JP2003287079A - 負の剛性装置とこれを使用した建築構造物 - Google Patents

負の剛性装置とこれを使用した建築構造物

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JP2003287079A
JP2003287079A JP2002092888A JP2002092888A JP2003287079A JP 2003287079 A JP2003287079 A JP 2003287079A JP 2002092888 A JP2002092888 A JP 2002092888A JP 2002092888 A JP2002092888 A JP 2002092888A JP 2003287079 A JP2003287079 A JP 2003287079A
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JP2002092888A
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Shigeo Minewaki
重雄 嶺脇
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Takenaka Komuten Co Ltd
Original Assignee
Takenaka Komuten Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造部材に生ずる応力の大きさを調整した
り、制震建物の減衰効果を増すこと、或いは免震建物に
おける地震外力の絶縁効果を増したりすることが可能な
負剛性装置と、この負剛性装置を使用した建築構造物を
提供する。 【解決手段】 荷重の作用方向へ相対的に移動可能に組
み合わされた一対の可動部材と、これらの対向面の間に
前記荷重の作用方向と直交して介在された複数のローラ
材と、前記一対の可動部材とその間に介在するローラ材
とを組み立て状態に拘束し、且つ両者に所定大きさの垂
直力を付与する拘束・加圧手段とから成る。前記一対の
可動部材の対向面は平面に形成され、その間に介在する
ローラ材の横断面は楕円形等の非円形とされ、初期条件
として、前記ローラ材はその長軸方向の両端面が一対の
可動部材の対向面と回転可能に接触している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、作用した荷重と
それに伴う変形(変位)との間に負の関係を生ずる負の
剛性装置(以下、負剛性装置という場合がある。)と、
この負剛性装置を使用して、建物架構の柱や梁に発生す
る応力を調整したり、制震建物の減衰効果を増幅するこ
と、或いは免震建物において地震外力の絶縁効果を高め
る等々の構造設計法を実現する建築構造物の技術分野に
属する。
【0002】
【従来の技術】従来、各構造部材に生ずる応力を調整し
たり、地震や風荷重などに対する応答量を低減すること
を目的として、架構や部材の剛性を調整することは行わ
れてきた。しかし、その目的で構造物内に附加する部材
や装置は、通例正の剛性を有するものであった。
【0003】(1)例えば、特開昭62−268479
号公報に開示された発明「建物の制震方法」に用いられ
た部材接合部などの連結装置、特開2000−2403
18号公報に開示された発明「免震・制震システム」に
用いられた、免震装置と制震・制震ダンパーとの組み合
わせなどは、応力の調整効果を上げる為に、構造部材中
又は部材端部に連結装置を配置し、固定状態と連結解除
状態又はそれらの中間状態に切り換えを行う技術である
が、あくまでも剛性は正又はゼロであり、部材や装置を
付加することによって、力の変形の増分の向きを変化さ
せることはできない。
【0004】(2)特公昭62−32300号公報に開
示された発明「構造物の免震装置」は、偏心したローラ
ベアリングで上部構造物を支持する免震装置を提案して
いる。該発明は、ローラベアリングの回転角が或る値を
超えると負の接線剛性を呈することが説明されている
(同公報中の第8図)。同第8図の回転角π(180
°)が原点となるように初期状態を設定すれば、本発明
が目的とする負の剛性装置と類似した荷重−変形関係を
実現できることになる。しかし、同公報中には、回転角
ゼロを原点とし、回転角π(180°)を超えないよう
に利用する旨の記載が認められる(同公報の第7欄35
行以下)。そうした利用方法である限り、負の接線剛性
を呈する領域においても、復元力の方向は正であり、ポ
テンシャルエネルギも負とならないので、この免震装置
は自立的に復元動作する。従って、負の剛性を持つ装置
とは言えない。
【0005】(3)特開平10−169244号公報に
開示された発明「トルク機構を用いた振動制御装置」
は、構造物の変形が小さい段階から制震装置に機能、効
果を発揮させる、いわば変形増幅装置の技術例を示して
いる。該発明の振動制御装置を同公報中の図18に示す
様に使用すると、制震装置の容量を小さくできる利点が
あるものと認められる。しかし、ブレース材や回転可能
な連結部分の構成は複雑となり、且つ同部分に生ずる力
が大きくなり、ガタや変形が生ずると、それが増幅され
て制震装置へ伝達される。そのため十分な制震効果を得
るためには、相当に強固で精度の高い構成にする必要が
ある。
【0006】(4)特開平11−37214号公報に記
載された免震除振装置は、一応、負のバネ定数をもつ負
の剛性装置(バネ機構)と考えられる。しかし、この装
置は、一対のメンバーの中央部をピンで回転可能に連結
したX字形のリンク機構で上下の架台を支持し、且つそ
の間にバネ機構を設置した構成であり、リンク機構を介
して上下の架台が上下方向へ変位するものである。その
荷重−変形関係は非線型性を有し、一部に負の領域を有
することは認められる。この装置は除振対象の上載荷重
を与え、それに応じたバネ定数を適切に設定してはじめ
て適切な負のバネ定数を有する機構が得られる。即ち、
リンク機構とバネを組み合わせて適切な初期状態を与
え、上架台へ上載荷重をかけた状態で、適正な釣り合い
