JPH1150689A - 振動制御機構 - Google Patents

振動制御機構

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Publication number
JPH1150689A
JPH1150689A JP21232397A JP21232397A JPH1150689A JP H1150689 A JPH1150689 A JP H1150689A JP 21232397 A JP21232397 A JP 21232397A JP 21232397 A JP21232397 A JP 21232397A JP H1150689 A JPH1150689 A JP H1150689A
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JP
Japan
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arm
vibration control
frame
control mechanism
vibration damping
Prior art date
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Pending
Application number
JP21232397A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuji Ishimaru
辰治 石丸
Takahiro Shintani
隆弘 新谷
Masaharu Kubota
雅春 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tobishima Corp
Original Assignee
Tobishima Corp
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Publication date
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Publication of JPH1150689A publication Critical patent/JPH1150689A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造物の軸耐力を向上させると共に制振性能
を向上させる振動制御機構を得る。 【解決手段】 壁柱22が架構16を構成する上階梁1
4Aと下階梁14Bとの間に配設されている。この壁柱
22の上部には、積層ゴム36が配設されており、積層
ゴム36を通じて上階梁14Aが受ける荷重が壁柱22
の軸力として作用し、下階梁14Bへ伝達される。すな
わち、壁柱22が鉛直部材として機能するので、構造物
の軸耐力が向上し、柱12に働く軸力を低減させること
ができる。また、積層ゴム36が水平方向に変形して壁
柱22を架構16の動きに追従させるので、耐震性能が
向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物の揺れを抑
える振動制御機構に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、既存の構造物の補強で問題とな
るのは、上層荷重を支持する鉛直部材の補強であるが、
構造物全体の軸耐力を向上させるような最適な補強方法
は見つかっていない。また、既存建物の耐震補強も色々
提案されているが、柱に作用する軸力を低減しないと、
大地震時に柱が損傷する恐れもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は係る事実を考
慮し、構造物の軸耐力を向上させると共に制振性能を向
上させる振動制御機構を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、剛体が架構を構成する上階梁と下階梁との間に配設
されている。この剛体の上部或いは下部の少なくとも一
方には減衰材が配設されており、減衰材を通じて上階梁
が受ける荷重が剛体の軸力として作用し、下階梁へ伝達
される。
【0005】すなわち、剛体が鉛直部材として機能する
ので、構造物の軸耐力が向上し、柱に働く軸力を低減さ
せることができる。また、減衰材が水平方向に変形して
剛体を架構の動きに追従させるので、耐震性能が向上す
る。
【0006】請求項2に記載の発明では、剛体が各架構
へ配置され、鉛直線上に連層する恰好となっている。し
たっがって、架構に作用する軸力が順次剛体を通じて、
基礎地盤まで伝達されるので、新築或いは既存建物の柱
に作用する軸力を低減させることができる。
【0007】請求項3に記載の発明では、上階梁に、第
1アームの一端が回転可能に取付けられており、また、
下階梁に、第2アームの一端が回転可能に取付けられて
いる。そして、連結部材によって、第1アームと第2ア
ームの自由端が所定の角度を持って回転可能に連結さ
れ、トグル機構を構成している。
【0008】このように、トグル機構を構成することに
より、地震等により上階梁と下階梁が、小さく水平方向
或いは鉛直方向へ相対変形しても、連結部材は大きく円
弧運動し、大きな変形に増幅する。このため、小さい変
形×大きな力=大きな変形×小さな力という関係が成立
する。
【0009】そして、連結部材の円弧運動は、剛体に設
けられたエネルギー吸収手段により減衰され、架構の振
動が小さな力で制振されることになる。
【0010】また、振動制御機構は、柱を構成要件とし
ていないので、架構を構成する柱に負担を掛けることな
く、振動を架構内で収束させることができる。
【0011】請求項4に記載の発明では、上階梁に、第
1アームの一端が回転可能に取付けられており、また、
剛体に、第2アームの一端が回転可能に取付けられてい
る。そして、連結部材によって、第1アームと第2アー
ムの自由端が所定の角度を持って回転可能に連結され、
トグル機構を構成している。
【0012】すなわち、剛体に第2アームを取付けるこ
とにより、第1アームの軸線と第2アームの軸線とが描
く交角を自由に設定することができ、連結部材における
増幅倍率を、大きくすることができる。
【0013】また、振動制御機構で発生する応力が、請
求項3の発明のように、第2アームを介して下階梁に直
接伝達されないので、架構に負担が掛からない。
【0014】請求項5に記載の発明では、上階梁から補
強壁が垂下されている。この補強壁には、第1アームの
一端が回転可能に取付けられている。これによって、振
動制御機構で発生する応力が、第1アームを通じて上階
