツシュ部材６
の設置数よりも多い個数だけ予め形成しておくことが好
ましく、これにより前述のメツシュ部材６の個数及び規
模の調整が容易とされる。

なお、前記タンク４は、長期使用においてら腐蝕されな
い材質（例えばプラスチック製）で形成されることが好
ましく、同様に、前記液体５は、長期使用においても蒸
発しにくい粘性液体（例えば油）であることが好ましい
。しかしながら、これらタンク４及び液体５の材質は、
施工条件等により適宜決定されれば良く、前述の材質に
限定されることはない。

次に、以上のような構成を有する振動抑制装置１の作用
について説明する。

前記建築物２と振動抑制装置ｌとを含む振動系は、第４
図に示すような振動モデルに近似、簡略化することがで
きる。この振動モデルは、ばね定数Ｋ。のばね８Ａ及び
減衰率ｈ０のダッシュボット１０Ａを介して、質量Ｍ０
の物体９Ａが支持されてなる振動系Ａ（建築物２の振動
モデル）と、ばね定数に１のばね８Ｂ及び減衰率ｈ１の
ダッシュポット１０Ｂを介して、質量Ｍ１の物体９Ｂが
支持されてなる振動系Ｂ（振動抑制装置ｌ内の液体５の
振動モデル）とか直列に接続されたようなモデルである
。

そして、このような振動モデルにおいて、物体９Ａに加
わる地震や風等の外力によって振動系Ａが振動を開始す
ると、振動系Ｂは１／４周期の位相遅れをもって振動を
開始するから、これら振動系Ａ−Ｂの振動周期を一致さ
せることにより、振動系への振動を抑制することができ
る。

ここで、物体９Ｂは、物体９Ａの約２％程度の質量なの
で、前記建築物２の固有振動周期Ｔ。は、構造設計上の
見地から定められた質ｆｆ１Ｍ、及びばね定数Ｋ。によ
りほぼ一義的に決定される。したかって、前記振動抑制
装置ｌの振動周期、すなわち各々のタンク４内に貯留さ
れた液体５の振動周期Ｔ１が建築物２の固有振動周期Ｔ
。に一致するように、このタンク４の寸法、容量及び液
体５の貯留量を設定すれば良い。この、タンク４内に貯
留された液体５の挙動は、次のようにして解析できる。

ここで、各振動系Ａ、Ｂの振動周期は次式％式％ 従って、振動系Ａについては、上式に各変数を代入する
ことで、その振動周期を得ることができる。

しかしながら、振動系Ｂについては、タンク４内の液体
５の質量Ｍがそのまま振動体として作用する質量Ｍ、と
はならず、従って、何等かの理論的解析が必要となる。

貯留タンク内の貯留液の挙動について成立するハウスナ
ー（Ｈｏｕｓｎｅｒ）理論によれば、タンク内４で移動
可能な自由水育効質量（振動体として作用する質量）Ｍ
、は、次式で与えられる。

ただし、 ■］・・・・・・タンク４の底部から水面までの距離Ｒ
・・・・・・タンク４の半径 Ｍ・・・・・・タンク４内に実際に貯留されている液体
５の質量 また、このタンク４内の液体５の固有振動数ω（いわゆ
るスロッシングの固有振動数）は、次式により与えられ
る。

さらに、（３）式により求められた固有振動数ωにより
、タンク４内の液体５の振動周期Ｔ、が次式により求め
られる。

２π ’ｒｔ＝□　　　　　　　・・・・・・（４）ω そして、前記（４）式にて得られるタンク４内の液体５
の振動周期Ｔ、と第１の振動系Ａの振動周期ＴＩとの間
に、 Ｔ　＋　＝　Ｔ　ｘ　　　　　　　　　　・・・・・・
（５）が成立するように、肋述の変数■］、Ｒ％Ｍ１す
なわちタンク４の寸法及び液体５の貯留量を設定すれば
良いのである。

以上説明したように、この実施例の振動抑制装置１によ
れば、地震や風等の外力によって建築物２に励起される
振動を抑制する二ｇができる。ここで、この振動抑制装
置ｌには、そのタンク４内部にメツシュ部材６が配設さ
れているので、建築物２の振動によりタンク４内で液体
５が振動すると、このメツシュ部材６のメツシュ間隙を
液体５が通過する際にその移動エネルギーが消失される
ことで、液体５の振動が減衰される。すなわち、このメ
ツシュ部材６が、液体式ダンパ等（二設けられたオリフ
ィスの如き作用をもたらすことで、液体５の振動を減衰
させるのである。従って、液体５の振動がメツシュ部材
６により速やか（こ減衰されることで、建築物２の振動
が減衰されると同時に振動抑制装置ｌ自身の振動も減衰
されるので、振動抑制装置１が建築物２に対する加振器
の如き作用をすることがなく、ひいては建築物２の振動
をより効率良く減衰させることが可能となる。

［発明の変形実施例］ この発明の構造物の振動抑制装置は、その細部が前記実
施例に限定されず、種々の変形例が可能である。以下、
図面を参照してこの発明の変形実施例について説明する
。

