JP2003056200A - 構造物の制振装置 - Google Patents

構造物の制振装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設計の自由度が大きく、部品点数及び施工コ
ストを低減することができる構造物の制振装置を得る。 【解決手段】 架構44内に剛体壁12が配置され、ア
ームプレート14によって架構44内を揺動可能となる
ように支持されている。架構44に地震等の外力が作用
して架構44が変形すると、架構44と剛体壁12が相
対移動する。剛体壁12と柱36との間にはゴム柱26
が装填されており、架構44と剛体壁12が相対移動し
たとき、ゴム柱26が変形して減衰力を発揮して、架構
44の振動エネルギーを吸収する。また、アームプレー
ト14が剛体壁12の荷重を支え、ゴム柱26を下方へ
引っ張るような余計なストレスを与えないので、ゴム柱
26が充分な制振効果を発揮する。ゴム柱36を使用
し、接着剤でゴム柱36の側面と剛体壁12及び柱36
に固着するだけでよいため、施工が容易で工期を短縮で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物の揺れを抑
える構造物の制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図5に示すように、梁34と柱36で構
成された建物の架構40の空間部を、耐震壁50で閉塞
し、地震力等による架構40の変形を拘束することで、
建物の耐震性能を確保するものがある。この耐震壁50
は力で地震力に抵抗しているため、耐震壁自体の耐力が
重要になってくる。
【0003】しかし、例えば、鉄筋コンクリートの耐震
壁では、耐震力を大きくすることができるが、大きな外
力が入力されると、脆性的な破壊を起こし易い。一方、
既存建物の耐震改修には、社会的なニーズがあるが、従
来の耐震壁は施工が大掛りになるため、耐震壁に替わっ
て建物を地震等の外力から守る構造技術が求められてい
る。
【0004】このようなニーズに答えて、特願2000
−172500号には、架構内に制震部材を配置し、減
衰部材を介して制震部材を架構に取付けることで、架構
の振動エネルギーを吸収する、制震壁構造が提案されて
いる。
【0005】この制震壁構造は、架構の空間部へ簡単に
構築することができ、また、従来の耐震壁のように脆性
的破壊を起こすこともない点で優れているが、これより
も構造をさらに簡略化し、部品点数を削減する工夫が望
まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は係る事実を考
慮し、設計の自由度が大きく、部品点数及び施工コスト
を低減することができる構造物の制振装置を提供するこ
とを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、梁と柱で構成された架構内に配置された剛体と、前
記剛体を揺動可能に支持する支持部材と、前記剛体と前
記柱との間に装填された弾性部材と、を有することを特
徴としている。
【0008】この構成では、梁と柱で構成された架構内
に剛体が配置される。この剛体は、支持部材によって架
構内を揺動可能となるように支持されている。これによ
り、架構に地震等の外力が作用して変形すると、架構と
剛体が相対移動する。
【0009】また、剛体と柱との間には弾性部材が装填
されており、架構と剛体が相対移動したとき、弾性部材
が変形して減衰力を発揮して、架構の振動エネルギーを
吸収する。このように、本発明は、支持部材で剛体の荷
重を支え、弾性部材を下方へ引っ張るような余計なスト
レスを弾性部材に与えないので、弾性部材が充分な制振
効果を発揮することができる。
【0010】また、架構で区画された空間部を耐震壁で
閉塞する構造と比較すると、施工が簡単であり設計の自
由度も大きくなる。
【0011】請求項2に記載の発明は、前記弾性部材
が、角柱のゴム柱であり、その側面が前記剛体と前記柱
に接着剤で接着されていることを特徴としている。
【0012】この構成では、弾性部材として角柱のゴム
柱を使用し、接着剤でゴム柱の側面と剛体及び柱に固着
するため、コイルばね、ダンパー、積層ゴム等を装填す
