JP2000017889A - 免震装置 - Google Patents

免震装置

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JP2000017889A
JP2000017889A JP10190099A JP19009998A JP2000017889A JP 2000017889 A JP2000017889 A JP 2000017889A JP 10190099 A JP10190099 A JP 10190099A JP 19009998 A JP19009998 A JP 19009998A JP 2000017889 A JP2000017889 A JP 2000017889A
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plate
upper plate
seismic isolation
isolation device
lower plate
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JP10190099A
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English (en)
Inventor
Hirokazu Matsukawa
浩和 松川
Hiroshi Matsuoka
宏 松岡
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Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地震に対する上部構造物の揺れを抑えるよう
にした免震装置Aとして、個人住宅等のように上部構造
物が軽量であっても有効に免震機能を発揮させることが
でき、しかも、小形・軽量化を図りつつ、予想以上に大
きな地震に対してその安全性を確保する。 【解決手段】 上部構造物と連結される上板1と、基礎
と連結される下板2とを備え、上板1の下面に、ゴム層
3a,3a,…と剛性板層3b,3b,…とが上下方向
に交互に積層されてなる支持柱3を固定し、この支持柱
3の下端面に固定したローラホルダー6のローラ保持部
6aに、上板1を下板2に対して支持する7つの球状の
ローラ5,5,…を転がり可能に保持し、上板1が下板
2に対して相対的に水平方向に移動したときに伸びる円
筒状のゴム部材8により上板1及び下板2の外周部全周
同士を弾性的に接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物等の上部構
造物と基礎との間に設けられ、地震に対する該上部構造
物の揺れを抑えるようにした免震装置に関する技術分野
に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の免震装置としては、
例えば図8に示すように、上部構造物及び基礎にそれぞ
れ連結される円形の上板a及び下板b間において天然ゴ
ム等からなるゴム層cと鋼板層dとを交互に積層した免
震支承ゴムタイプのものがよく知られている。このもの
は、積層部の鉛直剛性で上部構造物の荷重を支持し、地
震時の横揺れに対しては、ゴム層cのせん断変形と中心
部に設けた鉄や鉛のプラグeによるダンパ作用とにより
水平方向の変位と力とを吸収するようになっている。ま
た、上記プラグeの代わりに油圧機構で減衰されるよう
にしたものや、ゴム層cを高減衰のものにしてゴム自体
でダンパ機能を発揮させるようにしたものがある。この
免震支承ゴムタイプの免震装置は構造が単純であり、し
かも、施工前の設計において地震力の減衰性能を容易に
予測することができ、施工作業や施工後の維持管理も容
易であるので、大型集合住宅や病院等の大型建築物にか
なり普及されている。
【0003】一方、個人住宅等の軽量の上部構造物にお
いて地震時の倒壊や家具、調度品の転倒及び落下を防止
するための免震装置として、例えば特開平8−3263
52号公報に示されているように、上下一対の硬質部材
間に可撓性構造体を設け、この可撓性構造体に流動部材
が充填された多数の区画室を形成することによって、簡
単な構成で地震に対する上部構造物の揺れを抑えるよう
にすることが提案されている。
【0004】また、近年、ゴムを用いないで、ベアリン
グ等のスライド機構とダンパ機構とを組み合わせた免震
装置が知られており、このものは、例えば2つのスライ
ド機構を略十字状に結合して上部構造物を基礎に対して
水平2方向に自由に移動可能とし、このスライド機構に
