JP6922332B2 - 化粧シート - Google Patents

化粧シート Download PDF

Info

Publication number
JP6922332B2
JP6922332B2 JP2017065252A JP2017065252A JP6922332B2 JP 6922332 B2 JP6922332 B2 JP 6922332B2 JP 2017065252 A JP2017065252 A JP 2017065252A JP 2017065252 A JP2017065252 A JP 2017065252A JP 6922332 B2 JP6922332 B2 JP 6922332B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin layer
decorative sheet
resin
convex portion
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017065252A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018167435A (ja
Inventor
雄一 伊勢森
雄一 伊勢森
康介 中井
康介 中井
信裕 吉井
信裕 吉井
一葉 比嘉
一葉 比嘉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2017065252A priority Critical patent/JP6922332B2/ja
Publication of JP2018167435A publication Critical patent/JP2018167435A/ja
Priority to JP2021121331A priority patent/JP7230957B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6922332B2 publication Critical patent/JP6922332B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、化粧シートに関するものである。
従来、様々な物品の表面には、意匠性を付与するために、化粧シートが積層されている。例えば、建築物の壁面に用いられる壁装材、床面に用いられる床用化粧材、家具等の表面には、化粧シートが積層されて用いられている。
上述のような物品の表面に積層される化粧シートには、立体的な意匠性を示すことが要求される。このような立体的な意匠性を示す化粧シートとして、基材上に絵柄印刷層を設け、その上に艶消し材を含む樹脂層を全面に設け、さらにその上に樹脂層を絵柄印刷層と同調するように部分的に設けた化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような化粧シートは、高艶(グロス)部分と低艶(マット)部分とのコントラストによって視覚的に立体感を得られる、意匠性に優れたものであるが、表面はほぼ平坦であるため、手で触った場合においても立体感を得られるものではなかった。
また、手で触った場合に立体感を得られる、すなわち優れた触感を示す化粧シートとして、基材上に絵柄印刷層、透明樹脂層、及び厚盛り印刷による凸部が設けられ、凸部が絵柄印刷層に同調している化粧材が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
特許文献1のような高艶(グロス)部分と低艶(マット)部分とを組み合わせた物では、高艶(グロス)部分の影響により、綺麗な外観となり、新しい状態の木目を表現するためには都合がよい。しかし、市場における要求は幅広く、使い古されて劣化した木材の感じ(以下、古木感と呼ぶ)を表現したいという要求もある。そのような要求に対しては、特許文献1の技術では対応が難しく、また、特許文献1にさらに特許文献2及び3のような凸部を設ける技術を組み合わせても、古木感を表現することができなかった。
特開平9−174795号公報 特開平10−86313号公報 特開2013−123863号公報
本発明の課題は、使い古されて劣化した木材の表面を表現することができる化粧シートを提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、基材(2)と、前記基材(2)に積層された第1樹脂層(4)と、前記第1樹脂層(4)上に部分的に積層された第2樹脂層(5)と、を備え、前記第1樹脂層(4)は前記第2樹脂層(5)よりも艶が低く構成されており、さらに、樹脂及び無機粒子により構成されて前記第2樹脂層(5)の前記基材(2)とは反対側に突出して部分的に配置された凸部(6)を備える化粧シート(1)である。
