JP5728173B2 - 制振装置、鉄塔及び構造物 - Google Patents
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Description
本実施の形態によれば、第1連結手段の取付部が第1構造部の側面に固定され、第2連結手段の取付部が第2構造部の側面にそれぞれ固定される。このとき、第1構造部の側面及び第2構造部の側面への取付部の固定作業は、横方向に向いた作業となる。この結果、例えば、水平部材の底面に下方から固定する作業に比べ作業性が改善される。また、さらに、回転ダンパーの両端部が、第1腕部材と第2腕部材に取り付けられているため、構造物への制振装置の取り付けの自由度が大きい。
鉄塔の脚部の上部に第1構造部が、下部に第2構造部が設けられ、第1構造部に第1連結手段が固定され、第2構造部に第2連結手段が固定される。これにより、地震によって鉄塔に曲げ変形が発生しても、鉄塔の脚部の上部と下部の間に取り付けられた制振装置が、鉄塔の脚部の相対移動を抑制し鉄塔の振動を抑制することができる。
また、第1連結部と第2連結部の距離が変化したとき、第1連結部と第2連結部の距離の変化に伴い軸体が直線変位する。軸体が直線変位すると、軸体と螺合手段で接合された回転体が回転変位を開始する。このとき、回転慣性質量体も回転体と一体となって軸体回りに回転する。この回転体と回転慣性質量体の回転変位により、軸体の直線変位が抑制され、構造物の振動が抑制される。
この抵抗体により、回転体と回転慣性質量体の回転変位による回転エネルギーを短時間で吸収できる。この結果、外乱に対する応答値が小さくなる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の制振装置において、一対の前記第1腕部材と一対の前記第2腕部材は同一平面上に配置され、前記取付部は、前記平面と平行な取付面を有し、前記回転ダンパーは、前記軸体と、前記軸体が挿入される回転体と、前記回転体を回転可能に保持する保持体と、前記軸体の外周面と前記回転体の内周面とに設けられ、前記軸体の軸線方向の直線変位を前記回転体の前記軸体回りの回転変位に変換する螺合手段と、前記回転体と一体となって前記軸体の軸線回りに回転する回転慣性質量体と、を有し、前記軸体を前記第1連結部に連結し、前記保持体を前記第2連結部に連結したことを特徴としている。
請求項6に記載の発明によれば、取付部の取付面が、第1腕部材と第2腕部材により形成される平面と平行とされている。これにより、第1腕部材と第2腕部材を、第1構造部の側面及び第2構造部の側面と平行な平面上で、第1連結部及び第2連結部を中心に回転させることができる。
また、第1連結部と第2連結部の距離が変化したとき、第1連結部と第2連結部の距離の変化に伴い軸体が直線変位する。軸体が直線変位すると、軸体と螺合手段で接合された回転体が回転変位を開始する。このとき、回転慣性質量体も回転体と一体となって軸体回りに回転する。この回転体と回転慣性質量体の回転変位により、軸体の直線変位が抑制され、構造物の振動が抑制される。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の制振装置において、前記回転体の外周面と前記保持体の内周面との間には、前記回転体の回転に抵抗を与える抵抗体が設けられていることを特徴としている。
この抵抗体により、回転体と回転慣性質量体の回転変位による回転エネルギーを短時間で吸収できる。この結果、外乱に対する応答値が小さくなる。
図1に示すように、第1の実施の形態に係る制振装置10は、第1連結部22で回転可能に連結された鋼製の2本の第1アーム12、14と、第2連結部26で回転可能に連結された鋼製の2本の第2アーム16、18を有している。第1連結部22と第2連結部26は、例えばピン接合とされ、それぞれのアームの回転を確保している。
第1アーム12の第1連結部22側の端部は平板状とされ、第1連結部22を構成する貫通孔が設けられている。先端部は貫通孔を中心にして内側に向けてL字状に折り曲げられ、折り曲げられた先端部36にはピン接合用の貫通孔が設けられている。
同様に、第2アーム18の第2連結部26側の端部も平板状とされ、第2連結部26を構成する貫通孔が設けられている。先端部は貫通孔を中心にして内側に向けてL字状に折り曲げられ、折り曲げられた先端部38にはピン接合用の貫通孔が設けられている。
図2及び図3(A)の断面図に示すように、回転ダンパー100の中心部にはシャフト102が設けられ、シャフト102は円筒状の回転体110に挿入されている。シャフト102の外周面には雄ネジ102Aが形成され、回転体110の内周面には雌ネジ110Aが形成されている。この雄ネジ102Aは雌ネジ110Aと螺合されている。
先ず、図4を用いて、制振装置10に鉛直方向の変位yが生じた場合について説明する。
