JP5861883B2 - 回転慣性質量ダンパー及びブレースダンパー並びにブレース架構 - Google Patents

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本発明は、回転慣性質量ダンパー及びそれによるブレースダンパー並びにブレース架構に関するものである。
回転慣性質量ダンパーとは、ダンパー両端の相対変位に比例して錘部材の回転量を生じる装置であり、錘部材の回転慣性モーメントと制動力の関係から「両端の相対加速度に比例した負担力」をもつ装置である。
この種の回転慣性質量ダンパーの具体例としては、特許文献1に示すようにボールねじ機構と回転錘(フライホイール)を組み合わせた減衰コマと称される形式のものが知られており、これによれば実際の錘質量に比較して1000倍以上もの質量効果が得られる特徴がある。
たとえば、1組のボールねじ機構によって回転錘(円盤状のフライホイール)を回転させる構成のダンパーでは、回転錘の回転慣性モーメントIθと回転角加速度Aとによって回転錘に生じる角運動量の変化から軸方向の慣性抵抗力Pが得られる。その場合、ボールねじのリード(ねじ山ピッチ)Ld、ダンパーの軸方向変位x、錘の回転角θとした場合、
Figure 0005861883
の関係となり、ダンパーの負担力(制御力)Pは次式で表される。
Figure 0005861883
ここで、回転錘(フライホイール)を環状の円盤としてその外径D1、内径D2、厚さt、密度ρとすると、その回転錘の回転慣性質量モーメントIθ、ダンパー負担力Pは、回転錘の質量mによりそれぞれ次式で表される。
Figure 0005861883
この種の大容量回転慣性質量ダンパーは D1/L>15 としていることが一般的であり、その場合には
Figure 0005861883
となる。これは、実際の回転錘の質量mの1000倍以上の慣性質量効果(相対加速度に対する負担力の比)が得られることを表す。
特開平11−201224号公報
上記のように、ボールねじ機構を利用した回転慣性質量ダンパーは小型であっても比較的大きな慣性質量効果を得ることができることから広く普及する気運にあるが、更に大きな慣性質量効果を得ることが可能な回転慣性質量ダンパーや、同じ慣性質量効果でも更に小型化した回転慣性質量ダンパーの開発も望まれており、そのためには回転錘の外径D1を可及的に大きくするか、あるいはボールねじのリードLdを可及的に小さくすることが効果的であると考えられている。
しかし、回転錘の外径D1をあまり大きくすることは装置の大型化になり好ましくない。
また、単にリードLdを小さくすると、ねじ溝に配置されるボールベアリングの径も小さくなり、耐荷重性能が低下してしまう(ベアリング径が小さくなると1つ当たりの耐力が激減し、同じ耐荷重を得るためにボールナットの長さを大きくする必要があり、コンパクト化できない)ことから、ダンパーの負担力Pを確保する点からはねじリードLdをあまり小さくすることも困難である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、回転錘の外径を大きくする必要がなく、またボールねじのリードを小さくする必要もなく、大きな慣性質量効果を得ることができる有効適切な回転慣性質量ダンパーを提供し、併せてその回転慣性質量ダンパーによる有効適切なブレースダンパーとブレース架構を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、互いに離接する方向に相対振動を生じる制振対象の構造体である第1部材および第2部材の間に介装されて、前記第1部材および前記第2部材の間に生じる前記相対振動を低減するための回転慣性質量ダンパーであって、第1ねじ軸に対して第1ナットを第1ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第1部材に対して連結される第1ボールねじ機構と、第2ねじ軸に対して第2ナットを第2ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第2部材に対して連結される第2ボールねじ機構とを有し、前記第1ボールねじ機構における前記第1ナットを前記第1部材に対して回転不能に連結可能とするとともに、前記第2ボールねじ機構における前記第2ナットを前記第2部材に対して回転不能に連結可能とし、前記第1ボールねじ機構における前記第1ねじ軸の先端と前記第2ボールねじ機構における前記第2ねじ軸の先端を間隔をおいて対向配置してそれらの間に回転錘を配置して、該回転錘を前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸に対して連結することにより、前記第1部材と前記第2部材との間で生じる前記相対振動によって前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸が前記第1ナットおよび前記第2ナットに対して軸方向に相対変位しつつ前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸と前記回転錘との全体が一体に回転可能とし、かつ、前記第1ボールねじ機構における第1ボールねじと前記第2ボールねじ機構における第2ボールねじを軸芯が一致し同じ向きでリードが互いに異なるボールねじとして形成してなり、前記回転錘を、前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して相対回転不能に一体に連結されたトルク伝達部材と、該トルク伝達部材の外周部に対して相対回転不能かつ軸方向相対変位可能に装着された錘本体とにより構成し、前記錘本体を前記第1ナットまたは前記第2ナットに対して回転可能かつ軸方向相対変位不能に連結してなることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1記載の回転慣性質量ダンパーであって、前記回転錘を、前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して、それらの間で伝達されるトルクが所定の制限値を超えた時点で前記回転錘を前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して相対回転させてトルク伝達を制限するトルク制限機構を介して連結してなることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1または2記載の回転慣性質量ダンパーを備えて建物の架構内にブレースの形態で設置されるブレースダンパーであって、前記回転慣性質量ダンパーにおける前記第1ナットに対して第1接続部材の基端部を一体に接続するとともに、前記第2ナットに対して第2接続部材に基端部を一体に接続してなり、前記第1接続部材および前記第2接続部材の先端部をそれぞれ前記架構に対して接合可能に構成されてなることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、互いに離接する方向に相対振動を生じる制振対象の構造体である第1部材および第2部材の間に介装されて、前記第1部材および前記第2部材の間に生じる前記相対振動を低減するための回転慣性質量ダンパーにおいて、第1ねじ軸に対して第1ナットを第1ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第1部材に対して連結される第1ボールねじ機構と、第2ねじ軸に対して第2ナットを第2ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第2部材に対して連結される第2ボールねじ機構とを有し、前記第1ボールねじ機構における前記第1ナットを前記第1部材に対して回転不能に連結可能とするとともに、前記第2ボールねじ機構における前記第2ナットを前記第2部材に対して回転不能に連結可能とし、前記第1ボールねじ機構における前記第1ねじ軸の先端と前記第2ボールねじ機構における前記第2ねじ軸の先端を間隔をおいて対向配置してそれらの間に回転錘を配置して、該回転錘を前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸に対して連結することにより、前記第1部材と前記第2部材との間で生じる前記相対振動によって前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸が前記第1ナットおよび前記第2ナットに対して軸方向に相対変位しつつ前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸と前記回転錘との全体が一体に回転可能とし、かつ、前記第1ボールねじ機構における第1ボールねじと前記第2ボールねじ機構における第2ボールねじを軸芯が一致し同じ向きでリードが互いに異なるボールねじとして形成してなり、前記回転錘を、前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して、それらの間で伝達されるトルクが所定の制限値を超えた時点で前記回転錘を前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して相対回転させてトルク伝達を制限するトルク制限機構を介して連結してなり、前記回転慣性質量ダンパーを備えて建物の架構内にブレースの形態で設置されるブレースダンパーであって、前記回転慣性質量ダンパーにおける前記第1ナットに対して第1接続部材の基端部を一体に接続するとともに、前記第2ナットに対して第2接続部材に基端部を一体に接続してなり、前記第1接続部材および前記第2接続部材の先端部をそれぞれ前記架構に対して接合可能に構成されてなることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載のブレースダンパーを建物の架構内に設置してなるブレース架構であって、前記第1接続部材または前記第2接続部材の先端部と前記架構との間に、前記回転慣性質量ダンパーに対する過大入力を制限するためのフェールセーフ機構を介装してなることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載のブレース架構であって、前記フェールセーフ機構は、前記過大入力が生じた際に降伏する鋼材ダンパーであることを特徴とする。
本発明の回転慣性質量ダンパーは、ボールねじのリードが異なる2組のボールねじ機構を組み合わせて使用して双方のリード差を小さく設定することにより、各ボールねじ機構の変位をダンパーストロークに対して大幅に拡大できる変位拡大機能を有するものであり、そのような変位拡大機能は同時にボールねじの回転速度を増加させる増速機能でもあるから、双方のリードを実際に小さくせずとも、また回転錘の外径やダンパー全長を大きくせずとも、そのようにした場合と同等ないしそれ以上の効果が得られて大きな慣性質量効果が得られる。
特に本発明の回転慣性質量ダンパーは、各ボールねじ機構のボールナットをそれぞれ制振対象の構造体に対して相対回転を拘束した状態で直接的に固定することが可能であるし、各ボールねじ機構をケーシング内に収容する必要もないので、全体構成が極めて簡単であって十分に小形軽量化を図ることができるし、ローコストに製造することが可能である。
本発明のブレースダンパー及びブレース架構は、上記の回転慣性質量ダンパーを建物の架構内にブレースの形態で設置するものであるので優れた制振効果が得られることはもとより、上記の回転慣性質量質量ダンパーを設置するうえで材軸方向の寸法制約が少なくなり、余長によりダンパー全長が多少増大しても問題になり難い。