ばねやオイルダンパ等を別途付加して上部構造物の揺れ
を抑えるようにしている。
【0005】さらに、例えば特開平9−4279号公報
に示されているように、鋼鉄製球を中央が底点となる放
物線型の円型鋼鉄製皿受台で上下より挟んだ構成とし、
鋼鉄製球が下側の皿受台を上昇する際の反力により地震
加速度を消滅させることで上部構造物の横揺れを抑える
ようにすることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の免
震支承ゴムタイプのものは、積層されているゴム層cの
せん断力及びせん断変形により免震性能を発揮するもの
であるため、水平方向の揺れによる移動距離を稼ぐため
には積層枚数を増やして所定高さを確保しなければなら
ず、高さを確保しつつ上部構造物を安定して支持するに
は、より直径を大きくすることが必要となって装置が大
きくなるので、設置場所が取れかつ鉛直荷重が50〜1
00kg/cm2 程度の大型集合住宅や病院等の大型建築物
のみにしか採用されていないのが実状である。
【0007】また、上記前者の提案例(特開平8−32
6352号公報)の免震装置においては、上部構造物か
らの荷重を支持するための可撓性構造体の強度が経年劣
化により衰え、上部構造物の高さを一定に保持すること
ができないという問題がある。また、製造上、内部に複
数の区画室を設けることは困難である。
【0008】そして、ゴムを用いないでスライド機構と
ダンパ機構とを組み合わせた免震装置においては、どの
方向からの地震力に対しても機能するようにするために
はスライド機構及びダンパ機構の構造が非常に複雑とな
り、施工に先立つ設計の困難さやコスト高が問題とな
り、普及していない。
【0009】さらに、上記後者の提案例(特開平9−4
279号公報)の免震装置においては、地震による横揺
れに対し、鋼鉄製球が放物線型の皿受台上を移動するた
め、上部構造物が上下方向にも移動するという問題があ
る。また、振動を減衰させるための機構が重力によるも
のであるため上部構造物が自由振動に近い振動挙動を示
し、振動の収まりが悪いという問題を有している。
【0010】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、地震に対する上部構
造物の揺れを抑えるようにした免震装置に対して、その
構成を従来のものとは異ならせることによって、個人住
宅等のように上部構造物が軽量であっても上下方向の変
位がなく、水平方向の変位及び力を有効に抑制すること
ができ、しかも、構造が簡単で、小形・軽量化を図るこ
とができるようにし、加えて、予想以上に大きな震度の
地震が発生したとしても、免震装置自体が破損するのを
確実に防止しようとすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、上板の下面に、ゴム層と剛性板層
とが上下方向に交互に積層されてなる支持柱を固定し、
この支持柱の下端部に配置した球状のローラ又は摺動部
材により上板を下板に対して相対移動可能に支持し、上
板が下板に対して相対的に水平方向に移動したときに伸
びる弾性体により上板及び下板の外周部同士を弾性的に
接続するようにした。
【0012】具体的には、請求項1の発明では、上部構
造物と基礎との間に設けられ、地震に対する該上部構造
物の揺れを抑えるようにした免震装置を対象とする。
【0013】そして、上記上部構造物と連結される上板
と、上記上板の下側に対向して設けられ、上記基礎と連
結される下板と、上記上板の外周部以外の下面に下方向
に延びるように固定され、ゴム層と剛性板層とが上下方
向に交互に積層されてなる支持柱と、上記支持柱の下端
部に設けられ、下面に開口するローラ保持部を有するロ
ーラホルダーと、上記ローラホルダーのローラ保持部内
に転がり可能に保持され、上記支持柱と共に上記上板を
下板に対して支持する球状のローラと、上記上板及び下
板の外周部の少なくとも一部同士を弾性的に接続し、該
上板が下板に対して相対的に水平方向に移動したときに
伸びる弾性体とを備えているものとする。
【0014】上記の構成により、地震発生時には、ロー
ラの転がりによりローラホルダー及び支持柱を介して上
板が下板に対してスムーズに水平方向に相対移動し、急
激な振動を長周期化して和らげる。このとき、弾性体に
は伸びることにより上板を移動前の位置に復帰させる復
元力が発生するので、この復元力がローラに作用する転
がり摩擦力と共に減衰力として作用する。このため、上
部構造物を上下移動させることなく上部構造物の水平揺
れを抑えることができ、地震収束後は上板ないし上部構
