JPH11287054A - 免震装置 - Google Patents
免震装置Info
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- JPH11287054A JPH11287054A JP8966198A JP8966198A JPH11287054A JP H11287054 A JPH11287054 A JP H11287054A JP 8966198 A JP8966198 A JP 8966198A JP 8966198 A JP8966198 A JP 8966198A JP H11287054 A JPH11287054 A JP H11287054A
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- Japan
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- ball
- steel plate
- seismic isolation
- isolation device
- plate
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- Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
- Vibration Prevention Devices (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 地震に対する上部構造物の揺れを抑えるよう
にした免震装置において、地震収束後に初期状態にスム
ーズに復帰させることを目的とする。 【解決手段】 上部構造物と連結される上側鋼板2と、
この上側鋼板2の下側に対向して設けられ基礎と連結さ
れる下側鋼板3との外周部を、全周に亘って、筒状のゴ
ム部材8にて連結する。上側鋼板2に、ボール保持部5
aを有するボールホルダ5の支持柱5bの基端部を固定
する。ボール保持部5aに保持されるボール6,・・
を、下側鋼板3の球面形状の凹面3a又は円錐面形状の
凹面3bに転動可能に当接させる。ボール6,・・は、
上側鋼板2と下側鋼板3とが相対移動していない中立状
態で、凹面3a,3bの最も深さの深い部分に位置して
いる。
にした免震装置において、地震収束後に初期状態にスム
ーズに復帰させることを目的とする。 【解決手段】 上部構造物と連結される上側鋼板2と、
この上側鋼板2の下側に対向して設けられ基礎と連結さ
れる下側鋼板3との外周部を、全周に亘って、筒状のゴ
ム部材8にて連結する。上側鋼板2に、ボール保持部5
aを有するボールホルダ5の支持柱5bの基端部を固定
する。ボール保持部5aに保持されるボール6,・・
を、下側鋼板3の球面形状の凹面3a又は円錐面形状の
凹面3bに転動可能に当接させる。ボール6,・・は、
上側鋼板2と下側鋼板3とが相対移動していない中立状
態で、凹面3a,3bの最も深さの深い部分に位置して
いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上部構造物と基礎
との間に設けられ、地震に対する上部構造物の揺れを抑
えるようにした免震装置に関する。本発明は、主として
上部構造物が軽量の場合に用いられるもので、具体的に
は、個人住宅、低層建築物、木造社寺、工場や病院内の
精密機械室、電算機室、免震床、免震台(例えば美術工
芸品用台)に用いられる。
との間に設けられ、地震に対する上部構造物の揺れを抑
えるようにした免震装置に関する。本発明は、主として
上部構造物が軽量の場合に用いられるもので、具体的に
は、個人住宅、低層建築物、木造社寺、工場や病院内の
精密機械室、電算機室、免震床、免震台(例えば美術工
芸品用台)に用いられる。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の免震装置としては、
例えば図4(a)(b)に示すように、上部構造物及び
基礎にそれぞれ連結される円形状の上側板a及び下側板
bの間において天然ゴムなどからなるゴムcと鋼板dと
を交互に積層した免震支承ゴムタイプのものがよく知ら
れている。このものは、ゴムcと鋼板dとを交互に積層
した積層部の鉛直剛性でもって上部構造物の荷重を支持
し、地震時の横揺れに対しては、ゴムcの低いせん断力
で対応すると同時に、中心部に設けた鉄や鉛のプラグe
の減衰機能により水平方向の力を吸収するようになって
いる。また、前記プラグeの代わりに油圧機構で減衰さ
れるようにしたものや、ゴムcを高減衰のものにしてゴ
ムc自体で減衰機能を発揮させるようにしたものがあ
る。
例えば図4(a)(b)に示すように、上部構造物及び
基礎にそれぞれ連結される円形状の上側板a及び下側板
bの間において天然ゴムなどからなるゴムcと鋼板dと
を交互に積層した免震支承ゴムタイプのものがよく知ら
れている。このものは、ゴムcと鋼板dとを交互に積層
した積層部の鉛直剛性でもって上部構造物の荷重を支持
し、地震時の横揺れに対しては、ゴムcの低いせん断力
で対応すると同時に、中心部に設けた鉄や鉛のプラグe
の減衰機能により水平方向の力を吸収するようになって
いる。また、前記プラグeの代わりに油圧機構で減衰さ
れるようにしたものや、ゴムcを高減衰のものにしてゴ
ムc自体で減衰機能を発揮させるようにしたものがあ
る。
【0003】この免震支承ゴムタイプの免震装置は、構
造が単純であり、しかも、施工前の設計において地震力
の減衰性能の予測が容易であり、施工作業や施工後の維
持管理も簡単であるため、大型集合住宅、病院などの大
型建築物用の免震装置としてかなり普及している。
造が単純であり、しかも、施工前の設計において地震力
の減衰性能の予測が容易であり、施工作業や施工後の維
持管理も簡単であるため、大型集合住宅、病院などの大
型建築物用の免震装置としてかなり普及している。
【0004】このような免震支承ゴムタイプの免震装置
は、その性能を有効に発揮するための前提条件として、
上部構造物から受ける鉛直荷重が多大であることが必要
とされるので、個人住宅などの軽量の上部構造物には用
いることができない。すなわち、免震支承ゴムタイプの
ものでは、上部構造物から受ける鉛直荷重が面圧で50
〜100kg/cm2の大きさのときに期待するせん断
力と水平方向変位とを発揮するように断面積と高さとの
バランスを考慮して作製されているため、上部構造物が
軽量でかつ設置面積が小さい個人住宅などに適用しよう
とすると、断面積が小さくかつ高さが大きいものとな
り、座屈を生じ易い不安定なものとなる。そのため、大
型集合住宅、病院などの大型建築物のみにしか採用され
ていないのが現状である。
は、その性能を有効に発揮するための前提条件として、
上部構造物から受ける鉛直荷重が多大であることが必要
とされるので、個人住宅などの軽量の上部構造物には用
いることができない。すなわち、免震支承ゴムタイプの
ものでは、上部構造物から受ける鉛直荷重が面圧で50
〜100kg/cm2の大きさのときに期待するせん断
力と水平方向変位とを発揮するように断面積と高さとの
バランスを考慮して作製されているため、上部構造物が
軽量でかつ設置面積が小さい個人住宅などに適用しよう
とすると、断面積が小さくかつ高さが大きいものとな
り、座屈を生じ易い不安定なものとなる。そのため、大
型集合住宅、病院などの大型建築物のみにしか採用され
ていないのが現状である。
【0005】その一方、兵庫県南部地震以降、免震装置
に関する関心が高まり、個人住宅への適用の必要性も高
まりつつあることから、個人住宅などの軽量の上部構造
物について、地震時の倒壊や、家具、調度品の転倒及び
落下を防止するための免震装置が各種提案されている。
具体的には、(1) 上下一対の硬質部材間に可撓性構造
体を設け、この可撓性構造体に流動部材が充填された多
数の区画室を形成することによって、簡単な構成で、地
震に対する上部構造物の揺れを抑えるようにしたもの
(例えば特開平8−326352号公報参照)、(2)
ゴムを用いないで、ベアリングなどのスライド機構とダ
ンパ機構とを組み合わせた免震装置であって、例えば2
つのスライド機構を略十字状に結合して上部構造物を基
礎に対して水平2方向に自由に移動可能とし、このスラ
イド機構にばねやオイルダンパなどのダンパ機構を別途
