JP5318483B2 - 制震装置 - Google Patents

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本発明は、制震装置に関する。
建物は、地震や風等の外力によって振動し、梁と柱とで囲まれた架構に変形が生じる。この変形を抑えるために(制震するために)、架構内にエネルギーを吸収する制震用ダンパーを設置した制震装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
更に、制震用ダンパーの効果を飛躍的に向上させるために、トグル機構を用いた制震装置が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3を参照)。
或いは、架構内に、剛体の可動壁を支持部材で面内回転可能に支持すると共に、架構と可動壁との間にゴム等の弾性部材を装着した制震装置(亀壁)が提案されている。(例えば、特許文献4を参照)。
特開平5−256045号公報 特開平10−169244号公報 特開2008−002165号公報 特開2003−56200号公報
しかし、超高層ビルやペンシルビル等の建物では、曲げ変形が主体となり、十分な制震効果を得ることが難しい。よって、建物の曲げ変形を抑え効果的に大きな制震効果を得ることが求められている。
本発明は、上記を考慮して、建物の曲げ変形を抑え効果的に大きな制震効果を得ることができる制震装置を提供することが目的である。
請求項1に記載の制震装置は、建物を構成する矩形状の架構の中に設けられ、前記架構を構成する上梁又は前記上梁と一方の柱とで構成される隅部に一端が回転可能に取り付けられた第一アームと、前記架構を構成する下梁又は前記下梁と他方の柱とで構成される隅部に一端が回転可能に取り付けられ他端と前記第一アームの他端とが所定の角度を持って回転可能に連結された第二アームと、前記第一アームと前記第二アームとの連結部分に一端が回転可能に連結されると共に前記架構の上梁又は前記上梁と前記他方の柱とで構成される隅部に他端が回転可能に連結された減衰ダンパーと、を有する前記架構の振動を減衰させる第一制震装置と、前記架構の前記他方の柱の外側に設けられ、前記架構の水平方向の変形に伴って伸縮すると共に回転機構によって軸方向の直線変位を回転慣性質量の軸回りの回転変位に変換する慣性質量ダンパーを有し、前記建物が曲げ変形する際に前記他方の柱に作用する軸力の方向と逆方向の軸力を前記他方の柱に作用させる第二制震装置と、を備える。
したがって、第二制震装置は他方の柱に作用する軸力の方向と逆方向の軸力を他方の柱に作用させるので、他方の柱の軸方向の変形が拘束され、その結果、建物全体の曲げ変形が抑制される。またこれにより、建物が制震される。
一方、第一制震装置はトグル機構によって、架構(上梁と下梁)が、水平方向に小さく相対変形しても、大きな変形に増幅され、減衰ダンパーが軸方向に大きく直線変位する(伸縮する)。
これにより小さい変形×大きな力=大きな変形×小さな力という関係が成立し、大きな減衰効果が得られ、建物が制震される。
ここで、第一制震装置によって、他方の柱には、架構の水平方向の変形に伴って作用する軸力と同じ方向の軸力が第一制震機構によって作用する。
しかし、前述したように、第二制震装置は他方の柱に作用する軸力の方向と逆方向の軸力を他方の柱に作用させるので、他方の柱の軸方向の変形が拘束され、建物全体の曲げ変形が抑制される。よって、大きな制震効果が得られる。言い換えると、第一制震装置と第二制震装置が協働することで、単純に二つの制震装置を設ける構成よりも大きな制震効果が得られる。
なお、慣性質量ダンパーの回転慣性質量の回転方向の接線方向の変位は、慣性質量ダンパーの軸方向の直線変位(伸縮)よりも大きい。よって、回転慣性質量が回転することによって生じる回転慣性質量効果は回転慣性質量に対して大きく増幅することができる。つまり、回転慣性質量ダンパーの回転慣性質量の質量が軽くても、軸方向の変位を回転慣性質量の回転に変換することによって、大きな質量を得ることとなる。
更に、慣性質量ダンパーの直線変位の軸方向の変位量をxとすると、質量体の接線方向の変位は、
であり、加速度は、
である。つまり、慣性質量ダンパーは軸方向の変位方向と反対方向に力が作用する。
よって、慣性質量ダンパーを用いることで、第二制震装置が他方の柱に作用する軸力の方向と逆方向の軸力を他方の柱に作用させることが(建物全体の曲げ変形を抑制させることが)、例えば、複雑な機構を用いることなく容易に可能となり、大きな制震効果が得られる。
請求項2に記載の制震装置は、前記第二制震装置は、前記慣性質量ダンパーの一端が、前記架構の前記他方の柱に回転可能に取り付けられ、前記慣性質量ダンパーの他端が、前記他方の柱よりも外側の下梁又は前記建物の外側の地盤に回転可能に取り付けられている。
したがって、第二制震機構は、このような簡単な機構で、架構の水平方向の変形に伴って他方の柱に作用する軸力と逆方向の軸力を他方の柱に作用させることができる。
請求項3に記載の制震装置は、前記第二制震装置が、前記架構の前記他方の柱に一端が回転可能に取り付けられた第三アームと、前記他方の柱よりも外側の下梁又は前記建物の外側の地盤に一端が回転可能に取り付けられ、他端と前記第三アームの他端とが所定の角度を持って回転可能に連結された第四アームと、前記第三アームと前記第四アームとの連結部分に一端が回転可能に連結されると共に、前記第三アームと前記第四アームとの連結部分に一端が回転可能に連結されると共に、前記下梁、前記地盤、前記下梁又は前記地盤と前記他方の柱とで構成される隅部のいずれかに他端が回転可能に連結された前記慣性質量ダンパーと、を備えている。
