JPH10280726A - 振動制御機構 - Google Patents

振動制御機構

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Publication number
JPH10280726A
JPH10280726A JP8980097A JP8980097A JPH10280726A JP H10280726 A JPH10280726 A JP H10280726A JP 8980097 A JP8980097 A JP 8980097A JP 8980097 A JP8980097 A JP 8980097A JP H10280726 A JPH10280726 A JP H10280726A
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JP
Japan
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vibration control
control mechanism
arm
axis
respect
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Application number
JP8980097A
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English (en)
Inventor
Tatsuji Ishimaru
辰治 石丸
Takahiro Shintani
隆弘 新谷
Masaharu Kubota
雅春 久保田
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Tobishima Corp
Original Assignee
Tobishima Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な機構で効率良く配置でき、大きな減衰
効果を発揮できる振動制御機構を得る。 【解決手段】 下部構造体18には第1アーム22の一
端が、上部構造体16には第2アーム30の一端が、回
転可能に取付けられている。連結シャフト28によっ
て、第1アーム22と第2アーム30との軸線が交わる
角度が鋭角となるように、第1アーム22と第2アーム
30の自由端が回転可能に連結され、トグル機構を構成
している。第1アーム22と第2アーム30の交角を鋭
角にすることにより、交角が鈍角である場合に比較する
と、幾何学上、上部構造体16の水平変位δ1が大きな
変形に増幅され連結シャフト28は大きく円弧運動し、
コロが下部構造体18の上を摺動して構造物の振動を抑
制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物の揺れを抑
える振動制御機構に関する。
【0002】
【従来の技術】図48に示すように、建物182は、地
震や風等の外力によって振動し、梁145と柱125と
で囲まれた架構168に力と変形が生じる。この力と変
形を抑えるために、架構168内にエネルギーを吸収す
る制振用ダンパー装置170(図49参照)を設置した
ものがある(特開平5−256045号公報参照)。
【0003】図49及び図50に示すように、この制振
用ダンパー装置170は、架構168が振動してピン8
0が変位(δ1)した場合、ロッド172の折曲部(ピ
ン174)で変位を拡大して抽出し(δ2となる)、こ
のピン174に連結されたダンパー176によって振動
吸収を行い、振動に対する建物の減衰性を向上させるも
のである。
【0004】ところで、上記の制振用ダンパー装置17
0では、減衰性能を備えたダンパー176が必要となる
ため、構成部品が多くなる。
【0005】また、ロッド172とロッド172とがな
す交角が鈍角であるため、ピン180の変位(δ1)に
対して、ピン174の変位(δ2)を増幅させる倍率に
限度があり、振動に対する建物の減衰性能を向上させる
ことが難しい。
【0006】さらに、上記の制振用ダンパー装置170
は、小地震や風による揺れを対象としており、想定して
いる建物182の変形量が小さいので、大地震等によっ
て建物182が大きく揺れた場合、装置自体が破壊され
る可能性がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は係る事実を考
慮し、簡単な機構で効率良く配置でき、また、大きな減
衰効果を発揮し、種々の減衰装置が適用でき、さらに、
大地震時にも制振効果を発揮できる振動制御機構を提供
することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、構造物に作用する外力によって相対変形する第1構
材と第2構材に取付けられている。
【0009】第1構材には、第1アームの一端が回転可
能に取付けられており、第2構材には、第2アームの一
端が回転可能に取付けられている。そして、エネルギー
低減吸収手段によって、第1アームと第2アームとの軸
線或いはこれらの軸線の延長線が交わる角度が鋭角とな
るように、第1アームと第2アームの自由端が回転可能
に連結され、トグル機構を構成している。
【0010】このように、第1アームと第2アームの交
角を鋭角にすることにより、地震等により第1構材と第
2構材が、小さく水平方向或いは鉛直方向へ相対変形し
ても、大きな変形に増幅されエネルギー低減吸収手段は
大きく円弧運動する。すなわち、第1アームと第2アー
ムの交角が鈍角である場合に比較すると、交角を鋭角に
することにより、幾何学上、エネルギー低減吸収手段は
際立って大きく移動する。
【0011】このため、小さい変形×大きな力=大きな
変形×小さな力という関係が成立し、エネルギー低減吸
収手段が小さな力で、構造物の振動を抑制することがで
きる。また、第1構材と第2構材の小さな相対変形が、
エネルギー低減吸収手段の大きな変形に増幅されて構造
物が制振されるので、中小の地震や風による小さな振動
も効果的に制振することができ、さらに、耐震補強に活
用することもできる。
【0012】なお、第1アームと第2アームの交角度
は、出来る限り小さい方が、エネルギー低減吸収手段の
増幅倍率が大きくなるので望ましいが、実際には、取付
箇所における第1アームと第2アームの長さを考慮して
決定される。
【0013】また、高層ビル等において、せん断変形よ
り曲げ変形が卓越するような場合でも、振動制御機構
は、水平変形だけでなく鉛直変形にも追従できるので、
任意方向の振動を制振することができる。
【0014】請求項2に記載の発明では、第1アーム、
第2アーム、及びエネルギー低減吸収手段とで構成され
た2組の振動制御機構が、左右対称となるように構成さ