造物を移動前の位置に戻すことができる。また、弾性体
の復元力及びローラの転がり摩擦力は、弾性体及びロー
ラの各材料等により調節が可能であるので、上部構造物
の重さに応じて最適な値となるように設定することがで
きる。さらに、上板は下板に対してローラ、ローラホル
ダー及び支持柱によって支持され、この支持柱はゴム層
だけでなく剛性板層を有しているので、従来の可撓性構
造体等で支持するのとは異なり、経年劣化による上部構
造物の高さの変化を抑制することができる。しかも、こ
の支持柱の積層構造により、予想以上に大きな地震が発
生したときでも、免震装置の破損を防止することができ
る。すなわち、そのような地震が発生すると、上板の下
板に対する相対移動量が大きくなるため、支持柱又はロ
ーラホルダーが弾性体等に当接する可能性がある。しか
し、この発明では、支持柱等が弾性体等に当接してもせ
ん断変形して上板をさらに水平移動させるので、当接時
の衝撃エネルギーを上板の運動エネルギーに変換するこ
とができ、衝撃力を低減することができる。したがっ
て、予想以上に大きな震度の地震に対して免震装置の安
全化を図ることができる。
【0015】請求項2の発明では、上部構造物と基礎と
の間に設けられ、地震に対する該上部構造物の揺れを抑
えるようにした免震装置を対象とし、上記上部構造物と
連結される上板と、上記上板の下側に対向して設けら
れ、上記基礎と連結される下板と、上記上板の外周部以
外の下面に下方向に延びるように固定され、ゴム層と剛
性板層とが上下方向に交互に積層されてなる支持柱と、
上記支持柱の下端部と下板の上面との少なくともいずれ
か一方に設けられ、該支持柱と共に上記上板を下板に対
して相対的に水平方向に摺動可能に支持する摺動部材
と、上記上板及び下板の外周部の少なくとも一部同士を
弾性的に接続して、該上板が下板に対して相対的に水平
方向に摺動したときに伸びる弾性体とを備えているもの
とする。
【0016】このことにより、摺動部材と相手面との摩
擦係数が小さい場合には、請求項1の発明のローラと同
様の働きをするので、地震に対する上部構造物の揺れを
抑えることができる。また、摺動部材と相手面との摩擦
係数や鉛直荷重を調整することにより、小さな水平荷重
には支持柱の積層ゴム構造の免震性能を発揮させ、それ
以上の水平荷重には摺動部材の摺動構成と支持柱の積層
構造との共働による免震性能を発揮させるようにするこ
とができると共に、支持柱の積層構造により、請求項1
の発明と同様に、予想以上の震度の地震に対する安全性
が確保される。
【0017】請求項3の発明では、請求項2の発明にお
いて、摺動部材は、潤滑性樹脂からなっていて、支持柱
の下端部に固定されているものとする。
【0018】このことで、摺動部材の下板に対する摺動
性がさらに良好となり、地震発生時における上板の下板
に対する相対移動をよりスムーズにさせることができ
る。また、摺動部材の水平方向の大きさを、上板の移動
量を考慮して設定する必要がなく、下板に固定する場合
よりも大きさを小さくすることができ、コスト的に有利
となる。
【0019】請求項4の発明では、請求項3の発明にお
いて、潤滑性樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンであ
り、下板において少なくとも上記潤滑性樹脂が摺動する
部分がステンレス鋼からなるものとする。
【0020】この発明により、摺動部材の下板に対する
摺動性を安定的に向上させることができ、しかも、その
摺動性の経時変化を最小限に抑えることができる。ま
た、上部構造物を、その重量に耐えて確実に支持するこ
とができる。
【0021】請求項5の発明では、請求項1、2,3又
は4の発明において、弾性体は、上板及び下板の外周部
全周同士を接続しかつ上板及び下板間の空間を覆う筒状
のゴム部材からなり、上記ゴム部材で覆われた上板及び
下板間の空間に、液状の粘性材料又は粉状若しくは粒状
の高分子材料からなる減衰剤が充填されているものとす
る。
【0022】このことにより、上板がどの方向に移動し
ても、筒状ゴム部材がそれに応じて伸びて方向性のない
安定した復元力が発生する。また、減衰剤を筒状ゴム部
材の外部に漏らすことなく、比較的大きな減衰力が容易
に得られると共に、減衰剤の材質及び使用量を変えるこ
とにより減衰力を調節することができる。さらに、微小
な地震動や台風時のような風圧が上部構造物に作用して
も、減衰剤の抵抗力により上板の移動を阻止することが
できる。よって、上部構造物の不用意な揺れを抑制しつ
つ、大きな地振動に対して確実に免震効果を発揮させる
