JP6255841B2 - 化粧シート - Google Patents

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本発明は、化粧シートに関する。
建築内部の仕上げ材、取り付け材などの造作材、あるいは建具として、化粧紙を用いたラミネート部材を作製する場合、建材用一般紙や樹脂含浸紙に、熱硬化性ウレタン樹脂や電離放射線硬化性樹脂などをコートした化粧紙を用いることが一般的である。化粧紙には、通常、意匠性はもちろんのこと、耐汚染性、耐候性、耐溶剤性、耐摩耗性、耐傷性などの表面保護特性が求められる。こうした要求を満たすために、基材の表面に表面保護層を施すことが行われており、表面保護層としては電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましく用いられている。
ところで、化粧紙を用いたラミネート部材をキッチン、浴室などの高温、高湿度環境下で用いる場合、化粧紙が通常求められる上記のような表面保護特性に加えて、特に防湿性能が求められる。防湿性能を向上させる場合、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂シートを紙間強化紙で挟んだ防湿加工紙や、アルミ蒸着やポリ塩化ビニリデンをコート処理した防湿ポリエチレン樹脂シートが基材として用いられている(例えば、特許文献1)。しかし、これらの基材は、厚さがあるため、部材として用いる際の成形加工に制約が生まれてしまう、あるいは製造工程の複雑化に伴うコストの大幅な上昇といった問題があった。
特開2001−171063号公報
本発明は、このような状況下、優れた意匠性、耐汚染性及び防湿性を有し、かつ耐擦傷性や耐候性などの表面保護特性に優れた化粧シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち本発明は、下記の加飾シート及び加飾樹脂成形品を提供するものである。
1.基材、隠蔽層、及び表面保護層を順に有し、該基材が少なくとも一層の着色された二軸延伸ポリプロピレン樹脂のシートにより構成され、該隠蔽層が着色剤を含む2液硬化性樹脂組成物の硬化物により構成され、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物により構成される化粧シート。
2.隠蔽層と表面保護層との間に導管インキ層を有し、該導管インキ層が熱可塑性樹脂組成物により構成されるものである上記1に記載の化粧シート。
3.隠蔽層と表面保護層との間に盛上層を有する上記1又は2に記載の化粧シート。
本発明によれば、優れた意匠性、耐汚染性及び防湿性を有し、かつ耐擦傷性や耐候性などの表面保護特性に優れ、また製造過程において収縮することがない化粧シートを得ることができる。
本発明の化粧シートの一つの態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧シートの一つの態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧シートの一つの態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧シートの一つの態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧シートの一つの態様の断面を示す模式図である。
本発明の化粧シートは、基材、隠蔽層、及び表面保護層を順に有し、該基材が少なくとも一層の着色された二軸延伸ポリプロピレン樹脂のシートにより構成され、該隠蔽層が着色剤を含む2液硬化性樹脂組成物の硬化物により構成され、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物により構成されることを特徴とするものである。本発明の化粧シートについて、図1及び2を用いて説明する。
(基材2)
基材2は、少なくとも一層の着色された二軸延伸ポリプロピレン樹脂のシートにより構成されるものである。
ポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、あるいはポリプロピレン結晶部を有し、かつプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン共重合体などが好ましく挙げられる。その他、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどを15モル%以上含むプロピレン−α−オレフィン共重合体、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体なども好ましく挙げられる。
また、ポリプロピレン樹脂のシートは、二軸延伸されたものである。二軸延伸されたシートを用いることで、無延伸のシートや一軸延伸のシートに比べて、優れた耐擦傷性と防湿性が得られ、かつ機械的強度も良好なものとなる。
二軸延伸ポリプロピレン樹脂のシートは、通常、長手方向延伸機を用いてガラス転移温度(Tg)以上に加熱して、好ましくは2〜10倍程度延伸し、次いで、幅方向延伸機を用いてガラス転移温度(Tg)以上に加熱して幅方向へ好ましくは2〜10倍延伸して得られる。また、延伸倍率としては、長手方向及び幅方向の延伸倍率の積が5〜70であることが好ましく、40〜60であることがより好ましい。延伸倍率、及び長手方向及び幅方向の延伸倍率の積が上記範囲内であると、シートの機械的強度が得られ、製造過程における、例えば隠蔽層などを構成するインキ組成物の塗布時における収縮、あるいは表面保護層の形成時の電離放射線の照射時における収縮が生じることがない。