れている。
【0015】このように、振動制御機構を左右対称とす
ることによって、振動方向によってエネルギー低減吸収
手段での増幅倍率が変化するトグル機構の特性を修正す
ることができる。例えば、振動制御機構が1組の場合、
第1構材と第2構材との相対移動方向(振動方向)によ
って増幅倍率が異なるが、振動制御機構がX軸を基準と
して左右対称形に配置されていたとすると、第1構材と
第2構材とが、Y軸の正方向或いは負方向へ相対移動し
たとき、振動制御機構の増幅倍率は同一となり、第1構
材と第2構材の変則的な挙動が矯正される。
【0016】請求項3に記載の発明では、左右対称とな
るように構成された振動制御機構(以下説明の便宜上、
「振動制御ユニット」とする)がX軸或いはY軸を基準
として、対称形となるように一対配置されている。
【0017】例えば、振動制御ユニットがY軸を基準と
して対称形となるように一対配置され、振動制御機構が
X軸を基準として左右対称形となっているとする。ここ
で、第1構材と第2構材とがX軸方向に相対移動する
と、振動制御ユニットが一つであれば、エネルギー低減
吸収手段での増幅倍率はX軸の正負方向で異なるが、一
対とすることによって、X軸方向の増幅倍率が相殺され
正負方向で同一となるため、第1構材と第2構材の変則
的な挙動が矯正される。
【0018】請求項4に記載の発明では、X軸を基準と
して一対の振動制御ユニットが対称形に配置され、ま
た、Y軸を基準として一対の振動制御ユニットが対称形
に配置され、全体で4つの振動制御ユニットが使用され
ている。これによって、第1構材と第2構材とが何れの
方向へ相対移動しても、エネルギー低減吸収手段の増幅
倍率が一定となる。
【0019】請求項5に記載の発明では、請求項4に記
載の発明のように、第1構材と第2構材の間に4つの振
動制御ユニットが配置されている。すなわち、2つの振
動制御ユニット(以下便宜上「ユニットA」とする)が
X軸を基準として対称形となるように配置され、且つ振
動制御機構がY軸を基準として左右対称形となってお
り、また、他の2つの振動制御ユニット(以下便宜上
「ユニットB」とする)がY軸を基準として対称形とな
るように配置され、且つ振動制御機構がX軸を基準とし
て左右対称形となっている。
【0020】ここで、ユニットAの第2アームの一端は
連結手段によって、第2構材に対してX軸方向へスライ
ド可能で、Y軸方向へは移動しないように拘束されてお
り、ユニットBの第2アームの一端は連結手段によっ
て、第2構材に対してY軸方向へスライド可能で、X軸
方向へは移動しないように拘束されている。従って、第
1構材と第2構材がX軸方向へ相対移動するとユニット
Bのみが機能し、第1構材と第2構材がY軸方向へ相対
移動するとユニットAのみが機能する。
【0021】そして、ユニットA及びユニットBは、対
称形を保ちながらエネルギー低減吸収手段を円弧運動さ
せ、増幅倍率を非線形状に著しく増加させ、デットポイ
ント(第1構材に連結された第1アームの連結位置と第
2構材に連結された第2アームの連結位置が同一ポイン
トに位置し、エネルギー低減吸収手段が動かなくなる位
置)に達することがあるが、デットポイント付近では、
非常に倍率が大きくなる。
【0022】請求項6に記載の発明では、請求項5に記
載の発明と同様に、ユニットAとユニットBが配置され
ている。そして、ユニットAの第2アームは連結手段に
よって、第2構材に対してY軸方向へスライド可能で、
X軸方向へは移動しないように拘束されており、また、
ユニットBの第2アームは連結手段によって、第2構材
に対してX軸方向へスライド可能で、Y軸方向へは移動
しないように拘束されている。従って、第1構材と第2
構材がX軸方向へ相対移動するとユニットAが機能し、
第1構材と第2構材がY軸方向へ相対移動するとユニッ
トBが機能する。
【0023】そして、ユニットA及びユニットBは、デ
ットポイントに達することはなく、エネルギー低減吸収
手段を円弧運動させ、増幅倍率が比較的線形に近い状態
で除々に増減するので、振動制御が容易になる。
【0024】なお、請求項5の発明の構成とするか請求
項6の発明の構成とするかは、建物が必要とする振動抑
制効果に応じて使い分けられる。
【0025】請求項7に記載の発明では、第1アームと
第2アームの自由端が、エネルギー低減吸収手段として
の回転型減衰装置に連結されている。この回転型減衰装
置が、第1構材と第2構材の相対変形によって第1アー
ムと第2アームとの連結部に生じた回転エネルギーを吸
収して、構造物の振動を抑制する。
【0026】請求項8に記載の発明では、エネルギー低
減吸収手段として、第1アーム及び第2アームの自由端
を回転可能に連結し、ここに補助質量を取付けている。
このように、変形が増幅される部位に入力低限項として
の補助質量を設けることで、動吸振機として機能し、ま
た入力エネルギーを低減させ、構造物の振動を抑制す
る。
【0027】請求項9に記載の発明では、エネルギー低
減吸収手段として、第1アーム及び第2アームの自由端
に減衰装置の一端が回転可能に連結され、他端が第1構
材或いは第2構材に回転可能に取付けられている。
【0028】伸縮することによってエネルギーを吸収す
る減衰装置を設けることによって、第1アームと第2ア
ームの連結部で生じるエネルギーの減衰効果を高めるこ
とができる。また、減衰装置の他端は、回転可能に取付
けられているので、エネルギー低減吸収手段のどのよう
な挙動に対しても追従して、減衰効果を発揮する。
【0029】請求項10に記載の発明では、左右対称と
なるように構成された振動制御ユニットのエネルギー低
減吸収手段同士が、減衰装置で回転可能に連結されてい
る。このため、第1構材或いは第2構材に対する減衰装
置の取付角度等を考慮する必要がなく、振動制御機構の
取付自由度が大きくなる。
【0030】請求項11に記載の発明では、エネルギー
低減吸収手段として、第1アームと第2アームの自由端
を回転可能に連結し、ここに摺動部材を設け、第1構材
或いは第2構材との間で摩擦力を発生させている。この
摩擦力によって、円弧状に移動する摺動部材のエネルギ
ーが吸収され、構造物の振動が抑制される。
【0031】請求項12に記載の発明では、第1構材或
いは第2構材に、摺動部材との摩擦力を増大させるため
に、摩擦発生材が敷かれている。従って、コンクリート
等で構築された第1構材或いは第2構材との摩擦力よ
り、摩擦発生材との摩擦力の方が大きいため、摺動部材
のエネルギーをより吸収して、構造物の振動を抑制す
る。
【0032】請求項13に記載の発明では、第1アーム
と第2アームの自由端を回転可能に連結し、この連結部
位を、円弧形状を描く箱体の中に入れられた減衰材(粘
性体、砂、鉄粉等)の中に差し込んで、エネルギー低減