したがって、第二制震装置はトグル機構によって、水平方向に小さく相対変形しても、大きな変形に増幅され、慣性質量ダンパーが軸方向に大きく直線変位する(伸縮する)。これにより小さい変形×大きな力=大きな変形×小さな力という関係が成立し、小さな力によって大きな減衰効果が得られる。
このように第二制震装置は、トグル機構によって大きな減衰効果を得られるので、建物全体の曲げ変形が効果的に抑制され、その結果、建物が効果的に制震される。
なお、第二震装置をこのような構成とすることで、第二制震機構は架構の水平方向の変形に伴って他方の柱に作用する軸力と逆方向の軸力を他方の柱に作用させる。
請求項4に記載の制震装置は、前記他方の柱が前記建物の最外側部分に配置された柱とされている。
したがって、建物の最外側部分に配置された他方の柱の軸力の変形が拘束されるので、建物全体の曲げ変形が効果的に抑制され、その結果、建物全体が効果的に制震される。
請求項5に記載の制震装置は、前記第一制震装置は、最下層の架構の中に設けられている。
したがって、建物の最下層の架構が制震されるので、建物全体の曲げ変形が効果的に抑制され、その結果、建物全体が効果的に制震される。
請求項6に記載の制震装置は、前記慣性質量ダンパーの前記回転機構は、軸体と、前記軸体が挿入される回転体と、前記回転体を回転可能に保持する保持体と、前記軸体の外周面と前記回転体の内周面とに設けられ、該軸体の軸方向の直線変位を前記回転体の軸周りの回転変位に変換する螺合手段と、前記回転体と一体となって、軸周りに回転する質量体と、を有する。
したがって、慣性質量ダンパーの軸体が直線変位すると、軸体が挿入される回転体が螺合手段によって回転変位する。そして、回転体と一体となって質量体が軸回り回転することで、大きな慣性質量が発生する。これにより大きな減衰効果が得られ、建物全体が効果的に制震される。
請求項7に記載の制震装置は、前記回転体の外周面と前記保持体の内周面との間にエネルギー吸収体を備えている。
したがって、回転体が回転することによりエネルギーを吸収し、応答値が小さくなる。
請求項1に記載の制震装置によれば、建物の曲げ変形を抑え、効果的に大きな制震効果を得ることができる。
請求項2に記載の制震装置によれば、第二制震装置は、簡単な機構で他方の柱の軸方向の変形を拘束させることができる。
請求項3に記載の制震装置によれば、第二制震装置は、トグル機構を有しているので、効果的に他方の柱の軸方向の変形を拘束させ、その結果、大きな制震効果を得ることができる。
請求項4に記載の制震装置よれば、建物の最外側部分に配置された他方の柱の軸方向の変形を拘束することで、建物の曲げ変形を効果的に抑え、建物全体を効果的に制震することができる。
請求項5に記載の制震装置によれば、建物の最下層の架構の制震することで、建物物全体を効果的に制震することができる。
請求項6に記載の制震装置によれば、大きな慣性質量が発生することで、建物の曲げ変形を効果的に抑え、その結果、効果的に大きな制震効果が得ることができる。
請求項7に記載の制震装置によれば、応答値を小さくすることで、効率的に制震効果を得ることができる。
図1を用いて本発明の第一実施形態の制震装置を備える建物について説明する。
図1は、第一実施形態の制震装置550、552を備える建物(超高層ビル)500の構造の下層部を模式的に示す正面図である。図13(A)は、建物500の全体を模式的に図示した正面図である。但し、図13(A)は、本発明の制震装置550、552が備えられていない状態である。
図1と図13(A)とに示すように、建物500は、地盤490の上に建てられている。また、建物500は、柱510、512、514、516、518と梁520、522、524、525、526、527、528、529と、を主要な構造部材とされている。
図1に示すように、制震装置550はトグル型制震装置600と制震装置700とで構成され、制震装置552はトグル型制震装置650と制震装置710とで構成されている。
建物500の最下層における図の左端の架構530(柱510、512と梁520、522とで囲まれた架構530)にトグル型制震装置600が設けられている。また、最下層における図の右端の架構540(柱516、518と梁520、522とで囲まれた架構540)にトグル型制震装置650が設けられている。
図における左端の架構530に設けられたトグル型制震装置600は、上梁522と柱512とで構成される隅部に取り付けられた回転支承602に一端が固定された第一アーム604と、柱510と下梁520とで構成される隅部に取り付けられた回転支承606に一端が固定された第二アーム608とを備えている。なお、回転支承602は上梁522に取り付けられていてもよい。同様に回転支承606は下梁520に取り付けられていてもよい。
第一アーム604及び第二アーム608の他端(自由端)は回転ヒンジ610で回動可能に所定の角度を持って連結されている。この回転ヒンジ610には、弾塑性ダンパー620のシャフト622の端部が連結されている。更に、弾塑性ダンパー620のホルダー624の端部に設けられたヒンジ626が、上梁522と柱510とで構成される隅部に取り付けられた回転支承628に連結されている。
なお、本実施形態においては、第一アーム604は、第二アーム608より短く、それぞれの自由端は前述したように回動可能に所定の角度を持って連結されていると共に、第一アーム604と第二アーム608とは、図における左斜め上方に向かって凸形状となる山型(への字状)を形成している。なお、第一アーム604は、第二アーム608より長くてもよい。
一方、右端の架構540に設けられたトグル型制震装置650は、前述したトグル型制震装置600と左右対称である以外は、同様の構成であるので、詳しい説明は省略する。
