JP4828053B2 - 構造物の制振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の揺れを抑える構造物の制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示すように、梁34と柱36で構成された建物の架構40の空間部を、耐震壁50で閉塞し、地震力等による架構40の変形を拘束することで、建物の耐震性能を確保するものがある。この耐震壁50は力で地震力に抵抗しているため、耐震壁自体の耐力が重要になってくる。
【0003】
しかし、例えば、鉄筋コンクリートの耐震壁では、耐震力を大きくすることができるが、大きな外力が入力されると、脆性的な破壊を起こし易い。一方、既存建物の耐震改修には、社会的なニーズがあるが、従来の耐震壁は施工が大掛りになるため、耐震壁に替わって建物を地震等の外力から守る構造技術が求められている。
【0004】
このようなニーズに答えて、特願2000−172500号には、架構内に制震部材を配置し、減衰部材を介して制震部材を架構に取付けることで、架構の振動エネルギーを吸収する、制震壁構造が提案されている。
【0005】
この制震壁構造は、架構の空間部へ簡単に構築することができ、また、従来の耐震壁のように脆性的破壊を起こすこともない点で優れているが、これよりも構造をさらに簡略化し、部品点数を削減する工夫が望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は係る事実を考慮し、設計の自由度が大きく、部品点数及び施工コストを低減することができる構造物の制振装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、梁と柱で構成された架構内に配置された、矩形状の剛体と、前記剛体を揺動可能に支持し、前記剛体の角部分と前記梁の中央側部分とに回動可能に角度をもって連結された4つのアーム材で構成されている支持部材と、前記剛体と前記柱との間に装填された弾性部材と、を有することを特徴としている。
【0008】
この構成では、梁と柱で構成された架構内に矩形状の剛体が配置される。この剛体の上側2つの角部と上側の梁とを連結する2つのアームが剛体を吊下し、剛体の下側2つの角部と下側の梁とを連結する2つのアームが剛体を支えるため、架構に地震等の外力が作用して変形すると、架構と剛体が相対移動する。また、アーム材が角度を持って連結されているため、剛体が縦横に揺動しても、アーム材に曲げモーントによる破断が生じない。
【0009】
また、剛体と柱との間には弾性部材が装填されており、架構と剛体が相対移動したとき、弾性部材が変形して減衰力を発揮して、架構の振動エネルギーを吸収する。このように、本発明は、支持部材で剛体の荷重を支え、弾性部材を下方へ引っ張るような余計なストレスを弾性部材に与えないので、弾性部材が充分な制振効果を発揮することができる。
【0010】
また、架構で区画された空間部を耐震壁で閉塞する構造と比較すると、施工が簡単であり設計の自由度も大きくなる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記弾性部材が、角柱のゴム柱であり、その側面が前記剛体と前記柱に接着剤で接着されていることを特徴としている。
【0012】
この構成では、弾性部材として角柱のゴム柱を使用し、接着剤でゴム柱の側面と剛体及び柱に固着するため、コイルばね、ダンパー、積層ゴム等を装填する場合と比較すると施工が容易で工期を短縮できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1を参照しながら、本形態に係る構造物の制振装置10を説明していく。なお、本形態では、鉄骨構造を想定して構造物の制振装置10を説明するが、軸組み工法で建てられた住宅、RC構造の高層ビル、橋梁等の構造物の場合、それに適した強度と重量を備えた制振装置を鉄骨又は木材等で構成することが好ましい。
【0016】
この制振装置10は、矩形板状の剛体壁12を構成要素としている。この剛体壁12は、せん断変形しない面内剛性の高い壁であるが、材質は問わない。また、剛体壁12は格子枠や積層パネルで構成するのが好ましく、さらに、図4に示すように、鋼材で構成した矩形枠38にブレス材42を配置したものでもよい。なお、剛体壁12は、曲げ変形しても構わず、所定の重量があれば制振性能上の問題はない。
【0017】
剛体壁12の角部分には、鋼板で構成されたアームプレート14が配置されている。アームプレート14の両端部には、取付孔16A、16Bが形成されている。アームプレート14の取付孔16A側は、座板18を間に挟んでボルト20で剛体壁12に連結される。このとき、座板18のボス部18Aが取付孔16Aへ挿通され、ボルト20の頭部20Aがアームプレート14をボス部18A側へ押し付ける。これにより、アームプレート14が剛体壁12に対して回動可能となる。
【0018】
また、アームプレート14の取付孔16B側も同様に座板18を間に挟んでボルト20で梁34へ連結され、座板18のボス部18Aが取付孔16Bへ挿通されて、アームプレート14が梁34に対して回動可能となる。