吸収手段を構成している。これによって、円弧状の軌道
を移動する連結部位が、減衰材を掻き回しながら抵抗を
受けるので、減衰効果を得ることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】次に、本発明の振動制御機構の1
つの実施の形態として、図1〜図4に示す制振装置10
を説明する。
【0034】第1形態に係る制振装置10は、左右対称
形に組付けられて制振装置ユニット12とされ、柱14
で支えられた上部構造体16と下部構造体18との間に
配置されている。平面的に見ると、制振方向が直交する
ように、1つの取付箇所において4つの制振装置ユニッ
ト12がセットされている。なお、制振装置ユニット1
2の配置形態は、建物20の形状等を考慮して決定され
るものであり、本形態のものに限定されない。
【0035】図2及び図4に示すように、制振装置10
は、第1アーム22を備えている。この第1アーム22
の一端は、下部構造体18に固定された取付ブロック2
4から立設された軸体26に回転可能に連結されてい
る。また、第1アーム22は、下部構造体18と平行に
張り出しており、自由端部は連結シャフト28へ回転可
能に連結されている。
【0036】この連結シャフト28には、下部構造体1
8と平行に張り出した第2アーム30の自由端部が回転
可能に連結され、そして、第1アーム22の軸線と第2
アーム30の軸線が描く交角が鋭角となるように設定さ
れ、第1アーム22と第2アーム30とでトグル機構を
構成している。また、第2アーム30の一端は、上部構
造体16に固定された取付ブロック32から垂下された
軸体34に回転可能に連結されている。
【0037】一方、連結シャフト28の下方には、ホル
ダー36が設けられており、コロ38が回転可能に保持
されている。このコロ38は、下部構造体18の上を摺
動して下部構造体18との間に摩擦力を発生させる。
【0038】次に、制振装置10で構成された制振装置
ユニット12の機能を、図5〜図7に示す模式図を参照
して説明する。
【0039】なお、便宜上、X軸を基準として対称形に
配置された制振装置ユニット12をユニット12Aと
し、Y軸を基準として対称形に配置された制振装置ユニ
ット12をユニット12Bとする。
【0040】ここで、地震等によって建物20が揺れ、
図5に示すように、上部構造体16が下部構造体18に
対してX軸の負方向へ相対的にδ1水平変形したとす
る。このとき、ユニット12Bでは、第1アーム22と
第2アーム30の自由端を回転可能に連結した連結シャ
フト28が、X軸に対して対称形を保持しながら軸体2
6を中心に円弧運動を行い、その移動量は、右側のユニ
ット12Bで振動方向と反対側へδ2、左側のユニット
12Bで振動方向と反対側へδ3(δ2<δ3)に増幅
され、上部構造体16の水平変形量δ1より大きくな
る。この増幅倍率は、第1アーム22の軸線と第2アー
ム30の軸線との交角θを鋭角とすることで一層大きく
なる。
【0041】このように、軸体34の小さな変位が連結
シャフト28の大きな変位に増幅され、小さい変位×大
きな力=大きな変位×小さな力という関係が成立する。
そして、連結シャフト28に取付けられたコロ38(図
4参照)と下部構造体18との間に発生する摩擦力によ
って、上部構造体16と下部構造体18の振動が減衰さ
れ、中小の地震や風による建物20の小さな振動でも効
果的に制振される。
【0042】また、図示は省略するが、連結シャフト2
8に補助質量を取付けることにより、動吸振機として機
能し、入力エネルギーを低減させ、建物の振動を抑制す
ることができる。
【0043】さらに、連結シャフト28に回転摩擦型ダ
ンパーを取付け、この回転摩擦型ダンパーへ第1アーム
22と第2アーム30の自由端を連結することにより、
自由端部に生じた回転エネルギーを吸収して、建物20
の振動を抑制することができる。
【0044】また、ユニット12Bは、建物20の揺れ
方向によって、増幅倍率が異なるが、本形態のように、
構造体の中心を境にして左側と右側に設けることによっ
て平均化され、建物20の振動方向の違いによる建物2
0の変則的な動きがなくなる。
【0045】一方、ユニット12Aでは、上部構造体1
6が下部構造体18に対してX軸の負方向へ相対的にδ
1水平変形すると、第1アーム22と第2アーム30と
の自由端を回転可能に連結した連結シャフト28が、軸
体26を中心に同一方向へ円弧運動を行い、その移動量
は、ユニット12Aの右側の制振装置で振動方向へδ
4、左側の制振装置で振動方向へδ5に増幅されて上部
構造体16の水平変形量δ1より大きくなる。この増幅
倍率は、第1アーム22の軸線と第2アーム30の軸線
との交角θを鋭角とすることで一層大きくなる。また、
δ4とδ5の大小は、アームの長さ及び交角の大きさに
よって変化するので、任意に設定することができる。
【0046】なお、ユニット12Aでは、図6に示すよ
うに、上部構造体16が下部構造体18に対してX軸の
正方向へ相対的にδ1水平変形しても、連結シャフト2
8の移動量が、ユニット12Aの左側の制御機構でδ
4、右側の制御機構でδ5(δ4>δ5)と移動方向が
逆になるだけで、増幅倍率は変化しない性質を持ってい
る。
【0047】また、図7に示すように、上部構造体16
が下部構造体18に対してY軸の正方向へ相対的にδ1
水平変形したとする。このとき、ユニット12Bでは、
連結シャフト28の移動量がδ4、δ5となり、また、
ユニット12Aでは、連結シャフト28の移動量がδ
2、δ3となる。
【0048】このように、ユニット12A及びユニット
12Bを対称形に配置することによって、地震等によっ
て建物20が揺れ、上部構造体16が下部構造体18に
対してどの方向へ相対的に水平変形しても、各制振装置
10の挙動は異なるが、制振装置ユニット全体としての
増幅倍率は一定となり、建物20の変則的な動きが規制
される。
【0049】なお、一般的な増幅機構として梃子が用い
られることがあるが、梃子の場合、通常、支点、力点、
作用点が一直線上に位置しているため、梃子部材には、
曲げ応力、せん断応力、軸応力がそれぞれ働くことにな
り、増幅倍率を大きくするためには、自ずと梃子部材の
断面が大きくなる。
【0050】しかし、本発明では、曲げ応力及びせん断
応力を極力作用させず、軸応力のみが作用するように工
夫されているため、アームの断面が小さくても、増幅倍
率を大きくとることができる。
【0051】次に、第2形態に係る制振装置を説明す
る。図8及び図9に示すように、第2形態に係る制振装
置10のレイアウトは、第1形態と同様であるが、上部
構造体16の下面の外周に沿って形成されたガイド溝4
0へ取付ブロック32を貫通した軸体34の上端部が摺
動可能に挿入されている点で異なる。