さらに長手方向に強度の強いシートにするために、長手方向に再度延伸してもよいし、もちろん長手方向と幅方向とを同時に延伸する同時二軸延伸を行ってもよい。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料、又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
シート中の着色剤の使用量は、該シートを押出し成形して得る際の製膜性や、シートの機械的強度を低下させない範囲であれば特に制限はない。
基材2は二層以上の二軸延伸ポリプロピレン樹脂のシートにより構成され、そのうち少なくとも一層が着色されたシートであることが好ましい。すなわち、基材2が複数層構成をとる場合、そのうちの少なくとも一層が着色されていれば、他のシートは着色されていても着色されていなくてもよい。意匠性を向上させる観点からは、全てのシートが着色されていることが好ましい。
基材2の厚さは、30μm以上であることが好ましく、より好ましくは30〜60μmである。基材2の厚さが上記範囲内であると、製造過程における収縮が生じることがない。
また、基材2が二層以上のシートにより構成される複数層構成をとる場合は、基材2の全体としての厚さが上記の範囲内にあることが好ましく、そのうちの少なくとも一層が上記の範囲内にあることが好ましい。
基材2に用いられるポリプロピレン樹脂には、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、充填剤、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。
上記添加剤のうち、特に基材2の弾性及び伸び率を向上させて、加工性を向上させる観点から、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルクなどの無機充填剤を含有することが好ましい。
これらの無機充填剤の含有量は、基材2に対して1〜60質量%の範囲が好ましい。
(隠蔽層3)
隠蔽層3は、意匠性の観点から、基材2や化粧シートを設ける基板などの下地の隠蔽の目的で設けられ、基材2が着色していたり色ムラがある場合に、意図した色彩を与えて表面の色を整えることができる層であり、着色剤を含む2液硬化性樹脂組成物の硬化物により構成される。2液硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されることにより、隠蔽機能に加えて、基材と絵柄層及び表面保護層との優れた密着性も得られる。
2液硬化性樹脂組成物に含まれる2液硬化性樹脂としては、主剤に硬化剤を添加して硬化する樹脂であれば特に制限はなく、主剤がポリオール(多価アルコール)であり、硬化剤がイソシアネート硬化剤である、2液硬化性ウレタン樹脂が好ましい。
主剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのポリオールのほか、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基を有するモノマーとの付加重合によって得られるアクリルポリオール;公知のジオール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類とアジピン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸などの二塩基酸、これらの酸エステルなどから選ばれる少なくとも一種との重縮合反応によって得られるポリエステルポリオール;前記のジオール類とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどとの付加重合によって得られるポリエーテルポリオールなどの官能基として水酸基を有するポリオールが好ましく挙げられる。これらは単独又は複数種を混合して使用できる。
イソシアネート硬化剤としては、従来公知の化合物を適宜使用すればよく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート 、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、あるいは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(ないしは脂環式)イソシアネートなどのポリイソシアネートが用いられる。また、これら各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート 3量体(trimer)なども用いられる。
2液硬化性樹脂組成物に含まれる着色剤としては、上記の基材に含まれる着色剤として例示したものが好ましく挙げられる。隠蔽層3は、通常、基材2や下地を隠蔽する目的で、不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、基材2が持っている模様を活かすこともでき、その目的から適宜選択すればよい。
着色剤の含有量は、隠蔽層3の隠蔽性、及び基材と絵柄層及び表面保護層との密着性を確保し、かつ樹脂組成物の塗布性を阻害しない範囲であれば、特に制限はない。
また、2液硬化性樹脂組成物は、とりわけ基材2との密着性の向上のため、テレビン油、ショウノウ油、パイン油、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、デカリン、シメン、ピネン、メンタンなどの炭素数8〜12程度の低分子量の炭化水素系溶剤を好ましく含む。これらのなかでも、テレビン油を含むことが好ましい。