梁に直接伝達されないので、架構内で発生する応力がす
べて架構内で処理される。すなわち、上階梁で発生する
応力が柱を通じて他の架構に伝達されないので、各架構
内で力のやりとりが自己完結する。
【0015】請求項6に記載の発明では、アームで変形
を増幅するトグル機構を構成することなく、上階梁と剛
体がエネルギー吸収手段で直接連結されている。このた
め、エネルギー吸収手段の取付角度やストロークの設定
が自由にでき、また、架構の揺れは、エネルギー吸収手
段で直接減衰される。
【0016】請求項7に記載の発明では、上階梁から垂
下された補強壁と剛体がエネルギー吸収手段で連結され
ている。このため、エネルギー吸収手段で発生する応力
が、上階梁に伝達されずに、架構内で処理される。
【0017】請求項8に記載の発明では、エネルギー吸
収手段が各種のダンパーで構成されている。例えば、弾
性ダンパーとして弾性ばねを使用した場合、アームを介
して架構の剛性を向上させることができる。また、弾塑
性ダンパーとして極降伏点鋼材等でばねを構成すれば、
設定した許容変形量を越えたとき、降伏して履歴ループ
を描きながら、エネルギーを吸収する。
【0018】さらに、粘性系のダンパーと弾性系のダン
パーを組み合わせることによって、必要とされる減衰力
と架構の剛性を決めることができる。
【0019】請求項9に記載の発明では、水平面上にト
グル機構が構成されている。すなわち、上階梁に、第1
アームの一端が回転可能に取付けられており、また、剛
体の上面に、第2アームの一端が回転可能に取付けられ
ている。そして、第1アームと第2アームの軸線が水平
面上で鋭角に交わるように、それぞれの自由端が連結部
材で回転可能に連結されたトグル機構が、水平面上に少
なくとも一対設けられており、連結部材同士がダンパー
で連結されている。
【0020】そして、地震等によって、架構が小さく水
平方向へ変形しても、連結部材の間隔が大きく変化し
て、ダンパーを大きく伸縮させる。
【0021】このため、小さい変形×大きな力=大きな
変形×小さな力という関係が成立し、ダンパーが小さな
力で架構の振動を抑制する。また、この振動制御機構
は、上階梁と剛体の上面との間に設けられたスペースに
収まるようになっているので、架構内において専有する
スペースが小さくて済む。
【0022】請求項10に記載の発明では、橋台或いは
橋脚の上に減衰材が設置され、この減衰材の上に橋桁が
架設されている。そして、減衰材を通じて、橋桁が受け
る荷重が軸力として橋台或いは橋脚へ伝達される。この
減衰材は、水平方向に変形して橋桁に追従するので、耐
震性能が向上する。
【0023】また、橋台或いは橋脚と橋桁との間には、
第1アーム及び第2アームでトグル機構が構成されてお
り、橋桁の小さな変位を増幅し、エネルギー吸収手段で
小さな力として吸収する。
【0024】請求項11に記載の発明では、支持体の頂
部に基端部が支持された片持ち体の振動を抑えるように
なっている。この片持ち体の自由端は、弦材で懸架され
ている。そして、弦材には、ダンパーが連結され、この
ダンパーが連結された連結部において、弦材が所定の角
度を持っている。
【0025】すなわち、片持ち体を支える弦材をトグル
機構とすることで、地震や風等による片持ち体の小さな
揺れを、連結部において増幅して、効果的に減衰させる
ことができる。
【0026】請求項12に記載の発明では、振動制御の
対象となる構造物に隣接して基礎地盤から立設された制
振フレームが、構造物と連結部材で連結されている。
【0027】従って、制振フレームの重量は、構造物に
付加されないので、構造物に軸力負担を掛けず、基礎を
補強する必要もない。また、構造物の外部に取付けるよ
うになっているので、どのようなタイプの建物にも組付
けることができ、さらに、建物自体の構造を変える必要
のないので、施工コストを削減することができる。
【0028】一方、制振フレームは、剛性梁とこの剛性
梁を支持し自重を軸力として基礎地盤へ伝達する柱とで
構成されている。剛性梁は、連結部材を介して構造物と
連結され、構造物及び制振フレームが一体に振動する。
【0029】柱には、減衰材が設けられており、上階剛
性梁が受ける荷重を柱の軸力として下方へ伝達すると共
に、この減衰材が、水平方向に変形して剛性梁の動きに
柱を追従させるので、耐震性能が向上する。
【0030】また、柱の間には、制振手段(例えば、ト
グル機構とダンパーの組み合わせ)が配置されており、
構造体の変形を増幅して、小さな力で構造体を制振させ
るようになっている。
【0031】このように、本発明は、連結部材で連結さ
れた構造体と制振フレームとが一体となって、入力され
た振動を減衰する。また、制振フレームは、性能要求に
応じて、構造物の片側又は両側に配置することができ
る。さらに、制振フレームには、壁を入れる必要がない
ので、構造物の採光条件を悪化させることがない。
【0032】
【発明の実施の形態】次に、本発明の振動制御機構の実
施の形態として、図面に基づいて第1形態に係る制振装
置を説明する。
【0033】図1及び図2に示すように、第1形態に係
る制振装置10は、柱12と梁14とで構成された架構
16内に配設されている。
【0034】上階梁14Aに取付けられた回転支承18
には、第1アーム20が回転可能に連結されている。ま
た、下階梁14Bには、回転支承24が取付けられてお
り、この回転支承24には、第2アーム26が回転可能
に連結されている。そして、第1アーム20と第2アー
ム26との自由端は、連結ピン28で回転可能に連結さ
れ、所定の交角度を形成している。
【0035】このように、構成されたアームは、架構1
6の中央に構築された壁柱22の表裏対称配置されてお
り、建物がどの方向へ揺れても、制振効果が一定となる
ように配慮されている。
【0036】一方、エネルギー吸収手段としてのダンパ
ー30は、回転支承24を中心点として第2アーム26
の先端部が描く円の円周上に位置する、円弧状に湾曲し
た内板材34を備えている。この内板材34は、壁柱2
2に固定されている。
【0037】また、壁柱22の上部には、減衰材として
の積層ゴム36(薄い鉄板とゴムを層状に重ね合わせて
一体にしたもの)が嵌め込まれ、この積層ゴム36を通
じて上階梁14Aが受ける荷重が壁柱22の軸力として
伝達されるようになっている。さらに、積層ゴム36
は、壁柱22と上階梁14Aに固定されており、架構1
6の水平変形に追従して弾性変形するようになってい
る。
【0038】一方、内板材34の外側には、内板材34
より曲率が大きい湾曲した外板材32が設けられてお
り、この外板材32に、連結ピン28が連結されてい
る。さらに、内板材34の外周面と外板材32の内周面