ことができる。
【0023】請求項6の発明では、請求項1、2,3、
4又は5の発明において、支持柱に、該支持柱を上下に
貫通する貫通孔が形成され、上記貫通孔内に、地震の水
平方向せん断エネルギーを吸収緩和するエネルギー吸収
体が配設されているものとする。
【0024】このことで、支持柱等が弾性体等に当接し
た後においても、エネルギー吸収体により地震の水平方
向せん断エネルギーを吸収緩和することができると共
に、そのときの支持柱のせん断変形度合いを、エネルギ
ー吸収体の材質等により調整することができる。
【0025】請求項7の発明では、請求項6の発明にお
いて、エネルギー吸収体は、鉛からなるものとする。こ
うすることで、従来の免震支承ゴムタイプの免震装置に
設けられている鉛プラグと同様に、日常の風圧や微振動
に対する水平変位を防止する効果を有し、しかも、地震
の水平方向せん断エネルギーの吸収効果を高めることが
できる。
【0026】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1及び図2は、
本発明の実施形態1に係る免震装置Aを示し、この免震
装置Aは、建築物等の上部構造物と基礎との間に設けら
れ、地震に対する該上部構造物の揺れを抑えるようにし
たものであり、個人住宅等のように上部構造物が軽量で
ある場合に特にその免震効果を発揮するものである。上
記免震装置Aは、上記上部構造物と連結される円形のス
テンレス鋼製上板1と、この上板1の下側に対向して設
けられ、上下面が水平となるように上記基礎と連結され
る同じく円形のステンレス鋼製下板2とを備えている。
この上板1及び下板2は、該上板1及び下板2の外周部
をそれぞれ構成する外周側部材1a,2aとこの外周側
部材1a,2aの径方向内側部をそれぞれ構成する内周
側部材1b,2bとからなり、この上板1の両部材1
a,1b及び下板2の両部材2a,2bは互いに段差状
に形成された部分にて不図示のねじやボルト等によりそ
れぞれ同心状に強固に結合されている。
【0027】上記上板1の内周側部材1bの下面中心部
には、下方向に延びる略円柱状の支持柱3の上端部がね
じやボルト等により取付固定され、この支持柱3は、ゴ
ム層3a,3a,…と剛性板層3b,3b,…とが上下
方向に交互に積層されてなっている。この各ゴム層3a
は、天然ゴム又は合成ゴムを主体とする配合ゴムからな
り、各剛性板層3bは1枚又は複数枚の鋼板その他の金
属板又は強化プラスチック等の高剛性板からなる。すな
わち、この支持柱3は、従来の免震支承ゴムタイプの免
震装置における積層部と同様に、水平方向は剛性が低く
て容易にせん断変形する一方、上下方向は剛性が高くて
殆ど変形しないように構成されている。上記支持柱3の
上下両端部には取付板3d,3dが該両端部のゴム層3
a,3aと加硫接着されて固定されている。また、支持
柱3の中心部には、該支持柱3を上下に貫通する貫通孔
3cが形成され、この貫通孔3c内に、地震の水平方向
せん断エネルギーを吸収緩和する円柱状の鉛からなるエ
ネルギー吸収体3eが配設されている。
【0028】上記支持柱3の下端部には、下面に開口す
る円形凹状のローラ保持部6aを有するローラホルダー
6がねじやボルト等により取付固定され、このローラ保
持部6a内には、7つの略同径の球状のローラ5,5,
…が転がり可能に保持されている。つまり、同じ円周上
に略等間隔に配置された6つのローラ5,5,…と、該
6つのローラ5,5,…間の中心に配置された1つのロ
ーラ5とが保持されている。この各ローラ5は、耐食処
理鋼若しくはステンレス鋼又は潤滑性樹脂(ポリテトラ
フルオロエチレン等)からなっていて、上記支持柱3及
びローラホルダー6を介して上板1を下板2に対して支
持している。
【0029】上記上板1及び下板2の外周部を構成する
外周側部材1a,2aの全周同士は、該上板1及び下板
2間の空間を覆う円筒状のゴム部材8(弾性体)により
弾性的に接続されている。このゴム部材8は、上板1が
下板2に対して相対的に水平方向においてどの方向に移
動したときにも伸びて上板1を移動前の位置に復帰させ
る復元力を発生するようになっている。このゴム部材8
は天然ゴム若しくは合成ゴムを主体とする配合ゴム又は
そのいずれかの配合ゴムを繊維で補強した複合材からな
っている。また、このゴム部材8は、その上下両端部の
肉厚が上下方向中央部よりも滑らかに厚くなるように円
弧状に形成されて、上板1が下板2に対して水平方向に
相対移動したときに応力集中を緩和するようになってい
る。さらに、ゴム部材8の上下両端面に形成された各凹
