JP5861883B2 - 回転慣性質量ダンパー及びブレースダンパー並びにブレース架構 - Google Patents
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また、単にリードLdを小さくすると、ねじ溝に配置されるボールベアリングの径も小さくなり、耐荷重性能が低下してしまう(ベアリング径が小さくなると1つ当たりの耐力が激減し、同じ耐荷重を得るためにボールナットの長さを大きくする必要があり、コンパクト化できない)ことから、ダンパーの負担力Pを確保する点からはねじリードLdをあまり小さくすることも困難である。
請求項4記載の発明は、互いに離接する方向に相対振動を生じる制振対象の構造体である第1部材および第2部材の間に介装されて、前記第1部材および前記第2部材の間に生じる前記相対振動を低減するための回転慣性質量ダンパーにおいて、第1ねじ軸に対して第1ナットを第1ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第1部材に対して連結される第1ボールねじ機構と、第2ねじ軸に対して第2ナットを第2ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第2部材に対して連結される第2ボールねじ機構とを有し、前記第1ボールねじ機構における前記第1ナットを前記第1部材に対して回転不能に連結可能とするとともに、前記第2ボールねじ機構における前記第2ナットを前記第2部材に対して回転不能に連結可能とし、前記第1ボールねじ機構における前記第1ねじ軸の先端と前記第2ボールねじ機構における前記第2ねじ軸の先端を間隔をおいて対向配置してそれらの間に回転錘を配置して、該回転錘を前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸に対して連結することにより、前記第1部材と前記第2部材との間で生じる前記相対振動によって前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸が前記第1ナットおよび前記第2ナットに対して軸方向に相対変位しつつ前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸と前記回転錘との全体が一体に回転可能とし、かつ、前記第1ボールねじ機構における第1ボールねじと前記第2ボールねじ機構における第2ボールねじを軸芯が一致し同じ向きでリードが互いに異なるボールねじとして形成してなり、前記回転錘を、前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して、それらの間で伝達されるトルクが所定の制限値を超えた時点で前記回転錘を前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して相対回転させてトルク伝達を制限するトルク制限機構を介して連結してなり、前記回転慣性質量ダンパーを備えて建物の架構内にブレースの形態で設置されるブレースダンパーであって、前記回転慣性質量ダンパーにおける前記第1ナットに対して第1接続部材の基端部を一体に接続するとともに、前記第2ナットに対して第2接続部材に基端部を一体に接続してなり、前記第1接続部材および前記第2接続部材の先端部をそれぞれ前記架構に対して接合可能に構成されてなることを特徴とする。
特に本発明の回転慣性質量ダンパーは、各ボールねじ機構のボールナットをそれぞれ制振対象の構造体に対して相対回転を拘束した状態で直接的に固定することが可能であるし、各ボールねじ機構をケーシング内に収容する必要もないので、全体構成が極めて簡単であって十分に小形軽量化を図ることができるし、ローコストに製造することが可能である。
特に、上記の回転慣性質量ダンパーをたとえば鋼材ダンパー等のフェールセーフ機構を介して架構に対して接合することにより、想定外の過大入力が作用した場合にも負担力を頭打ちにできる。したがって回転慣性質量ダンパー自体に過負荷防止機構を備える必要がなく、それを備えている従来型のダンパーに比べて構造を大幅に簡略化でき、ローコストにフェールセーフ機構を実現できる。
これは、本出願人が先に特願2010−141838として提案したもので、ボールねじのリードが異なる2組のボールねじ機構、すなわち第1ボールねじ機構20と第2ボールねじ機構30をケーシング10内に同軸状態で対向配置した状態で組み込んで、それら第1ボールねじ機構20と第2ボールねじ機構30によって1つの回転錘40を回転させることにより、このダンパー自体が変位拡大機能および増速機能を有するものである。