【0052】上記の構成では、図10に示すように、上
部構造体16がX軸方向へ移動したとき、ユニット12
Bの軸体34は、ガイド溝40の溝壁に押されて、上部
構造体16と連結された状態となる。一方、ユニット1
2Aでは、ガイド溝40が軸体34に沿ってスライドす
るだけで、ユニット12Aは実質的に振動制御に寄与し
ていない。
【0053】従って、上部構造体16がX軸方向へδ1
相対移動すると、ユニット12Bが対称形を保ちながら
連結シャフト28を円弧運動させ、非線形状に増幅倍率
を増加させる。また、連結シャフト28に補助質量を取
付ければ、この補助質量が上部構造体16の移動量より
大きく移動するため、入力低減効果が大きくなる。
【0054】なお、左側のユニット12Bを構成する制
振装置10は、デットポイントに近づき、すなわち、軸
体26と軸体34が略同一ポイントに位置し、第1アー
ム22と第2アーム30とが重なるような状態になり、
連結シャフト28が動かなくなることがある。
【0055】一方、上部構造体16がY軸方向へδ1相
対移動すると、図示は省略するが、ユニット12Bに
は、振動エネルギーは入力されず、ユニット12Aが対
称形を保ちながら連結シャフト28を円弧運動させ、非
線形状に増幅倍率を増加させる。
【0056】このように、振動の入力方向に応じて、特
定の制振装置ユニットが機能するように工夫することに
より、トグル機構の特性を、建物が必要とする振動抑制
の効果に対応させることができる。
【0057】次に、第3形態に係る制振装置を説明す
る。図11に示すように、第3形態に係る制振装置10
のレイアウトは、第1形態と同様であるが、上部構造体
16の下面にX軸Y軸に沿った十字のガイド溝42が2
列形成されており、このガイド溝42へ取付ブロック3
2を貫通した軸体34の上端部が摺動可能に挿入されて
いる。
【0058】上記の構成では、図12に示すように、上
部構造体16がX軸方向へ移動したとき、ユニット12
Aの軸体34は、ガイド溝42の溝壁に押されて、上部
構造体16と連結された状態となる。一方、ユニット1
2Bでは、ガイド溝42が軸体34に沿ってスライドす
るだけで、ユニット12Bは実質的に振動制御に寄与し
ない。
【0059】従って、上部構造体16がX軸方向へδ1
相対移動すると、ユニット12Aの連結シャフト28
は、上部構造体16の移動方向に移動しながら円弧運動
をし、デットポイント達することなく、略線形状に増幅
倍率を増加させる。また、連結シャフト28に補助質量
を取付ければ、この補助質量が上部構造体16の移動量
より大きく移動するため、入力低減効果が大きくなる。
【0060】一方、上部構造体16がY軸方向へδ1相
対移動すると、図示は省略するが、ユニット12Aに
は、振動エネルギーは入力されず、ユニット12Bの連
結シャフト28が円弧運動して、略線形状に増幅倍率を
増加させる。
【0061】次に、第4形態に係る制振装置を説明す
る。図13に示すように、第4形態に係る制振装置10
では、下部構造体18の上面に摩擦発生材の一例として
ゴムシート46が敷かれている。このゴムシート46の
上をコロ38が摺動することにより、コンクリート面と
の摩擦力より大きな摩擦力が発生する。このように、変
形が増幅された連結シャフト28の部分での摩擦力を大
きくすることによって、振動の収束時間が早くなる。
【0062】また、図14に示すように、第5形態に係
る制振装置では、下部構造体18の上にロール状のウレ
タンシート48の中間部が巻き出されており、先端部は
巻取り軸50に巻き取られている。そして、このウレタ
ンシート48の上をコロ38が摺動して、大きな摩擦力
を発生して大きな減衰効果を発揮する。
【0063】このコロ38は上述したように円弧状の軌
跡を描いて移動するので、長期の使用によって、ウレタ
ンシート48には円弧状の跡が形成される。この跡を消
すため、巻取り軸50でウレタンシート48を巻き取る
ことにより、コロ38の軌跡上には、新しいウレタン面
が現れるので、発生する摩擦力を一定に保持することが
できる。
【0064】さらに、第6形態に係る制振装置では、図
15及び図16に示すように、連結シャフト28の軌跡
に合わせて下部構造体18の上面には、平面視にて円弧
形状のケース52が設置されている。このケース52の
中には、減衰材54(粘性体、砂、鉄粉、高分子ポリマ
ー剤等)が充填されており、この減衰材54の中へ変形
を増幅する部位にある連結シャフト28の下端部が挿入
されている。これによって、連結シャフト28が移動す
るとき、減衰材54を掻き回しながら抵抗を受け、大き
な減衰効果を得ることができる。
【0065】次に、本発明に係る振動制御構造が免震床
構造に用いられた例を説明する。図17に示すように、
第1形態に係る免震床構造では、柱58に架設されたコ
ンクリート製等の構造床60の上にスベリ支承62が配
置されている。このスベリ支承62の上には、二重床材
66が載置されている。また、二重床材66の周囲は、
一方が柱58に固定された弾性ばね64に連結されてお
り、二重床材66のセット位置が保持されるようになっ
ている。さらに、構造床60の上には、制振装置10が
配置されており、取付ブロック32が二重床材66へ、
また、取付ブロック24が構造床60に固定されてい
る。
【0066】ここで、地震等によって、構造床60が水
平移動すると、スベリ支承62に発生する摩擦による減
衰効果、及び上述したようにトグル機構を用いた制振装
置10によって、二重床材66の揺れが抑えられる。ま
た、スベリ支承62に緩衝材を設けることにより、二重
床材66が上下方向へ振動しても、振動を減衰すること
ができる。
【0067】このように、制振装置10は、第1アーム
22と第アーム30とを鋭角に連結してトグル機構とし
た単純な構成なので、上下方向に設置スペースを必要と
せず、従前の免震床より床下を低くできる。この結果、
階高をあまり高くする必要がないので、新設はもとより
既存の建物を免震床構造としても天井が低くならない。
【0068】なお、本形態では、コロ38を設けて、構
造床60との間に摩擦力を発生させて減衰効果を得るよ
うにしたが、第1アーム22と第2アーム30の自由端
に回転摩擦型ダンパーを設け、このダンパーで減衰力を
発揮させるようにしてもよい。
【0069】また、図18に示すように、スベリ支承6
2に替えて積層ゴム68を使用しても構わない。これに
よって、積層ゴム68が二重床材66の位置も保持する
ので、弾性ばねが不要となる。さらに、積層ゴム68を
構成するゴムの性質を変えることにより、二重床材66
が上下方向へ振動しても、振動を減衰することができ
る。
【0070】次に、第2形態に係る免震床構造を説明す
る。図19に示すように、第2形態では、二重床材66
が吊り材70で上部の構造床60から吊下されている。