第５図は、この発明の第２実施例である構造物の振動抑
制装置を示す図である。なお、以下の説明において、前
記第１実施例と同一の構成要素については同一の符号を
付し、その説明を省略する。

この実施例においては、振動抑制装置ｌのタンク４底而
からビン１２が多数突設され、メ・ソシュ部材６はこれ
らピン１２間を縫うようにタンク４内に張設されている
。なお、図示例では、メツシュ部材６は平面視した状態
でその全体が星型になるように形成されている。従って
、この実施例でも前記第１実施例と同様に、建築物２の
振動がタンク４内に貯留された液体５の振動により減衰
されると共に、メツシュ部材６により液体５自身の振動
も減衰される。特に、この実施例では、メ・ツシュ部材
６がタンク４の周方向のみならず径方向にし延びる構成
となっているので、液体５のタンク４側壁に沿う方向（
すなわち周方向）の回転をも減衰させることができる。

すなわち、建築物２の重心と関心とがずれている場合に
、この建築物２に風による空力が作用すると建築物２は
首振り回転を行うが、この実施例の振動抑制装置ｌによ
れば、この建築物２の首振り回転をも減衰させることが
可能となる。

一方、第６図に示すこの発明の第３実施例たる振動抑制
装置ｌは、タンク４上部の開口を覆う形状の蓋体１３を
備えると共に、この蓋体１３下面から下方に突出するメ
ツシュ部材６を備えた構成の装置である。この装置ｌで
も、前記第１、第２実施例と同様の作用効果を得ること
ができる。すなわち、メツシュ部材６の取付位置は任意
であり、タンク４の形状や設置条件等を考慮して適宜決
定されれば良い。

同様に、メッシュ部材６全体の形状ら任意であり、タン
ク４の形状や設置条件等を考慮して適宜決定されれば良
い。−例として、第７図に示すように、トラス状鉄筋１
４を介してメ・ソシ二部材６を多数積層したような構成
でも良いし、あるシ１番よ第８図に示すように、メツシ
ュ部材６そのものを折板状に形成し、これを多数積層し
ても良し）。特に、後者の場合、メツシュ部材６の折曲
部の稜線の延在する方向を各層毎に異ならせることで、
前記液体５の振動方向が多方向に亙る場合でもこれらに
容易に対応させることが可能となる。

さらに言えば、メツシュ部材６の枚数、メツシュの密度
、液体−５の液面に対する角度等も任意であり、適宜決
定されれば良い。メツシュ部材６のメツシュを構成する
ファイバの種類ら任意であり、前述の各種繊維、金属ワ
イヤはもとより、これらの外周に不織布等液体５に対し
て有効な移動抵抗体となりうる部材を巻回したようなフ
ァイバであっても良い。また、このファイバを織り上げ
てメツシュを形成する場合にも、いわゆる網状に織り上
げても良く、あるいは単に格子状に積み重ねてメツシュ
を形成しても良いことは勿論である。

「発明の効果」 以上詳細に説明したように、この発明によれば、構造物
の所定の位置にタンクを設け、このタンクの内部に前記
構造物の固有振動周期と同一の振動周期で、かつ、構造
物の固有振動と所要の位相差を伴って振動する液体を貯
留すると共に、このタンクの内部に前記液体の振動減衰
を調整するメツシュ部材を設けたような構造物の振動抑
制装置を構成したので、構造物の振動によりタンク内で
液体が振動すると、このメツシュ部材の間隙を液体が通
過する際にその移動エネルギーが消失されることで、液
体の振動が減衰される。従って、液体の振動がメツシュ
部材により減衰されることで、構造物の振動が減衰され
ると同時に振動抑制装置自身の振動も減衰されるので、
振動抑制装置が構造物に対する加振器の如き作用をする
ことがない。

よって、この発明によれば、タンク内の液体の振動を簡
易に減衰させることが可能な振動抑制装置を実現するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの発明の第１実施例である構造
物の振動抑制装置を示す図であって、第１図は建築物の
屋上に設置された状態を示す概略図、第２図は平面図、
第３図は第２図の■−石石線線沿う矢視断面図、第４図
は構造物及び振動抑制装置の振動モデルを示す概略図、
第５図はこの発明の第２実施例である構造物の振動抑制
装置を示す平面図、第６図は同第３実施例である構造物
の振動抑制装置を示す断面図、第７図ないし第８図はメ
ツシュ部材の変形例を示す斜視図である。 ｌ・・・・・・振動抑制装置、２・・・・・・建築物（
構造物）、４・・・・・・タンク、５・・・・・・液体
、６・・・・・・メ・レシュ部材。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. （１）構造物の所定の位置にタンクが設けられ、このタ
   ンクの内部に前記構造物の固有振動周期と同一の振動周
   期で、かつ、構造物の固有振動と所要の位相差を伴って
   振動する液体が貯留されると共に、このタンクの内部に
   は前記液体の振動減衰を調整するメッシュ部材が設けら
   れていることを特徴とする構造物の振動抑制装置。
2. （２）前記メッシュ部材は前記タンクの周方向に延在さ
   れて設けられていることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載の構造物の振動抑制装置。
3. （３）前記メッシュ部材は前記タンクの高さ方向に複数
   個積層されて設けられていることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載の構造物の振動抑制装置。