JP3589553B2 - 制振ユニット及び制振ダンパー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、比較的小規模の建物及び床免震として床の揺れを抑える制振ユニット及び制振ダンパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
戸建て住宅のように比較的軽い建物で、しかも、固有周期の長い建物(揺れ易く、大きな変形量を伴うような建物)では、地震対策として、高層ビルのような重量物を対象とした免震構造をそのまま用いることはできない。また、高層ビルで用いられているように、最上階に制震装置を設置するTMD制震構造もそぐわない。
【0003】
そこで、通常の戸建て住宅の場合は、筋交い等の数を増やして、建物の構造強度と剛性を建物の慣性力より大きくすることで、地震による倒壊を防止している。
【0004】
しかし、この方法では、建物の応答加速度や応答変位を低減することができず、建物内に収容された家具等の転倒を防ぐことはできない。
【0005】
一方、建物を鉄球等の滑り支承で支持し、振動を減衰させるダンパーを組合わせた軽量住宅用の免震構造もあるが、免震構造を構築するスペースを別途確保する必要がある。また、一般的なダンパーの減衰方向は一方向であるため、3次元方向へ複数のダンパーを組み合わせると、構造が複雑となり、大きな設置スペースを必要とする。さらに、施工コストも上昇する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は係る事実を考慮し、施工が簡単で設置スペースを取らずに、建物を制振構造にでき、また、ダンパー単体で、3次元方向の振動を減衰させることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、横フレームと縦フレームとで構成された枠体が、建物の壁内へ取付可能となっている。すなわち、壁材として柱の間に取付けるだけでよいので、施工が簡単で、且つ設置スペースを取らない。なお、設置箇所は、建物重量と間取りとの関係で決定される。
【0008】
上方の横フレームに、第1線材の一端が連結されており、また、下方の横フレームに、第2線材線材の一端が連結されている。そして、連結部材によって、第1線材と第2線材の自由端が所定の角度を持って連結され、トグル機構を構成している。
【0009】
このように、トグル機構を構成することにより、建物骨組みの変形に追従して上方の横フレームと下方の横フレームが、小さく水平方向へ相対変形しても、連結部材は大きく円弧運動し、大きな変形に増幅する。このため、小さい変形×大きな力=大きな変形×小さな力という関係が成立する。
【0010】
そして、連結部材の円弧運動は、横フレームに設けられたエネルギー吸収手段により減衰され、枠体を介して建物の振動が小さな力で制振されることになる。これによって、建物の応答加速度や応答変位が低減されるので、建物内に収容された家具等の転倒を防ぐことができる。
【0011】
また、ユニット化することで、コストの削減を図ることができる。さらに、枠体を建物にはめ込むことで、その分、構造材としての柱の数を少なくすることができる。
【0012】
また、トグル機構を構成する部材として、ワイヤやピアノ線等の線材が用いられ、制振ユニットの軽量化が図られている。
【0014】
連結部材には、一端が横フレームに連結された斜線材の他端が連結されており、また、斜線材と対向する位置にあるエネルギー吸収手段が、連結部材に連結されている。ここで、斜線材は、建物にエネルギーが入力されていない状態では伸びた状態にあり、枠体が変形すると、伸びたり弛んだりする。
【0015】
例えば、上方の横フレームが右方向へ変位すると、第1線材と第2線材が同一線上に位置して伸張する。このため、枠体の剛性が見掛けの上で大きくなる。また、第1線材と第2線材が構成するトグル機構によって、横フレームの変位量より、連結部材の変位量が増幅され、エネルギー吸収手段が大きく伸張して、連結部材の運動を減衰させる。なお、このとき、斜線材は弛み、振動制御には寄与しない。
【0016】
一方、上方の横フレームが左方向へ変位すると、第1線材と第2線材が描く角度が鋭角となり、第1線材と第2線材とが弛む。一方、斜線材は伸張して、エネルギー吸収手段を伸張させ、トグル機構は機能しないが、連結部材の運動を減衰させる。
