JP3696708B2 - 減衰機構及びこれを用いた減衰装置 - Google Patents

減衰機構及びこれを用いた減衰装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の揺れを抑える減衰機構及びこれを用いた免震構造並びに減衰装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、免震装置等に用いられる回転体としての鉄球は、主として上部構造体を滑り易く支持する支承材兼ベアリング材として使用されるだけで、振動を減衰させる機構は、外部に設けられたダンパーに依存している。
【0003】
このため、例えば、免震床等を構成する場合、ダンパーを配置するために、ある程度の床高が必要となり、階高が既に決まってしまっている既存の建物を免震床とするには無理があった。
【0004】
一方、建物全体を免震構造とする場合、通常、基礎コンクリートの上に鉄球を敷き並べ、この鉄球の上に建物が構築される支持スラブをスライド可能に載置するようになっている。
【0005】
しかし、基礎コンクリート面及び支持スラブ面に不陸があると、鉄球との間に隙間が生じ建物が安定して支持されない。また、別途ダンパーを取付ける必要があるので、装置が大掛かりになり、高さ方向に一定のスペースが必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は係る事実を考慮し、別途ダンパーを設けることなく、狭いスペースに減衰機構や免震構造を構築し、また、回転体の転がりを利用して、ストロークの大きい減衰装置を構成することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、減衰性能を有する単一材料で成形された回転体だけが互いに相対移動可能な移動部材によって圧縮変形された状態で挟持されている。
【0008】
このように、回転体(球状でも楕円状でも回転可能な形状であれば構わない)だけを圧縮変形させることによって、移動部材と面で接触し、面で圧縮荷重を受ける。ここで、移動部材が振動等によって面と平行に相対移動すると、移動部材との面摩擦力によって回転体が弾性変形する。ここで、移動部材の相対移動量が回転体の弾性変形範囲内であれば、回転体は、一方の移動部材の揺れや振動が他方に移動部材に伝わらないように防振する。
【0009】
また、移動部材の相対移動量が回転体の弾性変形範囲を越えると、移動部材の移動に伴って、回転体は移動部材の間を転がり始める。このとき、圧縮変形して潰れた回転体は、回転時に内部がせん断変形するので、減衰力を発揮し、さらに、回転体が転がるときの移動部材との摩擦抵抗も同時に減衰力として作用するので、これらの組み合わせによって高い減衰効果を発揮する。
【0010】
なお、圧縮力の大きさを調整し、移動部材との摩擦力を大きくすることによって、回転体が転がり始めるまでの、転がり抵抗又転がるときの摩擦抵抗を調整することもできる。
【0011】
一方、移動部材が、回転体を挟持する間隔を拡狭する方向へ相対移動しても、減衰性能を備えた回転体によって振動が減衰される。
【0027】
請求項2に記載の発明では、ケーシングの底板に減衰性能を有する単一材料で成形された第1回転体だけが載置されている。この第1回転体に、支持板が支承されている。この支持板とケーシングの天板との間には、減衰性能を有する単一材料で成形された第2回転体だけが圧縮変形されて挟持されている。この第2回転体を配置することによって、第1回転体も支持板に押圧されて圧縮変形する。また、支持板からは、受け部が突設されており、天板に形成された開口から突出している。
【0028】
この減衰装置では、ケーシングを基礎コンクリートの上にセットし、受け部に建物の床梁を支持させるだけで、簡単に免震構造の建物を構築することができる。このように、圧縮変形された回転体の転がりを利用した減衰装置をユニット化することによって、持ち運びが容易で、建築コストの安い免震建物を構築することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1〜図4には、第1形態に係る減衰機構が用いられた免震床構造が示されている。この免震床構造では、柱10に架設されたコンクリート製等の床スラブ12の上に、減衰性能を有する材料(高減衰ゴム、天然ゴム、粘弾性体等)で成形された回転体としての球体14が所定の間隔で敷き並べられている。
【0038】
この球体14の上には、図2に示すように、コンクリート板等の重量のある部材で形成された二重床材16が載置される。これによって、球体14は圧縮荷重を受け、楕円状に圧縮変形し、面で床スラブ12及び二重床材16と接触する。