隠蔽層3の厚さは、通常0.5〜20μm程度であり、1〜10μmが好ましい。化粧シートの優れた意匠性を付与することができ、また製造過程における収縮が生じることがない。
(絵柄層4)
絵柄層4は、本発明の化粧シートに装飾性を付与する層であり、隠蔽層3と表面保護層5との間に好ましく設けられる層である。絵柄層4は、図形、文字、記号、色彩、それらの組み合わせなどにより、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、天然皮革の表面柄、幾何学図形、抽象柄などからなる模様ないし色彩を有し、隠蔽層3上に、平面状、凹凸状、凸状の層として形成される。
絵柄層4の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダー樹脂に顔料、染料などの着色剤のほか、必要に応じて体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。
バインダー樹脂としては特に制限はなく、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アルキッド樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
また、着色剤としては、基材2に含まれる着色剤として例示したものが好ましく採用され、所望の模様に応じて適宜選択すればよい。
絵柄層4の厚さは、通常0.5〜20μm程度であり、1〜10μmが好ましい。絵柄層4の厚さが上記範囲内であると、化粧シートの優れた意匠性を付与することができ、また製造過程における収縮が生じることがない。
(表面保護層5)
表面保護層5は、本発明の化粧シートに耐汚染性、耐候性、耐溶剤性、耐摩耗性、耐傷性などの表面保護特性を付与する層であり、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により構成される層である。
ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物は電離放射線を照射することにより硬化する樹脂組成物であり、電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるほか、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も用いられる。
電離放射線硬化性樹脂は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、特に制限はなく、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、多官能(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、表面保護特性を優れたものとする観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは3〜6である。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーなどの(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられ、これらのオリゴマーを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
また、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これと共重合可能な、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの官能基含有(メタ)アクリル系化合物、あるいは(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのカルボン酸とを共重合してなるオリゴマーである。
以上の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの内、多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与することができ、また製造過程において収縮が生じることがないからである。
本発明において、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6である。官能基数が上記の範囲内であると、本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与することができ、また製造過程において収縮が生じることがないからである。