【0017】
請求項2に記載の発明では、第1線材、第2線材、及び斜線材に初期テンションを導入する引張手段が設けられている。このように、引張手段を設け、各線材のテンションを調整することで、トグル機構を簡単に構築できる。また、クリープ変形による線材の弛みを取り除くことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1〜図4に示すように、第1形態に係る制振ユニット10は、戸建ての建物12の洋室の壁或いは和室の壁に収まるような厚みと幅を持った枠体14を備えている。
【0035】
枠体14は、縦フレーム16と横フレーム18とで構成されており、下方の横フレーム18の両端部には、ピン支承20、22が設けられている。また、上方の横フレーム18の両端部にも、ピン支承24、26が設けられている。
【0036】
ピン支承26には、第1ワイヤ28が連結されている。この第1ワイヤ28の自由端は、ピン支承22に連結された第2ワイヤ30の自由端と連結部材32で連結されている。
【0037】
一方、ダンパー34のシリンダー部から伸びたシャフト36は、ピン支承20に回動可能に連結されており、ロッド34Aは連結部材32へ連結されている。このダンパー34で連結部材32を引っ張ることによって、第1ワイヤ28と第2ワイヤ30が所定の交角度を保って静止している。
【0038】
また、ダンパー34と対向するように、ピン支承24には、斜ワイヤ38が連結され、自由端が連結部材32へ連結されている。この斜ワイヤ38は、建物12にエネルギーが入力されていない状態では伸びた状態にある。
【0039】
さらに、第1ワイヤ28、第2ワイヤ30、及び斜ワイヤ38には、ターンバックル41等が設けられており、それぞれのワイヤの初期テンションを調整することにより、第1ワイヤ28及び第2ワイヤ30でトグル機構を構成できるようになっている。なお、クリープ変形によるテンションの減少も解消することができる。
【0040】
また、横フレーム18の上方には、調整横フレーム40が配置されている。調整横フレーム40には、回転支承44が設けられている。この回転支承44には、下方へ延出する第1アーム46が回転可能に連結されている。この第1アーム46は、横フレーム18の回転支承42に回転可能に連結された第2アーム48とピン50でX形状に回動連結されており、伸縮手段として一種のパンタグラフを構成している。そして、第1アーム46及び第2アーム48の自由端には、ローラー52が設けられており、横フレーム18或いは調整横フレーム40の上を転がるようになっている。
【0041】
従って、制振対象となる建物12の梁12Aの高さに合わせて、縦フレーム16に沿って調整横フレーム40を上下させ、調整横フレーム40を梁12Aに固定し、ローラー52を横フレーム18及び調整横フレーム40に固定すれば、取付作業が完了する。
【0042】
このような構成を採ることで、トグル機構の増幅率を任意に調整することが可能な標準化された枠体14を量産することが可能となり、製造コストを削減することができる。また、第1アーム46及び第2アーム48は固定された後、ブレースとして機能し、横フレーム18と調整横フレーム40の剛性を高める。
【0043】
次に、本形態に係る制振ユニット10の作用を説明する。
図4に示すように、制振ユニット10は、建物12の外壁54や間仕切り壁56の中(上梁と下梁の間)に設置されている。すなわち、壁材として使用できるので、施工が簡単で、且つ設置スペースを取らない。なお、設置箇所は、建物12の重量と間取りとの関係で決定される。
【0044】
地震等によって、図5の状態から図6に示すように、建物12が右方向へ水平変形して、上方の横フレーム18も右方向へ変位したとする。このとき、第1ワイヤ28と第2ワイヤ30が同一線上に位置して伸張する。このため、枠体14の剛性が見掛けの上で向上する。また、第1ワイヤ28と第2ワイヤ30が構成するトグル機構によって、横フレーム18の変位量より、連結部材32の変位量が増幅され、ダンパー34のロッド34Aが大きく伸張して、枠体14の振動を減衰させる。なお、このとき、斜ワイヤ38は弛み、振動制御には寄与しない。
【0045】