る場合と比較すると施工が容易で工期を短縮できる。
【0013】請求項3に記載の発明は、前記支持部材
が、矩形状の前記剛体の角部分と前記梁の中央側部分と
に回動可能に角度を持って連結された4つのアーム材で
構成されていることを特徴としている。
【0014】この構成では、上側の2つのアーム材が矩
形状の剛体を吊下し、下側の2つのアーム材が剛体を支
えるため、各アーム材が受け持つ荷重が分散される。ま
た、アーム材が角度を持って連結されているため、剛体
が縦横に揺動しても、アーム材に曲げモーントによる破
断が生じない。
【0015】
【発明の実施の形態】図1を参照しながら、本形態に係
る構造物の制振装置10を説明していく。なお、本形態
では、鉄骨構造を想定して構造物の制振装置10を説明
するが、軸組み工法で建てられた住宅、RC構造の高層
ビル、橋梁等の構造物の場合、それに適した強度と重量
を備えた制振装置を鉄骨又は木材等で構成することが好
ましい。
【0016】この制振装置10は、矩形板状の剛体壁1
2を構成要素としている。この剛体壁12は、せん断変
形しない面内剛性の高い壁であるが、材質は問わない。
また、剛体壁12は格子枠や積層パネルで構成するのが
好ましく、さらに、図4に示すように、鋼材で構成した
矩形枠38にブレス材42を配置したものでもよい。な
お、剛体壁12は、曲げ変形しても構わず、所定の重量
があれば制振性能上の問題はない。
【0017】剛体壁12の角部分には、鋼板で構成され
たアームプレート14が配置されている。アームプレー
ト14の両端部には、取付孔16A、16Bが形成され
ている。アームプレート14の取付孔16A側は、座板
18を間に挟んでボルト20で剛体壁12に連結され
る。このとき、座板18のボス部18Aが取付孔16A
へ挿通され、ボルト20の頭部20Aがアームプレート
14をボス部18A側へ押し付ける。これにより、アー
ムプレート14が剛体壁12に対して回動可能となる。
【0018】また、アームプレート14の取付孔16B
側も同様に座板18を間に挟んでボルト20で梁34へ
連結され、座板18のボス部18Aが取付孔16Bへ挿
通されて、アームプレート14が梁34に対して回動可
能となる。
【0019】そして、図3に示すように、上側のアーム
プレート14はハの字形状に取付けられ剛体壁12を揺
動可能に吊下し、下側のアームプレート14は逆ハの字
形状に取付けられ剛体壁12を揺動可能に支持してい
る。このように、アームプレート14をハの字形状及び
逆ハの字形状に配置することで、架構44が変位したと
き、左右のアームプレート14が梁34となす角度が異
なる。これによって、柱36と剛体壁12の間に装填さ
れるゴム柱26(後述する)は、横方向及び上下方向に
変形して、大きな減衰力を発揮し、架構44の振動を低
減する。
【0020】すなわち、ゴム柱26は、圧縮変形とせん
断変形の複合変形となり、2方向に減衰力を発揮する。
【0021】また、柱36と剛体壁12の間には、角柱
状のゴム柱26が装填されている。このように、弾性部
材としてのゴムを角柱形状とすることで、形状が簡易と
なり量産化が容易となる。このゴム柱26は接着剤で隙
間なく柱36及び剛体壁12に固着されているが、剛体
壁12が揺動しないとき(平常時)には、剛体壁12が
上下方向からアームプレート14に支持されているの
で、ゴム柱26は上下方向に大きなせん断力を受けな
い。このため、ゴム柱26は上下横方向に減衰力が発揮
でき、経時劣化も少ない。
【0022】また、本形態のゴム柱26は高減衰ゴムで
成形されており、軟らかくて変形のストロークが大きい
が、ゴム柱26を天然ゴムで成形すれば硬くなり、変形
のストロークを小さくすることができる。このように、
ゴム柱のゴムの種類を適宜選択することにより、所望の
弾性剛性及び減衰力を得ることができる。
【0023】次に、本形態に係る制振装置の施工方法を
説明する。
【0024】図2(A)に示すような架構44の柱36
の側面に、図2(B)に示すように、ゴム柱26を接着
剤で固着させる。ゴム柱26の重量は、作業者が一人で
持ち運ぶことが出来る程度であるが、接着剤が固着する
までバンド等で柱36に固定したり、又は下方から支え