また、二重床材66の周囲には、弾性ばね64が配設さ
れており、二重床材66のセット位置を保持するように
なっている。さらに、二重床材66と構造床60との間
には、制振装置10が設けられている。このように、本
形態では、制振装置10だけで免震床構造が構成されて
おり、人間の体重を支えれば十分なような場合に適用さ
れる。これによって、床下の設置スペースを最大に小さ
くすることができる。なお、吊り材70の水平方向の剛
性等を考慮した設計にして、二重床材66のセット位置
を保持できるようにすれば、弾性ばね64を設ける必要
がなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0071】また、図20に示す免震床構造では、建物
20の壁体74が部分的に凹設され、制振装置10の取
付ブロック24が、梁76の上に固定されている。さら
に、第1アーム22と第2アーム30の自由端は回転摩
擦型ダンパー78で連結されており、コロ38(図19
参照)が取り外されている。このように、制振装置10
の取付け方を工夫することによって、強度のない床材7
2で足りるので、建物20の建設コストを削減すること
ができる。
【0072】また、本発明の振動制御機構は、免震構造
の基礎免震にも適用できる。すなわち、図21に示すよ
うに、建物80の基礎コンクリート82に制振装置10
を配置することで、積層ゴム68で支持した建物80の
振動を制振することができ、また、連結シャフト28に
補助質量84を取付けることにより、入力低減効果が期
待できる。さらに、積層ゴム68のねじれ振動等を止め
ることもできる。また、免震構造の基礎免震だけでな
く、図22に示すように、中間層の免震や、レトロフィ
ットへの適応も可能である。
【0073】次に、本発明の振動制御機構の実施の形態
として、図23〜図26に示す制振装置86を説明す
る。
【0074】第7形態では、1つの架構の中に4組の制
振装置86を組合わせて制振装置ユニット88を構成し
ており、平面的に見ると、第1アーム90の軸線が中央
部で交差する形状をしている。第1アーム90の一端
は、それぞれ1つの取付ブラケット92に軸体94で回
転可能に連結されている。また、取付ブラケット92
は、大梁96の内側に設けられた小梁98の交差部に固
定されている。
【0075】一方、第1アーム90は、下部構造体10
0と平行に張り出しており、自由端部は回転摩擦型ダン
パー102に連結されている。回転摩擦型ダンパー10
2には、下部構造体100と平行に張り出した第2アー
ム104の自由端部が連結され、且つ、第1アーム90
の軸線と第2アーム104の軸線が描く交角が鋭角とな
るように設定されている。そして、第1アーム90と第
2アーム104とで、トグル機構を構成している。ま
た、第2アーム104の一端は、取付ブラケット108
に軸体110で回転可能に連結されており、取付ブラケ
ット108は上部構造体106に固定されている。
【0076】上記の構成の制振装置ユニット88では、
建物112が揺れ、上部構造体106が下部構造体10
0に対してX軸或いはY軸方向へ相対的に水平変形して
も、回転摩擦型ダンパー102は、X軸或いはY軸に対
して対称形を保持しながら軸体94を中心に円弧運動を
行い、変形量を増幅して回転エネルギーとして吸収し、
建物112の振動を抑制する。このように、本形態で
は、第1形態で説明した制振装置ユニット12と比較し
てコンパクトな設計となっている。なお、本形態では、
小梁にアームを固定するようにしたが、床の上に直接固
定するようにしてもよい。
【0077】次に、第8形態の制振装置86は、基本的
な構成は第7形態と同様であるが、図27に示すよう
に、第1アーム90及び第2アーム104の自由端部が
連結シャフト114に回転可能に連結されており、この
連結シャフト114へ、Y軸と平行に配置された油圧ダ
ンパー116(ダンパーは油圧に限らず、各種のダンパ
ーが使用できる)のシリンダー部116Aとロッド11
6Bが回転可能に連結されている。
【0078】これによって、図28に示すように、取付
ブラケット108がX軸方向へδ1移動すると、すなわ
ち、上部構造体106がX軸方向へδ1移動すると、左
側の連結シャフト114が変形量を増幅してδ2移動
し、右側の連結シャフト114が変形量を増幅してδ3
移動する。これによって、油圧ダンパー116が伸縮し
て上部構造体106と下部構造体100の振動が制振さ
れる。また、図29に示すように、X軸と平行に油圧ダ
ンパー118を配置し、シリンダー部118Aとロッド
118Bをそれぞれ連結シャフト114へ回転可能に連
結することにより、より減衰効果を向上させることがで
きる。
【0079】次に、第9形態に係る制振装置120を説
明する。図30に示すように、制振装置の基本的構造
は、図24に示す第7形態と同じであるが、連結プレー
ト122に回転摩擦型ダンパー124、126、128
が設けられている点で異なる。この回転摩擦型ダンパー
126には第1アーム90の自由端部が、回転摩擦型ダ
ンパー124には第2アーム104の自由端部が連結さ
れ、第1アーム90と第2アーム104との軸線の延長
線が鋭角に交わっている。
【0080】このように、第9形態では、破線で示した
第3アームのように、上部構造体106へ固定される取
付ブラケット108と連結プレート122に予め取付け
られた回転摩擦型ダンパー128とを必要に応じて追加
されたアームで連結することができる。これによって、
部品点数は増加するが、アームの数を調整することによ
って、建物に必要とされる減衰力を得ることができる。
なお、軸体94、110を回転摩擦型ダンパーとして、
この回転摩擦型ダンパーに第1アーム90と第2アーム
104を連結するようにしてもよい。
【0081】また、図31に示すように、連結プレート
122に連結シャフト130、132、134を設け、
第1アーム90の自由端部を連結シャフト130へ回転
可能に連結し、第2アーム104の自由端部を連結シャ
フト132へ回転可能に連結することもできる。そし
て、連結シャフト134へ、油圧ダンパー136のシリ
ンダー部136Aとロッド136Bをそれぞれ回転可能
に連結することにより、連結プレート122において、
減衰効果を発揮させることができる。
【0082】以上は、本発明に係る振動制御機構が水平
面上に配置され、水平方向の振動を制振する例を説明し
たが、以下に鉛直面上に配置され、鉛直方向の振動を制
振する例を説明する。
【0083】図32及び図33に示すように、第10形
態に示す制振装置140は、柱142と梁144と構成
された架構146内に配設されている。下階梁144B
からは剛性柱(又は壁でもよい)148が立ち上げられ
ており、この剛性柱148に回転支承150が取付けら