付加して上部構造物の揺れを抑えるようにしたもの、
(3) 鋼鉄製球を中央が底点となる放物型の円型鋼鉄製
皿受台で上下より挟んだ構成とし、鋼鉄製球が下側の皿
受台を上昇する際の反力により地震加速度を消滅させる
ことで上部構造物の横揺れを抑えるようにしたもの(例
えば特開平9−4279号公報参照)が提案されてい
る。
に関する関心が高まり、個人住宅への適用の必要性も高
まりつつあることから、個人住宅などの軽量の上部構造
物について、地震時の倒壊や、家具、調度品の転倒及び
落下を防止するための免震装置が各種提案されている。
具体的には、(1) 上下一対の硬質部材間に可撓性構造
体を設け、この可撓性構造体に流動部材が充填された多
数の区画室を形成することによって、簡単な構成で、地
震に対する上部構造物の揺れを抑えるようにしたもの
(例えば特開平8−326352号公報参照)、(2)
ゴムを用いないで、ベアリングなどのスライド機構とダ
ンパ機構とを組み合わせた免震装置であって、例えば2
つのスライド機構を略十字状に結合して上部構造物を基
礎に対して水平2方向に自由に移動可能とし、このスラ
イド機構にばねやオイルダンパなどのダンパ機構を別途
付加して上部構造物の揺れを抑えるようにしたもの、
(3) 鋼鉄製球を中央が底点となる放物型の円型鋼鉄製
皿受台で上下より挟んだ構成とし、鋼鉄製球が下側の皿
受台を上昇する際の反力により地震加速度を消滅させる
ことで上部構造物の横揺れを抑えるようにしたもの(例
えば特開平9−4279号公報参照)が提案されてい
る。
【0006】しかしながら、前記(1)の免震装置にお
いては、上部構造物からの荷重を支持するための可撓性
構造体が経年変化により劣化し、強度が低下し、上部構
造物の高さを長期間に亘って一定に保持することができ
ないという問題がある。また、製造上、内部に複数の区
画室を設けることは困難である。
いては、上部構造物からの荷重を支持するための可撓性
構造体が経年変化により劣化し、強度が低下し、上部構
造物の高さを長期間に亘って一定に保持することができ
ないという問題がある。また、製造上、内部に複数の区
画室を設けることは困難である。
【0007】また、前記(2)の免震装置においては、
どの方向からの地震力に対しても機能するようにするた
めには、スライド機構及びダンパ機構の構造が非常に複
雑となり、施工に先立つ設計の困難さやコスト高が問題
となり、普及していない。
どの方向からの地震力に対しても機能するようにするた
めには、スライド機構及びダンパ機構の構造が非常に複
雑となり、施工に先立つ設計の困難さやコスト高が問題
となり、普及していない。
【0008】さらに、前記(3)の免震装置において
は、地震による横揺れに対し、鋼鉄製球が放物線型の皿
受台上を移動するため、上部構造物が上下方向にも移動
するという問題がある。また、振動を減衰させるための
機構が重力によるものであるため、上部構造物が自由振
動に近い拳動を示し、振動の収束性に劣るという問題を
有している。
は、地震による横揺れに対し、鋼鉄製球が放物線型の皿
受台上を移動するため、上部構造物が上下方向にも移動
するという問題がある。また、振動を減衰させるための
機構が重力によるものであるため、上部構造物が自由振
動に近い拳動を示し、振動の収束性に劣るという問題を
有している。
【0009】そこで、出願人は、個人住宅などのように
上部構造物が軽量の場合にも、地震の震動に対して上下
方向の変位がなく、水平方向の変位に対応しかつ吸収し
て有効に免震機能を発揮させることができる免震装置と
して、上部構造物及び基礎にそれぞれ連結される上下側
鋼板の間(側面)を弾性体(例えばゴム部材やコイルス
プリング)で連結すると共に、上側鋼板の下面に下方向
に突出するボールホルダを設け、このボールホルダの下
端部のボール保持部にボールを設けて、ボールが下側鋼
板に対し転動可能となるようにしたものを開発し、先に
出願している。このものにおいては、上側鋼板をボール
ホルダを介して下側鋼板に対し移動可能に支持させてい
ることから、地震発生時において、前記両鋼板が水平方
向において相対移動する際には、弾性体が伸びることに
よる復元力とボールホルダの下端部のボールの転がり摩
擦抵抗力とによって、地震の震動エネルギが吸収され、
地震収束後には、前記弾性体の伸びによって生ずる復元
力にて、前記両鋼板が対向した位置関係となり弾性体に
復元力が生じていない中立状態へ復帰させるようになっ
ている。
上部構造物が軽量の場合にも、地震の震動に対して上下
方向の変位がなく、水平方向の変位に対応しかつ吸収し
て有効に免震機能を発揮させることができる免震装置と
して、上部構造物及び基礎にそれぞれ連結される上下側
鋼板の間(側面)を弾性体(例えばゴム部材やコイルス
プリング)で連結すると共に、上側鋼板の下面に下方向
に突出するボールホルダを設け、このボールホルダの下
端部のボール保持部にボールを設けて、ボールが下側鋼
板に対し転動可能となるようにしたものを開発し、先に
出願している。このものにおいては、上側鋼板をボール
ホルダを介して下側鋼板に対し移動可能に支持させてい
ることから、地震発生時において、前記両鋼板が水平方
向において相対移動する際には、弾性体が伸びることに
よる復元力とボールホルダの下端部のボールの転がり摩
擦抵抗力とによって、地震の震動エネルギが吸収され、
地震収束後には、前記弾性体の伸びによって生ずる復元
力にて、前記両鋼板が対向した位置関係となり弾性体に
復元力が生じていない中立状態へ復帰させるようになっ
ている。
【0010】ところで、この免震装置においては、地震
の揺れを和らげ、振動加速度を低下させるためには、弾
性体の引っ張り剛性があまり大きくないことが重要であ
る。
の揺れを和らげ、振動加速度を低下させるためには、弾
性体の引っ張り剛性があまり大きくないことが重要であ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うな免震装置において、弾性体の引っ張り剛性を細かく
調整することは困難であり、また、調整により引っ張り
剛性を小さくし過ぎた場合には、弾性体の復元力が、ボ
ールホルダの下端部のホールの転がり摩擦抵抗力よりも
小さくなる場合があり、そのような力関係が地震収束の
段階で生ずると、弾性体による復元力が作用していて
も、中立状態に復帰するまでに、ボールの下側鋼板に対
す転動が停止してしまい、弾性体の復元力のみによって
は、上下側鋼板が中立状態に復帰しなくなるおそれがあ
る。
うな免震装置において、弾性体の引っ張り剛性を細かく
調整することは困難であり、また、調整により引っ張り
剛性を小さくし過ぎた場合には、弾性体の復元力が、ボ
ールホルダの下端部のホールの転がり摩擦抵抗力よりも
小さくなる場合があり、そのような力関係が地震収束の
段階で生ずると、弾性体による復元力が作用していて
も、中立状態に復帰するまでに、ボールの下側鋼板に対
す転動が停止してしまい、弾性体の復元力のみによって
は、上下側鋼板が中立状態に復帰しなくなるおそれがあ
る。
【0012】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、地震に対する上部構造物の揺れを抑えるようにし
た免震装置において、地震収束後に中立状態に無理なく
復帰させることを目的とする。
あり、地震に対する上部構造物の揺れを抑えるようにし
た免震装置において、地震収束後に中立状態に無理なく
復帰させることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項lの発明では、上
部構造物と基礎との間に設けられ、地震に対する前記上
部構造物の揺れを抑えるようにした免震装置であって、
前記上部構造物に連結される第1の板部材と、前記第1
の板部材の下側に略平行に対向して設けられ、前記基礎
に連結される第2の板部材と、先端部にボール保持部を
有し前記両板部材のうち一方の板部材に基端部が取付固
定されるボールホルダと、前記ボールホルダのボール保
持部内に保持され、前記両板部材のうち他方の板部材に
転動可能に当接し、前記ボールホルダと共に前記両板部
材の間隔を一定に保持する球状のボールと、前記第1の
板部材に一端部が、前記第2の板部材に他端部がれぞれ
固着され、前記両板部材が水平方向において相対移動し
たときに、前記両板部材が対向する中立状態へ復帰させ