には、扇形状のゴム板38が固着されている。
【0039】次に、本形態に係る制振装置の作用を説明
する。地震等によって、図2に示すように、架構16が
右方向へ水平変形したとし、便宜上、柱12の伸縮を無
視する。このとき、架構16内において、トグル機構を
構成する第2アーム26が回転支承24を中心に円弧運
動を行うため、上階梁14Aの回転支承18の水平変位
量より、連結ピン28の変位量が増幅されて大きくな
る。
【0040】このように、上階梁14Aの小さな変位が
連結ピン28の大きな回転変位に増幅され、小さい変位
×大きな力=大きな変位×小さな力という関係が成立す
る。
【0041】そして、連結ピン28の円弧運動を減衰さ
せるためにダンパー30が機能する。すなわち、この連
結ピン28が、外板材32を周方向へ移動させ、ゴム板
38を面内で捩れ変形させる。このゴム板38の捩れ変
形によって、連結ピン28の円弧運動が減衰される。
【0042】このように、ダンパー30のストローク
を、周方向へせん断変形するゴム板38の面内で取るこ
とにより、直動式のダンパーのように、別途回転機構を
構成する必要もなく、狭いスペースに設置することがで
きる。また、ダンパー30のストロークを大きくする場
合は、内板材34と外板材32との曲率の差を大きくす
ることによって、外板材32の移動量が同じでも、ゴム
板38の捩れ変形量を大きくすることができる。
【0043】さらに、ゴム板38の面外振れ止めとして
機能する壁柱22の上部が積層ゴム36を介して、上階
梁14Aと連結されており、新設の建物はもとより、鉛
直部材での補強が難しい既存の建物の軸耐力も向上させ
ることができる。また、積層ゴム36が水平方向に変形
し、架構16の動きに壁柱22を追従させるので、耐震
性能が向上する。
【0044】なお、減衰材としては、積層ゴムに特定さ
れるものではなく、粘弾性体、単体のゴム、鉄、鉛、エ
ンプラ、高減衰積層ゴム、極低降伏点鋼等を使用するこ
とができる。また、本形態では、積層ゴムを上階梁14
A側へ設けたが、ダンパーの邪魔にならない箇所であれ
ば、下階梁14B側でも構わない。
【0045】さらに、図6に示すように、上階梁14A
と壁柱22との間にすべり支承48(テフロン、ローラ
ー、スライダー等)を配置し、摩擦による減衰効果を発
揮させてもよい。
【0046】また、図3に示すように、各階に本形態の
制振装置10を上下に連層することによって、すなわ
ち、壁柱22の軸線が鉛直線上に位置するように配置す
ることで、建物40の全軸力が壁柱22を通じて基礎地
盤まで伝達される。これによって、既存建物の柱12に
作用する軸力を低減させることができる。なお、壁柱2
2の軸力が集中する基礎部分は補強・追加しておく方が
好ましい。
【0047】さらに、図4に示すように、ピロティ形式
の建物42の場合、建物42を支える独立柱44の間
に、本形態の制振装置10を取付けることにより、トグ
ル機構の入力低減効果及び独立柱44に作用する軸力の
負担も軽減される。
【0048】また、図5に示すように、既存の独立柱4
4の頂部に積層ゴム46や弾塑性ダンパー等を配置して
おけば、建物42の水平変形に頂部が追従するので、独
立柱44に損傷を与える恐れが無くなる。
【0049】さらに、図7及び図8に示すように、ダン
パー30に替えて、通常のシリンダー形式のダンパー5
0を壁柱22に回転可能に連結し、連結ピン28の円弧
運動を減衰させてもよい。
【0050】次に、第2形態に係る制振装置を説明す
る。図9及び図10に示すように、第2形態の制振装置
52では、架構16内に2つの壁柱54が配置されてお
り、その上部が積層ゴム56を介して、上階梁14Aと
連結されている。
【0051】上階梁14Aの回転支承18には第1アー
ム20が回転可能に連結され、下階梁14Bの回転支承
24には第2アーム26が回転可能に連結されている。
そして、第1アーム20と第2アーム26との自由端
は、連結ピン28で回転可能に連結され、所定の交角度
を形成している。また、連結ピン28には、壁柱54の
側面に回転可能に連結されたダンパー58のロッドが連
結されている。
【0052】このように、第2形態では、壁柱56を2
つ配置することにより、壁柱56を通じて基礎地盤まで
伝達される軸力を分散させると共に、アームの配置の自
由度を向上させている。
【0053】次に、第3形態に係る制振装置を説明す
る。図11及び図12に示すように、第3形態の制振装
置60では、架構16の中央部に壁柱22が配置されて
おり、その上部が積層ゴム36を介して、上階梁14A
と連結されている。
【0054】上階梁14Aの回転支承64には第1アー
ム62が回転可能に連結されており、第2アーム66
は、壁柱22の回転支承68に連結されている。そし
て、第1アーム62と第2アーム66との自由端は、連
結ピン28で回転可能に連結され、鋭角の交角を形成し
ている。また、連結ピン28には、壁柱22の側面に回
転可能に連結されたダンパー58のロッド70が連結さ
れている。
【0055】このように、第3形態では、壁柱22に第
2アーム66を取付けることにより、第1アーム62の
軸線と第2アーム66の軸線とが描く交角を自由に設定
することができる。このため、連結ピン28における交
角を鋭角にすることで、トグル機構の特性を利用して増
幅倍率を大きくすることができる。
【0056】また、制振装置60で発生する応力が、下
階梁14Bに直接伝達されないので、架構16に負担が
掛からない。
【0057】さらに、図13及び図14に示す制振装置
70のように、壁柱22の表裏面に配置することで、架
構16内での収まりが良くなる。
【0058】次に、第4形態に係る制振装置を説明す
る。図15及び図16に示すように、また、下階梁14
Bからは剛性壁72(又は柱でもよい)が立ち上げられ
ており、この剛性壁72に回転支承68が取付けられて
いる。この回転支承68には、第2アーム66が回転可
能に連結されている。第1アーム62と第2アーム66
との自由端は、連結部材74で回転可能に連結されてい
る。
【0059】また、積層ゴム36によって上階梁14A
と連結された剛性壁72の立面には、連結部材74の移
動軌跡に沿って円弧状の溝76が形成されている。この
溝76へは、摩擦部材としての円柱体78が摺動可能に
装着され、この円柱体78が連結部材74と連結されて
いる。
【0060】次に、本形態に係る制振装置の作用を説明
する。架構16の小さな変位を大きな変位に増幅して制
振する点は、他の実施形態と同様であるが、本形態で
は、円柱体78が溝76に沿って円弧運動を行い、溝7
6との間に発生する摩擦力によって、連結部材74のエ
ネルギーを吸収する点で異なる。このように、本形態で