部における水平面及び鉛直面全周が上板1及び下板2の
外周側部材1a,2aにおける対向面及び外側周面全周
にそれぞれ加硫接着され、上板1及び下板2間の空間は
略密閉状にされている。
【0030】上記ゴム部材8で覆われた上板1及び下板
2間の空間には、液状の粘性材料又は粉状若しくは粒状
の高分子材料からなる減衰剤10が充填されている。
【0031】以上の構成からなる免震装置Aの組立方法
を図3により説明する。先ず、ゴム部材8の上下両端面
の各凹部に上板1及び下板2の外周側部材1a,2aを
それぞれ嵌め込み、その各凹部の水平面及び鉛直面全周
を外周側部材1a,2aの対向面及び外側周面全周にそ
れぞれ加硫接着する。
【0032】続いて、上板1の内周側部材1bの下面に
予めねじやボルト等により取付固定した支持柱3の貫通
孔3c内にエネルギー吸収体3eを挿入した後、支持柱
3の下端部にローラホルダー6をねじやボルト等により
取付固定する。尚、支持柱3の上下両端部の取付板3
d,3dは、予め該両端部のゴム層3a,3aと加硫接
着しておくものであり、この各取付板3dにねじやボル
トを螺合して、支持柱3と上板1の内周側部材1b及び
ローラホルダー6とを取付固定する。
【0033】そして、上記内周側部材1bを外周側部材
1aにねじやボルト等により結合した後、天地を逆にし
て上板1を下側となるようにする。その後、ローラホル
ダー6のローラ保持部6a内に7つのローラ5を上述の
如く配置した状態で保持する。
【0034】次に、ゴム部材8の内側に減衰剤10を充
填した後、上板1と同様に、下板2の内周側部材2bを
外周側部材2aにねじやボルト等により結合することに
より免震装置Aが完成する。
【0035】上記免震装置Aを上部構造物を構成する柱
等と基礎との間に設ける場合、同じ円周上に略等間隔に
配置された6つのローラ5,5,…間の中心のローラ5
に上部構造物の荷重がかかるように上板1と上部構造物
とを連結すれば、上部構造物を安定して支持することが
できると共に、地震発生時には、どの方向に地震力を受
けても上板1は下板2に対してスムーズに相対移動す
る。
【0036】このとき、上板1が下板2に対して水平方
向にずれ、その方向にゴム部材8が変形して伸びるた
め、ゴム部材8には上板1を移動前の位置に復帰させる
復元力が発生する。この復元力が減衰剤10の流動抵抗
力と共に減衰力として作用する。この結果、上部構造物
を上下移動させることなく水平揺れを抑えることがで
き、建築物内部に設置したものが倒れるのを防止するこ
とができる。しかも、地震収束後は上板1ないし上部構
造物を移動前の位置に戻すことができる。さらに、ゴム
部材8の復元力及び減衰剤10の抵抗力並びに上板1の
水平移動量は、ゴム部材8の材質、大きさ、断面形状等
や減衰剤10の材質、使用量等をそれぞれ変えることに
より、上部構造物の重さに応じて最適値に設定すること
ができる。また、ゴム部材8は、上板1が下板2に対し
て水平方向においてどの方向に移動したときにも同じ復
元力が発生するので、どの方向からの地震力に対しても
同じように機能させることができる。さらに、微小な地
震動や台風時のような風圧が上部構造物に作用しても、
減衰剤10の抵抗力により上板1の移動を阻止すること
ができる。
【0037】そして、上板1は各ローラ5、ローラホル
ダー6及び支持柱3によって支持され、この支持柱3は
各ゴム層3aと各剛性板層3bとが交互に積層されてな
るので、可撓性部材のみで支持する場合よりも経年劣化
による上部構造物の高さの変化を抑制することができ
る。しかも、この支持柱3の積層構造により、予想以上
に大きな地震が発生したときでも、免震装置Aの破損を
防止することができる。すなわち、そのような地震が発
生した場合には、支持柱3又はローラホルダー6を、ゴ
ム部材8の内周面や該内周面の内側近傍に位置するよう
に下板2の上面に別途立設した筒状ストッパー部材の内
周面等に当接させることで上板1の過大な移動を規制す
ることができる反面、その当接時の衝撃力により支持柱
3、ローラホルダー6、ゴム部材8等が破損する可能性
がある。しかし、この実施形態では、支持柱3がゴム部
材8等に当接してもせん断変形して上板1をさらに水平
移動させるので、当接時の衝撃エネルギーを上板1の運
動エネルギーに変換して衝撃力を緩和することができ
る。また、支持柱3の貫通孔3c内のエネルギー吸収体
3eにより、支持柱3又はローラホルダー6がゴム部材
8等に当接した後においても、地震の水平方向せん断エ
ネルギーを吸収緩和することができると共に、そのとき