特に、上記の回転慣性質量ダンパーをたとえば鋼材ダンパー等のフェールセーフ機構を介して架構に対して接合することにより、想定外の過大入力が作用した場合にも負担力を頭打ちにできる。したがって回転慣性質量ダンパー自体に過負荷防止機構を備える必要がなく、それを備えている従来型のダンパーに比べて構造を大幅に簡略化でき、ローコストにフェールセーフ機構を実現できる。
本発明の回転慣性質量ダンパーの実施形態を示す縦断面図である。 本発明の回転慣性質量ダンパーの他の実施形態を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。 本発明の回転慣性質量ダンパーのさらに他の実施形態を示す縦断面図である。 本発明のブレースダンパーの実施形態を示す縦断面図である。 本発明のブレース架構の実施形態を示す図である。 本発明のブレース架構の実施形態におけるフェールセーフ機構としての鋼材ダンパーの一例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。 本発明のブレース架構の実施形態におけるフェールセーフ機構としての鋼材ダンパーの他の例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。 本発明の基礎となった先行発明の回転慣性質量ダンパーの概略構成を示す縦断面図である。
本発明の実施形態を説明するに先立ち、まず本発明の基礎となった先行発明の回転慣性質量ダンパーについて図8を参照して説明する。
これは、本出願人が先に特願2010−141838として提案したもので、ボールねじのリードが異なる2組のボールねじ機構、すなわち第1ボールねじ機構20と第2ボールねじ機構30をケーシング10内に同軸状態で対向配置した状態で組み込んで、それら第1ボールねじ機構20と第2ボールねじ機構30によって1つの回転錘40を回転させることにより、このダンパー自体が変位拡大機能および増速機能を有するものである。
すなわち、図8に示す先行発明の回転慣性質量ダンパーは、制振対象の構造体である二部材(第1部材および第2部材。いずれも図示せず)の間に介装されてそれらの間で生じる離接する方向の相対振動を低減させるためのものであって、一方(図示左側)の第1部材に対してクレビス11を介して回転不能に連結される第1ケーシング12と、他方(図示右側)の第2部材に対してクレビス13を介して回転不能に連結される第2ケーシング14とを有し、第2ケーシング14を第1ケーシング12に対してスライド機構15を介して軸方向に相対変位可能かつ相対回転不能に装着して全体の外殻をなすケーシング10が構成されている。
そして、そのケーシング10の内部に、第1ケーシング12に対して連結された第1ボールねじ機構20と、第2ケーシング14に対して連結された第2ボールねじ機構30とが収容され、それら第1ボールねじ機構20と第2ボールねじ機構30に対して回転錘40が連結された構成とされている。
第1ボールねじ機構20は、第1ねじ軸21と、第1ねじ軸21に対して第1ボールねじ22を介して螺着された第1ナット23とからなり、その第1ナット23が第1ケーシング12に対して回転不能かつ軸方向変位不能に固定された状態で設置されている。
同様に、第2ボールねじ機構30は、第2ねじ軸31と、第2ねじ軸31に対して第2ボールねじ32を介して螺着された第2ナット33とからなり、その第2ナット33が第2ケーシング14に対して回転不能かつ軸方向変位不能に固定された状態で設置されている。
そして、第1ボールねじ機構20における第1ねじ軸21と第2ボールねじ機構30における第2ねじ軸31とはケーシング10の中央部において軸芯が一致した状態で互いに間隔をおいて対向配置され、それら第1ねじ軸21と第2ねじ軸31の間には円柱状(横置き円盤状)の回転錘40が配置されてその両端がそれぞれ第1ねじ軸21と第2ねじ軸31の先端に対して相対回転不能に連結され、かつその回転錘40の外周面はベアリング41を介して第1ケーシング12に対して回転可能かつ軸方向変位可能に支持されている。
これにより、第1ねじ軸21と第2ねじ軸31とそれらを連結している回転錘40の全体が一体に回転可能とされ、制振対象の構造体である第1部材と第2部材との間で離接する方向の相対振動が生じた際には、ケーシング10の全長が伸縮するように変化し、第1ナット23と第2ナット33とは同軸状態を維持したまま離接するように軸方向に変位し、それに伴い、第1ねじ軸21と第2ねじ軸31と回転錘40の全体が第1ナット23と第2ナット33に対して軸方向に相対変位しつつ回転せしめられるようになっている。
なお、この際、第1ねじ軸21と回転錘40と第2ねじ軸31の全体がケーシング10に接触することなくその内部において支障なく軸方向に変位可能であるためには、図示しているように第1ナット23と回転錘40との間には少なくとも第1ボールねじ機構20の作動量(後述する相対変位量S1)に相当するクリアランスを確保するとともに、その第1ナット23と第1ケーシング12との間にはその2倍のクリアランスを確保する必要がある。同様に、第2ナット33と回転錘40との間には少なくとも第2ボールねじ機構30の作動量(同、相対変位量S2)に相当するクリアランスを確保するとともに、その第2ナット33と第2ケーシング14との間にはその2倍のクリアランスを確保する必要がある。
そして、第1ボールねじ機構20における第1ボールねじ22と第2ボールねじ機構30における第2ボールねじ32は互いに同じ向き(図示例ではいずれも右ねじ)で形成されているが、第1ボールねじ22のリードLd1と、第2ボールねじ32のリードLd2とは互いに異なるものとされ(図示例ではLD1>Ld2)、これによりこの慣性慣性質量ダンパーはそれ自体で変位拡大機能と増速機構を有するものとされている。