【0039】
また、二重床材16の周囲は、一方が柱10に固定された弾性ばね18に連結されており、弾性ばね18の復元力によって、二重床材16のセット位置が保持されるようになっている。
【0040】
次に、免震床構造の作用を説明する。
図2に示す状態において、地震等によって、床スラブ12が左方向へ移動し、図3に示すように、床スラブ12及び二重床材16との面摩擦力によって球体14が弾性変形する。そして、二重床材16との相対移動量が、球体14の弾性変形範囲内であるとき、その防振機能によって、床スラブ12の揺れや振動が二重床材16に伝わらない。
【0041】
また、地震力が大きく、床スラブ12と二重床材16との相対移動量が球体14の弾性変形範囲を越えると、図4に示すように、床スラブ12と二重床材16の相対移動に伴って、球体14は、床スラブ12と二重床材16の間を右方向へ転がり始める。このとき、圧縮変形して潰れた球体14は、回転時に内部がせん断変形するので、減衰力を発揮し、さらに、回転体が転がるときの床スラブ12と二重床材16との摩擦抵抗も同時に減衰力として作用するので、これらの組み合わせによって高い減衰効果を発揮する。
【0042】
一方、床スラブ12が、上下方向へ振動しても、球体14がせん断変形して振動が減衰される。また、上述した減衰機構は、地震対策だけでなく、交通振動障害(建物の持つ固有周期によって生じる共振)をなくし、また、上階の子ども等が飛び跳ねることによって、下階に伝わる固体伝播音を消音することもできる。
【0043】
なお、球体14に掛ける圧縮力の大きさを、二重床材16の重量を調整することによって変え、床スラブ12及び二重床材16との摩擦力を大きくすることによって、球体14が転がり始めるまでの、転がり抵抗及び転がるときの摩擦抵抗を調整することもできる。
【0044】
また、本形態では、二重床材16の位置を弾性ばねの復元力によって保持したが、図5に示すように、二重床材16を吊り材17で吊すことによって、元の位置に戻るようにしてもよい。
【0045】
さらに、本形態では、床スラブ12及び二重床材16の対向面をフラットにしたが、図6に示すように、円錐形の溝19、21を形成し、振動が終了したときに、一番安定した位置に球体14が戻るようにすることもできる。また、図7に示すように、所定の曲率を持った凹部23と凸部25を形成して、球体14が元の位置に戻るようにしてもよい。
【0046】
次に、第2形態に係る減衰機構を説明する。
図8に示すように、第2形態では、第1形態と同様に、免震床構造に適用されており、基本的には第1形態と同様であるが、床スラブ12の上に保持盤20が載置されている点が異なる。
【0047】
保持盤20は、図11に示すように、硬質プラスチック、軽量コンクリート、PC版等で成形された板材で、二重床材16に当接しない板厚に設計されている。また、保持盤20には、所定の間隔を置いて上下面を貫通する円形の保持部22が形成されている。この保持部22の内径は、球体14が圧縮変形したときの外径より大きくされており、球体14が非接触状態で取り囲まれている。これによって、球体14が転がり始めたとき、初めて保持部22に当たるようになっている。
【0048】
このように、保持盤20を配置することによって、球体14の敷き並べ作業が容易になり、また、二重床材16が上下振動したとき、球体14が飛び跳ねて位置ズレすることがない。
【0049】
次に、第2形態の作用を説明する。
本形態では、球体14を保持部22の内に非接触状態に保持することで、図9に示すように、球体14の弾性変形が許容され、床スラブ12の揺れや振動が二重床材16に伝わらない。また、図10に示すように、球体14が転がり始めると、保持部22を押しながら移動するので、保持盤20と床スラブ12との間に摩擦抵抗が発生し、球体14の減衰作用と相まって、高い減衰効果を発揮する。
【0050】
なお、本形態では、保持部22の内周壁が直に切り立っているが、図12に示す保持部27のように、底部27Aが拡幅するように切り開いてもよい。これによって、球体14が保持盤20の下面に潜り込み、大きくせん断変形する。また、図13に示す保持部29では、天部が球体14を包み込むように拡縮されているので、球体14が保持部29から飛び出すことがない。
【0051】
さらに、本発明の減衰機構は、免震床だけでなく、図14に示すように、1つの架構31内に設けられた腰壁33及び垂れ壁35と柱10との間に球体14を挟み、架構31を制振することもできる。