また、図7に示すように、上方の横フレーム18が左方向へ変位すると、第1ワイヤ28と第2ワイヤ30が描く角度が鋭角となり、第1ワイヤ28と第2ワイヤ30が弛む。一方、斜ワイヤ38は伸張して、ダンパー34のロッド34Aを伸張させ、トグル機構は機能しないが、連結部材32の運動を減衰させる。
【0046】
このように、本形態の制振ユニット10は、建物12の変形に追従し、その変形量を増幅させて入力エネルギーを効率良く吸収して、建物12の揺れを抑制するようになっている。このため、建物12の応答加速度や応答変位が低減され、建物内に収容された家具等の転倒を防ぐことができる。
【0047】
なお、図面では、三・六モジュールが基本単位となっている戸建て住宅を例に採って説明しているが、木造建物だけでなく、軽量鉄骨住宅にも使用できる。また、ユニットを大型にすることで、事務所ビル等への設置も可能となる。
【0048】
さらに、既存の住宅の場合、壁の改修だけで済むので、耐震補強が低コストで実現できる。
【0049】
次に、第2形態に係る制振ユニットを説明する。
図8に示すように、第1形態とは異なり、第2形態では、ロッド状のブレースでトグル機構が構成されている。
【0050】
すなわち、第2形態の制振ユニット58は、壁内に収まるような厚みと幅を持った枠体60を備えており、この枠体60は、縦フレーム62と横フレーム64とで構成されている。上方の横フレーム64にはピン支承66が設けられており、このピン支承66に第1ブレース68の一端が回転可能に取付けられている。
【0051】
また、下方の横フレーム64にはピン支承70が設けられており、このピン支承70に第2ブレース72の一端が回転可能に取付けられている。そして、連結部材74で第1ブレース68の自由端と第2ブレース72の自由端が所定の角度を持って回転可能に連結され、トグル機構を構成している。
【0052】
また、下方の横フレーム64にはピン支承76が設けられており、このピン支承76には、ダンパー34のシリンダー部から伸びたシャフト36が回動可能に連結されており、ロッド34Aは連結部材74へ回転可能に連結されている。
【0053】
次に、第2形態に係る制振ユニットの作用を説明する。
図9に示すように、例えば、建物12の変形に追従して上方の横フレーム64が右方へ水平変位すると、トグル機構を構成する第2ブレース72がピン支承70を中心に円弧運動を行うため、横フレーム64の水平変位量より、連結部材74の変位量が増幅されて大きくなる。
【0054】
このように、横フレーム64の小さな変位が連結部材74の大きな回転変位に増幅され、小さい変位×大きな力=大きな変位×小さな力という関係が成立する。
【0055】
そして、連結部材74の円弧運動は、横フレーム64に設けられたダンパー34により減衰され、枠体60を介して建物12の振動が小さな力で制振されることになる。これによって、建物12の応答加速度や応答変位が低減される。
【0056】
なお、本形態では、建物12が左方向へ変形した場合でも、第1ブレース68と第2ブレース72の交角が小さくなってトグル機構が機能し、ダンパー34のロッド34Aを収縮させ、制振機能を発揮する。
【0057】
次に、第3形態に係る制振ダンパーを説明する。
図10及び図11に示すように、第3形態に係る制振ダンパー78は、肉厚で長板状の連結金具80、82を上下に備えている。この連結金具80、82の側面には、所定の間隔で貫通孔84が形成されている。
【0058】
この貫通孔84へは、左側から螺旋状の第1コイル86A(鉄、鋼鉄、より線、ワイヤロープ、PC鋼、合金等で製造されている)が挿通されており、奥側が直に立ち上がり、手前側が左側へ傾斜している。この第1コイル86Aの両端部は、貫通孔84から抜け出さないように、カシメられ、或いは溶接等により固定されている。
【0059】
一方、右側から螺旋状の第2コイル86Bが挿通されており、奥方が直に立ち上がり、手前側が右側へ傾斜している。この第2コイル86Bの両端部は、貫通孔84から抜け出さないようにカシメられ、或いは溶接等により固定されている。
【0060】
この制振ダンパー34をコイル86の軸方向から見ると、コイル86が描く楕円の短軸方向の両端が、連結金具80、82で連結されていることになる。さらに、連結金具80、82の外面には、構造体に連結される連結ボルト88が所定の間隔をおいて突設されている。
【0061】
次に、本形態に係る制振ダンパーの作用を説明する。