すなわち、たとえばこのダンパーの両端に変位xが生じて第1ケーシング12に固定されている第1ナット23が1リード分のLd1だけ右方に変位したとすると、第1ねじ軸21と回転錘40と第2ねじ軸31の全体が1回転し、それに応じて第2ナット33は1リード分のLd2だけ右方に変位し、したがってダンパー全長はLd1−Ld2だけ変化する。
この場合、ダンパーストロークをSとすると、第1ボールねじ機構20の作動量(第1ナット23に対する第1ねじ軸21の相対変位量)S1、および第2ボールねじ機構30の作動量(第2ナット33に対する第2ねじ軸31の相対変位量)S2はそれぞれ次式で表され、いずれもダンパーストロークSに対して拡大されることになる。
換言すると、第1ボールねじ機構20と第2ボールねじ機構30はそれぞれのリードLd1、Ld2に応じて大きく作動するが、ダンパー全体としての伸縮量であるダンパーストロークSは、第1ボールねじ機構20の作動量S1と第2ボールねじ機構30の作動量S2との差(絶対値)になる。
Figure 0005861883
そして、この場合における回転錘40の回転慣性モーメントIθ、ダンパー変位xとすると、ダンパー負担力Pは
Figure 0005861883
となり、これは上述の(1)式におけるLd(括弧内の分母)をLd1−Ld2に読み替えたもの、つまりリードLをLd1−Ld2とした単一のボールねじ機構によりダンパーを構成した場合と等価になり、それによりダンパー負担力Pが十分に拡大される効果が得られ、その効果はリード差Ld1−Ld2が小さいほど顕著に得られるものとなる。
具体例としてたとえば、Ld1=25mm、Ld2=20mmとした場合には、リードLd=Ld1−Ld2=5mmとした小リードの単一のボールねじ機構を用いた場合と等価になる。
その場合においてダンパーストロークS=60mmとした場合、上式より第1ナット23に対する第1ねじ軸21の相対変位量S1=300mm、第2ナット33に対する第2ねじ軸31の相対変位量S2=240mmとなる。
その場合において回転錘40の長さ(円盤としての厚さt)を600mm、回転錘40の外径D1=350mmφ、内径(第1ねじ軸21および第2ねじ軸31が貫通すると想定した場合の仮想の貫通孔の径)D2=150mmφとすると、回転錘40の質量m=0.37ton、回転慣性モーメントIθ=6.71×10-3ton・m2となるから、その場合の慣性質量ψは下式から10000ton以上にもなる。
Figure 0005861883
そのような大きな慣性質量ψを、リードLdが16mm程度とされることが限界である従来一般的な単一のボールねじ機構による回転慣性質量ダンパーによって実現しようとすると、回転錘40の所要外径寸法は630mmφにもなるから、それに比べてかなりのコンパクト化と軽量化、コストダウンを実現し得るものである。
以上のように、図8に示す回転慣性質量ダンパーは、ボールねじのリードが異なる2組のボールねじ機構を組み合わせて使用して双方のリード差を小さく設定することにより、双方のボールねじ機構の作動量(それぞれのボールナットに対するそれぞれのボールねじ軸の相対変位量S1,S2)をダンパーストロークSに対して大幅に拡大できる変位増幅機能を有するものであり、そのような変位拡大機能は同時に双方のボールねじの回転速度を増加させる増速機能でもある。したがって、双方のボールねじ機構のリードLd1、Ld2を実際に小さくせずとも、また回転錘40の外径D1やダンパー全長を過度に大きくせずとも、大きな慣性質量効果が得られるものであり、この点で十分に有効なものである。
しかし、図8に示したものは、第1ボールねじ機構20と第2ボールねじ機構30と回転錘40の全体をケーシング10内に収容した構成であることから、ダンパーとしての構成がやや複雑に過ぎるし、小形軽量化を図ることが必ずしも容易ではなく、その点では改良の余地を残しているものでもあった。
すなわち、図8に示す回転慣性質量ダンパーは、ケーシング10の全体を第1ケーシング12と第2ケーシング14とをスライド機構15を介して軸方向相対変位可能かつ相対回転不能に組み合わせた構成とする必要がある。また、第1ナット23および第2ナット33をケーシング10に対して回転不能な状態で堅固に固定する必要があるし、回転錘40をケーシング10に対して回転可能かつ軸方向変位可能な状態でベアリング41により支持する必要がある。さらに、第1ボールねじ機構20と第2ボールねじ機構30の双方の両側にそれぞれの相対変位量S1,S2に応じたクリアランスが必要なことからケーシング10の余長を十分にとる必要もある
そこで本発明では、図8に示した先行発明の回転慣性質量ダンパーの基本構成を踏襲しつつもその構成のさらなる簡略化と小形化を実現するべく、図1に示すようにケーシングを省略したことを主眼とする。
すなわち、図1に示す本実施形態の回転慣性質量ダンパーAにおいては、図8に示した先行発明の回転慣性質量ダンパーにおけるケーシング10およびそれに関連する要素を一切省略して、第1ボールねじ機構20における第1ナット23を制振対象の一方の構造体である第1部材(図示せず)に対して直接的に連結可能とし、第2ボールねじ機構30における第2ナット33を他方の構造体である第2部材(図示せず)に対して直接的に連結可能としている。
その場合、第1ナット23および第2ナット33を第1部材および第2部材に対してそれぞれボルト締結する等により回転不能な状態で堅固に固定する必要がある。また、それらの連結部には第1ねじ軸21および第2ねじ軸31の変位を拘束しないようなクリアランスを確保する必要がある。そのためには、第1ナット23と第1部材との間に第1ボールねじ機構20の作動量(第1ナット23に対する第1ねじ軸21の相対変位量S1)の少なくとも2倍に相当するクリアランスを確保し、第2ナット33と第2部材との間に第2ボールねじ機構30の作動量(第2ナット33に対する第2ねじ軸31の相対変位量S2)の少なくとも2倍に相当するクリアランスを確保する必要がある。