第2の発明は、第1の発明に記載の化粧シート(1)において、前記第1樹脂層(4)及び前記第2樹脂層(5)の少なくとも一方は、艶消し材を含むこと、を特徴とする化粧シート(1)である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載の化粧シート(1)において、前記凸部(6)は、前記第1樹脂層(4)上に前記第2樹脂層(5)が配置されていない領域(5a)のうちの少なくとも一部にも配置されていること、を特徴とする化粧シート(1)である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれか1項に記載の化粧シート(1)において、前記凸部(6)が設けられた側の75度光沢度は、15以下であること、を特徴とする化粧シート(1)である。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれか1項に記載の化粧シート(1)において、前記凸部(6)の単体での光沢度と前記第2樹脂層(5)の単体での光沢度との差は、75度光沢度において、5以下であること、を特徴とする化粧シート(1)である。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれか1項に記載の化粧シート(1)において、前記第1樹脂層(4)の単体での光沢度と前記第2樹脂層(5)の単体での光沢度との差は、75度光沢度において、5以上であること、を特徴とする化粧シート(1)である。
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれか1項に記載の化粧シート(1)において、前記無機粒子は、平均粒径10μm以下であること、を特徴とする化粧シート(1)である。
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれか1項に記載の化粧シート(1)において、前記凸部(6)は、前記無機粒子/前記樹脂の質量比率が70/100以上であること、を特徴とする化粧シート(1)である。
第9の発明は、第1の発明から第8の発明までのいずれか1項に記載の化粧シート(1)において、前記第2樹脂層(5)を形成する樹脂組成物の固形分の単位質量当たりに含まれる艶消し材の質量が、前記第1樹脂層(4)を形成する樹脂組成物の固形分の単位質量当たりに含まれる艶消し材の質量より小さいこと、を特徴とする化粧シート(1)である。
第10の発明は、第1の発明から第9の発明までのいずれか1項に記載の化粧シート(1)において、前記基材(2)と前記第1樹脂層(4)との間に、絵柄模様層が設けられていること、を特徴とする化粧シート(1)である。
第11の発明は、第10の発明に記載の化粧シート(1)において、前記絵柄模様層の絵柄に対して前記第2樹脂層(5)が同調して設けられていること、を特徴とする化粧シート(1)である。
第12の発明は、第10の発明又は第11の発明に記載の化粧シート(1)において、
前記絵柄模様層の絵柄は、木目を模した絵柄であること、を特徴とする化粧シート(1)である。
本発明によれば、高い耐摩耗性、耐傷性及び良好なグロスマット感を有し、かつ高い指触触感を兼ね備えた低艶の化粧シート及びこれを備える化粧シートが提供できる。
本発明による化粧シート1の実施形態を示す図である。 化粧シート1を構成する各層のパターンの一例を部分的に示した図である。 実施例と比較例の評価結果をまとめた図である。 第1樹脂層4と第2樹脂層5との間の艶差を評価した結果をまとめた図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
(実施形態)
図1は、本発明による化粧シート1の実施形態を示す図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本明細書において、シートという言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。したがって、化粧シート1は、基材2が厚い、又は、基材シートを貼り付けた化粧板であってもよいし、基材が薄い化粧フィルムであってもよい。
本明細書中において、シート面とは、各シートにおいて、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において規定する具体的な数値には、一般的な誤差範囲は含むものとして扱うべきものである。すなわち、±10%程度の差異は、実質的には違いがないものであって、本件の数値範囲をわずかに超えた範囲に数値が設定されているものは、実質的には、本件発明の範囲内のものと解釈すべきである。
本実施形態の化粧シート1は、基材2と、絵柄模様層3と、第1樹脂層4と、第2樹脂層5と、凸部6とを備えている。
基材2は、例えば、坪量 30g/mの着色された紙を素材として構成されている。本実施形態の基材2は、建材用着色薄紙原紙として、王子エフテックス株式会社製のU−FLEX30を用いた。