図14に示すように、床梁92と基礎梁90との間に制振ダンパー78を配置し、連結ボルト88で連結金具82を床梁92へ、連結金具80を基礎梁90へ固定し、建物12を制振ダンパー78で支持する。そして、建物12へエネルギーが入力されていないとき、上部の荷重は、コイル86が描く楕円の中心に向かって作用している。
【0062】
ここで、建物12が上下に揺れると、コイル86が弾性変形して潰れ、減衰力を発揮する。また、建物12が前後に揺れると、図12に示すように、コイル86が軸方向へ移動し、例えば、第1コイル86Aが立ち上がり、第2コイル86Bが倒れて、減衰力を発揮する。さらに、建物12が左右に揺れると、図13に示すように、コイル86が描く楕円が倒れ、その復元力でその時の捩れ変形により、線同士の摩擦等が減衰力を発揮する。
【0063】
このような構成によって、コイル86が3次元方向に弾性変形し復元力によって、建物12の振動を減衰させる。
【0064】
次に、第4形態に係る制振ダンパーを説明する。
図15〜図18に示すように、第4形態では、コイルに替えて、複数のリング94を所定の間隔で配置し、中央部を境にして傾斜方向を左右逆にしている。
【0065】
また、連結金具96は、内金具96Bと外金具96Aとで構成されており、2つの合わせ面で、リング94の平板部94Aが挟持される。また、溝98と溝98の間には、ボルト100が挿通可能な挿入孔102が穿設されており、ナット104とボルト100を螺合させ、内金具96Bと外金具96Aとの間にリング94を挟持固定するようになっている。
【0066】
このように、リング94でも、3次元方向に弾性変形する制振ダンパー34を構成することができる。なお、リング94及びコイル86をヨリ線で構成すると、単線と比較して、よった部分が互いに擦れ合って摩擦力を発生させるので、減衰効果も大きくなる。また、線の太さ、リング及びコイルの外径、材質等によって、減衰力の大きさを調整することができる。さらに、一方向にリングを傾倒させ、制振ダンパーを構成してもよい。
【0067】
次に、第5形態に係る制振ダンパーを説明する。
図19に示すように、制振ダンパー106は、半円状の湾曲された複数のワイヤ108の両端部を、上下に配置された円柱状のブロック110の側面へ挿入固定して構成されており、外形が略球状となっている。すなわち、ブロック110の芯部を結ぶ軸線に対して対称形となるように、ワイヤ108を配置することで、互いに復元力を発揮しても球形状を維持することができる。
【0068】
また、ワイヤ108は中間部分で互いに交差しており、ブロック110に力が作用したとき、変形して擦れ合うようになっている。なお、ワイヤを交差させなくても、ダンパーとしての効果は十分に発揮することができる。
【0069】
次に、本形態に係る制振ダンパー106の作用を説明する。
図20に示すように、床梁92と基礎梁90との間に制振ダンパー106を配置し、ブロック110を床梁92と基礎梁90へ固定し、建物12を制振ダンパー106で支持する。そして、建物12へエネルギーが入力されていないとき、上部の荷重は、ブロック110の軸線上に作用している。
【0070】
ここで、図21に示すように、建物12が上下、左右、前後に揺れ、3次元方向から入力される振動を、ワイヤ108の曲げ弾性の特性によって長周期化し、入力エネルギーを低減させることができる。
【0071】
また、ワイヤ108を交差させることにより、互いに擦れ合って摩擦力を発生させ、弾性力だけでなく、摩擦力によっても入力エネルギーを低減させることができる。さらに、縦断面形状が円形であるため、解析が比較的容易にできる。
【0072】
次に、第6形態に係る制振ダンパーを説明する。
図22に示すように、第6形態の制振ダンパー112では、長方形状の板ばね114の中央部にS字形状の屈曲部114Aを形成し、この屈曲部114AをY軸方向へ伸縮させるようになっている。
【0073】
すなわち、板ばね114は、Y軸に関する断面二次モーメントが、X軸に関する断面二次モーメントより、著しく大きいので、曲げ変形方向がX軸回りの一方向に特定されるが、屈曲部114Aを形成することで、Y軸方向の軸変形が可能となる。
【0074】
なお、板ばね114の材料としては、鋼材(鉄、極低降伏点鋼、焼入れ鋼、超高力鋼等)を用いることができる。また、通常は、復元力用のばねとして使用するが、弾塑性ダンパーとして使用することもできる。
【0075】