点を見付けると、負のバネ定数を有する機構が成立す
る。つまり、上載する荷重とのバランスによりゼロ点を
移動させることにより負のバネ定数として利用すること
が可能であるから、必然、除振、免震、制震の対象物を
直接、上架台へ上載する場合にのみ利用可能である。ブ
レース、頬杖、束などの仲介部材へ応用、利用すること
はできないものと認められる。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】作用する荷重と、そ
れによって生ずる変形との間に負の関係がある負剛性装
置を実現すれば、その負剛性装置を使用することで、
柱、梁などの構造部材に生ずる応力の大きさを調整した
り、制震建物における減衰効果を増すこと、或いは免震
建物における地震外力の絶縁効果を増したりする構造設
計法が可能となる。
【0008】(a)例えば高層建物の外柱は、地震や風
などによる水平力が作用した際の変動軸力が大きく、か
なりの高軸力状態、又は低軸力ないしは引き抜き力が生
ずる状態となることがある。従来はこれを部材断面の大
きさや柱割付の変更、或いはメガストラクチャ架構にす
るなどの対策で対処していたが、構造設計に困難を生ず
る場合があった。
【0009】(b)建物の剛性が大きいと、地震入力が
大きくなって大きな地震応答を生じたり、かなり多数の
制震装置を設置しても、建物剛性との比によって表され
る減衰定数が十分に大きくならず、応答の低減を十分に
見込めない場合があった。
【0010】(c)制震装置を、ブレースなどの取り付
け部材(仲介部材)を介して設置する場合、取り付け部
材が変形することにより、その変形分だけ制震装置の変
形が小さくなり、制震効果が低減する場合があった。ま
た、履歴型制震装置であって制震装置自体の初期剛性が
十分に大きくない場合には、制震装置自体の弾性変形が
大きくなり、塑性変形によるエネルギ吸収が十分に得ら
れず、制震効果の低下を来す場合があった。
【0011】(d)免震建物に使用する免震装置の設計
において、免震装置自体の安定度や支持重量の限度など
の為に、構造物の固有周期の延長には限界があり、地震
外力の絶縁効果を向上させることが困難であった。
【0012】本発明の目的は、上記(a)〜(d)の各
問題点の解決に有効で、柱、梁などの構造部材に生ずる
応力の大きさを調整したり、制震建物における減衰効果
を増すこと、或いは免震建物における地震外力の絶縁効
果を増したりすることが可能な負剛性装置と、この負剛
性装置を使用して前述の構造設計法を実現した建築構造
物を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記した従来技術の課題
を解決するための手段として、請求項1に記載した発明
に係る負の剛性装置は、荷重の作用方向へ相対的に移動
可能に組み合わされた少なくとも一対の可動部材と、前
記一対の可動部材の対向面の間に前記荷重の作用方向と
直交する向きに介在された複数のローラ材と、前記一対
の可動部材とその間に介在するローラ材とを組み立て状
態に拘束し、且つ両者に所定大きさの垂直力を付与する
拘束・加圧手段とから成り、前記一対の可動部材の対向
面は平面に形成され、その間に介在するローラ材の横断
面は楕円形等の非円形とされ、初期条件として、前記ロ
ーラ材はその長軸方向の両端面が一対の可動部材の対向
面と回転可能に接触していることを特徴とする。
【0014】請求項2に記載した発明に係る負の剛性装
置は、荷重の作用方向へ相対的に移動可能に組み合わさ
れた少なくとも一対の可動部材と、前記一対の可動部材
を組み立て状態に拘束し、且つ両者に所定大きさの垂直
力を付与する拘束・加圧手段とから成り、前記一対の可
動部材の対向面は、前記荷重の作用方向に連続するサイ
ンカーブ等の比較的波高が大きい波形を前記荷重の作用
方向と直交する向きに均等断面に連続させた波形面に形
成されており、初期条件として、前記波形面の凸同士が
滑動可能に突き合わされていることを特徴とする。
【0015】請求項3に記載した発明に係る負の剛性装
置は、荷重の作用方向へ相対的に移動可能に組み合わさ
れた少なくとも一対の可動部材と、前記一対の可動部材
の対向面の間に前記荷重の作用方向と直交する向きに介
在された複数のローラ材と、前記一対の可動部材とその
間に介在するローラ材とを組み立て状態に拘束し、且つ
両者に所定大きさの垂直力を付与する拘束・加圧手段と
から成り、前記一対の可動部材の対向面は、前記荷重の
作用方向に連続するサインカーブ等の比較的波高が小さ
い波形を前記荷重の作用方向と直交する向きに均等断面
に連続させた波形面に形成されており、前記複数のロー
ラ材の横断面は円形とされ、初期条件として、ローラ材
は一対の可動部材の対向面に形成された波形面の凸同士
の間に回転可能に接触していることを特徴とする。
【0016】請求項4に記載した発明は、請求項1又は
2若しくは3に記載した負の剛性装置において、拘束・
加圧手段は、少なくとも一方の可動部材を収納して拘束
する締め込み部材と、他方の締め込み部材と連結し、一
対をなす可動部材に垂直力を付与し設定するボルト・ナ
ット機構等の垂直力設定機構とから成り、可動部材とこ
れを収納した締め込み部材との間に、前記垂直力と同方
向に所定の圧縮力を付与するバネ材が設置されており、
可動部材とこれを収納した締め込み部材との間であって
前記垂直力と同方向の隙間に可動部材の変位を許容する
ベアリング材が設置されていることを特徴とする。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項1又は3に
記載した負の剛性装置において、一対の可動部材の対向
面及びローラ材の表面にローラ材が回転のみして滑りが
発生しないように表面加工が施されていることを特徴と
する。
【0018】請求項6に記載した発明に係る負の剛性装
置を使用した建築構造物は、請求項1〜5のいずれか一
に記載した負の剛性装置が、対をなす可動部材をブレー
スと連結されており、同ブレースが建物架構中の外柱と
内柱とを結ぶ配置に設置されており、水平力によって発
生する外柱の変動軸力を緩和する構成であることを特徴