そして、そのケーシング10の内部に、第1ケーシング12に対して連結された第1ボールねじ機構20と、第2ケーシング14に対して連結された第2ボールねじ機構30とが収容され、それら第1ボールねじ機構20と第2ボールねじ機構30に対して回転錘40が連結された構成とされている。
同様に、第2ボールねじ機構30は、第2ねじ軸31と、第2ねじ軸31に対して第2ボールねじ32を介して螺着された第2ナット33とからなり、その第2ナット33が第2ケーシング14に対して回転不能かつ軸方向変位不能に固定された状態で設置されている。
なお、この際、第1ねじ軸21と回転錘40と第2ねじ軸31の全体がケーシング10に接触することなくその内部において支障なく軸方向に変位可能であるためには、図示しているように第1ナット23と回転錘40との間には少なくとも第1ボールねじ機構20の作動量(後述する相対変位量S1)に相当するクリアランスを確保するとともに、その第1ナット23と第1ケーシング12との間にはその2倍のクリアランスを確保する必要がある。同様に、第2ナット33と回転錘40との間には少なくとも第2ボールねじ機構30の作動量(同、相対変位量S2)に相当するクリアランスを確保するとともに、その第2ナット33と第2ケーシング14との間にはその2倍のクリアランスを確保する必要がある。
この場合、ダンパーストロークをSとすると、第1ボールねじ機構20の作動量(第1ナット23に対する第1ねじ軸21の相対変位量)S1、および第2ボールねじ機構30の作動量(第2ナット33に対する第2ねじ軸31の相対変位量)S2はそれぞれ次式で表され、いずれもダンパーストロークSに対して拡大されることになる。
換言すると、第1ボールねじ機構20と第2ボールねじ機構30はそれぞれのリードLd1、Ld2に応じて大きく作動するが、ダンパー全体としての伸縮量であるダンパーストロークSは、第1ボールねじ機構20の作動量S1と第2ボールねじ機構30の作動量S2との差(絶対値)になる。
その場合においてダンパーストロークS=60mmとした場合、上式より第1ナット23に対する第1ねじ軸21の相対変位量S1=300mm、第2ナット33に対する第2ねじ軸31の相対変位量S2=240mmとなる。
その場合において回転錘40の長さ(円盤としての厚さt)を600mm、回転錘40の外径D1=350mmφ、内径(第1ねじ軸21および第2ねじ軸31が貫通すると想定した場合の仮想の貫通孔の径)D2=150mmφとすると、回転錘40の質量m=0.37ton、回転慣性モーメントIθ=6.71×10-3ton・m2となるから、その場合の慣性質量ψは下式から10000ton以上にもなる。
すなわち、図8に示す回転慣性質量ダンパーは、ケーシング10の全体を第1ケーシング12と第2ケーシング14とをスライド機構15を介して軸方向相対変位可能かつ相対回転不能に組み合わせた構成とする必要がある。また、第1ナット23および第2ナット33をケーシング10に対して回転不能な状態で堅固に固定する必要があるし、回転錘40をケーシング10に対して回転可能かつ軸方向変位可能な状態でベアリング41により支持する必要がある。さらに、第1ボールねじ機構20と第2ボールねじ機構30の双方の両側にそれぞれの相対変位量S1,S2に応じたクリアランスが必要なことからケーシング10の余長を十分にとる必要もある
あるいは、上記のように第1ナット23および第2ナット33を第1部材および第2部材に対して直接的に固定することに代えて、必要であれば適宜の接続部材(破線で示す)を介して、あるいは適宜のクレビスやボールジョイントを用いて連結することでも良く、その場合はそれら接続部材やクレビス、ボールジョイントを利用して第1部材および第2部材に対する連結部に対して上記のクリアランスを確保することもできる。
これにより、本実施形態の回転慣性質量ダンパーAによれば、図8に示した先行発明の回転慣性質量ダンパーと同様に機能して上述したような効果が得られることはもとより、ケーシング10を省略したことで全体構成のさらなる簡略化と小形化、コストダウンを実現し得るものである。
これは、回転錘40をトルク伝達部材40aと錘本体40bとによる二重構造とし、トルク伝達部材40aを第1ねじ軸21および第2ねじ軸31に対して相対回転不能に一体に連結するとともに、その外周部に対して錘本体40bを相対回転不能かつ軸方向相対変位可能に装着し、さらに(a)に示すようにその錘本体40bを第1ナット23に対してベアリング42および連結部材43を介して回転可能かつ軸方向相対変位不能に連結した構成としたものである。