は、円弧運動を行うトグル式の制振装置の連結部材74
の挙動を踏まえた構造形式となっている。
【0061】また、積層ゴム36を介して上階梁14A
の荷重を剛性壁72が負担するので、建物全体の軸耐力
を向上させることができる。さらに、剛性壁72を架構
16の動きに追従させることで、耐震性能を向上させる
ことができる。
【0062】次に、第5形態に係る制振装置を説明す
る。図17及び図18に示すように、架構16内に2つ
の壁柱54が配置されており、その上部が積層ゴム56
を介して、上階梁14Aと連結されている点は、第2形
態の制振装置と同じであるが、第5形態では、トグル機
構を構成する第2アーム66が壁柱54に設けられた回
転支承68に回転可能に連結されている点で相違する。
【0063】このように、壁柱54に第2アーム66を
取付けることにより、第1アーム62の軸線と第2アー
ム66の軸線とが描く交角を自由に設定することがで
き、交角度を鋭角にすることにより、連結ピン28にお
ける増幅倍率を大きくすることができる。
【0064】ここで、地震等によって、図18に示すよ
うに、上階梁14Aが右方向へ水平変形したとする。こ
のとき、架構16内において、トグル機構を構成する第
2アーム66が回転支承68を中心に円弧運動を行うた
め、上階梁14Aの回転支承64の水平変位量より、連
結ピン28の変位量が増幅されて大きくなる。
【0065】このように、上階梁14Aの小さな変位が
連結ピン28の大きな回転変位に増幅され、小さい変位
×大きな力=大きな変位×小さな力という関係が成立す
る。そして、壁柱54に取付けられたダンパー58によ
って、連結ピン28の円弧運動が減衰され、架構16の
振動が効果的に制振される。
【0066】また、制振装置80で発生する応力が、第
2アーム66を介して下階梁14Bへ伝達されないの
で、架構16を構成する柱12に負担を掛けることな
く、力のやりとりを架構16内で完結させることができ
る。
【0067】次に、第6形態に係る制振装置を説明す
る。図19及び図20に示すように、第6形態では、架
構16の左右に配置された壁柱54の間に制振装置82
が構成されている。すなわち、壁柱54に設けられた回
転支承24に第2アーム26が回転可能に連結され、上
階梁14Aに設けられた回転支承18へ第1アーム20
が回転可能に連結され、左右対称に配置されている。
【0068】そして、本形態においても、制振装置82
で発生する応力が、第2アーム26を介して下階梁14
Bへ伝達されないので、架構16を構成する柱12に負
担を掛けることなく、応力が架構16内で完結するよう
になっている。
【0069】次に、第7形態に係る制振装置を説明す
る。第7形態では、図21に示すように、上階梁14A
から所定の間隔を置いて、剛性壁84と剛性壁90が垂
下されている。剛性壁84と剛性壁90の下端部と下階
梁14Bとの間には積層ゴム86、88が介在され、上
階梁14Aの荷重が軸力として剛性壁84、90に作用
するようになっている。
【0070】また、剛性壁90の立面には、連結ピン2
8の移動軌跡に沿って円弧状の溝92が形成されてい
る。この溝92へは、摩擦部材としての円柱体94が摺
動可能に装着され、連結ピン28と連結されている。
【0071】すなわち、第7形態は、図15に示す制振
装置と基本的な構成は同じであるが、剛性壁を2つ設
け、剛性壁84側に第2アーム66を連結し、剛性壁9
0側にダンパー機構を構成している点で相違する。この
ように、剛性壁を2つ設けることにより、柱12に作用
する軸力の低減効果が大きくなる。
【0072】なお、摩擦力を利用した制振用のダンパー
として、図22に示すように、連結ピン28の移動軌跡
に沿って湾曲したパイプ96を備えたものがある。パイ
プ96の下端部はブロック98で支持され、中央部がス
テイ100で支えられている。パイプ96の外周部に
は、長手方向に沿ってスリット104が形成されてい
る。また、パイプ96の中には、湾曲した円柱体102
が配設されており、スリット104を貫通したプレート
106で連結ピン28と連結されている。
【0073】このように、パイプ96を利用すること
で、広い接触面積で円柱体102がパイプ96の内周壁
を摺動し、抜け出すこともないので、ダンパーとしての
信頼性が高くなる。
【0074】また、第2アーム66が連結される剛性壁
84の上端部は、積層ゴム108を介して上階梁14A
に連結され、パイプ96の上端部は、積層ゴム110を
介して上階梁14Aに連結されている。
【0075】従って、積層ゴム108、110が、上階
梁14Aの荷重を軸力として、剛性壁84、パイプ96
に伝えるので、建物全体の軸耐力を向上する。また、積
層ゴム108、110が水平変形して、剛性壁84、パ
イプ96が、下階梁12Bと共に移動するので、相対移
動してダンパー機構を破壊することがない。
【0076】次に、第8形態に係る制振装置を説明す
る。図23に示すように、第8形態の制振装置112
は、架構16の中央に配置された壁柱22にダンパー1
14のシリンダーが連結部材を介して回転可能に取付け
られている。ダンパー114のロッド114Aは、上階
梁14Aに取付けられた回転支承64に回転可能に連結
されている。
【0077】従って、図24に示すように、架構16の
上階梁14Aが右方へ変形すると、右側のダンパー11
4は伸長し、左側のダンパー114は縮小して、架構1
6の振動を制振する。また、積層ゴム36は、上階梁1
4Aに追従して変形し、耐震性能を発揮する。
【0078】なお、図25及び図26に示すように、ダ
ンパー114を壁柱22の左右側面に取付けてもよい。
【0079】次に、第9形態に係る制振装置を説明す
る。図27に示すように、第9形態に係る制振装置11
6は、下階梁14Bから立ち上げられ、上部に積層ゴム
56を介在させて上階梁14Aと連結された壁柱54を
2つ備えている。
【0080】上階梁14Aに設けられた回転支承64と
壁柱54に設けられた回転支承68はダンパー114で
直接連結されている。
【0081】ここで、図28に示すように、架構16が
右方向へ水平変位すると、ハの字状に配置されたダンパ
ー114の左側が伸長し右側が縮小して、架構16の振
動を制振する。
【0082】このように、積層ゴム56とダンパー11
4の組合わせで制振装置116を構成することで、シン
プルな構造となる。また、壁柱54を設けることで、架
構16の形状にかかわらず、ダンパーの取付角度やスト
ロークの設定が自由にできる。
【0083】次に、第10形態に係る制振装置を説明す
る。図29に示すように、第10形態の制振装置118
では、上階梁14Aから補強壁120が垂下されてい
る。この補強壁120の下端部は、下階梁14Bから立