とする。
【0019】請求項7に記載した発明は、請求項6に記
載した負の剛性装置を使用した建築構造物において、負
の剛性装置は、主に構造物の下層階に集中して設置され
ていることを特徴とする。
【0020】請求項8に記載した発明に係る負の剛性装
置を使用した建築構造物は、請求項1〜5のいずれか一
に記載した負の剛性装置が、建物の剛性が大きい層の建
物架構中に設置され、水平力に対する建物の剛性を低減
し、建物周期を延長して地震時の応答を低減する構成で
あることを特徴とする。
【0021】請求項9に記載した発明は、請求項8に記
載した負の剛性装置を使用した建築構造物において、負
の剛性装置は、建物の各階層の剛性に比例する容量で設
置されていることを特徴とする。
【0022】請求項10に記載した発明に係る負の剛性
装置を使用した建築構造物は、制震建物において、制震
装置が設置された階層に、請求項1〜5のいずれか一に
記載した負の剛性装置が対の関係で設置されており、建
物の層剛性を低減し、その層の減衰定数を上昇させ、地
震時の応答を低減する構成であることを特徴とする。
【0023】請求項11に記載した発明に係る負の剛性
装置を使用した建築構造物は、制震建物において、請求
項1〜5のいずれか一に記載した負の剛性装置が制震装
置と直列の関係に組み合わせて設置されており、建物架
構の小変形時から制震装置を働かせ、地震時の応答を低
減する構成であることを特徴とする。
【0024】請求項12に記載した発明に係る負の剛性
装置を使用した建築構造物は、免震建物において、免震
層に、請求項1〜5のいずれか一に記載した負の剛性装
置が設置されており、建物の固有周期を延長して免震効
果を向上させる構成であることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施形態】次に、本発明を、図示した実施形態
に基づいて説明する。
【0026】(図1の実施形態)図1は、請求項1に記
載した発明の実施形態を示している。この負剛性装置
は、水平荷重Fの作用方向へ相対的に移動可能に組み合
わされた一対の可動部材、すなわち、左方へ延びる取り
付け部材6aと接続した中央部位の可動部材1aと、そ
の上下面を挟む配置とし右方へ延びる取り付け部材6b
と接続した二つの可動部材1b、1bを備えている。前
記一対の可動部材1aと1bの対向面の間には、前記水
平荷重Fの作用方向と直交する向きに介在された複数の
ローラ材2…を有する。前記一対をなす可動部材1a、
1bとその間に介在するローラ材2…とを一定の組み立
て状態に拘束し、且つ一定大きさの垂直力Nを付与する
拘束・加圧手段4とをもって構成されている。ローラ材
2は鋼棒等を加工して製作されている。その本数及び長
さは、後述する垂直力を伝達できるように定められる。
【0027】前記一対の可動部材1a、1bは鋼板材を
加工して製作され、その対向面はそれぞれ平面に形成さ
れている。一対の可動部材1a、1bの間に介在するロ
ーラ材2の横断面は非円形、より具体的には図2A〜C
に一例を示したように楕円形とされている。
【0028】前記一方の可動部材1b、1bは、上下に
対称な向かい合わせの配置で一対をなす締め込み部材4
a、4aと側壁4bで形成した、内側面を開口した容器
構造の収容部内に収納されている。締め込み部材4a、
4bが上記の拘束・加圧手段4を構成する。可動部材1
bとこれを収納した締め込み部材4aとの間には、前記
垂直力Nと同方向に一定大きさの圧縮力を付与する皿バ
ネ等のバネ材3が設置されている。しかも可動部材1b
の側面とこれを収納した締め込み部材4aの側壁4bの
内面との間の前記垂直力Nと同方向の隙間には、可動部
材1bの自由な変位を許容するベアリング材7が設置さ
れている。そのため可動部材1bと接続する取り付け部
材6bは、具体的には締め込み部材4aの側壁4bの外
面と接続した構成とされている。
【0029】前記一対をなす締め込み部材4a、4a
は、前記一対の可動部材1a、1bの変位に支障無い部
位を、双方の可動部材1aと1bに対して一定大きさの
垂直力Nを付与するボルト5及びナット5aとから成る
垂直力設定機構で結合されている。ナット5aの締め込
み量をバネ材3の撓み量が所定の値となるように設定し
て垂直力Nを付与する。したがって、締め込み部材4a
は前記垂直力Nをはじめとする圧縮力を伝達できる大き
な面外剛性を有する材とされている。
【0030】上記構成の負剛性装置は、その初期条件と
して、図2Aに示したように、ローラ材2の長軸方向の
両端面が、両側の可動部材1a、1bの対向面と滑るこ
となく回転のみ可能に線接触した構成とされる。したが
って、ローラ材2には、垂直力Nと同大で正反対向きの
反力N’が作用する。ローラ材2が対向面と滑ることな
く回転のみ可能に線接触する表面加工の例としては、例
えばローラ材2の外周面に歯車の歯形に相当するような
凹凸を細かく形成し、可動部材1a、1bの対向面にも
対応する凹凸をラック歯のように形成し、両者を噛み合
わせることなどが実施される(請求項5記載の発明)。
【0031】上記の初期条件(図2A)に対して、取り
付け部材6a又は6bを通じて地震等による水平力Fが
作用し、一対の可動部材1a、1bが左右方向へ相対的
に変位すると、ローラ材2は図2B、Cのように回転す
る。上述したように、ローラ材2が滑ることなく回転の
みすると、同ローラ材2の長軸と短軸の差分を最大値と
する上下方向(垂直力Nの方向)の変位(垂直変位)が
生ずる。しかし、前記の垂直変位は、両側二つの可動部
材1a、1bがバネ材3に押され、且つベアリング材7
によって自由な変位を許容されている構成によって速や
かに吸収され、一定状態を保つ。そして、垂直力Nは前
記の線接触を通じてのみ伝達される。したがって、バネ
材3は、ローラ材2の回転に伴う可動部材1aの垂直方
向変位を吸収するだけの変形能力を有するものとし、前
記の変位量とバネ材3の所定の撓み量との比を十分に小
さくして、垂直力Nの変動が比較的小さくなるように設
計し実施される。
【0032】地震等による建築物の変形は、一対の可動
部材1a、1bの変位として負剛性装置へ伝わる。図2