建物500の図における左外側(建物500の外側)には、慣性質量ダンパー100を有する制震装置700が設けられている。回転支承628に対応する位置の柱510に回転支承702が取り付けられ、地盤490の上には、回転支承704が取り付けられている。そして、回転支承702に慣性質量ダンパー100のホルダー104の端部に設けられたヒンジ105が回転可能に連結され、回転支承704に慣性質量ダンパー100シャフト102の端部に設けられたヒンジ101が回転可能に連結されている。
建物500の図における右外側(建物500の外側)には、慣性質量ダンパー100を有する制震装置710が設けられている。なお、制震装置700と左右対称である以外は、同様の構成であるので、詳しい説明は省略する。
このように、制震装置550(トグル型制震装置600及び制震装置700)と制震装置552(トグル型制震装置650及び制震装置710)とが建物500の左右端部に左右対象に配置されている。
つぎに慣性質量ダンパー100について、図3と図4を用いて説明する。
図3は、慣性質量ダンパー100の部分断面斜視図であり、図4(A)は慣性質量ダンパー100の軸方向に沿った断面図であり、図4(B)は正面図である。なお、図4(C)は後述する質量体の変形例を示す図である。
図3、図4(A)、図4(B)に示すように、慣性質量ダンパー100は、シャフト102の外周面に、雌ネジ溝102Aが形成されている。この雌ネジ溝102Aは、雌ネジ溝102Aに螺合する雄ネジ110Aが内周面に形成された円筒状の回転体110に挿入されている。
回転体110は、一方が開口した円筒状のホルダー104の内部に回転可能に保持されている。また、回転体110は円柱部111Dと、円柱部111Dより径が大きな第一円盤部111A,第二円盤部111B,第三円盤部111Cと、から構成されている。
回転体110の一方の端部側はホルダー104の開口から突出し、回転体110の一方の先端部には第一円盤部111Aが形成されている。また、回転体110の他方の先端部には第三円盤部111Cが形成されている。更に、ホルダー105の内に、第二円盤部111Bと第三円盤部111Cが配置されている。
また、第二円盤部111B,第三円盤部111Cに対応するホルダー104の両端部分には、第二円盤部111B,第三円盤部111Cが嵌る凹部114、115が形成されている。そして、凹部114、115には軸受け112,113が設けられている。このような構成により回転体110は、矢印Kで示す軸回りには回転するが、矢印Sで示す軸方向への移動が規制されている。
慣性質量ダンパー100には、ホルダー104と内周面と回転体110の円柱部110Dの外周面との間にエネルギー吸収体を設けることで、慣性質量ダンパー100は減衰手段としての機能を併せ持つことができる。本実施形態においては、ホルダー104と内周面と回転体110の円柱部110Dの外周面との間にエネルギー吸収体として粘弾性液が注入されている。なお、粘弾性液の液漏れを防止するためオイルシール(図示略)等で封止されている。また、ホルダー104と内周面と回転体110の円柱部110Dの外周面との間にエネルギー吸収体を設けていない構成であってもよい。
回転体110の第一円盤部111Aには、円盤状の質量体120がボルト122で締結されている。質量体120の中央部には円形の開口部120Aが形成され、この開口部120Aの中をシャフト102が通っている。なお、開口部120Aの内径はシャフト102の外径より十分に大きいので、開口部120Aとシャフト102とは接していない。また、回転体110(第一円盤部111A,第二円盤部111B,第三円盤部111C,円筒部111D)の軸心、質量体120の軸心、シャフト102の軸心、は同一軸線上にある。
なお、図4(C)に示すように、質量体120の変形例として、質量体120が半円形状の質量体120Bと質量体120Cとの二つの部材で構成されていても良い。このような構成とすれば、質量体120B、120Cのみを容易に着脱可能である。よって、チューニング(質量体の重さの調整作業)が容易である。
慣性質量ダンパー100は、上述したような構成をしているので、図3と図4(A)とに示すように、ホルダー104が固定された状態において、シャフト102が矢印Sで示すように軸方向に移動すると、シャフト102の外周面の雌ネジ溝102Aと回転体110雄ネジ110Aとが螺合して回転体110が軸周りに回転し、更に、図3と図4(B)とに示すように、回転体110とボルト122で締結された質量体120が矢印Kで示すように軸回りに回転する(回転体110と質量体120とが一体となって矢印K方向に回転する)。
つまり、慣性質量ダンパー100は、シャフト102の軸方向の直線変位(矢印S)を、慣性質量である質量体120の回転変位(矢印K)に変換する機構を有するダンパーとなっている。
そして、前述したように、慣性質量ダンパー100のシャフト102の端部に取り付けられたヒンジ101が前述した回転支承704に連結され、ホルダー104の端部に取り付けられたヒンジ105が回転支承702に連結されている(図1参照)。
つぎに本実施形態の作用について説明する。
図13(A)は、制震装置550、552が備えられていない状態の建物(超高層ビル)500を示している。建物500が地震や風等の外力によって振動すると、図13(B)に示すように、建物500全体が曲げ変形する。なお、矢印G方向に変形した場合、柱510が引張側柱であり、柱518が圧縮側柱であり、それぞれの柱の軸変形によって、建物全体の曲げ変形が生じる。なお、図13(B)は曲げ変形を判りやすくするために、実際よりも誇張して図示している。