図4(A)の実線に示すように、制振装置10の第1取付金具21と第2取付金具25を上下方向に向け、上部部材32に第1取付金具21を固定し、下部部材34に第2取付金具25を固定する。このとき、第1連結部20と第3連結部22の間の距離をN1、第2連結部24と第3連結部22の間の距離をN2、第3連結部22と第4連結部26の間の距離をd1とする。
Rv=|d1−d2|/y (1)
なお、上下倍率Rvの値は、制振装置10の各部の寸法により異なる値となる。制振装置10の各部の寸法を調整することで、上下倍率Rvの値を選択できる。
図5(A)の実線に示すように、制振装置10の第1取付金具21と第2取付金具25を結ぶ線Lを鉛直線に対して45度傾斜させる。そして、上部部材32に第1取付金具21を固定し、下部部材34に第2取付金具25を固定する。このとき、第1連結部20と第3連結部22の間の距離をN1、第2連結部24と第3連結部22の間の距離をN2、第1連結部22と第2連結部26の間の距離をd1とする。
Rh=|d1−d2|/x (2)
なお、水平倍率Rhの値は、制振装置10の各部の寸法により異なる値となる。制振装置10の各部の寸法を調整することで、水平倍率Rhの値を選択できる。
また、上記本試算は、制振装置10を鉛直線に対して45度傾斜させた条件で行った。この角度は1例であり、傾斜角度を調整することで水平倍率Rhの値を選択できる。
第2の実施の形態に係る制振装置を備えた鉄塔は、図6に示すように、第1の実施の形態で説明した制振装置10が、鉄塔40の脚部42に取り付けられている。
脚部42と最下部の横部材44の接合部に第1固定部46が取り付けられ、第1固定部46には、制振装置10の第1取付金具21が固定されている。
これにより、制振装置10は、第1取付金具21及び第2取付金具25を上下方向に向けて脚部42の側面に固定される。
また、図8に示すように、脚部42を挟んで、脚部42の両側に制振装置10を接合してもよい。このとき、第1連結部22同士、第2連結部26同士を面外拘束材41で回転可能に接合する。これにより、制振装置10の面外方向への移動が抑制され、制振効果が担保される。
即ち、上述した、脚部42の最下部への制振装置10の取り付けに加えて、最下段の横部材44と、下から2番目の横部材44の間にも制振装置10を取り付ける。これにより、鉄塔40に曲げ変形が作用したとき、鉄塔40の一方の脚部42に作用する引張力、及び他方の脚部42に作用する圧縮力をより大きく減衰させることができる。
なお、2個の制振装置10の取り付け場所は、脚部42の最下部及びその上部に限定されることなく、任意の高さに取り付けることができる。更に、それぞれの取り付け位置において、脚部42を挟んで、脚部42の両側に制振装置10を接合してもよい。
本実施の形態においては、4本の脚部42で自立させた鉄塔40を用いて説明したが、これに限定されることはない。脚部42の数には関係なく、鉄塔40が自立していればよい。
第3の実施の形態に係る構造物は、図10に示すように、第1の実施の形態で説明した制振装置10が、柱54に取り付けられた超高層構造物52である。即ち、制振装置10が、第1取付金具21及び第2取付金具25を上下方向に向けて、超高層構造物52の柱54の最下階部分に取付られている。
なお、制振装置10の柱54への固定場所は、上述した柱54の最下部に限定されることなく、柱54の最下部より高い位置(中間階部分)に設けてもよい。
第4の実施の形態に係る構造物は、図11に示すように、第1の実施の形態で説明した制振装置10が上階の梁72と下階の梁74の間に、鉛直方向に対して傾斜して取り付けられた中低層構造物70である。
これにより、制振装置10を、第1取付金具21と第2取付金具25を結ぶ線が鉛直栓に対して45度となるように、傾斜して取り付けることができる。
なお、本実施の形態では、制振装置10を鉛直線に対して45度傾斜させたて取り付けたが、この角度は1例であり45度に限定されることはない。要求される制振性能から傾斜角度を選択すればよい。
また、本実施の形態では、制振装置10を上下階の梁のそれぞれに第1固定部と第2固定部を設けて取り付けたが、これに限定されることはなく、例えば、制振装置10の上部を柱の上部に、下部を梁に固定してもよい。又、制振装置10の下部を柱の下部に、上部を梁に固定してもよい。
第5の実施の形態に係る構造物は、図12に示すように、第1の実施の形態で説明した制振装置10が、柱66の最下階部分の下端部と梁68の間に、鉛直方向に対して傾斜して取り付けられた高層構造物76である。
そして、柱66の基礎部に第2構造部79が取り付けられ、第2構造部79には、制振装置10の第2取付金具25が固定されている。これにより、制振装置10を、第1取付金具21と第1構造部73を結ぶ線が鉛直線に対して45度に傾斜して取り付けることができる。