あるいは、上記のように第1ナット23および第2ナット33を第1部材および第2部材に対して直接的に固定することに代えて、必要であれば適宜の接続部材(破線で示す)を介して、あるいは適宜のクレビスやボールジョイントを用いて連結することでも良く、その場合はそれら接続部材やクレビス、ボールジョイントを利用して第1部材および第2部材に対する連結部に対して上記のクリアランスを確保することもできる。
そして、本実施形態の回転慣性質量ダンパーAにおいても、第1ねじ軸21が第1ナット23に対して第1ボールねじ22のリードLd1に応じて軸方向に相対変位しつつ回転し、かつ第2ねじ軸31が第2ナット33に対して第2ボールねじ32のリードLd2に応じて軸方向に相対変位しつつ回転し、第1ねじ軸21とと第2ねじ軸31とそれらの間に連結された回転錘40の全体が一体に回転するようにされている。
これにより、本実施形態の回転慣性質量ダンパーAによれば、図8に示した先行発明の回転慣性質量ダンパーと同様に機能して上述したような効果が得られることはもとより、ケーシング10を省略したことで全体構成のさらなる簡略化と小形化、コストダウンを実現し得るものである。
なお、図8に示した先行発明の回転慣性質量ダンパーにおけるケーシング10は省略されていることから当然に回転錘40の回転を支持するためのベアリング41も省略されているが、回転錘40を回転させるうえでは特に支障がない。
図2(a),(b)は本発明の他の実施形態である回転慣性質量ダンパーBを示す。
これは、回転錘40をトルク伝達部材40aと錘本体40bとによる二重構造とし、トルク伝達部材40aを第1ねじ軸21および第2ねじ軸31に対して相対回転不能に一体に連結するとともに、その外周部に対して錘本体40bを相対回転不能かつ軸方向相対変位可能に装着し、さらに(a)に示すようにその錘本体40bを第1ナット23に対してベアリング42および連結部材43を介して回転可能かつ軸方向相対変位不能に連結した構成としたものである。
図1に示した実施形態の回転慣性質量ダンパーAの場合には、回転錘40は第1ナット23および第2ナット33の双方に対して軸方向に相対変位することから回転錘40と第1ナット23との間には上記の相対変位量S1に相当するクリアランスを確保するとともに第2ナット33との間には上記の相対変位量S2に相当するクリアランスを確保する必要がある。それに対し、図2に示す本実施形態の回転慣性質量ダンパーBによれば、トルク伝達部材40aのみが軸方向に変位して錘本体40bは第1ナット23および第2ナット33に対して相対変位しないので、第2ナット33との間にダンパーストロークSに相当するクリアランスを確保すれば十分であり、その分、ダンパー全長をさらに短縮することが可能である。
なお、図2に示す実施形態では(b)に示すようにトルク伝達部材40aを断面六角形状としてそれに錘本体40bを回転不能に嵌合せしめているが、実質的にスプライン嵌合のようにそれらを相対回転不能かつ軸方向相対変位可能な状態で連結すれば良く、その限りにおいてトルク伝達部材40aに対する錘本体40bの装着の形態は適宜で良い。
また、(a)に示したように錘本体40bを第1ナット23に対して連結することに代えて第2ナット33に対して連結することでも良く、その場合は錘本体40bと第1ナット23との間にダンパーストロークSに相当するクリアランスを確保すれば良い。
図3は本発明のさらに他の実施形態である回転慣性質量ダンパーCを示す。
これは、図1に示した回転慣性質量ダンパーAを基本とするものであるが、回転錘40を第1ねじ軸21および第2ねじ軸31に対してトルク制限機構45を介して連結したものである。
トルク制限機構45は、通常時においては回転錘40と第1ねじ軸21および第2ねじ軸31との間でトルクを伝達してそれらを一体に回転させるものではあるが、それらの間で伝達されるトルクが所定の制限値を超えた場合には、その時点で回転錘40を第1ねじ軸21および前記第2ねじ軸31に対して相対回転(一定のトルクを保持しつつ空転)させてトルク伝達を制限する機構である。
そのようなトルク制限機構45としてはトルクキーパー等と称されて市販されている各種の汎用製品が使用可能であるが、特に特開2010-019347号公報に示されているようにダンパーの過負荷防止機構として機能するもの、すなわち回転摩擦板を用いた滑り摩擦によって伝達トルクを頭打ちにすることによりダンパーの過負荷を防止するための機構が好適に採用可能である。
そのような過負荷防止機構として機能するトルク制限機構45を、図3に示すように2台用いて回転錘40を第1ねじ軸21および第2ねじ軸31に対して連結し、それらのトルク制限機構45の全体で頭打ちとされる伝達トルクをT0とすると(1台のトルク制限機構45でT0/2のトルクを伝達する)、ダンパー負担力(軸力)Pは変位xのとき、次式のように頭打ちされる。
Figure 0005861883
これは、上記の特開2010-019347号公報に示されているトルク制限機構(過負荷防止機構)を備えた従来型の慣性質量ダンパーにおけるボールねじ機構のリードLdを、本実施形態の回転慣性質量ダンパーCにおける実質的なリード(Ld1−Ld2)に変更したことと同じである。そして、本実施形態におけるリード(Ld1−Ld2)は従来型ダンパーにおけるリードLdと比べて十分に小さくできることから、同じ頭打ちトルクT0でも大きな負担力Pに対応できることになる。
そのため、本実施形態の回転慣性質量ダンパーCでは、従来型ダンパーにおいて必要となるトルク制限機構よりも簡略で安価なトルク制限機構45を使用することで十分な過負荷防止機能を備えることが可能となる。