B、Cに示したようにローラ材2の回転が進むと、前記
線接触の位置は次第にずれる。しかし、前述した線接触
状態では線接触位置のずれに起因する偏心モーメントを
伝達できないので、垂直力N及びこれに対するローラ材
2内の反力N’は、それぞれ法線方向にしか働かない。
その結果、垂直力Nとローラ材2内の反力N’とに向き
の相違が発生し、線接触の位置には、垂直力Nとローラ
材2内の反力N’とで形成する力の三角形で求められる
水平方向の合力Uが発生して、この合力Uが可動部材1
a、1bの変位及びローラ材2の回転を一層進める方向
に作用する。つまり、負の反力の発生である。
【0033】一対をなす可動部材1a、1bとローラ材
2との線接触位置のずれは、建築物の変形が進み、ロー
ラ材2の回転が進むにつれて大きくなるので、合力Uの
大きさも比例的に増大する。垂直力Nの大きさが一定で
あるかぎり、前記線接触の位置がローラ材2の長軸方向
の端面と短軸方向の端面との中間点近傍に至るまで、変
形量と負の反力(合力U)との関係はほぼ線型関係を維
持する。したがって、前記変形量と負の反力(合力U)
の比を負の剛性とする負剛性装置が成立したことにな
る。負の剛性は、ローラ材2の長短径比と周長、及び垂
直力Nの大きさを調整することにより任意の大きさに設
定(設計)できる。
【0034】なお、一対をなす可動部材1a、1bの移
動を整えるためのガイド、及び多数使用するローラ材2
…の上述した初期条件及びその後の回転を共通化させて
整えるリテーナなどを必要に応じて使用する。これらの
点は以下の各実施例にも共通する事項である。
【0035】(図3の実施形態)図3は、請求項3に記
載した発明の実施形態を示している。この負剛性装置
も、基本的な構成は図1の実施形態と共通する。即ち、
水平荷重Fの作用方向へ相対的に移動可能に組み合わさ
れた一対の可動部材、即ち、左方へ延びる取り付け部材
6aと接続した中央部位の可動部材1aと、その上下面
を挟む配置とし右方へ延びる取り付け部材6bと接続し
た二つの可動部材1b、1bを備えている。前記一対の
可動部材1aと1bの対向面の間には、前記水平荷重F
の作用方向と直交する向きに介在する複数のローラ材2
0…を有し、前記一対の可動部材1a、1bとその間に
介在するローラ材20…とを一定の組み立て状態に拘束
し、且つ所定大きさの垂直力Nを付与する拘束・加圧手
段4とで構成されている。
【0036】前記一対の可動部材1a、1bの対向面は
それぞれ、図4A〜Cに例示したように波高を小さく形
成したなだらかなサインカーブに代表される波形を、前
記水平荷重Fの作用方向と直交する向きに均等断面に連
続させたような凹凸の波形面に形成されている。前記波
形面の間に介在するローラ材20の横断面は円形とされ
ている。
【0037】一方の可動部材1b、1bは、上下に一対
をなす締め込み部材4a、4aと側壁4bが形成した容
器構造の収容部内に収納されている。可動部材1bとこ
れを収納した締め込み部材4aとの間には、前記垂直力
Nと同方向に一定大きさの圧縮力を付与するバネ材3が
設置されている。また、可動部材1bの側面とこれを収
納した締め込み部材4aの側壁4bの内面との間の前記
垂直力Nと同方向の隙間には、可動部材1bの自由な変
位を許容するベアリング材7が設置されている。可動部
材1bと接続する取り付け部材6bは、締め込み部材4
aの側壁4bの外面と接続されている。
【0038】前記一対の締め込み部材4a、4aは、前
記一対の可動部材1a、1bの変位に支障無い部位を、
双方の可動部材1aと1bに対して一定大きさの垂直力
Nを付与するボルト5及びナット5aとから成る垂直力
設定機構で結合されている。ナット5aの締め込み量を
バネ材3の撓み量が所定の値となるように設定して、垂
直力Nを付与する。
【0039】上記構成の負剛性装置は、その初期条件と
して、図4Aに示したように、ローラ材20が、両側の
可動部材1a、1bの波形面における凸部頂面同士の間
に滑ることなく回転のみ可能に線接触した構成とされ
る。したがって、ローラ材20には、垂直力Nと同大で
正反対向きの反力N’が作用する。ローラ材20が対向
面と滑ることなく回転のみ可能に線接触する表面加工の
例としては、既述したようにローラ材20の外周面及び
可動部材1a、1bの波形面に歯車の歯形に相当する凹
凸を細かく形成して両者を噛み合わせた構成等を実施で
きる(請求項5記載の発明)。
【0040】上記の初期条件(図4Aの状態)に対し
て、取り付け部材6a又は6bを通じて地震等による水
平力Fが作用し、一対の可動部材1a、1bが左右方向
へ相対的に変位すると、ローラ材20は図4B、Cのよ
うに回転する。このときローラ材20が滑ることなく回
転のみすると、可動部材1a、1bの波形面に沿ってロ
ーラ材20との線接触位置は水平方向へずれる。と同時
に、可動部材1a、1bの波形面の波高2h(図4A)
の2倍を最大値とする上下方向(垂直力Nの方向)への
変位(垂直変位)も生ずる。しかし、前記垂直変位は、
両側二つの可動部材1a、1bがバネ材3に押され、且
つベアリング材7によって自由な変位を許容された構成
によって速やかに吸収され、一定状態を保つ。垂直力N
は前記の線接触を通じてのみローラ材20へ伝達され
る。
【0041】地震等による建築物の変形は、一対の可動
部材1a、1bの変位として負剛性装置に伝わる。図4
B、Cに示したようにローラ材20の回転が進むと、前
記線接触の位置は水平方向へずれてゆく。しかし、線接
触状態では、線接触位置のずれに起因する偏心モーメン
トを伝達できないので、垂直力N及びこれに対するロー
ラ材20内の反力N’は、それぞれ法線方向にしか働か
ない。その結果、垂直力Nとローラ材20内の反力N’
とに向きの相違が発生し、その故に線接触の位置には、
垂直力Nとローラ材20内の反力N’とが形成する力の
三角形で求められる水平方向の合力Uが発生する。この
合力Uは、可動部材1a、1bの変位及びローラ材20
の回転を一層進める方向に作用する。つまり、負の反力
の発生である。
【0042】一対をなす可動部材1a、1bとローラ材
20との線接触位置のずれは、建築物の変形が進み、ロ