また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、1,000〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、フェニルケトン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系などの光重合用開始剤が好ましく挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。さらに、硬化の際に電離放射線を照射する時間が短くてすみ、製造過程における収縮を抑えることができるからである。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂の電離放射線の照射による硬化を阻害しない範囲内で、熱可塑性樹脂を含有してもよい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂などが挙げられ、これらは1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせる場合は、これらの樹脂を構成するモノマーの共重合体でもよいし、それぞれの樹脂を混合して用いてもよい。熱可塑性樹脂としては、本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与する観点から、アクリル樹脂が好ましく、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位として有するアクリル樹脂がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂の重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、通常10,000〜200,000程度であり、好ましくは10,000〜100,000程度である。この範囲内であると、本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与することができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物には、各種添加成分として、耐摩耗フィラー、マット形成フィラー、耐傷フィラーなどのフィラー(充填剤)、あるいは耐候性向上のために、紫外線吸収剤(UVA)やヒンダードアミン系の光安定剤(HALS)を含有させることができる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、各種添加成分として、得られる化粧シートにおける表面保護層5の隠蔽性向上、基材の黄変防止や耐光性の向上などを図る目的で、酸化チタン、アルミペースト、カーボンブラックなどの無機系着色顔料を適宜添加することができる。
表面保護層5の厚さは、1〜19μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。表面保護層5の厚さが上記範囲内であると、本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与することができ、また製造過程において収縮が生じることがない。
(導管インキ層7)
導管インキ層7は、熱可塑性樹脂組成物により構成される層であり、本発明の化粧シートに凹凸感のある意匠性を付与しうる層であり、特に絵柄層4の絵柄として木目模様を採用し、凹凸感があり、より本物の質感を有する木目模様を表現する際に、好ましく設けられる層である。
導管インキ層7は、熱可塑性樹脂組成物を採用することで、表面保護層5を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用により、該表面保護層5における、該導管インキ層7の直上部及びその近傍に、低光沢領域を有する低艶模様層8を形成する層である。導管インキ層7は、絵柄層4、あるいは所望に応じて絵柄層4と表面保護層5との間に設けられるプライマー層(図示しない)の上などに、上記の低光沢領域を有する低艶模様層8を形成することにより、該低光沢領域を有する低艶模様層8の周辺の高光沢領域との艶差を発生させることで、視覚的な凹凸感を発現するものである。
導管インキ層7は、化粧シートの全面にわたって設けてもよいが、低光沢領域を有する低艶模様層8の周辺の高光沢領域との艶差を発生させて視覚的な凹凸感を発現させることを考慮すると、部分的に設けることが好ましい。
本発明における艶差発生の機構については、十分解明されるには至っていないが、各種実験と観察、測定の結果から、熱可塑性樹脂組成物により構成される導管インキ層7の表面に表面保護層5を形成するための電離放射線硬化性樹脂組成物の未硬化物を塗工した際に、各材料の組合せ、塗工条件の適当な選択によって、該熱可塑性樹脂と該電離放射線硬化性樹脂とが、一部溶出、分散、混合などの相互作用を発現することによるものと推測される。この際、熱可塑性樹脂組成物と電離放射線硬化性樹脂組成物の未硬化物におけるそれぞれの樹脂は、短時間には完全相溶状態にならずに懸濁状態となって、導管インキ層7の直上部に存在し、該懸濁状態となった部分が光を散乱して低光沢領域をなすものと考えられる。この懸濁状態を有したまま、電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させて表面保護層を形成することにより、かかる状態が固定されると、表面保護層中に低光沢領域を有する低艶模様層8が部分的に形成され、目の錯覚により、その部分が視覚的に凹部であるかのように認知されるものと推測される。また、その際、導管インキ層7の塗布量が相対的に、より多くなるに従って、該導管インキ層7の表面保護層5中への溶出量は、相対的に増加して、該懸濁状態の程度はより高く、低艶模様層8の光沢はより低くなると考えられる。
上記のように、低光沢領域は、熱可塑性樹脂と電離放射線硬化性樹脂との相互作用により形成されるものである。導管インキ層7の直上部に形成する低光沢領域を有する低艶模様層8は、該導管インキ層7の「直上部」に形成されるものであるが、該導管インキ層7の「その近傍」にも広がりを有しながら形成されてもよい。なお「その近傍」部分に形成する低光沢領域を有する低艶模様層8も熱可塑性樹脂と電離放射線硬化性樹脂との相互作用により形成されるものである。