ち上げられた壁柱54の上端部と積層ゴム122を介し
て連結されている。
【0084】また、補強壁120には回転支承124
が、壁柱54の下部には回転支承126が設けられてお
り、この回転支承124と回転支承126にダンパー1
28が斜めに交差するように連結されている。
【0085】この制振装置118では、図30に示すよ
うに、架構16が右方向へ水平変位すると、タスキ掛け
状に配置されたダンパー128が伸縮して架構16の振
動を直接制振する。
【0086】また、第9形態と異なり、減衰手段として
のダンパー128が下階梁14Bに連結されていないの
で、架構16内で発生する応力が架構16内で処理され
る。すなわち、上階梁14Aで発生する応力が柱12を
通じて他の架構に伝達されないので、各架構内で発生す
る力のやりとりが補強壁を含む制振装置内で自己完結す
る。
【0087】次に、第11形態に係る制振装置を説明す
る。図31に示すように、K型ブレース132(剛壁で
もよい)が上階梁14Aから垂下されており、このK型
ブレース132の下端部に回転支承134を介して第1
アーム136が回転可能に連結されている。また、下階
梁14Bには、耐震台138が設けられており、この耐
震台138に回転支承140を介して第2アーム142
が回転可能に連結されている。
【0088】そして、第1アーム136と第2アーム1
42との軸線が鋭角に交差するように、それぞれの自由
端が連結ピン144で回動可能に連結されている。この
ように、アームの交差角度を鋭角にすることによって、
連結ピン144での増幅倍率を大きくすることができ
る。
【0089】また、K型ブレース132と耐震台138
の間には、積層ゴム146が介在されており、K型ブレ
ース132に作用する荷重を軸力として耐震台138へ
伝達すると共に、K型ブレース132及び耐震台138
を架構16の動きに追従させ、耐震性能を発揮する。
【0090】一方、ダンパー148は、円形の中板15
6と、この中板156の両面に固着された円盤状のゴム
板158を備えている。ゴム板158には、耐震台13
8に取付けられた外板160が固着され、中板156か
ら突設されたシャフト162が、外板160に軸支され
ている。
【0091】また、中板156からは、半径方向へブラ
ケット150が突設されており、減衰対象物に連結され
るようになっている。この中板156が、シャフト16
2回りに回転し、ゴム板158が面内で回転して捩れ変
形し、減衰力を発揮する。このように、ゴム板158の
面全体を捩じることによって、大きな剪断面積を稼ぐこ
とができるので、大きな減衰力を得ることができる。
【0092】また、ダンパー148のブラケット150
には、連結ピン144を回動可能に保持できるように、
U字状の軸溝152が形成されており、制振装置154
をセットした状態において、軸溝152と連結ピン14
4との間には、クリアランスが形成されている。
【0093】このように、クリアランスを設けることに
よって、ブラケット150を押圧する力が発生しない。
従って、中板156には、回転力しか作用しないため、
ゴム板158が確実に面内において捩り変形する。この
結果、捩れ方向に指向性が生まれるので、ゴム板158
の耐久性が向上する。
【0094】なお、ゴム板158としては、汎用のゴム
(イソプレン、SBR、NR、IR、BR等)を考えて
いるが、アクリル系ゴムやシリコン系ゴムのように特殊
なゴムを使用することもできる。
【0095】次に、第12形態に係る制振装置を説明す
る。図32及び図33に示すように、架構16の下階梁
14Bからは、架構16内の空間をほぼ専有する大きさ
の剛性壁164が立上げられている。また、剛性壁16
4と対面するように、上階梁14Aからは、下り壁16
6が垂下されている。
【0096】下り壁166と剛性壁164との間には、
大型の積層ゴム168が介在されており、下り壁166
の荷重を剛性壁164の軸力として伝達し、また、下り
壁166及び剛性壁164を架構16の動きに追従させ
るようになっている。
【0097】一方、下り壁166の両端部には回転支承
18が、また、剛性壁164の両隅部には回転支承24
が設けられている。そして、回転支承18には第1アー
ム20が連結され、回転支承24には第2アーム26が
連結されており、それぞれの自由端が連結ピン28が回
転可能に連結されている。
【0098】また、連結ピン28には、剛性壁164に
取付けられたダンパー50が連結されており、このダン
パー50で、連結ピン28の円弧運動を減衰する。
【0099】このように、第1アーム20を下り壁16
6へ、第2アーム26を剛性壁164に連結すること
で、架構16内で発生する応力が架構16内で処理され
る。すなわち、架構16で発生する応力が柱12を通じ
て他の架構に伝達されないので、各架構内で力のやりと
りが自己完結する。
【0100】なお、図34に示すように、第1形態の制
振装置10のダンパー30を剛性壁164に設け、架構
16内で力のやりとりが自己完結するようにもできる。
【0101】次に、第13形態に係る制振装置を説明す
る。図35に示すように、第13形態の制振装置では、
シリンダー型の粘性系ダンパーに替えて、弾性力を備え
楕円形状とされた板ばねを弾性ダンパー170として配
置している。
【0102】この弾性ダンパー170は、上下斜め方向
に沿って剛性壁164の表裏面にそれぞれ一対設けられ
ており、一端は連結ピン28に連結され、他端は剛性壁
164にピン172で連結されている。
【0103】このような構成によって、図36に示すよ
うに、地震時等によってトグル機構によって増幅された
連結ピン28の円弧運動を減衰させ、架構16の振動を
制振する点は、他の形態と同じあるが、エネルギー吸収
手段として、弾性ダンパー170を用いた点で異なる。
【0104】すなわち、架構16の変位を増幅する部分
に、剛性壁164を反力とした弾性力を持たせること
で、第1アーム20及び第2アーム26を介して、架構
16の剛性を高めることができる。例えば、既存の建物
で剛性が不足している場合に、弾性ばねを使用すること
で剛性を付加することができる。
【0105】さらに、極降伏点鋼材等で楕円形状の弾塑
性ダンパーを構成してもよい。これにより、弾塑性ダン
パーが、設定した許容変形量を越えたとき、降伏して履
歴ループを描きながら、連結ピン28の円弧運動を減衰
させる。
【0106】なお、弾性系のダンパーとしては、図37
及び図38に示すような、積層ゴム174を使用するこ
とできる。
【0107】また、図39及び図40に示すように、粘
性系のダンパー176と弾性系のダンパー170を組み
合わせることによって、必要とされる減衰力と架構16