次に、本形態に係る制振ダンパー122の作用を説明する。
図23及び図24に示すように、建物12の基礎部116の4方面に制振ダンパー112を固定し、制振ダンパー112を介して建物12を支持する。
【0076】
このとき、板ばね114の両端部に穿設された取付孔118へボルト120を挿入して、制振ダンパー112を基礎部116に固定するのであるが、建物12が左右に揺れたとき、図25に示すように、手前側の制振ダンパー112が、左右の制振ダンパー112の曲げ変形を阻害しないように、下側のボルト120を中心に、手前側の制振ダンパー112が揺動し、建物12の動きに追従するようになっている。
【0077】
また、建物12が前後に揺れたとき、左右の制振ダンパー112が、前後に配置された制振ダンパー112の曲げ変形を阻害しないように、下側のボルト120を中心に、左右の制振ダンパー112が揺動、建物12の動きに追従するようになっている。
【0078】
このように、制振ダンパー112を組み合わせることによって、軸荷重を支持しながら、水平2方向の振動を減衰させることができる。
【0079】
さらに、図26に示すように、制振ダンパー112を横にして(上下方向の曲げ剛性が大きくなるように、X軸を鉛直方向に向ける)、二重床材122の4方を支承して、水平2方向の振動を減衰させる免震床構造を構築できる。また、二重床材122と壁124との隙間は、制振ダンパー112を下地材として絨毯等を敷くことができる。
【0080】
なお、本形態では、屈曲部の形状をS字状としたが、伸縮可能であれば、図27に示す制振ダンパー126のようにくの字状でもよく、図28に示す制振ダンパー128のようにZ状でもよく、図29に示す制振ダンパー130のように半円状でもよい。
【0081】
次に、第7形態に係る制振ダンパーを説明する。
第7形態の制振ダンパー132は、図30に示すように、第6形態で説明した板ばね114を2つ組合わせ、Y軸が同軸上にあり、X軸が直交するような形状を呈している。
【0082】
このように構成することにより、2つの屈曲部114AでY軸方向へ伸縮して、且つ水平2方向へ曲げ変形する、3次元方向の振動に対応できるのダンパーとなる。
【0083】
次に、本形態に係る制振ダンパー132の作用を説明する。
図31に示すように、建物12の基礎部116の2方面に制振ダンパー122を固定し、制振ダンパー132を介して建物12を支持する。
【0084】
ここで、制振ダンパー132は、第6形態の制振ダンパー112と異なり、それ自体、水平2方向(建物の前後左右)へ曲げ変形するので、使用点数を削減することができる。
【0085】
また、図32に示すように、高層ビル等で使用される二重床材134を制振ダンパー132で上部の構造床136から吊下するようにしてもよい。このように、制振ダンパー132を吊り材として使用することで、二重床材134のセット位置を保持でき、吊り材自体が、二重床材134に免震機能を付加する。
【0086】
なお、二重床材134と構造床136の間には、本発明者が出願済の制振装置138(特願平9−89800号参照)がセットされており、二重床材134の振動をさらに抑制するようになっている。
【0087】
また、図8において、ブレースで構成された制振ユニットを示したが、図33に示すように、通常の柱200の内側に木製の角材202、204で、トグル機構を構成してもよい。
【0088】
すなわち、角材202、204の端部に孔を形成し、柱200の補強も兼ねた金板206に回動可能に取付ける。また、角材202、204の自由端部は、ピン208で連結する。このピン208には、鉄板等の補助質量210を取付け、入力エネルギーを低減させる。さらに、角材202、204に自由端部に油圧ダンパー212を取付け、振動エネルギーを吸収する。
【0089】
このように、トグル機構を木製とすることで、製造コストの削減を図ることができる。また、特別な材料が不要となり、釘、木ねじ等で簡単に組み立てることができる。さらに、既存の建物に後付けする場合、例えば、押し入れの中棚を外し、制振ユニットを組付け、中棚を元に戻すだけで、簡単に施工が完了する。
【0090】
次に、第8形態に係る制振ダンパー214を説明する。
図34〜図36に示すように、第8形態に係る制振ダンパー214は、床梁及び基礎梁に固定されるベース板216を備えている。このベース板216には内周面に雌ねじが切られたボス部218が互いに向かい合う方向へ突設されている。