の支持柱3のせん断変形度合いを、エネルギー吸収体3
eの材質や直径等により調整することができる。よっ
て、免震装置Aを小型化しつつ、予想以上の震度の地震
に対する安全性を確実に確保することができる。
【0038】尚、上記実施形態1では、ローラホルダー
6のローラ保持部6a内に、同じ円周上に略等間隔に配
置された6つのローラ5,5,…と、該6つのローラ
5,5,…間の中心に配置された1つのローラ5とを保
持するようにしたが、少なくとも3つの略同径のローラ
5,5,…を同じ円周上に略等間隔に配置するようにし
てもよい。そして、1つのローラ5のみでも本発明を適
用することができる。但し、上板1の支持構造として
は、7つのローラ5,5,…を上記実施形態のように配
置する方がより望ましい。
【0039】(実施形態2)図4は本発明の実施形態2
を示し(尚、図1と同じ部分については同じ符号を付し
てその詳細な説明は省略する)、上記実施形態1におけ
る各ローラ5及びローラホルダー6の代わりに、ポリテ
トラフルオロエチレン等の潤滑性樹脂からなる摺動部材
7を設けたものである。
【0040】すなわち、この実施形態では、上記摺動部
材7が、支持柱3の下端部にねじやボルト等により取付
固定されていて、支持柱3と共に上板1を下板2に対し
て相対的に水平方向に摺動可能に支持している。したが
って、地震発生時には、摺動部材7により上板1が下板
2に対してスムーズに摺動し、上記実施形態1と同様の
作用効果を得ることができる。特に、摺動部材7をポリ
テトラフルオロエチレンとすれば、高い圧縮強さが得ら
れ、しかも、良好な摺動性を長い期間に亘って持続させ
ることができる。また、支持柱3の構成も上記実施形態
1と同様であるので、予想以上に大きな震度の地震が発
生しても高い安全性が得られる。
【0041】尚、上記実施形態2では、潤滑性樹脂から
なる摺動部材7を支持柱3に取付固定したが、上板1を
確実に支持しかつ摺動性が良好なものであれば他の樹脂
や金属であっても本発明を適用することができる。そし
て、下板2の内周側部材2bと略同じ大きさの摺動部材
7を内周側部材2bの上面に取付固定し、支持柱3がそ
の摺動部材7の上面を摺動するように構成してもよい。
【0042】また、上記実施形態1,2では、上板1及
び下板2をそれぞれ外周側部材1a,2aと内周側部材
1b,2bとの2部材で構成された円形のステンレス鋼
製としたが、他の金属や強化プラスチック等の高剛性材
料を使用してもよい。但し、下板2において少なくとも
摺動部材7(各ローラ5)が摺動する(転がる)部分
(下板2の内周側部材2bの上面部)はステンレス鋼で
あることが望ましい。そして、上板1及び下板2は、多
角形状であってもよく、それぞれ1部材で構成されてい
てもよい。但し、組立性を向上させる観点から上述の如
く2部材で構成した方がよい。
【0043】さらに、上記実施形態1,2では、ゴム部
材8で覆われた上板1及び下板2間の空間に減衰剤10
を充填したが、この減衰剤10は必ずしも必要ではな
く、各ローラ5又は摺動部材7の材質や大きさにより下
板2との摩擦係数を変えてその摩擦力を調節することで
対応することも可能である。
【0044】また、上記実施形態1,2では、支持柱3
を上板1の内周側部材1bの下面中心部に取付固定した
が、免震装置Aの平面的な大きさに余裕があれば、上板
1の外周部以外の下面つまり内周側部材1bの下面であ
れば支持柱3をどこに取付固定してもよい。
【0045】さらにまた、上記実施形態1,2では、支
持柱3の貫通孔3c内に鉛からなるエネルギー吸収体3
eを設けたが、このエネルギー吸収体3eは必ずしも必
要ではなく、支持柱3の各ゴム層3a及び各剛性板層3
bでそのせん断変形量を調整することも可能である。
【0046】加えて、上記実施形態1,2では、弾性体
としてゴム部材8を用いたが、例えばコイルばねを用い
ることも可能である。すなわち、図5に示すように(同
図では実施形態1のタイプを示しているが、実施形態2
のタイプでも同様である)、上板1及び下板2の外周側
部材1a,2aにおける側周面に、円周方向に略等間隔
をあけて複数のばね支持部1c,1c,…、2c,2
c,…を上下に互いに対応してそれぞれ設け、この上板
1及び下板2の上下に対応する各ばね支持部1c,2c
に弾性体としてのコイルばね15をそれぞれ掛け渡す。
こうすれば、ゴム部材8を用いた場合と同様に、上板1
が下板2に対して水平方向においてどの方向に移動して
もコイルばね15,15,…全体で略同じ復元力を発生
させるようにすることができる上、各コイルばね15の
復元力の調節も容易であるので、上記実施形態1,2に