なお、図2に示す実施形態では(b)に示すようにトルク伝達部材40aを断面六角形状としてそれに錘本体40bを回転不能に嵌合せしめているが、実質的にスプライン嵌合のようにそれらを相対回転不能かつ軸方向相対変位可能な状態で連結すれば良く、その限りにおいてトルク伝達部材40aに対する錘本体40bの装着の形態は適宜で良い。
また、(a)に示したように錘本体40bを第1ナット23に対して連結することに代えて第2ナット33に対して連結することでも良く、その場合は錘本体40bと第1ナット23との間にダンパーストロークSに相当するクリアランスを確保すれば良い。
これは、図1に示した回転慣性質量ダンパーAを基本とするものであるが、回転錘40を第1ねじ軸21および第2ねじ軸31に対してトルク制限機構45を介して連結したものである。
トルク制限機構45は、通常時においては回転錘40と第1ねじ軸21および第2ねじ軸31との間でトルクを伝達してそれらを一体に回転させるものではあるが、それらの間で伝達されるトルクが所定の制限値を超えた場合には、その時点で回転錘40を第1ねじ軸21および前記第2ねじ軸31に対して相対回転(一定のトルクを保持しつつ空転)させてトルク伝達を制限する機構である。
そのような過負荷防止機構として機能するトルク制限機構45を、図3に示すように2台用いて回転錘40を第1ねじ軸21および第2ねじ軸31に対して連結し、それらのトルク制限機構45の全体で頭打ちとされる伝達トルクをT0とすると(1台のトルク制限機構45でT0/2のトルクを伝達する)、ダンパー負担力(軸力)Pは変位xのとき、次式のように頭打ちされる。
そのため、本実施形態の回転慣性質量ダンパーCでは、従来型ダンパーにおいて必要となるトルク制限機構よりも簡略で安価なトルク制限機構45を使用することで十分な過負荷防止機能を備えることが可能となる。
なお、上記のトルク制限機構45は、図2に示した実施形態の回転慣性質量ダンパーBに対しても同様に組み込むことにより同様の過負荷防止機能を持たせることができる。
図示例では第1接続部材50および第2接続部材51としていずれも鋼管を採用し、第1接続部材50よりも第2接続部材51を長くしているが、双方を同等に長くしても良いことはもとより、それら第1接続部材50および第2接続部材51の素材や断面形状、断面寸法、長さは、回転慣性質量ダンパーAの仕様に応じて全体としてブレースとして設置可能かつブレースダンパーとしての所望の性能を有するものとする限りにおいて任意に設計すれば良い。第1接続部材50および第2接続部材51として鋼管を用いれば、それらの鋼管内の中空スペースを利用して第1ボールねじ機構20および第2ボールねじ機構30の可動クリアランスが確保できるので、ストロークが大きくなっても容易に対応できる。
また、上記の回転慣性質量ダンパーAに代えて、図2に示した回転慣性質量ダンパーBを用いることも勿論可能である。
本実施形態のブレース架構では、ブレースダンパーDの第2接続部材51の先端部(上端部)は上層側の柱梁接合部に対してクレビスあるいはボールジョイントを介してピン接合しているが、第1接続部材50の先端部(下端部)は下層側の梁2の中央部に設置された鋼材ダンパー60に対してクレビスあるいはボールジョイントを介して接合している。
なお、図示例とは全体の天地を逆にしてΛ形ブレース架構としたり、K型その他のブレース架構とすることも勿論可能であるし、必ずしもブレースダンパーDを2本1組として用いることはなく架構内に1本のブレースダンパーを設置することでも良い。
さらに、同様のフェールセーフ機構を発揮し得るものとして、上記のような鋼材ダンパー60に代えて積層ゴムを使用し、その積層ゴムを滑り支承を介して梁2に支持することも可能であり、特に長周期構造物の場合には回転慣性質量ダンパーAに直列するばね剛性を小さくする必要があることから、そのような場合には積層ゴムを使用することが好適である。
但し、過負荷防止機構として摩擦トルクを利用する従来型の回転慣性質量ダンパーでは残留変位が生じないが、上記のように鋼材ダンパー60の降伏(塑性変形)を利用する場合には地震後に残留変位が生じることにはなる。
(1)リードの異なる2組のボールねじ機構を併用することで、ダンパー両端の相対変位に対する各ボールねじの変位(ボールナットに対するボールねじ軸の移動量)を大幅に拡大でき、このような拡大機構はボールねじの回転速度を増加させる増速機構でもあり、その拡大率(増速率)はリード差を小さくするほど大きくなる。
これにより、従来よりダンパー外径を大幅に縮小でき、そのための設置スペースの縮減が図れて建築計画の阻害要因になり難くなる。たとえば、この回転慣性質量ダンパーを壁内に設置する場合は壁厚を小さくして有効スペースを増大させることが可能であり、建物外周に設置する場合はブラインドボックスを室内側に寄せる寸法を小さくすることが可能であり、床貫通孔に隣接して設置する場合には床貫通孔の位置を梁に十分に接近させることが可能となる。