導管インキ層7を形成する熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を有しており、通常イソシアネートなどの架橋剤を併用しないで使用される樹脂が好ましく挙げられる。
このような熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硝化綿などのニトロセルロース樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂などが好ましく挙げられる。これらの中でも、表面保護層5を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物の電離放射線硬化性樹脂との相性による凹凸感の発現の観点から、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、硝化綿などのニトロセルロース樹脂が好ましく、とりわけウレタン樹脂が好ましい。
また、熱可塑性樹脂の重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、100,000〜1,000,000のものが好ましく、150,000〜700,000のものがより好ましく、200,000〜500,000のものがさらに好ましい。重量平均分子量が100,000以上であると、チクソ性が低くなることにより低艶模様層8の凹凸感が発現しにくくなるということがない。一方、1,000,000以下であると、熱可塑性樹脂組成物のインキ化が困難となることがなく、また印刷時に被膜が形成しにくく転移不良となることがないので好ましい。
また、必要に応じて、低光沢領域の発現の程度、低艶領域とその周囲との艶差のコントラストを調整するため、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体などを混合することができる。
導管インキ層7を形成する熱可塑性樹脂組成物は絵柄層4に用いるインキ組成物と同様に、着色剤を含有し、それ自体でも絵柄模様を与えることができるが、絵柄層4を有する場合には、既に基材2に対して色彩や模様を与えているので、導管インキ層7を形成するための熱可塑性樹脂組成物には、必ずしも着色剤を添加する必要はない。
絵柄層4を有する場合には、該絵柄層4が表現しようとする模様のうち、艶を消して、視覚的に凹部を表現したい部分と導管インキ層7とを(導管インキ層7を導管インキ層7Bのように設けて)、同調させることによって艶差による視覚的凹部を有する模様を得ることができる。例えば、絵柄層4によって木目模様を表現しようとする場合には、木目の導管部分に導管インキ層7で形成する模様を同調させることにより、艶差により導管部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。あるいは絵柄層4によって、タイル貼模様を表現しようとする場合には、タイル貼の目地溝部分に導管インキ層7で形成する模様を同調させることにより、艶差によって、目地溝部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。
導管インキ層7は、例えば導管インキ層7Bのように絵柄層4と同調させるように設けてもよいし、導管インキ層7Aのように絵柄層4と同調させないで設けてもよく、所望の絵柄に応じて適宜選択すればよい。
導管インキ層7の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましい。0.1μm以上であると、熱可塑性樹脂組成物と電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用が起こり、低光沢領域が得られるので、艶差による優れた凹凸感が得られる。一方、10μm以下であると、熱可塑性樹脂組成物の塗布に際して機械的制約がなく、また経済的にも有利である。以上の観点から、導管インキ層7の厚さは、さらに0.6〜7μmの範囲であることが好ましい。
本発明では、導管インキ層7を形成する熱可塑性樹脂組成物の塗布量(導管インキ層7の厚さ)を変化させることによって、化粧材表面の艶差が段階的に変化する階調模様、または化粧材表面の艶差が連続的に変化する連続模様など、自由自在に与えることができる。例えば、表面保護層5の最表面における、導管インキ層7(低艶模様層8)の上部は、導管インキ層7の形成に伴って隆起し、凸形状9を形成することができる。また、図3に示されるように、導管インキ層7を導管インキ層7Aのように厚く設けると、その直上部及び近傍に形成する低艶模様層8A及び凸形状9Aの隆起は、導管インキ層7Bに起因する低艶模様層8B及び凸形状9Bの隆起よりも著しいものとすることができる。
表面保護層5の表面がこのように凸形状9を有することによって、この部分で光が散乱され、表面積が増加し、かつ低艶が認識できる視野角も広がるため、上記低艶模様層8の効果と協調してさらに視覚的な凹凸感が強調され、また物理的に凸形状であるにも関わらず、視覚的に凹部として認識されるという特異な意匠感が得られる。
また、導管インキ層7を形成する熱可塑性樹脂組成物は、より艶差を生じさせて意匠性を向上させる観点から、体質顔料を含むことが好ましい。体質顔料としては、特に限定されず、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられるが、吸油量、粒径、細孔容積などの材料設計の自由度が高く、意匠性、インキとしての塗工安定性に優れていることから、シリカが好ましく、特に微粉末のシリカが好ましい。