の剛性を調整することができる。
【0108】次に、第14形態に係る制振装置を説明す
る。図41〜図44に示すように、第14形態に係る制
振装置では、下階梁14Bの中央部から壁柱22が立ち
上げられている。この壁柱22の上端面の中央部には、
積層ゴム36が配設されており、上階梁14Aと壁柱2
2とを連結している。
【0109】また、壁柱22の上端面、すなわち、積層
ゴム36の両側には、それぞれ2つの回転支承180が
取付けられており、この回転支承180には上階梁14
Aに対して対称形となるように、水平方向へ張り出す第
2アーム178が回転可能に連結されている。さらに、
上階梁14Aに取付けられた回転支承182には、第1
アーム184が回転可能に連結されている。
【0110】そして、図43に示すように、第1アーム
184の自由端と第2アーム178の自由端が連結ピン
186で連結され、交角が鋭角のトグル機構が水平面上
に構成されている。
【0111】また、上階梁14Aに対して対称に位置す
る連結ピン186はダンパー1888で連結されてい
る。ここで、図44に示すように、架構16が地震等に
よって右方向へ変位すると、第1アーム184と第2ア
ーム178が構成するトグル機構が、連結ピン186の
間隔を大きく変化させ、ダンパー188でエネルギーを
吸収する。
【0112】このように、本形態では、上階梁14Aと
壁柱22の上端面との間に設けられたスペースに収まる
ように制振装置が構成されているので、架構16内にお
いて専有するスペースが小さくて済む。
【0113】なお、上階梁14Aから下がり壁を垂下し
て、この下がり壁に第1アーム184を連結するように
してもよい。これによって、上述したように、架構16
内で発生する力のやりとりが下がり壁とアーム等を含む
制振装置内で自己完結する。
【0114】次に、第15形態に係る制振装置を説明す
る。図45及び図46に示すように、第15形態の制振
装置190は、橋脚194とこの橋脚194の上に架設
される橋桁192との間に取付けられている。
【0115】橋脚194の上部には、積層ゴム196が
設けられており、この積層ゴム196の上に橋桁192
が架設されている。これによって、橋桁192が受ける
荷重が軸力として橋脚194へ伝達される。
【0116】また、橋桁192の下面には回転支承19
8が、橋脚194の側面には回転支承200が取付けら
れている。回転支承198には、第1アーム202が連
結され、また、回転支承200には、第2アーム204
が連結されている。
【0117】そして、第1アーム202の軸線と第2ア
ーム204の軸線が描く交角が鋭角となるように、自由
端が連結ピン206で回動可能に連結されている。この
連結ピン206には、橋脚194に回動可能に取付けら
れたダンパー208のロッド208Aが連結されてい
る。
【0118】本形態は、架構で用いたトグル機構を橋梁
に応用したものであり、橋桁192の小さな変位量を増
幅し、連結ピン206の円弧運動としてダンパー208
で減衰する。これによって、橋桁の振動が小さなエネル
ギーで制振されることになる。
【0119】また、図47に示すように、橋脚だけでな
く、橋台210と橋桁192との間に積層ゴム196を
配置し、交角が鈍角のトグル機構を用いた制振装置21
2で橋桁192の振動を制御するようにしてもよい。
【0120】次に、第16形態に係る制振装置を説明す
る。図48に示すように、第16形態に係る制振装置
は、スタジアムの外周壁214の頂部に取付けられた片
持ち形式の屋根216の振動を制御するようになってい
る。
【0121】すなわち、外周壁214の頂部には、回転
支承218が設けられており、この回転支承218に屋
根216の基端部が回動可能に支持されている。また、
屋根216の自由端には、ワイヤ220が連結されてい
る。このワイヤ220は、支持フレーム224の上端に
設けられたローラー226に巻き掛けられ、終端が基礎
地盤に設けられたアンカー222に固定されている。こ
れによって、屋根216が水平状態でワイヤ220に懸
架される。
【0122】一方、ワイヤ220には、外周壁214の
側面に回動可能に取付けられたダンパー228のロッド
228Aが連結され、連結部230において、ワイヤ2
20に角度が持たされている。
【0123】このように、屋根216を懸架するワイヤ
220でトグル機構を構成することで、地震や風等によ
る屋根216の小さな揺れを、連結部230において増
幅して、効果的に減衰させることができる。
【0124】また、図49に示す制振装置232や図5
0に示す制振装置234のように、スタジアムの周辺の
状況に応じて、懸架する形式が変更された屋根216で
も対応できる。
【0125】次に、本発明の制振制御機構を用いた制振
フレームを説明する。図51及び図52に示すように、
第17形態に係る制振フレームは、振動制御の対象とな
る建物236に隣接して基礎地盤から立設されている。
このため、自重が、建物236に付加されないので、建
物236の柱に軸力負担を掛けず、基礎を補強する必要
もない。また、建物236の外部に取付けるようになっ
ているので、どのようなタイプの建物にも組付けること
ができ、さらに、建物自体の構造を変える必要がないの
で、施工コストを削減することができる。
【0126】一方、制振フレーム238は、剛性梁24
0と、この剛性梁240を支持する柱242とで構成さ
れている。柱242の頭部側には、積層ゴム244が介
在されており、上階の剛性梁240が受ける荷重を軸力
として柱242へ伝達すると共に、剛性梁240に追従
して変形して、耐震機能を発揮する。
【0127】また、積層ゴム244を境にして柱242
の上部には、回転支承246が設けられ、回転支承24
6には第1アーム20が連結されている。さらに、柱2
42の下部には、回転支承24には第2アーム252が
連結されており、それぞれの自由端が連結ピン256で
回転可能に連結されている。また、連結ピン256に
は、柱242に取付けられたダンパー254が連結され
ており、このダンパー254で、連結ピン256の円弧
運動を減衰する、前述したトグル式の振動制御構造とな
っている。
【0128】さらに、剛性梁240は、連結部材258
で建物236と連結され、建物236と一体に振動する
ようになっている。
【0129】このように、本形態の制振フレーム238
では、連結部材258で連結された建物236とが一体
となって、入力された振動を減衰する。また、制振フレ
ーム238は、制振性能要求に応じて、構造物の片側又
は両側に配置することができる。さらに、柱242と剛
性梁240で構成されたフレーム内に壁を入れる必要が
