JP7187823B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
基材シートに形成された絵柄模様層と、絵柄模様層上に形成された第1の表面保護層と、第1の表面保護層上に形成された第2の表面保護層とを備え、第2の表面保護層は、第2の表面保護層から突出した合成樹脂ビーズを含んでいる。これにより、化粧シートの表面に凹凸を設け、触感により立体感を感じさせるようになっている。
また、このような化粧シートでは、目視による立体感を得るために、最外層の光沢(第2の表面保護層の光沢)と、最外層よりも内側の層の光沢(第1の表面保護層の光沢)と差をつけている。
基材シート上に、絵柄模様層、透明接着層、エンボスによる凹凸パターンを設けた透明熱可塑性樹脂層、表面保護層がこの順で形成され、
前記表面保護層は、前記透明熱可塑性樹脂層上に形成された第1の表面保護層と、前記第1の表面保護層上に部分的に形成された第2の表面保護層とからなり、
前記第2の表面保護層は、電離放射線硬化樹脂を含む樹脂組成物からなり、平均粒径が1.5~5μmの樹脂フィラーおよび平均粒径が8μm~20μmの無機質フィラーの混合よりなるフィラーを含み、前記第2の表面保護層の最大高さに相当する、JIS B0601:2001に基づき測定された最大高さPz値が30μm以上であることを特徴とする化粧シートである。
前記第2の表面保護層が、前記絵柄模様層の印刷インキと対向する部分を被覆する層であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シートである。
前記第2の表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂からなることを特徴とする化粧シートである。
そのため第1の表面保護層と第2の表面保護層の光沢を視覚的な立体感を表現可能な範囲で調整しつつ保護層の白濁を抑え、第2の保護層のかさ高さを30μm以上としつつ耐傷性を付与することが可能になるので、触感による立体感を維持しつつ、耐傷性に優れ、かつ視覚的な立体感を有する意匠的に良好な化粧シートを提供できる。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また基材シート1における、絵柄模様層2とは反対側の面(裏面)には、樹脂層を構成する裏面樹脂コート層7が設けられている。
基材シート1は、例えば着色した熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、例えば塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、またポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂あるいはポリエチレン樹脂、などを用いることができる。なかでも環境適合性や加工性、価格の点で、ポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができる。
また、樹脂のグレードや組成は、そのほかにシーティングの容易さや印刷適性、曲げ加工に対する適性を考慮して選択することができる。
絵柄模様層2は、基材シート1上に既知の印刷手法により形成され、意匠性を付与するための絵柄を付加するための層である。印刷手法は特に限定するものではないが、生産性や絵柄の品位を考慮すれば、例えばグラビア印刷法を用いることができる。
絵柄としては、例えば、木目、コルク、石目、タイル、焼き物、抽象柄等、化粧シート8を用いる箇所に適した絵柄を選ぶことができる。
透明接着層3は、基材シート1および絵柄模様層2と透明熱可塑性樹脂層4の層間の接着を強固にする目的で、図1に示すように絵柄模様層2の絵柄パターンを被覆するように設けられる。この接着が強固であることによって、化粧シート8に対し曲面や直角面に追随する曲げ加工性を付与することができる。
透明接着層3は、その接着方法としては任意の材料選定が可能で、熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート等による積層方法があり、接着剤はアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系などから適宜選択できる。通常はその凝集力から2液硬化タイプのものとして、特にイソシアネートを用いたポリオールとの反応で得られるウレタン系の材料を用いることが望ましい。
なお、透明接着層3は、透明熱可塑性樹脂層4と絵柄模様層2との接着強度が十分に得られる場合には、省略してもよい。
第1の表面保護層5は、透明熱可塑性樹脂層4上に形成され、透明熱可塑性樹脂層4の全体を被覆するシート状の層である。第1の表面保護層5は、第1の表面保護層5を通して絵柄模様層2の絵柄を透視できる程度に透明または半透明な材料(樹脂)で形成されている。第1の表面保護層5は単層でも良く、また複数の層を重ねて表面保護層5としても良い。
電離放射線硬化型樹脂としては、設備の導入コストや用いる樹脂を広く選択できる、紫外線硬化型樹脂を好ましく用いることが出来る。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂を使用できる。
2液硬化型ウレタン樹脂としては、例えば、ポリオールを主体とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂を用いることができる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するものであって、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオールを用いることができる。
また、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体を用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等がある。なお、上記イソシアネートにおいて脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートは、耐候性、耐熱黄変性も良好にできる点で好ましく、例えば1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを使用できる。