このように建物500全体が曲げ変形すると、十分な制震効果を得ることが難しい。言い換えると、例えば、トグル型制震装置600、650のみを設置しても、十分な制震効果を得ることが難しい。そこで、本実施形態では、制震装置700、710によって、柱510及び柱518に作用する軸力の方向と逆方向の軸力を作用させて、柱510、518の軸方向の変形を拘束し、建物500全体の曲げ変形を抑制し、その結果、大きな制震効果を得ている。よって、このことについて詳しく説明する。
図2に示すように、地震動等の振動により、建物500が矢印G方向(右側)へ水平移動すると、最下層の左端の架構530(上梁522,下梁520、柱510、柱512で構成された矩形状の架構530)は、略平行四辺形状に変形する。これにより、上梁522が矢印G方向に水平移動する(上梁522と下梁520とが相対移動する)。なお、正確には、建物500全体が曲げ変形するので(図13(B)参照)、上梁522の左端(柱510との接合端部)が上がるように変形する(回転支承602と回転支承702とが上がるように変形する)。よって、柱510には上方に引き抜かれる方向に軸力が作用する。
このとき、制震装置700は、回転支承702と回転支承704との間隔が離れ慣性質量ダンパー100が伸長する。
このように慣性質量ダンパー100のシャフト102が軸方向に伸縮(直線変位)すると、前述したように、回転体110が軸回りに回転し、更に質量体120が軸回りに回転する(回転体110と質量体120とが一体となって回転する)。すなわち、質量体120の回転慣性力により、柱510の軸方向の変形が拘束され、その結果、架構530が制震される。
なお、慣性質量ダンパー110の回転方向の接線方向の変位は、シャフト102の軸方向の変位の、数十倍まで増幅可能である(回転増幅率)。
また、慣性質量ダンパー100の直線変位の軸方向の変位量をxとすると、質量体の接線方向の変位は、
であり、加速度は、
である。つまり、慣性質量ダンパー100は軸方向の変位方向と反対方向に力が作用する。よって、制震装置700によって、柱510には下方に押さえつける方向に軸力が加わる。
一方、架構530が矢印G方向に水平方向に変位(略平行四辺形状に変形)することに伴い、回転支承602と回転支承606との間隔が離れ、第一アーム604及び第二アーム608の連結部分である回転ヒンジ610が右斜下方に移動する。そして、この回転ヒンジ610の移動に伴い弾塑性ダンパー620全長が伸長する。
このとき、トグル機構によって、回転支承602の水平変位量より、回転ヒンジ610の変位量、すなわち弾塑性ダンパー620の軸方向の変位量(伸長)が増幅されて大きくなる。つまり、トグル機構によって、回転支承602の小さな変位が回転ヒンジ610の大きな変位に増幅され、小さい変位×大きな力=大きな変位×小さな力という関係が成立する。そして、弾塑性ダンパー620によって架構530の変形が抑制される。つまり、架構530が制震される(架構530の振動が減衰する)。
ここで、トグル型制震装置600の弾塑性ダンパー620には引っ張り力が働く。このため、トグル型制震装置600によって、柱510には上方に引き抜く方向に軸力が加わる。また、前述したように、建物500の曲げ変形によって、柱510には上方に引き抜かれる方向に軸力が作用する。
しかし、前述したように、制震装置700の慣性質量ダンパー100は軸方向の変位方向と反対方向に力が作用するので、制震装置700によって、柱510には下方に押さえつける方向に軸力が加わる。
このように、制震装置600と建物500の曲げ変形によって、柱510には上方に引き抜く方向に軸力が加わるが、制震装置700によって柱510には下方に押さえつける方向に軸力が加わる(柱510に作用する軸力が低減される)。
したがって、柱510の柱の軸方向の変形が拘束されるので、建物500全体の曲げ変形が抑制され、その結果、大きな制震効果が得られる。言い換えると、トグル型制震装置600と制震装置700が協働することで、単純に二つの制震装置を設ける構成よりも大きな制震効果が得られる。
一方、最下層の右端の架構540(上梁522,下梁520、柱516、柱518で構成された矩形状の架構540)の略平行四辺形状の変形により、上梁522が矢印G方向に水平移動する(上梁522と下梁520とが相対移動する)。なお、前述したように、正確には、建物500全体が曲げ変形するので(図13(B)参照)、上梁518の右端(柱518との接合端部)が下がるように変形する(回転支承602と回転支承702とが下がるように変形する)。よって、柱518には下方に押し付けられる方向に軸力が作用する。
このとき、制震装置710は、回転支承702と回転支承704との間隔が狭くなり慣性質量ダンパー100が短縮する。
このように慣性質量ダンパー100のシャフト102が軸方向に短縮(直線変位)すると、前述したように、回転体110が軸回りに回転し、更に質量体120が軸回りに回転する(回転体110と質量体120とが一体となって回転する)。すなわち、質量体120の回転慣性力により、柱518の軸方向の変形が拘束され、その結果、架構540が制震される。
なお、慣性質量ダンパー100は軸方向の変位方向と反対方向に力が作用する。よって、制震装置710によって柱518には上方に引き抜く方向に軸力が加わる。
一方、最下層の右端の架構540が矢印G方向に水平方向に変位(略平行四辺形状に変形)することに伴い、トグル型制震装置650の回転支承602と回転支承606との間隔が狭くなり、第一アーム604及び第二アーム608の連結部分である回転ヒンジ610が右斜上方に向けて移動する。そして、この回転ヒンジ610の移動に伴い弾塑性ダンパー620全長が短縮する。
このとき、同様にトグル機構によって、回転支承602の小さな変位が回転ヒンジ610の大きな変位に増幅され、小さい変位×大きな力=大きな変位×小さな力という関係が成立する。そして、弾塑性ダンパー620によって架構540の変形が抑制される。つまり、架構540が制震される。