【0019】
そして、図3に示すように、上側のアームプレート14はハの字形状に取付けられ剛体壁12を揺動可能に吊下し、下側のアームプレート14は逆ハの字形状に取付けられ剛体壁12を揺動可能に支持している。このように、アームプレート14をハの字形状及び逆ハの字形状に配置することで、架構44が変位したとき、左右のアームプレート14が梁34となす角度が異なる。これによって、柱36と剛体壁12の間に装填されるゴム柱26(後述する)は、横方向及び上下方向に変形して、大きな減衰力を発揮し、架構44の振動を低減する。
【0020】
すなわち、ゴム柱26は、圧縮変形とせん断変形の複合変形となり、2方向に減衰力を発揮する。
【0021】
また、柱36と剛体壁12の間には、角柱状のゴム柱26が装填されている。このように、弾性部材としてのゴムを角柱形状とすることで、形状が簡易となり量産化が容易となる。このゴム柱26は接着剤で隙間なく柱36及び剛体壁12に固着されているが、剛体壁12が揺動しないとき(平常時)には、剛体壁12が上下方向からアームプレート14に支持されているので、ゴム柱26は上下方向に大きなせん断力を受けない。このため、ゴム柱26は上下横方向に減衰力が発揮でき、経時劣化も少ない。
【0022】
また、本形態のゴム柱26は高減衰ゴムで成形されており、軟らかくて変形のストロークが大きいが、ゴム柱26を天然ゴムで成形すれば硬くなり、変形のストロークを小さくすることができる。このように、ゴム柱のゴムの種類を適宜選択することにより、所望の弾性剛性及び減衰力を得ることができる。
【0023】
次に、本形態に係る制振装置の施工方法を説明する。
【0024】
図2(A)に示すような架構44の柱36の側面に、図2(B)に示すように、ゴム柱26を接着剤で固着させる。ゴム柱26の重量は、作業者が一人で持ち運ぶことが出来る程度であるが、接着剤が固着するまでバンド等で柱36に固定したり、又は下方から支えるようにすることが好ましい。
【0025】
次に、図2(C)に示すように、下側の梁34の上に架台28をセットし、この架台28の上に剛体壁12を載せると共に、接着剤で剛体壁12の側面にゴム柱26を固着させる。このとき、ゴム柱26は横方向に若干圧縮された格好となり、隙間なく接着される。
【0026】
次に、図2(D)に示すように、アームプレート14をハの字形状及び逆ハの字形状に取付け、剛体壁12を梁34に連結し、架構44に対して剛体壁12を揺動可能とする。最後に架台28を撤去して制振装置の施工が完了する。
【0027】
この制振装置10では、架構44に地震等の外力が作用して変形すると、図3に示すように、架構44と剛体壁12が相対変位する。これにより、ゴム柱26が変形して減衰力を発揮して、架構44の振動エネルギーを吸収する。なお、ゴム柱26の体積は変化しないので、架構44の変形に確実に追従することができる。
【0028】
また、アームプレート14の取付角度を調整することで、架構44が変位したときの剛体壁12の上下方向の変位量を増幅させることができる。これによって、ゴム柱26が上下方向へ大きくせん断変形して、大きな減衰力を発揮し、揺れに対する建物の応答を低減させる。
【0029】
なお、剛体壁12の重量とゴム柱26の弾性剛性及び減衰力の大きさを調整すれば、TMD(チューンドマスダンパー)として、制振効果を高めることができる。
【0030】
さらに、ゴム柱は簡単な金型で比較的に安価に製造できるため、角柱の断面形状を簡単に変えることができる。これにより、剛体壁12の減衰力とストロークを調整することができる。
【0031】
また、剛体壁12は耐力壁として機能させることもできるので、柱36が倒壊しても、梁34を支えるフェールセーフとして制震壁の機能を持たせることもできる。
【0032】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、設計の自由度が大きく、部品点数及び施工コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本形態に係る制振装置の分解斜視図である。
【図2】本形態に係る制振装置の取付手順を示した正面図である。
【図3】本形態に係る制振装置の作動状態を示す正面図である。
【図4】変形例に係る制振装置の分解斜視図である。
【図5】従来の耐震壁を示す正面図である。
【符号の説明】
12 剛体壁(剛体)
14 支持部材(アームプレート)
26 ゴム柱(弾性部材)10 制振装置
Claims (2)
- 梁と柱で構成された架構内に配置された、矩形状の剛体と、前記剛体を揺動可能に支持し、前記剛体の角部分と前記梁の中央側部分とに回動可能に角度をもって連結された4つのアーム材で構成されている支持部材と、前記剛体と前記柱との間に装填された弾性部材と、を有することを特徴とする構造物の制振装置。
- 前記弾性部材が、角柱のゴム柱であり、その側面が前記剛体と前記柱に接着剤で接着されていることを特徴とする請求項1に記載の構造物の制振装置。
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