第2の表面保護層6は、第1の表面保護層5上に部分的に形成され、第1の表面保護層5の一部(例えば絵柄模様層2の印刷インキと対向する部分)を被覆する層である。これにより、化粧シート8の意匠を絵柄模様層2に由来する視覚と表面保護層6の凹凸に由来する触感との両方で表現できる。
第2の表面保護層6の材料としては、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。電離放射線硬化型樹脂としては前述の樹脂組成物を用いることが出来る。また、第1の表面保護層5との接着性等を考慮すれば、2液硬化型ウレタン樹脂等のウレタン結合を有する熱硬化型樹脂を硬度と柔軟性を調整するために添加することができる。
触感を有効に得るためには、部分的に形成された第2の表面保護層6の幅方向の長さLと最大高さHの比H/Lにより示される値が0.25以上、好ましくは0.33以上であり、適宜独立した領域で形成されることが好ましい。
前述の塗工高さおよび光沢を得るために、フィラーAは艶消し剤、フィラーBは耐傷性付与および塗工高さの保持としての機能をそれぞれ主に担う。この際、フィラーAは平均粒径が1.5~5μmと小さく、表面保護層6の表面に細かな凹凸を形成することで光の反射面積が大きくなるため、添加量に対し効率よく光沢の調整を行うことが出来る。一方でフィラーBは平均粒径が8μm~20μmと大きいため第2の表面保護層6の樹脂の支持体として作用し、コート直後の未硬化樹脂の流動を抑制する効果と硬化後の耐傷性を向上することができる。
フィラーBは耐傷性付与の観点から無機質フィラーが好ましく、シリカガラスビーズが好適である。表面保護層6との密着を考慮し、既知の表面処理技術による親和化処理を行ったものを選択することができる。
とする。35質量%以上の添加では、表面保護層6の曲げ加工性が悪化し、塗工後の白濁や塗工乾燥時の発泡による意匠低下を避けることが困難である。
ポリプロピレンを主成分とする厚み60μmのシート上にウレタン/塩化酢酸ビニル系インキを用いて絵柄を印刷し、この絵柄模様層の上に、厚み5μmのポリウレタン系の透明接着層を介して 厚さ70μmのポリプロピレン層を溶融押し出しラミネートにより積層し、透明接着層と透明熱可塑性樹脂層を形成した。
透明熱可塑性樹脂層の上から版深20μmの賦形版を用いてエンボス加工を行い、アクリルポリオール系樹脂とHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)を混合した第1の表面保護層1をグラビアコートで厚み6μmで形成した。さらに第1の表面保護層の上から絵柄模様層と一致した印刷版を用い、ウレタンアクリレートを主成分とする紫外線硬化樹脂を厚み30μmで重ね、高圧水銀灯で硬化して第2の表面保護層とした。
第1の表面保護層の光沢は10、第2の表面保護層へは平均粒径2μmのアクリルビーズ3重量部、平均粒径18μmのシリカガラスビーズを3重量部添加して光沢を4とした。
第2の表面保護層の厚みを20μmとした他は実施例1と同様に作成した。
第2の表面保護層の厚みを10μmとした他は実施例1と同様に作成した。
第2の表面保護層のアクリルビーズを平均粒径5μmのシリカガラスビーズへ変更した他は実施例1と同様に作成した。
第2の表面保護層のシリカガラスビーズを平均粒径19μmのアクリルビーズへ変更した他は実施例1と同様に作成した。
第2の表面保護層の印刷版を、塗工厚25μmのベタ版とした他は実施例1と同様に作成した。
第2の表面保護層をアクリルポリオールとHDIの混合バインダー樹脂とし、塗工後40℃に72時間安置して硬化させた他は実施例1と同様に作成した。
実施例1および比較例1~2に対し、指触による立体感の評価を行い、凹凸感を感じられたものを○、凹凸感がわずかに感じられたものを△、凹凸感を感じられないものを×とした。結果を表1に示す。
次に、実施例1および比較例3~5について、耐傷性の評価として20g/cm2荷重のスチールウールで表面を10往復して表面の傷つきを比較した。また、光沢および第2の表面保護層の塗工面の外観より意匠性を評価した。
比較例3についてはフィラーの透明度が実施例1に劣り白濁したため、絵柄層の透視性が悪く意匠として劣るものとなった。
比較例4については外観および凹凸感には問題がなかったが、耐傷性に劣る結果となった。
比較例5については絵柄に対応した表面保護層2の重ね印刷ではなく全面に保護層を形成した結果、外観としては発泡による意匠の悪化、凹凸感としては砂地状の手触りとなり、絵柄と一致した立体感に比較すると意匠性に劣る結果となった。
表2に結果を示す。
これらのトラブルは、第2の表面保護層を紫外線硬化樹脂で形成した際には起こらないものであった。
2 絵柄模様層
3 透明接着層
4 透明熱可塑性樹脂層
5 第1の表面保護層
6 第2の表面保護層
7 裏面樹脂コート層
8 化粧シート
Claims (2)
- 基材シート上に、絵柄模様層、透明接着層、エンボスによる凹凸パターンを設けた透明熱可塑性樹脂層、表面保護層がこの順で形成され、
前記表面保護層は、前記透明熱可塑性樹脂層上に形成された第1の表面保護層と、前記第1の表面保護層上に部分的に形成された第2の表面保護層とからなり、
前記第2の表面保護層は、電離放射線硬化樹脂を含む樹脂組成物からなり、平均粒径が1.5~5μmの樹脂フィラーおよび平均粒径が8μm~20μmの無機質フィラーの混合よりなるフィラーを含み、前記第2の表面保護層の最大高さに相当する、JIS B0601:2001に基づき測定された最大高さPz値が30μm以上であることを特徴とする化粧シート。 - 前記第2の表面保護層が、前記絵柄模様層の印刷インキと対向する部分を被覆する層であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
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