【0052】
次に、第3形態に係る免震構造を説明する。
図15に示すように、コンクリートが打設され平坦に均された基礎面24へ、球体14が敷き並べられている。この球体14の上には、支持スラブ26が載置されており、この支持スラブ26の上に戸建ての建物28が構築されている。
【0053】
これによって、球体14が圧縮変形し、建物28を支える支承として、また、回転体の弾性変形、転がりによるせん断変形により、上下及び水平方向の振動を減衰するダンパーとしても機能する。このため、従来の免震構造と比較すると、狭いスペースに設置できる。
【0054】
また、基礎面24或いは支持スラブ26に多少の不陸があっても、球体14は圧縮変形して当接するので、隙間が生じることがなく、安定した構造となる。
【0055】
なお、一般的に免震構造に適用される積層ゴムを利用した減衰装置は、単位面積当たり所定以上の荷重が作用しないと機能しない。
【0056】
このため、通常の戸建ての建物の場合、軽量なので、免震構造とすることは困難であったが、本形態の免震構造を適用すれば、建物の重量等に応じて、球体の材質、球径等を変えることによって、理想的な免震構造を得ることができる。
【0057】
また、図16に示すように、保持盤20(図11参照)を基礎面24の上に載置して、基礎面24との間に摩擦抵抗を発生させるようにしてもよい。
【0058】
さらに、図17に示すように、高層ビル32や重量のあるビル等の免震構造として、球体14を利用する場合は、荷重によって球体14が完全に潰れてしまわないように、鉄や硬質プラスチックで成形された球34を基礎面36とスラブ38との間に入れ、一定の隙間を保持するようにすることが望ましい。
【0059】
次に、第4形態に係る減衰装置を説明する。
図18及び図19に示すように、本形態に係る減衰装置40は、底板42Aと天板42Bとを備えた円筒状のケーシング42を備えており、据え付けが容易なようにユニット化されている。
【0060】
ケーシング42の底板42Aには、高減衰ゴム等で球状に成形された球体44が環状に敷き並べられている。この球体44の上には、円板状の支持板46が載せられている。また、支持板46と天板42Bとの間には、環状に配置された球体48が挟持されて、圧縮変形しており、このように、支持板46と天板42Bとの間に球体48を挟持することによって、支持板46と底板42Aとの間に挟持された球体44も圧縮変形する。
【0061】
一方、支持板46の中央部には、円柱状の受け部50が突設されており、天板42Bの中央部に形成された開口部52から上方へ突出している。開口部52の開口縁部には、下方へ屈曲したストッパー54が形成されており、また、支持板46の外周部にも、ストッパー56が形成されている。このように、ストッパー54、56を設けることによって、球体44、48が支持板46から抜け出さないようになっている。
【0062】
なお、ストッパー54、56は、制振対象となる構造物の設計最大変形量に対応して、支持板46のスライド動作を干渉しない位置に設けられている。
【0063】
次に、本形態に係る減衰装置が、免震床に適用された例を説明する。
図20に示すように、床スラブ12の上に減衰装置40が載置され、受け部50で二重床材16を支承している。これにより、床スラブ12が振動して、支持板46とケーシング42とが相対移動すると、圧縮変形した球体44、48の転がりによって生じるせん断変形よる減衰力と、球体44、48が転がるときの支持板46、底板42A、天板42Bとの摩擦抵抗によって、高い減衰効果を発揮する。
【0064】
また、減衰装置40をユニット化することによって、据え付け工事が容易となり、免震床の建築コスト及び工程が削減できる。
【0065】
なお、図21に示す減衰装置50のように、多段状に球体52を積み重ねることによって、それぞれの球体52が減衰作用を発揮するので、必要とされる減衰力に応じた減衰装置を構築できる。また、ケーシング及び支持板は円形である必要なく、平面視にて多角形であってもよい。
【0066】
また、図22には、本形態の減衰装置40が、戸建ての建物28の免震構造に適用された例が示されている。基礎面24に、ケーシング42が置かれ、受け部50が床梁54を支持している。
【0067】
このため、図15に示す支持スラブ26が不要となり、また、基礎面24に平坦性が余り要求されないので、施工が容易となる。
【0068】