【0091】
このボス部218には、押え板220、222が重ね合わされ、ボルト226でベース板216に締結されるようになっている。このベース板216と押え板220、222との間に、ワイヤー224がそれぞれ固定され、図34に示すように、側面視にてトラス形状(三角形状)を描く。
【0092】
ここで、ワイヤー224の取付け方法を説明すると、先ず、ワイヤー224を適当な長さに切断し(この長さは、構成する円の大きさ及び傾きに応じて、決定される)、その中央部をベース板216と押え板220とで固定する。この固定部を境にして、左右に捩じり、円を形成しながら、その端部をベース板216と押え板222とで固定する(斜線で示した部分が一本のワイヤーである)。このようにして、本形態では、合計8本のワイヤーを寄せ合うようにして制振ダンパー214を構成した。
【0093】
このような構成によって、ワイヤー224がトラスとして鉛直荷重を支持し、水平方向からの荷重に対しては、ワイヤー224の捩れ、及びワイヤー同士の摩擦によって、減衰力を発揮する。
【0094】
また、この制振ダンパー214は、図10に示すコイル式の制振ダンパーと比較すると、正確な円形を成形する必要がなく、また、倒れ角度の設定も自由にでき、ワイヤーの固定位置が前後にズレても特に問題が生じないので、施工性がよい。さらに、ワイヤーの径、形成する円の大きさ、ワイヤーの倒れ角度を調整することにより、鉛直方向及び水平方向の剛性を自由に調整できる。
【0095】
次に、第9形態に係る制振ダンパー240を説明する。
図37及び図38に示すように、制振ダンパー240は、板ばね232(鉄、焼き入れ鋼板等)を円形に屈曲させ、直径方向の一方を固定板242で床梁93に固定し、直径方向の他方を固定板244で基礎梁91に固定している。
【0096】
このような構成によって、板ばね232の強軸方向(幅方向)で建物12の荷重を支持し、また、円形が楕円に変形するときの変形剛性によって、水平方向に作用する振動を減衰する。
【0097】
なお、本形態では、一枚の板ばねで円形を構成したが、半円形の二枚の板ばねを組合わせて円形を構成してもよい。また、水平方向に方向性を持たせるために、板ばねを予め楕円形となるように湾曲させてもよい。
【0098】
さらに、鉛直方向の剛性は、板ばねの板厚や幅等で調整でき、水平方向の剛性は、円の大きさ(直径)や板厚で調整することができる。また、板ばねを重ねることにより、剛性を向上させるこもできる。
【0099】
次に、第10形態に係る制振ダンパー230を説明する。
図39及び図40に示すように、制振ダンパー230は、板ばね232を円形に屈曲させ、直径方向の上部が固定板236で、下部が固定板234で固定されている。この固定板234、236が床梁92と基礎梁90に取付けられている。
【0100】
図40に示すように、板ばね232は湾曲部がX軸Y軸方向に突出するように4つ配置されており、建物12の前後左右の揺れに対応できるようになっている。
【0101】
このような構成によって、鉛直方向の振動は、板ばね232の撓みと復元力によって減衰され、水平方向の振動は、板ばね232の捩れによって減衰される。なお、水平方向の剛性を均一にするため、図19に示したように、板ばねをボール状に組付けてもよい。
【0102】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、施工が簡単で設置スペースを取らずに、建物を制振構造にでき、また、ダンパー単体で、3次元方向の振動を減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1形態に係る制振ユニットの斜視図である。
【図2】第1形態に係る制振ユニットを建物に取付けた状態を示す立面図である。
【図3】第1形態に係る制振ユニットを取付けた建物の全体図である。
【図4】第1形態に係る制振ユニットを取付けた建物の間取り図である。
【図5】第1形態に係る制振ユニットを建物が揺れる前の立面図である。
【図6】第1形態に係る制振ユニットの動きを示す立面図である。
【図7】第1形態に係る制振ユニットの動きを示す立面図である。
【図8】第2形態に係る制振ユニットの斜視図である。
【図9】第2形態に係る制振ユニットの動きを示す立面図である。