ないので、窓Wの採光条件を悪化させることがない。
【0130】また、図53〜図55に示すように、建物
のベランダ262に補強壁260を設け、下部を下階梁
14Bに固定し、上部には積層ゴム36を介して上階梁
14Aに連結するようにしてもよい。
【0131】さらに、補強壁260と上階梁14Aとの
間には、第14形態で説明したような、水平方向にアー
ムが張り出す制振装置を構築する。
【0132】このように、ベランダ262に制振装置を
構築することで、建物内部に装置を搬入する必要がなく
なり、また、制振フレームのように、外部に別途構築し
なくても、補強壁260を連層することで建物の柱に軸
力負担を掛けず、基礎地盤まで軸力を伝達することがで
きる。
【0133】さらに、水平方向にアームが張り出してお
り、また、補強壁260が柱12の前面にあるので、窓
全面から採光することができる。
【0134】なお、上述した各種の形態では、主に積層
ゴムを補強壁の上部側に設けたが、積層ゴムを下部側に
設け、補強壁を上階梁から垂下してもよいことは無論で
ある。
【0135】
【発明の効果】本発明は上記構成としたので、構造物の
軸耐力を向上させると共に制振性能を向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制振制御機構を利用した第1形態
に係る制振装置を示す立面図である。
【図2】第1形態に係る制振装置の動きを示した立面図
である。
【図3】第1形態に係る制振装置の配置状態を示した立
面図である。
【図4】第1形態に係る制振装置がピロティ形式の建物
に適用された例を示す立面図である。
【図5】第1形態に係る制振装置がピロティ形式の建物
に適用された他の例を示す立面図である。
【図6】第1形態に係る制振装置の変形例を示す立面図
である。
【図7】第1形態に係る制振装置の変形例を示す立面図
である。
【図8】第1形態に係る制振装置の変形例の動きを示し
た立面図である。
【図9】第2形態に係る制振装置を示す立面図である。
【図10】第2形態に係る制振装置の動きを示した立面
図である。
【図11】第3形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図12】第3形態に係る制振装置の動きを示した立面
図である。
【図13】第3形態に係る制振装置の変形例を示す立面
図である。
【図14】第3形態に係る制振装置の変形例の動きを示
した立面図である。
【図15】第4形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図16】第4形態に係る制振装置の動きを示した立面
図である。
【図17】第5形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図18】第5形態に係る制振装置の動きを示した立面
図である。
【図19】第6形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図20】第6形態に係る制振装置の動きを示した立面
図である。
【図21】第7形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図22】第7形態に係る制振装置の変形例を示す立面
図である。
【図23】第8形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図24】第8形態に係る制振装置の動きを示した立面
図である。
【図25】第8形態に係る制振装置の変形例を示す立面
図である。
【図26】第8形態に係る制振装置の変形例の動きを示
した立面図である。
【図27】第9形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図28】第9形態に係る制振装置の動きを示した立面
図である。
【図29】第10形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図30】第10形態に係る制振装置の動きを示した立
面図である。
【図31】第11形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図32】第12形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図33】第12形態に係る制振装置の動きを示した立
面図である。
【図34】第12形態に係る制振装置の変形例を示す立
面図である。
【図35】第13形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図36】第13形態に係る制振装置の動きを示した立
面図である。
【図37】第13形態に係る制振装置の変形例を示す立
面図である。
【図38】第13形態に係る制振装置の変形例の動きを
示した立面図である。
【図39】第13形態に係る制振装置の変形例を示す立
面図である。
【図40】第13形態に係る制振装置の変形例の動きを
示した立面図である。
【図41】第14形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図42】第14形態に係る制振装置の動きを示した立
面図である。
【図43】第14形態に係る制振装置を示す断面図であ
る。
【図44】第14形態に係る制振装置の動きを示した断
面図である。
【図45】第15形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図46】第15形態に係る制振装置の動きを示した立
面図である。
【図47】第15形態に係る制振装置の変形例を示す立
面図である。
【図48】第16形態に係る制振装置を示す立面図であ
る。
【図49】第16形態に係る制振装置の変形例を示す立
面図である。
【図50】第16形態に係る制振装置の変形例を示す立
面図である。
【図51】本発明に係る制振制御機構を利用した制振フ
レームを示す立面図である。
【図52】本発明に係る制振制御機構を利用した制振フ
レームを示す側面図である。
【図53】本発明に係る制振制御機構を建物のベランダ
に設けた例を示す立面図である。
【図54】本発明に係る制振制御機構を建物のベランダ
に設けた例を示す平面図である。
【図55】本発明に係る制振制御機構を建物のベランダ
に設けた例を示す全体立面図である。
【符号の説明】