る復元力を発現する弾性体と、前記他方の板部材に設け
られ、前記両板部材を水平方向において相対移動させる
力が解除されたときに、前記両板部材を中立状態に復帰
させる方向へボールを転動させるアシスト力を付与する
復帰アシスト手段とを備えている。ここで、請求項3の
発明のように、複数のボールを保持する場合は、すべて
のボールが、どの位置においても、他方の板部材の対向
面に確実に接触するように、一方の板部材にボールホル
ダに、ユニバーサルジョイントなどを用いて揺動可能に
支持させることが望ましいが、ボールが1つの場合は、
必ずしも揺動可能に支持させる必要はない。
部構造物と基礎との間に設けられ、地震に対する前記上
部構造物の揺れを抑えるようにした免震装置であって、
前記上部構造物に連結される第1の板部材と、前記第1
の板部材の下側に略平行に対向して設けられ、前記基礎
に連結される第2の板部材と、先端部にボール保持部を
有し前記両板部材のうち一方の板部材に基端部が取付固
定されるボールホルダと、前記ボールホルダのボール保
持部内に保持され、前記両板部材のうち他方の板部材に
転動可能に当接し、前記ボールホルダと共に前記両板部
材の間隔を一定に保持する球状のボールと、前記第1の
板部材に一端部が、前記第2の板部材に他端部がれぞれ
固着され、前記両板部材が水平方向において相対移動し
たときに、前記両板部材が対向する中立状態へ復帰させ
る復元力を発現する弾性体と、前記他方の板部材に設け
られ、前記両板部材を水平方向において相対移動させる
力が解除されたときに、前記両板部材を中立状態に復帰
させる方向へボールを転動させるアシスト力を付与する
復帰アシスト手段とを備えている。ここで、請求項3の
発明のように、複数のボールを保持する場合は、すべて
のボールが、どの位置においても、他方の板部材の対向
面に確実に接触するように、一方の板部材にボールホル
ダに、ユニバーサルジョイントなどを用いて揺動可能に
支持させることが望ましいが、ボールが1つの場合は、
必ずしも揺動可能に支持させる必要はない。
【0014】請求項1の発明によれば、地震発生時に
は、地震の震動エネルギによって、両板部材が水平方向
において相対移動せしめられ、この両板部材の相対移動
によって弾性体が伸ばされると共に、ボールが他の板部
材上を転動せしめられる。前記弾性体が伸ばされること
によって、前記両板部材を、弾性体が伸びていない、相
対移動前の中立状態に復帰させる復元力が発生する。こ
の復元力が、ボールが転動することにより生ずる転がり
摩擦力と共に、上部構造物の揺れを抑制するための減衰
力として作用する。このため、上部構造物の揺れが抑制
され、地震収束後は、両部材を水平方向において相対移
動させる力が解除され、前記弾性体の復元力によって、
前記中立状態に戻される。この際、復帰アシスト手段に
よって、両板部材を中立状態に復帰させる方向へボール
を転動させるアシスト力が付与され、中立状態に無理な
く復帰せしめられる。よって、上部構造物が軽量であっ
ても、有効に免震機能が発揮される。
は、地震の震動エネルギによって、両板部材が水平方向
において相対移動せしめられ、この両板部材の相対移動
によって弾性体が伸ばされると共に、ボールが他の板部
材上を転動せしめられる。前記弾性体が伸ばされること
によって、前記両板部材を、弾性体が伸びていない、相
対移動前の中立状態に復帰させる復元力が発生する。こ
の復元力が、ボールが転動することにより生ずる転がり
摩擦力と共に、上部構造物の揺れを抑制するための減衰
力として作用する。このため、上部構造物の揺れが抑制
され、地震収束後は、両部材を水平方向において相対移
動させる力が解除され、前記弾性体の復元力によって、
前記中立状態に戻される。この際、復帰アシスト手段に
よって、両板部材を中立状態に復帰させる方向へボール
を転動させるアシスト力が付与され、中立状態に無理な
く復帰せしめられる。よって、上部構造物が軽量であっ
ても、有効に免震機能が発揮される。
【0015】ここで、どの方向からの地震力に対しても
同じように免震機能を発揮し、地震収束後は中立状態へ
復帰できるように、前記弾性体は、前記両板部材に対し
周方向において均等に設けることが望ましい。
同じように免震機能を発揮し、地震収束後は中立状態へ
復帰できるように、前記弾性体は、前記両板部材に対し
周方向において均等に設けることが望ましい。
【0016】請求項2の発明は、請求項1の免震装置に
おいて、前記復帰アシスト手段が、他方の板部材に形成
され、前記ボールが転動する球面形状若しくは円錐面形
状の凹面であり、前記凹面は、中立状態で前記支ボール
が位置している部分の深さが最も深くなっているもので
ある。
おいて、前記復帰アシスト手段が、他方の板部材に形成
され、前記ボールが転動する球面形状若しくは円錐面形
状の凹面であり、前記凹面は、中立状態で前記支ボール
が位置している部分の深さが最も深くなっているもので
ある。
【0017】請求項2の発明によれば、他方の板部材に
球面形状若しくは円錐面形状の凹面が形成され、その上
をボール保持部に保持されるボールが転動するようにさ
れ、しかも中立状態でボールが位置している部分の深さ
が最も深くなっていることから、ボールを下方に変位さ
せようとする重力によるアシスト力により、弾性体によ
る復元力が小さくても、ボールは、凹面に沿って、その
深さが最も深い部分に案内され、結果として、中立状態
へ復帰せしめられる。
球面形状若しくは円錐面形状の凹面が形成され、その上
をボール保持部に保持されるボールが転動するようにさ
れ、しかも中立状態でボールが位置している部分の深さ
が最も深くなっていることから、ボールを下方に変位さ
せようとする重力によるアシスト力により、弾性体によ
る復元力が小さくても、ボールは、凹面に沿って、その
深さが最も深い部分に案内され、結果として、中立状態
へ復帰せしめられる。
【0018】請求項3の発明は、請求項1又は2の免震
装置において、前記ボールホルダが、さらに、一方の板
部材に一端部が固定された支持柱と、該支持柱に前記ボ
ール保持部を連結するユニバーサルジョイントとを有
し、前記ボール保持部に、同一円周上に略等間隔でもっ
て少なくとも3つの略同径のボールが配置されているも
のである。
装置において、前記ボールホルダが、さらに、一方の板
部材に一端部が固定された支持柱と、該支持柱に前記ボ
ール保持部を連結するユニバーサルジョイントとを有
し、前記ボール保持部に、同一円周上に略等間隔でもっ
て少なくとも3つの略同径のボールが配置されているも
のである。
【0019】請求項3の発明によれば、ボール保持部に
おいて同一円周上に略等間隔でもって配置された少なく
とも3つの略同径のボールにて支持されているので、一
方の板部材(従って上部構造物)の支持が安定してなさ
れ、また、一方の板部材に固定した支持柱にユニバーサ
ルジョイントを介してボール保持部が連結されているの
で、地震発生時にどの方向に地震を受けても、一方の板
部材はスムーズに移動せしめられる。
おいて同一円周上に略等間隔でもって配置された少なく
とも3つの略同径のボールにて支持されているので、一
方の板部材(従って上部構造物)の支持が安定してなさ
れ、また、一方の板部材に固定した支持柱にユニバーサ
ルジョイントを介してボール保持部が連結されているの
で、地震発生時にどの方向に地震を受けても、一方の板
部材はスムーズに移動せしめられる。
【0020】請求項4の発明は、請求項1、2又は3の
免震装置において、前記弾性体が、筒状のゴム部材であ
り、一端部が第1の板部材に、他端部が第2の板部材に
それぞれ外周部全周に亘って固着され、前記両板部材及
びゴム部材にて閉空間が形成されているものである。
免震装置において、前記弾性体が、筒状のゴム部材であ
り、一端部が第1の板部材に、他端部が第2の板部材に
それぞれ外周部全周に亘って固着され、前記両板部材及
びゴム部材にて閉空間が形成されているものである。
【0021】請求項4の発明によれば、両板部材が、外
周部全周に亘って筒状のゴム部材にて相互に連結されて
いることから、両板部材がどの方向に相対的に移動し
て、ずれが生じても、筒状のゴム部材がそのずれに応じ
て伸び、復元力が安定して発生することになる。
周部全周に亘って筒状のゴム部材にて相互に連結されて
いることから、両板部材がどの方向に相対的に移動し