れている。回転支承150には、第1アーム152が回
転可能に取付けられており、その自由端部は回転摩擦型
ダンパー154に連結されている。
【0084】また、回転摩擦型ダンパー154には、一
端が上階梁144Aの回転支承156に回転可能に連結
された第2アーム158の自由端部が連結され、第1ア
ーム152と第2アーム158の軸線の交角が鋭角とな
っている。
【0085】次に、制振装置140の作用を説明する。
地震等によって、図34に示すように、架構146が右
方向へδ1水平変形したとし、便宜上、柱142の伸縮
を無視して、上階梁144Aもδ1水平変形したとす
る。このとき、架構146内において、トグル機構を構
成する第1アーム152が第2アーム158が回転支承
150を中心に円弧運動を行うため、上階梁144Aの
回転支承156の水平変位量δ1より、回転摩擦ダンパ
ー154の変位量δ2が増幅されて大きくなる。
【0086】このように、上階梁144Aの小さな変位
が回転摩擦ダンパー154の大きな回転変位に増幅さ
れ、小さい変位×大きな力=大きな変位×小さな力とい
う関係が成立する。そして、回転摩擦ダンパー154で
の小さな回転摩擦力によって、架構146の振動が減衰
され、中小の地震や風による建物の小さな振動が効果的
に制振される。
【0087】次に、図35に示すように、架構146が
左方向へδ3水平変形したとすると、このとき、トグル
機構の特性上、架構146が右方向へ変形した場合と比
較すると、回転摩擦ダンパー154の変位量δ4(δ4
<δ2)は小さく、変形の増幅倍率が小さい。しかし、
これは、建物内に制振装置140を左右対称に配置する
ことで、揺れ方向に関係なく均一な制振効果を発揮でき
る。なお、δ2とδ4の大小は、アームの長さ及び交角
の大きさによって変化するので、任意に設定することが
できる。
【0088】また、図36に示すように、架構146
が、水平変形(δ5)及び鉛直変形(δ6)しても、回
転可能に連結された第1アーム152と第2アーム15
8はこの動きに追従する。このため、高層ビルにおいて
顕著に見られる曲げ変形を制御することができる。
【0089】さらに、図37に示すように、上階梁14
4Aの回転支承160に油圧ダンパー162のシリンダ
ー部162Aを回転可能に連結し、ロッド162Bを回
転摩擦ダンパー154へ連結することにより、回転摩擦
ダンパー154の動きに油圧ダンパー162が追従でき
るような構成とすることで、減衰性能をさらに向上させ
ることができる。また、図38に示すように、回転摩擦
ダンパー154へ補助質量164を直接取付けることに
よって、入力されるエネルギーを低減することもでき
る。
【0090】さらに、図39及び図40に示すように、
第1アーム152と第2アーム158との連結部分に補
助質量200を取付けることによって、重力効果を付加
することができる。すなわち、トグル機構の特性上、架
構146が右方向へ変形したときには、補助質量200
は重力に逆らって移動することになり、架構146が左
方向へ変形したときには、補助質量200は重力に加速
されて移動することになる。また、いずれの場合にも、
遠心力が作用してくる。
【0091】これは、架構146(建物)の剛性が、右
方向への変形に対しては大きく、左方向への変形に対し
ては小さいことを示しており、この性質を利用すること
によって、剛性が小さい建物でも見掛け上の剛性を大き
くでき、逆に、剛性が大きい建物でも見掛け上の剛性を
小さくできる。
【0092】さらに、図41及び図42に示すように、
上下を逆に取付けることによって、架構146(建物)
の剛性を、左方向への変形に対しては大きく、右方向へ
の変形に対しては小さくすることもできる。このよう
に、建物の剛性に応じて、種々の制振装置の組み合わせ
が可能となり、また、補助質量200が円弧運動すると
きに生じる遠心力が働き、第1アーム152と第2アー
ム158との連結部分に作用することになるので、この
点を考慮した強度設計をする必要がある。
【0093】また、図43に示すように、第1アーム1
52と第2アーム158を平行にダブルで配置すること
で、補助質量200が安定した状態で、第1アーム15
2と第2アーム158とに支持され、かつ確実に補助質
量200が第1アーム152及び第2アーム158の動
きに追従するので、制振効果が向上する。また、図44
では、制振装置140が左右対称に配置され、下階梁1
44Bの回転支承160に油圧ダンパー250のシリン
ダー部250Aが回転可能に連結され、ロッド250B
が回転摩擦ダンパー154に連結されている。さらに、
下階梁144Bから立設された剛壁254には、第1ア
ーム152が回転可能に取付けられている。
【0094】また、シリンダー部250A同士はフレキ
シブルなホース252で接続されており、ロッド250
Bの往復移動に伴って、ピストン251とシリンダー部
の底壁との間にある粘性体がホース252を通じてやり
取りされる。このように、粘性体を制振装置140の動
きに応じて移動させることにより、最適な減衰力を油圧
ダンパー250が発揮する。
【0095】一方、図45に示す例では、建物202の
最上部に積層ゴム68で補助質量204を支持し、この
補助質量204と建物202の最上部との間に、図21
と同じように、連結シャフト28に補助質量84を取付
けた制振装置10が配置されている。これによって、最
上部において、建物全体が制振されることになる。
【0096】また、図46に示すように、2棟の建物2
06、208の最上部に補助質量210を架け渡しても
よい。これによって、地震等によって建物206と建物
208との間に生じる相対的な変位を制振装置10によ
って増幅減衰することにより、建物206、208を制
振する。
【0097】さらに、図47では、建物212の最上部
を跨ぐようにしてラーメン形状のフレーム214が地上
から立上げられている。このフレーム214の梁部21
4Bと建物212の最上部との間に制振装置10が取付
けられている。このように、フレーム214を地上から
立ち上げることによって、図46に示すように、積層ゴ
ム68で補助質量210のセット位置を保持する必要が
なくなり、制振装置10を単独で使用することができ
る。
【0098】また、フレーム214の脚部214Aの剛
度を調整することによって、建物212との相対変位量
を調整することもできる。なお、梁部214Bを住居空
間としてもよく、また、脚部214Aはエレべータシャ
フトや階段室が設けられるコア部としてもよい。
【0099】
【発明の効果】本発明は上記構成としたので、簡単な機
構で、構造物の大きさに左右されずに効率良く配置で
き、また、変形の増幅倍率を顕著に増大させることがで
き、さらに、種々の減衰装置が使用することができ、大