なお、上記のトルク制限機構45は、図2に示した実施形態の回転慣性質量ダンパーBに対しても同様に組み込むことにより同様の過負荷防止機能を持たせることができる。
ところで、本発明の回転慣性質量ダンパーは他の形式の各種のダンパーと同様に制振対象の構造体の各所に様々なパターンで設置することが可能であるが、上記のように変位拡大機能(増速機能)を有していることから、特に建物の架構内にブレースの形態で設置することが好適であり、以下、本発明の回転慣性質量ダンパーによるブレースダンパーおよびブレース架構について説明する。
図4は本発明のブレースダンパーDの実施形態を示すもので、これは図1に示した回転慣性質量ダンパーAをブレースとして建物内に設置するべく、その回転慣性質量ダンパーAの両端部の第1ナット23および第2ナット33に対してそれぞれ第1接続部材50、第2接続部材51の基端部を連結するとともに、それら第1接続部材50および第2接続部材の先端部をそれぞれ架構に対して接合可能として、全体としてブレースとしての所要長さを確保したものである。
図示例では第1接続部材50および第2接続部材51としていずれも鋼管を採用し、第1接続部材50よりも第2接続部材51を長くしているが、双方を同等に長くしても良いことはもとより、それら第1接続部材50および第2接続部材51の素材や断面形状、断面寸法、長さは、回転慣性質量ダンパーAの仕様に応じて全体としてブレースとして設置可能かつブレースダンパーとしての所望の性能を有するものとする限りにおいて任意に設計すれば良い。第1接続部材50および第2接続部材51として鋼管を用いれば、それらの鋼管内の中空スペースを利用して第1ボールねじ機構20および第2ボールねじ機構30の可動クリアランスが確保できるので、ストロークが大きくなっても容易に対応できる。
また、上記の回転慣性質量ダンパーAに代えて、図2に示した回転慣性質量ダンパーBを用いることも勿論可能である。
図5は本発明の実施形態であるブレース架構を示すもので、これは上記のブレースダンパーD(回転慣性質量ダンパーAにより構成したもの)を2本1組として用いてそれらを柱1および梁2により構成されている架構内にV型をなすように配置することでV型のブレース架構を構成したものである。
本実施形態のブレース架構では、ブレースダンパーDの第2接続部材51の先端部(上端部)は上層側の柱梁接合部に対してクレビスあるいはボールジョイントを介してピン接合しているが、第1接続部材50の先端部(下端部)は下層側の梁2の中央部に設置された鋼材ダンパー60に対してクレビスあるいはボールジョイントを介して接合している。
なお、図示例とは全体の天地を逆にしてΛ形ブレース架構としたり、K型その他のブレース架構とすることも勿論可能であるし、必ずしもブレースダンパーDを2本1組として用いることはなく架構内に1本のブレースダンパーを設置することでも良い。
本実施形態のブレース架構における鋼材ダンパー60は、ブレースダンパーD(つまりは回転慣性質量ダンパーA)に対して直列に接続されて所望のばね剛性を付与すると同時に、回転慣性質量ダンパーAに対して過大入力を制限するためのフェールセーフ機構として機能するもので、過大入力時には鋼材が降伏することで負担力を頭打ちにする機能(フェールセーフ機能)を有するものとされている。
そのための鋼材ダンパー60としては、たとえば図6(a),(b)に示すようにトッププレート61とベースプレート62との間にせん断パネル63および補剛リブ64を設けて所定せん断力によりせん断パネル63がせん断降伏するようにしたもの、あるいは図7(a),(b)に示すようにトッププレート61とベースプレート62との間に鋼板または鉛板からなる複数の鉛直板65を所定間隔で溶接して鉛直板65が曲げ降伏を生じるようにしたものが好適に採用可能である。
さらに、同様のフェールセーフ機構を発揮し得るものとして、上記のような鋼材ダンパー60に代えて積層ゴムを使用し、その積層ゴムを滑り支承を介して梁2に支持することも可能であり、特に長周期構造物の場合には回転慣性質量ダンパーAに直列するばね剛性を小さくする必要があることから、そのような場合には積層ゴムを使用することが好適である。
本実施形態のブレース架構では、回転慣性質量ダンパーAが水平に対して傾斜角θで設置された場合、その回転慣性質量ダンパーAを水平に設置する場合と比較してその変位は水平変位のcosθ倍に減少し、したがって有効な慣性質量はcos2θ倍に低下する。しかし、上述したように回転慣性質量ダンパーA自体が変位拡大機構(増速機能)を備えていることから、傾斜設置されることによる変位低下分をその変位拡大機能によって補償し得るものであり、したがって回転慣性質量ダンパーAの全長を大きくすることなく小形軽量の回転慣性質量ダンパーAであっても所望の制振効果を得るために必要となる十分な慣性質量が得られるものである。
また、回転慣性質量ダンパーA自体には過負荷防止機構(たとえばトルクが一定以上になると相対回転滑りを生じて過大トルクを制限するための機構)は備えていなくても、上記のようにフェールセーフ機構として機能する鋼材ダンパー60と組み合わせたブレース架構を構成することにより回転慣性質量ダンパーAに対する過大入力は自ずと制限されるから、回転慣性質量ダンパーA自体に過負荷防止機構(たとえば図3に示した回転慣性質量ダンパーCにおけるトルク制限機構45)を組み込む必要はない。
但し、過負荷防止機構として摩擦トルクを利用する従来型の回転慣性質量ダンパーでは残留変位が生じないが、上記のように鋼材ダンパー60の降伏(塑性変形)を利用する場合には地震後に残留変位が生じることにはなる。
本発明の回転慣性質量ダンパーによれば、次のような効果が得られる。