絵柄模様層3は、基材2の一方の面上に形成された模様の層である。絵柄模様層3は、例えば、基材2の上に直接印刷を行うことにより形成することができる。本実施形態の絵柄模様層3は、木目を模した絵柄を有している。具体的には、絵柄模様層3は、グラビア印刷法で、厚み7μmの着色層及び厚み4μmの木目柄の絵柄層を塗工して構成されている。なお、木目柄は、冬目部分3aが濃色となるようパターンを形成した。なお、この冬目部分3aは、全体の塗工面積に対して略5%を占めるように構成されている。着色層には、アクリル系樹脂に着色剤が配合された混合物を使用した。また絵柄層には、アルキド系樹脂とニトロセルロース系樹脂に着色剤が配合された混合物を使用した。
なお、絵柄模様層3は、印刷の他、転写等により構成してもよい。
第1樹脂層4は、絵柄模様層3を挟んで基材2に積層されており、透明樹脂により構成されたハイマットコート層である。本実施形態の第1樹脂層4は、艶消し材として艶消しシリカを含有した2液ウレタン層を厚み5μmで絵柄模様層3上の全面に塗工して形成されている。第1樹脂層4の素材をより具体的に説明すると、昭和インク工業製「TSUハイマット」を用いた。これは、平均粒径2μm艶消しシリカ29%、アクリルポリオール71%からなる樹脂を主剤とし、ヘキサメチレンジイソシアネートを硬化剤とした2液硬化の樹脂である。
また、第1樹脂層4は、75度光沢度が、2.0となるように調整した。
なお、第1樹脂層4の樹脂としては、上記の他に、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタン系樹脂も含む)、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン系樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン系樹脂等が挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アルキド変性アクリルポリオール等が挙げられる。
また、第1樹脂層4に含める艶消し材としては、上記の他に、アルミナ、カオリナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硝子などの無機系粒子や、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アミド系樹脂、尿素樹脂、珪素樹脂等の有機系粒子等が挙げられる。
また、第1樹脂層4は、透明又は半透明な樹脂を用いて構成されているので、絵柄模様層3の模様を第1樹脂層4を通して観察可能となっている。
第2樹脂層5は、第1樹脂層4上に部分的に積層されており、透明樹脂により構成されたマットコート層である。本実施形態の第2樹脂層5は、艶消し材として艶消しシリカを含有した2液ウレタン層を厚み3μmで、前述の木目柄の冬目部分3aに対応した部位を除いたパターンとして、木目柄と同調するよう形成した。すなわち、絵柄模様層3の冬目部分3a上には、第2樹脂層5が形成されておらず、抜き取ったかのような形態となっている。以下、この第2樹脂層5が形成されていない空間を抜き領域5aと呼ぶ。この抜き領域5aは、上記冬目部分3aに対応しており、導管を表現するものである。
第2樹脂層5の素材をより具体的に説明すると、昭和インク工業製「FW−NT」を用いた。これは、平均粒径2μm艶消しシリカを、配合量は10%〜20%で任意に変更可能であり、残りはアクリルポリオールからなる樹脂を主剤とし、ヘキサメチレンジイソシアネートを硬化剤とした2液硬化の樹脂である。
第2樹脂層5を形成する樹脂組成物の固形分の単位質量当たりに含まれる艶消し材の質量は、第1樹脂層4を形成する樹脂組成物の固形分の単位質量当たりに含まれる艶消し材の質量より小さくなっている。
また、第2樹脂層5は、第1樹脂層4の75度光沢度に対して、第2樹脂層5の75度光沢度が+5以上の差が生じるようにすることが望ましく、より望ましくは、+8.0以上の差が生じるようにすると望ましい。本実施形態では、第2樹脂層5は、第1樹脂層4の75度光沢度に対して、第2樹脂層5の75度光沢度が+8以上の差を生じるように、艶消しシリカの量を調整し、設定した。これにより、第2樹脂層5は、第1樹脂層4をハイマットコート層として捉えたときに、それよりも艶が若干高いが、艶消しされたマットコート層となっている。この第1樹脂層4と第2樹脂層5との艶の差、すなわち、艶消し度合いの差を設けたことにより、冬目部分3aとそれ以外の部分との比較において艶消し度合いの差が生じて、実感的な木目表現のための重要な要素となっている。
また、上述したように、冬目部分3aは、全体の塗工面積に対して略5%を占めるように構成されているので、第2樹脂層5の塗工面積は、絵柄全体の面積に対し、略95%となるように設定した。すなわち、抜き領域5aは、全体の塗工面積に対して略5%を占めている。