【図10】第3形態に係る制振ダンパーの分解斜視図である。
【図11】第3形態に係る制振ダンパーの側面図である。
【図12】第3形態に係る制振ダンパーの動きを示した側面図である。
【図13】第3形態に係る制振ダンパーの動きを示した正面図である。
【図14】第3形態に係る制振ダンパーの取付状態を示す立面図である。
【図15】第4形態に係る制振ダンパーの分解斜視図である。
【図16】第4形態に係る制振ダンパーの側面図である。
【図17】第4形態に係る制振ダンパーの動きを示した側面図である。
【図18】第4形態に係る制振ダンパーの動きを示した正面図である。
【図19】第5形態に係る制振ダンパーの斜視図である。
【図20】第5形態に係る制振ダンパーの取付状態を示す立面図である。
【図21】第5形態に係る制振ダンパーの動きを示す立面図である。
【図22】第6形態に係る制振ダンパーの斜視図である。
【図23】第6形態に係る制振ダンパーの取付状態を示す立面図である。
【図24】第6形態に係る制振ダンパーの取付状態を示す平断面図である。
【図25】第6形態に係る制振ダンパーの動きを示す立面図である。
【図26】第6形態に係る制振ダンパーの他の使用例を示す平面図である。
【図27】第6形態に係る制振ダンパーの変形例を示す側面図である。
【図28】第6形態に係る制振ダンパーの変形例を示す側面図である。
【図29】第6形態に係る制振ダンパーの変形例を示す側面図である。
【図30】第7形態に係る制振ダンパーの斜視図である。
【図31】第7形態に係る制振ダンパーの取付状態を示す立面図である。
【図32】第7形態に係る制振ダンパーが二重床材の吊り材として使用された例を示す立面図である。
【図33】第2形態に係る制振ユニットの変形例を示す斜視図である。
【図34】第8形態に係る制振ダンパーの側面図である。
【図35】第8形態に係る制振ダンパーの正面図である。
【図36】第8形態に係る制振ダンパーの斜視図である。
【図37】第9形態に係る制振ダンパーの取付状態を示す立面図である。
【図38】第9形態に係る制振ダンパーの要部斜視図である。
【図39】第10形態に係る制振ダンパーの取付状態を示す立面図である。
【図40】第10形態に係る制振ダンパーの要部斜視図である。
【符号の説明】
14 枠体
16 縦フレーム
18 横フレーム
28 第1ワイヤ(第1線材)
30 第2ワイヤ(第2線材)
32 連結部材
34 ダンパー(エネルギー吸収手段)
38 斜ワイヤ(斜線材)
40 調整横フレーム
41 ターンバックル(引張手段)
46 第1アーム(伸縮手段)
48 第2アーム(伸縮手段)
50 ピン(伸縮手段)
60 枠体
62 縦フレーム
64 横フレーム
68 第1ブレース
72 第2ブレース
74 連結部材
94 リング(第1リング、第2リング)
96 連結部材(上連結部材、下連結部材)
86A 第1コイル
86B 第2コイル
80 連結部材(下連結部材)
82 連結部材(上連結部材)
108 ワイヤ(棒材)
110 ブロック(連結部材)
114 板ばね
114A 屈曲部
224 ワイヤー
216 ベース板(第1連結部材、第2連結部材)
220 押え板(第1連結部材、第2連結部材)
222 押え板(第1連結部材、第2連結部材)
232 板ばね
242 固定板(下連結部材)
244 固定板(上連結部材)

Claims (2)

  1. 横フレームと縦フレームとで構成され、木造住宅や軽量鉄骨住宅の壁内へ取付可能な枠体と、上方の前記横フレームに連結された第1線材と、下方の前記横フレームに連結された第2線材と、所定の角度を持たせて前記第1線材と前記第2線材の自由端を連結する連結部材と、前記横フレームに設けられ前記連結部材に連結されて連結部材の運動を減衰するエネルギー吸収手段と、前記エネルギー吸収手段と対向配置され、一端が前記横フレームに連結され他端が前記連結部材に連結されており、建物にエネルギーが入力されていない状態で伸びた状態にある斜線材と、を有することを特徴とする制振ユニット。
  2. 前記第1線材、前記第2線材、及び前記斜線材に初期テンションを導入する引張手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の制振ユニット。
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