(1)リードの異なる2組のボールねじ機構を併用することで、ダンパー両端の相対変位に対する各ボールねじの変位(ボールナットに対するボールねじ軸の移動量)を大幅に拡大でき、このような拡大機構はボールねじの回転速度を増加させる増速機構でもあり、その拡大率(増速率)はリード差を小さくするほど大きくなる。
これにより、従来よりダンパー外径を大幅に縮小でき、そのための設置スペースの縮減が図れて建築計画の阻害要因になり難くなる。たとえば、この回転慣性質量ダンパーを壁内に設置する場合は壁厚を小さくして有効スペースを増大させることが可能であり、建物外周に設置する場合はブラインドボックスを室内側に寄せる寸法を小さくすることが可能であり、床貫通孔に隣接して設置する場合には床貫通孔の位置を梁に十分に接近させることが可能となる。
(2)リードの異なる2組のボールねじ機構を併用して、ダンパー両端の相対変位に対するボールねじの変位(ボールナットに対する移動量)を大幅に拡大できる効果をもちつつ、ダンパー両端に生じるトルク反力を大幅に低減し、構造躯体への負担を軽減することができる。
たとえば、第1ボールねじ機構におけるリードLd1=25mm、第2ボールねじ機構におけるリードLd2=20mmとした場合、ボールねじ間を連結しない場合と比較してダンパー両端に生じるトルク反力(合力)を1/9に軽減できることとなり、リードが単一の1組のボールねじ機構による従来型のダンパーと比較しても1/3以下に軽減できる。
(3)ダンパーを構成する部品として、従来はボールねじ機構の他に軸受けやシリンダー等が必要であったが、これらが不要であって構成部品が減り、メカニズムが大幅に簡略化される。そのため、大容量ダンパーをローコストに製造できる。
(4)ボールねじの実際のリードを小さくする必要がないので、ボールベアリングも過小な径とする必要はなく、そのため、ボールねじ径に合わせた適切なリードを確保できるので耐荷重性能の問題は生じない。
(5)ダンパー両端に制振対象の構造体に回転不能に連結してボールねじ軸まわりの回転を拘束しトルク伝達する必要はあるが、伝達トルクは従来の慣性質量ダンパーと同じで拡大されることはないから、クレビスやボールジョイントを用いる場合にも従来と同様に汎用製品をそのまま使用可能であり、その点においてもコスト増となることはない。
(6)この種の回転慣性質量ダンパーは静的な剛性を持たず復元力は保持しないし、手動で回転錘を回転させることも可能であるので、現場での設置工事の際に寸法調整を容易に実施することも可能である。
(7)回転錘を第1ねじ軸および第2ねじ軸に対してトルク制限機構を介して連結した場合、回転錘は第1ねじ軸および第2ねじ軸およびトルク制限機構で固定されているので、回転錘から第1ボールねじ機構および第2ボールねじ機構に伝達されるトルクを頭打ちでき、その結果、ダンパー負担力(軸力)も頭打ちすることができる。そのため、リードが単一の従来型ダンパーと同様の過負荷防止機構を設けることができる。さらに、ダンパー負担力が従来型と同じであっても、伝達トルクはリードに比例することから、本発明ではリード差分だけのトルクを処理すれば良いだけなので、簡易かつ安価なトルク制限機構(頭打ちする伝達トルクが小さい装置)で対応できる。また、従来型と同様にダンパーには残留変形が生じない(回転錘がボールねじに対して相対回転滑りを生じるので、残留回転角は生じることはあるが、ダンパー内で回転錘が相対回転するのみで変位にはならない)。
また、本発明のブレースダンパーおよびブレース架構によれば、次のような効果が得られる。
(8)上記の回転慣性質量質量ダンパーをブレースに適用することで、材軸方向の寸法制約が少なくなり、余長によりダンパー全長が多少増大しても問題になり難い。また、ボールねじの相対変位量S1、S2がダンパーに直列する第1接続部材と第2接続部材内に必要となるが、第1接続部材と第2接続部材として鋼管を用いることによりその中空部を利用できるため寸法上の制約とはならない。
(9)上記の回転慣性質量ダンパーをブレース状にしてフェールセーフ機構(たとえば鋼材ダンパー)を介して架構と接合することにより、想定外の過大入力が作用した場合にも、負担力を頭打ちにできる。したがって回転慣性質量ダンパーに過負荷防止機構を備える必要がなく、それを備えている従来型のダンパーに比べて構造を大幅に簡略化でき、ローコストにフェールセーフ機構を実現できる。
A 回転慣性質量ダンパー
B 回転慣性質量ダンパー
C 回転慣性質量ダンパー
20 第1ボールねじ機構
21 第1ねじ軸
22 第1ボールねじ
23 第1ナット
30 第2ボールねじ機構
31 第2ねじ軸
32 第2ボールねじ
33 第2ナット
40 回転錘
40a トルク伝達部材
40b 錘本体
42 ベアリング
43 連結部材
45 トルク制限機構
D ブレースダンパー
50 第1接続部材
51 第2接続部材
60 鋼材ダンパー(フェールセーフ機構)

Claims (6)

  1. 互いに離接する方向に相対振動を生じる制振対象の構造体である第1部材および第2部材の間に介装されて、前記第1部材および前記第2部材の間に生じる前記相対振動を低減するための回転慣性質量ダンパーであって、
    第1ねじ軸に対して第1ナットを第1ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第1部材に対して連結される第1ボールねじ機構と、第2ねじ軸に対して第2ナットを第2ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第2部材に対して連結される第2ボールねじ機構とを有し、
    前記第1ボールねじ機構における前記第1ナットを前記第1部材に対して回転不能に連結可能とするとともに、前記第2ボールねじ機構における前記第2ナットを前記第2部材に対して回転不能に連結可能とし、