また、図23に示す減衰装置51では、軸部53が中央に突設された回転板55と、下方に軸部57が突設された回転板59とが、球体61を挟持し圧縮変形させている。そして、軸部53に連結されたアーム63と軸部57に連結されたアーム65が相対回転すると、球体61の弾性変形、転がりによるせん断変形、また、回転板55と回転板59との摩擦抵抗の組合わせによって、減衰作用を発揮する。
【0069】
なお、要求される減衰性能に応じて、図24に示す減衰装置67のように、一方の回転板69の上下面に球体71を配置するようにしてもよく、また、図25に示す減衰装置73のように、回転板75と回転板77との対向面で球体79を挟持し、さらに、回転板75、77の外面へ球体81を配置し、円筒状のケース83で取り囲むように構成してもよい。
【0070】
この減衰装置73では、回転板75に設けられた軸部85、回転板77に設けられた軸部87、及びケース83へそれぞれアーム89、91、93を連結することにより、アーム89、91、93を一度に振動制御できる。
【0071】
次に、第5形態に係る減衰装置を説明する。
図26及び図27に示すように、本形態に係る減衰装置56は、外筒58と、この外筒58へ挿入され往復移動可能とされた内筒60を備えている。外筒58と内筒60との間には、高減衰ゴム等で成形された球体62が周方向及び軸方向にに沿って配置され、圧縮変形した状態で挟持されている。
【0072】
なお、外筒58の両端には、球体62の抜け落ち防止用のストッパー37が設けられている。また、球体62の配置間隔は、必要とされる減衰力を発揮するために、実験的に決められるものである。
【0073】
次に、本形態の減衰装置56の作用を説明する。
例えば、図27〜図28に示すように、内筒60を固定し、相対的に外筒58を左方向へ移動させると、球体62が左方向へ転がり、転がりによるせん断変形、また、外筒58の内壁及び内筒60の外壁との摩擦抵抗の組合わせによって、減衰作用が発揮される。そして、この減衰装置56は、圧縮変形された球体62の転がりを利用しているため、内筒60が外筒58を貫通可能となっており、減衰可能な変位量に制限がなく、大変形ストロークのダンパーを構成することができる。
【0074】
また、本形態では、内筒60と外筒58とで減衰装置56を構成したが、図29に示す減衰装置72のように、内筒64、中筒66、及び外筒68というように、多段状に筒体を設け、それぞれの間に球体70を挟持するような構成でもよい。これによって、外筒68と内筒64を一方の移動部材へ、中筒66を他方の移動部材へ連結することにより、減衰効果を向上させることができる。
【0075】
さらに、図30に示す減衰装置74のように、矩形状の内筒76及び外筒78であってよく、必ずしも、円筒である必要はない。
【0076】
また、図31及び図32に示すように、大小の円筒体95を多段状に重ね合わせ、それぞれの円筒体95の間に球体97を挟持して、一方向のストロークが長い減衰装置99を構成することもできる。この減衰装置99では、円筒体95の内周壁や外周壁の表面粗さ、或いは、球体97の材質や個数を調整することによって、円筒体95が伸長する順番を決めることができる。
【0077】
さらに、図33及び図34に示す減衰装置101のように、有底の筒体120と軸体122とで球体124を挟持し、軸体122を梁126へ、筒体120を柱128へ固定し、図35に示すような、地震時等の変形を制御する制振装置として利用することもできる。
【0078】
次に、第6形態に係る減衰装置を説明する。
図36に示す減衰装置90では、本形態では、鉄板等で形成された中板80の両面に高減衰ゴム等で成形された球体82が配置されている。この球体82は、鉄板等で形成された外板84で外側から挟持されている。この外板84は、ボルト86とナット88で締め付けられており、球体82を楕円状に圧縮変形させている。
【0079】
また、図37に示すように、中板80の板幅は、外板84より狭くされており、ボルト86とナット88は、中板80の板幅方向への移動を干渉しない位置に取付けられている。なお、ある機構内で減衰装置を構成する場合、上下の板を挟み付けるような構造とすることによって、ボルト及びナットを省略することも可能である。
【0080】
次に、図38に示すように、本形態に係る減衰装置90が制振装置として用いられた例を説明する。
【0081】
右側のビル92の屋上には、減衰装置90の外板84が固定され、中板80が左側のビル94の屋上に固定されている。地震等によって、2つのビル92、94が相対移動すると、制振装置90によって制振される。なお、中板80が長手方向及び幅方向に移動できるようになっており、すなわち、水平2軸方向に制振可能となっているので、それぞれの軸方向に減衰装置を設ける必要がなくなる。