て、ずれが生じても、筒状のゴム部材がそのずれに応じ
て伸び、復元力が安定して発生することになる。
【0022】請求項5の発明では、講求項4の免震装置
において、前記閉空間が、液状の粘性材料又は粉状若し
くは粒状の高分子材料からなる減衰剤が充填されてい
る。
において、前記閉空間が、液状の粘性材料又は粉状若し
くは粒状の高分子材料からなる減衰剤が充填されてい
る。
【0023】請求項5の発明によれば、閉空間に充填さ
れた減衰剤によって、上部構造物の揺れを抑制するため
の減衰力が容易に高められる。また、微小な地震動が発
生したり台風時のように大きな風圧が上部構造物に作用
したりしても、減衰剤の抵抗力により、上部構造物が連
結される第1の板部材の移動が抑制される。よって、上
部構造物の不用意な揺れを抑制しつつ、大きな地震動に
対して確実に免震効果が発揮される。
れた減衰剤によって、上部構造物の揺れを抑制するため
の減衰力が容易に高められる。また、微小な地震動が発
生したり台風時のように大きな風圧が上部構造物に作用
したりしても、減衰剤の抵抗力により、上部構造物が連
結される第1の板部材の移動が抑制される。よって、上
部構造物の不用意な揺れを抑制しつつ、大きな地震動に
対して確実に免震効果が発揮される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に沿って説明する。
に沿って説明する。
【0025】図l(a)(b)(c)は本発明に係る免
震装置1を示し、この免震装置1は、建築物などの上部
構造物と基礎との間に設けられ、地震に対する前記上部
構造物の揺れを抑えるようにしたものであり、個人住宅
などのように上部構造物が軽量である場合に、特にその
免震効果を発揮するものである。
震装置1を示し、この免震装置1は、建築物などの上部
構造物と基礎との間に設けられ、地震に対する前記上部
構造物の揺れを抑えるようにしたものであり、個人住宅
などのように上部構造物が軽量である場合に、特にその
免震効果を発揮するものである。
【0026】前記免震装置1は、上部構造物と連結され
る一方の板部材である上側鋼板2と、この上側鋼板lの
下側に平行に対向して設けられ、上下面が水平となるよ
うに基礎と連結される他方の板部材である下側鋼板3と
を備えている。なお、上側鋼板2と下側鋼板3とは、同
一径の円板形状とされている。
る一方の板部材である上側鋼板2と、この上側鋼板lの
下側に平行に対向して設けられ、上下面が水平となるよ
うに基礎と連結される他方の板部材である下側鋼板3と
を備えている。なお、上側鋼板2と下側鋼板3とは、同
一径の円板形状とされている。
【0027】前記上側鋼板2の下面中心部に、ボールホ
ルダ5の上端部が取付固定され、このボールホルダ5
は、下面に開口する円形凹状のボール保持部5aと、上
側鋼板2に一端部が固定された支持柱5bと、前記ボー
ル保持部5aと支持柱5bとの間に設けられたユニバー
サルジョイント5cとを有している。このボール保持部
5aは、球状ボールが転動可能に保持されている。尚、
図1(a)(b)には3つの略同径の球状ボール6,・
・が転動可能に保持されている場合を、図1(c)には
1つの球状ボール6が転動可能に保持されている場合を
示す。
ルダ5の上端部が取付固定され、このボールホルダ5
は、下面に開口する円形凹状のボール保持部5aと、上
側鋼板2に一端部が固定された支持柱5bと、前記ボー
ル保持部5aと支持柱5bとの間に設けられたユニバー
サルジョイント5cとを有している。このボール保持部
5aは、球状ボールが転動可能に保持されている。尚、
図1(a)(b)には3つの略同径の球状ボール6,・
・が転動可能に保持されている場合を、図1(c)には
1つの球状ボール6が転動可能に保持されている場合を
示す。
【0028】図1(a)(b)に示すように、球状ボー
ル6が複数個の場合は、各ボール6,・・は、同一円周
上に中心が位置するように略等間隔に配置され、ボール
ホルダ5のボール保持部5a内の上面に当接するように
なっている。また、ボールホルダ5の下面は、各ボール
6,・・の中心よりも下側でかつ下側鋼板3の上面より
も上側に位置するようになっている。このことで、各ボ
ール6,・・は、ボールホルダ5を介して上側鋼板2を
下側鋼板3に対してその上側鋼板2の上下面が水平とな
るように支持し、ボールホルダ5と共に、前記両鋼板
2,3の間隔を一定に保持する機能を発揮する。
ル6が複数個の場合は、各ボール6,・・は、同一円周
上に中心が位置するように略等間隔に配置され、ボール
ホルダ5のボール保持部5a内の上面に当接するように
なっている。また、ボールホルダ5の下面は、各ボール
6,・・の中心よりも下側でかつ下側鋼板3の上面より
も上側に位置するようになっている。このことで、各ボ
ール6,・・は、ボールホルダ5を介して上側鋼板2を
下側鋼板3に対してその上側鋼板2の上下面が水平とな
るように支持し、ボールホルダ5と共に、前記両鋼板
2,3の間隔を一定に保持する機能を発揮する。
【0029】前記上側鋼板lと下側鋼板3とは、それら
の間に閉空間を形成する円筒状のゴム部材8(弾性体)
にて弾性的に連結されている。すなわち、前記ゴム部材
8の上下両端部内に、上側鋼板2及び下側鋼板3がそれ
ぞれ嵌め込まれ、ゴム部材8の上下両端部が、上側鋼板
2及び下側鋼板3の外周部全周に亘って加硫接着されて
いる。このように加硫接着されることによって、ゴム部
材8と上側鋼板2及び下側鋼板3との連結を確実ならし
めるのに加えて、上側鋼板2と下側鋼板3との間の空間
を略密閉状に構成するようになっている。なお、このゴ
ム部材8としては、天然ゴム若しくは合成ゴムを主体と
する配合ゴム、又はそのいずれかの配合ゴムを繊維で補
強した繊維複合ゴムが用いられる。
の間に閉空間を形成する円筒状のゴム部材8(弾性体)
にて弾性的に連結されている。すなわち、前記ゴム部材
8の上下両端部内に、上側鋼板2及び下側鋼板3がそれ
ぞれ嵌め込まれ、ゴム部材8の上下両端部が、上側鋼板
2及び下側鋼板3の外周部全周に亘って加硫接着されて
いる。このように加硫接着されることによって、ゴム部
材8と上側鋼板2及び下側鋼板3との連結を確実ならし
めるのに加えて、上側鋼板2と下側鋼板3との間の空間
を略密閉状に構成するようになっている。なお、このゴ
ム部材8としては、天然ゴム若しくは合成ゴムを主体と
する配合ゴム、又はそのいずれかの配合ゴムを繊維で補
強した繊維複合ゴムが用いられる。
【0030】前記ゴム部材8で覆われた上側鋼板2と下
側鋼板3との間の閉空間には、減衰能力を調整するため
に、液状の粘性材料又は粉状若しくは粒状の高分子材料
からなる減衰剤10が充填されているが、必ずしもその
必要はなく、減衰剤の充填のない閉空間としてもよい。
なお、前記減衰剤10が充填される前記空間は略密閉状
であるので、減衰剤10が外部に漏れ出ることがなく、
前記減衰剤10の材質及び使用量を変えることにより減
衰力を調節することができる。
側鋼板3との間の閉空間には、減衰能力を調整するため
に、液状の粘性材料又は粉状若しくは粒状の高分子材料
からなる減衰剤10が充填されているが、必ずしもその
必要はなく、減衰剤の充填のない閉空間としてもよい。
なお、前記減衰剤10が充填される前記空間は略密閉状
であるので、減衰剤10が外部に漏れ出ることがなく、
前記減衰剤10の材質及び使用量を変えることにより減
衰力を調節することができる。
【0031】前記柱部材5と下側鋼板3との間には、前
記両鋼板2,3を水平方向において相対移動させる力が
解除されたときに、両鋼板2,3を前記中立状態に復帰
させる方向へボール6,・・を転動させるアシスト力を
付与する復帰アシスト手段が設けられている。
記両鋼板2,3を水平方向において相対移動させる力が
解除されたときに、両鋼板2,3を前記中立状態に復帰
させる方向へボール6,・・を転動させるアシスト力を
付与する復帰アシスト手段が設けられている。
【0032】この復帰アシスト手段は、ボール6,・・
が転動する下側鋼板3の上面に、中心部が最も低い(す
なわち深い)、曲率半径が一定である球面形状の凹面3
a(図1(b)参照)又は円錐面形状の凹面3b(図1
(c)参照)として形成され、前記上側鋼板2及び下側
鋼板3が上下において対向する位置関係となる中立状態
(ゴム部材8による復元力が作用していない)において