ーラ材20の回転が進むにつれて大きくなるので、合力
Uの大きさも比例的に増大する。垂直力Nの大きさが一
定で、可動部材1a、1bの波形面の波形がサインカー
ブであるときは、ローラ材20が波形の反曲点近傍に至
るまで変形量と負の反力(合力U)との関係がほぼ線型
関係を維持する。従って、前記変形量と負の反力(合力
U)の比を負の剛性とする負剛性装置が成立したことに
なる。負の剛性は、可動部材1a、1bの波形面におけ
る波長Lと波高2h、及びローラ材20の直径dの大き
さ、並びに垂直力Nの大きさを調整することにより任意
の大きさに設定できる。
【0043】(実施例)上記図3の構成による負剛性装
置の設計例を以下に説明する。負剛性装置の要求性能
は、負の剛性K=−35kN/mm、設計上の変形を1
4mm、前記設計変形時の荷重を−490kN、設計変形
に対する余裕度を2とすると、最大変形は28mmとな
る。
【0044】前記の条件を満たす負剛性装置の諸元は、
例えば可動部材1a、1bに成形加工する波形面の波長
mが35mm、波高2hが1.9mm、ローラ材20の直径
dは26mm、垂直力Nが2100kNである。最大変形
時にバネ材3に要求される変形量は6.1mm、設計変形
時には1.7mmである。例えばバネ材3として、外径が
250mm、高さが16.0mm、板厚が6.4mm、所定撓
み時の荷重56kNの皿バネを4枚重ね2段組みで10
セット用意すると、前記の垂直力N(2100kN)を
伝達でき、最大要求変形量を吸収できる。
【0045】設計時要求変形量の所定撓み量に対する比
率は12%程度であり、JIS・B2706所載の荷重
特性式を参照すると、その間の荷重変動は1%程度とな
り、十分に小さい。図5に上記諸元による負剛性装置の
荷重変形関係を示した。
【0046】(図6の実施形態)図6は、請求項2に記
載した発明の実施形態を示している。この負剛性装置の
基本的な構成も、記した図1及び図3の実施形態と共通
する。水平荷重Fの作用方向へ相対的に移動可能に組み
合わされた一対の可動部材、即ち、左方へ延びる取り付
け部材6aと接続した中央部位の可動部材1aと、その
上下面を挟む配置とし右方へ延びる取り付け部材6bと
共通に接続した二つの可動部材1b、1bを備え、これ
ら一対の可動部材1aと1bを一定の組み立て状態に拘
束し、且つ一定大きさの垂直力Nを付与する拘束・加圧
手段4とで構成されている。
【0047】前記一対の可動部材1a、1bの対向面は
それぞれ、図7A〜Cに例示したように、前記水平荷重
Fの作用方向に連続的に勾配が変化するサインカーブ等
の比較的波高hが大きい波形を前記荷重の作用方向と直
交する向きに均等断面に連続させた凹凸による波形面に
形成されている。波形面の各凸部10aと10bの個数
及び波長(波幅)Lは、後述の垂直力Nを伝達できるよ
うに設計されている。
【0048】一方の可動部材1b、1bは、上下に一対
をなす締め込み部材4a、4aと側壁4bが形成した容
器構造の収容部内に収納されている。可動部材1bとこ
れを収納した締め込み部材4aとの間には、前記垂直力
Nと同方向に所定大きさの圧縮力を付与するバネ材3が
設置されている。また、可動部材1bの側面とこれを収
納した締め込み部材4aの側壁4bの内面との間の前記
垂直力Nと同方向の隙間には、可動部材1bの自由な変
位を許容するベアリング材7が設置されている。そのた
めに可動部材1bと接続する取り付け部材6bは、締め
込み部材4aの側壁4bの外面と接続されている。
【0049】前記一対の締め込み部材4a、4aは、前
記一対の可動部材1a、1bの変位に支障無い部位を、
双方の可動部材1aと1bに対して一定大きさの垂直力
Nを付与するボルト5及びナット5aとから成る垂直力
設定機構で結合されている。ナット5aの締め込み量を
バネ材3の撓み量が所定の値となるように設定し、垂直
力Nを付与する。
【0050】上記構成の負剛性装置は、その初期条件と
して、図7Aに示したように、前記波形面の凸部10a
と10bが各々の頂面同士を滑動可能に突き合わせて線
接触させた構成とされる。したがって、前記線接触位置
には、垂直力Nと、これと同大で正反対向きの反力N’
が作用する。前記波形面の凸部10aと10b同士が滑
りながら線接触状態を保つ波形の例としては、前記した
サインカーブ或いは凸部の幅が相対的に痩せた形状を与
える連続曲線などを実施できる。前記線接触位置におけ
る摩擦係数を小さくする手段として、一方の凸部の先端
を、ステンレスに樹脂コーティングを施したものとし、
他方の凸部は樹脂板を接着したような表面加工を実施す
ることもできる。
【0051】上記の初期条件(図7Aの状態)に対し
て、取り付け部材6a又は6bを通じて地震等による水
平力Fが作用し、一対の可動部材1a、1bが左右方向
へ相対的に変位すると、図7B、Cのように可動部材1
a、1bの凸部10aと10bが滑り、波形面に沿って
線接触位置は水平方向へずれる。そのため可動部材1
a、1bの波形面の波高h(図7A)の2倍を最大値と
する上下方向(垂直力Nの方向)への変位(垂直変位)
が生ずる。しかし、前記の垂直変位は、両側二つの可動
部材1a、1bがバネ材3に押され、且つベアリング材
7によって自由な変位を許容された構成により速やかに
吸収され、一定状態を保つ。垂直力Nは前記の線接触を
通じて凸部相互間へ伝達される。
【0052】地震等による建築物の変形は一対の可動部
材1a、1bの変位として負剛性装置に伝わる。図7
B、Cに示したように、可動部材1a及び1bの凸部1
0aと10b間の滑りが進むと、前記線接触の位置は水
平方向へずれてゆく。しかし、摩擦係数が小さいので、
垂直力N及びこれに対する反力N’は、それぞれ法線方
向にしか働かない。その結果、垂直力Nと反力N’には
向きの相違が発生する。その故に線接触位置には、垂直
力Nとローラ材20内の反力N’とが形成する力の三角
形で求められる水平方向の合力Uが発生する。この合力
Uは、可動部材1a、1bの凸部10aと10bの滑り
移動を一層進める方向に作用する。つまり、負の反力の
発生である。
【0053】一対の可動部材1a、1bの凸部10aと