ここで、トグル型制震装置650の弾塑性ダンパー620には圧縮力が働く。このため、トグル型制震装置650によって、柱518には下方に押さえつける方向に軸力が加わる。また、前述したように建物500全体の曲げ変形によって、柱518には下に押さえつける方向に軸力が作用する。
一方、前述したように、制震装置710の慣性質量ダンパー100は軸方向の変位方向と反対方向に力が作用するので、制震装置710によって柱518には上方に引き抜く方向に軸力が加わる(柱518に作用する軸力が低減される)。
したがって、柱518の柱の軸方向の変形が拘束されるので、建物500全体の曲げ変形が抑制され、その結果、大きな制震効果が得られる。言い換えると、トグル型制震装置650とトグル型制震装置730とが協働することで、単純に二つの制震装置を設ける構成よりも大きな制震効果が得られる。
なお、建物500が矢印G方向と逆方向(左側)へ水平移動した場合は、各動作は左右対称及び逆方向となり、逆方向に各力が作用するだけなでの、詳しい説明は省略する。
また、本実施形態の制震装置550、552のように、建物500の最下層の最外側部分の架構530、540を構成する外側の柱510、518(建物500の最も外側に配置された柱510、518)の軸方向の変形を拘束することで、建物500全体の曲げ変形が最も効果的に制震され、この結果、最も効果的に大きな制震効果が得られる。
つぎに、図5を用いて本発明の第二実施形態の制震装置を備える建物について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図5は、第二実施形態の制震装置560、562を備える建物500の構造を模式的に示す正面図である。図5に示すように、制震装置560はトグル型制震装置600とトグル型制震装置720とで構成され、制震装置562はトグル型制震装置650とトグル型制震装置730とで構成されている。
建物500の最下層における図の左端の架構530にトグル型制震装置600が設けられている。また、最下層における図の右端の架構540にトグル型制震装置650が設けられている。
建物500の図における左外側(建物500の外側)には、慣性質量ダンパー100を有するトグル型制震装置720が設けられている。
トグル型制震装置720は、回転支承628に対応する位置の柱510に取り付けられた回転支承702に一端が固定された第三アーム714と、地盤490に固定された回転支承713に一端が固定された第四アーム718とを備えている。
第三アーム714及び第四アーム718の他端(自由端)は回転ヒンジ716で回動可能に所定の角度を持って連結されている。この回転ヒンジ610には、慣性質量ダンパー100シャフト102の端部に設けられたヒンジ101が連結されている。更に、慣性質量ダンパー100のホルダー104の端部に設けられたヒンジ105が柱510と地盤490とで構成する隅部に設けられた回転支承712が固定されている。
なお、本実施形態においては、第三アーム714は、第四アーム718よりも長く、それぞれの自由端は前述したように回動可能に所定の角度を持って連結されていると共に、第三アーム714と第四アーム718とは、図における右斜め下方に向かって凸形状となる山型(への字状)を形成している。なお、第三アーム714は、第四アーム718よりも短くてもよい。
建物500の図における右外側(建物500の外側)には、慣性質量ダンパー100を有するトグル型制震装置730が設けられている。
トグル型制震装置730は、トグル型制震装置720と左右対称である以外は、同様の構成であるので、詳しい説明を省略する。
このように、制震装置560(トグル型制震装置600及びトグル型制震装置720)と制震装置562(トグル型制震装置650及びトグル型制震装置730)とが建物500の左右端部に左右対象に配置されている。
つぎに本実施形態の作用について説明する。
図6に示すように、地震動等の振動により、建物500が矢印G方向(右側)へ水平移動すると、トグル側制震装置720は、回転支承702と回転支承713との間隔が離れ、第三アーム714及び第四アーム718の連結部分である回転ヒンジ716が左斜上方に向けて移動する。そして、この回転ヒンジ716の移動に伴い慣性質量ダンパー100の全長が伸長する。
このとき、トグル機構によって、回転支承702の水平変位量より、回転ヒンジ716の変位量、すなわち慣性質量ダンパー100の軸方向の変位量(伸長)が増幅されて大きくなる。つまり、トグル機構によって、回転支承702の小さな変位が回転ヒンジ716の大きな変位に増幅され、小さい変位×大きな力=大きな変位×小さな力という関係が成立する。そして、慣性質量ダンパー100によって、柱510の軸方向の変形が拘束され、架構530が制震される。
ここで、前述したように、トグル型制震装置600と建物500の曲げ変形によって柱510には上方に引き抜かれる方向に軸力が作用する。
しかし、前述したように、慣性質量ダンパー100は軸方向の変位方向と反対方向に力が作用するので、トグル型制震装置720の第三アーム704によって、柱510には下方に押さえつける方向に軸力が加わる(柱510に作用する軸力が低減される)。
したがって、柱510の柱の軸方向の変形が拘束されるので、建物500全体の曲げ変形が抑制され、その結果、大きな制震効果が得られる。言い換えると、トグル型制震装置600とトグル型制震装置720とが協働することで、単純に二つの制震装置を設ける構成よりも大きな制震効果が得られる。
一方、トグル側制震装置730は、回転支承702と回転支承713との間隔が狭くなり、第三アーム714及び第四アーム718の連結部分である回転ヒンジ716が左斜下方に向けて移動する。そして、この回転ヒンジ716の移動に伴い慣性質量ダンパー100の全長が短くなる。これにより、柱510の軸方向の変形が拘束され、架構530が制震される。