なお、第2樹脂層5の樹脂としては、上記の他に、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタン系樹脂も含む)、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン系樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン系樹脂等が挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アルキド変性アクリルポリオール等が挙げられる。
また、第2樹脂層5に含める艶消し材としては、上記の他に、アルミナ、カオリナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硝子などの無機系粒子や、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アミド系樹脂、尿素樹脂、珪素樹脂等の有機系粒子等が挙げられる。
また、第2樹脂層5は、透明又は半透明な樹脂を用いて構成されているので、絵柄模様層3の模様を第2樹脂層5を通して観察可能となっている。
凸部6は、バインダーとしての樹脂と、フィラーとしての無機粒子とにより構成されており、第2樹脂層5の基材2とは反対側に突出して部分的に配置されている。凸部6は、印刷における塗膜の形状を保持するために、無機粒子を含有させることで高チキソ性の設計としている。
凸部6は、平均粒子径が10μm以下の無機粒子を、凸部6を形成する樹脂組成物に対し、無機粒子/樹脂の質量比率が70/100以下の割合とすることが好ましい。
上記無機粒子の平均粒径が10μm以下である場合、粒子の分散性及び、塗膜形成後における摩擦等において、粒子の脱落が生じ難くなる効果が得られる。
また上記無機粒子/樹脂の質量比率が70/100以下である場合には、塗膜(凸部)に粒子が均一に分布するため、触感が安定する。上記無機粒子/樹脂の質量比率が70/100を超えると、粒子が凝集し、凸部の高さが安定しないおそれがあり、凸部の透明感が損なわれるため、意匠性が低下するおそれがある。
本実施形態では、凸部6には、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートを主成分とする2液アクリルウレタン樹脂をバインダーとして用い、無機粒子として平均粒径4μmの水酸化アルミニウムを配合した。水酸化アルミニウムの配合量は後述する。なお、2液アクリルウレタン樹脂は、透明である。
上述したように、第2樹脂層5は、絵柄全体の面積に対して略95%の塗工面積となっているので、凸部6は、その大部分は、第2樹脂層5上に積層さている。また、凸部6は、図1に示したように、第1樹脂層4上に第2樹脂層5が配置されていない領域である抜き領域5aのうちの少なくとも一部にも配置されている。
本実施形態の凸部6は、上述した2液アクリルウレタン樹脂に水酸化アルミニウムを配合したものを、版深90μmのパターン版を用いて塗工することにより形成した。凸部6は前述の第2樹脂層5が塗工されたパターンのさらに上から、面積比として25%となるように形成した。また、凸部6のパターン太さ(幅)は、凡そ0.5mmに設定した。さらに、凸部6の突出量は、凡そ10μmとした。
さらに、凸部6の単体での光沢度と第2樹脂層5の単体での光沢度との差は、75度光沢度において、5以下であるように調整した。すなわち、凸部6の光沢度と第2樹脂層5の光沢度とを近い値としている。これにより、第1樹脂層4と第1樹脂層4上に部分的に設けられた第2樹脂層5との間に艶差を設けた独特な意匠表現を損なうことなく盛上げ触感を付与することができるからである。また、意匠感に対する凸部6のパターン形状、塗工面積による影響が極小化されるため、多彩な触感再現(凸部6の面積を広くしたり少なくしたり)が意匠への影響なく行えるようになる。
なお、凸部6の光沢度と第2樹脂層5の光沢度との間で、艶差をわずかに設けることにより、擬似的な3段階の諧調表現を有する意匠を作成することも可能である。
凸部6まで作製した後は、例えば、70℃で24時間程度、化粧シート1を加熱養生し、残留溶剤の除去、及び、2液アクリルウレタン樹脂の硬化をさせることが望ましい。
また、以上のように構成された化粧シート1において、凸部6が設けられた側の75度光沢度、すなわち意匠面となる面全体での75度光沢度は、15以下となるように調整した。
図2は、化粧シート1を構成する各層のパターンの一例を部分的に示した図である。なお、図2では、各層のパターンが配置される部分を黒く表現しているものであり、例えば、第1樹脂層4は、透明であるが、全面にベタ塗りされることから、全面を黒で表現している。