おいて減衰剤10を使用しない場合と同様の作用効果を
得ることができる。
【0047】
【実施例】次に、具体的に実施した実施例について説明
する。上記実施形態1又は2と同様にして4つの免震装
置Aを作製し、この各免震装置Aを、図6に示すよう
に、個人住宅における上部構造物21の四隅に位置する
各柱22と基礎23との間に設けた。この基礎23は、
試験のために複数のコロ24,24,…上に設置されて
いて、この基礎23に対して水平方向に振動を加えて揺
らすことが可能とされている。ここで、上記各免震装置
Aの水平方向ばね定数は45kgf/cmとし、水平方
向減衰係数は34kgf・s/cmとした。また、上部
構造物21の重量は、一般の木造住宅と略同じ40tと
した。
【0048】そして、上記基礎23に対して水平方向に
兵庫県南部地震で観測された地震波を入力して上部構造
物21の振動減衰効果を調べた。この結果、上部構造物
21の水平方向の最大加速度は約1/4に低減し、最大
変位は約15cmとなり、免震効果が十分に発揮されて
いることが確認された。
【0049】次に、上記各免震装置Aを免震床に適用し
た場合の免震効果を調べた。すなわち、図7に示すよう
に、各免震装置Aを上部構造物としての床部材26と複
数のコロ24,24,…上に設置した基礎23との間の
四隅に設け、その基礎23に対して上記加振試験と同様
の地震波を入力した。この結果、この各免震装置Aは免
震床として用いても十分な免震効果が得られ、建築物内
部における精密機械室や電算機室等の免震床に適用可能
であることが判った。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明で
は、上板の下面に、ゴム層と剛性板層とが上下方向に交
互に積層されてなる支持柱を固定し、この支持柱の下端
部に設けたローラホルダーのローラ保持部内に球状のロ
ーラを転がり可能に保持し、上板が下板に対して相対的
に水平方向に移動したときに伸びる弾性体により上板及
び下板の外周部同士を弾性的に接続するようにした。ま
た、請求項2の発明では、支持柱の下端部と下板の上面
との少なくともいずれか一方に、支持柱と共に上板を下
板に対して相対的に水平方向に摺動可能に支持する摺動
部材を設けた。したがって、これらの発明によると、軽
量の上部構造物であっても上下変動させることなく水平
振動を緩和・吸収するという免震機能を有効に発揮させ
ることができる小形・軽量な免震装置が得られる。ま
た、支持柱の積層構造により、予想以上に大きな震度の
地震が発生して支持柱等が弾性体等に当接したとして
も、その衝撃エネルギーを上板の運動エネルギーとして
逃がすことができ、免震装置の安全性を確保することが
できる。
【0051】請求項3の発明によると、潤滑性樹脂から
なる摺動部材を支持柱の下端部に固定したことにより、
摺動部材を小形にしても安定して摺動させることができ
ると共に、摺動部材のコスト低減を図ることができる。
【0052】請求項4の発明によると、潤滑性樹脂をポ
リテトラフルオロエチレンとし、下板において少なくと
も潤滑性樹脂が摺動する部分をステンレス鋼としたこと
により、上部構造物を確実に支持しつつ、長期間に亘っ
て摺動特性を安定させることができる。
【0053】請求項5の発明によると、弾性体を、上板
及び下板の外周部全周同士を接続しかつ上板及び下板間
の空間を覆う筒状のゴム部材とし、このゴム部材で覆わ
れた上板及び下板間の空間に、液状の粘性材料又は粉状
若しくは粒状の高分子材料からなる減衰剤を充填したこ
とにより、地震力の方向に左右されずに、減衰力や復元
力を確保することができると共に、上部構造物に日常的
に作用する風力等には反応せず、大きな地振動に対して
確実に免震効果を発揮させるトリガー効果を持たせるこ
とができる。
【0054】請求項6の発明によると、支持柱の上下貫
通孔内に、地震の水平方向せん断エネルギーを吸収緩和
するエネルギー吸収体を配設したことにより、予想以上
に震度が大きい地震が発生しても、エネルギー吸収体に
より地震の水平方向せん断エネルギーを吸収緩和するこ
とができる。
【0055】請求項7の発明によると、エネルギー吸収
体を鉛としたことにより、地震の水平方向せん断エネル
ギーを効果的に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る免震装置を示す断面
図である。
【図2】免震装置の平面図である。
【図3】免震装置の組立手順を示す分解図である。
【図4】実施形態2を示す図1相当図である。
【図5】弾性体としてコイルばねを用いた実施形態1,