同様に前述したように、トグル型制震装置650と建物500の曲げ変形によって、柱518には下方に押さえつける方向に軸力が加わる。
しかし、前述したように、慣性質量ダンパー100は軸方向の変位方向と反対方向に力が作用するので、トグル型制震装置730の第三アーム704によって、柱518には上方に引き抜く方向に軸力が加わる。よって、制震装置710によって柱518には上方に引き抜く方向に軸力が加わる(柱518に作用する軸力が低減される)。
したがって、柱518の柱の軸方向の変形が拘束されるので、建物500全体の曲変形が抑制され、その結果、大きな制震効果が得られる。言い換えると、トグル型制震装置650とトグル型制震装置730が協働することで、単純に二つの制震装置を設ける構成よりも大きな制震効果が得られる。
建物500が矢印G方向と逆方向(左側)へ水平移動した場合は、各動作は左右対称及び逆方向となり、逆方向に各力が作用するだけなでの、詳しい説明は省略する。
なお、第一実施形態と第二実施形態は、制震装置550、560と制震装置552、562が建物500の左右端部に左右対象に配置され、柱510、518の軸方向の変形を拘束することで、建物500全体の曲げ変形を効果的に抑制しているが、これに限定されない。
例えば、建物の外側に制震装置700、710やトグル型制震装置720、730を設置するスペースがない場合などは、第一実施形態の変形例を示す図7及び第二実施形態の変形例を示す図8の制震装置のように、制震装置700、710やトグル型制震装置720、730を建物の中の架構530、540に設置し、トグル型制震装置600、650を架構532、542に設置して制震してもよい。この場合、柱512、516の軸方向の変形を拘束することで、建物500全体の曲げ変形が抑制される。
なお、このような構成の場合、建物500全体の制震効果は第一実施形態及び第二実施形態よりは低くなるが、本発明を適用しない構成と比較すると、十分に大きな制震効果を得ることができる。
或いは、図示は省略するが、最下層(一階部分)でなく二階部分や三階部分に本発明を適用してもよい。このような構成の場合も、建物500全体の制震効果は第一実施形態及び第二実施形態よりは低くなるが、本発明を適用しない構成と比較すると、十分に大きな制震効果を得ることができる。
なお、上記第一実施形態及び第二実施形態では、制震装置600、650には、減衰ダンパーとして、弾塑性ダンパー620を用いたがこれに限定されない。粘性ダンパー、粘弾性ダンパー、剛弾性ダンパーであってもよいし、或いはこれらが組み合わされて構成されたダンパーであってもよい。言い換えると、第一制震装置(制震装置600、650)は、粘性、粘弾性、弾塑性、或いは剛塑性のうち少なくとも一つを備えた減衰ダンパーを有していればよい。
つぎに、図9を用いて第三実施形態の制震装置800について説明する。なお、第一実施形態及び第二実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
なお、本実施形態も、建物500の最下層における図1の左端の架構530と右端の架構540とに制震装置が設けられているが、架構530の制震装置を代表して図示及び説明する。
図9に示すように、制震装置800は、建物500における上梁522、下梁520、柱510,512で構成された矩形状の架構530で区画された空間に、平面視六角形の板状の可動壁50が設けられている。可動壁50は、対向する二つの角部52Cと角部52Fが水平方向外側に突起する方向、及び、対向する二つの辺54Aと辺54Dとが略水平となるように配置されている。なお、可動壁50は、せん断変形しない面内剛性の高い壁とされている。
矩形状の架構530の四隅部分には、ブラケット42,44,46,48が設けられている。そして、このブラケット42と可動壁50の角部52Aとを円柱状(棒状)の連結部材202が連結している。同様に、ブラケット44と可動壁50の角部52Bとを連結部材204が、ブラケット46と可動壁50の角部52Dとを連結部材206が、ブラケット48と可動壁50の角部52Eとを連結部材208が、それぞれ連結している。
なお、連結部材202、204、206、208は、ブラケット42,44,46,48及び可動壁50の角部52A,52B,52D,52Eとの連結部202A,202B,204A,204B,206A,206B,208A,208Bにおいて、面内方向に回転可能に取り付けられている。
また、図11に模式的に示すように、連結部材202、204、206、208の軸線は、可動壁50との連結部202B,204B,206B,208Bを結ぶ対角線50Tと角度を持っている。更に、連結部材202、204の延長線202T、204Tは、対角線50Tの交点(可動壁50の回転中心)よりも上方で交差し、連結部材206、208の延長線206T、208Tは、対角線50Tの交点(可動壁50の回転中心)よりも下方で交差する。
図9に示すように、可動壁50の水平方向外側に突起する角部52Fには、慣性質量ダンパー100Lと慣性質量ダンパー100Pの一端が面内回転可能に連結されると共に、慣性質量ダンパー100Lの他端がブラケット42に連結され、慣性質量ダンパー100Pの他端がブラケット48に連結されている。
同様に、可動壁50の水平方向外側に突起する角部52Cには、慣性質量ダンパー100Mと慣性質量ダンパー100Nの一端が面内回転可能に連結されると共に、慣性質量ダンパー100Mの他端がブラケット44に連結され、慣性質量ダンパー100Nの他端がブラケット46に連結されている。
つぎに慣性質量ダンパー100L,100M,100N,100Pは、第一実施形態と第二実施形態で説明した慣性質量ダンパー100と同じであるので、説明は省略する。