は、ボール6,・・を、前記凹面3a,3bの最も深さ
が深い中心部に位置させるように構成されている。
が転動する下側鋼板3の上面に、中心部が最も低い(す
なわち深い)、曲率半径が一定である球面形状の凹面3
a(図1(b)参照)又は円錐面形状の凹面3b(図1
(c)参照)として形成され、前記上側鋼板2及び下側
鋼板3が上下において対向する位置関係となる中立状態
(ゴム部材8による復元力が作用していない)において
は、ボール6,・・を、前記凹面3a,3bの最も深さ
が深い中心部に位置させるように構成されている。
【0033】このように、下側鋼板3の上面にボール
6,・・が転動する球面形状の凹面3a又は円錐面形状
の凹面3bを形成したので、地震収束後に、ゴム部材8
の変形による復元力に加えて、凹面3a,3bとボール
6,・・との係合関係で、中立状態へ復帰させる方向へ
の重力によるアシスト力が作用するため、ゴム部材8の
変形による復元力が小さくても、ボール6,・・が中立
状態へ転動するのがアシストされて、ボール6,・・が
最も深さが深い中心部に移動せしめられ、中立状態に無
理なく復帰せしめられることになる。
6,・・が転動する球面形状の凹面3a又は円錐面形状
の凹面3bを形成したので、地震収束後に、ゴム部材8
の変形による復元力に加えて、凹面3a,3bとボール
6,・・との係合関係で、中立状態へ復帰させる方向へ
の重力によるアシスト力が作用するため、ゴム部材8の
変形による復元力が小さくても、ボール6,・・が中立
状態へ転動するのがアシストされて、ボール6,・・が
最も深さが深い中心部に移動せしめられ、中立状態に無
理なく復帰せしめられることになる。
【0034】なお、前記下側鋼板3の凹面3aの曲率半
径や凹面3bの円錐面の傾きを変化させることで、ボー
ル6,・・の摺動による上側鋼板2及びボールホルダ5
の復元力を調整することができるが、前記ボール6,・
・が凹面3a,3b上を上昇する際に発生する(重力に
対する)抵抗力が免震装置1に減衰力を付加することに
なるので、この減衰力の調整も、凹面3aの曲率半径や
凹面3bの円錐面の傾きを調整することで可能となる。
径や凹面3bの円錐面の傾きを変化させることで、ボー
ル6,・・の摺動による上側鋼板2及びボールホルダ5
の復元力を調整することができるが、前記ボール6,・
・が凹面3a,3b上を上昇する際に発生する(重力に
対する)抵抗力が免震装置1に減衰力を付加することに
なるので、この減衰力の調整も、凹面3aの曲率半径や
凹面3bの円錐面の傾きを調整することで可能となる。
【0035】続いて、前述した免震装置1の動作につい
て説明する。
て説明する。
【0036】前記免震装置1は、例えば図2に示すよう
に、個人住宅である軽量の上部構造物21の四隅に位置
する各柱22と基礎23との間にそれぞれ設けられるも
のであるが、そのように設けた場合には、上部構造物2
1及びそれに連結された上側鋼板2は、ボール6,・・
によって、ボールホルダ5を介して支持されることとな
る。よって、両鋼板2,3の間隔はそれらにて一定に保
持され、両鋼板2,3の相対移動の際に、上部構造物を
上下移動させることはなく、また、経年劣化により上部
構造物21の高さが変化するということはない。
に、個人住宅である軽量の上部構造物21の四隅に位置
する各柱22と基礎23との間にそれぞれ設けられるも
のであるが、そのように設けた場合には、上部構造物2
1及びそれに連結された上側鋼板2は、ボール6,・・
によって、ボールホルダ5を介して支持されることとな
る。よって、両鋼板2,3の間隔はそれらにて一定に保
持され、両鋼板2,3の相対移動の際に、上部構造物を
上下移動させることはなく、また、経年劣化により上部
構造物21の高さが変化するということはない。
【0037】また、微小な地震動が発生したり、台風時
のように大きな風圧が上部構造物21に作用したりして
も、減衰剤10の抵抗力により上部構造物21及び上側
鋼板2の移動が抑制される。すなわち、減衰剤10の抵
抗力によって、上部構造物21に日常的に作用する風力
などには反応せず、大きな地震動に対して、はじめて免
震効果を発揮することになる。
のように大きな風圧が上部構造物21に作用したりして
も、減衰剤10の抵抗力により上部構造物21及び上側
鋼板2の移動が抑制される。すなわち、減衰剤10の抵
抗力によって、上部構造物21に日常的に作用する風力
などには反応せず、大きな地震動に対して、はじめて免
震効果を発揮することになる。
【0038】さらに、図1(a)(b)に示すように、
3つの各ボール6,・・を、ボールホルダ5のボール保
持部5aにおいて同一円周上に略等間隔に配置したもの
では、その3つのボール6,・・の中心に、上部構造物
21の荷重が各柱22を介して作用するように上側鋼板
2と上部構造物21とを連結するようにすれば、上部構
造物21が安定して支持されると共に、地震発生時にど
の方向に地震力を受けても、上側鋼板2は下側鋼板3に
対してスムーズに相対移動することになる。よって、図
1(c)に示すように、1つのボール6をボール保持部
5aに配置するものでは、そのボール6の中心に、上部
構造物21の荷重が各柱22を介して作用するように上
側鋼板2と上部構造物21とを連結することが望まし
い。
3つの各ボール6,・・を、ボールホルダ5のボール保
持部5aにおいて同一円周上に略等間隔に配置したもの
では、その3つのボール6,・・の中心に、上部構造物
21の荷重が各柱22を介して作用するように上側鋼板
2と上部構造物21とを連結するようにすれば、上部構
造物21が安定して支持されると共に、地震発生時にど
の方向に地震力を受けても、上側鋼板2は下側鋼板3に
対してスムーズに相対移動することになる。よって、図
1(c)に示すように、1つのボール6をボール保持部
5aに配置するものでは、そのボール6の中心に、上部
構造物21の荷重が各柱22を介して作用するように上
側鋼板2と上部構造物21とを連結することが望まし
い。
【0039】このように、上側鋼板2が下側鋼板3に対
して水平方向においていずれかの方向に相対移動する
と、上側鋼板2をボールホルダ5を介してボール6,・
・が支持していることから、ボール6,・・が下側鋼板
3の上面を転動すると共に、ゴム部材8が変形して伸
び、上側鋼板2を、移動前の位置に復帰させる復元力が
発生する。この場合、ゴム部材8は、円筒形状で、上側
鋼板2が下側鋼板3に対して水平方向においてどの方向
に移動したときにも、同様な復元力が発生するので、ど
の方向からの地震力に対しても同様に機能することにな
る。
して水平方向においていずれかの方向に相対移動する
と、上側鋼板2をボールホルダ5を介してボール6,・
・が支持していることから、ボール6,・・が下側鋼板
3の上面を転動すると共に、ゴム部材8が変形して伸
び、上側鋼板2を、移動前の位置に復帰させる復元力が
発生する。この場合、ゴム部材8は、円筒形状で、上側
鋼板2が下側鋼板3に対して水平方向においてどの方向
に移動したときにも、同様な復元力が発生するので、ど
の方向からの地震力に対しても同様に機能することにな
る。
【0040】それに加えて、前記ボール6,・・の転動
の際には、ボール6,・・が下側鋼板3の凹面3a,3
b上を上昇し、その際に重力に対する抵抗力が生じる。
の際には、ボール6,・・が下側鋼板3の凹面3a,3
b上を上昇し、その際に重力に対する抵抗力が生じる。
【0041】その結果、前記ゴム部材8による復元力
が、ボール6,・・が転動する際に生ずる転がり摩擦抵
抗力、減衰剤10による変形抵抗力と共に、上部構造物
の揺れを抑制する減衰力として作用するが、それに加え
て、ボール6,・・と凹面3a,3bとの関係から生ず
る重力に対する抵抗力も減衰力として付加されるので、
免震効果がより高められ、上部構造物を上下移動させる
ことなく、上部構造物の揺れをが抑制され、構造物内部
に設置したものが倒れたりするのが防止される。ここ
で、ゴム部材8の復元力及び減衰剤10の抵抗力並びに
上側鋼板2の最大水平移動量は、ゴム部材8の材質、大
きさ、断面形状などや減衰剤10の材質、使用量などを
それぞれ変えることにより調整することができるので、
上部構造物21の重さに応じて最適値に設定することが
できる。
が、ボール6,・・が転動する際に生ずる転がり摩擦抵
抗力、減衰剤10による変形抵抗力と共に、上部構造物