10b間における線接触位置のずれは、建築物の変形が
進むにつれて大きくなるので、合力Uの大きさも比例的
に増大する。垂直力Nの大きさが一定で、可動部材1b
の波形面の波形をサインカーブなどのように凸部10a
と10bの線接触における角度が変形量が増すにつれて
大きくなるように設計すると、前記の線接触は波形の反
曲点(サインカーブの場合は波長Lの1/4)近傍の位
置まで、変形量と負の反力(合力U)との関係がほぼ線
型的関係を維持する。従って、前記変形量と負の反力
(合力U)の比を負の剛性とする負剛性装置が成立した
ことになる。負の剛性は、可動部材1a、1bの波形面
における波長Lと波高h、及び垂直力Nの大きさを調整
することにより任意の大きさに設定できる。
【0054】(図8の実施形態)図8は、請求項6に記
載した発明の実施形態を示す。これは15階建て建物の
2階〜4階の両端スパンに、上記図1、図3、図6に例
示したような実施形態の負剛性装置30を、ブレース3
1を取り付け部材(仲介部材)に使用して設置した建物
構面を示している。
【0055】負剛性装置30の対をなす可動部材1a、
1bをブレース31と接合して使用され、同ブレース3
1は建物架構中の外柱32と内柱33とを結ぶ配置に設
置され、地震時等の水平力Fによって発生する外柱32
の変動軸力を緩和する構成とされている。
【0056】因みに建物の高さは60m、面積当たりの
質量は柱検討用が1.2×10kg/m、地震検討
用は1.14×10kg/mとする。検討対象構面
は6スパン均等フレームであり、ワンスパンは8m、紙
面と直交方向のスパンは12mとする。長期軸力を柱の
支配面積に比例するものとして求めると、1階外柱の長
期軸力は8.64MNとなる。一方、1次設計用外力に
対するオーバーターニングモーメントは444MN・m
となる。これを柱の変動軸力で負担するものとすれば、
1階外柱の変動軸力は9.25MNとなる。したがっ
て、1階外柱には0.61MNの引き抜き力が生ずるこ
とになる。同様な計算によると、2、3階の外柱にも
0.04〜0.32MNの引き抜き力が生ずる。
【0057】前記の引き抜き力を生じさせないために、
図8の実施例では、2〜4階の両端スパンにブレース状
配置で負剛性装置30を設置している。設置階を2〜4
階とした理由は、1階に平面計画上の制約があり設置で
きない場合のあることを想定した為である。いずれにし
ても、負の剛性装置30は、主に構造物の下層階に集中
して設置される(請求項7に記載した発明)。
【0058】1次設計時の層間変形角が1/200程度
であると、高さ4m、スパン8mの架構フレーム内に図
8のようにハの字形に設置されたブレースの変形量は1
4mm程度となる。本実施例では負剛性装置30の剛性を
−35kN/mmと設定した。層間変形角1/200に対
して、負剛性装置30により1.06MNの変動軸力が
外柱32から内柱33へ移動する。層剛性の低下と、変
動軸力を内柱33へ移動させたことにより、4%ほどの
層間変形の増加を生ずる。これを補正すると、1階外柱
の変動軸力は8.52MNとなり、長期軸力(上記の
8.64MN)を下回ることになる。同様に2、3階外
柱の変動軸力も長期軸力を下回る。1階の内柱(1スパ
ン内側の柱33)に1.09MNの変動軸力を生じ、2
〜4階の内柱には1.09〜0.36MNの変動軸力が
生ずる。負剛性装置30に働く最大の力は−0.52M
Nである。
【0059】例えば国土交通省告示第1461号第4号
に適合する人工地震波を検討対象とし、同告示第145
7号第七、2号の表層地盤による加速度の増幅率を考慮
すると、1種地盤では建物周期0.576秒以上、2種
地盤では0.864秒以上、3種地盤では1.152秒
以上の領域でそれぞれ、建物の応答加速度は建物周期に
反比例して小さくなることが、図9に示されている。建
物剛性を19%低減すると、建物周期は1.11倍とな
り、応答加速度が10%低減される。
【0060】(図10の実施形態)図10は、請求項8
に記載した発明の実施形態を示す。これは建物剛性の低
減を主眼として、上記図1、図3、図6に例示したよう
な実施形態の負剛性装置30を、やはりブレース31を
取り付け部材に使用して、建物各階の両端スパンにハの
字ブレース状に設置した構成である。ブレース31は、
8階建ての建物架構中の外柱32と内柱33とを結ぶ配
置に設置されており、水平力Fに対する建物の剛性を低
減し、建物周期を延長して地震時の応答を低減する構成
である。
【0061】図10の実施形態は、高さ32m、周期が
0.64秒の建物の1構面についてのものである。建物
は3スパン均等フレームで、ワンスパンが8m、紙面と
直交方向のスパンは12mである。面積当たりの地震検
討用質量は1.14×10kg/mとする。第1層
の剛性は1100kN/mm程度、中間層の剛性は、例え
ば第5層において800kN/mm程度となる。
【0062】建物各階の両端スパンに設置する負剛性装
置30の能力は、第1層には1個あたりの負剛性が−1
05kN/mm程度の負剛性装置を設置し、第5層では−
75kN/mm程度の負剛性装置を設置すると、各階層の
剛性を19%低減させ、応答加速度を10%低減するこ
とができる。要するに、負の剛性装置30は、建物の剛
性が大きい層の架構中に設置すれば足り、それも各階層
の剛性に比例する容量で設置するのが効果的である(請
求項9に記載した発明)。
【0063】(図11の実施形態)図11は、請求項1
0に記載した発明の実施形態を示す。これは制震装置4
0が設置された制震建物の各階層に、負の剛性装置30
が制震装置40と対の関係で設置され、建物の層剛性を
低減し、その層の減衰定数を上昇させ、地震時の応答を
低減する構成である。
【0064】上記の図1、図3、図6に例示したような
実施形態の負剛性装置30が、ブレース31を取り付け
部材に使用して、建物各階の両端スパンにハの字のブレ
ース状に設置されている。ブレース31は、建物架構中
の外柱32と内柱33とを結ぶ配置に設置されている。
【0065】制震装置40が設置された建物の各層毎の
等価粘性減衰定数heqは、層間変形をδ、層剛性を