地震時にも制振効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る振動制御機構を利用した第1形態
に係る制振装置を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る振動制御機構を利用した第1形態
に係る制振装置を示す平面図である。
【図3】本発明に係る振動制御機構を利用した第1形態
に係る制振装置が配置された建物の平面図である。
【図4】本発明に係る振動制御機構を利用した第1形態
に係る制振装置の立断面図である。
【図5】本発明に係る振動制御機構を利用した第1形態
に係る制振装置の動きを示した模式図である。
【図6】本発明に係る振動制御機構を利用した第1形態
に係る制振装置の動きを示した模式図である。
【図7】本発明に係る振動制御機構を利用した第1形態
に係る制振装置の動きを示した模式図である。
【図8】本発明に係る振動制御機構を利用した第2形態
に係る制振装置を下から見た平面図である。
【図9】本発明に係る振動制御機構を利用した第2形態
に係る制振装置の立面図である。
【図10】本発明に係る振動制御機構を利用した第2形
態に係る制振装置の動きを下から見た模式図である。
【図11】本発明に係る振動制御機構を利用した第3形
態に係る制振装置を下から見た平面図である。
【図12】本発明に係る振動制御機構を利用した第3形
態に係る制振装置の動きを下から見た模式図である。
【図13】本発明に係る振動制御機構を利用した第4形
態に係る制振装置の立面図である。
【図14】本発明に係る振動制御機構を利用した第5形
態に係る制振装置の立面図である。
【図15】本発明に係る振動制御機構を利用した第6形
態に係る制振装置の平面図である。
【図16】本発明に係る振動制御機構を利用した第6形
態に係る制振装置の立面図である。
【図17】本発明に係る振動制御機構を利用した第1形
態に係る免震床構造の立面図である。
【図18】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
に係る免震床構造の立面図である。
【図19】本発明に係る振動制御機構を利用した第2形
態に係る免震床構造の立面図である。
【図20】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
に係る免震床構造の立面図である。
【図21】本発明に係る振動制御機構を利用した建物の
基礎免震構造を示す立面図である。
【図22】本発明に係る振動制御機構を利用した建物の
中間免震構造を示す立面図である。
【図23】本発明に係る振動制御機構を利用した第7形
態に係る制振装置の斜視図である。
【図24】本発明に係る振動制御機構を利用した第7形
態に係る制振装置の平面図である。
【図25】本発明に係る振動制御機構を利用した第7形
態に係る制振装置の立面図である。
【図26】本発明に係る振動制御機構を利用した第7形
態に係る制振装置を建物に配置した状態を示す平面図で
ある。
【図27】本発明に係る振動制御機構を利用した第8形
態に係る制振装置の平面図である。
【図28】本発明に係る振動制御機構を利用した第8形
態に係る制振装置の動きを示した平面図である。
【図29】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
に係る制振装置の平面図である。
【図30】本発明に係る振動制御機構を利用した第9形
態に係る制振装置の平面図である。
【図31】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
態に係る制振装置の平面図である。
【図32】本発明に係る振動制御機構を利用した第10
形態に係る制振装置の斜視図である。
【図33】本発明に係る振動制御機構を利用した第10
形態に係る制振装置の立面図である。
【図34】本発明に係る振動制御機構を利用した第10
形態に係る制振装置の動きを示した立面図である。
【図35】本発明に係る振動制御機構を利用した第10
形態に係る制振装置の動きを示した立面図である。
【図36】本発明に係る振動制御機構を利用した第10
形態に係る制振装置の動きを示した立面図である。
【図37】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
に係る制振装置の立面図である。
【図38】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
に係る制振装置の立面図である。
【図39】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
に係る制振装置の動きを示した立面図である。
【図40】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
に係る制振装置の動きを示した立面図である。
【図41】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
に係る制振装置の動きを示した立面図である。
【図42】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
に係る制振装置の動きを示した立面図である。
【図43】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
に係る制振装置の動きを示した立面図である。
【図44】本発明に係る振動制御機構を利用した変形例
に係る制振装置の立面図である。
【図45】本発明に係る振動制御機構を利用した建物全
体の制振構造を示した立面図である。
【図46】本発明に係る振動制御機構を利用した建物全
体の制振構造を示した立面図である。
【図47】本発明に係る振動制御機構を利用した建物全
体の制振構造を示した立面図である。
【図48】建物の崩壊形態を示した概念図である。
【図49】従来の制振装置を示した模式図である。
【図50】従来の制振装置の取付状態を示した模式図で
ある。
【符号の説明】
10 制振装置 12 制振装置ユニット 16 上部構造体(第2構材) 18 下部構造体(第1構材) 22 第1アーム 28 連結シャフト(連結部材) 30 第2アーム 38 コロ(摺動部材、エネルギー低減吸収手