なお、制振装置10の高層構造物76への取り付け場所は、上述した最下階に限定されることはなく、他の中間階の柱と梁に傾斜して設けることもできる。
また、制振装置10の取り付け角度を、鉛直線に対して45度に傾斜させた場合について説明したが、これに限定されることはなく、要求される制振性能に対応させて任意の角度で傾斜させることができる。
12 第1アーム(第1腕部材)
14 第1アーム(第1腕部材)
16 第2アーム(第2腕部材)
18 第2アーム(第2腕部材)
21 第1取付金具(第1連結手段)
22 第1連結部
25 第2取付金具(第2連結手段)
26 第2連結部
40 鉄塔
41 面外拘束材(面外拘束部材)
42 脚部
46 第1固定部(第1構造部)
48 第2固定部(第2構造部)
52 超高層構造物(構造物)
54 柱
70 中低層構造物(構造物)
72 上梁
74 下梁
76 高層構造物(構造物)
100 回転ダンパー
102 軸体
102A 軸体外周面の雄ネジ(螺合手段)
104 ホルダー(保持体)
110 回転体(回転慣性質量)
110A 回転体内周面の雌ネジ(螺合手段)
120 回転慣性質量体(回転慣性質量)
Claims (7)
- 第1連結部に回転可能に連結された一対の第1腕部材と、
第2連結部に回転可能に連結された一対の第2腕部材と、
構造物の第1構造部である、鉄塔の脚部の側面の上側に固定される取付部を備え、前記第1腕部材の一方と前記第2腕部材の一方を回転可能に連結する第1連結手段と、
外乱により前記第1構造部と相対移動する前記構造物の第2構造部である、前記鉄塔の前記脚部の前記側面の下側に固定される取付部を備え、前記第1腕部材の他方と前記第2腕部材の他方を回転可能に連結する第2連結手段と、
前記第1連結部と前記第2連結部を外側に折り曲げて前記第1連結部と前記第2連結部との間に回転可能に連結され、前記第1連結部と前記第2連結部の距離が変化したとき、前記変化に伴う軸体の直線変位を、回転慣性質量の前記軸体回りの回転変位に変換する回転ダンパーと、
を有する制振装置。 - 一対の前記第1腕部材と一対の前記第2腕部材は同一平面上に配置され、前記取付部は、前記平面と平行な取付面を有し、
前記回転ダンパーは、前記軸体と、前記軸体が挿入される回転体と、前記回転体を回転可能に保持する保持体と、前記軸体の外周面と前記回転体の内周面とに設けられ、前記軸体の軸線方向の直線変位を前記回転体の前記軸体回りの回転変位に変換する螺合手段と、前記回転体と一体となって前記軸体の軸線回りに回転する回転慣性質量体と、を有し、
前記軸体を前記第1連結部に連結し、前記保持体を前記第2連結部に連結した請求項1に記載の制振装置。 - 前記回転体の外周面と前記保持体の内周面との間には、前記回転体の回転に抵抗を与える抵抗体が設けられている請求項2に記載の制振装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の制振装置を、外乱によって相対移動する脚部の上部と下部であり、前記脚部の両側に配置し、請求項1〜3のいずれか1項に記載の第1連結部同士及び第2連結部同士を面外拘束部材で連結した鉄塔。
- 第1連結部に回転可能に連結された一対の第1腕部材と、
第2連結部に回転可能に連結された一対の第2腕部材と、
構造物の第1構造部である、超高層構造物の柱の側面の上側に固定される取付部を備え、前記第1腕部材の一方と前記第2腕部材の一方を回転可能に連結する第1連結手段と、
外乱により前記第1構造部と相対移動する前記構造物の第2構造部である、前記超高層構造物の前記柱の前記側面の下側に固定される取付部を備え、前記第1腕部材の他方と前記第2腕部材の他方を回転可能に連結する第2連結手段と、
前記第1連結部と前記第2連結部を外側に折り曲げて前記第1連結部と前記第2連結部との間に回転可能に連結され、前記第1連結部と前記第2連結部の距離が変化したとき、前記変化に伴う軸体の直線変位を、回転慣性質量の前記軸体回りの回転変位に変換する回転ダンパーと、
を有する制振装置。 - 一対の前記第1腕部材と一対の前記第2腕部材は同一平面上に配置され、前記取付部は、前記平面と平行な取付面を有し、
前記回転ダンパーは、前記軸体と、前記軸体が挿入される回転体と、前記回転体を回転可能に保持する保持体と、前記軸体の外周面と前記回転体の内周面とに設けられ、前記軸体の軸線方向の直線変位を前記回転体の前記軸体回りの回転変位に変換する螺合手段と、 前記回転体と一体となって前記軸体の軸線回りに回転する回転慣性質量体と、を有し、
前記軸体を前記第1連結部に連結し、前記保持体を前記第2連結部に連結した請求項5に記載の制振装置。 - 前記回転体の外周面と前記保持体の内周面との間には、前記回転体の回転に抵抗を与える抵抗体が設けられている請求項6に記載の制振装置。
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