の揺れを抑制する減衰力として作用するが、それに加え
て、ボール6,・・と凹面3a,3bとの関係から生ず
る重力に対する抵抗力も減衰力として付加されるので、
免震効果がより高められ、上部構造物を上下移動させる
ことなく、上部構造物の揺れをが抑制され、構造物内部
に設置したものが倒れたりするのが防止される。ここ
で、ゴム部材8の復元力及び減衰剤10の抵抗力並びに
上側鋼板2の最大水平移動量は、ゴム部材8の材質、大
きさ、断面形状などや減衰剤10の材質、使用量などを
それぞれ変えることにより調整することができるので、
上部構造物21の重さに応じて最適値に設定することが
できる。
【0042】さらに、万一、予想以上に震度の大きな地
震が発生しても、ボールホルダ5又はボール6,・・が
ゴム部材8の内周面に当接することとなるので、上側鋼
板2の過大な移動が抑制される。
震が発生しても、ボールホルダ5又はボール6,・・が
ゴム部材8の内周面に当接することとなるので、上側鋼
板2の過大な移動が抑制される。
【0043】そして、地震収束後は、前記ゴム部材8に
よる復元力によって、両鋼板2,3は中立位置に戻され
ることになるが、ボール6,・・は、下側鋼板3の凹面
3a,3b内において上方に転動により移動しているこ
とから、重力により下方に移動させようとする復元力
(アシスト力)も作用し、ゴム部材8による復元力が小
さくても、ボール6,・・が転動して、最も深さが深い
中心部分に復帰することとなり、中立状態に戻される。
よる復元力によって、両鋼板2,3は中立位置に戻され
ることになるが、ボール6,・・は、下側鋼板3の凹面
3a,3b内において上方に転動により移動しているこ
とから、重力により下方に移動させようとする復元力
(アシスト力)も作用し、ゴム部材8による復元力が小
さくても、ボール6,・・が転動して、最も深さが深い
中心部分に復帰することとなり、中立状態に戻される。
【0044】従って、個人住宅などのように、上部構造
物が軽量であっても、効果的に免震機能を発揮させるこ
とができると共に、構造を簡略化しつつ、免震効果の優
れた免震装置1が得られる。
物が軽量であっても、効果的に免震機能を発揮させるこ
とができると共に、構造を簡略化しつつ、免震効果の優
れた免震装置1が得られる。
【0045】続いて、前記免震装置1を使用して、免震
効果を確認した試験について説明する。
効果を確認した試験について説明する。
【0046】4つの免震装置1を作製し、この免震装置
を、図2に示すように、個人住宅である上部構造物21
の四隅に位置する各柱22と基礎23との間に設け、こ
の基礎23に対し水平方向に振動を加えて揺らすことが
できるようになっている。ここで、免震装置1の水平方
向バネ定数は45kgf/cm、水平方向減衰係数は3
4kgf・s/cmとした。また、上部構造物21の重
量は、一般の木造住宅と略同一である約40tとした。
を、図2に示すように、個人住宅である上部構造物21
の四隅に位置する各柱22と基礎23との間に設け、こ
の基礎23に対し水平方向に振動を加えて揺らすことが
できるようになっている。ここで、免震装置1の水平方
向バネ定数は45kgf/cm、水平方向減衰係数は3
4kgf・s/cmとした。また、上部構造物21の重
量は、一般の木造住宅と略同一である約40tとした。
【0047】そして、前記基礎23に対して水平方向
に、兵庫県南部地震で観測された地震波を入力して上部
構造物21の振動減衰効果を調べた。その結果、上部構
造物21の水平方向の最大加速度は約1/4に低減し、
免震効果が十分に発揮されていることが確認された。
に、兵庫県南部地震で観測された地震波を入力して上部
構造物21の振動減衰効果を調べた。その結果、上部構
造物21の水平方向の最大加速度は約1/4に低減し、
免震効果が十分に発揮されていることが確認された。
【0048】また、前記免震装置1を、図3に示すよう
に、免震床に適用した場合、つまり免震装置1を、軽量
の上部構造物としての床部材26と基礎23との間の四
隅に設けた場合も十分な免震効果が得られ、建築物内部
の精密機械室や電算機室などにおける免震床に適用でき
ることも判明した。
に、免震床に適用した場合、つまり免震装置1を、軽量
の上部構造物としての床部材26と基礎23との間の四
隅に設けた場合も十分な免震効果が得られ、建築物内部
の精密機械室や電算機室などにおける免震床に適用でき
ることも判明した。
【0049】なお、本発明は、上述した実施の形態に限
定されるものではなく、以下に説明するように種々の変
更が可能である。
定されるものではなく、以下に説明するように種々の変
更が可能である。
【0050】(1) 前記実施の形態においては、球面形
状の凹面3a上に3つの略同径のボール6,・・を同一
円周上に略等間隔で配置したものや、円錐面形状の凹面
3b上に1つのボール6を配置したものについて説明し
ているが、本発明はそれに限定されるものではなく、球
面形状の凹面上に1つのボールを配置したり、円錐面形
状の凹面上に3つの略同径のボールを同一円周上に略等
間隔で配置したりすることができるのはもちろん、同一
円周上に略等間隔に配置された6つのボールと、該ボー
ルの中心に配置された1つのボールとを保持する構成と
することもできる。また、1つのボールのみで構成する
場合には、ユニバーサルジョイントを省略することがで
きる。
状の凹面3a上に3つの略同径のボール6,・・を同一
円周上に略等間隔で配置したものや、円錐面形状の凹面
3b上に1つのボール6を配置したものについて説明し
ているが、本発明はそれに限定されるものではなく、球
面形状の凹面上に1つのボールを配置したり、円錐面形
状の凹面上に3つの略同径のボールを同一円周上に略等
間隔で配置したりすることができるのはもちろん、同一
円周上に略等間隔に配置された6つのボールと、該ボー
ルの中心に配置された1つのボールとを保持する構成と
することもできる。また、1つのボールのみで構成する
場合には、ユニバーサルジョイントを省略することがで
きる。
【0051】(2) 前記実施の形態においては、上側鋼
板2にボールホルダ5の支持柱5bの上端部を取付固定
しているが、上側鋼板2と支持柱5bとを一体的に形成
することもできるし、また、支持柱を設けることなく、
ユニバーサルジョイントを介してボール保持部のみを有
するホールホルダを上側鋼板2に直接に連結するように
構成することもできる。
板2にボールホルダ5の支持柱5bの上端部を取付固定
しているが、上側鋼板2と支持柱5bとを一体的に形成
することもできるし、また、支持柱を設けることなく、
ユニバーサルジョイントを介してボール保持部のみを有
するホールホルダを上側鋼板2に直接に連結するように
構成することもできる。
【0052】(3) 前記実施の形態においては、上側鋼
板2にボールホルダ5を介してボール6,・・を取付け
るようにしているが、逆に、下側鋼板3にボールホルダ
を介してボールを取り付けるようにし、上側鋼板2の下
面を、ボールが転動する球面状の凹面とすることも可能
である。
板2にボールホルダ5を介してボール6,・・を取付け
るようにしているが、逆に、下側鋼板3にボールホルダ
を介してボールを取り付けるようにし、上側鋼板2の下
面を、ボールが転動する球面状の凹面とすることも可能
である。
【0053】(4) 前記実施の形態においては、ボール
ホルダ5を上側鋼板2の下面中心部に取付固定するよう
にしているが、各ボールホルダ5及びボール6,・・が
ゴム部材8に当接するまでの距離が大きい場合には、上
側鋼板2の外周部以外の下面であれば、ボールホルダ5
をどこに取付固定してもよい。
ホルダ5を上側鋼板2の下面中心部に取付固定するよう
にしているが、各ボールホルダ5及びボール6,・・が
ゴム部材8に当接するまでの距離が大きい場合には、上
側鋼板2の外周部以外の下面であれば、ボールホルダ5
をどこに取付固定してもよい。
【0054】(5) 前記実施の形態においては、ゴム部
材8で覆われた上側鋼板2及び下側鋼板3間の空間に、
大きな減衰力が得られるように、液状の粘性材料又は粉
状若しくは粒状の高分子材料からなる減衰剤10を充填
するようにしているが、このような減衰剤10を充填す
ることは前述したように必ずしも必要ではない。減衰剤
10を使用しない場合には、各ボール6,・・に作用す
る転がり摩擦力がゴム部材8の復元力と共に減衰力とし