体質顔料の吸油量(JIS K 5101−13−1:2004に準拠する)は、150〜350ml/100gであることが好ましく、150〜300ml/100gであることがより好ましい。体質顔料の吸油量が150ml/100g以上であると、表面保護層5/導管インキ層7のグロス値が高くなりすぎないため、表面保護層5のみの部分と表面保護層5/導管インキ層7の部分との艶差が大きくなるので、高い意匠性を発揮しやすくなる。一方、体質顔料の吸油量が350ml/100g以下であると、表面保護層5/導管インキ層7のグロス値を低くする性能を効果的に利用することができる。また、チキソ性の上昇が抑制されるので、熱可塑性樹脂組成物の塗布適性が損なわれることがなく、高意匠性を有する印刷が容易になる。
導管インキ層7を形成する熱可塑性樹脂組成物中の体質顔料の含有量は、体質顔料/樹脂の質量比(P/V比)として0.2〜1.5であることが好ましい。P/V比が0.2以上であると、高い意匠性を発揮しやすく、1.5以下であると、熱可塑性樹脂組成物の柔軟性を損なうことがなく、成形時に表面保護層5にクラックが生じにくくなるからである。これと同様の観点から、P/V比は0.2〜1.2であることが好ましい。
導管インキ層7に用いられる体質顔料の平均粒径は、0.1〜7μmであることが好ましい。0.1μm以上であるとインキに添加した際に熱可塑性樹脂組成物のチキソ性が極端に高くならず、また熱可塑性樹脂組成物の粘性が上がりすぎず印刷のコントロールがしやすい。また、導管模様部分の艶消しを表現しようとした場合、導管インキ層7の好適な厚さが10μm以下であるので、シリカの平均粒径が導管インキ層7の厚さ以下であれば粒子の頭だしが比較的押えられ目立たなくなり、視覚的な違和感がおこりにくくなるからである。
(凹凸形状)
本発明の化粧シートには、凹凸感の意匠性の向上を図る観点から、さらに凹凸形状を付与することもできる。
化粧シートにさらに凹凸形状を付与する方法としては、特に制限はないが、例えば、エンボス版や賦型シートを用いたエンボス加工、あるいは凹凸模様を有する層を具備する転写シートを用いて、表面に凹凸模様を有する層を転写して凹凸模様を付与する方法などが挙げられる。
凹凸形状の模様形状としては、木目導管模様、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝などが好ましく挙げられる。
(盛上層10)
盛上層10は、複数の盛上部が部分的に設けられてなる層であり、化粧シートに触感を付与し、意匠性を高める機能を有するものである。図4に示すように、図1に示す態様の化粧シートに付加してもいいし、図5に示すように、図3に示す導管インキ層を有する態様に付加してもよい。
本発明において、盛上層の厚さ(盛上部の高さ)は、表面保護層を設けた後の化粧シートの表面の十点平均粗さ(Rz)が10〜35μmの範囲となる厚さであることが好ましい。化粧シート表面の十点平均粗さ(Rz)が10μm以上であると、化粧シートの表面に十分な触感を付与することができ、一方、当該十点平均粗さ(Rz)が35μm以下であると、曲げ加工性が良好となる。
また、盛上層の占有面積は化粧シートの平面の面積に対して2〜25%の範囲であることが好ましい。当該占有面積が2%以上であると、化粧シートの表面に十分な触感を付与することができ、一方、占有面積が25%以下であると、曲げ加工性も良好となる。その上、化粧シートの表面の触感の点から好適であり、汚染性も確保できる。
このような盛上層の厚さ及び占有面積の範囲を選択することにより、化粧シートに、特に好適な触感を付与することができる。
なお、盛上層の占有面積とは、盛上部の底面の面積の化粧シートの平面の面積に対する比率をいう。
本発明における盛上層を構成する各盛上部の形状は、特に限定されず、丸、4角形、6角形の規則的に並んだような定形の形状でも、不定型な絵柄であってもよいが、不定型な絵柄であると触感、マット感、光沢感及び意匠性に優れることから好ましい。
また、盛上層の材料としては、特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物等を用いることができる。これらのうち、特に、ベヒクル成分として、アクリル系、ポリエステル系、アクリルウレタン系、ウレタン系の樹脂で水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基を有する樹脂に、硬化剤としてポリイソシアネートを添加した2液硬化型樹脂がコスト及びインキポットライフの安定性の点から望ましい。
(裏面プライマー層)
裏面プライマー層6は、基材2と各種の被着材との接着性を向上させる目的で設けられる層である、基材2の表面保護層5が設けられる面とは反対の面に設けられる。裏面プライマー層6の形成に用いられる材料としては特に限定されず、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂などが好ましく挙げられ、なかでもウレタン樹脂が好ましい。なお、裏面プライマー層6に用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
また、裏面プライマー層6の厚さは、1〜5μm程度であることが好ましく、より好ましくは1〜3μmである。厚さが上記範囲内であると、効率よく、プライマー層としての優れた性能を得ることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
1.防湿性の評価