るようにすることが好ましい。
【0025】次に、図2(C)に示すように、下側の梁
34の上に架台28をセットし、この架台28の上に剛
体壁12を載せると共に、接着剤で剛体壁12の側面に
ゴム柱26を固着させる。このとき、ゴム柱26は横方
向に若干圧縮された格好となり、隙間なく接着される。
【0026】次に、図2(D)に示すように、アームプ
レート14をハの字形状及び逆ハの字形状に取付け、剛
体壁12を梁34に連結し、架構44に対して剛体壁1
2を揺動可能とする。最後に架台28を撤去して制振装
置の施工が完了する。
【0027】この制振装置10では、架構44に地震等
の外力が作用して変形すると、図3に示すように、架構
44と剛体壁12が相対変位する。これにより、ゴム柱
26が変形して減衰力を発揮して、架構44の振動エネ
ルギーを吸収する。なお、ゴム柱26の体積は変化しな
いので、架構44の変形に確実に追従することができ
る。
【0028】また、アームプレート14の取付角度を調
整することで、架構44が変位したときの剛体壁12の
上下方向の変位量を増幅させることができる。これによ
って、ゴム柱26が上下方向へ大きくせん断変形して、
大きな減衰力を発揮し、揺れに対する建物の応答を低減
させる。
【0029】なお、剛体壁12の重量とゴム柱26の弾
性剛性及び減衰力の大きさを調整すれば、TMD(チュ
ーンドマスダンパー)として、制振効果を高めることが
できる。
【0030】さらに、ゴム柱は簡単な金型で比較的に安
価に製造できるため、角柱の断面形状を簡単に変えるこ
とができる。これにより、剛体壁12の減衰力とストロ
ークを調整することができる。
【0031】また、剛体壁12は耐力壁として機能させ
ることもできるので、柱36が倒壊しても、梁34を支
えるフェールセーフとして制震壁の機能を持たせること
もできる。
【0032】
【発明の効果】本発明は上記構成としたので、設計の自
由度が大きく、部品点数及び施工コストを低減すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本形態に係る制振装置の分解斜視図である。
【図2】本形態に係る制振装置の取付手順を示した正面
図である。
【図3】本形態に係る制振装置の作動状態を示す正面図
である。
【図4】変形例に係る制振装置の分解斜視図である。
【図5】従来の耐震壁を示す正面図である。
【符号の説明】
12 剛体壁(剛体) 14 支持部材(アームプレート) 26 ゴム柱(弾性部材)10 制振装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16F 15/08 F16F 15/08 E Fターム(参考) 2E001 DG01 EA01 FA01 FA02 FA03 GA12 GA59 GA63 HA04 HE01 KA03 LA01 LA04 LA11 2E002 FA04 FB03 FB12 HA02 HB02 HB06 HB14 HB16 JA01 JA02 JB02 LB06 MA12 3J048 AA01 AC01 BA03 BD01 DA04 EA38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 梁と柱で構成された架構内に配置された
    剛体と、前記剛体を揺動可能に支持する支持部材と、前
    記剛体と前記柱との間に装填された弾性部材と、を有す
    ることを特徴とする構造物の制振装置。
  2. 【請求項2】 前記弾性部材が、角柱のゴム柱であり、
    その側面が前記剛体と前記柱に接着剤で接着されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の構造物の制振装置。
  3. 【請求項3】 前記支持部材が、矩形状の前記剛体の角
    部分と前記梁の中央側部分とに回動可能に角度を持って
    連結された4つのアーム材で構成されていることを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載の構造物の制振装
    置。
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