基材2の上に形成される絵柄模様層3は、図2に示すような木目模様となっている。この絵柄模様層3の上には、全面ベタで第1樹脂層4が形成される。そして、第1樹脂層4の上には、部分的に抜き領域5aを設けた第2樹脂層5が形成される。第2樹脂層5のさらに上には、抜き領域5a上にも一部重なるように、凸部6が他の層と比較するとまばらに形成される。
次に、本実施形態の化粧シート1に関して、各層の構成を変更した実施例と比較例をそれぞれ3種類作製し、主に意匠性の官能評価を行った。なお、比較例の構成については、使用した粒子及び配合量以外は、本実施形態の実施例と同じ条件でシートを作成した。また、第1樹脂層4と第2樹脂層5との間の艶差による導管表現に着目した評価も併せて行った。
評価方法について、以下に説明する。
シート艶については、村上色彩技術研究所製の携帯用光沢計、GMX−202を使用してJIS Z 8741に基づき、75度の光沢度を測定した。また、光沢度の判定としては、本発明では、使い古されて劣化した木材の感じ(古木感)の表現を行うことを目的としており、この点を重要な判断基準として評価を行った。一般に、使い古された木材は、その表面の艶が極端に低く、艶消しの状態となっている。したがって、全体の艶の無さは、古木感にとって重要であり、その観点から評価した結果、75度の光沢度は、15以下であることが、古木感を表現するためには必要であると判断された。
触感については、先ず、走査型電子顕微鏡(SEM)使用して、化粧シートの断面をSEMにより観察し、凸部6の垂直高さを確認した。この測定は、10点測定し平均値を算出するとともに、シート表面の手触りを下記の基準で判定した。
○:垂直高さが20μm以上であり、指触により十分な凸部の高さが認識できるもの。
△:垂直高さが10μm以上20μm未満であり、指触により僅かな凸部の高さが認識できるもの。
×:垂直高さが10μm未満であり、指触に凸部の高さがほとんど認識できないもの。
凸部の形状保持性については、パナソニック株式会社製の演色蛍光灯AA昼光色D6500K光源下にてシート全体を目視確認し、下記の評価を実施した。
○:凸部6が明確に形成されているもの。
△:凸部6がなだらかに形成されているもの。
×:凸部6が形成されていないもの。
図3は、実施例と比較例の評価結果をまとめた図である。
図4は、第1樹脂層4と第2樹脂層5との間の艶差を評価した結果をまとめた図である。
これらの結果から、以下のことが読取れる。
・凸部粒子の質量比率は、粒子/樹脂の比率で、30/70以上であることが、凸部形状保持性の観点から好ましい。
・第2樹脂層のシリカ質量比率は、シリカ/樹脂の比率で、20/80が好ましい。シリカ比率が、20部を超えた場合、第2樹脂層が顕著に白濁し、下柄の鮮映性を損なうおそれがある。
・シートの75度光沢度は、古木感の表現のためには、15以下であることが好ましい。
・導管表現の観点からは、第1樹脂層4と第2樹脂層5との間の75度光沢度の差異は、5以上が好ましく、より好ましくは、8以上の差異があることが好ましい。
図3に示した本実施形態の実施例1から実施例3のいずれの化粧シート1であっても、全体としてみると艶が低く抑えられた落ち着いた意匠表現となっている。特に凸部6が抜き領域5aに重なった部分において、若干白っぽく見えることにより、本実施形態の化粧シート1は、従来の木目を表現した化粧シートとは明らかに異なる古木感を表現した独特の意匠を表現できている。
以上説明したように、本実施形態の化粧シート1は、第1樹脂層4の上に、部分的に積層された第2樹脂層5を設け、さらに凸部6を形成し、それぞれの艶を適切な範囲の艶消し状態としたので、落ち着いた木目独特の表現を可能とした。特に、凸部には、無機粒子を含めたことにより、凸部が設けられている部分のうちで特に抜き領域5aと重なった部分において白っぽい見栄えを実現しており、非常に実感的な古木感を表現した意匠を実現している。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)凸部6の樹脂は、透明である例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、凸部6については、必要な意匠に応じて着色を行うことが可能である。これにより、実際の木をペンキで補修したようなペイント調の意匠を表現することが可能である。
(2)凸部6に含める無機粒子として、水酸化アルミニウムを用いる例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、凸部6に含める無機粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等を用いてもよい。
なお、第1実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
1 化粧シート
2 基材
3 絵柄模様層
3a 冬目部分
4 第1樹脂層
5 第2樹脂層
5a 抜き領域
6 凸部