たとえば、第1ボールねじ機構におけるリードLd1=25mm、第2ボールねじ機構におけるリードLd2=20mmとした場合、ボールねじ間を連結しない場合と比較してダンパー両端に生じるトルク反力(合力)を1/9に軽減できることとなり、リードが単一の1組のボールねじ機構による従来型のダンパーと比較しても1/3以下に軽減できる。
(4)ボールねじの実際のリードを小さくする必要がないので、ボールベアリングも過小な径とする必要はなく、そのため、ボールねじ径に合わせた適切なリードを確保できるので耐荷重性能の問題は生じない。
(5)ダンパー両端に制振対象の構造体に回転不能に連結してボールねじ軸まわりの回転を拘束しトルク伝達する必要はあるが、伝達トルクは従来の慣性質量ダンパーと同じで拡大されることはないから、クレビスやボールジョイントを用いる場合にも従来と同様に汎用製品をそのまま使用可能であり、その点においてもコスト増となることはない。
(6)この種の回転慣性質量ダンパーは静的な剛性を持たず復元力は保持しないし、手動で回転錘を回転させることも可能であるので、現場での設置工事の際に寸法調整を容易に実施することも可能である。
(8)上記の回転慣性質量質量ダンパーをブレースに適用することで、材軸方向の寸法制約が少なくなり、余長によりダンパー全長が多少増大しても問題になり難い。また、ボールねじの相対変位量S1、S2がダンパーに直列する第1接続部材と第2接続部材内に必要となるが、第1接続部材と第2接続部材として鋼管を用いることによりその中空部を利用できるため寸法上の制約とはならない。
(9)上記の回転慣性質量ダンパーをブレース状にしてフェールセーフ機構(たとえば鋼材ダンパー)を介して架構と接合することにより、想定外の過大入力が作用した場合にも、負担力を頭打ちにできる。したがって回転慣性質量ダンパーに過負荷防止機構を備える必要がなく、それを備えている従来型のダンパーに比べて構造を大幅に簡略化でき、ローコストにフェールセーフ機構を実現できる。
B 回転慣性質量ダンパー
C 回転慣性質量ダンパー
20 第1ボールねじ機構
21 第1ねじ軸
22 第1ボールねじ
23 第1ナット
30 第2ボールねじ機構
31 第2ねじ軸
32 第2ボールねじ
33 第2ナット
40 回転錘
40a トルク伝達部材
40b 錘本体
42 ベアリング
43 連結部材
45 トルク制限機構
D ブレースダンパー
50 第1接続部材
51 第2接続部材
60 鋼材ダンパー(フェールセーフ機構)
Claims (6)
- 互いに離接する方向に相対振動を生じる制振対象の構造体である第1部材および第2部材の間に介装されて、前記第1部材および前記第2部材の間に生じる前記相対振動を低減するための回転慣性質量ダンパーであって、
第1ねじ軸に対して第1ナットを第1ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第1部材に対して連結される第1ボールねじ機構と、第2ねじ軸に対して第2ナットを第2ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第2部材に対して連結される第2ボールねじ機構とを有し、
前記第1ボールねじ機構における前記第1ナットを前記第1部材に対して回転不能に連結可能とするとともに、前記第2ボールねじ機構における前記第2ナットを前記第2部材に対して回転不能に連結可能とし、
前記第1ボールねじ機構における前記第1ねじ軸の先端と前記第2ボールねじ機構における前記第2ねじ軸の先端を間隔をおいて対向配置してそれらの間に回転錘を配置して、該回転錘を前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸に対して連結することにより、前記第1部材と前記第2部材との間で生じる前記相対振動によって前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸が前記第1ナットおよび前記第2ナットに対して軸方向に相対変位しつつ前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸と前記回転錘との全体が一体に回転可能とし、
かつ、前記第1ボールねじ機構における第1ボールねじと前記第2ボールねじ機構における第2ボールねじを軸芯が一致し同じ向きでリードが互いに異なるボールねじとして形成してなり、
前記回転錘を、前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して相対回転不能に一体に連結されたトルク伝達部材と、該トルク伝達部材の外周部に対して相対回転不能かつ軸方向相対変位可能に装着された錘本体とにより構成し、