て作用するので、各ボールの材質や大きさによりボール
ホルダ5又は下側鋼板3との摩擦係数を変えることで、
各ボール6,・・の転がり摩擦力を調整することで対応
することも可能である。
材8で覆われた上側鋼板2及び下側鋼板3間の空間に、
大きな減衰力が得られるように、液状の粘性材料又は粉
状若しくは粒状の高分子材料からなる減衰剤10を充填
するようにしているが、このような減衰剤10を充填す
ることは前述したように必ずしも必要ではない。減衰剤
10を使用しない場合には、各ボール6,・・に作用す
る転がり摩擦力がゴム部材8の復元力と共に減衰力とし
て作用するので、各ボールの材質や大きさによりボール
ホルダ5又は下側鋼板3との摩擦係数を変えることで、
各ボール6,・・の転がり摩擦力を調整することで対応
することも可能である。
【0055】(6) 前記実施の形態においては、弾性体
としてのゴム部材8の上下端部を上側鋼板2及び下側鋼
板3に加硫接着しているだけであるが、それらをより一
層強固に結合するために、ゴム部材8の上下両端部を、
それぞれ、金属や繊維で補強した締付バンドにより、上
側鋼板2及び下側鋼板3の外周面に対して締め付けるよ
うにしてもよい。また、前記加硫接着に代えて、ボルト
やねじなどによって接合するようにすることもできる。
としてのゴム部材8の上下端部を上側鋼板2及び下側鋼
板3に加硫接着しているだけであるが、それらをより一
層強固に結合するために、ゴム部材8の上下両端部を、
それぞれ、金属や繊維で補強した締付バンドにより、上
側鋼板2及び下側鋼板3の外周面に対して締め付けるよ
うにしてもよい。また、前記加硫接着に代えて、ボルト
やねじなどによって接合するようにすることもできる。
【0056】(7) 前記実施の形態においては、ゴム部
材8としては、一様厚さのものを用いているが、肉厚が
変化するものを用いることもできる。例えば、ゴム部材
を、上下両端部近傍に上下方向中央と反対側に向かって
肉厚が厚く変化する肉厚変化部を有し、前記肉厚変化部
が、薄肉部から厚肉部に向かって滑らかに変化する形状
とすれば、ゴム部材の上下両端部の肉厚を上下方向中央
部よりも厚くすることで、ゴム部材と上板及び下板との
接合を容易かつ確実に行いつつ所定の復元カが得られる
形状にすることができるとともに、肉厚変化部を滑らか
に変化する形状とすることで、応カ集中を緩和しつつ所
定の復元力を確保して、長期間に亘って免震性能を確保
することが可能となる。
材8としては、一様厚さのものを用いているが、肉厚が
変化するものを用いることもできる。例えば、ゴム部材
を、上下両端部近傍に上下方向中央と反対側に向かって
肉厚が厚く変化する肉厚変化部を有し、前記肉厚変化部
が、薄肉部から厚肉部に向かって滑らかに変化する形状
とすれば、ゴム部材の上下両端部の肉厚を上下方向中央
部よりも厚くすることで、ゴム部材と上板及び下板との
接合を容易かつ確実に行いつつ所定の復元カが得られる
形状にすることができるとともに、肉厚変化部を滑らか
に変化する形状とすることで、応カ集中を緩和しつつ所
定の復元力を確保して、長期間に亘って免震性能を確保
することが可能となる。
【0057】(8) 前記実施の形態においては、弾性体
としてゴム部材8を用いているが、上側板及び下側板の
外周部間に周方向に略等間隔をあけて掛け渡された複数
のコイルばねを用いることもできる。このようにすれ
ば、上側板が下側板に対して水平方向においてどの方向
に移動してもコイルばね全体で略同じ復元カを発生させ
ることが可能となる。
としてゴム部材8を用いているが、上側板及び下側板の
外周部間に周方向に略等間隔をあけて掛け渡された複数
のコイルばねを用いることもできる。このようにすれ
ば、上側板が下側板に対して水平方向においてどの方向
に移動してもコイルばね全体で略同じ復元カを発生させ
ることが可能となる。
【0058】(9) 前記実施の形態では、第1及び第2
の板部材として円形状の鋼板を用いているが、強化プラ
スチックなどの高剛性材料からなる円形状の板を使用し
てもよく、また、板部材の形状も、円形状に限られるこ
となく、多角形状とすることもできる。
の板部材として円形状の鋼板を用いているが、強化プラ
スチックなどの高剛性材料からなる円形状の板を使用し
てもよく、また、板部材の形状も、円形状に限られるこ
となく、多角形状とすることもできる。
【0059】(10)前記実施の形態においては、予想以
上に震度の大きな地震が発生した場合には、ボールホル
ダ5又はボール4がゴム部材8の内周面に当接すること
で、上側鋼板2の過大な相対移動を抑制するようにして
いるが、ゴム部材8の伸び量が所定値よりも大きくなっ
たときに、伸び量に対する復元力の増加割合が、伸び量
が前記所定値以下のときよりも大きくなる(線形領域か
ら非線形領域に入る)ようにゴム部材8の材料などを設
定することでも、上側鋼板2の予想を超える大きな相対
移動を防止することができる。
上に震度の大きな地震が発生した場合には、ボールホル
ダ5又はボール4がゴム部材8の内周面に当接すること
で、上側鋼板2の過大な相対移動を抑制するようにして
いるが、ゴム部材8の伸び量が所定値よりも大きくなっ
たときに、伸び量に対する復元力の増加割合が、伸び量
が前記所定値以下のときよりも大きくなる(線形領域か
ら非線形領域に入る)ようにゴム部材8の材料などを設
定することでも、上側鋼板2の予想を超える大きな相対
移動を防止することができる。
【0060】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に述べるような効果を奏する。
施され、以下に述べるような効果を奏する。
【0061】請求項1の発明は、上下に互いに対向して
設けられた1対の板部材のうちの一方の板部材に、ボー
ルを転がり可能に保持するボールホルダを固定し、前記
ボールが他方の板部材に転動可能に当接させ、前記両板
部材を、それら水平方向に相対移動したときに、それら
が中立状態に復帰させる復元力を発現する弾性体により
連結するという簡単な構成にしたので、個人住宅などの
軽量の上部構造物であっても、上下変動させることな
く、免震機能を有効に発揮することができ、小形・軽量
で、施工作業性、コストダウンを図る上で有利な免震装
置が得られる。それに加えて、両板部材を水平方向にお
いて相対移動させる力が解除されたときに、前記両板部
材を中立状態に復帰させる方向へボールを転動させるア
シスト力を付与する復帰アシスト手段を設けているの
で、地震収束後は、復帰アシスト手段によるアシスト力
を、弾性体などによる復元力に付加して、中立状態にス
ムーズに復帰させることができる。
設けられた1対の板部材のうちの一方の板部材に、ボー
ルを転がり可能に保持するボールホルダを固定し、前記
ボールが他方の板部材に転動可能に当接させ、前記両板
部材を、それら水平方向に相対移動したときに、それら
が中立状態に復帰させる復元力を発現する弾性体により
連結するという簡単な構成にしたので、個人住宅などの
軽量の上部構造物であっても、上下変動させることな
く、免震機能を有効に発揮することができ、小形・軽量
で、施工作業性、コストダウンを図る上で有利な免震装
置が得られる。それに加えて、両板部材を水平方向にお
いて相対移動させる力が解除されたときに、前記両板部
材を中立状態に復帰させる方向へボールを転動させるア
シスト力を付与する復帰アシスト手段を設けているの
で、地震収束後は、復帰アシスト手段によるアシスト力
を、弾性体などによる復元力に付加して、中立状態にス
ムーズに復帰させることができる。
【0062】請求項2の発明は、他方の板部材の上面に
球面形状若しくは円錐面形状の凹面を形成し、その上を
ボールが転動するようにしているので、簡単な構造で、
弾性体による復元力が小さくても、地震収束後に、重力
によるアシスト力を利用して、中立状態に無理なく復帰
させることができる。
球面形状若しくは円錐面形状の凹面を形成し、その上を
ボールが転動するようにしているので、簡単な構造で、
弾性体による復元力が小さくても、地震収束後に、重力
によるアシスト力を利用して、中立状態に無理なく復帰
させることができる。
【0063】請求項3の発明は、ボールホルダのボール
保持部内に少なくとも3つの略同径のボールを同じ円周
上に略等間隔に配置しているので、一方の板部材(従っ