Claims (10)

  1. 基材と、
    前記基材に積層された第1樹脂層と、
    前記第1樹脂層上に部分的に積層された第2樹脂層と、
    を備え、
    前記第1樹脂層は前記第2樹脂層よりも艶が低く構成されており、
    樹脂及び平均粒径10μm以下の無機粒子を含み、前記第2樹脂層の前記基材とは反対側に突出して部分的に配置された凸部を備え、
    前記凸部は、前記第1樹脂層上の前記第2樹脂層が配置されていない領域のうちの少なくとも一部にも配置されている、
    化粧シートであって、
    前記化粧シートの前記凸部が設けられた側の75度光沢度は、15以下である、
    化粧シート。
  2. 基材と、
    前記基材に積層された第1樹脂層と、
    前記第1樹脂層上に部分的に積層された第2樹脂層と、
    を備え、
    前記第1樹脂層は前記第2樹脂層よりも艶が低く構成されており、
    樹脂及び無機粒子を含み、前記第2樹脂層の前記基材とは反対側に突出して部分的に配置された凸部を備え、
    前記凸部は、前記第1樹脂層上に前記第2樹脂層が配置されていない領域のうちの少なくとも一部にも配置され、
    前記凸部のうちの少なくとも一部は、前記第2樹脂層が配置されていない領域に独立して配置されている、
    化粧シート。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の化粧シートにおいて、
    前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の少なくとも一方は、艶消し材を含むこと、
    を特徴とする化粧シート。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の化粧シートにおいて、
    前記凸部が設けられた側の75度光沢度は、15以下であること、
    を特徴とする化粧シート。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の化粧シートにおいて、
    前記凸部の光沢度と前記第2樹脂層の光沢度との差は、75度光沢度において、5以下であること、
    を特徴とする化粧シート。
  6. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の化粧シートにおいて、
    前記第1樹脂層の光沢度と前記第2樹脂層の光沢度との差は、75度光沢度において、5以上であること、
    を特徴とする化粧シート。
  7. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の化粧シートにおいて、
    前記凸部は、前記無機粒子/前記樹脂の質量比率が70/100以下であること、
    を特徴とする化粧シート。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の化粧シートにおいて、
    前記第2樹脂層を形成する樹脂組成物の固形分の単位質量当たりに含まれる艶消し材の質量が、前記第1樹脂層を形成する樹脂組成物の固形分の単位質量当たりに含まれる艶消し材の質量より小さいこと、
    を特徴とする化粧シート。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の化粧シートにおいて、
    前記第1樹脂層の前記第2樹脂層とは反対側に、絵柄模様層が設けられていること、
    を特徴とする化粧シート。
  10. 請求項9に記載の化粧シートにおいて、
    前記絵柄模様層の絵柄に対して前記第2樹脂層が同調して設けられていること、
    を特徴とする化粧シート。
JP2017065252A 2017-03-29 2017-03-29 化粧シート Active JP6922332B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017065252A JP6922332B2 (ja) 2017-03-29 2017-03-29 化粧シート
JP2021121331A JP7230957B2 (ja) 2017-03-29 2021-07-26 化粧シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017065252A JP6922332B2 (ja) 2017-03-29 2017-03-29 化粧シート