つぎに、本実施形態についての作用について説明する。
図10に示すように、地震動等の振動により、建物500が矢印G方向(右側)へ水平移動すると、上梁522,下梁520、柱510、柱512で構成された矩形状の架構530が、略平行四辺形状に変形する。これにより、上梁522が矢印G方向に水平移動する(上梁522と下梁520とが相対移動する)。このように、架構530が矢印G方向に水平方向に変位(略平行四辺形状に変形)することに伴い、可動壁50は、架構530の変形と同方向である矢印R方向に、面内回転する。
なお、図2では、上梁522は、右側に水平移動し、可動壁50は、右回り(時計回り)に面内回転する。また、図2は、変形と回転を判り易くするため、変形と回転を実際よりも極端に大きく図示している。
さて、可動壁50の回転に伴い、慣性質量ダンパー100L、100Nの連結部分であるヒンジ101L、101Nとヒンジ105L、105Nの間隔は狭くなる、すなわち慣性質量ダンパー100L。100の全長が縮む。一方、慣性質量ダンパー100M、100Pの連結部分であるヒンジ101M、101Pとヒンジ105M、105Pの間隔は狭くなる、すなわち慣性質量ダンパー100M、100Pの全長が縮む。このとき、慣性質量ダンパー100L,100M,100N,100Pの伸縮量は、架構530の変形に対して増幅される(以降、「格子倍率」と記載する)。
このように慣性質量ダンパー100のシャフト102が軸方向に伸縮(直線変位)すると、前述したように、回転体110が軸回りに回転し、更に質量体120が軸回りに回転する(回転体110と質量体120とが一体となって回転する)。すなわち、質量体120の回転慣性力により、地震などの振動の入力を低減させることができる。これにより、建物500の振動が抑えられる(入力低減効果)。
なお、回転体110の回転方向の接線方向の変位は、シャフト102の軸方向の変位の、数十倍まで増幅可能であり(回転増幅率)、更に、前述した格子倍利率によって、数倍程度、増幅される。
よって、例えば、
回転増幅率:βf=25
格子倍率:βt=4
とすると、
(βf・βt)=1000倍
となる。
つまり、軸方向の変位を質量体120の回転に変換することによって生じる回転慣性質量効果は、質量体120の質量の10000倍に増幅することができる。
よって、質量体の質量が500kgであれば、5、000tonの慣性質量が生成される。また、本実施形態においては、一つの架構530に対して、四基の慣性質量ダンパー100が装着されているの、全体としては更に四倍の20、000tonの慣性質量となる。
また、慣性質量ダンパー100には、ホルダー104と内周面と回転体110の円柱部110Dの外周面との間に粘弾性液が注入されているので、粘弾性液のせん断抵抗によって抵抗を受ける。よって、回転体110が回転することにより粘弾性減衰力が発生する。その結果、制震効果が向上される。
さて、慣性質量ダンパー100は、軸方向の変位量をxとすると、質量体120の接線方向の変位は、
であり、加速度は、
となる。つまり、慣性質量ダンパー100は、軸方向の変位方向と反対方向に力を発生させる。
よって、慣性質量ダンパー100を用いる場合は、架構530(枠体)の変位方向と同方向に可動壁50を面内回転させることで、架構530(枠体)の水平変位に対向する方向(矢印Q)に抵抗力が働く。
このように、制震装置800は、可動壁50が入力変位によって架構530と同方向に回転することに伴い、慣性質量ダンパー100が収縮して質量体120の回転により発生する慣性力によって地震のエネルギーを吸収するので、高い制震効果を発揮する。
また、図9に示すような構成とすることで、四つの連結部材と四つの慣性質量ダンパーとが、矩形状の架構内の空間に効率よく配置されると共に、意匠性に優れた構成となる。
また、慣連結部材202、208には、引っ張り力が働く。このため、変形に伴い柱510が伸びようとする力に対して、柱510を縮めようとする方向に力が働くことになる。したがって、柱510の軸力が低減する。
同様に、慣連結部材204、206には、圧縮力が働く。このため、変形に伴い柱512が押し付けられ力に対して、柱512を引き抜く方向に力が働くことになる。したがって、柱512の軸力が低減する。
また、建物500の最下層の最外側部分の架構530、540を構成する外側の柱510、518(建物500の最も外側に配置された柱510、518)の軸方向の変形を拘束することで、建物500全体の曲げ変形が最も効果的に制震され、この結果、最も効果的に大きな制震効果が得られる。
なお、上記第三実施形態では、図9〜図11に示すように、連結部材202、204、206、208の軸線は、可動壁50との連結部202B,204B,206B,208Bを結ぶ対角線50Tと角度を持つと共に、連結部材202、204の延長線202T、204Tが対角線50Tの交点(可動壁50の回転中心)よりも上方で交差し、連結部材206、208の延長線206T、208Tが対角線50Tの交点(可動壁50の回転中心)よりも下方で交差する構成であったがこれに限定されない。架構530(枠部)の水平方向の変位に伴い、可動壁50が架構530(枠部)の変位方向と同方向に面内回転するように、架構530(枠部)と可動壁50とが連結されていればよい。
例えば、図12に示すように制震装置802のように、可動壁50の角部52A,52Bと上梁522に設けられたブラケット312と連結部材302、304で連結し、可動壁50の角部52D,52Fと下梁520に設けられたブラケット314とを連結部材306、308で連結した構成であってもよい。なお、連結部材302と連結部材304はハの字状に配置され、連結部材306と連結部材308は、逆ハの字状に配置される。