て上部構造物)を安定して支持し、地震発生時に、どの
方向に地震を受けても、一方の板部材をスムーズに移動
させることができる。
保持部内に少なくとも3つの略同径のボールを同じ円周
上に略等間隔に配置しているので、一方の板部材(従っ
て上部構造物)を安定して支持し、地震発生時に、どの
方向に地震を受けても、一方の板部材をスムーズに移動
させることができる。
【0064】請求項4の発明は、弾性体を筒状のゴム部
材とし、該ゴム部材によって両板部材を外周部全周に亘
って連結するようにしているので、地震力の方向に左右
されずに、復元力を確保することができる。また、この
ようなゴム部材は、低コストで容易に作製することがで
きる。
材とし、該ゴム部材によって両板部材を外周部全周に亘
って連結するようにしているので、地震力の方向に左右
されずに、復元力を確保することができる。また、この
ようなゴム部材は、低コストで容易に作製することがで
きる。
【0065】請求項5の発明は、ゴム部材で覆われた両
板部材間の閉空間に、液状の粘性材料又は粉状若しくは
粒状の高分子材料からなる減衰剤を充填しているので、
減衰剤の調整により、上部構造物に日常的に作用する風
力などには反応せず、大きな地震動に対して、はじめて
免震効果を発揮させるトリガー効果を持たせることが可
能となる。
板部材間の閉空間に、液状の粘性材料又は粉状若しくは
粒状の高分子材料からなる減衰剤を充填しているので、
減衰剤の調整により、上部構造物に日常的に作用する風
力などには反応せず、大きな地震動に対して、はじめて
免震効果を発揮させるトリガー効果を持たせることが可
能となる。
【図1】(a)(b)は本発明に係る免震装置を示す平
面図及び断面図、(c)は他の実施の形態の断面図であ
る。
面図及び断面図、(c)は他の実施の形態の断面図であ
る。
【図2】免震装置を個人住宅に適用した状態を示す説明
図である。
図である。
【図3】免震装置を免震床に適用した状態を示す概賂図
である。
である。
【図4】従来の免震支承ゴムタイプの免震装置を示し、
(a)は平面図、(b)は断面図である。
(a)は平面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】 1 免震装置 2 上側鋼板 3 下側鋼板 3a 凹面 3b 凹面 5 ボールホルダ 5a ボール保持部 5b 支持柱 5c ユニバーサルジョイント 6 ボール 8 ゴム部材(弾性体) 10 減衰剤 21 上部建築物 23 基礎
Claims (5)
- 【請求項1】 上部構造物と基礎との間に設けられ、地
震に対する前記上部構造物の揺れを抑えるようにした免
震装置であって、 前記上部構造物に連結される第1の板部材と、 前記第1の板部材の下側に略平行に対向して設けられ、
前記基礎に連結される第2の板部材と、 先端部にボール保持部を有し前記両板部材のうち一方の
板部材に基端部が取付固定されるボールホルダと、 前記ボールホルダのボール保持部内に保持され、前記両
板部材のうち他方の板部材に転動可能に当接し、前記ボ
ールホルダと共に前記両板部材の間隔を一定に保持する
球状のボールと、 前記第1の板部材に一端部が、前記第2の板部材に他端
部がれぞれ固着され、前記両板部材が水平方向において
相対移動したときに、前記両板部材が対向する中立状態
へ復帰させる復元力を発現する弾性体と、 前記他方の板部材に設けられ、前記両板部材を水平方向
において相対移動させる力が解除されたときに、前記両
板部材を中立状態に復帰させる方向へボールを転動させ
るアシスト力を付与する復帰アシスト手段とを備えてい
ることを特徴とする免震装置。 - 【請求項2】 前記復帰アシスト手段は、他方の板部材
に形成され、前記ボールが転動する球面形状若しくは円
錐面形状の凹面であり、前記凹面は、中立状態で前記支
ボールが位置している部分の深さが最も深くなっている
請求項1記載の免震装置。 - 【請求項3】 前記ボールホルダは、さらに、一方の板
部材に一端部が固定された支持柱と、該支持柱に前記ボ
ール保持部を連結するユニバーサルジョイントとを有
し、 前記ボール保持部に、同一円周上に略等間隔でもって少
なくとも3つの略同径のボールが配置されている請求項
1又は2記載の免震装置。 - 【請求項4】 前記弾性体は、筒状のゴム部材であり、
一端部が第1の板部材に、他端部が第2の板部材にそれ
ぞれ外周部全周に亘って固着され、前記両板部材及びゴ
ム部材にて閉空間が形成されている請求項1、2又は3
記載の免震装置。 - 【請求項5】 前記閉空間は、液状の粘性材料又は粉状
若しくは粒状の高分子材料からなる減衰剤が充填されて
いる請求項4記載の免震装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8966198A JPH11287054A (ja) | 1998-04-02 | 1998-04-02 | 免震装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8966198A JPH11287054A (ja) | 1998-04-02 | 1998-04-02 | 免震装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11287054A true JPH11287054A (ja) | 1999-10-19 |
Family
ID=13976947
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8966198A Pending JPH11287054A (ja) | 1998-04-02 | 1998-04-02 | 免震装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11287054A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002147054A (ja) * | 2000-11-09 | 2002-05-22 | Shimizu Corp | 免震装置および建物ならびに粘弾性体ダンパーの製造方法 |
JP2004101784A (ja) * | 2002-09-09 | 2004-04-02 | Kayaba Ind Co Ltd | 起震装置 |
JP2015057561A (ja) * | 2013-08-09 | 2015-03-26 | 倉敷化工株式会社 | 気体ばね式除振装置 |
CN109138567A (zh) * | 2018-10-10 | 2019-01-04 | 同济大学 | 双调谐型惯容系统 |
CN113445804A (zh) * | 2021-08-13 | 2021-09-28 | 西安建筑科技大学 | 一种古建筑木结构柱脚球形耗能隔震装置 |
-
1998
- 1998-04-02 JP JP8966198A patent/JPH11287054A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002147054A (ja) * | 2000-11-09 | 2002-05-22 | Shimizu Corp | 免震装置および建物ならびに粘弾性体ダンパーの製造方法 |
JP4671072B2 (ja) * | 2000-11-09 | 2011-04-13 | 清水建設株式会社 | 免震装置 |
JP2004101784A (ja) * | 2002-09-09 | 2004-04-02 | Kayaba Ind Co Ltd | 起震装置 |
JP2015057561A (ja) * | 2013-08-09 | 2015-03-26 | 倉敷化工株式会社 | 気体ばね式除振装置 |
CN109138567A (zh) * | 2018-10-10 | 2019-01-04 | 同济大学 | 双调谐型惯容系统 |
CN109138567B (zh) * | 2018-10-10 | 2020-06-12 | 同济大学 | 双调谐型惯容系统 |
CN113445804A (zh) * | 2021-08-13 | 2021-09-28 | 西安建筑科技大学 | 一种古建筑木结构柱脚球形耗能隔震装置 |
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