実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、JIS Z0208(カップ法)に準拠し、40℃、90%RHで24時間経過後のシート透過水分量を測定し、下記の基準で評価した。
○ 6g/m2未満
△ 6g/m2以上11g/m2未満
× 11g/m2以上
2.シート変形の評価
実施例及び比較例で基材として用いる基材シートに予め、100mm間隔で6箇所の印をつけて、デジタルノギスを用いて間隔(5箇所)を正確に測定した。その後、実施例及び比較例の方法に基づき化粧シートを作製し、得られた化粧シートの印の間隔をデジタルノギスで測定した。化粧シート作製前の間隔を間隔Iとして、化粧シート作製後の間隔を間隔IIとしたとき、(間隔I−間隔II)/間隔I×100で得られた数値を収縮率(%)とし、下記の基準で評価した。
○ 全ての間隔における収縮率が1%未満であった。
△ 収縮率が1%以上2%未満である箇所が存在した。
× 収縮率が2%以上である箇所が存在した。
3.耐酸性の評価
実施例及び比較例で得られた化粧シートを、尿素接着剤(「大鹿レヂンLS−12」を用いて、パーチクルボードとラミネートして得られた化粧板について、トイレ用洗浄・除菌剤(「サンポール(商品名)」,大日本除虫菊(株)製,酸成分:塩酸)を滴下し、24時間放置した際のシートの変化を目視し、下記の基準で評価した。
○ 化粧シート表面に全く変化はみられなかった。
△ 化粧シートの表面に膨れ、又は変色が若干生じたものの、実用上問題なかった。
× 化粧シートの表面に膨れ、変色、基材破壊の少なくともいずれかの変化が生じた。
4.耐アルカリ性の評価
上記3と同様にして得られた化粧板について、カビ取り用洗浄剤(「カビキラー(商品名)」,ジョンソン(株)製,アルカリ成分:水酸化ナトリウム)を滴下し、24時間放置した際のシートの変化を目視し、下記の基準で評価した。
○ 化粧シート表面に全く変化はみられなかった。
△ 化粧シートの表面に膨れ、又は変色が若干生じたものの、実用上問題なかった。
× 化粧シートの表面に膨れ、変色、基材破壊の少なくともいずれかの変化が生じた。
5.耐擦傷性の評価
上記3と同様にして得られた化粧板について、JAS特殊合板日本農林規格 引っかき硬度試験に準拠して、各種荷重における傷付きの有無を下記の基準で評価した。
○ 荷重30gでも傷付きはみられなかった。
△ 荷重10gでも傷付きはみられなかった。
× 荷重10gで傷付きが発生した。
6.盛上部の占有面積
オリンパス(株)製、非接触表面粗さ計「3次元測定顕微鏡」STM6ZP(商品名)を用い、倍率50倍、測定ピッチ0.10mm、駆動スピードは高速の条件で測定した。
7.十点平均表面粗さ(Rz)
十点平均粗さRzを、JIS B 0601:2001に準拠して、測定長4mm、カットオフ値0.8mmで測定した
8.表面の触感
人の手で接触した感触を以下の基準で評価した。
○:盛上感がある
×:殆ど盛上感が無い
9.化粧シートの曲げ加工性
Vカット加工を行ったのち、目視にてVカット部分の確認を行い、下記の判定基準で評価した。
〇;化粧シートの表面の割れはまったく確認されなかった。
×;化粧シートの割れが確認された。
実施例1
基材シートとして白色の二軸延伸ポリプロピレン樹脂シート(厚さ:56μm(「Syndecor(商品名)」AET co.ltd社製,ポリプロピレン樹脂シートの二層構成であり、一方の面にウレタン樹脂コートが施されている。)を用意して、裏面プライマー層としてウレタン樹脂コートが施された面とは反対側の面に、着色剤を添加したバインダー樹脂(「CON−NT(商品名)」,DICグラフィック(株)製,バインダー樹脂:ポリエステル樹脂)100質量部に1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を4質量部加えたインキ組成物を用いて隠蔽層(厚さ:5μm)を形成し、電離放射線硬化性樹脂組成物(「REB−CON(商品名)」,ウレタンアクリレート樹脂系)を4g/m2で塗布し、70℃環境下にて3Mradの電子線を2秒間照射して該電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層(厚さ:4μm)を形成した。次いで、40℃の環境下で12時間養生保管して、化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価を行った。評価の結果を第1表に示す。
実施例2〜3
実施例1において、基材の厚さが第1表に示される厚さのものを用いた以外、実施例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価を行った。評価の結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、基材として一般紙(厚さ:50μm,「プリントS50(商品名)」,王子特殊紙(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価を行った。評価の結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1において、基材として白色の無延伸ポリプロピレン樹脂シート(厚さ:60μm,「PB023(商品名)」,三菱樹脂(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価を行った。評価の結果を第1表に示す。
比較例3
実施例1において、基材として白色PETシート(厚さ:45μm,「W410(商品名)」,三菱化学ポリエステル(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価を行った。評価の結果を第1表に示す。