20 第1アーム 22 壁柱(剛体) 26 第2アーム 28 連結ピン(連結部材) 30 ダンパー(エネルギー吸収手段) 36 積層ゴム(減衰材) 50 ダンパー(エネルギー吸収手段) 54 壁柱(剛体) 56 積層ゴム(減衰材) 58 ダンパー(エネルギー吸収手段) 62 第1アーム 66 第2アーム 84 剛性壁(剛体) 86 積層ゴム(減衰材) 88 積層ゴム(減衰材) 90 剛性壁(剛体) 108 積層ゴム(減衰材) 110 積層ゴム(減衰材) 114 ダンパー(エネルギー吸収手段) 120 補強壁 122 積層ゴム(減衰材) 128 ダンパー(エネルギー吸収手段) 164 剛性壁(剛体) 166 下り壁(剛体) 168 積層ゴム(減衰材) 170 弾性ダンパー 174 積層ゴム(エネルギー吸収手段) 184 第1アーム 178 第2アーム 186 連結ピン(連結部材) 188 ダンパー 192 橋桁 194 橋脚 196 積層ゴム(減衰材) 202 第1アーム 204 第2アーム 206 連結ピン(連結部材) 208 ダンパー(エネルギー吸収手段) 216 屋根(片持ち体) 214 外周壁(支持体) 220 ワイヤ(弦材) 228 ダンパー 238 制振フレーム 240 剛性梁 242 柱 244 積層ゴム(減衰材) 258 連結部材 260 補強壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F16F 15/04 F16D 7/06 (72)発明者 新谷 隆弘 千葉県船橋市前原東5丁目8番16号 (72)発明者 久保田 雅春 東京都千代田区三番町2番地 飛島建設株 式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱と梁で構成された架構内へ配置され構
    造物の振動を抑える振動制御機構において、 上階梁と下階梁との間に配設された剛体と、前記剛体と
    前記上階梁或いは前記下階梁との間に介在され、上階梁
    が受ける荷重を軸力として剛体へ伝達すると共に、剛体
    を架構の動きに追従させる減衰材と、を有することを特
    徴とする振動制御機構。
  2. 【請求項2】 前記剛体を各架構へ鉛直線上に連続して
    配置したことを特徴とする請求項1に記載の振動制御機
    構。
  3. 【請求項3】 前記上階梁に一端が回転可能に取付けら
    れた第1アームと、前記下階梁に一端が回転可能に取付
    けられた第2アームと、所定の角度を持たせて前記第1
    アームと前記第2アームの自由端を回転可能に連結する
    連結部材と、前記剛体に設けられ前記連結部材の円弧運
    動を減衰するエネルギー吸収手段と、を有することを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の振動制御機構。
  4. 【請求項4】 前記上階梁に一端が回転可能に取付けら
    れた第1アームと、前記剛体に一端が回転可能に取付け
    られた第2アームと、所定の角度を持たせて前記第1ア
    ームと前記第2アームの自由端を回転可能に連結する連
    結部材と、前記剛体に設けられ前記連結部材の円弧運動
    を減衰するエネルギー吸収手段と、を有することを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載の振動制御機構。
  5. 【請求項5】 前記上階梁から垂下する補強壁を設け、
    前記第1アームの一端を前記上階梁に替えて前記補強壁
    に回転可能に取付けたことを特徴とする請求項4に記載
    の振動制御機構。
  6. 【請求項6】 前記上階梁に一端が回転可能に取付けら
    れ、前記剛体に他端が回転可能に取付けられたエネルギ
    ー吸収手段を有することを特徴とする請求項1又は請求
    項2に記載の振動制御機構。
  7. 【請求項7】 前記上階梁から垂下する補強壁を設け、
    前記エネルギー吸収手段の一端を前記上階梁に替えて前
    記補強壁に回転可能に取付けられたことを特徴とする請
    求項6に記載の振動制御機構。
  8. 【請求項8】 前記エネルギー吸収手段が、弾性ダンパ
    ー、摩擦ダンパー、粘弾性ダンパー、或いは弾塑性ダン
    パー、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする
    請求項3〜請求項7の何れかに記載の振動制御機構。
  9. 【請求項9】 前記上階梁に一端が回転可能に取付けら
    れた第1アームと、前記剛体の上面に一端が回転可能に
    取付けられた第2アームと、前記第1アームと前記第2
    アームの軸線が鋭角に交わるように、それぞれの自由端
    を回転可能に連結する連結部材と、で構成された鋭角ト
    グル機構を水平面上に少なくとも一対設け、前記連結部
    材同士をダンパーで連結したことを特徴とする請求項1
    又は請求項2に記載の振動制御機構。
  10. 【請求項10】 橋台或いは橋脚の上に架設される橋桁
    の振動を抑える振動制御機構において、 前記橋台或いは橋脚と前記橋桁の間に介在され、橋桁が
    受ける荷重を軸力として橋台或いは橋脚へ伝達すると共
    に、橋桁の動きに追従して変形する減衰材と、前記橋桁
    に一端が回転可能に取付けられた第1アームと、前記橋
    台或いは橋脚に一端が回転可能に取付けられた第2アー
    ムと、所定の角度を持たせて前記第1アームと前記第2
    アームの自由端を回転可能に連結する連結部材と、前記
    橋台或いは橋脚に設けられ前記連結部材の円弧運動を減
    衰するエネルギー吸収手段と、有することを特徴とする
    振動制御機構。
  11. 【請求項11】 支持体の頂部に基端部が支持された片
    持ち体の振動を抑える振動制御機構において、 前記片持ち体の自由端に連結され片持ち体を懸架する弦
    材と、前記支持体に一端が回転可能に取付けられ、他端
    が前記弦材に連結されこの連結部において弦材に所定の
    角度を持たせるダンパーと、を有することを特徴とする
    振動制御機構。
  12. 【請求項12】 振動制御の対象となる構造物に隣接し
    て基礎地盤から立設された制振フレームと、前記制振フ
    レームと前記構造物とを連結する連結部材と、を備え、 前記制振フレームが、前記連結部材が連結され前記構造
    物と一体に振動する剛性梁と、前記剛性梁を支持し荷重
    を軸力として基礎地盤へ伝達する柱と、前記柱に設けら
    れ上階剛性梁が受ける荷重を軸力として柱へ伝達すると
    共に、柱を剛性梁の動きに追従させる減衰材と、前記柱
    と前記剛性梁が構成するフレーム内に設けられた制振手
    段と、を有することを特徴とする振動制御機構。
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