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021121331A Division JP7230957B2 (ja) 2017-03-29 2021-07-26 化粧シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018167435A JP2018167435A (ja) 2018-11-01
JP6922332B2 true JP6922332B2 (ja) 2021-08-18

Family

ID=64017781

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017065252A Active JP6922332B2 (ja) 2017-03-29 2017-03-29 化粧シート
JP2021121331A Active JP7230957B2 (ja) 2017-03-29 2021-07-26 化粧シート

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021121331A Active JP7230957B2 (ja) 2017-03-29 2021-07-26 化粧シート

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP6922332B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10643925B2 (en) 2014-04-17 2020-05-05 Asm Ip Holding B.V. Fluorine-containing conductive films
WO2022064974A1 (ja) 2020-09-28 2022-03-31 大日本印刷株式会社 化粧シート、化粧材、版、および化粧シートの製造方法
JP7212870B2 (ja) * 2020-09-28 2023-01-26 大日本印刷株式会社 化粧シート、化粧材、版、および化粧シートの製造方法
JP7198440B2 (ja) * 2021-03-30 2023-01-04 大日本印刷株式会社 化粧シートおよび化粧材
WO2023048283A1 (ja) * 2021-09-24 2023-03-30 大日本印刷株式会社 化粧材

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS565785A (en) * 1979-06-28 1981-01-21 Toppan Printing Co Ltd Ornamental material with wood grain pattern
JPS61202839A (ja) * 1985-03-06 1986-09-08 大日本印刷株式会社 うずくり調木目化粧材
JP3629964B2 (ja) 1998-07-29 2005-03-16 凸版印刷株式会社 化粧材
WO2005077676A1 (ja) 2004-02-18 2005-08-25 Taica Corporation 水圧転写品
JP4694944B2 (ja) 2005-10-19 2011-06-08 サカエグラビヤ印刷株式会社 化粧シート
JP5003086B2 (ja) * 2006-09-29 2012-08-15 大日本印刷株式会社 化粧シート
JP5028932B2 (ja) * 2006-09-29 2012-09-19 大日本印刷株式会社 化粧シート
JP5830287B2 (ja) 2011-07-13 2015-12-09 Dic株式会社 化粧シート及び化粧板
JP6481309B2 (ja) * 2013-09-27 2019-03-13 大日本印刷株式会社 化粧シート及び化粧板
CN111688318A (zh) * 2013-09-30 2020-09-22 大日本印刷株式会社 装饰片、装饰树脂成型品和装饰树脂成型品的制造方法
JP6349914B2 (ja) * 2014-04-24 2018-07-04 凸版印刷株式会社 多層光沢化粧シート
JP6627249B2 (ja) * 2015-04-17 2020-01-08 大日本印刷株式会社 化粧シート及び化粧板
CN204605080U (zh) * 2015-04-23 2015-09-02 曹小静 一种木纹立体装饰膜
JP6565419B2 (ja) * 2015-07-24 2019-08-28 凸版印刷株式会社 化粧シート、及び化粧板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018167435A (ja) 2018-11-01
JP2021185029A (ja) 2021-12-09
JP7230957B2 (ja) 2023-03-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6922332B2 (ja) 化粧シート
JP4650960B2 (ja) 装飾シート
JP2007111928A (ja) 化粧シート
JP6036490B2 (ja) 化粧シートの製造方法
JP7396407B2 (ja) 化粧シート及び化粧板
JP2017165030A (ja) 化粧シート及び化粧板
JP2010280203A (ja) 加飾シートおよび加飾シートの製造方法並びに加飾成形体
KR101193560B1 (ko) 그라데이션 패턴을 이용한 입체감, 원근감 형성 유리인쇄기법
JP2022118012A (ja) 化粧材、化粧材の製造方法、化粧材を用いた積層体
JP2017177405A (ja) 化粧シート
JP5453622B2 (ja) 加飾シート、加飾成形体及び加飾シートの製造方法
JP2018199240A (ja) 化粧シート
JP6679834B2 (ja) 化粧シート及び化粧板
JP7040656B2 (ja) 化粧材、積層体及び化粧材の製造方法
KR20230164665A (ko) 무광택 물품
JP6074252B2 (ja) 装飾シート
JP7187823B2 (ja) 化粧シート
KR100942432B1 (ko) 부드러운 촉감을 가지며, 내지문성 및 내스크래치성이우수한 장식 시트 및 그의 제조방법
JP2008254374A (ja) 装飾用粘着シート
JP2008207394A (ja) 化粧パネル
JP2015232085A (ja) 塗料組成物及び化粧シート
JP6867007B2 (ja) 床用化粧材
CN111491804A (zh) 书写板
JP7400212B2 (ja) 化粧シート及び化粧金属板
JP7287415B2 (ja) 化粧材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201201

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210118

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210329

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20210330

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20210416

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210420

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210611

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210629

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6922332

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150