2の変形例を示す図1相当図である。
【図6】免震装置を個人住宅に適用してその免震効果を
調べる試験の要領を示す概略図である。
【図7】免震装置を免震床に適用してその免震効果を調
べる試験の要領を示す概略図である。
【図8】従来の免震支承ゴムタイプの免震装置を示す断
面図である。
【符号の説明】
A 免震装置 1 上板 2 下板 3 支持柱 3a ゴム層 3b 剛性板層 3c 貫通孔 3e エネルギー吸収体 5 ローラ 6 ローラホルダー 6a ローラ保持部 7 摺動部材 8 ゴム部材(弾性体) 10 減衰剤 15 コイルばね(弾性体) 21 上部構造物 23 基礎 26 床部材(上部構造物)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16F 15/02 F16F 15/02 J 15/04 15/04 A

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部構造物と基礎との間に設けられ、地
    震に対する該上部構造物の揺れを抑えるようにした免震
    装置であって、 上記上部構造物と連結される上板と、 上記上板の下側に対向して設けられ、上記基礎と連結さ
    れる下板と、 上記上板の外周部以外の下面に下方向に延びるように固
    定され、ゴム層と剛性板層とが上下方向に交互に積層さ
    れてなる支持柱と、 上記支持柱の下端部に設けられ、下面に開口するローラ
    保持部を有するローラホルダーと、 上記ローラホルダーのローラ保持部内に転がり可能に保
    持され、上記支持柱と共に上記上板を下板に対して支持
    する球状のローラと、 上記上板及び下板の外周部の少なくとも一部同士を弾性
    的に接続し、該上板が下板に対して相対的に水平方向に
    移動したときに伸びる弾性体とを備えていることを特徴
    とする免震装置。
  2. 【請求項2】 上部構造物と基礎との間に設けられ、地
    震に対する該上部構造物の揺れを抑えるようにした免震
    装置であって、 上記上部構造物と連結される上板と、 上記上板の下側に対向して設けられ、上記基礎と連結さ
    れる下板と、 上記上板の外周部以外の下面に下方向に延びるように固
    定され、ゴム層と剛性板層とが上下方向に交互に積層さ
    れてなる支持柱と、 上記支持柱の下端部と下板の上面との少なくともいずれ
    か一方に設けられ、該支持柱と共に上記上板を下板に対
    して相対的に水平方向に摺動可能に支持する摺動部材
    と、 上記上板及び下板の外周部の少なくとも一部同士を弾性
    的に接続して、該上板が下板に対して相対的に水平方向
    に摺動したときに伸びる弾性体とを備えていることを特
    徴とする免震装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の免震装置において、 摺動部材は、潤滑性樹脂からなっていて、支持柱の下端
    部に固定されていることを特徴とする免震装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の免震装置において、 潤滑性樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンであり、 下板において少なくとも上記潤滑性樹脂が摺動する部分
    がステンレス鋼からなることを特徴とする免震装置。
  5. 【請求項5】 請求項1、2,3又は4記載の免震装置
    において、 弾性体は、上板及び下板の外周部全周同士を接続しかつ
    上板及び下板間の空間を覆う筒状のゴム部材からなり、 上記ゴム部材で覆われた上板及び下板間の空間に、液状
    の粘性材料又は粉状若しくは粒状の高分子材料からなる
    減衰剤が充填されていることを特徴とする免震装置。
  6. 【請求項6】 請求項1、2,3、4又は5記載の免震
    装置において、 支持柱に、該支持柱を上下に貫通する貫通孔が形成さ
    れ、 上記貫通孔内に、地震の水平方向せん断エネルギーを吸
    収緩和するエネルギー吸収体が配設されていることを特
    徴とする免震装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の免震装置において、 エネルギー吸収体は、鉛からなることを特徴とする免震
    装置。
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