前記錘本体を前記第1ナットまたは前記第2ナットに対して回転可能かつ軸方向相対変位不能に連結してなることを特徴とする回転慣性質量ダンパー。 - 請求項1記載の回転慣性質量ダンパーであって、
前記回転錘を、前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して、それらの間で伝達されるトルクが所定の制限値を超えた時点で前記回転錘を前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して相対回転させてトルク伝達を制限するトルク制限機構を介して連結してなることを特徴とする回転慣性質量ダンパー。 - 請求項1または2記載の回転慣性質量ダンパーを備えて建物の架構内にブレースの形態で設置されるブレースダンパーであって、
前記回転慣性質量ダンパーにおける前記第1ナットに対して第1接続部材の基端部を一体に接続するとともに、前記第2ナットに対して第2接続部材に基端部を一体に接続してなり、前記第1接続部材および前記第2接続部材の先端部をそれぞれ前記架構に対して接合可能に構成されてなることを特徴とするブレースダンパー。 - 互いに離接する方向に相対振動を生じる制振対象の構造体である第1部材および第2部材の間に介装されて、前記第1部材および前記第2部材の間に生じる前記相対振動を低減するための回転慣性質量ダンパーにおいて、
第1ねじ軸に対して第1ナットを第1ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第1部材に対して連結される第1ボールねじ機構と、第2ねじ軸に対して第2ナットを第2ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第2部材に対して連結される第2ボールねじ機構とを有し、
前記第1ボールねじ機構における前記第1ナットを前記第1部材に対して回転不能に連結可能とするとともに、前記第2ボールねじ機構における前記第2ナットを前記第2部材に対して回転不能に連結可能とし、
前記第1ボールねじ機構における前記第1ねじ軸の先端と前記第2ボールねじ機構における前記第2ねじ軸の先端を間隔をおいて対向配置してそれらの間に回転錘を配置して、該回転錘を前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸に対して連結することにより、前記第1部材と前記第2部材との間で生じる前記相対振動によって前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸が前記第1ナットおよび前記第2ナットに対して軸方向に相対変位しつつ前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸と前記回転錘との全体が一体に回転可能とし、
かつ、前記第1ボールねじ機構における第1ボールねじと前記第2ボールねじ機構における第2ボールねじを軸芯が一致し同じ向きでリードが互いに異なるボールねじとして形成してなり、
前記回転錘を、前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して、それらの間で伝達されるトルクが所定の制限値を超えた時点で前記回転錘を前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して相対回転させてトルク伝達を制限するトルク制限機構を介して連結してなり、
前記回転慣性質量ダンパーを備えて建物の架構内にブレースの形態で設置されるブレースダンパーであって、
前記回転慣性質量ダンパーにおける前記第1ナットに対して第1接続部材の基端部を一体に接続するとともに、前記第2ナットに対して第2接続部材に基端部を一体に接続してなり、前記第1接続部材および前記第2接続部材の先端部をそれぞれ前記架構に対して接合可能に構成されてなることを特徴とするブレースダンパー。 - 請求項3または4記載のブレースダンパーを建物の架構内に設置してなるブレース架構であって、
前記第1接続部材または前記第2接続部材の先端部と前記架構との間に、前記回転慣性質量ダンパーに対する過大入力を制限するためのフェールセーフ機構を介装してなることを特徴とするブレース架構。 - 請求項5記載のブレース架構であって、
前記フェールセーフ機構は、前記過大入力が生じた際に降伏する鋼材ダンパーであることを特徴とするブレース架構。
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