また、例えば、上記実施形態では枠部は、梁と柱とで構成された矩形状の架構530であったがこれに限定されない。例えば、柱と床とで区画されていてもよい。また、枠部の形状は矩形状でなくてもよい。
本発明の第一実施形態の制震装置を備える建物の下層部の構造を模式的に示す正面図である。 図1の状態から建物が水平変位した状態を示す正面図である。 慣性質量ダンパーを示す部分断面斜視図である。 慣性質量ダンパーを示す、(A)は縦断面図であり、(B)は正面図であり、(C)は質量体の変形例を示す図である 本発明の第二実施形態の制震装置が備える建物の下層部の構造を模式的に示す正面図である。 図5の状態から建物が水平変位した状態を示す正面図である。 本発明の第一実施形態の変形例の制震装置を備える建物の下層部の構造を模式的に示す正面図である。 本発明の第二実施形態の変形例の制震装置を備える建物の下層部の構造を模式的に示す正面図である。 本発明の第三実施形態の制震装置を示す正面図である。 図9の状態から架構の水平変位に伴い、可動壁が同方向に回転した状態を示す正面図である。 第三実施形態の制震装置における連結部材による可動壁と架構との連結を説明する説明図である。 本発明の第三実施形態の制震装置の他の例を示す正面図である。 (A)は本発明の制震装置が設置される前の状態の建物を模式的に示す正面図であり、(B)は(A)の建物が曲げ変形した状態を模式的に示す図である。
符号の説明
50 可動壁
100 慣性質量ダンパー
102 シャフト(軸体)
102A 雌ネジ溝(螺合手段)
104 ホルダー(保持体)
104A 雄ネジ(螺合手段)
110 回転体
120 質量体
202 連結部材
204 連結部材
206 連結部材
208 連結部材
490 地盤
500 建物
530 架構(枠部)
532 架構
540 架構
542 架構
510 柱(他方の柱)
518 柱(他方の柱)
512 柱(他方の柱、一方の柱)
514 柱(一方の柱)
516 柱(他方の柱、一方の柱)
520 下梁
522 上梁
550 制震装置
552 制震装置
560 制震装置
562 制震装置
600 トグル型制震装置(第一制震装置)
604 第一アーム
608 第二アーム
620 弾塑性ダンパー(減衰ダンパー)
650 トグル型制震装置(第一制震装置)
700 制震装置(第二制震装置)
710 制震装置(第二制震装置)
714 第三アーム
718 第四アーム
720 トグル型制震装置(第二制震装置)
730 トグル型制震装置(第二制震装置)
800 制震装置
802 制震装置

Claims (7)

  1. 建物を構成する矩形状の架構の中に設けられ、前記架構を構成する上梁又は前記上梁と一方の柱とで構成される隅部に一端が回転可能に取り付けられた第一アームと、前記架構を構成する下梁又は前記下梁と他方の柱とで構成される隅部に一端が回転可能に取り付けられ他端と前記第一アームの他端とが所定の角度を持って回転可能に連結された第二アームと、前記第一アームと前記第二アームとの連結部分に一端が回転可能に連結されると共に前記架構の上梁又は前記上梁と前記他方の柱とで構成される隅部に他端が回転可能に連結された減衰ダンパーと、を有する前記架構の振動を減衰させる第一制震装置と、
    前記架構の前記他方の柱の外側に設けられ、前記架構の水平方向の変形に伴って伸縮すると共に回転機構によって軸方向の直線変位を回転慣性質量の軸回りの回転変位に変換する慣性質量ダンパーを有し、前記建物が曲げ変形する際に前記他方の柱に作用する軸力の方向と逆方向の軸力を前記他方の柱に作用させる第二制震装置と、
    を備える制震装置。
  2. 前記第二制震装置は、
    前記慣性質量ダンパーの一端が、前記架構の前記他方の柱に回転可能に取り付けられ、 前記慣性質量ダンパーの他端が、前記他方の柱よりも外側の下梁又は前記建物の外側の地盤に回転可能に取り付けられている請求項1に記載の制震装置。
  3. 前記第二制震装置が、
    前記架構の前記他方の柱に一端が回転可能に取り付けられた第三アームと、
    前記他方の柱よりも外側の下梁又は前記建物の外側の地盤に一端が回転可能に取り付けられ、他端と前記第三アームの他端とが所定の角度を持って回転可能に連結された第四アームと、
    前記第三アームと前記第四アームとの連結部分に一端が回転可能に連結されると共に、前記下梁、前記地盤、前記下梁又は前記地盤と前記他方の柱とで構成される隅部のいずれかに他端が回転可能に連結された前記慣性質量ダンパーと、
    を備える請求項1に記載の制震装置。
  4. 前記他方の柱が前記建物の最外側部分に配置された柱とされた請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の制震装置。
  5. 前記第一制震装置が、前記建物の最下層の架構の中に設けられた請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の制震装置。
  6. 前記慣性質量ダンパーの前記回転機構は、
    軸体と、
    前記軸体が挿入される回転体と、
    前記回転体を回転可能に保持する保持体と、
    前記軸体の外周面と前記回転体の内周面とに設けられ、該軸体の軸方向の直線変位を前記回転体の軸周りの回転変位に変換する螺合手段と、
    前記回転体と一体となって、軸周りに回転する質量体と、
    を有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の制震装置。
  7. 前記回転体の外周面と前記保持体の内周面との間にエネルギー吸収体を備える請求項6に記載の制震装置。
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