【0082】
なお、図39に示すように、内板102、中板100、外板98を多段状に組み合わせて減衰装置96を構成してもよい。このように、本発明の減衰装置では、板材及び球体を組み合わせて段数を増やしていくことによって、各々の板材間で減衰作用が発揮されるので、要求される減衰性能を容易に満足させることができる。
【0083】
また、以上説明した実施の形態では、回転体として単一材料で成形された球体を使用したが、図40に示すように、鉄や硬質プラスチック等で成形した芯球104の外周面を高減衰ゴム等によって被覆して被覆層106とした、二重構造の回転体でもよい。
【0084】
このような構成では、図41に示すように、圧縮力を掛けると、圧縮変形する部分は、被覆層106であり、芯球104は圧縮変形しない。つまり、床スラブ12と二重床材16との間の必要な隙間を確実に確保できる。また、芯球104と床スラブ12及び二重床材16とに挟まれる部分の被覆層106は大きく潰れるので、回転時のせん断変形が大きくなり、大きな減衰力を発揮させることができる。
【0085】
さらに、図42に示すように、芯球108を高減衰ゴムで、被覆層110を天然ゴム等で形成した回転体でもよい。このとき、芯球108及び被覆層110とも圧縮力を受けて変形するが、2つの材料を組み合わせることによって、剛度の調整が容易にできる。
【0086】
また、図43に示すように、回転体として、弾性特性を持ったゴム等で袋体112を成形し、この袋体112の中に、例えば、砂、鉄粉、水、粘性体等の抵抗材114を封入してもよい。
【0087】
これによって、砂を入れたお手玉や水を入れた風船を想像すれば判るように、袋体112が転がるとき、抵抗材114が乱流を起こしてその場に留まろうとする抵抗力が発生する。この抵抗力によって、振動が減衰される。
【0088】
また、図44に示す袋体130や図45に示す袋体132のように、抵抗材114の量を調整することによって減衰力を調整することができる。さらに、抵抗材114の種類や、図46に示すように、鉄粉206と小鉄球208の組み合わせ(粒度等を変える)や、密度を変えることによっても、減衰力を調整することができる。
【0089】
また、図47に示すように、床スラブ12と二重床材16との間に支承材200を配置して、通常時には、球体14を変形させるような荷重を掛けないようにしてもよい。この構成では、図48に示すように、地震時には、床スラブ12と二重床材16が相対移動し支承材200のヒンジ部200Aが屈曲して、二重床材16の荷重で球体14が始めて圧縮変形し床スラブ12及び二重床材16と面接触するようになっている。
【0090】
このため、球体14が変形した状態が長期に渡ることによって、球体14が変形固化することがなく、いつ地震が発生しても、減衰機能を発揮することができ、メンテナンスに優れた構造となる。
【0091】
なお、通常、球体14に掛ける荷重は、球体14が移動しない程度で十分であり、また、支承材200が屈曲する入力荷重の設定は、ヒンジ部200Aの摩擦力やヒンジ面の曲率を調整することで可能である。
【0092】
なお、以上説明した発明では、球体を板で挟持する構造であったが、この板の対向面にゴム板或いは減衰材を貼付けてもよい。これによって、減衰性能が相乗的に向上する。
【0093】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、別途ダンパーを設けることなく、狭いスペースに減衰機構や免震構造を構築できる。また、回転体の転がりを利用して、ストロークの大きい減衰装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1形態に係る減衰機構を備えた免震床構造を示す断面図である。
【図2】第1形態に係る減衰機構を備えた免震床構造を示す断面図である。
【図3】第1形態に係る減衰機構を備えた免震床構造を示す断面図である。
【図4】第1形態に係る減衰機構を備えた免震床構造を示す断面図である。
【図5】第1形態に係る減衰機構を備えた免震床構造の変形例を示す断面図である。
【図6】床スラブ及び二重床材の変形例を示す断面図である。
【図7】床スラブ及び二重床材の変形例を示す断面図である。
【図8】第2形態に係る減衰機構を備えた免震床構造を示す断面図である。
【図9】第2形態に係る減衰機構を備えた免震床構造を示す断面図である。
【図10】第2形態に係る減衰機構を備えた免震床構造を示す断面図である。
【図11】第2形態に係る減衰機構を備えた免震床構造に使用された保持盤の平面図である。
【図12】保持盤の変形例を示す断面図である。