k、制震装置40によるエネルギ吸収量をW(δ)、
円周率をπで表すと、次の[数1]で示される。
【0066】[数1] heq=1/4π×W(δ)/(1/2×kδ
【0067】そこで、図11の建物の各層に負剛性装置
を設置する以前には、等価粘性減衰定数heqが0.0
5となる性能の制震装置40が設置されていたとする。
負剛性装置30の設置により、各層の剛性が上述したよ
うに19%低減されたとすれば(上記図10の実施形態
の説明を参照)、上記[数1]によって、等価粘性減衰
定数はheq=0.062と求められる。
【0068】制震装置以外の構造部材による等価粘性減
衰定数を0.02としてheqに加え、振動の減衰によ
る加速度の低減率Dを日本建築センター構造計算指針
・同解説による下記の[数2]の式で求めると、負剛性
装置の設置以前のDは0.59であり、負剛性装置の
設置後のDは0.55となり、6.8%の応答低減効
果が認められる。
【0069】[数2] D=1/(1+10heq
【0070】上記図10の実施形態の説明で述べた建物
周期の延長(建物周期1.11倍)の効果と合併すれ
ば、16%の応答低減効果を期待できる。
【0071】(図12の実施形態)図12は、請求項1
1に記載した発明の実施形態を示す。これはやはり制震
装置40が設置された制震建物に関し、その各階層に、
負の剛性装置30が制震装置40と直列の関係に組み合
わせて設置され、建物架構の小変形時から制震装置を働
かせ、地震時の応答を低減する構成である。
【0072】上記図1、図3、図6に例示したような実
施形態の負剛性装置30が、同じくブレース31を取り
付け部材に使用して、制震装置40と直列の配置関係に
組み合わされ(連結して)、建物各階の両端スパンにハ
の字のブレース状に設置された構成である。ブレース3
1は、建物架構中の外柱32と内柱33とを結ぶ配置に
設置されている。
【0073】図12に示す建物の第1層に、図13Aに
示した履歴特性(初期剛性KD1が100kN/mm、降
伏変位δBy1が7mm)を有する履歴型制震装置40を
4基設置すると、層間変形δ=20mmにおける第1層
の等価粘性減衰定数heqは下記の[数3]の式で求め
られる。
【0074】 [数3] heq=1/4π×WD1(δ)/(1/2k・δ ) =1/4π×78400/220000 =0.028 ここで、K=110kN/m、δ=20mmにおける
制震装置の変形δB1=14mmとしている。
【0075】上記の履歴型制震装置に、図13Bに示す
=−125kN/mmとなる剛性を有する負剛性装置
30を直列にすると、直列された履歴特性は図13Cの
ように、初期剛性KD1=500kN/mm、降伏変位δ
By1=1.4mmとなる。層間変形δ=20mmにおけ
る第1層の等価粘性減衰定数heq1は、下記の[数
4]で求められる。
【0076】 [数4] heq1=1/4π×WD1(δ)/(1/2k・δ ) =1/4π×141120/220000 =0.051
【0077】制震装置以外の構造部材による等価粘性減
衰定数を0.02としてheq1へ加え、振動の減衰に
よる加速度の低減率 Dを上記の[数2]で求める
と、負剛性装置30を直列に組み合わせる以前は、D
=0.68、負剛性装置30を直列に組み合わせた後
は、D=0.58となり、約15%の応答低減効果の
向上を期待できる。
【0078】(図14の実施形態)図14は、請求項1
2に記載した発明の実施形態を示す。これは免震層52
に免震装置50が設置された免震建物に関し、その免震
層52に、上記図1、図3、図6に例示したような実施
形態の負剛性装置30が免震装置50と共に設置され、
建物の固有周期を延長して免震効果を向上させる構成と
されている。
【0079】図14の建物が負剛性装置30を使用しな
いときの免震周期Tは3秒である。第1層の基礎梁5
1を含めた上部構造の質量mは3000×10kg
であり、免震層52の水平剛性Kiは13.2kN/mm
である。免震化による地震外力の絶縁効果を向上させる
ため、免震周期Tを4秒に延長する。負の剛性K
−5.8kN/mmである負剛性装置30を、図14のよ
うに免震建物の免震層52へ設置することで、同免震層
52の水平剛性Kiは7.4kN/mmとなり、免震周期
は4秒に延長されるのである。
【0080】
【発明の効果】請求項1〜5に記載した発明に係る負の
剛性装置は、これによって柱、梁などの構造部材に生ず
る応力の大きさを調整したり,制震建物における減衰効
果を増すこと、或いは免震建物における地震外力の絶縁
効果を増したりすることが可能となる。
【0081】したがって、請求項6〜12に記載した発
明に係る建築構造物のとおり、水平力によって発生する
外柱の変動軸力を緩和する設計、或いは建物周期を延長
して地震時の応答を低減する設計、又は制震建物の層剛
性を低減して地震時の応答を低減する設計、さらには免
震建物における建物の固有周期を延長して免震効果を向
上させる設計などを容易に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載した発明の実施形態を示す正面
図である。
【図2】Aは初期状態を示した図、BとCはローラ材の
回転が進んだ状態を示した図である。
【図3】請求項3に記載した発明の実施形態を示す正面
図である。
【図4】Aは初期状態を示した図、BとCはローラ材の
回転が進んだ状態を示した図である。
【図5】荷重−変形関係を示した特性図である。
【図6】請求項2に記載した発明の実施形態を示す立面
図である。
【図7】Aは初期状態を示した図、BとCは波形面に沿
って線接触位置が進んだ状態を示した図である。
【図8】請求項6に記載した発明の実施形態を示す立面
図である。
【図9】建物の応答加速度を示す図である。
【図10】請求項8に記載した発明の実施形態を示す立
面図である。
【図11】請求項10に記載した発明の実施形態を示す
立面図である。
【図12】請求項11に記載した発明の実施形態を示す
立面図である。
【図13】A履歴型制震装置の履歴特性を示す図であ
る。Bは負剛性装置の剛性を示した図である。Cは負剛