段) 40 ガイド溝 42 ガイド溝 46 ゴムシート(摩擦発生材) 48 ウレタンシート(摩擦発生材) 52 ケース(箱体) 54 減衰材 78 回転型摩擦型ダンパー(回転型減衰装置) 84 補助質量 86 制振装置 88 制振装置ユニット 90 第1アーム 104 第2アーム 102 回転型摩擦型ダンパー(回転型減衰装置) 116 油圧ダンパー(減衰装置) 120 制振装置 124 回転型摩擦型ダンパー(回転型減衰装置) 126 回転型摩擦型ダンパー(回転型減衰装置) 136 油圧ダンパー(減衰装置) 140 制振装置 144A 上階梁(第1構材) 144B 下階梁(第2構材) 152 第1アーム 154 回転型摩擦型ダンパー(回転型減衰装置) 158 第2アーム 162 油圧ダンパー(減衰装置) 164 補助質量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新谷 隆弘 千葉県船橋市前原東5丁目8番16号 (72)発明者 久保田 雅春 東京都千代田区三番町2番地 飛島建設株 式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物に作用する外力によって相対変形
    する第1構材と第2構材に取付けられ、構造物の振動を
    抑える振動制御機構において、 前記第1構材に一端が回転可能に取付けられた第1アー
    ムと、前記第2構材に一端が回転可能に取付けられた第
    2アームと、前記第1アームと前記第2アームとの軸線
    或いはこれらの軸線の延長線が交わる角度が鋭角となる
    ように、それぞれの自由端を回転可能に連結するエネル
    ギー低減吸収手段と、を有することを特徴とする振動制
    御機構。
  2. 【請求項2】 前記振動制御機構が2組左右対称形とな
    るように構成されたことを特徴とするする請求項1に記
    載の振動制御機構。
  3. 【請求項3】 左右対称形となるように構成された前記
    振動制御機構が、X軸或いはY軸を基準として、対称形
    となるように一対配置されたことを特徴とする請求項2
    に記載の振動制御機構。
  4. 【請求項4】 左右対称形となるように構成された前記
    振動制御機構が、X軸を基準として対称形に一対配置さ
    れ、さらに、左右対称形となるように構成された前記振
    動制御機構が、Y軸を基準として対称形に一対配置され
    たことを特徴とする請求項2に記載の振動制御機構。
  5. 【請求項5】 左右対称形となるように構成された前記
    振動制御機構が、X軸を基準として対称形に一対配置さ
    れ、さらに、左右対称形となるように構成された前記振
    動制御機構が、Y軸を基準として対称形に一対配置さ
    れ、 X軸を基準として対称形に配置された振動制御機構の前
    記第2アームの一端が連結手段によって、前記第2構材
    に対してX軸方向へスライド可能で、Y軸方向へは移動
    しないように拘束され、Y軸を基準として対称形に配置
    された振動制御機構の前記第2アームの一端が連結手段
    によって、前記第2構材に対してY軸方向へスライド可
    能で、X軸方向へは移動しないように拘束されたことを
    特徴とする請求項4に記載の振動制御機構。
  6. 【請求項6】 左右対称形となるように構成された前記
    振動制御機構が、X軸を基準として対称形に一対配置さ
    れ、さらに、左右対称形となるように構成された前記振
    動制御機構が、Y軸を基準として対称形に一対配置さ
    れ、 Y軸を基準として対称形に配置された振動制御機構の前
    記第2アームの一端が連結手段によって、前記第2構材
    に対してX軸方向へスライド可能で、Y軸方向へは移動
    しないように拘束され、X軸を基準として対称形に配置
    された振動制御機構の前記第2アームの一端が連結手段
    によって、前記第2構材に対してY軸方向へスライド可
    能で、X軸方向へは移動しないように拘束されたことを
    特徴とする請求項4に記載の振動制御機構。
  7. 【請求項7】 前記エネルギー低減吸収手段が、回転エ
    ネルギーを減衰させる回転型減衰装置であることを特徴
    とする請求項1〜請求項6の何れかに記載のの振動制御
    機構。
  8. 【請求項8】 前記エネルギー低減吸収手段が、前記第
    1アーム及び第2アームの自由端が回転可能に連結され
    た補助質量であることを特徴とする請求項1〜請求項6
    の何れかに記載の振動制御機構。
  9. 【請求項9】 前記エネルギー低減吸収手段が、一端が
    前記第1アーム及び第2アームの自由端が回転可能に連
    結され、他端が前記第1構材或いは第2構材に回転可能
    に取付けられた減衰装置であることを特徴とする請求項
    1〜請求項6の何れかに記載の振動制御機構。
  10. 【請求項10】 左右対称形となるように構成された前
    記振動制御機構のエネルギー低減吸収手段同士が、減衰
    装置で回転可能に連結されたことを特徴とする請求項1
    〜請求項8の何れかに記載の振動制御機構。
  11. 【請求項11】 前記エネルギー低減吸収手段が、前記
    第1アームの自由端と前記第2アームの自由端とが回転
    可能に連結された連結部位に配設され、前記第1構材或
    いは前記第2構材と摺動する摺動部材であることを特徴
    する請求項1〜請求項8の何れかに記載の振動制御機
    構。
  12. 【請求項12】 前記摺動部材の摺動面に摩擦発生材が
    敷かれたことを特徴する請求項11に記載の振動制御機
    構。
  13. 【請求項13】 前記エネルギー低減吸収手段が、前記
    第1アームの自由端と前記第2アームの自由端とを回転
    可能に連結する連結部材であり、この連結部材を、円弧
    形状を描く箱体の中に入れられた減衰材の中に差し込ん
    だことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れかに記載
    の振動制御機構。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001330077A (ja) * 2000-05-19 2001-11-30 Yasushi Morita 免震架台
JP2002357014A (ja) * 2001-05-31 2002-12-13 Tatsuji Ishimaru 制振装置
JP2009068652A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Toshiba Corp 防振装置のスタビライザ機構
JP2013177744A (ja) * 2012-02-28 2013-09-09 Taisei Corp 免震構造
JP2020029916A (ja) * 2018-08-23 2020-02-27 株式会社エーエス 対象物支持装置

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