【図13】保持盤の変形例を示す断面図である。
【図14】球体が腰壁及び垂れ壁と柱との間に挟まれた例を示す断面図である。
【図15】第3形態に係る免震構造が戸建ての建物に適用された例を示す立面図である。
【図16】第3形態に係る免震構造が戸建ての建物に保持盤が使用された例を示す立面図である。
【図17】第3形態に係る免震構造が高層ビルに適用された例を示す立面図である。
【図18】第4形態に係る減衰装置を示す側断面図である。
【図19】第4形態に係る減衰装置を一部切り欠いた斜視図である。
【図20】第4形態に係る減衰装置が免震床に適用された例を示す断面図である。
【図21】第4形態に係る減衰装置の変形例を示す断面図である。
【図22】第4形態に係る減衰装置が戸建ての建物に適用された例を示す立面図である。
【図23】第4形態に係る減衰装置の変形例を示す断面図である。
【図24】第4形態に係る減衰装置の変形例を示す断面図である。
【図25】第4形態に係る減衰装置の変形例を示す断面図である。
【図26】第5形態に係る減衰装置を軸線と直交する方向に切断した断面図である。
【図27】第5形態に係る減衰装置を軸線方向に切断した断面図である。
【図28】第5形態に係る減衰装置の作動状態を示した断面図である。
【図29】第5形態に係る減衰装置の変形例を示す断面図である。
【図30】第5形態に係る減衰装置の他の変形例を示す断面図である。
【図31】第5形態に係る減衰装置の他の変形例を示す断面図である。
【図32】第5形態に係る減衰装置の他の変形例を示す側断面図である。
【図33】第5形態に係る減衰装置の他の変形例を示す側断面図である。
【図34】図33の減衰装置が柱と梁との結合部分の取付けられた状態を示す平面図である。
【図35】図33の減衰装置が柱と梁との結合部分の取付けられた状態を示す立面図である。
【図36】第6形態に係る減衰装置を示す側面図である。
【図37】第6形態に係る減衰装置を示す正面図である。
【図38】第6形態に係る減衰装置が制振装置としてビルの屋上に取付けられた状態を示す立面図である。
【図39】第6形態に係る減衰装置の変形例を示す正面図である。
【図40】回転体の変形例を示す断面図である。
【図41】回転体の変形例を示す断面図である。
【図42】回転体の変形例を示す断面図である。
【図43】回転体の変形例を示す断面図である。
【図44】図43に示す回転体の変形例を示す断面図である。
【図45】図43に示す回転体の変形例を示す断面図である。
【図46】図43に示す回転体の変形例を示す断面図である。
【図47】減衰機構を備えた免震床構造の変形例を示す断面図である。
【図48】減衰機構を備えた免震床構造の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
12 床スラブ(移動部材)
14 球体(回転体)
16 二重床材(床材、移動部材)
18 弾性ばね(保持部材)
20 保持盤
22 保持部
24 基礎面
26 支持スラブ
28 建物
34 球体(回転体)
42 ケーシング
42A 底板
42B 天板
44 球体(第1回転体)
48 球体(第2回転体)
50 受け部
52 球体(回転体)
55 回転板(第1回転板)
58 外筒
59 回転板(第2回転板)
60 内筒
61 球体(回転体)
62 球体(回転体)
70 球体(回転体)
80 中板
82 球体(回転体)
84 外板
86 ボルト(拘束手段)
88 ナット(拘束手段)
104 芯球
106 被覆層
108 芯球
110 被覆層
112 袋体
114 抵抗材

Claims (2)

  1. 減衰性能を有する単一材料で成形された回転体と、互いに相対移動可能で前記回転体だけを圧縮変形させた状態で挟持する移動部材と、を有し、前記移動部材と他の移動部材との間に減衰性能を有する単一材料で成形された他の回転体だけを圧縮変形させた状態で挟持する機構を、必要とされる減衰力に応じて多段状に構成したことを特徴とする減衰機構。
  2. 底板と開口が形成された天板とを備えたケーシングと、前記底板に載置され減衰性能を有する単一材料で成形された第1回転体と、前記第1回転体だけに支承された支持板と、前記支持板から突設された受け部と、を備え、前記支持板と前記天板との間に第2回転体だけを挟持して圧縮変形させ、前記第2回転体は減衰性能を有する単一材料で成形されおり、支持板を押圧して前記第1回転体を圧縮変形させることを特徴とする減衰装置。
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