性装置を直列にしたときの履歴特性を示した図である。
【図14】請求項12に記載した発明の実施形態を示す
立面図である。
【符号の説明】
F 水平荷重 1a、1b 可動部材 2 ローラ材 20 ローラ材 4 拘束・加圧手段 N 垂直力 4a 締め込み部材 5 ボルト 5a ナット 3 バネ材 7 ベアリング材 30 負剛性装置 31 ブレース 32 外柱 33 内柱 40 制震装置 52 免震層 50 免震装置

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷重の作用方向へ相対的に移動可能に組み
    合わされた少なくとも一対の可動部材と、 前記一対の可動部材の対向面の間に前記荷重の作用方向
    と直交する向きに介在された複数のローラ材と、 前記一対の可動部材とその間に介在するローラ材とを組
    み立て状態に拘束し、且つ両者に所定大きさの垂直力を
    付与する拘束・加圧手段とから成り、 前記一対の可動部材の対向面は平面に形成され、その間
    に介在するローラ材の横断面は楕円形等の非円形とさ
    れ、 初期条件として、前記ローラ材はその長軸方向の両端面
    が一対の可動部材の対向面と回転可能に接触しているこ
    とを特徴とする、負の剛性装置。
  2. 【請求項2】荷重の作用方向へ相対的に移動可能に組み
    合わされた少なくとも一対の可動部材と、 前記一対の可動部材を組み立て状態に拘束し、且つ両者
    に所定大きさの垂直力を付与する拘束・加圧手段とから
    成り、 前記一対の可動部材の対向面は、前記荷重の作用方向に
    連続するサインカーブ等の比較的波高が大きい波形を前
    記荷重の作用方向と直交する向きへ均等断面に連続させ
    た波形面に形成されており、 初期条件として、前記波形面の凸同士が滑動可能に突き
    合わされていることを特徴とする、負の剛性装置。
  3. 【請求項3】荷重の作用方向へ相対的に移動可能に組み
    合わされた少なくとも一対の可動部材と、 前記一対の可動部材の対向面の間に前記荷重の作用方向
    と直交する向きに介在された複数のローラ材と、 前記一対の可動部材とその間に介在するローラ材とを組
    み立て状態に拘束し、且つ両者に所定大きさの垂直力を
    付与する拘束・加圧手段とから成り、 前記一対の可動部材の対向面は、前記荷重の作用方向に
    連続するサインカーブ等の比較的波高が小さい波形を前
    記荷重の作用方向と直交する向きに均等断面に連続させ
    た波形面に形成されており、 前記複数のローラ材の横断面は円形とされ、 初期条件として、ローラ材は一対の可動部材の対向面に
    形成された波形面の凸同士の間に回転可能に接触してい
    ることを特徴とする、負の剛性装置。
  4. 【請求項4】拘束・加圧手段は、少なくとも一方の可動
    部材を収納して拘束する締め込み部材と、他方の締め込
    み部材と連結し、一対をなす可動部材間に垂直力を付与
    し設定するボルト・ナット機構等の垂直力設定機構とか
    ら成り、 可動部材とこれを収納した締め込み部材との間に、前記
    垂直力と同方向に所定の圧縮力を付与するバネ材が設置
    されており、 可動部材とこれを収納した締め込み部材との間であって
    前記垂直力と同方向の隙間に可動部材の変位を許容する
    ベアリング材が設置されていることを特徴とする、請求
    項1又は2若しくは3に記載した負の剛性装置。
  5. 【請求項5】一対の可動部材の対向面及びローラ材の表
    面にローラ材が回転のみして滑りが発生しないように表
    面加工が施されていることを特徴とする、請求項1又は
    3に記載した負の剛性装置。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか一に記載した負の
    剛性装置が、対をなす可動部材をブレースと連結されて
    おり、同ブレースは建物架構中に外柱と内柱とを結ぶ配
    置に設置されており、水平力によって発生する外柱の変
    動軸力を緩和する構成であることを特徴とする、負の剛
    性装置を使用した建築構造物。
  7. 【請求項7】負の剛性装置は、主に構造物の下層階に集
    中して設置されていることを特徴とする、請求項6に記
    載した負の剛性装置を使用した建築構造物。
  8. 【請求項8】請求項1〜5のいずれか一に記載した負の
    剛性装置が、建物の剛性が大きい層の建物架構中に設置
    され、水平力に対する建物の剛性を低減し、建物周期を
    延長して地震時の応答を低減する構成であることを特徴
    とする、負の剛性装置を使用した建築構造物。
  9. 【請求項9】負の剛性装置は、建物の各階層の剛性に比
    例する容量で設置されていることを特徴とする、請求項
    8に記載した負の剛性装置を使用した建築構造物。
  10. 【請求項10】制震建物において、制震装置が設置され
    た階層に、請求項1〜5のいずれか一に記載した負の剛
    性装置が対の関係で設置されており、建物の層剛性を低
    減し、その層の減衰定数を上昇させ、地震時の応答を低
    減する構成であることを特徴とする、負の剛性装置を使
    用した建築構造物。
  11. 【請求項11】制震建物において、請求項1〜5のいず
    れか一に記載した負の剛性装置が制震装置と直列の関係
    に組み合わせて設置されており、建物架構の小変形時か
    ら制震装置を働かせ、地震時の応答を低減する構成であ
    ることを特徴とする、負の剛性装置を使用した建築構造
    物。
  12. 【請求項12】免震建物において、免震層に、請求項1
    〜5のいずれか一に記載した負の剛性装置が設置されて
    おり、建物の固有周期を延長して免震効果を向上させる
    構成であることを特徴とする、負の剛性装置を使用した
    建築構造物。
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