    前記第1ボールねじ機構における前記第1ねじ軸の先端と前記第2ボールねじ機構における前記第2ねじ軸の先端を間隔をおいて対向配置してそれらの間に回転錘を配置して、該回転錘を前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸に対して連結することにより、前記第1部材と前記第2部材との間で生じる前記相対振動によって前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸が前記第1ナットおよび前記第2ナットに対して軸方向に相対変位しつつ前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸と前記回転錘との全体が一体に回転可能とし、
    かつ、前記第1ボールねじ機構における第1ボールねじと前記第2ボールねじ機構における第2ボールねじを軸芯が一致し同じ向きでリードが互いに異なるボールねじとして形成してなり、
    前記回転錘を、前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して相対回転不能に一体に連結されたトルク伝達部材と、該トルク伝達部材の外周部に対して相対回転不能かつ軸方向相対変位可能に装着された錘本体とにより構成し、
    前記錘本体を前記第1ナットまたは前記第2ナットに対して回転可能かつ軸方向相対変位不能に連結してなることを特徴とする回転慣性質量ダンパー。
  2. 請求項1記載の回転慣性質量ダンパーであって、
    前記回転錘を、前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して、それらの間で伝達されるトルクが所定の制限値を超えた時点で前記回転錘を前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して相対回転させてトルク伝達を制限するトルク制限機構を介して連結してなることを特徴とする回転慣性質量ダンパー。
  3. 請求項1または2記載の回転慣性質量ダンパーを備えて建物の架構内にブレースの形態で設置されるブレースダンパーであって、
    前記回転慣性質量ダンパーにおける前記第1ナットに対して第1接続部材の基端部を一体に接続するとともに、前記第2ナットに対して第2接続部材に基端部を一体に接続してなり、前記第1接続部材および前記第2接続部材の先端部をそれぞれ前記架構に対して接合可能に構成されてなることを特徴とするブレースダンパー。
  4. 互いに離接する方向に相対振動を生じる制振対象の構造体である第1部材および第2部材の間に介装されて、前記第1部材および前記第2部材の間に生じる前記相対振動を低減するための回転慣性質量ダンパーにおいて、
    第1ねじ軸に対して第1ナットを第1ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第1部材に対して連結される第1ボールねじ機構と、第2ねじ軸に対して第2ナットを第2ボールねじを介して螺着した構成とされて前記第2部材に対して連結される第2ボールねじ機構とを有し、
    前記第1ボールねじ機構における前記第1ナットを前記第1部材に対して回転不能に連結可能とするとともに、前記第2ボールねじ機構における前記第2ナットを前記第2部材に対して回転不能に連結可能とし、
    前記第1ボールねじ機構における前記第1ねじ軸の先端と前記第2ボールねじ機構における前記第2ねじ軸の先端を間隔をおいて対向配置してそれらの間に回転錘を配置して、該回転錘を前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸に対して連結することにより、前記第1部材と前記第2部材との間で生じる前記相対振動によって前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸が前記第1ナットおよび前記第2ナットに対して軸方向に相対変位しつつ前記第1ねじ軸と前記第2ねじ軸と前記回転錘との全体が一体に回転可能とし、
    かつ、前記第1ボールねじ機構における第1ボールねじと前記第2ボールねじ機構における第2ボールねじを軸芯が一致し同じ向きでリードが互いに異なるボールねじとして形成してなり、
    前記回転錘を、前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して、それらの間で伝達されるトルクが所定の制限値を超えた時点で前記回転錘を前記第1ねじ軸および前記第2ねじ軸に対して相対回転させてトルク伝達を制限するトルク制限機構を介して連結してなり、
    前記回転慣性質量ダンパーを備えて建物の架構内にブレースの形態で設置されるブレースダンパーであって、
    前記回転慣性質量ダンパーにおける前記第1ナットに対して第1接続部材の基端部を一体に接続するとともに、前記第2ナットに対して第2接続部材に基端部を一体に接続してなり、前記第1接続部材および前記第2接続部材の先端部をそれぞれ前記架構に対して接合可能に構成されてなることを特徴とするブレースダンパー。
  5. 請求項3または4記載のブレースダンパーを建物の架構内に設置してなるブレース架構であって、
    前記第1接続部材または前記第2接続部材の先端部と前記架構との間に、前記回転慣性質量ダンパーに対する過大入力を制限するためのフェールセーフ機構を介装してなることを特徴とするブレース架構。
  6. 請求項5記載のブレース架構であって、
    前記フェールセーフ機構は、前記過大入力が生じた際に降伏する鋼材ダンパーであることを特徴とするブレース架構。
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