比較例4
実施例1において、表面保護層の形成に用いる樹脂組成物を、アクリルポリオール樹脂(「UC(商品名)」,DIC(株)製)100質量部に1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を9質量部を加えた樹脂組成物とし、該樹脂組成物を10g/m2で塗布し、130℃で10秒間加熱して硬化させて表面保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価を行った。評価の結果を第1表に示す。
*1,PPはポリプロピレン樹脂であり、PETはポリエチレンテレフタレート樹脂である。
*2,長手方向の延伸倍率と幅方向の延伸倍率との積である。
*3,二層構成のときは、その合計の厚さを表記した。
実施例4
実施例1において、隠蔽層(厚さ:5μm)を形成した後、アクリル樹脂を主成分とした盛り上げ用のインキ(大日精化工業(株)製、商品名:KKBキュアUセミマットメヂウム)を用いて、不定型な形状の絵柄の盛上部が形成できるような版型を用い、グラビア印刷にて複数の盛上部を形成して、盛上層を形成したこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。ここで、版型は、全平面に対する盛上部の占有面積が5%となり、かつ盛上部の高さが50μmとなるような版深とした。
評価の結果を第2表に示す。
実施例5
実施例1において、隠蔽層(厚さ:5μm)を形成した後、その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄層をグラビア印刷にて形成した。
次に、柄版により低艶絵柄インキ(DIC(株)製ウレタン系導管インキ「導管MINI(A)」)を木目模様の導管部分に同調するように、塗工量5g/m2で印刷して、低艶絵柄インキ部を形成した。
次いで、アクリル樹脂を主成分とした盛り上げ用のインキ(大日精化工業(株)製、商品名:KKBキュアUセミマットメヂウム)を用いて、不定型な形状の絵柄で、かつ低艶絵柄インキ部の存在しない部分に盛上部が形成できるような版型を用い、グラビア印刷にて複数の盛上部を形成して、低艶触感付与層を形成した。ここで、版型は、全平面に対する盛上部の占有面積が5%となり、かつ盛上部の高さが50μmとなるような版深とした。
その後、実施例1と同様にして、表面保護層(厚さ:4μm)を形成し、同様に養生保管して、化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価を行った。評価の結果を第2表に示す。
本発明の化粧シートは、優れた意匠性、耐汚染性及び防湿性を有し、かつ耐擦傷性や耐候性などの表面保護特性に優れたシートである。本発明の化粧シートは、建築内部の仕上げ材、取り付け材などの造作材、あるいは建具に用いられ、とりわけ、高温、高湿度環境下で用いられるような用途、例えばキッチン、浴室などの部材として好適に用いられる。
1 化粧シート
2 基材
3 隠蔽層
4 絵柄層
5 表面保護層
6 裏面プライマー層
7 導管インキ層
8 低艶模様層
9 凸形状
10 盛上層

Claims (10)

  1. 基材、隠蔽層、及び表面保護層を順に有し、該基材が少なくとも一層の着色された二軸延伸ポリプロピレン樹脂のシートにより構成され、該隠蔽層が着色剤を含む2液硬化性樹脂組成物の硬化物により構成され、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物により構成され、該基材の長手方向の延伸倍率と幅方向の延伸倍率との積が5〜70である化粧シート。
  2. 基材の厚さが、30μm以上である請求項1に記載の化粧シート。
  3. 基材が、二層以上の二軸延伸ポリプロピレン樹脂のシートにより構成され、そのうち少なくとも一層が着色されたシートである請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 電離放射線硬化性樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 電離放射線硬化性樹脂が、電子線硬化性樹脂である請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 表面保護層の厚さが、1〜19μmである請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 隠蔽層を構成する2液硬化性樹脂組成物が、2液硬化性ウレタン樹脂組成物である請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  8. 隠蔽層と表面保護層との間に導管インキ層を有し、該導管インキ層が熱可塑性樹脂組成物により構成されるものであり、該導管インキ層の直上部及びその近傍に低艶模様層が形成されている請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  9. 隠蔽層と表面保護層との間に盛上層を有する請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  10. 前記盛上層の占有面積が2〜25%であり、かつ表面の十点平均粗さが10〜35μmである請求項に記載の化粧シート。
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